(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130002
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240920BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240920BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240920BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/00 130
H02J3/32
H02J3/38 120
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039457
(22)【出願日】2023-03-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 巨己
(72)【発明者】
【氏名】飯坂 達也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 英幸
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB06
5G064CB12
5G064DA03
5G066AA02
5G066AA03
5G066HA15
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】託送実績値と託送計画値との相違を低減する。
【解決手段】管理システムは、発電設備および蓄電設備から電力系統を介して需要設備に電力を供給するための託送計画を管理する管理システムであり、託送計画を修正するか否かを発電設備の電力予測値と蓄電設備の充電状態とに応じて判定する判定部54と、判定部54による判定の結果が肯定である場合に託送計画を修正する修正部55とを具備する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電設備および蓄電設備から電力系統を介して需要設備に電力を供給するための託送計画を管理する管理システムであって、
前記託送計画を修正するか否かを前記発電設備の電力予測値と前記蓄電設備の充電状態とに応じて判定する判定部と、
前記判定部による判定の結果が肯定である場合に前記託送計画を修正する修正部と
を具備する管理システム。
【請求項2】
前記電力予測値は、予測上限値と予測下限値とを含み、
前記判定部は、前記託送計画おける託送計画値と前記予測上限値および前記予測下限値との関係に応じて、前記託送計画を修正するか否かを判定する
請求項1の管理システム。
【請求項3】
前記判定部は、
前記充電状態が放電可能状態に該当するか否か、および、
前記充電状態が充電可能状態に該当するか否か
に応じて、前記託送計画を修正するか否かを判定する
請求項2の管理システム。
【請求項4】
前記託送計画値が前記予測上限値を上回る場合、
前記充電状態が前記放電可能状態に該当せず、かつ、前記充電状態が前記充電可能状態に該当するときに、
前記判定部は、前記託送計画を修正すると判定し、
前記修正部は、前記託送計画値を減少させる
請求項3の管理システム。
【請求項5】
前記託送計画値が前記予測上限値と前記予測下限値との間の数値である場合、
前記充電状態が前記放電可能状態に該当せず、かつ、前記充電状態が前記充電可能状態に該当するときに、
前記判定部は、前記託送計画を修正すると判定し、
前記修正部は、前記託送計画値を減少させる
請求項3の管理システム。
【請求項6】
前記修正部は、前記託送計画値を前記予測下限値に変更する
請求項4または請求項5の管理システム。
【請求項7】
前記託送計画値が前記予測上限値と前記予測下限値との間の数値である場合、
前記充電状態が前記放電可能状態に該当し、かつ、前記充電状態が前記充電可能状態に該当しないときに、
前記判定部は、前記託送計画を修正すると判定し、
前記修正部は、前記託送計画値を増加させる
請求項3の管理システム。
【請求項8】
前記託送計画値が前記予測下限値を下回る場合、
前記充電状態が前記放電可能状態に該当し、かつ、前記充電状態が前記充電可能状態に該当しないときに、
前記判定部は、前記託送計画を修正すると判定し、
前記修正部は、前記託送計画値を増加させる
請求項3の管理システム。
【請求項9】
前記修正部は、前記託送計画値を前記予測上限値に変更する
請求項7または請求項8の管理システム。
【請求項10】
前記託送計画は、託送対象日の到来前に設定され、
前記判定部による判定と前記修正部による修正とは、前記託送対象日において反復される
請求項1の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、託送計画を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔の給電拠点から電力系統を介して需要設備に電力を供給する託送技術が従来から提案されている。例えば特許文献1には、発電設備および蓄電設備が設置された給電拠点から需要設備に電力を供給するための託送計画を作成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発電設備が実際に発電する電力は、例えば気象等の状況に応じて刻々と変動し得る。託送計画値に対する実際の電力の超過分を蓄電設備により充電し、または、託送計画値に対する電力の不足分を蓄電設備の放電により補填することで、託送電力の実績値(以下「託送実績値」という)と託送電力の計画値(以下「託送計画値」という)との相違を低減できる。
【0005】
しかし、発電設備の発電状態または蓄電設備の充電状態によっては、託送実績値と託送計画値との相違(インバランス)を充分に低減できない場合がある。例えば、蓄電設備が満充電の状態では、発電設備が発電した電力の超過分を蓄電設備に充電できない。また、蓄電設備が完全に放電した状態では、発電設備が発電した電力の不足分を蓄電設備から補填できない。以上の事情を考慮して、本開示のひとつの態様は、託送実績値と託送計画値との相違を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本開示のひとつの態様に係る管理システムは、発電設備および蓄電設備から電力系統を介して需要設備に電力を供給するための託送計画を管理する管理システムであって、前記託送計画を修正するか否かを前記発電設備の電力予測値と前記蓄電設備の充電状態とに応じて判定する判定部と、前記判定部による判定の結果が肯定である場合に前記託送計画を修正する修正部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】電力システムの構成を例示するブロック図である。
【
図2】管理システムの構成を例示するブロック図である。
【
図4】管理システムの機能的な構成を例示するブロック図である。
【
図6】判定部および修正部の動作に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する形態は、本開示を実施する場合に想定される例示的な一形態である。したがって、本開示の範囲は、以下に例示する形態には限定されない。
【0009】
A:実施形態
図1は、本開示のひとつの形態における電力システム100のブロック図である。本形態の電力システム100は、電力系統11と需要設備12と給電拠点13と管理システム14とを具備する。電力系統11は、例えば事業設備または一般家庭等の需要家に電力を供給するためのシステムである。電力系統11は一般送配電事業者が管理する。需要設備12は電力系統11の需要地点Qaに接続される。需要設備12は、電力系統11から供給される電力を利用して稼動する事業設備である。
【0010】
給電拠点13は、需要設備12に託送される電力を電力系統11に供給する発電施設である。本形態の託送は、需要設備12を運営する事業者と給電拠点13を運営する事業者との間に所定の関係が成立する自己託送である。例えば、需要設備12と給電拠点13とが共通の事業者により運営される場合、または、需要設備12の事業者と給電拠点13の事業者との間に資本関係等の一定の関係がある場合が想定される。ただし、需要設備12の事業者と給電拠点13の事業者とは無関係でもよい。
【0011】
図1に例示される通り、給電拠点13は、発電システム20と蓄電システム30とを含む。発電システム20および蓄電システム30は、電力系統11における託送地点Qbに接続される。
【0012】
発電システム20は、電力を生成するシステムであり、発電設備21と制御装置22とを具備する。発電設備21は、例えば太陽光、風力、水力、地熱または太陽熱等の再生可能エネルギーを利用して発電する再生可能エネルギー発電装置である。したがって、発電システム20が発電する電力は、例えば気象等の各種の要因に応じて刻々と変動し得る。なお、発電設備21は、種類が相違する複数の発電機により構成されてもよい。制御装置22は、発電設備21による発電を制御するPCS(Power Conditioning System)である。発電設備21が生成した電力は、制御装置22を介して電力系統11の託送地点Qbに供給される。
【0013】
蓄電システム30は、充電および放電が可能なシステムであり、蓄電設備31と制御装置32とを具備する。蓄電設備31は、電力系統11に対する電力の供給(放電)と、発電設備21が生成した電力の蓄電(充電)とを選択的に実行可能である。なお、蓄電設備31は、相互に別体で構成された複数の蓄電池により構成されてもよい。制御装置32は、蓄電設備31による放電および充電を制御するPCSである。蓄電設備31が放電した電力は、制御装置32を介して電力系統11の託送地点Qbに供給される。なお、発電設備21と蓄電設備31とは単一の制御装置により制御されてもよい。
【0014】
管理システム14は、給電拠点13(具体的には発電設備21および蓄電設備31)から電力系統11を介して需要設備12に電力を託送するための計画(以下「託送計画P」という)を管理するコンピュータシステムである。管理システム14は、例えば専用線等の通信網(図示略)を介して発電システム20および蓄電システム30の各々と通信可能である。
【0015】
図2は、管理システム14の構成を例示するブロック図である。
図2に例示される通り、管理システム14は、制御装置41と記憶装置42と通信装置43とを具備する。なお、管理システム14は、単体の装置により実現されるほか、相互に別体で構成された複数の装置でも実現される。また、管理システム14の機能の一部または全部は、発電システム20または蓄電システム30に搭載されてもよい。
【0016】
制御装置41は、管理システム14の各要素を制御する単数または複数のプロセッサで構成される。具体的には、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の1種類以上のプロセッサにより、制御装置41が構成される。
【0017】
制御装置41は、託送計画Pを生成する。
図3は、託送計画Pの説明図である。託送計画Pは、特定の日付(以下「託送対象日」という)において託送されるべき電力(以下「託送電力」という)の時間的な変化を表す。具体的には、託送対象日の複数の時刻tの各々における託送電力の計画値(以下「託送計画値X(t)」という)が、託送計画Pにおいて指定される。時刻tは、託送対象日において例えば30分毎に設定された時点である。
図3においては、6:00から18:00の日中の各時刻tにおいては発電システム20(例えば太陽光発電)が発電した電力を託送し、18:00以降の夜間の各時刻tにおいては、蓄電システム30に蓄電された電力を託送することが計画されている。
【0018】
託送計画Pは、第1託送計画P1と第2託送計画P2とを含む。第1託送計画P1は、託送対象日の到来前に事前に生成される託送計画Pである。例えば、第1託送計画P1は、託送対象日の前日の正午までに作成される。他方、第2託送計画P2は、託送対象日(当日)において時刻t毎に反復的に生成される託送計画Pである。
【0019】
具体的には、第1託送計画P1の修正により第2託送計画P2が生成される。すなわち、託送対象日の前日に生成された第1託送計画P1が、託送対象日の当日における発電設備21および蓄電設備31の状態に応じて修正されることで、第2託送計画P2が生成される。第1託送計画P1および第2託送計画P2の何れにおいても、託送計画値X(t)が時刻t毎に指定される。
【0020】
図2の記憶装置42は、制御装置41が実行するプログラムと制御装置41が使用するデータとを記憶する単数または複数のメモリである。記憶装置42は、例えば磁気記録媒体または半導体記録媒体等の公知の記録媒体で構成される。複数種の記録媒体の組合せにより記憶装置42が構成されてもよい。管理システム14に対して着脱される可搬型の記録媒体が、記憶装置42として利用されてもよい。
【0021】
通信装置43は、外部装置との間で有線または無線により通信する。通信装置43は、例えば専用線等の通信網(図示略)を介して外部装置と通信する。例えば、通信装置43は、発電システム20または蓄電システム30と通信する。なお、管理システム14とは別体の通信装置43が、管理システム14に有線または無線により接続されてもよい。
【0022】
発電システム20の制御装置22は、発電設備21が実際に発電した電力の実績値(以下「発電実績値G」という)を送信する。例えば発電システム20から所定の周期で発電実績値Gが送信される。また、蓄電システム30は、蓄電設備31の現在の充電状態を表す充電情報Cを送信する。充電情報Cは、例えば蓄電設備31による放電量および充電量、またはSOC(State Of Charge)である。例えば蓄電システム30から所定の周期で充電情報Cが送信される。通信装置43は、発電システム20から送信された発電実績値Gと蓄電システム30から送信された充電情報Cとを受信する。
【0023】
また、通信装置43は、気象観測システム15から気象情報Wを受信する。気象観測システム15は、例えば気象衛星またはアメダス等の各種の観測設備による観測の結果を利用して気象情報Wを生成する。気象情報Wは、例えば気温、湿度、日射量、気圧、風向、風量等を含む。すなわち、気象情報Wは、発電設備21による発電に影響する種々の情報を含む。
【0024】
通信装置43は、託送計画Pを広域機関システム16に送信する。広域機関システム16は、各事業者の託送計画Pを監視および統括する電力広域的運営推進機関(広域機関)が運営するコンピュータシステムである。具体的には、第1託送計画P1は日付毎に広域機関システム16に送信され、第2託送計画P2は各託送対象日内の時刻t毎に広域機関システム16に送信される。
【0025】
図4は、管理システム14の機能的な構成を例示するブロック図である。制御装置41は、記憶装置42に記憶されたプログラムを実行することで、託送計画Pを管理するための複数の機能(予測部51、取得部52、生成部53、判定部54および修正部55)を実現する。
【0026】
予測部51は、発電設備21が生成する電力の予測値(以下「電力予測値F(t)」という)を生成する。具体的には、予測部51は、通信装置43が発電システム20から受信した発電実績値Gと、通信装置43が気象観測システム15から受信した気象情報Wとに応じて、電力予測値F(t)を生成する。電力予測値F(t)の生成は、各日付の時刻t毎に反復される。例えば、各時刻tの電力予測値F(t)は、最新の発電実績値Gと最新の気象情報Wとに応じて生成される。予測部51による電力予測値F(t)の生成には、公知の技術が任意に採用される。
【0027】
図5は、電力予測値F(t)の説明図である。本形態の電力予測値F(t)は、予測上限値FH(t)と予測平均値FM(t)と予測下限値FL(t)とを含む。予測上限値FH(t)は予測平均値FM(t)を上回り、予測下限値FL(t)は予測平均値FM(t)を下回る(FH(t)>FM(t)>FL(t))。
【0028】
具体的には、予測上限値FH(t)は、発電設備21が生成する電力の確率分布における特定の区間(以下「観測区間」という)の最大値であり、予測下限値FLは観測区間の最小値である。観測区間は、例えば、予測平均値FM(t)に対して±3SD(SD:標準偏差)の区間である。以上の説明から理解される通り、予測上限値FH(t)は、発電設備21が生成する電力について統計的に有意に想定される最大値であり、予測下限値FL(t)は、発電設備21が生成する電力について統計的に有意に想定される最小値である。すなわち、時刻tの託送実績値V(t)は、予測上限値FH(t)と予測下限値FL(t)との間の数値である可能性が充分に高い。なお、以上の説明では、予測平均値FM(t)に対して±3SDの区間を観測区間として例示したが、観測区間を規定する方法は以上の例示に限定されない。例えば、予測平均値FM(t)に対して±2SDの区間等、任意の区間が観測区間として規定されてもよい。
【0029】
図4の取得部52は、蓄電設備31の充電情報Cを取得する。具体的には、取得部52は、蓄電システム30から送信される充電情報Cを通信装置43により受信する。充電情報Cの取得は周期的に反復される。
【0030】
生成部53は、第1託送計画P1を生成する。前述の通り、第1託送計画P1の生成は日付毎に反復される。具体的には、生成部53は、託送対象日の前日に、当該前日の電力予測値F(t)および充電情報Cに応じて、託送対象日の第1託送計画P1を生成する。例えば、託送対象日の前日の予測平均値FM(t)と充電情報Cが表す放電量との加算値が、第1託送計画P1における各託送計画値X(t)として設定される。
【0031】
判定部54は、第1託送計画P1を修正するか否かを判定する。前述の通り、第2託送計画P2は第1託送計画P1の修正により生成されるから、判定部54による判定は、第2託送計画P2を生成するか否かの判定とも表現される。具体的には、判定部54は、発電設備21の電力予測値F(t)と蓄電設備31の充電状態(充電情報C)とに応じて第1託送計画P1の修正の要否を判定する。
【0032】
修正部55は、判定部54による判定の結果が肯定である場合(すなわち、第1託送計画P1を修正すると判定部54が判定した場合)に、第1託送計画P1を修正する。第1託送計画P1の修正により第2託送計画P2が生成される。他方、判定部54による判定の結果が否定である場合(第1託送計画P1を修正しないと判定部54が判定した場合)、修正部55は第1託送計画P1を修正しない。すなわち、第2託送計画P2は生成されない。
【0033】
図6は、本形態における判定部54および修正部55の動作に関する説明図である。
図6から理解される通り、判定部54は、
・項目A:託送計画値X(t)と電力予測値F(t)との大小関係
・項目B:蓄電設備31の充電状態が放電可能状態にあるか否か
・項目C:蓄電設備31の充電状態が充電可能状態にあるか否か
という3個の項目の組合せが相違する複数のケース(1~9)の何れに現在の状態が該当するかを判定する。
【0034】
すなわち、判定部54は、第1に、第1託送計画P1における託送計画値X(t)を予測上限値FH(t)および予測下限値FL(t)と比較した結果(項目A)に応じて、第1託送計画P1を修正するか否かを判定する。第2に、判定部54は、蓄電設備31の充電状態が放電可能状態に該当するか否か(項目B)、および、蓄電設備31の充電状態が充電可能状態に該当するか否か(項目C)に応じて、第1託送計画P1を修正するか否かを判定する。
【0035】
蓄電設備31の放電可能状態は、発電設備21の電力の不足分の一部または全部を、蓄電設備31の放電により補填できる状態である。すなわち、放電可能状態は、蓄電設備31の充電量が所定値を上回る状態である。具体的には、蓄電設備31の充電量がゼロでない状態(ある程度は充電された状態)は放電可能状態に該当し、蓄電設備31が完全に放電した状態(充電量がゼロである状態)は放電可能状態には該当しない。
【0036】
他方、充電可能状態は、発電設備21の電力の超過分の一部または全部を、蓄電設備31の充電により吸収できる状態である。すなわち、放電可能状態は、蓄電設備31の充電量が所定値を下回る状態である。具体的には、蓄電設備31が満充電に到達していない状態(充電の余裕がある状態)は充電可能状態に該当し、蓄電設備31が完全に充電された満充電の状態は充電可能状態には該当しない。
【0037】
以上の説明から理解される通り、蓄電設備31の充電量が所定の範囲内にある場合には、蓄電設備31の充電状態は放電可能状態および充電可能状態の双方に該当する。他方、放電可能状態および充電可能状態の何れにも該当しない状態は発生しない。
【0038】
図6のケース1~3は、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)を上回る場合である。
図6のケース4~6は、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)と予測下限値FL(t)との間の数値である場合である。
図6のケース7~9は、託送計画値X(t)が予測下限値FL(t)を下回る場合である。判定部54は、現在の状況がケース1からケース9の何れに該当するかを判定する。なお、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)に一致する場合はケース3およびケース4の何れと判定されてもよい。また、託送計画値X(t)が予測下限値FL(t)に一致する場合はケース6およびケース7の何れと判定されてもよい。
【0039】
図7から
図15は、各ケースにおける第1託送計画P1の託送計画値X(t)と蓄電設備31の充電状態との模式図である。以下の説明では、各ケースについて判定部54および修正部55の動作を例示する。
【0040】
[ケース1]
ケース1は、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)を上回る場合において、充電状態が放電可能状態に該当せず、かつ、充電状態が充電可能状態に該当する場合である。
図7に例示される通り、ケース1では、託送電力の実績値(以下「託送実績値V(t)」という)が予測上限値FH(t)と予測下限値FL(t)との間の何れの数値であっても、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)に対して不足する。さらに、蓄電設備31の充電状態は放電可能状態に該当しないから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の不足分を蓄電設備31の放電により補填することができない。したがって、判定部54は、第1託送計画P1の修正が必要であると判定する。修正部55は、託送計画値X(t)を予測下限値FL(t)に変更する。
【0041】
託送計画値X(t)が予測下限値FL(t)に変更される結果、託送実績値V(t)が予測下限値FL(t)以上であれば、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)を充足する。なお、託送実績値V(t)が予測下限値FL(t)を上回る場合には、託送実績値V(t)が託送計画値X(t)を超過する結果となる。しかし、蓄電設備31の充電状態は充電可能状態に該当するから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の超過分は、蓄電設備31の充電により吸収される。
【0042】
以上の説明から理解される通り、ケース1においては、託送計画値X(t)を減少させる処理により、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の不足を低減できる。本実施形態においては特に、託送計画値X(t)が予測下限値FL(t)に変更されるから、託送実績値V(t)が予測下限値FL(t)である場合でも、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の不足を有効に低減できる。以上の説明から理解される通り、ケース1においては、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の過不足が解消されるように、第1託送計画P1が修正される。
【0043】
[ケース2]
ケース2は、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)を上回る場合において、充電状態が放電可能状態および充電可能状態の双方に該当する場合である。
図8に例示される通り、ケース2では、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)と予測下限値FL(t)との間の何れの数値であっても、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)に対して不足する。しかし、蓄電設備31の充電状態は放電可能状態に該当するから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の不足分を蓄電設備31の放電により補填することができる。したがって、判定部54は、第1託送計画P1の修正が不要であると判定する。修正部55は、第1託送計画P1を修正しない。
【0044】
[ケース3]
ケース3は、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)を上回る場合において、充電状態が放電可能状態に該当し、かつ、充電状態が充電可能状態に該当しない場合である。
図9に例示される通り、ケース3では、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)と予測下限値FL(t)との間の何れの数値であっても、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)に対して不足する。しかし、蓄電設備31の充電状態は放電可能状態に該当するから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の不足分を蓄電設備31の放電により補填することができる。したがって、判定部54は、第1託送計画P1の修正が不要であると判定する。修正部55は、第1託送計画P1を修正しない。
【0045】
[ケース4]
ケース4は、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)と予測下限値FL(t)との間の数値である場合において、充電状態が放電可能状態に該当せず、かつ、充電状態が充電可能状態に該当する場合である。
図10に例示される通り、ケース4では、託送実績値V(t)が予測下限値FL(t)である場合に、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)に対して不足する。さらに、蓄電設備31の充電状態は放電可能状態に該当しないから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の不足分を蓄電設備31の放電により補填することができない。したがって、判定部54は、第1託送計画P1の修正が必要であると判定する。修正部55は、託送計画値X(t)を予測下限値FL(t)に変更する。
【0046】
託送計画値X(t)が予測下限値FL(t)に変更される結果、託送実績値V(t)が予測下限値FL(t)以上であれば、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)を充足する。なお、託送実績値V(t)が予測下限値FL(t)を上回る場合には、託送実績値V(t)が託送計画値X(t)を超過する結果となる。しかし、蓄電設備31の充電状態は充電可能状態に該当するから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の超過分は、蓄電設備31の充電により吸収される。
【0047】
以上の説明から理解される通り、ケース4においては、託送計画値X(t)を減少させる処理により、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の不足を低減できる。本実施形態においては特に、託送計画値X(t)が予測下限値FL(t)に変更されるから、託送実績値V(t)が予測下限値FL(t)である場合でも、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の不足を有効に低減できる。以上の説明から理解される通り、ケース4においては、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の過不足が解消されるように、第1託送計画P1が修正される。
【0048】
[ケース5]
ケース5は、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)と予測下限値FL(t)との間の数値である場合において、充電状態が放電可能状態および充電可能状態の双方に該当する場合である。
図11に例示される通り、ケース5では、託送実績値V(t)が予測下限値FL(t)である場合に、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)に対して不足する。しかし、蓄電設備31の充電状態は放電可能状態に該当するから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の不足分を蓄電設備31の放電により補填することができる。
【0049】
他方、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)である場合には、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)を超過する。しかし、蓄電設備31の充電状態は充電可能状態に該当するから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の超過分は、蓄電設備31の充電により吸収される。したがって、判定部54は、第1託送計画P1の修正が不要であると判定する。修正部55は、第1託送計画P1を修正しない。
【0050】
[ケース6]
ケース6は、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)と予測下限値FL(t)との間の数値である場合において、充電状態が放電可能状態に該当し、かつ、充電状態が充電可能状態に該当しない場合である。
図12に例示される通り、ケース6では、託送実績値V(t)が予測下限値FL(t)である場合に、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)に対して不足する。しかし、蓄電設備31の充電状態は放電可能状態に該当するから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の不足分を蓄電設備31の放電により補填することができる。
【0051】
他方、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)である場合には、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)を超過する。さらに、蓄電設備31の充電状態は充電可能状態に該当しないから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の超過分を蓄電設備31の充電により吸収することができない。したがって、判定部54は、第1託送計画P1の修正が必要であると判定する。修正部55は、託送計画値X(t)を予測上限値FH(t)に変更する。託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)に変更される結果、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)であっても、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)を充足する。
【0052】
以上の説明から理解される通り、ケース6においては、託送計画値X(t)を増加させる処理により、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の超過を低減できる。本実施形態においては特に、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)に変更されるから、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)である場合でも、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の超過を有効に低減できる。以上の説明から理解される通り、ケース6においては、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の過不足が解消されるように、第1託送計画P1が修正される。
【0053】
[ケース7]
ケース7は、託送計画値X(t)が予測下限値FL(t)を下回る場合において、充電状態が放電可能状態に該当せず、かつ、充電状態が充電可能状態に該当する場合である。
図13に例示される通り、ケース7では、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)と予測下限値FL(t)との間の何れの数値であっても、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)を超過する。しかし、蓄電設備31の充電状態は充電可能状態に該当するから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の超過分を蓄電設備31の充電により吸収することができる。したがって、判定部54は、第1託送計画P1の修正が不要であると判定する。修正部55は、第1託送計画P1を修正しない。
【0054】
[ケース8]
ケース8は、託送計画値X(t)が予測下限値FL(t)を下回る場合において、充電状態が放電可能状態および充電可能状態の双方に該当する場合である。
図14に例示される通り、ケース8では、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)と予測下限値FL(t)との間の何れの数値であっても、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)を超過する。しかし、蓄電設備31の充電状態は充電可能状態に該当するから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の超過分を蓄電設備31の充電により吸収することができる。したがって、判定部54は、第1託送計画P1の修正が不要であると判定する。修正部55は、第1託送計画P1を修正しない。
【0055】
[ケース9]
ケース9は、託送計画値X(t)が予測下限値FL(t)を下回る場合において、充電状態が放電可能状態に該当し、かつ、充電状態が充電可能状態に該当しない場合である。
図15に例示される通り、ケース9では、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)と予測下限値FL(t)との間の何れの数値であっても、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)を超過する。さらに、蓄電設備31の充電状態は充電可能状態に該当しないから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の超過分を蓄電設備31の充電により吸収することができない。したがって、判定部54は、第1託送計画P1の修正が必要であると判定する。修正部55は、託送計画値X(t)を予測上限値FH(t)に変更する。
【0056】
託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)に変更される結果、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)以下であれば、託送実績値V(t)は託送計画値X(t)を充足する。なお、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)を下回る場合には、託送実績値V(t)が託送計画値X(t)に対して不足する結果となる。しかし、蓄電設備31の充電状態は放電可能状態に該当するから、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の不足分は、蓄電設備31の放電により補填される。
【0057】
以上の説明から理解される通り、ケース9においては、託送計画値X(t)を増加させる処理により、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の超過を低減できる。本実施形態においては特に、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)に変更されるから、託送実績値V(t)が予測上限値FH(t)である場合でも、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の超過を有効に低減できる。以上の説明から理解される通り、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の過不足が解消されるように、第1託送計画P1が修正される。
【0058】
図16は、第1託送計画P1の修正について制御装置41(判定部54および修正部55)が実行する処理(以下「計画修正処理」という)のフローチャートである。計画修正処理は時刻t毎に実行される。すなわち、判定部54による判定と修正部55による修正とを含む計画修正処理は、託送対象日において反復される。
【0059】
計画修正処理が開始されると、制御装置41(判定部54)は、現在の状況がケース1からケース8の何れに該当するかを判定する(Sa1~Sa8)。現在の状況がケース1からケース8の何れにも該当しない場合(Sa8:NO)、制御装置41は、現在の状況がケース9に該当すると判定する(Sa9)。ステップSa1からステップSa9は、第1託送計画P1を修正するか否かを判定する処理である。
【0060】
現在の状況がケース1またはケース4に該当すると判定した場合(Sa1:YES,Sa4:YES)、制御装置41(修正部55)は、第1託送計画P1の託送計画値X(t)を予測下限値FL(t)に変更することで第2託送計画P2を生成する(Sb1)。制御装置41(修正部55)は、第2託送計画P2を通信装置43から広域機関システム16に送信する(Sb2)。
【0061】
現在の状況がケース6またはケース9に該当すると判定した場合(Sa6:YES,Sa9)、制御装置41(修正部55)は、第1託送計画P1の託送計画値X(t)を予測上限値FH(t)に変更することで第2託送計画P2を生成する(Sb3)。制御装置41(修正部55)は、第2託送計画P2を通信装置43から広域機関システム16に送信する(Sb4)。
【0062】
現在の状況が以上に例示したケース以外(2、3、5、7または8)に該当すると判定した場合(Sa2,Sa3,Sa5,Sa7,Sa8:YES)、制御装置41(修正部55)は、第1託送計画P1を修正しない(Sb5)。したがって、第2託送計画P2の送信は実行されない。計画修正処理の具体的な手順は以上の通りである。
【0063】
以上の説明から理解される通り、本形態においては、発電設備21の電力予測値F(t)と蓄電設備31の充電状態(充電情報C)とに応じて第1託送計画P1が修正されるから、託送実績値V(t)と託送計画値X(t)との相違(インバランス)を低減できる。本形態においては特に、託送計画値X(t)と予測上限値FH(t)または予測下限値FL(t)との関係と、蓄電設備31の充電状態が放電可能状態または充電可能状態に該当するか否かが、託送計画値X(t)の修正の要否の判定に加味されるから、託送実績値V(t)と託送計画値X(t)との相違を有効に低減できる。
【0064】
また、本形態においては、託送対象日の到来前に設定される第1託送計画P1が当該託送対象日に反復的に修正される。したがって、第1託送計画P1が1回だけ修正される形態と比較すると、託送対象日における発電設備21および蓄電設備31の状況の変動に応じて、託送計画値X(t)と託送実績値V(t)との相違を有効に低減できる。
【0065】
B:変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0066】
(1)前述の形態においては、ケース1またはケース4において託送計画値X(t)が予測下限値FL(t)に変更される形態を例示したが、託送計画値X(t)の変更後の数値は予測下限値FL(t)に限定されない。
【0067】
例えば、ケース1またはケース4において、修正部55は、第1託送計画P1の託送計画値X(t)から所定値を減算する修正を実行してもよいし、託送計画値X(t)に1未満の所定値を乗算する修正を実行してもよい。また、託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)を上回るケース1では、修正部55は、託送計画値X(t)を予測上限値FH(t)または予測平均値FM(t)に変更してもよい。
【0068】
以上の説明から理解される通り、ケース1またはケース4においては、修正部55が託送計画値X(t)を減少させれば足り、託送計画値X(t)に対する修正の具体的な内容、および、修正後の託送計画値X(t)の数値は任意である。なお、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の過不足を正確に解消する観点からは、前述の例示の通り、託送計画値X(t)を予測下限値FL(t)に変更する形態が好適である。
【0069】
(2)前述の形態においては、ケース6またはケース9において託送計画値X(t)が予測上限値FH(t)に変更される形態を例示したが、託送計画値X(t)の変更後の数値は予測上限値FH(t)に限定されない。
【0070】
例えば、ケース6またはケース9において、修正部55は、託送計画値X(t)に所定値を加算する修正を実行してもよいし、託送計画値X(t)に1以上の所定値を乗算する修正を実行してもよい。また、託送計画値X(t)が予測下限値FL(t)を下回るケース9では、修正部55は、託送計画値X(t)を予測下限値FL(t)または予測平均値FM(t)に変更してもよい。
【0071】
以上の説明から理解される通り、ケース6またはケース9においては、修正部55が託送計画値X(t)を増加させれば足り、託送計画値X(t)に対する修正の具体的な内容、および、修正後の託送計画値X(t)の数値は任意である。なお、託送計画値X(t)に対する託送実績値V(t)の過不足を正確に解消する観点からは、前述の例示の通り、託送計画値X(t)を予測上限値FH(t)に変更する形態が好適である。
【0072】
(3)前述の形態においては、託送対象日毎に第1託送計画P1が生成される形態を例示したが、第1託送計画P1の生成の条件は以上の例示に限定されない。例えば、第1託送計画P1は、記憶装置42に事前に記憶されてもよい。
【0073】
例えば、相異なる期間に対応する複数の第1託送計画P1が事前に作成される。具体的には、発電設備21および蓄電設備31の状況が相違し得る期間毎に第1託送計画P1が作成される。例えば、季節毎または月毎に第1託送計画P1が作成される。平日および休日の各々について第1託送計画P1が個別に生成されてもよい。
【0074】
以上の通り、相異なる期間に対応する複数の第1託送計画P1が記憶装置42に記憶される。修正部55は、記憶装置42に記憶された複数の第1託送計画P1のうち託送対象日に対応する第1託送計画P1を修正することで第2託送計画P2を生成する。以上の説明から理解される通り、第1託送計画P1は日毎に生成される必要はない。
【0075】
修正部55は、直前の修正後の第2託送計画P2を修正対象の第1託送計画P1として託送計画値X(t)を修正してもよい。すなわち、生成部53が生成した初期的な第1託送計画P1が累積的に修正されてもよい。
【0076】
また、前述の各形態においては、制御装置41(生成部53)が電力予測値F(t)および充電情報Cに応じて第1託送計画P1を生成する形態を例示したが、第1託送計画P1を制御装置41が生成する必要はない。例えば、管理システム14の運営者が手動で作成した計画が第1託送計画P1として利用されてもよい。
【0077】
(4)前述の形態においては、託送計画P(第1託送計画P1および第2託送計画P2)が管理システム14から広域機関システム16に送信される形態を例示したが、託送計画Pを利用する動作は以上の例示に限定されない。例えば、発電設備21および蓄電設備31の制御に託送計画Pが利用されてもよい。
【0078】
具体的には、管理システム14が生成した託送計画P(第1託送計画P1または第2託送計画P2)は、通信装置43から給電拠点13に送信される。託送計画Pが時刻t毎に指定する託送計画値X(t)は、発電設備21および蓄電設備31を制御するための指令値として利用される。
【0079】
具体的には、発電システム20の制御装置22は、託送計画Pの託送計画値X(t)に応じて発電設備21による発電動作を制御し、蓄電システム30の制御装置32は、託送計画Pの託送計画値X(t)に応じて蓄電設備31による充放電動作を制御する。例えば、制御装置22および制御装置32は、託送地点Qbに供給される託送電力が託送計画値X(t)に近付くように、発電設備21および蓄電設備31を制御する。以上の説明から理解される通り、託送計画Pの送信先および用途は、本開示において任意である。
【0080】
(5)前述の形態に係る管理システム14の機能は、前述の通り、制御装置41を構成する単数または複数のプロセッサと、記憶装置42に記憶されたプログラムとの協働により実現される。以上に例示したプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体も包含される。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体も除外されない。また、配信装置が通信網を介してプログラムを配信する構成では、当該配信装置においてプログラムを記憶する記録媒体が、前述の非一過性の記録媒体に相当する。
【0081】
C:付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0082】
本開示のひとつの態様(態様1)に係る管理システムは、発電設備および蓄電設備から電力系統を介して需要設備に電力を供給するための託送計画を管理する管理システムであって、前記託送計画を修正するか否かを前記発電設備の電力予測値と前記蓄電設備の充電状態とに応じて判定する判定部と、前記判定部による判定の結果が肯定である場合に前記託送計画を修正する修正部とを具備する。以上の態様においては、発電設備の電力予測値と蓄電設備の充電状態とに応じて託送計画が修正されるから、託送実績値と託送計画値との相違(インバランス)を低減できる。
【0083】
態様1の具体例(態様2)において、前記電力予測値は、予測上限値と予測下限値とを含み、前記判定部は、前記託送計画おける託送計画値と前記予測上限値および前記予測下限値との関係に応じて、前記託送計画を修正するか否かを判定する。以上の態様においては、託送計画値と予測上限値または予測下限値との関係が託送計画値の修正要否の判定に加味されるから、託送実績値と託送計画値との相違を有効に低減できる。
【0084】
態様2の具体例(態様3)において、前記判定部は、前記充電状態が放電可能状態に該当するか否か、および、前記充電状態が充電可能状態に該当するか否かに応じて、前記託送計画を修正するか否かを判定する。以上の態様においては、蓄電設備の充電状態が放電可能状態または充電可能状態に該当するか否かが託送計画値の修正要否の判定に加味されるから、託送実績値と託送計画値との相違を有効に低減できる。
【0085】
態様3の具体例(態様4)において、前記託送計画値が前記予測上限値を上回る場合、前記充電状態が前記放電可能状態に該当せず、かつ、前記充電状態が前記充電可能状態に該当するときに、前記判定部は、前記託送計画を修正すると判定し、前記修正部は、前記託送計画値を減少させる。託送計画値が予測上限値を上回り、かつ、充電状態が放電可能状態に該当しない状態では、託送実績値が予測上限値と予測下限値との間の何れの数値であっても、託送実績値が託送計画値に対して不足する。したがって、託送計画値を減少させる処理により、託送計画値に対する託送実績値の不足を低減できる。
【0086】
態様3または態様4の具体例(態様5)において、前記託送計画値が前記予測上限値と前記予測下限値との間の数値である場合、前記充電状態が前記放電可能状態に該当せず、かつ、前記充電状態が前記充電可能状態に該当するときに、前記判定部は、前記託送計画を修正すると判定し、前記修正部は、前記託送計画値を減少させる。託送計画値が予測上限値と予測下限値との間の数値である場合において、充電状態が放電可能状態に該当しない状態では、計画実績値が予測下限値であるときに、託送実績値が託送計画値に対して不足する。したがって、託送計画値を減少させる処理により、託送計画値に対する託送実績値の不足を低減できる。
【0087】
態様4または態様5の具体例(態様6)において、前記修正部は、前記託送計画値を前記予測下限値に変更する。以上の態様においては、託送計画値が予測下限値に変更されるから、託送実績値が予測下限値である場合でも、託送計画値に対する託送実績値の不足を有効に低減できる。
【0088】
態様3から態様6の何れかの具体例(態様7)において、前記託送計画値が前記予測上限値と前記予測下限値との間の数値である場合、前記充電状態が前記放電可能状態に該当し、かつ、前記充電状態が前記充電可能状態に該当しないときに、前記判定部は、前記託送計画を修正すると判定し、前記修正部は、前記託送計画値を増加させる。託送計画値が予測上限値と予測下限値との間の数値である場合において、充電可能状態に該当しない状態では、計画実績値が予測上限値であるときに、託送実績値が託送計画値を超過する。したがって、託送計画値を増加させる処理により、託送計画値に対する託送実績値の超過を低減できる。
【0089】
態様3から態様7の何れかの具体例(態様8)において、前記託送計画値が前記予測下限値を下回る場合、前記充電状態が前記放電可能状態に該当し、かつ、前記充電状態が前記充電可能状態に該当しないときに、前記判定部は、前記託送計画を修正すると判定し、前記修正部は、前記託送計画値を増加させる。託送計画値が予測下限値を下回り、かつ、充電状態が充電可能状態に該当しない状態では、託送実績値が予測上限値および予測下限値の何れでも、託送実績値が託送計画値を超過する。したがって、託送計画値を増加させる処理により、託送計画値に対する託送実績値の超過を低減できる。
【0090】
態様7または態様8の具体例(態様9)において、前記修正部は、前記託送計画値を前記予測上限値に変更する。以上の態様においては、託送計画値が予測上限値に変更されるから、託送実績値が予測上限値である場合でも、託送計画値に対する託送実績値の超過を有効に低減できる。
【0091】
態様1から態様9の何れかの具体例(態様10)において、前記託送計画は、託送対象日の到来前に設定され、前記判定部による判定と前記修正部による修正とは、前記託送対象日において反復される。以上の態様においては、託送対象日の到来前に設定される託送計画(例えば第1託送計画)が当該託送対象日に反復的に修正される。したがって、託送計画が1回だけ修正される形態と比較すると、託送対象日における発電設備および蓄電設備の状況の変動に応じて、託送計画値と託送実績値との相違を有効に低減できる。
【符号の説明】
【0092】
100…電力システム、11…電力系統、12…需要設備、13…給電拠点、14…管理システム、15…気象観測システム、16…広域機関システム、20…発電システム、21…発電設備、22…制御装置、30…蓄電システム、31…蓄電設備、32…制御装置、41…制御装置、42…記憶装置、43…通信装置、51…予測部、52…取得部、53…生成部、54…判定部、55…修正部。