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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130039
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20240920BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039522
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加登山 太河
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA14
5E021FA16
5E021FC31
5E021FC38
5E021HB15
5E021HC12
5E021HC31
5E021HC35
5E021JA05
5E021KA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コネクタのロック解除時の操作性を向上させる。
【解決手段】コネクタであって、ハウジング20と、検知部材とを含み、ハウジングは、相手ハウジング3に嵌合可能なハウジング本体21と、相手ハウジング3にロックするロックアーム33とを含み、検知部材は、ハウジング本体に対して待機位置と検知位置とに移動可能に組み付けられた検知部材本体51と、検知部材本体を待機位置から検知位置に向かう方向に付勢することにより、検知部材本体を両ハウジングの正規嵌合に伴って待機位置から検知位置に移動させる付勢部材と、検知部材本体に対して設けられ、検知部材本体を検知位置から待機位置に移動操作するための操作部とを含み、操作部には、検知部材本体の検知位置から待機位置への移動に伴い、ロックアームをロック解除方向に変位させることで、両ハウジングの正規嵌合を解除する第1斜面部を有する突起66Aが設けられている。
【選択図】図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタであって、
ハウジングと、
検知部材と、を含み、
前記ハウジングは、
相手ハウジングに嵌合可能なハウジング本体と、
前記相手ハウジングにロックするロックアームと、を含み、
前記検知部材は、
前記ハウジング本体に対して待機位置と検知位置とに移動可能に組み付けられた検知部材本体と、
前記検知部材本体を前記待機位置から前記検知位置に向かう方向に付勢することにより、前記検知部材本体を両ハウジングの正規嵌合に伴って前記待機位置から前記検知位置に移動させる付勢部材と、
前記検知部材本体に対して設けられ、前記検知部材本体を前記検知位置から前記待機位置に移動操作するための操作部と、を含み、
前記操作部には、前記検知部材本体の前記検知位置から前記待機位置への移動に伴い、前記ロックアームをロック解除方向に変位させることで、両ハウジングの正規嵌合を解除する第1斜面部を有する突起が設けられている、コネクタ。
【請求項2】
前記ロックアームは、前記検知位置から前記待機位置に向かう第1方向に延びる壁を有し、
前記検知部材本体の前記操作部は、前記ロックアームの前記壁に沿って前記第1方向に移動することで、前記検知部材本体の前記検知位置から前記待機位置への移動を案内するガイド突起を有し、
前記第1斜面部は、前記ガイド突起に設けられている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ロックアームは、前記第1方向に直交する第2方向に対向して前記壁を一対有し、
前記ガイド突起及び前記第1斜面部は、前記一対の壁に対応して一対設けられている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ロックアームには、上面が前記ガイド突起の移動面である、レール部が設けられ、
前記検知部材本体の検知位置から待機位置への移動に伴い、前記ガイド突起の前記第1斜面部が、前記レール部を介して前記ロックアームを解除方向に押し込むことにより、前記ハウジング本体に対する前記ロックアームのロックを解除する、請求項2又は請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記レール部のうち、前記検知位置から前記待機位置に向かう前記第1方向の後部側には、前記レール部に対する前記ガイド突起の乗り上げを案内する第2斜面部が設けられている、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記レール部には、前記検知部材本体が前記検知位置から前記待機位置まで移動した時に、前記操作部に当接することにより、前記検知部材本体のそれ以上の移動を規制するストッパ壁が設けられている、請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタの一例として、特開2016-91817号公報(下記特許文献1)に記載のコネクタが知られている。このコネクタは、相手ハウジングに嵌合可能なハウジングと検知部材とを備える。検知部材は、ハウジングに対して待機位置と検知位置とに移動可能に組み付けられる。検知部材は、両ハウジングが正規嵌合されるまでは、待機位置に位置し、両ハウジングが正規嵌合すると、バネの弾性力により、検知位置へ移動する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-91817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコネクタは、検知部材が待機位置から検知位置に移動することで、両ハウジングの正規嵌合を検知することができ、コネクタ嵌合の信頼性を向上させることが出来る。しかし、正規嵌合するコネクタのロックを解く場合、検知部材を検知位置から待機位置に向かって第1方向(特許文献1の例では、水平方向)に移動させた後、検知部材に対して第2方向(特許文献1の例では、垂直方向)に力を加えないと、ロック解除できない構造になっている。つまり、ロック解除のため、検知部材に対して、第1方向と第2方向の2方向に力を加える必要があり、操作性が課題となっていた。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、嵌合検知機能を備えたコネクタにおいて、ロック解除時の操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、ハウジングと、検知部材と、を含み、前記ハウジングは、相手ハウジングに嵌合可能なハウジング本体と、前記ハウジング本体に対して設けられ、両ハウジングの正規嵌合位置において、相手ハウジングにロックするロックアームと、を含み、前記検知部材は、前記ハウジング本体に対して待機位置と検知位置とに移動可能に組み付けられた検知部材本体と、前記検知部材本体を前記待機位置から前記検知位置に向かう方向に付勢することにより、前記検知部材本体を両ハウジングの正規嵌合に伴って前記待機位置から前記検知位置に移動させる付勢部材と、前記検知部材本体に対して設けられ、前記検知部材本体を前記検知位置から前記待機位置に移動操作するための操作部と、を含み、前記操作部には、前記検知部材の前記検知位置から前記待機位置への移動に伴い、前記ロックアームをロック解除方向に変位させることで、両ハウジングの正規嵌合を解除する第1斜面部を有する突起が設けられている、コネクタ。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、嵌合検知機能を備えたコネクタにおいて、ロック解除時の操作性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、斜め後方から見たコネクタの斜視図である。
図2図2は、コネクタの断面斜視図である。
図3図3は、コネクタの分解斜視図である。
図4図4は、ハウジングの分解斜視図である。
図5図5は、ハウジングの正面図である。
図6図6は、外筒部の一部を切断したハウジングの一部切断斜視図である。
図7図7は、ハウジングの垂直断面斜視図である。
図8図8は、斜め後方から見たハウジング後部の斜視図である。
図9図9は、検知部材の平面図である。
図10図10は、斜め上方から見た検知部材の斜視図である。
図11図11は、斜め前方から見た検知部材の斜視図である。
図12図12は、斜め後方から見た検知部材の斜視図である。
図13図13は、検知部材の背面図である。
図14図14は、図13のA-A線断面図である。
図15図15は、コネクタの垂直断面図である。
図16図16は、嵌合前の状態を示すコネクタの中央断面図(図15のB-B線断面図)である。
図17図17は、嵌合過程を示すコネクタの中央断面図である。
図18図18は、正規嵌合状態を示すコネクタの中央断面図である。
図19図19は、正規嵌合に伴い検知部材が待機位置から検知位置に移動した状態を示すコネクタの中央断面図である。
図20図20は、図19に対して切断位置を図15のB-B線からC-C線に変更したコネクタの断面図である。
図21図21は、図20を斜視図で示したコネクタの断面斜視図である。
図22図22は、ロック解除動作を示すコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示のコネクタは、ハウジングと、検知部材と、を含み、前記ハウジングは、相手ハウジングに嵌合可能なハウジング本体と、前記ハウジング本体に対して設けられ、両ハウジングの正規嵌合位置において、相手ハウジングにロックするロックアームと、を含み、前記検知部材は、前記ハウジング本体に対して待機位置と検知位置とに移動可能に組み付けられた検知部材本体と、前記検知部材本体を前記待機位置から前記検知位置に向かう方向に付勢することにより、前記検知部材本体を両ハウジングの正規嵌合に伴って前記待機位置から前記検知位置に移動させる付勢部材と、前記検知部材本体に対して設けられ、前記検知部材本体を前記検知位置から前記待機位置に移動操作するための操作部と、を含み、前記操作部には、前記検知部材本体の前記検知位置から前記待機位置への移動に伴い、前記ロックアームをロック解除方向に変位させることで、両ハウジングの正規嵌合を解除する第1斜面部を有する突起が設けられている、コネクタである。
【0010】
両ハウジングが正規嵌合している状態において、操作部を介して、検知部材本体に対し検知位置から待機位置に向かう方向に力を加えると、検知部材本体は、検知位置から待機位置に向かって移動する。そして、検知位置から待機位置への移動中に、操作部に設けた突起の第1斜面部が、ロックアームに当接してロックアームをロック解除方向に変位させる。これにより、検知部材に対して検知位置から待機位置に向けて一方向に力を加えるだけで、両ハウジングの正規嵌合を解除することが出来る。そのため、ロック解除のため、検知部材に対して2方向に力を加えることが必要な特許文献1のコネクタと比較して、ロック解除時の操作性が向上する。
【0011】
[2]上記[1]において、前記ロックアームは、前記検知位置から前記待機位置に向かう第1方向に延びる壁を有し、前記検知部材本体の前記操作部は、前記ロックアームの前記壁に沿って前記第1方向に移動することで、前記検知部材本体の前記検知位置から前記待機位置への移動を案内するガイド突起を有し、前記第1斜面部は、前記ガイド突起に設けられた構成でもよい。
【0012】
この構成は、ガイド機能を有さない場合に比べて、摩擦等のロスが少なく、第1方向に特に大きな力を加えなくても、検知部材を第1方向に押し込んで、ロックアームをロック解除することが可能である。そのため、ロック解除時の操作性がより一層向上する。また、第1斜面部は、ガイド突起に設けられているから、他の部位に設置する場合に比べて、構造が簡便である。
【0013】
[3]上記[2]において、前記ロックアームは、前記第1方向に直交する第2方向に対向して前記壁を一対有し、前記ガイド突起及び前記第1斜面部は、前記一対の壁に対応して一対設けられていてもよい。
【0014】
ガイド突起は一対の構成であるから、単一の場合に比べて、検知部材本体を、検知位置から待機位置に移動させる際に、検知部材本体の傾きを小さくして、姿勢を保つことが出来る。また、第1斜面部も一対の構成であるから、ロックアームに対し、一対の第1斜面部を介して、解除方向に均等に力を加えることができる。そのため、ロック解除時に、ロックアームがロック解除方向以外に傾くことを抑制できる。以上のことから、ロックアームのロック解除不良を抑制することが出来る。
【0015】
[4]上記[2]又は[3]において、前記第2アームには、上面が前記ガイド突起の移動面である、レール部が設けられ、前記検知部材本体の検知位置から待機位置への移動に伴い、前記ガイド突起の前記第1斜面部が、前記レール部を介して前記ロックアームを解除方向に押し込むことにより、前記ハウジング本体に対する前記ロックアームのロックを解除してもよい。
【0016】
操作部を介して第1方向に力を加え、検知部材本体を検知位置から待機位置に向かって移動させると、ガイド突起の第1斜面部が、レール部を介してロックアームを解除方向に押し込む。この結果、ロックアームをロック解除することが出来る。
【0017】
[5]上記[4]において、前記レール部のうち、前記検知位置から前記待機位置に向かう前記第1方向の後部側には、前記レール部に対する前記ガイド突起の乗り上げを案内する第2斜面部が設けられていてもよい。この構成は、第2斜面部を通ることで、ガイド突起は、レール部にスムーズに乗り上げて移動することが出来る。これにより、ガイド突起がレール後端に引っ掛って移動できないなど、検知部材の動作不良を抑制することが出来る。
【0018】
[6]上記[4]又は[5]において、前記レール部には、前記検知部材本体が前記検知位置から前記待機位置まで移動した時に、前記操作部に当接することにより、前記検知部材本体のそれ以上の移動を規制するストッパ壁が設けられていてもよい。この構成では、検知位置に移動した検知部材が、それ以上、前方に移動することを規制出来る。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「垂直」や「直交」は、厳密に平行や垂直や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や垂直や直交の場合も含まれる。
【0020】
各図面では、互いに垂直な3方向を示し、当該3方向をそれぞれ第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3として示している。すなわち、第1方向D1と第2方向D2とは互いに垂直であり、第1方向D1と第3方向D3とは互いに垂直であり、第2方向D2と第3方向D3とは互いに垂直である。各方向を示す実線の両側に矢印を記載していることにより、符号が記載された側の矢印の方向のみならず、符号が記載されていない側の矢印の方向も当該方向を示すものとする。
【0021】
また、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。また、「筒状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれる。
【0022】
また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0023】
<実施形態>
(コネクタ10の構成)
コネクタ10は、車両用の相手側機器1に接続されるコネクタ10である。図1図2に示すように、相手側機器1は、筐体2、相手ハウジング3を備える。相手ハウジング3は、筒状であり、筐体2の壁面から第1方向D1に突出している。
【0024】
相手ハウジング3の上下両壁の外面には、一対のロック部6が突出して設けられている。ロック部6は、ロック本体部7と、突片部8とを有している。突片部8は、ロック本体部7の中央部から第1方向D1に突出する側面視略三角形状である。
【0025】
図1図3に示すように、コネクタ10は、ハウジング20及び検知部材50を備えている。
【0026】
(ハウジング20の構成)
ハウジング20は、合成樹脂製であって、図4に示すように、インナハウジング21、リテーナ23、アウタハウジング31を備える。インナハウジング21は、本開示の「ハウジング本体」に相当する。
【0027】
インナハウジング21は、第1方向D1に長い形状であり、第2方向D2に、キャビティ22を2列有している。キャビティ22は、端子金具(図略)を収容する。
【0028】
アウタハウジング31は、図6図7に示すように、保持部32、ロックアーム33及び外筒部45を有している。保持部32は第1方向D1に貫通する筒状であり、インナハウジング21の後部を内部に収容して保持する。
【0029】
ロックアーム33は、保持部32の上面に、設けられている。ロックアーム33は、一対の揺動壁34A、揺動壁34B、第1連結部36、第2連結部37及び第3連結部38を備える。
【0030】
図7に示すように、揺動壁34Aは、基端部35Aを中心として、第1方向D1に延びている。図8に示すように、揺動壁34Bは、揺動壁34Aと第2方向D2に平行向かい合っており、揺動壁34Aと同様の構成となっている。
【0031】
第1連結部36は一対の揺動壁34A、揺動壁34Bの前端部を連結し、第2連結部37は一対の揺動壁34A、34Bの中間部を連結する。また、第3連結部38は、一対の揺動壁34A、34Bの後部を連結する。
【0032】
一対の揺動壁34A、34Bは、一対の基端部35A、35Bを中心として、全体がシーソー状に揺動可能である。また、第1連結部36と第2連結部37により前後を挟まれた空間は、ロック孔39である。このロック孔39には、コネクタ嵌合時、相手ハウジング3のロック部6がロックする。
【0033】
また、図8に示すように、一対の揺動壁34A、34Bの外側面には、レール部41A、41Bがそれぞれ設けられている。
【0034】
レール部41A、41Bは、第1方向D1に延びており、ロックアーム33の支点となる基端部35A、35Bとの関係では、基端部35A、35Bの後方に位置している。言い換えると、レール部41A、41Bは、ロックアーム33のロック側(基端部35A、35Bの前側)、解除操作側(基端部35A、35Bの後側)のうち、解除操作側(基端部35A、35Bの後側)に位置している。レール部41A、41Bの前部にはストッパ壁42A、42Bが設けられ、後部には第2斜面部44A、44Bが設けられていている。ストッパ壁42A、42Bの壁面43は垂直面である。第2斜面部44A、44Bは第1方向D1の前方に向かって高くなる斜面である。
【0035】
尚、第1方向D1の前後は、待機位置を前、検知位置を後とする。
【0036】
外筒部45は、インナハウジング21及びロックアーム33を囲む筒状である。外筒部45の下面壁は、図6に示すように、リテーナ挿入孔46が設けられている。リテーナ挿入孔46を通じて、リテーナ23が組み付けられ、保持部32に組み付けられたインナハウジング21を抜け止めしている。
【0037】
(検知部材50の構成)
検知部材50は、合成樹脂製であり、検知部材本体51、コイルばね57(図3で示す)及び操作部65を含む。コイルばね57は、本発明の「付勢部材」に相当する。
【0038】
検知部材本体51は、図9から図11に示すように、一対の縦壁52A、縦壁52B、係止アーム53、コルルばね収容部56A、56B、第1連結部58及び第2連結部61を含む。
【0039】
一対の縦壁52A、縦壁52Bは、第2方向D2に対向し、第1方向D1に平行に延びている。第1連結部58は板形状であり、縦壁52A、縦壁52Bの中央から後端の範囲にあって、一対の縦壁52A、縦壁52Bを連結している。
【0040】
係止アーム53は、一対の縦壁52A、縦壁52Bの間にあって、第1連結部58から前方に延びる片持ちの梁状である。係止アーム53の前端部には、係止部54が設けられている。アウタハウジング31のロックアーム33に設けられたロック孔39に対して、係止アーム53の係止部54が上方向から係止することにより、検知部材本体51は、図16に示す待機位置にて、ハウジング20に対して保持される。また、係止アーム53の中間部55は平なストレート面とされる。
【0041】
図11に示すように、コイルばね収容部56A、56Bは、一対の縦壁52A、縦壁52Bの下部に、それぞれ設けられている。コイルばね収容部56A、56Bはコイルばね57を収容する。コイルばね収容部56A、56Bの外面壁底部には、ストッパ59が設けられている。
【0042】
図10に示すように、第2連結部61は、一対の縦壁52A、縦壁52Bの上部中央に設けられており、一対の縦壁52A、縦壁52Bを連結している。
【0043】
操作部65は、図10に示すように、第2連結部61の後部に、設けられている。操作部65の第1方向D1の断面形状は、概ね三角形状であり、前面側と後面側は共に傾斜している。
【0044】
また、操作部65の下面には、図12図13に示すように、一対のガイド突起66A、ガイド突起66Bが設けられている。
【0045】
図14は、図13のA-A線断面である。図14に示すように、ガイド突起66Bの前面には第1斜面部67Bが設けられている。第1斜面部67Bは、後方(図14の右方向)に向かって突出高さCが高くなるように傾斜するテーパ面である。ガイド突起66Aも同様であり、同じ形状の第1斜面部67Aを有している。
【0046】
また、図14に示すように、ガイド突起66Bに対応して、逃がし部71Bが設けられている。逃がし部71Bは、ガイド突起66Bの前方上部に位置している。ガイド突起66A側についても同様であり、ガイド突起66Aに対応して逃がし部71Aが設けられている。
【0047】
一対のガイド突起66A、ガイド突起66Bは、第2方向D2において、一対の揺動壁34A、34Bの外面側に位置しており、一対の揺動壁34A、34Bを内側に挟み込んでいる。このようにすることで、2つのガイド突起66A、ガイド突起66Bにより、ハウジング20に対する検知部材本体51の前後移動(第1方向D1の移動)をガイドすることが出来る。
【0048】
検知部材本体51は、2つのガイド突起66A、ガイド突起66Bによりガイドされつつ、ハウジング20に対して、図16に示す待機位置と、図19に示す検知位置とに移動することが出来る。
【0049】
図19に示す検知位置において、ガイド突起66Aは、図20図21に示すように、ロックアーム33の後方に位置し、ロックアーム33から離れている。
【0050】
ガイド突起66Aの下面の高さ位置は、ロックアーム33の後部に設けられたレール部41Aの上面の高さ位置よりも低くなっている(図20にて高低差を寸法Hで示す)。尚、ガイド突起66Bも同様の構成になっている。
【0051】
その結果、検知部材本体51が図19図20に示す検知位置から図22に示す待機位置に移動する時に、前面の第1斜面部67A、67Bがレール部41A、41Bを下方に押しながら、ガイド突起66A、ガイド突起66Bがレール部41A、41Bの上面に乗り上げる構成になっている。
【0052】
(コネクタの嵌合動作)
コネクタ10の嵌合動作について説明する。コネクタ嵌合に先立ち、ハウジング20に対して検知部材本体51が第1方向D1の後方から待機位置に組み付けられる(図16参照)。検知部材本体51が待機位置に組み付けられた状態では、検知部材本体51の係止アーム53がロックアーム33のロック孔39に対して上方から係止し、検知部材本体51は待機位置に保持される(前方に保持)。
【0053】
上記の状態から、インナハウジング21を相手ハウジング3に収めつつ、ハウジング20は、相手ハウジング3に対して嵌合させる。嵌合過程で、ロック部6の突片部8の斜面にロックアーム33の第1連結部36が乗り上げることから、図17に示すように、ロックアーム33は基端部35A、35Bを支点として、第1連結部36を上方へ持ち上げられる方向に撓み変形する。
【0054】
その後、ハウジング20が正規嵌合位置まで押し込まれると、図18に示すように、ロックアーム33の第1連結部36がロック部6を乗り越える。
【0055】
これにより、ロックアーム33が弾性的に復帰する結果、相手ハウジング3のロック部6が、ロックアーム33のロック孔39に下方から嵌り込み、ロックする。
【0056】
以上により、両ハウジング3、20は正規嵌合状態に保持される。正規嵌合状態において、相手ハウジング3のタブ5が、インナハウジング21のキャビティ22に収容された端子金具に挿入され、コネクタ10は電気的に接続される。
【0057】
また、嵌合の過程では、相手ハウジング3に押圧されることにより、コイルばね57に、ばね力が蓄勢される。そして、両ハウジング3、20が正規嵌合に至ると、相手ハウジング3のロック部6により押し出され、係止アーム53の係止部54は、ロックアーム33のロック孔39に対する係止が外れる。
【0058】
すると、待機位置にある検知部材本体51は、コイルばね57のバネ力を受けて、第1方向D1の後方(図18図19の右方向)に押される。そして、検知部材本体51が図19に示す検知位置に至ると、検知部材本体51のストッパ59がアウタハウジング31の一部に突き当たり、検知部材本体51は検知位置に保持される。
【0059】
尚、検知位置においては、図19に示すように、ロックアーム33の第3連結部38の下方に、検知部材本体51の係止アーム53の中間部55が入りこむ。
【0060】
そのため、この状態で、ロックアーム33をロック解除方向に押しても、ロックアーム33はロック解除方向に変位せず、検知部材本体51が図19に示す検知位置にある状態では、ロック解除できない構造になっている。
【0061】
尚、検知部材本体51を検知位置から待機位置に向かって移動させると、移動の過程で、係止アーム53の中間部55がロックアーム33の第3連結部38から外れることから、ロックアーム33のロック解除操作が可能となる。
【0062】
また、図19に示す検知位置において、ガイド突起66Aは、図20図21に示すように、ロックアーム33の後方に位置し、レール部41Aから離れている。ガイド突起66Bも同様であり、ロックアーム33の後方に位置し、レール部41Aから離れている。
【0063】
メンテナンス等の事情により、嵌合状態にある両ハウジング3、20を離脱させる際には、操作部65に対して第1方向D1に力を加え、検知部材本体51を、検知位置から待機位置に向かって移動させる。
【0064】
すると、前面の第1斜面部67Aがレール部41Aを下方に押しながら、ガイド突起66Aがレール部41Aに乗り上げてゆく。同様に、前面の第1斜面部67Bがレール部41Bを下方に押しながら、ガイド突起66Bがレール部41Bに乗り上げてゆく。
【0065】
これにより、検知部材本体51が待機位置に近づくに連れ、ロックアーム33は、ガイド突起66A、66B、レール部41A、41Bを介して、第1方向D1の後端部を第2方向D2に押し下げられ、その結果、図22にてF矢印で示すように、第1方向D1の前端部が上方に持ち上がる。
【0066】
そして、検知部材本体51が待機位置まで移動すると、ロックアーム33のロック孔39から相手ハウジング3のロック部6が外れ、ロック解除する。これにより、嵌合状態にある両ハウジング3、20を離脱させることが出来る。
【0067】
尚、ロック解除は、必ずしも待機位置まで移動した後である必要はなく、ロックアーム33の解除方向への変位が許容される位置まで検知部材本体51が移動していれば、待機位置に到達する前段階で、実行されてもよい。
【0068】
また、検知部材本体51が待機位置まで移動すると、図22に示すように、レール部41Aの前端に位置するストッパ壁42Aに対して、操作部65の一部、具体的には、操作部65の逃し部71Aの奥壁72Aが突き当たる。これにより、待機位置より前方に移動しないように、検知部材本体51の位置を待機位置にて規制することができる。
【0069】
(本実施形態の作用効果)
(1)コネクタ10が正規嵌合している状態から、検知部材本体51に対して第1方向D1に力を加え、検知位置から待機位置に移動させると、ガイド突起66A、66Bの第1斜面部67A、67Bが、ロックアーム33のレール部41を下方に押し込んで、ロックアーム33をロック解除方向に変位させる。これにより、ロックアーム33は自動的にロック解除し、両ハウジング3、20の嵌合が解かれる。
【0070】
このようにコネクタ10は、検知部材本体51に対して第1方向D1に力を加えるだけで、ロックアーム33を自動的にロック解除できるから、ロック解除に2方向の操作(2ステップの操作)が必要な特許文献1のコネクタと比較して、ロック解除時の操作性が向上する。
【0071】
(2)検知部材50は、ガイド突起66A、66Bによるガイド作用を受けて、第1方向D1に移動する。その結果、ガイド機能を有さない場合に比べて、摩擦等のロスが少なく、第1方向D1に特に大きな力を加えなくても、検知部材50を第1方向D1に押し込んで、ロックアーム33をロック解除することが可能である。そのため、ロック解除時の操作性がより一層向上する。
【0072】
また、第1斜面部67は、ガイド突起66A、ガイド突起66Bに設けられているから、他の部位に設置する場合に比べて、構造が簡便である。
【0073】
(3)また、ガイド突起66A、ガイド突起66Bは、一対の構成であるから、単一の場合に比べて、検知部材本体51を第1方向D1に移動させる際に、検知部材本体51の傾きを小さくして、姿勢を保つことが出来る。
【0074】
また、第1斜面部67A、67Bも一対の構成であるから、ロックアーム33に対し、一対の第1斜面部67A、67Bを介して、解除方向に均等に力を加えることができる。そのため、ロック解除時に、ロックアーム33がロック解除方向以外に傾くことを抑制できる。以上のことから、ロックアーム33のロック解除不良を抑制することが出来る。
【0075】
(4)また、レール部41A、41Bのうち、第1方向D1の後部に、第2斜面部44A、44Bを設けることで、ガイド突起66A、ガイド突起66Bが、レール後端に引っかかることなく、レール部41A、41Bに乗り上げて移動できる。これにより、ガイド突起66A、66Bがレール後端に引っ掛って移動できないなど、検知部材50の動作不良を抑制することが出来る。
【0076】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0077】
・上記実施形態では、インナハウジング21とアウタハウジング31を別体としが、一体としてもよい。
【0078】
・上記実施形態では、第1斜面部をガイド突起に設けたが、第1斜面部を検知部材の他の部位に設けてもよい。
【0079】
・上記実施形態では、ガイド突起及び第1斜面部を1対設けたが、ガイド突起及び第1斜面部は1つでもよい。また、3以上でもよい。
【0080】
・上記実施形態では、ロックアームをシーソー状に揺動する形態としたが、ロックアームは片持ちの梁状でもよい。
【0081】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1:相手側機器
2:筐体
3:相手側ハウジング
5:タブ
6:ロック部
7:ロック部本体
8:突片部
10:コネクタ
20:ハウジング
21:インナハウジング(ハウジング本体)
22:キャビティ
23:リテーナ
31:アウタハウジング
32:保持部
33:ロックアーム
34A、34B:揺動壁
35A、35B:基端部
36:第1連結部
37:第2連結部
38:第3連結部
39:ロック孔
41A、41B:レール部
42A、42B:ストッパ壁
43:壁面
44A、44B:第2斜面部
45:外筒部
46:リテーナ挿入孔
50:検知部材
51:検知部材本体
52A、52B:縦壁
53:係止アーム
56A、56B:コルばね収容部
57:コイルばね(付勢部材)
58:第1連結部
59:ストッパ
61:第2連結部
65:操作部
66A、66B:ガイド突起
67A、67B:第1斜面部
71A、71B:逃がし部
72A、72B:奥壁
D1:第1方向
D2:第2方向
D3:第3方向
図1
図2
図3
図4
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