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特開2024-130023送信装置、送信方法及び伝送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130023
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】送信装置、送信方法及び伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/14 20090101AFI20240920BHJP
   H04N 21/2385 20110101ALI20240920BHJP
   H04N 21/24 20110101ALI20240920BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20240920BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20240920BHJP
   H04W 36/30 20090101ALI20240920BHJP
【FI】
H04W36/14
H04N21/2385
H04N21/24
H04B7/08 022
H04B7/08 052A
H04W4/06 170
H04W36/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039500
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長富 郁哉
(72)【発明者】
【氏名】浅野 弘明
(72)【発明者】
【氏名】田中 治
(72)【発明者】
【氏名】山口 学
(72)【発明者】
【氏名】山田 英之
【テーマコード(参考)】
5C164
5K067
【Fターム(参考)】
5C164GA03
5C164SB22P
5C164SB41P
5C164TA06S
5C164TA14S
5C164YA24
5K067AA14
5K067BB21
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】コンテンツ伝送の際に遅延を抑制すること。
【解決手段】本開示の一実施例に係る送信装置は、複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を介して受信装置にコンテンツデータを送信可能な送信装置であって、複数の無線手段のそれぞれの通信品質に基づいて、コンテンツデータの伝送に使用される1つ以上の無線手段を選択する選択部と、複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を含み、コンテンツデータの伝送に使用されている第1の無線手段の通信品質と、選択された1つ以上の無線手段である第2の無線手段であって、かつ第1の無線手段とは少なくとも一部が異なる第2の無線手段の通信品質とを評価する評価部と、第1の無線手段の通信品質及び第2の無線手段の通信品質の評価結果に基づいて、コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、第1の無線手段から第2の無線手段に切り替える切り替え部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を介して受信装置にコンテンツデータを送信可能な送信装置であって、
前記複数の無線手段のそれぞれの通信品質に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される1つ以上の無線手段を選択する選択部と、
前記複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を含み、前記コンテンツデータの伝送に使用されている第1の無線手段の通信品質と、前記選択された1つ以上の無線手段である第2の無線手段であって、かつ前記第1の無線手段とは少なくとも一部が異なる第2の無線手段の通信品質とを評価する評価部と、
前記第1の無線手段の通信品質及び前記第2の無線手段の通信品質の評価結果に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替える切り替え部と、
を備える送信装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記第1の無線手段を介して伝送される前記コンテンツデータと同一のコンテンツデータを用いて、前記第2の無線手段の通信品質を算出する、
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記第1の無線手段の通信品質を監視する監視部をさらに備え、
前記選択部は、前記第1の無線手段の通信品質が所定の条件を満たしていない場合に、前記第2の無線手段の選択を行う、
請求項1に記載の送信装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記第1の無線手段の通信品質が所定の条件を満たしていない場合に、前記監視部によって起動されて、前記第2の無線手段の選択を行い、
前記選択部は、前記切り替え部による第1の無線手段から第2の無線手段への切り替えが行われた場合に、オフになる、
請求項3に記載の送信装置。
【請求項5】
前記複数の無線手段の通信品質の履歴に基づいて、前記選択部を起動させる起動部をさらに備え、
前記選択部は、前記起動部によって起動されると、前記第2の無線手段の選択を行う、
請求項1に記載の送信装置。
【請求項6】
前記第2の無線手段は、前記複数の無線手段のうち最良の前記通信品質を有する1つの無線手段である、
請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の送信装置。
【請求項7】
複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を介して受信装置にコンテンツデータを送信可能な送信装置が、
前記複数の無線手段のそれぞれの通信品質に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される1つ以上の無線手段を選択し、
前記複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を含み、前記コンテンツデータの伝送に使用されている第1の無線手段の通信品質と、前記選択された1つ以上の無線手段である第2の無線手段であって、かつ前記第1の無線手段とは少なくとも一部が異なる第2の無線手段の通信品質とを評価し、
前記第1の無線手段の通信品質及び前記第2の無線手段の通信品質の評価結果に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替える、
送信方法。
【請求項8】
複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を介してコンテンツデータを伝送可能な伝送システムであって、
送信装置と、
受信装置と、
を備え、
前記送信装置は、
前記複数の無線手段のそれぞれの通信品質に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される1つ以上の無線手段を選択し、
前記複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を含み、前記コンテンツデータの伝送に使用されている第1の無線手段の通信品質と、前記選択された1つ以上の無線手段である第2の無線手段であって、かつ前記第1の無線手段とは少なくとも一部が異なる第2の無線手段の通信品質とを評価し、
前記第1の無線手段の通信品質及び前記第2の無線手段の通信品質の評価結果に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替え、
前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替えることを示す無線手段切り替え指示を前記受信装置に送信し、
前記受信装置は、
前記送信装置から前記無線手段切り替え指示を受信し、
前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替える、
伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送信装置、送信方法及び伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セルラー技術(接続、ネットワーク)、WiFi(登録商標)技術(接続、ネットワーク)、WiMAX(登録商標)技術(接続、ネットワーク)等といった複数の無線手段を用いて広帯域パスを仮想的に作り出すことで、大容量なメディアコンテンツの伝送を可能する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-173494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、複数の無線手段に1つのメディアコンテンツを分配するので、複数の無線手段それぞれで生じる伝送遅延時間の中で最も大きい遅延にまで、メディアコンテンツを受信する装置での待ち時間が大きくなってしまう。その結果、メディアコンテンツが再生されるまでの遅延が大きくなってしまうおそれがある。
【0005】
また、特許文献1に記載された技術は、狭い帯域しか確保できていない無線手段にもメディアコンテンツを分配してしまうおそれがある。この場合には、メディアコンテンツを受信する装置まで映像パケットが届かない確率が高くなってしまう。このことは、遅延時間の増大や映像のカクツキにつながる。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、コンテンツ伝送の際に遅延を抑制することができる送信装置、送信方法及び伝送システムの提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施例に係る送信装置は、複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を介して受信装置にコンテンツデータを送信可能な送信装置であって、前記複数の無線手段のそれぞれの通信品質に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される1つ以上の無線手段を選択する選択部と、前記複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を含み、前記コンテンツデータの伝送に使用されている第1の無線手段の通信品質と、前記選択された1つ以上の無線手段である第2の無線手段であって、かつ前記第1の無線手段とは少なくとも一部が異なる第2の無線手段の通信品質とを評価する評価部と、前記第1の無線手段の通信品質及び前記第2の無線手段の通信品質の評価結果に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替える切り替え部と、を備える。
【0008】
本開示の一実施例に係る送信方法は、複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を介して受信装置にコンテンツデータを送信可能な送信装置が、前記複数の無線手段のそれぞれの通信品質に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される1つ以上の無線手段を選択し、前記複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を含み、前記コンテンツデータの伝送に使用されている第1の無線手段の通信品質と、前記選択された1つ以上の無線手段である第2の無線手段であって、かつ前記第1の無線手段とは少なくとも一部が異なる第2の無線手段の通信品質とを評価し、前記第1の無線手段の通信品質及び前記第2の無線手段の通信品質の評価結果に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替える。
【0009】
本開示の一実施例に係る伝送システムは、複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を介してコンテンツデータを伝送可能な伝送システムであって、送信装置と、受信装置と、を備え、前記送信装置は、前記複数の無線手段のそれぞれの通信品質に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される1つ以上の無線手段を選択し、前記複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を含み、前記コンテンツデータの伝送に使用されている第1の無線手段の通信品質と、前記選択された1つ以上の無線手段である第2の無線手段であって、かつ前記第1の無線手段とは少なくとも一部が異なる第2の無線手段の通信品質とを評価し、前記第1の無線手段の通信品質及び前記第2の無線手段の通信品質の評価結果に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替え、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替えることを示す無線手段切り替え指示を前記受信装置に送信し、前記受信装置は、前記送信装置から前記無線手段切り替え指示を受信し、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替える。
【0010】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一実施例によれば、コンテンツ伝送の際に遅延を抑制することができる。
【0012】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施の形態に係る映像伝送システムの一例を示すブロック図
図2】本開示の実施の形態に係る映像送信装置の構成例を示すブロック図
図3】本開示の実施の形態に係る映像送信装置の映像送信・無線手段評価部の構成例を示すブロック図
図4】本開示の実施の形態に係る映像送信装置の構成例を示すブロック図
図5】本開示の実施の形態に係る映像受信装置の映像受信・無線手段評価部の構成例を示すブロック図
図6A】本開示の実施の形態に係る、映像送信装置によって実行される、映像伝送システムの動作例を示すフローチャート
図6B】本開示の実施の形態に係る、映像送信装置によって実行される、映像伝送システムの動作例を示すフローチャート
図7A】本開示の実施の形態に係る、映像受信装置によって実行される、映像伝送システムの動作例を示すフローチャート
図7B】本開示の実施の形態に係る、映像受信装置によって実行される、映像伝送システムの動作例を示すフローチャート
図8A】本開示の実施の形態に係る、映像伝送に使用されるモデムを時系列に示す図
図8B】本開示の実施の形態に係る、映像送信装置の無線性能監視部による無線性能監視及び評価と、映像送信装置の通信品質評価部による通信品質評価と、映像送信装置のモデム選択部によるモデム選択/切り替えと、を時系列に示す図
図9A】本開示の実施の形態の変形例に係る、映像送信装置によって実行される、映像伝送システムの動作例を示すフローチャート
図9B】本開示の実施の形態の変形例に係る、映像受信装置によって実行される、映像伝送システムの動作例を示すフローチャート
図10】本開示の実施の形態に係るコンピュータのハードウェア構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0016】
(実施の形態)
<映像伝送システム>
図1は、本開示の実施の形態に係る映像伝送システムの一例を示すブロック図である。図1に示すように、映像伝送システム10は、映像送信装置100と、映像受信装置200と、セルラーネットワーク300A~300Cと、カメラ400と、モニタ500と、を含む。映像は、本開示に係るコンテンツの一例である。
【0017】
映像伝送システム10では、カメラ400によって撮影された撮影データ(映像データ)がリアルタイムに伝送される。したがって、映像伝送システム10は、リアルタイム映像伝送システムと称されてもよい。
【0018】
映像伝送システム10は、本開示に係る伝送システムの一例である。
【0019】
映像送信装置100は、カメラ400によって撮影されて映像送信装置100に出力された映像データを符号化し、符号化した映像データを、セルラーネットワーク300A~300Cのうちの1つ以上を介して映像受信装置200に送信する。
【0020】
映像送信装置100は、本開示に係る送信装置の一例である。
【0021】
映像受信装置200は、映像送信装置100によって送信された符号化された映像データを、セルラーネットワーク300A~300Cのうちの1つ以上を介して受信し、受信した映像データを復号してモニタ500に出力する。
【0022】
映像受信装置200は、本開示に係る受信装置の一例である。
【0023】
セルラーネットワーク300A~300Cの各々は、モバイルネットワークオペレータによって提供される移動通信ネットワークである。セルラーネットワーク300A~300Cは、例えば、LTE、5G、Beyond5G、6G等に準拠するネットワークであってよい。セルラーネットワーク300A~300Cは、(映像)伝送経路と称されてもよい。図1には、3つのセルラーネットワーク300A~300Cが示されているが、セルラーネットワークの数は3つに限定されず、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0024】
セルラーネットワーク300A~300Cは、本開示に係る無線手段又は無線通信手段の例である。
【0025】
カメラ400は、被写体やシーンを撮影して映像データを生成する。カメラ400は、生成した映像データを映像送信装置100に出力する。
【0026】
モニタ500は、映像受信装置200によって出力された復号された映像データに基づいて映像を表示する。
【0027】
映像伝送システム10において、映像送信装置100及び映像受信装置200は、映像データが伝送されているセルラーネットワークの無線性能が劣化した場合、より良い通信品質を有するセルラーネットワークに切り替えて、映像データの送受信を行う。これにより、映像伝送システム10(映像送信装置100及び映像受信装置200)は、映像伝送を行いながら、無線性能及び通信品質を評価して、より良い通信品質を有するセルラーネットワークを用いて映像伝送を行うことで、映像を伝送する際の遅延を抑制することができる。なお、無線性能と通信品質とは、互いに読み替えられてもよい。
【0028】
<映像送信装置>
図2は、本開示の実施の形態に係る映像送信装置100の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、映像送信装置100は、符号化・帯域推定部101と、映像送信・無線手段評価部102と、モデムA~C 103A~103Cと、を備える。
【0029】
符号化・帯域推定部101は、映像受信装置200との間で、RTCP(RTP Control Protocol)等に基づく状態監視用パケットを送受信して、受信した状態監視用パケット(RTCP-RR)に含まれる通信状態情報(パケットロス率、遅延時間等)を取得する。例えば、符号化・帯域推定部101は、取得した通信状態情報に基づいて、現在の伝送経路(現在映像伝送に使用されているセルラーネットワーク)の可用帯域(単に帯域とも呼ぶ)を推定する。符号化・帯域推定部101は、RTCP-RRに含まれる通信状態情報に基づく帯域推定方法以外の方法で、現在の通信経路の可用帯域を推定してもよい。
【0030】
また、符号化・帯域推定部101には、カメラ400によって撮影されて出力された映像データが入力される。符号化・帯域推定部101は、入力された映像データを所定の圧縮方式(例えば、H.264(AVC)、H.265(HEVC)、H.266(VVC)、AV1等)で符号化する。この際に、符号化・帯域推定部101は、例えば、推定した帯域に応じた圧縮率及び/又は解像度で映像データを符号化する。例えば、符号化・帯域推定部101は、帯域に余裕がある場合(例えば、推定した帯域が閾値以上である場合)、第1の圧縮率及び/又は第1の解像度で映像データを符号化し、そうでない場合、第1の圧縮率よりも高い第2の圧縮率及び/又は第1の解像度よりも小さい第2の解像度で映像データを符号化してもよい。符号化・帯域推定部101は、帯域の突然の変化にも適応できるように、リアルタイムに、かつ、短い周期で、カメラ400から入力された映像データの符号化と、現在映像データの伝送に使用されている帯域の推定と、例えば圧縮率及び/又は解像度の変更と、を行う。
【0031】
映像送信・無線手段評価部102は、映像受信装置200(の後述する映像受信・無線手段評価部202)と連携して、セルラーネットワーク300A~300Cのうち現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワーク(現在使用されているモデムに対応するセルラーネットワーク)の無線性能を監視するとともに、セルラーネットワーク300A~300Cの通信品質を評価する。
【0032】
映像送信・無線手段評価部102は、通信品質に基づいて、セルラーネットワーク300A~300Cのうち、映像データが伝送される適切なセルラーネットワークを選択し、選択したセルラーネットワークを介して映像データが伝送されるように、映像データを送信するための対応するモデムを選択する。
【0033】
映像送信・無線手段評価部102は、選択したモデム及びセルラーネットワークを介して、映像データを映像受信装置200に送信する。
【0034】
映像送信・無線手段評価部102は、現在映像データの伝送に使用(選択)されているセルラーネットワーク以外のセルラーネットワーク、すなわち、現在映像データの伝送に使用されていないセルラーネットワークを評価するために、現在映像データの伝送に使用されていないセルラーネットワーク(に対応するモデム)を介して、映像データ又はダミー映像データ(ダミーデータとも呼ぶ)を映像受信装置200に送信する。以下において、映像送信・無線手段評価部102が、現在映像データの伝送に使用されていないセルラーネットワークを評価するために映像受信装置200に送信するデータ(映像データ及びダミーデータ)を通信品質評価用データと呼ぶ。
【0035】
モデムA~C 103A~103Cの各々は、例えば、LTE、5G、Beyond5G、6G等に従って映像データ、通信品質評価用データ等の通信データの送受信を行うためのネットワークインタフェース装置である。モデムA~C 103A~103Cは、それぞれ、セルラーネットワーク300A~300Cに対応する。
【0036】
モデムA~C 103A~103Cは、本開示に係る無線手段又は無線通信手段の例である。
【0037】
映像送信装置100は、上記の構成要素以外に、制御部、記憶部等の他の構成要素を備えてもよい。
【0038】
図3は、本開示の実施の形態に係る映像送信装置100の映像送信・無線手段評価部102の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、映像送信・無線手段評価部102は、映像送信部102aと、無線性能監視部102bと、通信品質評価部102cと、モデム選択部102dと、ダミーデータ生成部102eと、を有する。
【0039】
映像送信部102aには、符号化・帯域推定部101によって符号化された映像データが入力される。映像送信部102aは、入力された映像データをパケット化する。映像送信部102aは、モデム選択部102d及びモデム選択部102dによって選択されたモデムを介して、映像データ(パケット)を映像受信装置200に送信する。
【0040】
映像送信部102aは、映像データ(パケット)の送信に対するフィードバック情報として、映像受信装置200から、モデム選択部102dによって選択されたモデム及びモデム選択部102dを介して、選択されたモデムに対応する、現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワークの無線性能を示す情報又は無線性能を算出(測定)するための情報を受信する。映像送信部102aは、受信したフィードバック情報を無線性能監視部102bに出力する。
【0041】
映像送信部102aは、本開示に係る送信部の一例である。
【0042】
無線性能監視部102bは、映像送信部102aによって出力されたフィードバック情報に基づいて、現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワークの無線性能を監視する。無線性能監視部102bは、無線性能として、例えば、セルラーネットワークのラウンドトリップタイム(RTT:Round Trip Time)、送信レート、受信レート等を監視する。以下では、無線性能としてRTTを例にとって説明する。なお、現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワークは、1つのセルラーネットワークであることもあるし、(同一の映像データが伝送される)複数のセルラーネットワークであることもある。現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワークが複数のセルラーネットワークである場合、無線性能監視部102bは、複数のセルラーネットワークそれぞれの無線性能を監視する。「セルラーネットワークの無線性能」は、「(当該セルラーネットワークに対応する)モデムの無線性能」に置き換えられてもよい。
【0043】
無線性能監視部102bは、無線性能が条件又は基準を満たしているか否かを判断(評価)する。例えば、無線性能監視部102bは、RTTが、閾値以上になった(あるいは、閾値を超えた)か否かを判断する。RTTが、閾値以上になった(あるいは、閾値を超えた)場合(すなわち、条件又は基準を満たしていない場合)、無線性能監視部102bは、通信品質評価部102cを起動させる。
【0044】
通信品質評価用データとして、現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワークを介して伝送される映像データと同一の映像データを用いる場合には、無線性能監視部102bは、通信品質評価部102cを起動させる際に、このセルラーネットワーク以外の他のセルラーネットワークに対応するモデムを選択することを、起動させた通信品質評価部102cを介して又は直接、モデム選択部102dに通知する。これにより、映像データは、現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワーク及び他のセルラーネットワークを介して、映像受信装置200へと伝送されるようになる。
【0045】
一方、通信品質評価用データとして、単純な構造を有するダミーデータを用いる場合には、無線性能監視部102bは、通信品質評価部102cを起動させる際に、ダミーデータ生成部102eも起動させ、ダミーデータを生成することをダミーデータ生成部102eに通知する。これとともに、無線性能監視部102bは、現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワーク以外の他のセルラーネットワークを介してダミーデータが伝送されるように、他のセルラーネットワークに対応するモデムを選択することを、ダミーデータ生成部102eを介して又は直接、モデム選択部102dに通知する。
【0046】
例えば、無線性能監視部102bは、映像送信装置100のユーザ(例えば、システム管理者)等による指示に応じて、通信品質評価用データとして、映像データを用いるかダミーデータを用いるかを切り替えてもよい。
【0047】
なお、通信品質評価用データとして、映像データとダミーデータとの両方を、(例えば、切り替えながら)用いてもよいし、映像データとダミーデータとのいずれか一方のみを用いてもよい。通信品質評価用データとしてダミーデータを用いない場合には、例えば、映像送信・無線手段評価部102は、ダミーデータ生成部102eを有しない構成であってもよい。
【0048】
無線性能監視部102bは、通信品質評価部102cを起動させると、現在映像データ伝送に使用されているセルラーネットワークの無線性能(例えば、RTT)を通信品質評価部102cに出力する。
【0049】
無線性能監視部102bは、本開示に係る監視部の一例である。
【0050】
通信品質評価部102cは、セルラーネットワーク300A~300Cの通信品質を評価する。通信品質評価部102cは、通信品質として、例えば、セルラーネットワーク300A~300Cのネットワーク遅延(上述したRTTに相当)、スループット(上述した送信レート、受信レートに相当)等を評価する。以下では、通信品質としてネットワーク遅延(すなわちRTT)を例にとって説明する。「セルラーネットワークの通信品質」は、「(当該セルラーネットワークに対応する)モデムの通信品質」に置き換えられてもよい。
【0051】
より具体的には、通信品質評価部102cは、現在映像データ伝送に使用されているセルラーネットワークを介して伝送される同一の映像データを用いて、セルラーネットワーク300A~300Cの通信品質を評価してもよい。そのために、映像送信部102aは、モデム選択部102d及び(映像データ伝送及び通信品質評価のためにモデム選択部102dによって選択された)モデムA~C 103A~103Cの全てを介して、同一の映像データ(パケット)を映像受信装置200に送信する。そして、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークについては、通信品質評価部102cは、映像受信装置200(の後述する通信品質評価部202b)から、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークに対応するモデムを介して、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークの通信品質を示す情報又は通信品質を算出(測定)するための情報を含む、映像データ(パケット)の送信に対するレスポンスを受信する。通信品質評価部102cは、送信した映像データ(パケット)、受信したレスポンス等に基づいて、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークのネットワーク遅延等の通信品質を算出(測定)する。なお、映像データ(パケット)の送信に対するレスポンスは、フィードバック情報と称されてもよい。一方、現在映像データ伝送に使用されているセルラーネットワークについては、当該セルラーネットワークの無線性能(現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークの通信品質に相当)が、無線性能監視部102bから入力される。通信品質評価部102cは、算出した通信品質及び入力された通信品質(無線性能)に基づいて、通信品質評価を行う。この通信品質評価と映像データ伝送とは、並行して行われる。そして、通信品質評価結果に応じて、映像データ伝送に使用されるセルラーネットワークが切り替えられる。
【0052】
このように通信品質評価用データとして映像データを用いることで、映像受信装置200は、スムーズにセルラーネットワークの切り替えを行うことができ、映像の連続的な再生を可能にすることができる。
【0053】
あるいは、通信品質評価部102cは、映像データを用いる代わりに、ダミーデータを用いて、セルラーネットワーク300A~300Cの通信品質を評価してもよい。そのために、ダミーデータ生成部102eは、モデム選択部102dと現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークに対応するモデムとを介して、ダミーデータ(パケット)を映像受信装置200に送信する。そして、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークについては、通信品質評価部102cは、映像受信装置200(の通信品質評価部202b)から、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークに対応するモデムを介して、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークの通信品質を示す情報又は通信品質を算出(測定)するための情報を含む、ダミーデータ(パケット)の送信に対するレスポンスを受信する。通信品質評価部102cは、送信したダミーデータ(パケット)、受信したレスポンス等に基づいて、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークのネットワーク遅延等の通信品質を算出(測定)する。一方、現在映像データ伝送に使用されているセルラーネットワークについては、当該セルラーネットワークの無線性能(現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークの通信品質に相当)が、無線性能監視部102bから入力される。通信品質評価部102cは、算出した通信品質及び入力された通信品質(無線性能)に基づいて、通信品質評価を行う。この通信品質評価と映像データ伝送とは、並行して行われる。そして、通信品質評価結果に応じて、映像データ伝送に使用されるセルラーネットワークが切り替えられる。
【0054】
このように通信品質評価用データとしてダミーデータを用いることで、映像送信装置100及び映像受信装置200は、簡易に通信品質評価を行うことができる。
【0055】
通信品質評価部102cは、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークの通信品質及び現在映像データ伝送に使用されているセルラーネットワークの通信品質(無線性能)に基づいて、セルラーネットワーク300A~300Cのうち、映像データ伝送に使用される適切な1つ以上のセルラーネットワーク(すなわち、モデムA~C 103A~103Cのうちの対応するモデム)を選択する。
【0056】
例えば、通信品質評価部102cは、最良の通信品質を有する1つのセルラーネットワークを選択してもよい。
【0057】
また、例えば、通信品質評価部102cは、閾値以上の(あるいは閾値を超える)又は閾値以下の(あるいは閾値を下回る)通信品質を有する(すなわち、所定の通信品質が担保される)1つ以上のセルラーネットワークを選択してもよい。
【0058】
また、例えば、通信品質評価部102cは、最良の通信品質を有するセルラーネットワークと、最良の通信品質との差が所定値以内である通信品質を有する1つ以上のセルラーネットワークがある場合は当該1つ以上のセルラーネットワークと、を選択してもよい。
【0059】
通信品質評価部102cが、最良の通信品質を有する1つのセルラーネットワークのみを選択する場合、最良の通信品質を有する複数のセルラーネットワークが存在するときには、通信品質評価部102cは、それら複数のセルラーネットワークから1つのセルラーネットワークをランダムに選択してもよいし、何らかの基準に従って1つのセルラーネットワークを選択してもよい。
【0060】
通信品質評価部102cは、これから映像データを送信するために、これまで映像データを送信するために使用されていた無線手段(セルラーネットワーク及び/又はモデム)とは異なる無線手段を使用するか否か、すなわち、無線手段を切り替えるか否かを判断する。
【0061】
通信品質評価部102cは、無線手段を切り替える場合、選択した1つ以上のセルラーネットワーク(又は対応するモデム)を示す情報(指示)をモデム選択部102dに出力する。あるいは、通信品質評価部102cは、無線手段を切り替えるか否かにかかわらず、選択した1つ以上のセルラーネットワーク(又は対応するモデム)を示す情報(指示)をモデム選択部102dに出力してもよい。
【0062】
また、通信品質評価部102cは、無線手段を切り替える場合、モデムA~C 103A~103Cの全て(すなわち、セルラーネットワーク300A~300Cの全て)又はモデムA~C 103A~103Cのうちの任意の1つ以上のモデム又は切り替え後のセルラーネットワーク(選択したセルラーネットワーク)に対応するモデムを介して、選択した1つ以上のセルラーネットワーク(又は対応するモデム)を示す情報(指示)を、映像受信装置200に送信(報告)する。当該情報(指示)は、セルラーネットワーク切り替え情報(指示又は報告)と称されてもよい。
【0063】
なお、本明細書では、これまで映像(データ)伝送に使用されていた(1つ以上の)セルラーネットワーク(又は対応するモデム)と今後映像伝送に使用される(1つ以上の)セルラーネットワーク(又は対応するモデム)とが完全に異なる場合のみならず、これまで映像伝送に使用されていた(1つ以上の)セルラーネットワーク(又は対応するモデム)と今後映像伝送に使用される(1つ以上の)セルラーネットワーク(又は対応するモデム)とが一部異なる場合も、「映像伝送に使用されるセルラーネットワークを、これまで映像伝送に使用されていたセルラーネットワーク(又は対応するモデム)から今後映像伝送に使用されるセルラーネットワーク(又は対応するモデム)に切り替える」ことに含まれる。
【0064】
通信品質評価部102cは、通信品質評価が終了すると、オフになる(又はスリープする又は無効になる)。
【0065】
通信品質評価部102cは、本開示に係る選択部及び評価部の一例である。
【0066】
モデム選択部102dは、映像データの送信の際には、通信品質評価部102cによって出力された情報に従って、映像データが伝送されるセルラーネットワークに対応する、映像データを送信するためのモデムを選択する。モデム選択部102dは、選択したモデムを介して映像データが送信されるように、モデムを切り替える。別言すれば、モデム選択部102dは、映像データ伝送に使用されるセルラーネットワークを、現在映像データ伝送に使用されているセルラーネットワーク(第1の無線手段の例)から、選択されたセルラーネットワーク(第2の無線手段の例)に切り替える。
【0067】
モデム選択部102dは、通信品質評価の際には、通信品質評価用データが、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークを介して送信されるように、現在使用されていないモデムを使用可能にする(選択する)。
【0068】
モデム選択部102dは、本開示に係る切り替え部の一例である。
【0069】
ダミーデータ生成部102eは、ダミーデータを生成することを無線性能監視部102bから通知されると、ダミーデータ(パケット)を生成してモデム選択部102dに出力することによって、モデム選択部102dによって選択されたモデムを介してダミーデータ(パケット)を映像受信装置200に送信する。ダミーデータ生成部102eは、通信品質評価が終了すると(例えば、通信品質評価の終了を無線性能監視部102b又は通信品質評価部102cから通知されると)、ダミーデータの生成及び出力を終了し、オフになる(又はスリープする又は無効になる)。
【0070】
映像送信・無線手段評価部102は、上記の構成要素以外に、他の構成要素を有してもよい。例えば、映像送信・無線手段評価部102は、図6Aを参照して以下で説明するように無線手段の評価を開始したことを映像受信装置200に報告する評価開始報告部を有してもよい。
【0071】
以上のように、現在映像伝送に使用されているセルラーネットワークの無線性能が劣化した場合、より良い通信品質を有するセルラーネットワークを用いて映像伝送を行うことで、映像を伝送する際の遅延を抑制することができる。また、最良の通信品質を有する1つのセルラーネットワークを選択して映像伝送に使用することで、映像を伝送する際の遅延をより抑制することができる(例えば、最小限に抑えることができる)。
【0072】
<映像受信装置>
図4は、本開示の実施の形態に係る映像受信装置200の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、映像受信装置200は、復号部201と、映像受信・無線手段評価部202と、モデムA~C 203A~203Cと、を備える。
【0073】
復号部201は、映像受信・無線手段評価部202によって出力された映像データパケットから、映像送信装置100によって所定の圧縮方式で符号化されて送信された映像データを復号する。復号部201は、復号した映像データをモニタ500に出力する。
【0074】
映像受信・無線手段評価部202は、映像送信装置100(の映像送信・無線手段評価部102)と連携して、現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワークに対応するモデムを介して、映像データが伝送されているセルラーネットワークの無線性能を評価するための、映像送信装置100による映像データの送信に対するフィードバック情報を映像送信装置100に送信する。また、映像受信・無線手段評価部202は、映像送信装置100(の映像送信・無線手段評価部102)と連携して、現在映像データの伝送に使用されていないセルラーネットワークに対応するモデムを介して、当該セルラーネットワークの通信品質を評価するためのレスポンスを映像送信装置100に送信する。
【0075】
映像受信・無線手段評価部202は、映像送信装置100によって送信されたセルラーネットワークを示す情報(指示)に基づいて、映像データを受信するためのモデムを選択する。映像受信・無線手段評価部202は、選択したモデムを介して、映像送信装置100から映像データ(パケット)を受信する。映像受信・無線手段評価部202は、受信した映像データ(パケット)を復号部201に出力する。
【0076】
映像受信・無線手段評価部202は、現在映像データの伝送に使用されていないセルラーネットワークに対応するモデムを介して、映像送信装置100から通信品質評価用データ(パケット)を受信する。
【0077】
モデムA~C 203A~203Cの各々は、例えば、LTE、5G、Beyond5G、6G等に従って映像データ、通信品質評価用データ等の通信データの送受信を行うためのネットワークインタフェース装置である。モデムA~C 203A~203Cは、それぞれ、セルラーネットワーク300A~300Cに対応する。モデムA~C 203A~203Cは、それぞれ、モデムA~C 103A~103Cと同一であってもよい。
【0078】
モデムA~C 203A~203Cは、本開示に係る無線手段又は無線通信手段の例である。
【0079】
映像受信装置200は、上記の構成要素以外に、制御部、記憶部等の他の構成要素を備えてもよい。
【0080】
図5は、本開示の実施の形態に係る映像受信装置200の映像受信・無線手段評価部202の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、映像受信・無線手段評価部202は、映像受信部202aと、通信品質評価部202bと、モデム選択部202cと、を有する。
【0081】
映像受信部202aは、モデム選択部202cによって選択されたモデム及びモデム選択部202cを介して、映像送信装置100によって送信された映像データパケットを受信し、当該モデムを介して、現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワークの無線性能を示す情報又は無線性能を算出(測定)するための情報を映像送信装置100に送信する。なお、現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワークは、1つのセルラーネットワークであることもあるし、(同一の映像データが伝送される)複数のセルラーネットワークであることもある。現在映像データの伝送に使用されているセルラーネットワークが複数のセルラーネットワークである場合、映像受信部202aは、複数のセルラーネットワークそれぞれの無線性能を示す情報又は無線性能を算出(測定)するための情報を映像送信装置100に送信する。映像受信部202aは、受信した映像データパケットを復号部201に出力する。
【0082】
映像受信部202aは、本開示に係る受信部の一例である。
【0083】
通信品質評価部202bは、通信品質評価が開始されると、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークに対応する現在使用されていないモデム及びモデム選択部202cを介して、映像送信装置100(の通信品質評価部102c)によって送信された通信品質評価用データ(パケット)を受信し、当該モデムを介して、映像送信装置100による通信品質評価用データ(パケット)の送信に対するレスポンスを映像送信装置100に送信する。
【0084】
通信品質評価部202bは、モデムA~C 203A~203Cの全て又はモデムA~C 203A~203Cのうちの任意の1つ以上のモデム又は切り替え後のセルラーネットワークに対応するモデムと、モデム選択部202cと、を介して、映像送信装置100(の通信品質評価部102c)によって送信された選択されたセルラーネットワークを示す情報(指示)を受信する。通信品質評価部202bは、受信したセルラーネットワークを示す情報(指示)をモデム選択部202cに出力する。
【0085】
モデム選択部202cは、映像送信装置100によって送信されたセルラーネットワークを示す情報(指示)に従って、映像データが伝送されるセルラーネットワークに対応する、映像データを受信するためのモデムを選択する。モデム選択部202cは、選択したモデムを介して映像データが受信されるように、モデムを切り替える。別言すれば、モデム選択部202cは、選択されたセルラーネットワークを示す情報(指示)に基づいて、映像データ伝送に使用されるセルラーネットワークを、現在映像データ伝送に使用されているセルラーネットワーク(第1の無線手段の例)から、選択されたセルラーネットワーク(第2の無線手段の例)に切り替える。
【0086】
モデム選択部202cは、通信品質評価の際には、通信品質評価用データが、現在映像データ伝送に使用されていないセルラーネットワークを介して受信されるように、現在使用されていないモデムを使用可能にする(選択する)。
【0087】
モデム選択部202cは、本開示に係る切り替え部の一例である。
【0088】
映像受信・無線手段評価部202は、上記の構成要素以外に、他の構成要素を有してもよい。例えば、映像受信・無線手段評価部202は、映像送信装置100から、図7Aを参照して以下で説明するように無線手段の評価を開始した旨の報告を受信する評価開始報告受信部を有してもよい。
【0089】
<映像伝送システムの動作>
次に、図6A図6B図7A及び図7Bを参照して、映像伝送システム10の動作例(無線手段(セルラーネットワーク)評価の例)について説明する。この評価は、例えば、映像データの送信を開始するタイミングで開始されてよい。なお、図6A及び図6Bに示す処理は、映像送信装置100によって実行され、図7A及び図7Bに示す処理は、映像受信装置200によって実行される。この例では、通信品質の評価に、ダミーデータではなく映像データが用いられるものとするが、ダミーデータが用いられる場合も、同様に通信品質の評価を行うことができる。
【0090】
最初に、図6A及び図6Bを参照して、映像送信装置100の動作例について説明する。
【0091】
ステップS601において、映像送信装置100の評価開始報告部(図3には示されていない)は、無線手段の評価を開始したことを映像受信装置200に報告する(無線手段評価開始報告を映像受信装置200に送信する)。
【0092】
ステップS602において、評価開始報告部は、映像受信装置200からの、ステップS601における報告に対するレスポンス(後述する図7AのステップS703におけるレスポンス)を待つ。
【0093】
ステップS603において、評価開始報告部は、映像受信装置200からのレスポンスを受信したか否かを判断する。
【0094】
評価開始報告部が、映像受信装置200からのレスポンスを受信していない場合(ステップS603;NO)、フローはステップS602に戻る。
【0095】
一方、評価開始報告部が、映像受信装置200からのレスポンスを受信した場合(ステップS603;YES)、ステップS604において、無線性能監視部102bは、無線性能(以下では、RTTを想定しているが、RTTに限定されるものではない)を監視する。
【0096】
ステップS605において、無線性能監視部102bは、無線性能が閾値以上であるか否かを判断する。
【0097】
無線性能が閾値以上でない場合(ステップS605;NO)、フローはステップS604に戻る。
【0098】
一方、無線性能が閾値以上である場合(ステップS605;YES)、ステップS606において、無線性能監視部102bは、通信品質評価部102cを起動させて、通信品質評価部102cは、通信品質評価を開始する。
【0099】
ステップS607において、通信品質評価部102cは、通信品質評価を開始したことを映像受信装置200に報告する(通信品質評価開始報告を映像受信装置200に送信する)。
【0100】
ステップS608において、通信品質評価部102cは、映像受信装置200からの、ステップS607における報告に対するレスポンス(後述する図7AのステップS706におけるレスポンス)を待つ。
【0101】
ステップS609において、通信品質評価部102cは、映像受信装置200からのレスポンスを受信したか否かを判断する。
【0102】
通信品質評価部102cが、映像受信装置200からのレスポンスを受信していない場合(ステップS609;NO)、フローはステップS608に戻る。
【0103】
一方、通信品質評価部102cが、映像受信装置200からのレスポンスを受信した場合(ステップS609;YES)、ステップS610において、映像送信部102aは、複数の無線手段(セルラーネットワーク300A~300Cの全て)で同一の映像データを映像受信装置200に送信する。
【0104】
ステップS611において、通信品質評価部102cは、映像受信装置200からの、ステップS610における送信に対するレスポンス(後述する図7BのステップS709におけるレスポンス)を待つ。
【0105】
ステップS612において、通信品質評価部102cは、映像受信装置200からのレスポンスを受信したか否かを判断する。
【0106】
通信品質評価部102cが、映像受信装置200からのレスポンスを受信していない場合(ステップS612;NO)、フローはステップS611に戻る。
【0107】
一方、通信品質評価部102cが、映像受信装置200からのレスポンスを受信した場合(ステップS612;YES)、ステップS613において、通信品質評価部102cは、ステップS610における映像データの送信、ステップS612におけるレスポンスの受信等に基づいて、複数の無線手段の通信品質を算出し、算出した通信品質に基づいて、複数の無線手段のうちの1つ以上の無線手段を選択する。
【0108】
なお、ステップS610~S612において、通信品質評価部102cは、映像受信装置200への1回の映像データ送信とこれに対するレスポンス受信とを行うのではなく、一定時間における映像データ送信とこれに対する映像受信装置200からのレスポンス受信とを、一定時間よりも長い所定時間の間繰り返してもよい。この場合、通信品質評価部102cは、所定時間の間に受信できたレスポンス(所定時間の間に収集できたフィードバック情報)等に基づいて、複数の無線手段の通信品質を算出し、算出した通信品質に基づいて、複数の無線手段のうちの1つ以上の無線手段を選択してもよい。これにより、通信品質評価部102cが、通信品質が悪いセルラーネットワークを介したレスポンスを待ち続けなければならない可能性を低減することができ、品質評価に要する時間が長くなる可能性を低減することができる。
【0109】
ステップS614において、通信品質評価部102cは、これから映像データを送信するために、これまで映像データを送信するために使用されていた無線手段とは異なる無線手段を使用するか否か、すなわち、無線手段を切り替えるか否かを判断する。
【0110】
無線手段を切り替えない場合(ステップS614;NO)、フローはステップS604に戻る。この際に、通信品質評価部102cは、通信品質評価部102cがオフになる(又はスリープする又は無効になる)ことを示す情報を無線性能監視部102bに出力し、オフになる。これにより、処理負荷を軽減し、省電力を図ることができる。なお、この場合、ステップS604の前に、無線性能監視部102bは、所定時間待機してもよい。これにより、処理負荷のさらなる軽減及びさらなる省電力が可能である。
【0111】
一方、無線手段を切り替える場合(ステップS614;YES)、ステップS615において、通信品質評価部102cは、無線手段を切り替えることを映像受信装置200に報告する(無線手段切り替え報告を映像受信装置200に送信する)。別言すると、ステップS615において、通信品質評価部102cは、映像データが伝送される選択した無線手段を示す情報(指示)を映像受信装置200に送信する。
【0112】
ステップS616において、通信品質評価部102cは、映像受信装置200からの、ステップS615における報告(送信)に対するレスポンス(後述する図7BのステップS712におけるレスポンス)を待つ。
【0113】
ステップS617において、通信品質評価部102cは、映像受信装置200からのレスポンスを受信したか否かを判断する。
【0114】
通信品質評価部102cが、映像受信装置200からのレスポンスを受信していない場合(ステップS617;NO)、フローはステップS616に戻る。
【0115】
一方、通信品質評価部102cが、映像受信装置200からのレスポンスを受信した場合(ステップS617;YES)、ステップS618において、モデム選択部102dは、映像データを送信するために、これまで映像データを送信するために使用されていた無線手段とは異なる無線手段に切り替える。そして、フローはステップS604に戻る。この際に、モデム選択部102dは、切り替えたことを示す情報を通信品質評価部102cに出力し、通信品質評価部102cは、通信品質評価部102cがオフになることを示す情報を無線性能監視部102bに出力し、オフになる。これにより、処理負荷を軽減し、省電力を図ることができる。なお、この場合、ステップS604の前に、無線性能監視部102bは、所定時間待機してもよい。これにより、処理負荷のさらなる軽減及びさらなる省電力が可能である。
【0116】
なお、映像データ送信が終了したことを示す割り込みが、映像送信部102aから無線性能監視部102bに入力されると、フローは終了する。
【0117】
次に、図7A及び図7Bを参照して、映像受信装置200の動作例について説明する。
【0118】
ステップS701において、映像受信装置200の評価開始報告受信部(図5には示されていない)は、映像送信装置100からの、無線手段の評価を開始した旨の報告(図6AのステップS601における無線手段評価開始報告)を待つ。
【0119】
ステップS702において、評価開始報告受信部は、映像送信装置100からの、ステップS601における無線手段評価開始報告を受信したか否かを判断する。
【0120】
評価開始報告受信部が、映像送信装置100からの無線手段評価開始報告を受信していない場合(ステップS702;NO)、フローはステップS701に戻る。
【0121】
一方、評価開始報告受信部が、映像送信装置100からの無線手段評価開始報告を受信した場合(ステップS702;YES)、ステップS703において、評価開始報告受信部は、当該報告に対するレスポンスを映像送信装置100に送信する。
【0122】
ステップS704において、通信品質評価部202bは、映像送信装置100からの、通信品質の評価を開始した旨の報告(図6AのステップS607における通信品質評価開始報告)を待つ。
【0123】
ステップS705において、通信品質評価部202bは、映像送信装置100からの、ステップS607における通信品質評価開始報告を受信したか否かを判断する。
【0124】
通信品質評価部202bが、映像送信装置100からの通信品質評価開始報告を受信していない場合(ステップS705;NO)、フローはステップS704に戻る。
【0125】
一方、通信品質評価部202bが、映像送信装置100からの通信品質評価開始報告を受信した場合(ステップS705;YES)、ステップS706において、通信品質評価部202bは、当該報告に対するレスポンスを映像送信装置100に送信する。
【0126】
ステップS707において、通信品質評価部202bは、複数の無線手段(セルラーネットワーク300A~300Cの全て)で送信される映像送信装置100からの同一の映像データ(図6BのステップS610における映像データ)を待つ。
【0127】
ステップS708において、通信品質評価部202bは、映像送信装置100からの、ステップS610における映像データを受信したか否かを判断する。
【0128】
通信品質評価部202bが、映像送信装置100からの映像データを受信していない場合(ステップS708;NO)、フローはステップS707に戻る。
【0129】
一方、通信品質評価部202bが、映像送信装置100からの映像データを受信した場合(ステップS708;YES)、ステップS709において、通信品質評価部202bは、映像送信装置100からの映像データの送信に対するレスポンスを映像送信装置100に送信する。
【0130】
なお、ステップS707~S709において、通信品質評価部202bは、映像送信装置100からの1回の映像データ受信とこれに対するレスポンス送信とを行うのではなく、映像送信装置100から一定時間に送信された映像データを待ち、その映像データの受信に伴ってレスポンスを返送することを、一定時間よりも長い所定時間の間繰り返してもよい。これにより、映像送信装置100が、通信品質が悪いセルラーネットワークを介したレスポンスを待ち続けなければならない可能性を低減することができ、品質評価に要する時間が長くなる可能性を低減することができる。
【0131】
ステップS710において、通信品質評価部202bは、映像送信装置100からの、無線手段を切り替える旨の報告(図6BのステップS615における報告)を待つ。
【0132】
ステップS711において、通信品質評価部202bは、映像送信装置100からの、ステップS615における報告を受信したか否かを判断する。
【0133】
通信品質評価部202bが、映像送信装置100からの報告を受信していない場合(ステップS711;NO)、フローはステップS710に戻る。
【0134】
一方、通信品質評価部202bが、映像送信装置100からの報告を受信した場合(ステップS711;YES)、ステップS712において、通信品質評価部202bは、当該報告に対するレスポンスを映像送信装置100に送信する。
【0135】
ステップS713において、モデム選択部202cは、映像データを受信するために、映像送信装置100からの、無線手段を切り替える旨の報告に従って、これまで映像データを受信するために使用されていた無線手段とは異なる無線手段に切り替える。そして、フローはステップS704に戻る。
【0136】
なお、映像データ受信が終了したことを示す割り込みが、映像受信部202aから通信品質評価部202bに入力されると、フローは終了する。
【0137】
次に、図8A及び図8Bを参照して、上述した無線性能監視(評価)、通信品質評価及びモデム選択/切り替えの具体例について説明する。この例では、通信品質評価部102cが、最良の通信品質を有する1つのセルラーネットワークのみを選択するものとする。また、この例でも、通信品質の評価に映像データが用いられるものとする。
【0138】
図8Aは、映像伝送に使用されるモデムを時系列に示す図である。図8Bは、無線性能監視部102bによる無線性能監視及び評価と、通信品質評価部102cによる通信品質評価と、モデム選択部102dによるモデム選択/切り替えと、を時系列に示す図である。
【0139】
図8A及び図8Bに示すように、時刻t1までは、映像伝送のために、モデムA 103A及びモデムA 203A並びにセルラーネットワーク300Aが使用されている。この時間区間では、図8Bに示すように、無線性能監視部102bは、セルラーネットワーク300AのRTTを監視しており、ある瞬間においてRTTが110ミリ秒であることを観測している。このとき、RTT(110ミリ秒)が閾値以上になったので、無線性能監視部102bは、通信品質評価部102cを起動させる。
【0140】
通信品質評価部102cは、時刻t1において通信品質評価を開始する。このとき、通信品質評価部102cは、セルラーネットワーク300A(モデムA 103Aに対応)のRTTが110ミリ秒であり、セルラーネットワーク300B(モデムB 103Bに対応)のRTTが30ミリ秒であり、セルラーネットワーク300C(モデムC 103Cに対応)のRTTが50ミリ秒であると算出している。したがって、通信品質評価部102cは、セルラーネットワーク300Bの通信品質が最良であると判断(評価)し、これから映像伝送に使用されるセルラーネットワークとして、セルラーネットワーク300Bを選択する。これに応じて、モデム選択部102dは、セルラーネットワーク300Bに対応するモデムB 103Bを選択し、時刻t2において、モデムA 103AからモデムB 103Bに切り替える(モデム選択部202cも、モデムA 203AからモデムB 203Bに切り替える)。このように、時刻t2において、通信品質評価が終了し、映像伝送に使用されるモデム(セルラーネットワーク)が切り替わる。
【0141】
なお、時刻t1~時刻t2では、図8Aに示すように、モデムA~C 103A~103Cの全て及びモデムA~C 203A~203Cの全てが使用される。この時間区間では、同一の映像データが、モデムA~C 103A~103Cの全て及びモデムA~C 203A~203Cの全てを介して、映像送信装置100から映像受信装置200へと伝送される。
【0142】
図8A及び図8Bに示すように、時刻t2~時刻t3では、映像伝送のために、モデムB 103B及びモデムB 203B並びにセルラーネットワーク300Bが使用されている。この時間区間では、図8Bに示すように、無線性能監視部102bは、セルラーネットワーク300BのRTTを監視しており、ある瞬間においてRTTが110ミリ秒であることを観測している。このとき、RTT(110ミリ秒)が閾値以上になったので、無線性能監視部102bは、通信品質評価部102cを起動させる。
【0143】
通信品質評価部102cは、時刻t3において通信品質評価を開始する。このとき、通信品質評価部102cは、セルラーネットワーク300A(モデムA 103Aに対応)のRTTが50ミリ秒であり、セルラーネットワーク300B(モデムB 103Bに対応)のRTTが110ミリ秒であり、セルラーネットワーク300C(モデムC 103Cに対応)のRTTが30ミリ秒であると算出している。したがって、通信品質評価部102cは、セルラーネットワーク300Cの通信品質が最良であると判断(評価)し、これから映像伝送に使用されるセルラーネットワークとして、セルラーネットワーク300Cを選択する。これに応じて、モデム選択部102dは、セルラーネットワーク300Cに対応するモデムC 103Cを選択し、時刻t4において、モデムB 103BからモデムC 103Cに切り替える(モデム選択部202cも、モデムB 203BからモデムC 203Cに切り替える)。このように、時刻t4において、通信品質評価が終了し、映像伝送に使用されるモデム(セルラーネットワーク)が切り替わる。
【0144】
なお、時刻t3~時刻t4では、図8Aに示すように、モデムA~C 103A~103Cの全て及びモデムA~C 203A~203Cの全てが使用される。この時間区間では、同一の映像データが、モデムA~C 103A~103Cの全て及びモデムA~C 203A~203Cの全てを介して、映像送信装置100から映像受信装置200へと伝送される。
【0145】
図8A及び図8Bに示すように、時刻t4以降は、映像伝送のために、モデムC 103C及びモデムC 203C並びにセルラーネットワーク300Cが使用されている。この時間区間では、図8Bに示すように、無線性能監視部102bは、セルラーネットワーク300CのRTTを監視している。
【0146】
以降、映像伝送が終了するまで、同様の処理が繰り返される。
【0147】
<変形例>
次に、本開示の実施の形態の変形例について説明する。
【0148】
[変形例1]
変形例1では、映像送信装置100が、モデムA~C 103A~103C(セルラーネットワーク300A~300C)のうち複数のモデム(セルラーネットワーク)を、映像データ伝送に使用されるようにする選択する場合を想定する。この場合に、映像送信装置100は、選択された複数のモデム(セルラーネットワーク)を介して、同一の映像データを映像受信装置200に送信し、映像受信装置200は、複数のモデム(セルラーネットワーク)を介して、同一の映像データを受信する。
【0149】
上記の場合、映像データが映像受信装置200まで伝送されているときに、映像データが伝送されているセルラーネットワークの通信品質(例えば、遅延や帯域)が大きく変わることがある。より具体的な例として、無線アクセス技術が5GからLTEに切り替わるときや、電波が届きにくいエリアに端末が移動した場合などに、帯域が急落することがある。これにより、映像送信装置100から送信された同一の映像データが複数のセルラーネットワークを介して映像受信装置200に到着するタイミングに差(遅延)が生じ得る。
【0150】
そこで、変形例1では、映像受信装置200は、複数のモデム(セルラーネットワーク)を介して、同一の映像データを受信する際に、例えば、早く到着(受信)した映像データをモニタ500に出力するように(モニタ500に表示させるように)選択してもよい。
【0151】
なお、映像送信装置100が、モデムA~C 103A~103C(セルラーネットワーク300A~300C)のうち1つのモデム(セルラーネットワーク)を、映像データ伝送に使用されるように選択した場合には、本変形例1において説明する処理は行われない。
【0152】
図9A及び図9Bは、それぞれ、映像送信装置100及び映像受信装置200によって実行される、本開示の実施の形態の変形例1に係る、映像伝送システムの動作例を示すフローチャートである。なお、図9A及び図9Bに示す処理が開始される前に、映像データを伝送するために、セルラーネットワーク300A~300Cのうちの複数のセルラーネットワークが選択されているものとする。
【0153】
図9Aを参照すると、ステップS901において、モデム選択部102dは、複数のセルラーネットワークを介して、同一の映像データ(パケット)を映像受信装置200に送信する(映像送信部102aは、モデム選択部102d、複数のセルラーネットワークに対応する、モデム選択部102dによって選択されたモデム、及び、複数のセルラーネットワークを介して、同一の映像データ(パケット)を映像受信装置200に送信する)。
【0154】
ステップS902において、モデム選択部102dは、映像受信装置200からのレスポンスを待つ。
【0155】
ステップS903において、モデム選択部102dは、映像受信装置200からの到着したレスポンス(セルラーネットワークの無線性能を示す情報又は無線性能を算出(測定)するための情報)(図9BのステップS953及びS954を参照)を、映像送信部102aに出力する。例えば、モデム選択部102dは、映像受信装置200から返送されて複数のセルラーネットワーク及び対応するモデムのそれぞれを介する複数のレスポンスのうち、早く到着したレスポンスを、映像送信部102aに出力する(到着した順にレスポンスを映像送信部102aに出力する)。
【0156】
ステップS904において、映像送信装置100は、上記実施の形態で説明したように無線性能監視を行う。具体的には、無線性能監視部102bは、現在映像データの伝送に使用されている複数のセルラーネットワークそれぞれの無線性能を監視する。
【0157】
図9Bを参照すると、ステップS951において、モデム選択部202cは、複数のセルラーネットワークを介した映像送信装置100からの映像データ(パケット)を待つ。
【0158】
ステップS952において、モデム選択部202cは、映像送信装置100からの到着した映像データ(パケット)を映像受信部202aに出力する。例えば、モデム選択部202cは、映像送信装置100から送信されて複数のセルラーネットワークのそれぞれを介する映像データ(パケット)のうち、早く到着した映像データ(パケット)を、映像受信部202aに出力する(到着した順に映像データ(パケット)を映像受信部202aに出力する)。
【0159】
ステップS953において、映像受信部202aは、映像データ伝送に使用された複数のセルラーネットワークを介してそれぞれ送信(返送)されるように、複数のセルラーネットワーク及び対応するモデムのそれぞれを介して受信した映像データに対するそれぞれのレスポンスを、モデム選択部202cに出力する。
【0160】
ステップS954において、モデム選択部202cは、映像データ伝送に使用された複数のセルラーネットワークに対応するモデム及び当該セルラーネットワークをそれぞれ介して、映像受信部202aから入力されたそれぞれのレスポンスを映像送信装置100に送信する。
【0161】
上記では、切り替え粒度がパケットごとであるとして説明したが、切り替え粒度はこれに限定されない。例えば、切り替え粒度は、複数パケットごとであってもよいし、所定の時間ごとであってもよい。
【0162】
以上説明したように、映像受信装置200は、セルラーネットワークのRTT等の通信品質を監視又は評価することで、最良なモデム及びセルラーネットワークにより伝送(受信)された映像データ、すなわち映像受信装置200が最も早く受信した映像データを選択し、モニタ500に出力する。これにより、コンテンツ伝送後に映像送信装置100と映像受信装置200との間の区間で生じる通信品質の劣化にも対応することができ、RTTの抑制や映像伝送の安定性をもたらすことができる。
【0163】
[その他の変形例]
上記では、RTTが、閾値以上となった、あるいは、閾値を超えた場合、無線性能監視部102bが通信品質評価部102cを起動させる例を説明したが、本開示はこの例に限定されない。例えば、RTT、送信レート、受信レート等のうちの1つ以上が、それぞれの対応する閾値以上(又は以下)となった、あるいは、閾値を超えた(又は下回った)場合に、無線性能監視部102bが通信品質評価部102cを起動させてもよい。
【0164】
上記では、無線性能監視部102bが、閾値判断の結果に応じて通信品質評価部102cを起動させる例を説明したが、本開示はこの例に限定されない。例えば、通信品質評価部102cは、無線性能監視部102bによって起動される代わりに、例えば、定期的に自装置を起動させ、上述した通信品質評価を行ってもよい。
【0165】
上記では、無線性能監視部102bが、閾値判断の結果に応じて通信品質評価部102cを起動させる例を説明したが、本開示はこの例に限定されない。例えば、無線性能監視部102bは、無線性能の直近の履歴に基づいて、無線性能が劣化している傾向があるかどうかを解析し、無線性能が劣化している傾向がある場合に、通信品質評価部102cを起動させてもよい。
【0166】
無線性能監視部102bは、本開示に係る起動部の一例である。
【0167】
上記では、無線性能監視部102bが、閾値判断の結果に応じて通信品質評価部102cを起動する例を説明したが、本開示はこの例に限定されない。例えば、無線性能監視部102bは、無線性能監視部102b又は映像送信装置100の何らかの記憶部に、無線性能の履歴を記憶させる。無線性能監視部102b又は別の機能部は、記憶されている無線性能の履歴に基づいて、現在映像伝送に使用されているセルラーネットワークの急激な品質劣化が所定の時間内に生じる可能性があることを予測する。この場合、無線性能監視部102b又は別の機能部は、通信品質評価部102cを起動させてもよいし、通信品質評価部102cを起動させることなく、他のモデムに切り替える指示をモデム選択部102dに出力してもよい。
【0168】
無線性能監視部102b及び別の機能部は、本開示に係る起動部の例である。
【0169】
上記では、無線手段の例として、セルラーネットワークを挙げたが、本開示はセルラーネットワークに限定されない。例えば、無線手段には、WiFiネットワークを含む通信ネットワーク、WiGig(登録商標)ネットワークを含む通信ネットワーク、WiMAXネットワークを含む通信ネットワーク等が含まれてもよい。
【0170】
以上及び以下の実施の形態(変形例を含む)における記載事項は、矛盾しない限り、又は、組み合わせられないと明示的に記載されていない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0171】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0172】
以上、本開示に係る実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、上述した映像送信装置100又は映像受信装置200の機能は、コンピュータプログラムにより実現されてもよい。
【0173】
図10は、映像送信装置100又は映像受信装置200の機能をプログラムにより実現するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。このコンピュータ1000は、キーボード、マウス、タッチパッド等の入力装置1001と、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置1002と、CPU(Central Processing Unit)1003と、GPU(Graphics Processing Unit)1004と、ROM(Read Only Memory)1005と、RAM(Random Access Memory)1006と、ハードディスク装置、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置1007と、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体から情報を読み取る読取装置1008と、ネットワークを介して通信を行う送受信装置1009と、を備え、これらの装置1001~1009は、バス1010により接続される。
【0174】
そして、読取装置1008は、映像送信装置100又は映像受信装置200の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体(例えば、ROM1005)からそのプログラムを読み取り、記憶装置1007に記憶させる。あるいは、送受信装置1009が、ネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置からダウンロードした帯域推定装置20の機能を実現するためのプログラムを記憶装置1007に記憶させる。
【0175】
そして、CPU1003(またはGPU1004)が、記憶装置1007に記憶されたプログラムをRAM1006にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1006から順次読み出して実行することにより、映像送信装置100又は映像受信装置200の各処理部の機能が実現される。なお、CPU1003とGPU1004とは、別個に構成されていてもよいし、一体として構成されていてもよい。
【0176】
<実施の形態における効果>
本開示の実施の形態に係る映像伝送システム10において、以下の動作が行われてよい。
【0177】
映像送信装置100の通信品質評価部102cは、複数のセルラーネットワーク300A~300Cの通信品質(例えばRTT)に基づいて、複数のセルラーネットワーク300A~300Cのうち、映像データ伝送に使用される1つ以上のセルラーネットワークを選択する。映像送信装置100の通信品質評価部102cは、選択された1つ以上のセルラーネットワークが、現在映像データ伝送に使用されているセルラーネットワークと異なるか否かを判断する。映像送信装置100のモデム選択部102dは、選択された1つ以上のセルラーネットワークが、現在映像データ伝送に使用されているセルラーネットワークと異なる場合、映像データ伝送に使用されるセルラーネットワーク(に対応するモデム)を、現在映像データ伝送に使用されているセルラーネットワーク(に対応するモデム)から、選択された1つ以上のセルラーネットワーク(に対応するモデム)に切り替える。映像送信装置100の映像送信部102aは、選択された1つ以上のセルラーネットワークを介して映像データを映像受信装置200に送信する。
【0178】
映像受信装置200のモデム選択部202cは、映像送信装置100からの無線手段切り替え指示に基づいて、映像データ伝送に使用されるセルラーネットワーク(に対応するモデム)を、現在映像データ伝送に使用されているセルラーネットワーク(に対応するモデム)から1つ以上のセルラーネットワーク(に対応するモデム)に切り替える。映像受信装置200の映像受信部202aは、映像送信装置100から1つ以上のセルラーネットワークを介して映像データを受信する。
【0179】
この構成により、映像データが複数のセルラーネットワーク300A~300Cに分配される必要がないので、映像データ伝送の際に遅延を抑制することができる。また、この構成により、通信品質が良いセルラーネットワークが、映像データ伝送に使用されるので、映像データ伝送の際に遅延を抑制することができる。
【0180】
<実施の形態のまとめ>
本開示の一実施例に係る送信装置は、複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を介して受信装置にコンテンツデータを送信可能な送信装置であって、前記複数の無線手段のそれぞれの通信品質に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される1つ以上の無線手段を選択する選択部と、前記複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を含み、前記コンテンツデータの伝送に使用されている第1の無線手段の通信品質と、前記選択された1つ以上の無線手段である第2の無線手段であって、かつ前記第1の無線手段とは少なくとも一部が異なる第2の無線手段の通信品質とを評価する評価部と、前記第1の無線手段の通信品質及び前記第2の無線手段の通信品質の評価結果に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替える切り替え部と、を備える。
【0181】
本送信装置において、前記評価部は、前記第1の無線手段を介して伝送される前記コンテンツデータと同一のコンテンツデータを用いて、前記第2の無線手段の通信品質を算出する。
【0182】
本送信装置は、前記第1の無線手段の通信品質を監視する監視部をさらに備え、前記選択部は、前記第1の無線手段の通信品質が所定の条件を満たしていない場合に、前記第2の無線手段の選択を行う。
【0183】
本送信装置において、前記選択部は、前記第1の無線手段の通信品質が所定の条件を満たしていない場合に、前記監視部によって起動されて、前記第2の無線手段の選択を行い、前記選択部は、前記切り替え部による第1の無線手段から第2の無線手段への切り替えが行われた場合に、オフになる。
【0184】
本送信装置は、前記複数の無線手段の通信品質の履歴に基づいて、前記選択部を起動させる起動部をさらに備え、前記選択部は、前記起動部によって起動されると、前記第2の無線手段の選択を行う。
【0185】
本送信装置において、前記第2の無線手段は、前記複数の無線手段のうち最良の前記通信品質を有する1つの無線手段である。
【0186】
本開示の一実施例に係る送信方法は、複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を介して受信装置にコンテンツデータを送信可能な送信装置が、前記複数の無線手段のそれぞれの通信品質に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される1つ以上の無線手段を選択し、前記複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を含み、前記コンテンツデータの伝送に使用されている第1の無線手段の通信品質と、前記選択された1つ以上の無線手段である第2の無線手段であって、かつ前記第1の無線手段とは少なくとも一部が異なる第2の無線手段の通信品質とを評価し、前記第1の無線手段の通信品質及び前記第2の無線手段の通信品質の評価結果に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替える。
【0187】
本開示の一実施例に係る伝送システムは、複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を介してコンテンツデータを伝送可能な伝送システムであって、送信装置と、受信装置と、を備え、前記送信装置は、前記複数の無線手段のそれぞれの通信品質に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される1つ以上の無線手段を選択し、前記複数の無線手段のうち1つ以上の無線手段を含み、前記コンテンツデータの伝送に使用されている第1の無線手段の通信品質と、前記選択された1つ以上の無線手段である第2の無線手段であって、かつ前記第1の無線手段とは少なくとも一部が異なる第2の無線手段の通信品質とを評価し、前記第1の無線手段の通信品質及び前記第2の無線手段の通信品質の評価結果に基づいて、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替え、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替えることを示す無線手段切り替え指示を前記受信装置に送信し、前記受信装置は、前記送信装置から前記無線手段切り替え指示を受信し、前記コンテンツデータの伝送に使用される無線手段を、前記第1の無線手段から前記第2の無線手段に切り替える。
【0188】
上記の送信装置、送信方法及び伝送システムによれば、コンテンツデータが複数の無線手段に分配される必要がないので、コンテンツデータ伝送の際に遅延を抑制することができる。また、通信品質が良い無線手段が、コンテンツデータ伝送に使用されるので、コンテンツデータ伝送の際に遅延を抑制することができる。
【0189】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
【0190】
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0191】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0192】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0193】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0194】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0195】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0196】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0197】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0198】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0199】
以上、本開示の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本開示の一実施例は、映像等のコンテンツを伝送するシステム(コンテンツを送信する装置及びコンテンツを受信する装置を含む)に有用である。
【符号の説明】
【0201】
10 映像伝送システム
100 映像送信装置
101 符号化・帯域推定部
102 映像送信・無線手段評価部
102a 映像送信部
102b 無線性能監視部
102c 通信品質評価部
102d モデム選択部
102e ダミーデータ生成部
103A~103C モデムA~モデムC
200 映像受信装置
201 復号部
202 映像受信・無線手段評価部
202a 映像受信部
202b 通信品質評価部
202c モデム選択部
203A~203C モデムA~モデムC
300A~300C セルラーネットワークA~セルラーネットワークC
400 カメラ
500 モニタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10