(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130000
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】検査管理装置、検査管理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20240920BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039455
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 心平
(72)【発明者】
【氏名】大西 貴子
(72)【発明者】
【氏名】望月 葵
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA02
5E353CC01
5E353CC03
5E353CC04
5E353CC05
5E353CC21
5E353CC22
5E353DD02
5E353EE21
5E353EE28
5E353LL01
5E353LL02
5E353LL03
5E353QQ01
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】部品品番グループを作成する際に、適切なグループ分けを行うことができる技術を提供する。
【解決手段】演算処理部を備え、部品が搭載された物品を撮像した画像に基づいて、前記物品の検査を実施する検査装置の前記検査の内容を管理する検査管理装置であって、前記演算処理部は、少なくとも前記部品の部品品番ごとの設計情報を用いて、類似関係にある複数の前記部品品番を部品品番グループとして関連付けることで、複数の前記部品品番を一以上の前記部品品番グループにグループ分けし、前記部品品番グループごとに、前記検査における検査項目及びその良否判定閾値を含む情報であって前記部品品番グループに属する全ての前記部品品番に一括して適用される、グループ検査基準を作成するように構成されている検査管理装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算処理部を備え、部品が搭載された物品を撮像した画像に基づいて、前記物品の検査を実施する検査装置の前記検査の内容を管理する検査管理装置であって、
前記演算処理部は、
少なくとも前記部品の部品品番ごとの設計情報を用いて、類似関係にある複数の前記部品品番を部品品番グループとして関連付けることで、複数の前記部品品番を一以上の前記部品品番グループにグループ分けし、
前記部品品番グループごとに、前記検査における検査項目及びその良否判定閾値を含む情報であって前記部品品番グループに属する全ての前記部品品番に一括して適用される、グループ検査基準を作成する、
ように構成されている
検査管理装置。
【請求項2】
前記演算処理部は、
良品又は不良品のラベル付けがされた前記画像を用いてシミュレーション検査を実施し、前記シミュレーション検査の結果に基づいて、前記部品品番グループごとに、見過ぎ及び見逃し数が最小になるような前記グループ検査基準を作成する、
ように構成されている
請求項1に記載の検査管理装置。
【請求項3】
前記物品は前記部品をはんだ付けにより実装した基板であり、
前記演算処理部は、
前記画像における前記部品の特徴量及びはんだ付け部の特徴量の情報をさらに用いて、前記部品品番の前記グループ分けを行う、
ように構成されている、
請求項1に記載の検査管理装置。
【請求項4】
前記演算処理部は、
既に前記部品品番グループに属している複数の前記部品品番を対象として改めて前記グループ分けを行うことで、前記部品品番グループの再編を行い、
前記再編された前記部品品番グループごとに新たに前記グループ検査基準を作成する、
請求項1に記載の検査管理装置。
【請求項5】
前記演算処理部は、
既に複数の前記部品品番グループにグループ分けされた複数の前記部品品番を対象として、前記再編を行う、
ように構成されている、
請求項4に記載の検査管理装置。
【請求項6】
前記演算処理部は、
前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも示すユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項1に記載の検査管理装置。
【請求項7】
前記演算処理部は、
前記再編前の一以上の前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも含む再編前一覧情報と、前記再編後の一以上の前記部品
品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも含む再編後一覧情報とを対比させて示すユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項4に記載の検査管理装置。
【請求項8】
前記演算処理部は、
前記部品品番グループに属する前記部品品番同士の類似度を算出し、
前記部品品番グループごとの前記類似度も示す前記再編前一覧情報及び前記再編後一覧情報を対比させて示す前記ユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項7に記載の検査管理装置。
【請求項9】
前記演算処理部は、
複数の前記画像及び前記グループ検査基準を用いて、前記再編前の一以上の前記部品品番グループ、及び前記再編後の一以上の前記部品品番グループ、のそれぞれに対してシミュレーション検査を行い、
前記再編前の一以上の前記部品品番グループ、及び前記再編後の一以上の前記部品品番グループ、のそれぞれについて、前記シミュレーション検査の結果に係る情報も示す前記ユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項7に記載の検査管理装置。
【請求項10】
前記演算処理部は、
複数パターンの前記再編を行い、
前記複数パターンそれぞれについての前記再編後一覧情報を含む、前記ユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項7に記載の検査管理装置。
【請求項11】
前記演算処理部は、
前記再編後の前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに属する前記部品品番同士の類似関係を示す図を含む前記ユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項7に記載の検査管理装置。
【請求項12】
操作入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記演算処理部は、
前記入力部からの入力に従って、前記グループ分けされた前記部品品番グループの前記部品品番の内訳の変更を受け付け、
前記変更後の前記部品品番グループの前記グループ検査基準を作成する、
ように構成されている、
請求項1から11のいずれか一項に記載の検査管理装置。
【請求項13】
表示部をさらに備え、前記表示部は、
前記ユーザー確認画像を表示する、
ように構成されている、
請求項6から11のいずれか一項に記載の検査管理装置。
【請求項14】
演算処理手段と、記憶手段と、表示手段とを備え、部品が搭載された物品を撮像した画像に基づいて、前記物品の検査を実施する検査装置の前記検査の内容を管理する検査管理
システムであって、
前記演算処理手段は、
少なくとも前記部品の部品品番ごとの設計情報を用いて、類似関係にある複数の前記部品品番を部品品番グループとして関連付けることで、複数の前記部品品番を一以上の前記部品品番グループにグループ分けし、
前記部品品番グループごとに、前記検査における検査項目及びその良否判定閾値を含む情報であって前記部品品番グループに属する全ての前記部品品番に一括して適用される、グループ検査基準を作成し、
前記記憶手段は、
少なくとも、前記画像のデータと、前記部品の部品品番ごとの設計情報と、一以上の前記部品品番グループの情報と、前記部品品番グループの情報に対応する前記グループ検査基準と、を記憶し、
前記表示手段は、
少なくとも、前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも示すユーザー確認画像を表示する、
ように構成されている
検査管理システム。
【請求項15】
情報処理端末を請求項1から11のいずれか一項に記載の検査管理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が搭載される製品の検査を実施するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
部品が搭載される製品、例えば部品実装基板などを検査する装置として、自動外観検査装置が広く使われている。このような装置では、部品が実装された基板(はんだ付けの前の状態のものも含む)の外観情報がセンサにより取得され、部品毎にその部品に応じた項目の計測が行われる。そして、得られた結果を所定の検査基準と照合することにより、良品・不良品の判別が行われる。
【0003】
ここで、設定される検査項目やその良否判定閾値が適切なもので無ければ、実際には良品であるものを不良品と判断する「見過ぎ」や、実際には不良品であるものを良品と判断する「見逃し」が発生する。「見過ぎ」は検査効率の悪化を招き、「見逃し」は製造工程の信頼性を低下させ後工程における作業効率を悪化させる。そして、いずれも製造工程の費用を増大させる原因となるため、「見過ぎ」及び「見逃し」は最小化させることが望ましい。
【0004】
しかしながら、「見逃し」を減少させるために検査基準を厳しくすると「見過ぎ」が増加し、「見過ぎ」を減少させるために検査基準を緩和すると「見逃し」が増加することになるため、適切な検査項目及びその良否判定閾値を設定する必要がある。なお、以下では「検査項目及びその良否判定閾値」のことをまとめて「検査基準」ということもある。
【0005】
このため、量産品における検査の実施に先立ち、基板や部品の検証画像で検査基準の調整が行われ、この調整の完了後に前述の検査項目や検査基準が実際の生産ラインに適用される。そして、このような検査基準の設定、調整に関し、ユーザー負担の軽減を目的とした発明が従来から提示されている(例えば、特許文献1、2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-9815号公報
【特許文献2】特開2018-77147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、上記特許文献のような技術に加えて、所定条件を満たす複数の異なる部品品番(例えば同一形状・同系色の部品、同一用途の部品など)をグループ化した部品品番グループを作成したうえで、検査基準を当該部品品番グループ単位でまとめて設定することもできる。このようにすることで、検査基準の設定を大幅に効率化することが可能になる。
【0008】
しかしながら、部品品番をどのようにグループ分けするのかについては、ユーザーが各自の知見に基づいて行っており、適切にグループ分けがなされていないといったことが生じ得る。グループ分けが適切でない場合には、グループ単位での検査基準の設定が適切なものではなくなってしまい、これによって例えば見過ぎの数が増加してしまうなど、検査の精度が低下する、という問題がある。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、部品品番グループを作成する際に、適切なグループ分けを行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。即ち、
演算処理部を備え、部品が搭載された物品を撮像した画像に基づいて、前記物品の検査を実施する検査装置の前記検査の内容を管理する検査管理装置であって、
前記演算処理部は、
少なくとも前記部品の部品品番ごとの設計情報を用いて、類似関係にある複数の前記部品品番を部品品番グループとして関連付けることで、複数の前記部品品番を一以上の前記部品品番グループにグループ分けし、
前記部品品番グループごとに、前記検査における検査項目及びその良否判定閾値を含む情報であって前記部品品番グループに属する全ての前記部品品番に一括して適用される、グループ検査基準を作成する、
ように構成されている、検査管理装置である。
【0011】
ここで、「部品品番」とは、部品メーカが商品管理上、種類・形状・色などを区別するために部品に付与する番号のことであるが、本明細書においては当該番号によって特定される部品の意味においても用いる。また、「グループ分けする」とは、必ずしもすべての部品品番をいずれかの部品品番グループに振り分けることを意味するのではなく、グループ分けの結果としていずれのグループにも入らない部品品番が存在したとしても構わない。また、部品品番の「設計情報」とは、当該部品品番が付与される部品の部品種、形状、三次元的なサイズ、色、印字された文字列を含む模様、などを示す情報である。また、「類似関係にある」とは、単に外観が似ているということにとどまらず、同一の検査項目・検査基準で検査を行うことに支障がない程度に似ていることをいう。
【0012】
このような構成であれば、ユーザーが手動で個々の部品品番を部品品番グループに割り付ける作業を行う場合に比べ、より適切なグループ分けができるとともに、グループ化及びグループ単位での検査情報の設定のための工数を大幅に削減することができる。
【0013】
また、前記演算処理部は、
良品又は不良品のラベル付けがされた前記画像に対して複数の検査項目及びその良否判定閾値の組み合わせによるシミュレーション検査を実施し、前記シミュレーション検査の結果に基づいて、前記部品品番グループごとに見過ぎ及び見逃し数が最小になるような前記グループ検査基準を作成するように構成されていてもよい。これによれば、精度のよい検査を実施できるグループ検査基準を自動で作成することができ、ティーチングに要する工数を大幅に削減することができる。
【0014】
また、前記物品は部品をはんだ付けにより実装した基板であり、前記演算処理部は、
前記画像における前記部品の特徴量及びはんだ付け部の特徴量の情報をさらに用いて、前記部品品番の前記グループ分けを行うように構成されていてもよい。このように、はんだ付け部も含む特徴量(例えば、輝度、色情報など)の情報を用いることで、実際の検査時の外観の類似度に基づいて適切なグループ分けを行うことができる。
【0015】
また、前記演算処理部は、既に前記部品品番グループに属している複数の前記部品品番を対象として改めて前記グループ分けを行うことで前記部品品番グループの再編を行い、前記再編された前記部品品番グループごとに新たに前記グループ検査基準を作成してもよい。また、前記演算処理部は、既に複数の前記部品品番グループにグループ分けされた複数の前記部品品番を対象として、前記再編を行うのであってもよい。
【0016】
例えば、部品のロットが変わった場合や新しい部品品番を導入する場合など、何らかの要因でグループ分けが適切でなくなる場合がある。このような場合においても、上記のよ
うな構成であれば、容易にグループ分けの再編を行うことができ、ティーチングに係る作業工数を削減することができる。また、部品品番グループの再編の対象となる部品品番グループは、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。また、再編の対象は部品品番グループだけでなく、いずれの部品品番グループにも属していない部品品番も含まれる。また、再編後の部品品番グループが再編前の部品品番グループの数と一致しなくとも構わない。
【0017】
また、前記演算処理部は、前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも示すユーザー確認画像を生成してもよい。このような画像をユーザーが確認することで、ある部品品番が他の部品品番とどのように関連付けられているのかを容易に把握し、必要に応じて手動でグループ分けの修正を行うことも可能になる。
【0018】
また、前記演算処理部は、前記再編前の一以上の前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも含む再編前一覧情報と、前記再編後の一以上の前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも含む再編後一覧情報とを対比させて示すユーザー確認画像を生成する、ように構成されていてもよい。このような画像をユーザーが確認することで、どのように部品品番グループが再編されたのかを容易に認識することができるようになる。
【0019】
また、前記演算処理部は、前記部品品番グループに属する前記部品品番同士の類似度を算出し、前記部品品番グループごとの前記類似度も示す前記再編前一覧情報及び前記再編後一覧情報を対比させて示すユーザー確認画像を生成する、ように構成されていてもよい。これによれば、部品品番グループ内に属する部品品番がどれほど類似しているのか、ひいてはグループ分けが適切なのか否かを、ユーザーは容易に判断することができる。
【0020】
また、前記演算処理部は、複数の前記画像及び前記グループ検査基準を用いて、前記再編前の一以上の前記部品品番グループ、及び前記再編後の一以上の前記部品品番グループ、のそれぞれに対してシミュレーション検査を行い、前記再編前の一以上の前記部品品番グループ、及び前記再編後の一以上の前記部品品番グループ、のそれぞれについて、前記シミュレーション検査の結果に係る情報も示す前記ユーザー確認画像を生成する、ように構成されていてもよい。
【0021】
なお、ここでいうシミュレーション検査の結果に係る情報、とは、例えば該検査による見逃し数、見過ぎ数などとすることができる。検査基準は通常見逃しを防止するように作成されるため、「精度に係る情報」として見過ぎの数、割合などを示す情報のみを表示するのであってもよい。これによれば、ユーザーはグループの再編成前後での検査精度の変化を容易に確認することができる。
【0022】
また、前記演算処理部は、複数パターンの前記再編を行い、前記複数パターンそれぞれについての前記再編後一覧情報を含む、前記ユーザー確認画像を生成するように構成されていてもよい。部品品番のグループ分けについては、どのような指標の類似度を重視するのかなどの方針に応じて、複数のパターンが生じることが考えられる。このため、上記のように複数パターンのグループ分けを行ったうえで、それぞれのグループ分けについての内訳や(シミュレーション検査による)検査精度を対比可能に示すことで、ユーザーは複数パターンのグループ分けを比較検討して所望のグループ分けを適用することを決定することができる。
【0023】
また、前記演算処理部は、前記再編後の前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに属する前記部品品番同士の類似関係を示す図を含む前記ユーザー確認画像を生成す
るように構成されていてもよい。このような構成であれば、部品品番グループ内における部品品番の類似の程度やグループ間の類似度の乖離を、ユーザーは視覚的に容易に把握することができる。
【0024】
また、前記検査管理装置は、表示部をさらに備え、前記表示部は、前記ユーザー確認画像を表示する、ように構成されていてもよい。このような構成であれば、ユーザーは検査管理装置そのものでグループ分けの内容を確認することができる。
【0025】
また、前記検査管理装置は、操作入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記演算処理部は、前記入力部からの入力に従って、前記グループ分けされた前記部品品番グループの前記部品品番の内訳の変更を受け付け、前記変更後の前記部品品番グループの前記グループ検査基準を作成するように構成されてもよい。このような構成であれば、ユーザーは自動で行われたグループ分けをたたき台として修正を行うことができ、簡便に所望のグループ分けを設定することができる。
【0026】
また、本発明は、次のような検査管理装置としても適用することができる。即ち、
演算処理手段と、記憶手段と、表示手段とを備え、部品が搭載された物品を撮像した画像に基づいて、前記物品の検査を実施する検査装置の前記検査の内容を管理する検査管理システムであって、
前記演算処理手段は、
少なくとも前記部品の部品品番ごとの設計情報を用いて、類似関係にある複数の前記部品品番を部品品番グループとして関連付けることで、複数の前記部品品番を一以上の前記部品品番グループにグループ分けし、
前記部品品番グループごとに、前記検査における検査項目及びその良否判定閾値を含む情報であって前記部品品番グループに属する全ての前記部品品番に一括して適用される、グループ検査基準を作成し、
前記記憶手段は、
少なくとも、前記画像のデータと、前記部品の部品品番ごとの設計情報と、一以上の前記部品品番グループ情報と、前記部品品番グループ情報に対応する前記グループ検査基準と、を記憶し、
前記表示手段は、
少なくとも、前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも示すユーザー確認画像を表示する、
ように構成されている検査管理システムである。
【0027】
また、本発明は撮像手段と検査手段とを備えた外観検査装置まで含めた検査システムとしても適用することもできる。
【0028】
また、本発明はコンピュータを上記の検査管理装置として機能させるためのプログラム、そのようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として捉えることもできる。また、上記構成および処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、部品品番グループを作成する際に、適切なグループ分けを行うことができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、実施形態の一例に係る検査管理装置が適用される部品実装ラインの概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態の一例に係る検査管理装置の機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態の一例に係る検査管理装置の画像表示部に表示される画像の第1の例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の一例に係る検査管理装置の画像表示部に表示される画像の第2の例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の一例に係る検査管理装置において部品品番グループを作成する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態の一例に係る検査管理装置の画像表示部に表示される画像の第3の例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の一例に係る検査管理装置の画像表示部に表示される画像の第4の例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態の一例に係る検査管理装置の画像表示部に表示される画像の第5の例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の他の実施形態に係る検査管理システムの概略を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。ただし、以下の各例に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0032】
<適用例>
本発明は例えば、
図1、2に示すような検査管理装置1として適用することができる。
図1は本適用例に係る、プリント基板の部品実装ラインの概略を示す概略図である。
図2は、本適用例に係る検査管理装置1の機能ブロック図である。
図1に示すように、本適用例に係る部品実装ラインには、上流側から順に、はんだ印刷装置A1、はんだ印刷後検査装置B1、マウンタA2、マウント後検査装置B2、リフロー炉A3、リフロー後検査装置B3が設けられる。
【0033】
はんだ印刷装置A1は、プリント基板上の電極部はんだを印刷する装置であり、マウンタA2は、基板に実装すべき電子部品をはんだペーストの上に載置するための装置であり、リフロー炉A3は、電子部品を基板上にはんだ接合するための加熱装置である。なお、以下では、はんだ印刷装置A1、マウンタA2、リフロー炉A3をまとめて「製造装置」ともいう。
【0034】
また、はんだ印刷後検査装置B1、マウント後検査装置B2、リフロー後検査装置B3は、それぞれ設置される工程の出口で基板の状態を検査し、その段階において不良あるいは不良のおそれを自動で検出する。なお、以下では、はんだ印刷後検査装置B1、マウント後検査装置B2、リフロー後検査装置B3をまとめて「検査装置」ともいう。
【0035】
上述した製造装置、及び検査装置は、LANなどのネットワークを介して検査管理装置1に接続されている。検査管理装置1は、図示しないがCPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置、RAM(Random Access
Memory)などの主記憶装置、HDD、フラッシュメモリなどの補助記憶装置、キーボード、マウス、コントローラ、タッチパネルなど入力装置、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどの出力装置、通信手段(有線、無線を問わない)などを具備する汎用的なコンピュータシステムにより構成される。
【0036】
検査管理装置1はいわゆるティーチング端末として用いることができ、各検査装置が実施する検査の内容を定める検査プログラムを作成(変更を含む。以下同じ)するために用
いられる。また、この他にも、後述する記憶部12に保存される各種情報の登録、設定(変更を含む。以下同じ)といった作業にも用いられる。
【0037】
図2が示すように、検査管理装置1は機能部として、制御部10、記憶部12、画像表示部13(例えば液晶ディスプレイ)、入力部14及び通信部15を有している。制御部10は演算処理装置を含んで構成され、検査管理装置1全体の制御を司る。また、制御部10は機能モジュールとして、品番グループ編成部111、検査基準作成部112、シミュレーション検査実施部113、UI(User Interface)制御部114を備えている。各機能モジュールは、例えば、記憶装置に格納されたプログラムを演算処理装置が読み込み実行することにより実現してもよい。
【0038】
検査管理装置1では、所定条件を満たす複数の異なる部品品番(例えば同一形状の部品、同系色の部品など)をグループ化した部品品番グループを作成することができる。部品品番グループを作成することで、当該部品品番グループに属する部品品番については検査ウィンドウ、特徴パラメータを共通にし、当該グループに属する部品品番に対して、一括して検査項目及びその良否判定閾値(検査基準)を設定することが可能になる。部品品番グループ作成後においても、該部品品番グループ内のいずれかの部品品番の設定を変更すると、同じ部品品番グループに属する他の部品品番も設定が自動的に変更される。
【0039】
従来、このような部品品番グループはユーザーが各自の知見に基づいて個別の部品品番をグループ分けして作成しており、場合によっては同一の検査基準を適用することが望ましくないような部品品番同士をグループピングしてしまうなどの問題が生じていた。即ち、グループ分けが適切でない場合には、グループ単位での検査基準の設定が適切なものではなくなってしまい、これによって例えば見過ぎが増加するなど、検査の精度が低下してしまうことになる。
【0040】
本適用例に係る検査管理装置1では、制御部10が備える各機能モジュールの働きにより、基板に実装される部品の部品品番の設計情報などに基づいて、自動で部品品番グループの作成を行うことができる。具体的には、例えば記憶部12などに保存されている各部品品番の設計情報(形状、サイズ、色などの情報)に基づいて、登録されている複数の部品品番を一定の類似範囲に属する部品品番同士でグループ分けする。なお、この際にはいずれの部品品番グループにも属さない部品品番があったとしても構わない。そのような場合には、1つの部品品番だけで構成される部品品番グループを作成しもよいし、部品品番グループに属さない個別の部品品番として扱ってもよい。また、ここでいう部品品番グループの作成は、部品品番グループが作成されていない状態からの新規作成だけでなく、既に部品品番グループが作成されている場合に、これを再編することも含まれる。
【0041】
さらに、検査管理装置1では、そのようにして作成した各部品品番グループに対して、シミュレーション検査を実施することにより部品品番グループに属する全ての部品品番に適用するのに相応しい検査基準を算出し、これをグループ検査基準として各部品品番グループに適用することもできる。なお、上述のようにグループ検査基準は部品品番グループに属する全ての部品品番に対して一括して適用される検査基準であるため、個々の部品品番に対して個別に設定される検査基準に比べると、各部品品番についての検査精度は低くなるのが通常である。しかしながら、部品品番グループ単位で検査基準を管理することにより、個々の部品品番に対して個別に検査基準を設定して管理することに比べ、作業工数を大幅に削減することが可能になる。
【0042】
以上のように、本適用例に係る検査管理装置1によれば、自動で部品品番グループを作成するとともに、当該グループを対象とした検査基準を設定することができる。このため、人手により部品品番グループを作成することに比べ、適切なグループ分けができるとと
もに、大幅に検査プログラム作成(更新を含む)に係る工数を削減することができる。
【0043】
<実施形態1>
(検査管理装置が適用される実装ライン)
続けて、本発明の実施形態について、図面に基づいてさらに詳しく説明してく。本実施形態に係る検査管理装置1は上述のように、はんだ印刷装置A1、はんだ印刷後検査装置B1、マウンタA2、マウント後検査装置B2、リフロー炉A3、リフロー後検査装置B3を備える部品実装ラインにおける、検査内容の管理のために用いられる。
【0044】
はんだ印刷装置A1は、スクリーン印刷によってプリント基板上の電極部(ランドと呼ばれる)にペースト状のはんだを印刷する装置である。マウンタA2は、基板に実装すべき電子部品をピックアップし、該当箇所のはんだペーストの上に部品を載置するための装置であり、チップマウンタとも呼ばれる。基板に実装する電子部品の数や種類が多い場合には、部品実装ラインに複数台のマウンタA2が設けられることもある。リフロー炉A3は、はんだペーストを加熱溶融した後、冷却を行い、電子部品を基板上にはんだ接合するための加熱装置である。
【0045】
はんだ印刷後検査装置B1は、はんだ印刷装置A1から搬出された基板に対し、はんだペーストの印刷状態を検査するための装置である。はんだ印刷後検査装置B1では、基板上に印刷されたはんだペーストを2次元ないし3次元的に計測し、その計測結果から各種の検査項目について正常値(許容範囲)か否かの判定を行う。
【0046】
マウント後検査装置B2は、マウンタA2から搬出された基板に対し、電子部品の配置状態を検査するための装置である。マウント後検査装置B2では、はんだペーストの上に載置された部品(部品本体、電極など部品の一部でもよい)を2次元ないし3次元的に計測し、その計測結果から各種の検査項目について正常値(許容範囲)か否かの判定を行う。
【0047】
リフロー後検査装置B3は、リフロー炉A3から搬出された基板に対し、はんだ付けの品質を検査するための装置である。リフロー後検査装置B3では、リフロー後のはんだ部分を2次元ないし3次元的に計測し、その計測結果から各種の検査項目について正常値(許容範囲)か否かの判定を行う。検査項目としては、例えば、部品の位置ずれ、角度(回転)ずれ、欠品(部品が配置されていないこと)、部品違い(異なる部品が配置されていること)、極性違い(部品側と基板側の電極の極性が異なること)、表裏反転(部品が裏向きに配置されていること)、部品高さなどに加えて、はんだフィレット形状の良否なども含まれる。具体的な検査方法としては例えば、いわゆるカラーハイライト方式による外観検査を用いることができる。
【0048】
また、上記の各検査装置はそれぞれ検査対象品を目視確認するための表示装置を備えていてもよく、当該目視用の表示装置は各検査装置とは別体の端末として(即ち、目視検査装置として)部品実装ラインに設けられていてもよい。
【0049】
(検査管理装置)
検査管理装置1は、適用例の説明において説明した通り汎用のコンピュータなどによって実現され、制御部10、記憶部12、画像表示部13、入力部14及び通信部15、の各機能部を有している。制御部10は演算処理装置を含んで構成され、検査管理装置1全体の制御を司る。また、制御部10は機能モジュールとして、品番グループ編成部111、検査基準作成部112、シミュレーション検査実施部113、UI制御部114を備えている。
【0050】
なお、検査管理装置1は、1台のコンピュータにより構成してもよいし、複数のコンピュータにより構成してもよい。あるいは、製造装置や検査装置のいずれかの装置が内蔵するコンピュータに、検査管理装置1の機能の全部又は一部を実装することも可能である。あるいは、検査管理装置1の機能の一部をネットワーク上のサーバ(クラウドサーバなど)により実現してもよい。
【0051】
記憶部12は、主記憶装置、補助記憶装置を含んで構成され、様々なデータが記憶される。例えば、制御部10を機能させるためのプログラムに加え、検査装置から取得した検査対象の画像データ、部品品番のデータ、部品品番グループのデータ、部品品番グループを対象としたグループ検査基準、検査装置に提供される検査プログラム、などが格納される。ここで、部品品番のデータには、部品品番の画像特徴量(輝度、色彩情報)、部品のはんだ付け部の画像特徴量(輝度、カラーハイライトのRGB情報)などの情報が含まれる。また、グループ検査基準には、グループに属する全ての部品品番を対象とした、検出すべき不良の種類、それを検出するための検査項目(特徴パラメータ)及びその良否判定閾値、などの情報が含まれる。
【0052】
なお、これらの情報は、格納されている情報を相互に参照・連動可能な、いわゆる関係データベースとして機能するように構成されていてもよい。即ち、検査プログラムは検査基準の情報を保持せず、グループ検査基準を参照することに、各検査装置が実施する検査の内容を定義するようになっていてもよい。
【0053】
また、画像表示部13は、例えば液晶ディスプレイなどの表示装置を含んで構成され、後述のUI制御部114が生成する画像を出力表示する。また、入力部14はキーボード、マウスなどの入力手段を含んで構成され、ユーザーからの操作入力を受け付ける。また、通信部15は、例えば、通信IC(Integrated Circuits)などの集積回路を用いて実現され、製造装置、検査装置との間でネットワークを介して、有線又は無線の方式によりデータの送受信を実行する。
【0054】
(機能モジュール)
続けて、制御部10が備える各機能モジュールについて説明する。品番グループ編成部111は、記憶部12から取得する部品品番の設計情報(サイズなど)、画像特徴量(輝度、色彩情報)、はんだ付け部の画像特徴量などのデータを用いて類似範囲にある部品品番を部品品番グループとしてまとめるグループ化を行う。なおグループ化の際には、後述の検査基準作成部112により仮の検査基準の設定を行い、後述のシミュレーション検査実施部113による仮検査基準でのシミュレーション検査の結果が所定の検査精度を満たさない場合には、これを満たすようになるまでグループ化を繰り返すようにしてもよい。
【0055】
検査基準作成部112は、品番グループ編成部111が作成した部品品番グループのそれぞれに対して、各部品品番グループ内の部品品番の全てに対して一括で適用される検査基準(以下、グループ検査基準ともいう)を設定する。具体的には、検出すべき不良の種類、これを検出する検査項目(特徴パラメータ)、その良否判定閾値、などを設定する。
【0056】
また、シミュレーション検査実施部113は、記憶部12に蓄積されている過去の検査画像(実際の良否結果のラベル付けがされた画像)を用いて、仮で設定した検査基準(それを参照する検査プログラム)による検査を実施する。これにより、仮で設定した検査基準によって検査を行った場合に、どれほど見逃し、見過ぎが発生するのか、その検査精度を把握することができる。
【0057】
このようなシミュレーション検査実施部113が、予め良品又は不良品のラベル付けがされた画像に対して複数の検査項目及びその良否判定閾値の組み合わせによるシミュレー
ション検査を網羅的に実行するともに、該シミュレーション検査の結果を検査基準作成部112が活用することで、部品品番グループごとに見過ぎ及び見逃し数が最小になるような検査基準を設定することができる。
【0058】
UI制御部114は、画像表示部13に表示する画像を生成し、画像表示部13に出力する。ユーザーは画像表示部13に表示された情報を確認し、適宜入力操作を行うことで、部品品番グループの確定や修正の指示を行うことができる。UI制御部114によって生成される画像としては、少なくとも部品品番グループごとに部品品番グループに含まれる部品品番の一覧を示すユーザー確認画像や、部品品番グループの再編前後のグループ分けの内容を対比して示すユーザー確認画像などがある。なお、以下では、部品品番グループの再編前後のグループ分けの内容を対比して示すユーザー確認画像を特に「対比ユーザー確認画像」ともいう。
【0059】
図3に、UI制御部114が生成し、画像表示部13に表示するユーザー確認画像の一例を示す。
図3には、部品種「コンデンサ」について、品番グループ編成部111が編成した後の部品品番グループ(AAAA、及びBBBB)と、それぞれのグループに属する部品品番(aaa、aab、及びbba、bbb、bbc)の一覧が表示されている。また、各部品品番の前にはチェックボックスが表示されており、ユーザーは品番グループ編成部111が編成した内容を修正したい(適用を一部の部品品番については取りやめたい)場合に、このチェックボックスをオフにしたうえで「適用」ボタンを押下することで、ユーザーの意図を反映させたグループ分けを適用することができる。
【0060】
また、
図4には、同様に対比ユーザー確認画像の一例を示す。
図4に示すように、対比ユーザー確認画像では、既に部品品番グループが設定されており改めて品番グループ編成部111による部品品番グループの再編が行われる場合に、再編前と再編後の部品品番グループの内訳を対比表示させたものである。
図4に示す画面例では、部品品番グループごとにそのグループに属する部品品番間の類似度が表示されている。また、再編前後の一覧について、それぞれシミュレーション検査実施部113によって実施された検査結果に基づく検査精度に関する情報、ここでは見過ぎ数及び見過ぎ率(ppm:parts per million)、が表示される。このような画面を見ることで、ユーザーは再編後の部品品番グループを適用すべきか(即ち、実際に部品品番グループの再編を実行するか否か)を容易に判断することができる。
【0061】
(処理の流れ)
次に、
図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る検査管理装置1で行われる部品品番のグループ分けの処理の流れを説明する。
図5に示すようにまず、ユーザーが画像表示部13の表示を参照しながら入力部14を介した入力操作で、部品品番グループの作成(更新)を行いたい部品種を選択し(S101)、続けて部品品番グループを選択する(S102)。ここで、初めて部品品番グループの作成を行う場合には、グループ分けの対象となる部品品番が全て一つにまとめられた仮の部品品番グループが表示されるようにしておき、これを選択できるようにすればよい。
【0062】
次に、品番グループ編成部111が、選択された部品品番グループに属する部品品番の良品画像データを記憶部12から取得する(S103)。そして、品番グループ編成部111は、当該良品画像から抽出できる特徴量を用いてクラスタリングを行う(S104)。ここで、クラスタリングは例えばK平均法などの既知の手法で行うことができる。
【0063】
次に品番グループ編成部111は、グループ分け対象の部品品番が実装される基板のランド領域の計測値の情報(はんだ付け部の情報)を、記憶部12から取得し(S105)、当該計測値を用いたクラスタリングを行う(S106)。そして、品番グループ編成部
111は、ステップS104及びステップS106の結果などを用いて、暫定的なグループ分けを実施する(107)。
【0064】
次に、検査基準作成部112は、ステップS107で暫定的に設定された部品品番グループに対してグループ検査基準を作成する(S108)。具体的な作成方法の例については説明済であるため、ここでの改めての説明は省略する。続けて、UI制御部114はユーザー確認画像(又は対比ユーザー確認画像)を含む画面を、画像表示部13に出力する(S109)。
【0065】
つぎに、品番グループ編成部111は、ユーザーからの修正入力指示があったか否かを判定する(S110)。ステップS110で、ユーザーからの修正入力指示があった場合には、当該入力指示を受け付けたうえで、ステップS107に戻り、以降の処理を繰り返す。この際、ステップS107では、ユーザーからの修正指示内容の反映を最優先にしてグループ分けを行う。
【0066】
一方、ステップS110で修正入力指示が無かった場合には、ステップS111に進み、品番グループ編成部111は、暫定のグループ分けを適用する旨のユーザー指示があったか否かを判定する(S111)。ここで、グループ分けの適用の指示があった場合にはS112に進み、当該内容で部品品番グループの内訳を確定して一連のルーチンを終了する(S112)。一方、ステップS111でユーザーからの入力指示が無かった場合には、品番グループ編成部111は、暫定のグループ分けを適用せずに、即ち、一連の処理をキャンセルして、ルーチンを終了する(S113)。
【0067】
以上のような本実施形態に係る検査管理装置1によれば、適切にグループ分けが行われた部品品番グループ作成を自動で行うことができる。また、ユーザーはユーザー確認画面(又は対比ユーザー確認画面)により所望のグループ分けが行われたか否かを確認することができ、提示されたグループ分けを修正したい場合には、入力部14を介した操作入力を行うことで、適宜の修正を行うことができる。また、この際に検査基準作成部112が自動で適切なグループ検査基準を作成するため、部品品番グループの作成、及びグループ検査基準の作成に係る工数を大幅に削減することができる。
【0068】
(変形例)
なお、上記実施形態においてUI制御部114が生成する画像として示した例以外にも、様々なユーザー確認画像を作成することができる。
図6、
図7、
図8はそれぞれ対比ユーザー確認画像の変形例を示す図である。UI制御部114は、
図6に示すように部品品番グループの編成の前後における部品品番の類似関係が視覚的に把握できる図を合わせて示す画像を作成してもよい。また、この場合の図の態様については何ら制限はなく、
図6に示すようなヒストグラムだけでなく、散布図などを示してもよい。
【0069】
また、グループ品番編成部111は、複数パターンのグループ分けの候補を編成するようになっていてもよい。そして、検査基準作成部112が、これらのそれぞれについてグループ検査基準を作成し、シミュレーション検査実施部113がそれぞれのグループ分けの候補に対してシミュレーション検査を行い、UI制御部114が
図7や
図8に示すような対比ユーザー画像を含む画面を作成して画像表示部13に表示するようになっていてもよい。
【0070】
図7や
図8に示す確認画像では、編成後の部品品番グループについて、複数のグループ分けの候補が、一覧で示されている(TO1乃至TO3)。またそれぞれの候補について、シミュレーション検査の結果に係る情報(
図7では見過ぎ数、
図8では見過ぎ率)が、部品品番グループごとに示されている。このような構成であれば、ユーザーは複数のグル
ープ分けの候補を対比して容易に所望のグループ分けを選択することができるので、よりユーザーのニーズに合致した部品品番グループの編成を、容易に行うことができる。
【0071】
なお、上記の各画面例において表示される見過ぎ数、見過ぎ率の情報は、シミュレーション検査の結果データそのものであってもよいが、ユーザーにおいて設定した適宜の重みづけを行った数値を表示するようにしてもよい。また、各例では見過ぎ数(率)のみを表示するようになっているが、「見逃し数」については、例えば現状のグループ分け即ち「FROM」の状態から増加しないことを条件として部品品番グループの編成及びグループ検査基準の作成を行うようにすればよい。
【0072】
<その他>
上記の実施形態の説明は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明は、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、本発明は、
図9に示すような検査管理システム2としても適用することができる。検査管理システムは、実施形態1の検査管理装置1の記憶部12の機能を、別体のデータサーバ20として構成したものである。データサーバ20はネットワークを介して製造装置、検査装置、検査管理装置と通信可能に構成されており、検査データ、部品品番、部品品番グループ、検査プログラムなどの各種の情報が記憶されている。検査管理装置1は、部品品番グループの作成やグループ検査基準の作成に必要な情報をデータサーバ20から取得するとともに、作成した部品品番グループやグループ検査基準の情報をデータサーバ20に送信する。また、各検査装置は、データサーバ20に検査結果データを送信し、データサーバ20から検査プログラムを読み出すようになっている。また、本発明は、品番グループ編成部111、検査基準作成部112のみを備える情報処理装置サーバとしても実現可能である。
【0073】
また、上記の実施形態では、検査装置が複数配置される部品実装ラインを例として説明を行ったが、単一の検査装置のみを備える部品実装ラインにも本発明を適用することも可能である。
【0074】
<付記>
(請求項1)
演算処理部(10)を備え、部品が搭載された物品を撮像した画像に基づいて、前記物品の検査を実施する検査装置の前記検査の内容を管理する検査管理装置(1)であって、
前記演算処理部(10)は、
少なくとも前記部品の部品品番ごとの設計情報を用いて、類似関係にある複数の前記部品品番を部品品番グループとして関連付けることで、複数の前記部品品番を一以上の前記部品品番グループにグループ分けし、
前記部品品番グループごとに、前記検査における検査項目及びその良否判定閾値を含む情報であって前記部品品番グループに属する全ての前記部品品番に一括して適用される、グループ検査基準を作成する、
ように構成されている
検査管理装置(1)。
【0075】
(請求項2)
前記演算処理部(10)は、
良品又は不良品のラベル付けがされた前記画像を用いてシミュレーション検査を実施し、前記シミュレーション検査の結果に基づいて、前記部品品番グループごとに、見過ぎ及び見逃し数が最小になるような前記グループ検査基準を作成する、
ように構成されている
請求項1に記載の検査管理装置(1)。
【0076】
(請求項3)
前記物品は部品をはんだ付けにより実装した基板であり、
前記演算処理部(10)は、
前記画像における前記部品の特徴量及びはんだ付け部の特徴量の情報をさらに用いて、前記部品品番の前記グループ分けを行う、
ように構成されている、
請求項1又は2に記載の検査管理装置(1)。
【0077】
(請求項4)
前記演算処理部(10)は、
既に前記部品品番グループに属している複数の前記部品品番を対象として改めて前記グループ分けを行うことで、前記部品品番グループの再編を行い、
前記再編された前記部品品番グループごとに新たに前記グループ検査基準を作成する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の検査管理装置(1)。
【0078】
(請求項5)
前記演算処理部(10)は、
既に複数の前記部品品番グループにグループ分けされた複数の前記部品品番を対象として、前記再編を行う、
ように構成されている、
請求項4に記載の検査管理装置(1)。
【0079】
(請求項6)
前記演算処理部(10)は、
前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも示すユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の検査管理装置(1)。
【0080】
(請求項7)
前記演算処理部(10)は、
前記再編前の一以上の前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも含む再編前一覧情報と、前記再編後の一以上の前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも含む再編後一覧情報とを対比させて示すユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項4に記載の検査管理装置(1)。
【0081】
(請求項8)
前記演算処理部(10)は、
前記部品品番グループに属する前記部品品番同士の類似度を算出し、
前記部品品番グループごとの前記類似度も示す前記再編前一覧情報及び前記再編後一覧情報を対比させて示すユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項7に記載の検査管理装置(1)。
【0082】
(請求項9)
前記演算処理部(10)は、
複数の前記画像及び前記グループ検査基準を用いて、前記再編前の一以上の前記部品品番グループ、及び前記再編後の一以上の前記部品品番グループ、のそれぞれに対してシミュレーション検査を行い、
前記再編前の一以上の前記部品品番グループ、及び前記再編後の一以上の前記部品品番グループ、のそれぞれについて、前記シミュレーション検査の結果に係る情報も示す前記ユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項7又は8に記載の検査管理装置(1)。
【0083】
(請求項10)
前記演算処理部(10)は、
複数パターンの前記再編を行い、
前記複数パターンそれぞれについての前記再編後一覧情報を含む、前記ユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項7から9のいずれか一項に記載の検査管理装置(1)。
【0084】
(請求項11)
前記演算処理部(10)は、
前記再編後の前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに属する前記部品品番同士の類似関係を示す図を含む前記ユーザー確認画像を生成する、
ように構成されている、
請求項7から10のいずれか一項に記載の検査管理装置(1)。
【0085】
(請求項12)
操作入力を受け付ける入力部(14)をさらに備え、
前記演算処理部(10)は、
前記入力部からの入力に従って、前記グループ分けされた前記部品品番グループの前記部品品番の内訳の変更を受け付け、
前記変更後の前記部品品番グループの前記グループ検査基準を作成する、
ように構成されている、
請求項1から11のいずれか一項に記載の検査管理装置(1)。
【0086】
(請求項13)
表示部(13)をさらに備え、前記表示部は、
前記ユーザー確認画像を表示する、
ように構成されている、
請求項6から11のいずれか一項に記載の検査管理装置(1)。
【0087】
(請求項14)
演算処理手段(10)と、記憶手段(12、20)と、表示手段(13)とを備え、部品が搭載された物品を撮像した画像に基づいて、前記物品の検査を実施する検査装置の前記検査の内容を管理する検査管理システム(2)であって、
前記演算処理手段(2)は、
少なくとも前記部品の部品品番ごとの設計情報を用いて、類似関係にある複数の前記部品品番を部品品番グループとして関連付けることで、複数の前記部品品番を一以上の前記部品品番グループにグループ分けし、
前記部品品番グループごとに、前記検査における検査項目及びその良否判定閾値を含む情報であって前記部品品番グループに属する全ての前記部品品番に一括して適用される、グループ検査基準を作成し、
前記記憶手段(12、20)は、
少なくとも、前記画像のデータと、前記部品の部品品番ごとの設計情報と、一以上の前記部品品番グループ情報と、前記部品品番グループ情報に対応する前記グループ検査基準と、を記憶し、
前記表示手段は、
少なくとも、前記部品品番グループごとに前記部品品番グループに含まれる前記部品品番の一覧を少なくとも示すユーザー確認画像を表示する、
ように構成されている
検査管理システム(2)。
【0088】
(請求項15)
情報処理端末を請求項1から13のいずれか一項に記載の検査管理装置(1)として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0089】
1・・・検査管理装置
2・・・検査管理システム
A1・・・はんだ印刷装置
A2・・・マウンタ
A3・・・リフロー炉
B1・・・はんだ印刷後検査装置
B2・・・マウント後検査装置
B3・・・リフロー後検査装置
10・・・制御部
12・・・記憶部
13・・・画像表示部
14・・・入力部
15・・・通信部
20・・・データサーバ