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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000130
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】乗客コンベアシステムと移動体
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/00 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
B66B31/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098707
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 涼介
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA02
3F321CE31
3F321EA11
3F321EB07
3F321HA04
(57)【要約】
【課題】乗客コンベアの欄干に取り付けられているランプの点灯状態を点検できる乗客コンベアシステムと移動体を提供する。
【解決手段】エスカレータ10は、手摺りベルト38がそれぞれ走行する左右一対の欄干36と、左右一対の欄干36の間を一方の乗降口から他方の乗降口に前後方向に移動する踏段30と、欄干36の上部に前後方向に沿って設けられた左LED70と右LED76とを有し、移動体100は、踏段30に乗って移動するものであり、左LED70と右LED76からの照度を検出する左センサ110と右センサ112と、これらセンサが検出した照度に基づいて欄干36の各位置にある左LED70と右LED76の点灯状態を表す点灯情報を時系列に記憶するロボット制御部104とを有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアと移動体を含む乗客コンベアシステムにおいて、
前記乗客コンベアは、
手摺りベルトがそれぞれ走行する左右一対の欄干と、
左右一対の前記欄干の間を一方の乗降口から他方の乗降口に前後方向に移動する踏段と、
前記欄干の上部に前後方向に沿って設けられたランプと、
前記踏段を移動させる主制御部と、
を有し、
前記移動体は、
前記踏段に乗って移動する移動体本体と、
前記移動体本体に設けられ、前記ランプからの照度を検出するセンサと、
前記センサが検出した前記照度に基づいて前記欄干の各位置にある前記ランプの点灯状態を表す点灯情報を時系列に記憶する移動体制御部と、
を有することを特徴とする乗客コンベアシステム。
【請求項2】
前記移動体制御部は、
前記センサが検出した前記照度が、基準値より高い場合には前記ランプが明点灯であるとし、前記基準値より低いときは暗点灯であると判断して前記点灯情報を生成し、
前記ランプの前記点灯情報を時系列に並べて連続点灯情報を生成する、
請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項3】
前記移動体制御部は、
前記移動体が一方の前記乗降口から前記踏段に乗ったときを起点とし、前記踏段から他方の前記乗降口に降りたときを終点とし、
前記起点から前記終点までの前記連続点灯情報を記憶する、
請求項2に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項4】
前記移動体制御部は、記憶した前記連続点灯情報を前記主制御部に送信する移動体通信部を有する、
請求項3に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項5】
前記主制御部は、前記連続点灯情報の中に前記暗点灯が含まれる場合に、外部にある保守センタの監視装置に報知する、
請求項4に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項6】
前記ランプが、LED又は直管式の蛍光灯である、
請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項7】
前記センサは、前記照度と共に色度も検出可能であり、前記点灯状態に前記色度も含まれる、
請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項8】
乗客コンベアの踏段に乗って移動する移動体本体と、
前記移動体本体に設けられ、前記乗客コンベアの欄干の上部に沿って前後方向に設けられたランプの照度を検出するセンサと、
前記センサが検出した前記照度に基づいて前記欄干の各位置にある前記ランプの点灯状態を表す点灯情報を、時系列に記憶する移動体制御部と、
を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアシステムと、それに用いられる移動体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアにおいて、手摺りベルトが移動する欄干には、その欄干を照明するためのランプが設けられている。このランプは、LED又は直管式の蛍光灯であり、一方の乗降口から他方の乗降口までの欄干に多数取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-210994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、乗客コンベアの欄干には多数のランプが取り付けられているが、これらランプの一部に正常に点灯しないいわゆる「暗点灯」が発生することがある。しかし、その暗点灯を発見する機能は従来なく、乗客からの報告や、乗客コンベアを止めての保守作業中に発見するしかないという問題点があった。
【0005】
そこで本発明の実施形態は上記問題点に鑑み、乗客コンベアの欄干に取り付けられているランプの点灯状態を点検できる乗客コンベアシステムと移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、乗客コンベアと移動体を含む乗客コンベアシステムにおいて、前記乗客コンベアは、手摺りベルトがそれぞれ走行する左右一対の欄干と、左右一対の前記欄干の間を一方の乗降口から他方の乗降口に前後方向に移動する踏段と、前記欄干の上部に前後方向に沿って設けられたランプと、前記踏段を移動させる主制御部と、を有し、前記移動体は、前記踏段に乗って移動する移動体本体と、前記移動体本体に設けられ、前記ランプからの照度を検出するセンサと、前記センサが検出した前記照度に基づいて前記欄干の各位置にある前記ランプの点灯状態を表す点灯情報を時系列に記憶する移動体制御部と、を有することを特徴とする乗客コンベアシステムである。
【0007】
また、本発明の実施形態は、乗客コンベアの踏段に乗って移動する移動体本体と、前記移動体本体に設けられ、前記乗客コンベアの欄干の上部に沿って前後方向に設けられたランプの照度を検出するセンサと、前記センサが検出した前記照度に基づいて前記欄干の各位置にある前記ランプの点灯状態を表す点灯情報を、時系列に記憶する移動体制御部と、を有することを特徴とする移動体である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態を示すエスカレータの説明図と左ランプカバーの部分の拡大縦断面図である。
図2】踏段に乗った移動体と欄干上部の図面であって、下階から見た状態である。
図3】欄干に取り付けられたLEDの点灯状態に対応して二値化した照度を説明した模式図である。
図4】エスカレータと移動体のブロック図である。
図5】左LEDと右LEDの点検におけるフローチートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の乗客コンベアシステムであるエスカレータ10と移動体100について図1図5を参照して説明する。
【0010】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の全体の構造について図1を参照して説明する。図1は、エスカレータ10を左側面から見た説明図である。但し、エスカレータ10の内部構造をわかりやすくするために、エスカレータ10の右側の部材の図示を省略している。なお、エスカレータ10の前後方向を説明するときは、下階から上階を見上げ、上階が前側、下階が後側であるものとする。
【0011】
エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって、支持アングル2,3を用いて前後方向に支持されている。エスカレータ10の上方、すなわち建屋1の天井4には、エスカレータ10を監視するためのカメラ5が設置されている。このカメラ5は、下方を360°撮影できる機能を有し、エスカレータ10の下階側の乗降口から上階側の乗降口までを撮影できる。なお、カメラ5は一台でなく、複数台のカメラ5でエスカレータ10の下階側の乗降口から上階側の乗降口までを撮影できるようにしてもよい。
【0012】
トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18、左右一対の踏段スプロケット24,24、不図示の左右一対のベルトスプロケットが設けられている。この駆動装置18は、モータ20と、減速機21と、この減速機21の出力軸に取り付けられた駆動小スプロケット19と、モータ20の回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスク式の電磁ブレーキ23とを有している。左右一対の踏段スプロケット24,24には、同軸に駆動大スプロケット17が取り付けられ、駆動小スプロケット19との間に無端状の駆動チェーン22が架け渡されている。また、上階側の機械室14内部には、モータ20や電磁ブレーキ23などを制御する主制御部である制御装置50が設けられている。
【0013】
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内部には、左右一対の従動スプロケット26,26が設けられている。上階側の左右一対の踏段スプロケット24,24と下階側の左右一対の従動スプロケット26,26との間には、左右一対の無端状の踏段チェーン28,28が架け渡されている。左右一対の踏段チェーン28,28の間には、複数の踏段30の左右一対の第1輪301,301が一定間隔毎に連結されている。モータ20が回転すると踏段30の第1輪301は、トラス12に固定された不図示の第1輪専用の案内レールを走行し、踏段30の第2輪302は、トラス12に固定された第2輪専用の案内レール25を走行する。
【0014】
トラス12の上部の左右両側には、左右一対の欄干36,36が立設されている。この欄干36の上部には手摺りレール39が設けられ、この手摺りレール39に沿って無端状の手摺りベルト38が移動する。
【0015】
左側の手摺りレール39の内側(踏段30側)の下部には、図1の一部拡大縦断面図と図2に示すように前後方向に長いテープ状の左側のLED基板(以下、「左LED基板」という)68が前後方向に延びるように配置されている。この左LED基板68には、所定間隔毎に左側のLED(以下、「左LED」という)70が下階側から上階側まで取り付けられている。この左LED基板68と複数の左LED70を覆うように左ランプカバー72が左側の手摺りレール39の下部に取り付けられている。
【0016】
右側の手摺りレール39の内側(踏段30側)の下部には、図2に示すように前後方向に長いテープ状の右側のLED基板(以下、「右LED基板」という)74が前後方向に延びるように配置されている。この右LED基板74には、所定間隔毎に右側のLED(以下、「右LED」という)76が下階側から上階側まで取り付けられている。この右LED基板74と複数の右LED76を覆うように右ランプカバー78が右側の手摺りレール39の下部に取り付けられている。
【0017】
本実施形態では、左側の左LED70と右LED76が、ランプに該当する。
【0018】
左右一対の欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられている。正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。左右一対の欄干36の側面下部には、スカートガード44がそれぞれ設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。
【0019】
手摺りベルト38は、不図示のベルトスプロケットが踏段スプロケット24と共に回転することにより踏段30と同期して移動する。
【0020】
上階側の左右一対のスカートガード44,44の間の乗降口である、機械室14の天井面には、上階側の乗降板32が水平に設けられている。下階側の左右一対のスカートガード44,44の間の乗降口である、機械室16の天井面には、下階側の乗降板34が水平に設けられている。上階側の乗降板32の先端には櫛歯状のコム60が設けられ、このコム60に踏段30が進入したり、引き出されたりする。また、下階側の乗降板34の先端にも櫛歯状のコム62が設けられている。
【0021】
(2)移動体100
次に、エスカレータ10の左右一対の欄干36の左LED70と右LED76の点検を行うための移動体100について、図2を参照して説明する。この移動体100は、自律走行可能なロボットであり、その目的は無人でエスカレータ10の点検を行うことである。
【0022】
移動体100は、ほぼ立方体の本体102を有し、この本体102の大きさは、一段の踏段30に乗ることができる大きさに設計されている。その本体102の内部には、コンピュータなどよりなる移動体制御部であるロボット制御部104が設けられている。本体102の下部には、4個の車輪106が設けられ、この4個の車輪106は移動モータ108で回転する。ロボット制御部104は、移動モータ108の回転、停止、回転方向を制御することにより、移動体100を前進、後進、又は右若しくは左に回転させることができる。
【0023】
図2に示すように、移動体100の本体102の上面から垂直方向に支持柱118が立設され、この支持柱118の上端から左に向かって左水平部120が水平に突出し、右から右水平部122が水平に突出している。移動体100を後方から見た場合に、左水平部120と右水平部122と支持柱118は、ほぼT字状をなしている。左水平部120の先端には、左側の照度センサ(以下、「左センサ」という)110が取り付けられている。また、右水平部122の先端にも、右側の照度センサ(以下、「右センサ」という)112が取り付けられている。左センサ110と右センサ112が検出した照度はそれぞれロボット制御部104に送られる。
【0024】
左水平部120と右水平部122の高さは、移動体100を踏段30に載せた場合に、図2に示すように、左センサ110と右センサ112の高さが、左右一対の欄干36,36にある左LED70と右LED76の高さとほぼ等しくなるように設定されている。
【0025】
(3)エスカレータ10と移動体100の電気的構成
次に、エスカレータ10と移動体100の電気的構成について、図4のブロック図を参照して説明する。
【0026】
上階側の機械室14内部にある制御装置50には、移動体100の移動体通信部であるロボット通信部116や外部にある保守センタの監視装置200と連絡を取るための通信部64と、モータ20と電磁ブレーキ23を制御するための駆動回路66と左LED基板68と右LED基板74が接続されている。また、制御装置50には、図1に示すように、建屋1の天井4に設けられているカメラ5からの画像(動画像データ)が入力し、制御装置50は、その動画像データを画像解析して、移動体100が、下階の最も下にある踏段30に乗ったか、又は、上階の最も上にある踏段30から降りたかを判断する。
【0027】
移動体100のロボット制御部104には、移動モータ108、左センサ110、右センサ112、記憶部114、通信部64と通信するロボット通信部116が接続されている。
【0028】
(4)移動体100による左LED70と右LED76の点検方法
次に、移動体100を用いて、左LED70と右LED76を点検する方法について説明する。
【0029】
まず、ロボット制御部104が、移動モータ108を用いて、移動体100を下階側の乗降板34から最も下にある踏段30に移動させる。すると、その踏段30に移動した状態を、カメラ5を用いて制御装置50が検出し、ロボット制御部104に対して左センサ110と右センサ112を用いて、左LED70と右LED76の点灯状態の点検開始を指示する。この点検開始位置を、以下では「起点」と呼ぶ。
【0030】
踏段30が上階側へ移動すると、移動体100もそれに伴って移動し、左センサ110と右センサ112によって、左LED70と右LED76の照度をそれぞれ所定時間(例えば、1秒)毎に検出する。ロボット制御部104は、図3に示すように、検出した左右両側の照度を、所定の基準値を用いて二値化し、基準値以上の照度であれば「1」、基準値未満の照度であれば「0」として、時系列に二値化した照度を記憶していく。1の値のLEDが「明点灯」であり、0の値のLEDが「暗点灯」を意味する。その暗点灯のLEDの位置は、起点から数えて0の値が何番目(例えば、n番目)に位置しているかで決定する。以下では、この二値化した照度を「点灯情報」という。
【0031】
踏段30に乗った移動体100が上昇して、最も上にある踏段30から上階側の乗降板32に到着すると、制御装置50が、カメラ5が撮影した画像によってそれを検出し、ロボット制御部104に左LED70と右LED76の点検終了を指示する。この位置を以下では「終点」と呼ぶ。
【0032】
ロボット制御部104は、起点から終点までの左LED70の点灯情報を時系列に並べて左の連続点灯情報として、起点から終点までの右LED76の点灯情報を時系列に並べて右の連続点灯情報として制御装置50に送信する。
【0033】
制御装置50では、左の連続点灯情報の中に時系列でn番目の点灯情報が0である場合には、起点からn番目の左LED70が暗点灯であるとして、外部にある保守センタの監視装置200にその旨を報知する。右の連続点灯情報についても同様に処理する。
【0034】
上記で説明した点検方法を図5のフローチートに基づいて説明する。
【0035】
ステップS1において、エスカレータ10が稼働し、踏段30が通常運転の場合はステップS2に進む。
【0036】
ステップS2において、制御装置50は、エスカレータ10の乗客が基準人数より少ない場合にはステップS3に進み(yの場合)、多い場合にはステップS2を続ける(nの場合)。このようにすることによって、乗客が多数存在しているときには、移動体100の存在が障害にならないようにする。
【0037】
ステップS3において、乗客が少ないと判断しているので、制御装置50は、ロボット制御部104を制御して、移動体100を、下階側の乗降板34から最も下にある踏段30に乗せる。そしてステップS4に進む。
【0038】
ステップS4において、制御装置50は、カメラ5からの画像に基づいて、移動体100が最も下の踏段30に乗ったことを確認すると、起点に到着したとして左LED70と右LED76の点検を開始する。そしてステップS5に進む。
【0039】
ステップS5において、移動体100が踏段30に乗って下階から上階に移動している間、ロボット制御部104は、左センサ110と右センサ112とで左LED70と右LED76の点灯情報を時系列に検出する。そしてステップS6に進む。
【0040】
ステップS6において、移動体100が最も上にある踏段30から上階側の乗降板32に降りるとステップS7に進む。
【0041】
ステップS7において、移動体100が最も上にある踏段30に降りたことを制御装置50が、カメラ5の画像に基づいて確認すると、終点に到着したとして左LED70と右LED76の点検を終了しステップS8に進む。
【0042】
ステップS8において、ロボット制御部104は、ロボット通信部116を介して制御装置50の通信部64に左右両側の連続点灯情報をそれぞれ送信する。そしてステップS9に進む。
【0043】
ステップS9において、制御装置50は、左右両側の連続点灯情報から暗点灯となっている左LED70又は右LED76が有るか無いかを判断し、ステップS10に進む。
【0044】
ステップS10において、暗点灯となっている左LED70又は右LED76が有れば異常であるとしてステップS11に進み、無ければ正常であるとして点検を終了する。
【0045】
ステップS11において、暗点灯である左LED70又は右LED76の位置を、保守センタの監視装置200に送信する。そして点検を終了する。
【0046】
(5)効果
本実施形態によれば、移動体100を踏段30に乗せて移動させるだけで左右両側の欄干36の左LED70と右LED76の点灯状態を点検できる。
【0047】
また、乗客が少ない状態でエスカレータ10が通常運転しているときに点検を実施するので、エスカレータ10を停止させることなく、かつ、乗客の障害にならずに点検ができる。
【0048】
また、保守センタにおいても、エスカレータ10の制御装置50から、左LED70と右LED76が暗点灯の存在とその位置がわかるため、保守員がそのエスカレータ10へ保守に向かう際に、LED等の交換実施部品の種類や数なども判明する。
【0049】
また、左センサ110と右センサ112は、左水平部120と右水平部122の先端に設けられ、左LED70と右LED76の近くで照度を検出できるため、外乱(例えば建屋の照明装置からの光や太陽光など)を抑制でき、正確に照度を検出できる。
【0050】
(6)変更例
次に上記実施形態の変更例について説明する。
【0051】
上記実施形態では、欄干36のランプとしてLEDを用いたが、これに代えて直管式の蛍光灯を用いてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、左センサ110と右センサ112の照度センサは、照度だけを検出したが、これに加えて色度の検出することにより、暗くなったLEDだけでなく、変色しているLEDも検出できる。
【0053】
また、上記実施形態では、下階から上階まで連続して左LED70と右LED76が設けられていたが、途中に継目などが存在する場合には、予めこの位置(起点からm番目の位置)に関しては暗い状態であることを示すように点灯情報にマスクを行い、すなわち、m番目の点灯情報について制御装置50で判断しないようにして、誤検知を防ぐようにすることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、カメラ5の画像を用いて移動体100が、踏段30に乗ったか、又は降りたかを検出したが、これ以外にエスカレータ10の乗降口に移動体100の乗降を検出するセンサを設けて検出してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、移動体100を下階から上階に上昇させながらランプの点検を行ったが、これに代えて上階から下階に下降させながらランプの点検を行ってもよい。
【0056】
また、上記実施形態の移動体100は、左センサ110と右センサ112を有していたが、例えば、片側(例えば、左側)にのみ照度センサを設け、下階から上階に行くときに左LED70の点灯状態を点検し、その後に移動体100を180°回転させ、上階から下階に移動させて右LED76を点検してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、移動体100の本体102にロボット制御部104を設けたが、これに限らず、エスカレータ10内部にロボット制御部104を設け、左センサ110と右センサ112からの情報をロボット制御部104に送信してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、エスカレータ10に適用して説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。なお、動く歩道では、踏段を「ステップ」という。
【0059】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10・・・エスカレータ、30・・・踏段、36・・・欄干、38・・・手摺りベルト、70・・・左LED、76・・・右LED、100・・・移動体、102・・・本体、104・・・ロボット制御部、110・・・左センサ、112・・・右センサ、200・・・監視装置
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアと移動体を含む乗客コンベアシステムにおいて、
前記乗客コンベアは、
手摺りベルトがそれぞれ走行する左右一対の欄干と、
左右一対の前記欄干の間を一方の乗降口から他方の乗降口に前後方向に移動する踏段と、
前記欄干の上部に前後方向に沿って設けられたランプと、
前記踏段を移動させる主制御部と、
を有し、
前記移動体は、
前記踏段に乗って移動する移動体本体と、
前記移動体本体に設けられ、前記ランプからの照度を検出するセンサと、
移動体制御部と、
を有し、
前記移動体制御部は、
前記移動体が一方の前記乗降口から前記踏段に乗ったときを起点とし、前記踏段から他方の前記乗降口に降りたときを終点とし、
前記移動体が前記起点から前記終点に移動する間に、前記センサが検出した前記照度が、基準値より高い場合には前記ランプが明点灯であるとし、前記基準値より低いときは暗点灯であると判断して前記点灯情報を生成し、
前記起点から前記終点までの前記ランプの前記点灯情報を時系列に並べて連続点灯情報を生成し、
前記主制御部は、前記連続点灯情報の中に時系列でn番目の点灯情報が前記暗点灯である場合には、起点からn番目の前記ランプが前記暗点灯であるとする、
ことを特徴とする乗客コンベアシステム。
【請求項2】
前記移動体制御部は、記憶した前記連続点灯情報を前記主制御部に送信する移動体通信部を有する、
請求項3に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項3】
前記主制御部は、前記連続点灯情報の中に前記暗点灯が含まれる場合に、外部にある保守センタの監視装置に報知する、
請求項4に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項4】
前記ランプが、LED又は直管式の蛍光灯である、
請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項5】
前記センサは、前記照度と共に色度も検出可能であり、前記点灯状態に前記色度も含まれる、
請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項6】
乗客コンベアの踏段に乗って移動する移動体本体と、
前記移動体本体に設けられ、前記乗客コンベアの欄干の上部に沿って前後方向に設けられたランプの照度を検出するセンサと、
移動体制御部と、
を有し、
前記移動体制御部は、
前記移動体が一方の前記乗降口から前記踏段に乗ったときを起点とし、前記踏段から他方の前記乗降口に降りたときを終点とし、
前記移動体が前記起点から前記終点に移動する間に、前記センサが検出した前記照度が、基準値より高い場合には前記ランプが明点灯であるとし、前記基準値より低いときは暗点灯であると判断して前記点灯情報を生成し、
前記起点から前記終点までの前記ランプの前記点灯情報を時系列に並べて連続点灯情報を生成する、
ことを特徴とする移動体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の実施形態は、乗客コンベアと移動体を含む乗客コンベアシステムにおいて、前記乗客コンベアは、手摺りベルトがそれぞれ走行する左右一対の欄干と、左右一対の前記欄干の間を一方の乗降口から他方の乗降口に前後方向に移動する踏段と、前記欄干の上部に前後方向に沿って設けられたランプと、前記踏段を移動させる主制御部と、を有し、前記移動体は、前記踏段に乗って移動する移動体本体と、前記移動体本体に設けられ、前記ランプからの照度を検出するセンサと、移動体制御部と、を有し、前記移動体制御部は、前記移動体が一方の前記乗降口から前記踏段に乗ったときを起点とし、前記踏段から他方の前記乗降口に降りたときを終点とし、前記移動体が前記起点から前記終点に移動する間に、前記センサが検出した前記照度が、基準値より高い場合には前記ランプが明点灯であるとし、前記基準値より低いときは暗点灯であると判断して前記点灯情報を生成し、前記起点から前記終点までの前記ランプの前記点灯情報を時系列に並べて連続点灯情報を生成し、前記主制御部は、前記連続点灯情報の中に時系列でn番目の点灯情報が前記暗点灯である場合には、起点からn番目の前記ランプが前記暗点灯であるとする、ことを特徴とする乗客コンベアシステムである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、本発明の実施形態は、乗客コンベアの踏段に乗って移動する移動体本体と、前記移動体本体に設けられ、前記乗客コンベアの欄干の上部に沿って前後方向に設けられたランプの照度を検出するセンサと、 移動体制御部と、を有し、前記移動体制御部は、前記移動体が一方の前記乗降口から前記踏段に乗ったときを起点とし、前記踏段から他方の前記乗降口に降りたときを終点とし、前記移動体が前記起点から前記終点に移動する間に、前記センサが検出した前記照度が、基準値より高い場合には前記ランプが明点灯であるとし、前記基準値より低いときは暗点灯であると判断して前記点灯情報を生成し、前記起点から前記終点までの前記ランプの前記点灯情報を時系列に並べて連続点灯情報を生成する、ことを特徴とする移動体である。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアと移動体を含む乗客コンベアシステムにおいて、
前記乗客コンベアは、
手摺りベルトがそれぞれ走行する左右一対の欄干と、
左右一対の前記欄干の間を一方の乗降口から他方の乗降口に前後方向に移動する踏段と、
前記欄干の上部に前後方向に沿って設けられたランプと、
前記踏段を移動させる主制御部と、
を有し、
前記移動体は、
前記踏段に乗って移動する移動体本体と、
前記移動体本体に設けられ、前記ランプからの照度を検出するセンサと、
移動体制御部と、
を有し、
前記移動体制御部は、
前記移動体が一方の前記乗降口から前記踏段に乗ったときを起点とし、前記踏段から他方の前記乗降口に降りたときを終点とし、
前記移動体が前記起点から前記終点に移動する間に、前記センサが検出した前記照度が、基準値より高い場合には前記ランプが明点灯であるとし、前記基準値より低いときは暗点灯であると判断して点灯情報を生成し、
前記起点から前記終点までの前記ランプの前記点灯情報を時系列に並べて連続点灯情報を生成し、
前記主制御部は、前記連続点灯情報の中に時系列でn番目の前記点灯情報が前記暗点灯である場合には、起点からn番目の前記ランプが前記暗点灯であるとする、
ことを特徴とする乗客コンベアシステム。
【請求項2】
前記移動体制御部は、記憶した前記連続点灯情報を前記主制御部に送信する移動体通信部を有する、
請求項に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項3】
前記主制御部は、前記連続点灯情報の中に前記暗点灯が含まれる場合に、外部にある保守センタの監視装置に報知する、
請求項に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項4】
前記ランプが、LED又は直管式の蛍光灯である、
請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項5】
前記センサは、前記照度と共に色度も検出可能であり、前記点灯情報に前記色度も含まれる、
請求項1に記載の乗客コンベアシステム。
【請求項6】
乗客コンベアの踏段に乗って移動する移動体本体と、
前記移動体本体に設けられ、前記乗客コンベアの欄干の上部に沿って前後方向に設けられたランプの照度を検出するセンサと、
移動体制御部と、
を有し、
前記移動体制御部は、
前記移動体が一方の乗降口から前記踏段に乗ったときを起点とし、前記踏段から他方の乗降口に降りたときを終点とし、
前記移動体が前記起点から前記終点に移動する間に、前記センサが検出した前記照度が、基準値より高い場合には前記ランプが明点灯であるとし、前記基準値より低いときは暗点灯であると判断して点灯情報を生成し、
前記起点から前記終点までの前記ランプの前記点灯情報を時系列に並べて連続点灯情報を生成する、
ことを特徴とする移動体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の実施形態は、乗客コンベアと移動体を含む乗客コンベアシステムにおいて、前記乗客コンベアは、手摺りベルトがそれぞれ走行する左右一対の欄干と、左右一対の前記欄干の間を一方の乗降口から他方の乗降口に前後方向に移動する踏段と、前記欄干の上部に前後方向に沿って設けられたランプと、前記踏段を移動させる主制御部と、を有し、前記移動体は、前記踏段に乗って移動する移動体本体と、前記移動体本体に設けられ、前記ランプからの照度を検出するセンサと、移動体制御部と、を有し、前記移動体制御部は、前記移動体が一方の前記乗降口から前記踏段に乗ったときを起点とし、前記踏段から他方の前記乗降口に降りたときを終点とし、前記移動体が前記起点から前記終点に移動する間に、前記センサが検出した前記照度が、基準値より高い場合には前記ランプが明点灯であるとし、前記基準値より低いときは暗点灯であると判断して点灯情報を生成し、前記起点から前記終点までの前記ランプの前記点灯情報を時系列に並べて連続点灯情報を生成し、前記主制御部は、前記連続点灯情報の中に時系列でn番目の前記点灯情報が前記暗点灯である場合には、起点からn番目の前記ランプが前記暗点灯であるとする、ことを特徴とする乗客コンベアシステムである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、本発明の実施形態は、乗客コンベアの踏段に乗って移動する移動体本体と、前記移動体本体に設けられ、前記乗客コンベアの欄干の上部に沿って前後方向に設けられたランプの照度を検出するセンサと、移動体制御部と、を有し、前記移動体制御部は、前記移動体が一方の乗降口から前記踏段に乗ったときを起点とし、前記踏段から他方の乗降口に降りたときを終点とし、前記移動体が前記起点から前記終点に移動する間に、前記センサが検出した前記照度が、基準値より高い場合には前記ランプが明点灯であるとし、前記基準値より低いときは暗点灯であると判断して点灯情報を生成し、前記起点から前記終点までの前記ランプの前記点灯情報を時系列に並べて連続点灯情報を生成する、ことを特徴とする移動体である。