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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130025
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/18 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H02N2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039503
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 肇
(72)【発明者】
【氏名】藤井 高志
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681BB08
5H681DD30
5H681GG10
(57)【要約】
【課題】安定して電力を得ることができる発電装置を提供する。
【解決手段】長手方向を有する超磁歪材料111と、超磁歪材料111における長手方向の両端に接続され、互いに異なる磁極を対向させるように配置された一対の永久磁石112a、112bと、超磁歪材料111に巻き付けられたコイル113と、超磁歪材料111と永久磁石112a、112bとを支持する支持台110a、110bとを備える。長手方向と交差する交差方向での超磁歪材料111の側面を揺動により加圧することで、逆磁歪効果によって超磁歪材料111中の磁力線の強さが変動しコイル113に電磁誘導による起電力が発生する発電装置100。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を有する超磁歪材料と、
前記超磁歪材料における前記長手方向の両端に接続され、互いに異なる磁極を対向させるように配置された一対の永久磁石と、
前記超磁歪材料に巻き付けられたコイルと、
前記超磁歪材料と前記永久磁石とを支持する支持台とを備え、
前記長手方向と交差する交差方向での前記超磁歪材料の側面を揺動により加圧することで、逆磁歪効果によって前記超磁歪材料中の磁力線の強さが変動し前記コイルに電磁誘導による起電力が発生する、発電装置。
【請求項2】
前記超磁歪材料は、第1部と第2部とを有し、前記第1部と前記第2部とは互いに並ぶように設けられ、
前記永久磁石は、U字型を有し、前記U字型の第1の端が前記第1部の端に、前記U字型の第2の端が前記第2部の端に接続されている、請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記超磁歪材料は、単結晶構造を有している、請求項1もしくは請求項2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記超磁歪材料の側面を揺動により加圧する加圧体を備え、
前記超磁歪材料の側面が、前記超磁歪材料の結晶方位(100)、(010)、(111)のいずれかに沿ったものである、請求項3に記載の発電装置。
【請求項5】
前記超磁歪材料の側面を揺動により加圧する加圧体を備え、
前記長手方向および前記交差方向に直交する方向から見た場合、前記超磁歪材料は少なくとも1つの凹凸構造を有し、
前記凹凸構造の凹部には、前記コイルが巻き付けられており、
前記加圧体は、前記凹凸構造の凸部を加圧する、請求項1に記載の発電装置。
【請求項6】
前記超磁歪材料の側面を揺動により加圧する加圧体と、
前記長手方向および前記交差方向に直交する方向から前記超磁歪材料と間隔を隔てて対向するように設けられた強磁性材料と、
前記強磁性材料に巻き付けられている強磁性材料用コイルとを備える、請求項1に記載の発電装置。
【請求項7】
前記強磁性材料は、前記超磁歪材料を挟むように第1と第2の強磁性材料部とを備える、請求項6に記載の発電装置。
【請求項8】
前記超磁歪材料の側面は、対向する第1側面と第2側面とを有し、
前記第1側面もしくは前記第2側面に交差するように前記交差方向に設けられた摺動軌道と、
前記摺動軌道上を摺動し、前記第1側面を揺動により加圧する少なくとも1つの第1の摺動加圧体、もしくは、前記摺動軌道上を摺動し、前記第2側面を揺動により加圧する少なくとも1つの第2の摺動加圧体を備える、請求項1に記載の発電装置。
【請求項9】
前記第1の摺動加圧体もしくは第2の摺動加圧体には、前記超磁歪材料の側面側の面および前記超磁歪材料の側面と反対側の面のいずれか一面もしくは両面に反跳弾性体が接続されている、請求項8に記載の発電装置。
【請求項10】
前記摺動軌道上には、前記第1の摺動加圧体が複数設けられ、もしくは、前記第2の摺動加圧体が複数設けられている、請求項9に記載の発電装置。
【請求項11】
前記超磁歪材料の側面を揺動により加圧する加圧体と、
前記コイルに接続された、ダイオードブリッジと、
前記ダイオードブリッジに接続された蓄電デバイスとを備え、
前記揺動は、波によるものである、請求項1に記載の発電装置。
【請求項12】
前記超磁歪材料の側面を揺動により加圧する加圧体を備え、
前記コイルは、前記長手方向の中央部分を除く前記中央部分の両側に巻き付けられ、
前記中央部分は、前記加圧体により加圧される、請求項1に記載の発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の内容は逆磁歪効果を利用する発電装置に関する。より具体的には、例えば、波力の様にその揺動周波数が低く且つ波高が数十cm程度に及ぶ振動源から振動エネルギーを電気エネルギーに変換する効率の向上と耐久性に関するものも含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、身近な振動を利用して発電する環境発電技術が注目されている。その技術の一つに強磁性体の磁歪効果又は逆磁歪効果を利用するものがある。磁歪効果とは強磁性体に磁場を付与することで磁化した際、その寸法が変形する効果を指し、磁歪効果による変形量が大きい材料は磁歪材料と称される。
【0003】
磁歪材料は又、外力の付与に起因してその内部に生じる圧縮・引張応力によって変形した際に透磁率が大きく変動することで磁化状態が変化することも知られており、これを逆磁歪効果と称する。逆磁歪効果によって磁歪材料内の磁束密度が変化する現象を電磁誘導として利用することで、小電力ながら継続的に発電を行える技術を開発する機運が高まっている。例えば、特許第6343852号公報(特許文献1)に開示されている。
【0004】
逆磁歪効果を利用した発電装置としては、磁歪材料を短冊状に成形して片側の端部を固定した梁構造とし、この梁構造の母体には永久磁石を設置することで予め磁歪材料内に一定の磁束密度を導入した状態から振動エネルギーを与えるものである。この振動エネルギーを受けて磁歪材料は1次元的に振動し、その際に磁束密度が変動することから同材料に設置したコイルと電磁誘導させることで電気エネルギーを得ることができる。
【0005】
例えば、日本金属学会会報まてりあ、第59巻、第1号(2020)p.10-15(非特許文献1)、令和3年電気学会全国大会、2-100、p.110(2021)(非特許文献2)に開示されている。
【0006】
非特許文献2について、図を用いて説明する。図8に非特許文献2に開示された発電装置の概略を示す。発電装置1は支持台10、超磁歪材料11,永久磁石12及び磁路13から構成されている。超磁歪材料11にはコイル14が巻かれ、ダイオードブリッジ15に接続されている。ダイオードブリッジ15にて整流された電力は出力端子16を通して負荷側に供給される構造となっている。
【0007】
この発電装置1において、永久磁石12から発生した磁気バイアスは磁力線20として磁路13及び超磁歪材料11中を貫通する磁束を形成している。この状態より加圧力21が加わることで超磁歪材料11中にて逆磁歪効果が発現し、同材料中の磁力線20が変動することにより電磁誘導が発生しコイル14に起電力が誘起される。
【0008】
逆磁歪効果によって透磁率が減少する過程と回復する過程で起電力は反転することからダイオードブリッジ15を介することで発電電流を一方向に整流した上で負荷側に供給する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第6343852号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】日本金属学会会報まてりあ、第59巻、第1号(2020)p.10-15
【非特許文献2】令和3年電気学会全国大会、2-100、p.110(2021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
先行技術文献に開示された発電装置より、さらに安定して電力を得ることができる発電装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の発電装置は、長手方向を有する超磁歪材料と、超磁歪材料における長手方向の両端に接続され、互いに異なる磁極を対向させるように配置された一対の永久磁石と、超磁歪材料に巻き付けられたコイルと、超磁歪材料と永久磁石とを支持する支持台とを備える。長手方向と交差する交差方向での超磁歪材料の側面を揺動により加圧することで、逆磁歪効果によって超磁歪材料中の磁力線の強さが変動しコイルに電磁誘導による起電力が発生するものである。
【発明の効果】
【0013】
このような発電装置とすることで、安定して電力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る発電装置の概略を示した図である。
図2】実施の形態2に係る発電装置の一部分の概略を示した図である。
図3】実施の形態3に係る発電装置の一部分の概略を示した図である。
図4】実施の形態4に係る発電装置の一部分の概略を示した図である。
図5】実施の形態5に係る発電装置の一部分の概略を示した図である。
図6】実施の形態6に係る発電装置の一部分の概略を示した図である。
図7】実施の形態7に係る発電装置の一部分の概略を示した図である。
図8】従来例に係る発電装置の概略を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
・超磁歪材料
磁歪材料としては、逆磁歪効果の特性に優れているものとしてFe-Ga合金(以下、ガルフェノール合金と記載する)が知られている。本明細書においては、超磁歪材料とは、ガルフェノール合金を意味する。しかしながら、ガルフェノール合金と同等以上の逆磁歪効果が得られるものであれば、他の材料であっても良い。
【0016】
さらに、ガルフェノール合金として単結晶および多結晶が考えられる。逆磁歪効果の特性として、単結晶の方が優れている。しかしながら、本明細書においては、多結晶のものを除くものではない。
・実施の形態に対する検討事項の例
本実施の形態を検討するにあたり、発明者は、例えば、本開示の発電装置を波力発電装置に適用する場合に、以下を検討した。
【0017】
上述した従来技術を波力の持つ揺動エネルギーからの発電に適用しようとすると以下のような問題が生じる。
【0018】
一つは振動周波数が1Hz程度まで低下することから、十分な振動振幅を得る為には磁歪材料の厚さを薄くするか振動長を長くする必要がある。厚さを薄くすると磁力線の強度そのものが低下することから発電量の低下を招く懸念が生じる。又、振動長を長くする場合もやはり同材料中の磁気抵抗を増加させてしまう恐れがある。磁気抵抗の増加により発電量の低下が懸念される。
【0019】
振動端部に錘を設置することで振動振幅の増加を期待する対策も考えられる。しかし、波力による揺動周波数は低いとは言え一定ではないことから錘の重量を最適化することは困難であり、長期的に高効率の発電を維持できる見通しは立ち難い。
【0020】
本実施の形態のいくつかはこのような問題を考慮して、揺動周波数が低くとも安定的に発電することが可能な逆磁歪式の発電装置に関する構造を提供するものである。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態に係る発電装置は、予め超磁歪材料を固定した上で加圧体を同材料に衝突させるもの、もしくは加圧するものであり、超磁歪材料に永久磁石を接続するものである。
【0022】
また、超磁歪材料を単結晶素材とすることにより衝突面もしくは加圧される面を特定の結晶面とすることや、同材料において最も強く逆磁歪効果が発現する領域を囲むように形成された強磁性材料を付加的に形成する実施の形態もある。
【0023】
さらに、加圧体の衝突面側もしくは加圧される面側に反跳弾性体を介した剛性端部体を設ける例もある。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態に係る発電装置は、例えば、予め超磁歪材料を固定した上で加圧体を同材料に衝突させることで逆磁歪効果の発現を促すものである。さらに、超磁歪材料に磁気バイアスを設定する永久磁石を同材料に接続することから磁気抵抗を低下させることが可能となる効果を有する。
【0025】
また、衝突によって付加されたストレスは振動によって生じた圧縮・引張応力と同等の逆磁歪効果を発現するものもある。
【0026】
さらに、例えば、超磁歪材料を単結晶素材とする場合、衝突面を特定の結晶面とすることでより高効率な発電を行うことが可能となる。
【0027】
また、他の実施の形態として、加圧体の衝突面側に反跳弾性体を介した剛性端部体を設けることで、逆磁歪効果の発現する時間を長時間化することもできる。
【0028】
(実施の形態1)
図1には、実施の形態1に係る発電装置の概略を示す。ここでは、発電装置の例として、波力発電装置100を示している。波力発電装置100は、支持台110a、110b超磁歪材料111、一対の永久磁石112a、112bから構成されている。
【0029】
超磁歪材料111にはコイル113が巻かれ、ダイオードブリッジ114に接続されている。ダイオードブリッジ114にて整流され、ダイオードブリッジ114は蓄電デバイス115に接続されている。蓄電デバイス115は、データ無線通信プロセッサ116に接続され、電力を供給する。
【0030】
尚、データ無線通信プロセッサ116にはセンサー(例えば海水温度測定)117が接続されており、定期的に温度等の測定データが取得される。
【0031】
超磁歪材料111に加圧力121が加わることで、超磁歪材料111中にて逆磁歪効果が発現し、同材料中の磁力線120が変動することにより電磁誘導が発生しコイル113に起電力が誘起される。
【0032】
逆磁歪効果によって透磁率が減少する過程と回復する過程で起電力は反転することからダイオードブリッジ114を介することで発電電流を一方向に整流した上で蓄電デバイス115に供給される。
【0033】
蓄電デバイス115から供給される起電力を用いてデータ無線通信プロセッサ116を稼働する。センサー117から得られた各種環境データ(例えば水温)を無線通信130により基地局131に集約させる。これにより、例えば養魚場の水温管理が容易になる。よって、養魚場等の経営に資することが可能となる。
【0034】
別の見方をすれば、以下のようになる。波力発電装置100は、例えば柱状もしくは棒状等の長手方向を有する超磁歪材料111を有する。一対の永久磁石112a、112bは、超磁歪材料111における長手方向の両端に接続され、互いに異なる磁極を対向させるように配置されている。
【0035】
さらに、波力発電装置100は、超磁歪材料111に巻き付けられたコイル113と、超磁歪材料111と永久磁石112a、112bを支持する支持台110a、110bと、を有する。
【0036】
ここで、支持するとは、加圧力121によって、超磁歪材料111と永久磁石112a、112bが移動してしまい、逆磁歪効果が生じなくならないように、超磁歪材料111と永久磁石112a、112bの移動を抑制することである。また、ここでは、一対となった支持台110a、110bを示しているが、一つのみで支持しても安定性を保持できれば、一対としなくても良い。
【0037】
長手方向と交差する交差方向での超磁歪材料111の側面を揺動により加圧力121で加圧することで、逆磁歪効果によって超磁歪材料111中の磁力線の強さが変動しコイル113に電磁誘導による起電力が発生する。
【0038】
より好ましくは、波力発電装置100は、超磁歪材料111の側面を揺動により加圧する加圧体160を有する。コイル113は、長手方向の中央部分を除く中央部分の両側に巻き付けられているのが望ましい。中央部分は、加圧体160により加圧される。中央部分にコイル113がないことで、加圧により、コイル113がダメージを受けない。なお、コイル113は、例えば被覆を有する導線コイルである。
【0039】
また、逆磁歪効果を効率的に生じさせるには、超磁歪材料111である、ガルフェノール合金は、単結晶がより望ましい。さらに、加圧される超磁歪材料の側面が、超磁歪材料の結晶方位(100)、(010)、(111)のいずれかに沿ったものであるのが望ましい。
【0040】
図1に示す波力発電装置100に示す主な部分の数値的な例を挙げると、以下のようになる。しかし、現状でのガルフェノール合金を用いた一例であり、将来的にガルフェノール合金の製造技術が改良されサイズや結晶性が変わったり、材料が変わることで、変化していくものである。
【0041】
超磁歪材料111の長手方向のサイズが50~200mm、横のサイズが5~20mm、幅サイズが0.5~2mm程度である。加圧力121が衝撃エネルギー換算で0.1~1.0J程度、一度の加圧力121による衝撃発電量が1~20μWs程度である。
【0042】
以上のように、図1に示された波力発電装置100では、主に、超磁歪材料111における長手方向の両端に永久磁石112a、112bを接続した。波力発電装置100は、超磁歪材料111と永久磁石112a、112bを支持する支持台110a、110bを有するものとした。さらに、超磁歪材料111の側面を揺動により加圧するものとした。
【0043】
これにより、磁気抵抗を低下させて、安定して電力を得ることができるものである。
【0044】
尚、ここでは、加圧力121を与えるものとして、揺動によるものを例としている。具体的には、超磁歪材料111を水中に入れ、波により加圧体160が揺動するものや、停泊中の船やブイが波により揺動して、加圧体に加圧力を与えるものがある。陸上に置かれた帆に連結されたロッキングチェアー状の構造物が風により揺動するものも考えられる。また、波自身が超磁歪材料111の側面に加圧することも考えられる。
【0045】
また、揺動によらなくても、超磁歪材料111の側面に加圧が加えられれば、他の方法を適用することも可能である。上述した揺動の例や他の加圧が加えられるものへの適用については、以下の実施の形態でも同様である。
【0046】
(実施の形態2)
図2には、実施の形態2に係る発電装置の概略を示す。波力発電装置101は支持台110a、110b、超磁歪材料111、一対のU字形永久磁石140a、140bから構成されている。U字形永久磁石140a、140bは互いに異なる磁極を対向させた状態で各々に超磁歪材料111を連結させている。
【0047】
また、別の見方をすれば、超磁歪材料111は、第1部111aと第2部111bとを有し、第1部111aと第2部111bとは互いに並ぶように設けられている。
【0048】
永久磁石140a、140bは、U字型を有し、U字型の第1の端が第1部111aの端に、U字型の第2の端が第2部111bの端に接続されている。
【0049】
超磁歪材料111にはコイル113が巻かれ、コイル113から先の接続は、図1に記載されたダイオードブリッジ114と同様になっている。このため、ダイオードブリッジ114以降の接続等に関しては、以後の実施形態を含め説明を省略する。
【0050】
図2においては、加圧力121は図2を貫通するように(紙面に垂直な方向に)加わり、超磁歪材料111中にて逆磁歪効果が発現する。磁力線120はU字形永久磁石140a、140bと超磁歪材料111を循環するように閉じた経路を成していることから互いに影響を及ぼし合い、逆磁歪効果を増幅させる結果、発電効率が向上する。
【0051】
(実施の形態3)
図3には、実施の形態3に係る発電装置の概略を示す。波力発電装置102は支持台110a、110b、超磁歪材料150、一対の永久磁石112a、112bから構成されいる。超磁歪材料150は複数の凸部150aと複数の凹部150bを有している。超磁歪材料の凹部150bにはコイル113が巻かれ、図1のダイオードブリッジ114と同様に接続されている。
【0052】
超磁歪材料150における複数の凸部150aに対して、加圧体160が直接または他のものを介して間接的に衝突するもしくは加圧することで、加圧力121が凸部150aに付与される。これにより、超磁歪材料150中にて逆磁歪効果が発現する。
【0053】
別の見方をすれば、超磁歪材料150の側面を揺動により加圧する加圧体160を備えている。長手方向に直交し、かつ、磁歪材料150の側面を揺動により加圧される方向に直交する方向から見た場合、超磁歪材料150は少なくとも1つの凹凸構造を有している。凹凸構造の凹部150bには、コイル113が巻き付けられており、加圧体160は、凹凸構造の凸部150aを加圧するものである。
【0054】
尚、ここでは、加圧体160は複数の反跳弾性体162を介して複数の剛性端部体161に接続されている。反跳弾性体162により直接各凸部150aに加圧力121を加えられる場合は、剛性端部体161を省略してもよい。
【0055】
さらに、反跳弾性体162は各々異なる弾性定数を有するようにすると、凸部150aに衝突のストレスが印加されるタイミングと、衝突周期を分散させることができる。その結果、単発的で短時間の発電でなく、時間を分散させて発電することができる。よって、揺動周波数が低くとも安定的に発電することが可能となる。
【0056】
尚、いずれの反跳弾性体162も同じ弾性定数を有する場合は、一度に大きな加圧力を加えることができる。
【0057】
(実施の形態4)
図4には、実施の形態4に係る発電装置の概略を示す。波力発電装置103は支持台110a、110b、超磁歪材料111、一対の永久磁石112a、112bから主に構成されている。超磁歪材料111にはコイル113が巻かれ、図1のダイオードブリッジ114と同様に接続されている。
【0058】
加圧力121は、図4を貫通するように(紙面に垂直な方向に)付与されることで超磁歪材料111中の加圧範囲121aにて逆磁歪効果が発現する。加圧範囲121aを取り囲むように且つ間隙を隔てて隣接した強磁性材料170が設けられている。ここでの間隔は、磁力の影響を受ける程度の距離であり、具体的には、数mm程度である。
【0059】
強磁性材料170としては、鉄、コバルト、ニッケル、カドリニウム、またはこれらの合金が挙げられる。
【0060】
強磁性材料170にはコイル171が巻かれている。このコイル171も図1のダイオードブリッジ114に接続されている。
【0061】
別の見方をすれば、超磁歪材料111の長手方向に直交する方向、かつ、加圧力121が加えられる交差方向に直交する方向から見たものが図4である。超磁歪材料111と間隔を隔てて対向するように強磁性材料170が設けられている。ここでは、強磁性材料170はU字状の形状を有している。
【0062】
強磁性材料170の中央部には、強磁性材料用コイルとして、コイル171が巻き付けられている。
【0063】
この構造を取ることにより、逆磁歪効果が発現した際に超磁歪材料111から変動した磁力線120の一部は強磁性体170に移動することからコイル171にて新たに起電力を誘起することで発電への更なる寄与となる。
【0064】
さらに、図示されていないが、強磁性材料170は、超磁歪材料111を挟むように第1と第2の強磁性材料部とを備えても良い。これにより、強磁性材料の効果がより働くことになる。
【0065】
(実施の形態5)
図5には、実施の形態5に係る発電装置の概略を示す。波力発電装置104は支持台110a、110b、超磁歪材料111、一対の永久磁石112a、112bから構成されている。超磁歪材料111にはコイル113が巻かれ、図1のダイオードブリッジ114と同様に接続されている。
【0066】
超磁歪材料111の長手方向に対して垂直の方向(超磁歪材料111の側面方向)に摺動軌道180が形成されている。摺動軌道180の両端には、一対のストッパー181a、181bが設けられている。超磁歪材料111とストッパー181aの間、超磁歪材料111とストッパー181bの間の摺動軌道180上に摺動加圧体182a、182bがそれぞれ設置されている。
【0067】
別の見方をすれば、図5において、超磁歪材料111の一方側面の側に摺動加圧体182a、一方側面の側に対向する他方側面の側に摺動加圧体182bが設けられている。
【0068】
ここでは、波力による揺動を受けることで摺動加圧体182aと182bは摺動方向183に沿って、それぞれ、超磁歪材料111とストッパー181a、超磁歪材料111とストッパー181bの間を往復運動する。摺動加圧体182aと182bがそれぞれ超磁歪材料111に衝突もしくは加圧することで、逆磁歪効果を発現させる。
【0069】
尚、図5においては、超磁歪材料111の背面側に摺動軌道180がある。摺動加圧体182aと182bが超磁歪材料111の側面と衝突するよう、摺動加圧体182aと182bは、摺動軌道180より超磁歪材料111側に突出した部分を有している。
【0070】
別の見方をすれば、超磁歪材料111の側面は、対向する第1側面と第2側面とを有している。摺動軌道180は、第1側面および第2側面に交差するように超磁歪材料111の長手方向に交差する方向に設けられている。摺動軌道180上を摺動し、第1側面を揺動により加圧する少なくとも1つの第1の摺動加圧体と、摺動軌道180上を摺動し、第2側面を揺動により加圧する少なくとも1つの第2の摺動加圧体とを備えている。
【0071】
これまで、一本の摺動軌道180で説明したが、摺動軌道180をストッパー181aから超磁歪材料111の一方側面までと、ストッパー181bから超磁歪材料111の他方側面までとに分割し、2つの摺動軌道で、超磁歪材料111を挟んでも良い。この場合、摺動軌道180、超磁歪材料111、摺動加圧体182aと182bが、一直線状に並ぶようにすると良い。
【0072】
また、好ましくは、図中右側にあたる摺動長a(184)(ストッパー181aから超磁歪材料111の一方側面までの長さ)と図中左側にあたる摺動長b(185)(ストッパー181bから超磁歪材料111の他方側面までの長さ)は互いに異なる長さであることが望ましい。
【0073】
長さが異なることで、摺動加圧体182aと182bは超磁歪材料111との衝突のタイミングおよび周期をずらして、超磁歪材料111にストレスを与えることが可能となる。よって、単発的で短時間の発電でなく、時間を分散させて発電することができる。
【0074】
尚、図5のような、1つの揺動軌道180の場合、超磁歪材料111の位置を調整するのみで、摺動長a(184)と摺動長b(185)の長さを調整できる。
【0075】
また、摺動長a(184)と摺動長b(185)の長さが等しくても良い場合もある。これは、例えば、主に波の揺動方向がストッパー181aとストッパー181b間の方向であれば、摺動加圧体182aと182bの衝突周期は、おおよそ半周期ずれるため、発電を分散させることができることによる。
【0076】
さらに、超磁歪材料111の対向する両側面を利用できるよう摺動加圧体182aと182bを設ける例を示したが、発電の条件が厳しくなければ、一方の側面を利用する揺動軌道とし、摺動加圧体182a、または、摺動加圧体182bのいずれか1つとしても良い。つまり、波力発電装置104において、超磁歪材料111の側面が、対向する第1側面と第2側面とを有し、第1側面もしくは第2側面に交差するように交差方向に設けられた摺動軌道180を有する。さらに、摺動軌道180上を摺動し、第1側面を揺動により加圧する少なくとも1つの第1の摺動加圧体182a、もしくは、摺動軌道180上を摺動し、第2側面を揺動により加圧する少なくとも1つの第2の摺動加圧体182bを備えても良い。
【0077】
(実施の形態6)
実施の形態5との差異を中心に以下説明する。図6に示すように、波力発電装置105においては、摺動加圧体182a及び182bの両端には各々反跳弾性体186と剛性端部体187が連結されている。
【0078】
反跳弾性体186を有することで、摺動加圧体182aと摺動加圧体182bの揺動動作がし易くなる。一方、剛性端部体187があることで、摺動加圧体182aと摺動加圧体182bによる超磁歪材料111への衝撃を緩和できる。
【0079】
尚、反跳弾性体186のみで安定して揺動動作が可能であれば、剛性端部体187を設けなくても良い。また、ここでは、摺動加圧体182aと摺動加圧体182bの両端に反跳弾性体186と剛性端部体187を設けているが、揺動速度の調整によっては、一方端のみでも良い。さらに、摺動加圧体182aと摺動加圧体182bのいずれかのみに反跳弾性体186と剛性端部体187、もしくは、反跳弾性体186を設けても良い。
【0080】
別の見方をすれば、第1の摺動加圧体である摺動加圧体182a、もしくは、第2の摺動加圧体である摺動加圧体182bには、超磁歪材料111の側面側の面および超磁歪材料111の側面と反対側の面のいずれか一面もしくは両面に反跳弾性体186が接続されている。
【0081】
さらに、好ましくは、反跳弾性体186の弾性定数は各個に異なる特性を有しているのが望ましい。このことにより、揺動周期を様々に変えられるため、加圧されるタイミングをずらすことが容易となる。よって、揺動周波数が低くともより一層安定的に発電することが可能となる。
【0082】
(実施の形態7)
実施の形態6との差異を中心に以下説明する。図7に示すように、波力発電装置106は、ストッパー181aと超磁歪材料111の間に複数の摺動加圧体182a、ストッパー181bと超磁歪材料111の間に複数の摺動加圧体182bが設けられている点である。ここでは、超磁歪材料111の一方側面の側と他方側面の側のそれぞれに2個と同数の摺動加圧体が設けられているが、側面により異なる個数でも良い。
【0083】
また、ここでは、各摺動加圧体182a、182bに反跳弾性体186と剛性端部体187を設けた例を示しているが、実施の形態6で示したように適宜省略することもできる。反跳弾性体186の弾性定数もそれぞれ等しくも、異なるようにも調整できる。
【0084】
さらに、摺動加圧体182aまたは摺動加圧体182bのいずれか一方が単数で、他方が複数となるように設けても良い。また、摺動加圧体182aまたは摺動加圧体182bのいずれか一方を複数設け、他方を設けないことも考えられる。
【0085】
図7に示す波力発電装置106では、摺動加圧体182a、182bを複数有し、また、いずれかの摺動加圧体182a、182bが少なくとも反跳弾性体186を有することで、揺動周期を様々に変えられる。このため、加圧されるタイミングをずらすことが容易となり、揺動周波数が低くともより一層安定的に発電することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示の内容は、好ましくは揺動運動を起電力に変えるものである。さらに、波力のような揺動周波数が低い動力源に適用することで安定的且つ高効率に発電を持続させることができる波力発電装置にも適用可能である。より具体的には、例えば、海洋観測や養魚場経営等における産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0087】
1 発電装置、10 支持台、11 超磁歪材料、12 永久磁石、13 磁路、14 コイル、15 ダイオードブリッジ、16 出力端子、20 磁力線、21 加圧力、100,101,102,103,104,105,106 波力発電装置、110a,110b 支持台、111,150 超磁歪材料、112a,112b 永久磁石、113,171 コイル、114 ダイオードブリッジ、115 蓄電デバイス、116 データ無線通信プロセッサ、117 センサー、120 磁力線、121 加圧力、130 無線通信、131 基地局、140a,140b U字形永久磁石、150a 凸部、150b 凹部、160 加圧体、161,167 剛性端部体、162,186 反跳弾性体、121a 加圧範囲、170 強磁性材料、180 摺動軌道、181a,181b ストッパー、182a,182b 摺動加圧体、183 摺動方向、184 摺動長a,185 摺動長b。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8