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特開2024-130043セルフロック機構、送り装置及び流体供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130043
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】セルフロック機構、送り装置及び流体供給装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20240920BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F16H25/20 H
A61M5/142 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039528
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明彦
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 良之
【テーマコード(参考)】
3J062
4C066
【Fターム(参考)】
3J062AA60
3J062AB24
3J062AC07
3J062BA21
3J062BA35
3J062CD02
3J062CD22
3J062CD79
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE14
4C066FF04
4C066HH03
4C066HH13
4C066HH22
(57)【要約】
【課題】ねじ山の強度増加やモータ等の制御を行う必要なく、ねじ山の摩耗や欠損が生じたときに可動体の移動を停止可能とする。
【解決手段】セルフロック機構5gであって、プランジャ4bの送り方向に平行な送り軸線O1回りに回転可能な送りねじ5cと組み合わされたスライダ5aの送り軸線O1に対する傾きに伴って傾く傾動ブロック14と、基準姿勢の傾動ブロック14の移動を可能とすると共に、送り軸線O1に対して傾くことで基準姿勢と異なる傾斜姿勢となった傾動ブロック14の移動を規制するガイドシャフト12と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の送り方向に平行な送り軸線回りに回転可能な送りねじと組み合わされた可動体の前記送り軸線に対する傾きに伴って傾く傾動体と、
基準姿勢の前記傾動体の移動を可能とすると共に、前記送り軸線に対して傾くことで前記基準姿勢と異なる傾斜姿勢となった前記傾動体の移動を規制するガイド部材と、
を備える、セルフロック機構。
【請求項2】
前記ガイド部材は、外壁面に設けられると共に前記傾斜姿勢の前記傾動体の一部が係止される凹部を有する、請求項1記載のセルフロック機構。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記傾動体の案内方向に沿って複数配列された前記凹部を有する、請求項2記載のセルフロック機構。
【請求項4】
前記ガイド部材は、
前記送り軸線に対して第1の方向に傾斜した前記傾動体の一部が係止される前記凹部である第1凹部と、
前記第1の方向と前記送り軸線から見て反対方向である第2の方向に前記送り軸線に対して傾斜した前記傾動体の一部が係止される前記凹部である第2凹部と、
を有する、請求項2または3記載のセルフロック機構。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記送り軸線と平行に設けられると共に、周面が前記傾斜姿勢の前記傾動体の一部が摺動可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のセルフロック機構。
【請求項6】
前記傾動体及び前記可動体を回転可能に支持する回転補助部材を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のセルフロック機構。
【請求項7】
前記傾動体は、
前記可動体よりも前記送り方向における後側にて前記送りねじと組み合わされており、
前記傾動体と前記可動体との距離が基準距離よりも離れたときに前記可動体と当接する当接面を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のセルフロック機構。
【請求項8】
前記当接面は、前記送り軸線に対して傾斜している、請求項7記載のセルフロック機構。
【請求項9】
前記対象物を送り方向に向けて移動させる前記可動体と、
前記送り方向に向けて前記可動体に推力を付与する推力付与部と、
前記可動体に付与された推力によって前記送り軸線回りに回転する前記送りねじと、
前記送りねじの回転に伴って回転する輪列機構と、
前記輪列機構の回転速度を調整する調速機構と、
前記輪列機構の回転の停止と開始とを切り換える切換機構と、
請求項1~3のいずれか一項に記載のセルフロック機構と、
を備える、送り装置。
【請求項10】
前記推力付与部は、前記送り軸線に沿った方向から見て、前記送り軸線を中心とする両側のうち一方側に位置する前記可動体の一部に前記推力を付与する、請求項9記載の送り装置。
【請求項11】
前記切換機構は、作業者によって操作可能な操作部を有し、
前記操作部は、前記輪列機構の回転が停止される停止位置と、前記輪列機構の回転が開始される回転許容位置とに位置変更が可能である、
請求項10記載の送り装置。
【請求項12】
流体収容容器と、
請求項9に記載の送り装置と、を備え、
前記流体収容容器は、
内部に流体が充填される収容筒と、
前記収容筒内に摺動移動可能に配置され、前記送り方向に向けた移動によって前記流体を外部に供給するプランジャと、を備え、
前記可動体は、前記プランジャを前記対象物として前記収容筒内に押し込むように、前記プランジャに連結されている、
流体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフロック機構、送り装置及び流体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、セルフロック性を高めた送りねじ機構が開示されている。特許文献1に開示された送りねじ機構は、雌ねじが形成された出力ロッドの軸線が雄ねじ部材の軸線に対して平行にオフセットするように配置されている。また、特許文献2には、軸方向力のみが働いて半径方向力が働くことのない送りねじ駆動装置が開示されている。特許文献2に開示された送りねじ駆動装置は、送りナットを送りねじの軸方向に付勢するコイルばねを備え、送りナットが送りねじの周方向に回転することを防止する回転止め機構を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-236281号公報
【特許文献2】特開2002-213563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各種の分野において液体等の流体を送り出す流体供給装置が使用されている。例えば、理化学分野や医療分野において薬液を供給する場合、水処理分野において酸やアルカリ等の薬液を供給する場合、畜産分野において栄養剤等の薬液を注入する場合に、流体供給装置が使用されている。このような流体供給装置では、例えば、送りねじに組み合わせた可動体に推力を付与し、可動体でプランジャを移動させることで流体を供給する。このため、流体供給装置に、特許文献1に開示された送りねじ機構や特許文献2に開示された送りねじ駆動装置を適用することが考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された送りねじ機構は、雄ねじ中心と雌ねじ中心とをずらした螺合であり、雄ねじと雌ねじとの各々が半周程度しか当接しない。このため、当接箇所のねじ山に掛かる負荷が大きく、強度を確保するためにねじ山の歯厚を増す必要がある。また、特許文献2の送りねじ駆動装置は、送りねじをモータで駆動しており、経年劣化等で送りナット等のねじ山が摩耗や欠損した場合であっても、モータへの通電を停止しない限り、送りねじのみが回転し続け、送りナットの移動を完全に停止することができない。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ねじ山の強度増加やモータ等の制御を行う必要なく、ねじ山の摩耗や欠損が生じたときに可動体の移動を停止可能なセルフロック機構、送り装置及び流体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
本発明の第1の態様は、セルフロック機構であって、対象物の送り方向に平行な送り軸線回りに回転可能な送りねじと組み合わされた可動体の上記送り軸線に対する傾きに伴って傾く傾動体と、基準姿勢の上記傾動体の移動を可能とすると共に、上記送り軸線に対して傾くことで上記基準姿勢と異なる傾斜姿勢となった上記傾動体の移動を規制するガイド部材と、を備える、という構成を採用する。
【0009】
このような本発明の第1の態様によれば、可動体を送り軸線に沿って移動させると、送りねじが送り軸線回りに回転する。例えば、送りねじや可動体に形成されたねじ山が摩耗や欠損していない場合には、可動体は送り軸線に対して傾斜することなく移動される。一方で、上述のねじ山が摩耗や欠損すると、ねじ山が摩耗や欠損した部位に負荷が掛かったとき等に、可動体が送りねじから受ける荷重のバランスが崩れ、可動体が傾く。つまり、本発明の第1の態様では、上述のねじ山が摩耗や欠損していない場合には、可動体が送り軸線に対して傾くことなく軸線に沿って移動される。さらに、本発明の第1の態様では、上述のねじ山が摩耗や欠損している場合には、ねじ山が摩耗や欠損した部位に負荷が掛かったとき等に、可動体が傾く。
【0010】
本発明の第1の態様では、可動体が傾くと、可動体の傾きに伴って傾く傾動体が基準姿勢から傾斜姿勢となる。傾動体が傾斜姿勢である場合には、ガイド部材によって傾動体の移動が規制される。つまり、本発明の第1の態様では、ねじ山が摩耗や欠損して可動体が送り軸線に対して傾いた場合には、傾動体が傾斜姿勢となってガイド部材によって移動が規制される。この結果、可動体の送り軸線に沿った移動も規制され、可動体に推力が付与されていても可動体が停止する。このように、本発明の第1の態様は、経年劣化等によるねじ山等の形状変化が生じると、傾いた可動体の移動を自動的に規制することができる。したがって、本発明の第1の態様のセルフロック機構は、ねじ山の強度増加やモータ等の制御を行う必要なく、ねじ山の摩耗や欠損が生じたときに可動体の移動を停止できる。
【0011】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記ガイド部材が、外壁面に設けられると共に上記傾斜姿勢の上記傾動体の一部が係止される凹部を有する、という構成を採用する。
【0012】
このような本発明の第2の態様によれば、傾斜姿勢の傾動体の一部は、ガイド部材の外壁面に設けられた凹部に係止される。傾斜姿勢の傾動体を凹部に掛けることなく、ガイド部材との間に発生する摩擦力のみで移動を規制することも可能である。ただし、本発明の第2の態様のように、傾動体の一部を凹部に掛けることで、傾動体の移動をより確実に規制できる。したがって、本発明の第2の態様は、傾動体の移動をより確実に規制でき、さらには、ねじ山の摩耗や欠損が生じたときに可動体の移動をより確実に停止できる。
【0013】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、上記ガイド部材が、上記傾動体の案内方向に沿って複数配列された上記凹部を有する、という構成を採用する。
【0014】
このような本発明の第3の態様によれば、傾動体が傾動姿勢となった位置から凹部までの距離が遠くなることを防止できる。例えば、凹部が1つしか設けられていない場合に、傾動体が凹部から遠い位置で傾動姿勢となると、傾動体が凹部に到達するまで可動体の移動が継続される可能性がある。これに対して、凹部が複数設けられている場合には、傾動体が傾斜姿勢となった位置の近くに凹部が存在する確率が高まり、可動体が停止するまでの移動を短くできる。
【0015】
本発明の第4の態様は、上記第2または第3の態様において、上記ガイド部材が、上記送り軸線に対して第1の方向に傾斜した上記傾動体の一部が係止される上記凹部である第1凹部と、上記第1の方向と上記送り軸線から見て反対方向である第2の方向に上記送り軸線に対して傾斜した上記傾動体の一部が係止される上記凹部である第2凹部と、を有する、という構成を採用する。
【0016】
このような本発明の第4の態様によれば、傾動体が送り軸線に対して第1の方向に傾斜した場合には、傾動体の一部は、第1凹部に係止される。また、傾動体が送り軸線に対して、第1の方向と反対方向の第2の方向に傾斜した場合には、傾動体の一部は、第2凹部に係止される。したがって、本発明の第4の態様は、傾動体の傾斜方向すなわち可動体の傾斜方向に関わらず、傾動体を凹部に係止させることができ、より確実に可動体の移動を停止することができる。
【0017】
本発明の第5の態様は、上記第1~第4のいずれかの態様において、上記ガイド部材が、上記送り軸線と平行に設けられると共に、周面が上記傾斜姿勢の上記傾動体の一部が摺動可能である、という構成を採用する。
【0018】
このような本発明の第5の態様によれば、ガイド部材が送り軸線と平行に直線状に設けられる。このため、傾動体が送り軸線方向のどの位置で傾斜姿勢となった場合であっても、傾斜姿勢となった傾動体の一部をガイド部材の周面に摺動させることができる。傾動体の一部がガイド部材の周面に摺動されることで、傾動体とガイド部材との間に摩擦力が発生して、傾動体の移動を規制できる。したがって、本発明の第5の態様は、傾動体が傾動姿勢となった位置に関わらず、傾動体の移動を規制できる。
【0019】
本発明の第6の態様は、上記第1~第5の態様において、上記傾動体及び上記可動体を回転可能に支持する回転補助部材を備える、という構成を採用する。
【0020】
このような本発明の第6の態様によれば、傾動体及び可動体が回転可能に支持される。このため、傾動体及び可動体は、容易に傾斜することができ、例えば傾動体がガイド部材に引っ掛かりやすい姿勢をとることができる。したがって、本発明の第6の態様は、ガイド部材によって傾動体の移動を規制しやすくでき、より確実に傾動体の移動を規制できる。
【0021】
本発明の第7の態様は、上記第1~第5の態様において、上記傾動体が、上記可動体よりも上記送り方向における後側にて上記送りねじと組み合わされており、上記傾動体と上記可動体との距離が基準距離よりも離れたときに上記可動体と当接する当接面を有する、という構成を採用する。
【0022】
このような本発明の第7の態様によれば、可動体に形成されたねじ山が摩耗や欠損して、送りねじから受ける可動体への反力が低減すると、可動体が傾動体から離れて可動体が傾動体の当接面に当接する。さらに、例えば傾動体の当接面に当接した可動体が送り軸線に対して傾斜すると、傾動体が傾斜姿勢となりガイド部材により移動が規制される。このような本発明の第7の態様において、傾動体は、可動体と別に設けられて送りねじと組み合わされている。このため、傾動体は、可動体に付与される推力による荷重を受けない。したがって、本発明の第7の態様は、傾動体に対する負荷を低減できる。
【0023】
本発明の第8の態様は、上記第7の態様において、上記当接面が、上記送り軸線に対して傾斜している、という構成を採用する。
【0024】
このような本発明の第8の態様によれば、可動体が傾動体の当接面に当接すると、傾動体に対して傾斜姿勢となる方向にモーメントが作用する。このため、本発明の第8の態様は、傾動体を傾斜姿勢としやすく、より確実に傾動体の移動を規制することができる。
【0025】
本発明の第9の態様は、送り装置であって、上記対象物を送り方向に向けて移動させる上記可動体と、上記送り方向に向けて上記可動体に推力を付与する推力付与部と、上記可動体に付与された推力によって上記送り軸線回りに回転する上記送りねじと、上記送りねじの回転に伴って回転する輪列機構と、上記輪列機構の回転速度を調整する調速機構と、上記輪列機構の回転の停止と開始とを切り換える切換機構と、上記第1~第8のいずれかの態様のセルフロック機構と、を備える、という構成を採用する。
【0026】
このような本発明の第9の態様は、上記第1~第8のいずれかの態様のセルフロック機構を備える。このため、本発明の第9の態様は、ねじ山の強度増加やモータ等の制御を行う必要なく、ねじ山の摩耗や欠損が生じたときに可動体の移動を停止できる。また、本発明の第9の態様によれば、可動体には送りねじが組み合わされているので、送りねじを利用して可動体の移動速度を制御することができる。具体的には、送りねじの回転に伴って輪列機構を回転させることができる。この際、調速機構によって輪列機構を調速(回転速度を調整)できるので、輪列機構及び送りねじを所定の回転速度で回転させることができる。したがって、本発明の第9の態様は、可動体を一定速度で送り方向に向けて移動させることができる。
【0027】
さらに本発明の第9の態様は、切換機構によって輪列機構の回転の停止と開始とを切り換えることができるので、輪列機構及び送りねじを介して可動体の移動停止と移動開始とを制御することができる。そのため、可動体の移動のタイミングや移動時間等を任意に調整することもできる。
【0028】
本発明の第10の態様は、上記第9の態様において、上記推力付与部が、上記送り軸線に沿った方向から見て、上記送り軸線を中心とする両側のうち一方側に位置する上記可動体の一部に上記推力を付与する、という構成を採用する。
【0029】
このような本発明の第10の態様によれば、可動体の片側に推力が付与される。このため、送りねじや可動体に形成されたねじ山が摩耗や欠損した場合に、可動体を送り軸線に対して傾きやすくできる。したがって、本発明の第10の態様は、傾動体を傾斜姿勢としやすく、より確実に傾動体の移動を規制することができる。
【0030】
本発明の第11の態様は、上記第10の態様において、上記切換機構が、作業者によって操作可能な操作部を有し、上記操作部が、上記輪列機構の回転が停止される停止位置と、上記輪列機構の回転が開始される回転許容位置とに位置変更が可能である、という構成を採用する。
【0031】
このような本発明の第11の態様によれば、操作部を作業者が手動で操作することで、輪列機構の回転の停止と開始とを切り換えることができる。このため、本発明の第11の態様は、手動で可動体の移動のタイミングや移動時間等を任意に調整することができる。
【0032】
本発明の第12の態様は、流体供給装置であって、流体収容容器と、上記第9~11のいずれかの態様の送り装置と、を備え、上記流体収容容器が、内部に流体が充填される収容筒と、上記収容筒内に摺動移動可能に配置され、上記送り方向に向けた移動によって上記流体を外部に供給するプランジャと、を備え、上記可動体が、上記プランジャを上記対象物として上記収容筒内に押し込むように、上記プランジャに連結されている、という構成を採用する。
【0033】
このような本発明の第12の態様は、上記第9~11のいずれかの態様の送り装置を備える。このため、ねじ山の強度増加やモータ等の制御を行う必要なく、ねじ山の摩耗や欠損が生じたときに可動体の移動を停止できる。また、本発明の第12の態様は、可動体を送り方向に向けて移動させることで、収容筒内にプランジャを押し込むことができる。これにより、収容筒内に充填された流体を押し出すことができ、流体を外部に供給することができる。また、上述した送り装置を具備しているので、可動体及びプランジャを速度制御しながら移動させることができる。このため、流体を精度良く外部に供給することができる。さらに、流体の連続的な供給や、決まった単位量の供給等も行うことができる。その結果、流体を所望の供給態様で外部に供給することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ねじ山の強度増加やモータ等の制御を行う必要なく、ねじ山の摩耗や欠損が生じたときに可動体の移動を停止できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1実施形態における液体供給装置の概略構成を示す平面図である。
図2】本発明の第1実施形態にて上方ガイドカバーを省略したセルフロック機構の概略構成を含む平面図である。
図3】本発明の第1実施形態にて羽根車を含む切換機構の右側から見た側面図である。
図4】本発明の第1実施形態にて上方から見た回転規制リングと羽根車との位置関係を示す模式図であり、操作ハンドルが回転許容位置に位置する場合を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態にて上方から見た回転規制リングと羽根車との位置関係を示す模式図であり、操作ハンドルが停止位置に位置する場合を示す図である。
図6】本発明の第1実施形態にてガイドシャフトを左前側から見た斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態にてガイドシャフトを右前側から見た斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態にて係止凹部の模式的な断面図である。
図9】本発明の第1実施形態にてスライダ、傾動ブロック及びガイドシャフトを含む模式図である。
図10】本発明の第1実施形態にてスライダ及び傾動ブロックが上方から見て球体支持部を中心に右回りに傾動した場合を示す模式図である。
図11】本発明の第1実施形態にてスライダ及び傾動ブロックが上方から見て球体支持部を中心に左回りに傾動した場合を示す模式図である。
図12】本発明の第2実施形態の送り装置の一部の概略構成を示す平面図である。
図13】本発明の第2実施形態にてスライダ及び後方傾動ブロックが上方から見て左回りに傾動した場合を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明に係るセルフロック機構、送り装置及び流体供給装置の一実施形態について説明する。以下の実施形態では、セルフロック機構、送り装置及び流体供給装置を、液体を流体として外部に供給する液体供給装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0037】
[第1実施形態]
(液体供給装置)
図1は、本発明の第1実施形態における液体供給装置1の概略構成を示す平面図である。液体供給装置1(流体供給装置)は、液体W(流体)を外部に供給する。液体Wは、例えば接着剤や化学薬品である。液体Wが接着剤である場合には、本実施形態の液体供給装置1は、接着剤吐出装置として機能する。また、液体Wが化学薬品である場合には、本実施形態の液体供給装置1は、化学薬品供給装置として機能する。また、液体Wは、インスリン等の薬液であってもよい。液体Wがインスリンである場合には、本実施形態の液体供給装置1は、インスリン投与装置として機能する。このような本実施形態の液体供給装置1は、図1に示すように、本体ケース2と、注入セット3と、シリンジ4(流体収容容器)と、送り装置5と、を備える。
【0038】
(本体ケース)
本体ケース2は、例えばケース本体及び蓋部材が組み合わされた構成とされ、本実施形態では、図示を簡略化するために、本体ケース2を箱型の直方体状に示しているが、本体ケース2の形状は限定されるものではない。例えば、本体ケース2を平面視円形状、楕円状、多角形状等に形成しても構わない。
【0039】
本体ケース2は、液体Wを供給する場合には、供給先の近くにて載置される。本体ケース2を載置する方法については、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用して構わない。例えば、粘着テープ等を利用して本体ケース2を載置箇所に貼着できる。また、クリップや装着ベルト等の図示しない装着部材を本体ケース2に組み合わせ、装着部材を介して、本体ケース2を載置箇所に設置しても構わない。
【0040】
なお、本体ケース2の内部には、液体供給装置1を構成する各種の図示しない構成品が収容されている。本実施形態では、本体ケース2の厚さ方向を上下方向といい、本体ケース2の載置箇所から本体ケース2に向かう方向を上方、その反対方向を下方という。さらに上下方向に直交する一方向を前後方向L1といい、上下方向及び前後方向L1に直交する方向を左右方向L2という。さらに前後方向L1のうちの一方側を前方FWといい、その反対方向を後方BKという。さらに左右方向L2のうちの一方側を右側RHといい、その反対方向を左側LHという。
【0041】
(注入セット)
例えば、本実施形態の液体供給装置1を接着剤吐出装置や化学薬品供給装置として用いる場合には、注入セット3は設けなくてもよい。例えば、本実施形態の液体供給装置1を接着剤吐出装置や化学薬品供給装置として用いる場合には、注入セット3に換えて、液体Wを案内するノズルを備えるようにしてもよい。例えば、後端部から前端部に向けて窄む筒状の形状のノズルを用いて、ノズルの先端から液体Wを外部に供給できる。注入セット3は、例えば、本実施形態の液体供給装置1をインスリン投与装置として用いる場合に設けられる。
【0042】
注入セット3は、注入パッチ3aと、中継チューブ3bと、を備えている。注入パッチ3aは、使用者の体表面に例えば貼着等によって取り付け可能とされている。注入パッチ3aは、プラスチック製のカニューレ型の留置針3cを備える。留置針3cは、図示しない内針と共に体内に穿刺可能とされ、内針の引き抜きによって体表面に留置される。中継チューブ3bは、シリンジ4と注入パッチ3aとの間に接続されており、シリンジ4から吐出された液体Wを注入パッチ3aに案内する。
【0043】
このような注入セット3を備えることで液体供給装置1は、シリンジ4から供給された液体Wを、中継チューブ3b及び留置針3cを通じて使用者の体内に投与することが可能である。なお、留置針3cは、本体ケース2を体表面に装着している間、使用者に穿刺された状態で体表面に留置可能とされている。
【0044】
なお、注入セット3は上述のように必須なものではなく、具備しなくても構わない。例えば、本体ケース2に、押し込み操作可能な図示しない操作部材によって、体内側に向けて飛び出し可能な留置針を直接取り付けても構わない。この場合、例えば可撓性を有するチューブ等を通じて、留置針とシリンジ4とを接続すれば良い。
【0045】
(シリンジ)
図1に示すように、シリンジ4は、シリンジ本体4a(収容筒)と、プランジャ4bと、を備える。シリンジ本体4aは、例えばリザーババレル等と称される薬液容器であって、内部に液体Wが充填される。プランジャ4bは、シリンジ本体4aの内部に摺動移動可能に配置され、送り方向である前方FWに向けた移動によって液体Wを外部に供給する。
【0046】
シリンジ本体4aは、前後方向L1に沿って延びる送り軸線O1を中心とした円筒状に形成されている。なお、送り軸線O1は、送り方向に対して平行に配置されている。具体的には、シリンジ本体4aは、前端部側が閉塞し、且つ後端部側が開口した有頂筒状に形成されている。なお、シリンジ本体4aの形状は、特に限定されるものではなく、例えば楕円状に形成しても構わない。なお、例えば予め液体Wが充填された図示しないバイアル(またはアンプルともいう)から液体Wを移し替えて或いは吸い上げることで、シリンジ本体4a内に液体Wを充填することが可能とされている。
【0047】
シリンジ本体4aの前端部には、図示しない流体供給口が形成されている。上述のようなノズルを用いる場合には、流体供給口がノズルに接続される。これにより、シリンジ本体4a内の液体Wを、流体供給口を通じてノズル内に供給することが可能とされている。一方で、注入セット3を用いる場合には、図1に示す中継チューブ3bが流体供給口に接続される。これにより、シリンジ本体4a内の液体Wを、流体供給口を通じて中継チューブ3b内に供給することが可能とされている。
【0048】
プランジャ4bは、後方BKからシリンジ本体4a内に挿入され、送り軸線O1に沿って摺動移動可能とされている。プランジャ4bは、プランジャ軸部4cと、ガスケット部4dと、を備える。プランジャ軸部4cは、前後方向L1に沿って延びる。プランジャ軸部4cは、前端部がガスケット部4dに連結され、後端部が後述するスライダ5aに一体的に連結されている。
【0049】
ガスケット部4dは、プランジャ軸部4cの前端部に一体に形成され、円柱状に形成されている。ガスケット部4dは、送り軸線O1に沿ってシリンジ本体4a内を前後摺動可能とされている。ガスケット部4dの外周面には、Oリング等の図示しないシール部材が固定されている。これにより、ガスケット部4dとシリンジ本体4aとの間は、密(液密、気密)にシールされている。
【0050】
上述のように構成されたシリンジ4は、保持台によって保持されることで、前後方向L1及び左右方向L2に位置決めされた状態で本体ケース2に取り外し可能に組み合わされている。なお、プランジャ4bを後方BKから前方FWに向けて移動させることで、シリンジ本体4a内にプランジャ4bを押込むことができる。したがって、本実施形態では、前方FWがプランジャ4bの押込み方向となる。
【0051】
(送り装置)
送り装置5は、後述する送りねじ5cの回転を制御しながらプランジャ4bを前方FWに向けて押し込み、シリンジ4内から外部に向けて液体Wを供給する役割を果たしている。図1に示すように、送り装置5は、スライダ5a(可動体)と、定圧ばね5bと、送りねじ5cと、輪列機構5dと、調速機構5eと、切換機構5fと、セルフロック機構5gと、を備える。
【0052】
(スライダ)
スライダ5aは、シリンジ4のプランジャ4b(対象物)を送り方向である前方FWに向けて移動させる。スライダ5aは、スライダ本体5a1と、ナット5a2と、を備える。スライダ本体5a1は、送り軸線O1に沿って前後方向L1に移動可能に配置されると共に、プランジャ4bを押圧して、プランジャ4bを押込み方向である前方FWに向けて移動させる役割を果たしている。
【0053】
スライダ本体5a1は、前後方向L1に所定の厚みを有すると共に、前後方向L1から見て外形が四角形状となるように形成されている。ただし、スライダ本体5a1の形状は特に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。スライダ本体5a1は、プランジャ4bよりも後方BK側に配置されている。なお、スライダ本体5a1には、プランジャ軸部4cの後端部が一体的に組み合わされている。また、スライダ本体5a1は、後述の左側LHに突出し左側突出部を有している。この左側突出部には後述する傾動ブロック14が固定されている。
【0054】
スライダ本体5a1の下面には、不図示の案内片が形成されている。案内片は、下方に向けて突出すると共に、本体ケース2の底壁に形成された図示しない案内レールに沿って前後方向L1に案内される。これにより、スライダ本体5a1は、送り軸線O1に沿って直線的に移動可能とされている。スライダ本体5a1の中央部には、ナット5a2を保持するナット保持部5a3が形成されている。
【0055】
ナット5a2は、送りねじ5cに螺着された状態で、ナット保持部5a3の内側に組み込まれている。ナット5a2の内周面には、送りねじ5cの雄ねじ部に螺合する図示しない雌ねじ部が形成されている。ナット5a2は、回り止めがされた状態でナット保持部5a3の内側に組み込まれている。これにより、ナット5a2は、送り軸線O1回りの回転が規制された状態で送りねじ5cに螺着されている。
【0056】
(定圧ばね)
定圧ばね5bは、弾性復元力を利用して、前方FWに向けてスライダ5aに推力を付与する渦巻きばねである。定圧ばね5bは、スライダ5aを前方FWに向けて押圧する役割を果たしている。本実施形態では、2つの定圧ばね5bを有している。このうち一方の定圧ばね5bを第1定圧ばね5hといい、他方の定圧ばね5bを第2定圧ばね5iという。
【0057】
図2は、後述する上方ガイドカバー11を省略したセルフロック機構5gの概略構成を含む平面図である。図1及び図2に示すように、第1定圧ばね5hと第2定圧ばね5iとは、上方ガイドカバー11の下方に位置する。
【0058】
第1定圧ばね5hは、後述する下方ガイドカバー10上に配置された円筒状の第1ボビン5jに巻かれた状態で本体ケース2内に配置されている。同様に第2定圧ばね5iは、後述する下方ガイドカバー10上に配置された円筒状の第2ボビン5kに巻かれた状態で本体ケース2内に配置されている。
【0059】
第1ボビン5jの内側には、本体ケース2に取り付けられた円柱状の第1軸部5mが差し込まれている。これにより、第1ボビン5jは、本体ケース2内で位置決めされた状態で、第1軸部5mの中心軸線を中心として回転可能とされている。同様に第2ボビン5kの内側には、本体ケース2に取り付けられた円柱状の第2軸部5nが差し込まれている。これにより、第2ボビン5kは、本体ケース2内で位置決めされた状態で、第2軸部5nの中心軸線を中心として回転可能とされている。
【0060】
第1定圧ばね5hは、厚みが薄く、且つ所定の幅を有する長尺な帯状の弾性体を渦巻き状に巻回することで構成されている。なお、弾性体の材質としては、特に限定されるものではないが、例えばステンレス等の金属製としても構わないし、合成樹脂製であっても構わない。
【0061】
第1定圧ばね5hは、巻回部5h1と、引出部5h2と、を備える。巻回部5h1は、弾性体が渦巻き状に巻回され、第1ボビン5jに外装されている。 巻回部5h1は、第1ボビン5jを囲むように外装され、第1ボビン5jに対して相対移動可能とされている。これにより、巻回部5h1は、例えば第1軸部5mの中心軸線回りに回転しながら引出部5h2を効率良く巻き取ることが可能とされている。また、巻回部5h1は、第1ボビン5jを囲むように外装されることで本体ケース2によって保持されている。
【0062】
引出部5h2は、セルフロック機構5gの後述する傾動ブロック14に固定され、傾動ブロック14を介してスライダ5aに接続されている。この引出部5h2は、弾性体のうち巻回部5h1から引き伸ばされた部分である。引出部5h2は、巻回部5h1から送り軸線O1と平行に後方BKに向かって引き伸ばされていると共に、セルフロック機構5gの後述するガイドシャフト12の右側RHに隣接するように配置されている。引出部5h2の端部は、傾動ブロック14の右側RHの側面に連結されている。
【0063】
このように構成された第1定圧ばね5hは、引出部5h2が引き伸ばされた状態から巻回する状態に弾性復元変形するときの弾性復元力を利用して、スライダ5aを前方FWに押圧するように、スライダ5aに推力を付与している。これにより、スライダ5aを前方FWに向けて移動させることができ、第1定圧ばね5hの弾性復元力に起因する推力によって、プランジャ4bを押込み方向(前方FW)に向けて移動させることができる。そのため、プランジャ4bをシリンジ本体4a内に押し込むことが可能とされている。
【0064】
なお、第1定圧ばね5hは、いわゆる定荷重ばねとされ、例えばコイルばね等に比べて、伸びた状態から巻回によって元の状態に復元する間の弾性復元力がほぼ一定となる特性を有している。したがって、予め決められた一定の推力でプランジャ4bを押圧可能とされている。
【0065】
第2定圧ばね5iは、上述した第1定圧ばね5hと同様に構成されている。つまり、第2定圧ばね5iは、巻回部5i1及び引出部5i2を備えている。巻回部5i1は、第2ボビン5kを囲むように外装されることで、本体ケース2によって保持されている。
【0066】
第2定圧ばね5iの引出部5i2も、セルフロック機構5gの後述する傾動ブロック14に固定され、傾動ブロック14を介してスライダ5aに接続されている。この巻回部5i1から送り軸線O1と平行に後方BKに向かって引き伸ばされていると共に、セルフロック機構5gの後述するガイドシャフト12の左側LHに隣接するように配置されている。この引出部5i2の端部は、傾動ブロック14の左側LHの側面に連結されている。
【0067】
上述のように配置された第1定圧ばね5h及び第2定圧ばね5iは、図2に示すように、上方から見た平面視で、ガイドシャフト12を対称軸として線対称に配置されている。これにより、第1定圧ばね5hの引出部5h2及び第2定圧ばね5iの引出部5i2は、ガイドシャフト12を対称軸として線対称に配置された状態で傾動ブロック14にそれぞれ連結されている。さらに、第1定圧ばね5hの引出部5h2及び第2定圧ばね5iの引出部5i2は、送り軸線O1に平行に配置されている。
【0068】
(送りねじ)
送りねじ5cは、スライダ5aに付与された推力によって送り軸線O1回りに回転する。送りねじ5cは、前後方向L1に沿って延びる螺軸(リードスクリュー)であって、送り軸線O1と同軸に配置されている。具体的には、送りねじ5cは、中空のプランジャ軸部4cの内側に位置した状態で、シリンジ本体4aよりも後方BKに配置されている。送りねじ5cは、スライダ本体5a1を貫通してスライダ本体5a1よりもさらに後方BKに突出している。送りねじ5cの外周面には、送りねじ5cの全長に亘って雄ねじ部が形成されている。
【0069】
本実施形態の送りねじ5cは、ナット5a2を介してスライダ5aに一体的に組み合わされている。本実施形態の送りねじ5cとナット5a2とは、噛み合い抵抗(摩擦抵抗)が低い状態で互いに噛み合っている。そのため、送りねじ5cとナット5a2との噛み合い部分は、いわゆるすべりねじとして機能している。
【0070】
定圧ばね5b(第1定圧ばね5h及び第2定圧ばね5i)による推力によってスライダ5aが前方FWに向けて押圧されることに伴って、送りねじ5cを送り軸線O1回りに回転させることが可能とされている。つまり、送りねじ5cは、スライダ5aの直線運動を回転運動に変換することができる。そのため、定圧ばね5b(第1定圧ばね5h及び第2定圧ばね5i)による推力は、スライダ5aを前方FWに向けて移動させることに加えて、送りねじ5cを送り軸線O1回りに回転させることに寄与する。
【0071】
なお、送りねじ5cにおける雄ねじ部は、この雄ねじ部のねじ山のピッチよりも、リードが大きくなるように形成することが好ましい。この場合のリード角としては、例えば20°以上が挙げられる。この場合には、雄ねじ部のねじ山のピッチよりもリード(送りねじ5cが1回転したときの前後方向L1に進む距離)を大きくすることができる。そのため、定圧ばね5b(第1定圧ばね5h及び第2定圧ばね5i)による推力を利用して、送りねじ5cを効率良く回転させることができる。
【0072】
なお、このような雄ねじ部としては、例えば、二条ねじ、三条ねじ等の多条ねじにすることが挙げられる。ただし、ねじ山のピッチよりもリードが大きくなるように形成されていれば良く、多条ねじに限定されるものではない。
【0073】
なお、ナット5a2は必須なものではなく、具備しなくても構わない。例えば、スライダ本体5a1に送りねじ5cが挿通される挿通孔を形成し、挿通孔の内周面に送りねじ5cの雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成しても構わない。この場合であっても、送りねじ5cの雄ねじ部と挿通孔の雌ねじ部との噛み合い部分をすべりねじとして機能させることで、スライダ5aの直線運動を送りねじ5cの回転運動に変換することができる。
【0074】
なお、本実施形態では、送りねじ5cの雄ねじ部は右ねじとされている。これにより、定圧ばね5b(第1定圧ばね5h及び第2定圧ばね5i)による推力によってスライダ5aが前方FWに向けて押圧されることに伴って、ナット5a2を送りねじ5cに対して緩み方向に回転させ、且つ送りねじ5cを後方BKから見て反時計方向に回転させることが可能とされている。
【0075】
(輪列機構)
輪列機構5dは、送りねじ5cの回転に伴って回転する。図1に示すように、輪列機構5dは、互いに噛み合い可能に配置された第1中間歯車5d1、第2中間歯車5d2、第3中間歯車5d3、第4中間歯車5d4、及び、第5中間歯車5d5を備える。ただし、輪列機構5dを構成する歯車の数は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。また、輪列機構5dは、不図示の各々の歯車を軸支する不図示の支持部を有する。
【0076】
第1中間歯車5d1は、送りねじ5cのうちスライダ5aよりも後方BKに位置する部分に連結されている。第1中間歯車5d1は、送りねじ5cの回転に伴って送り軸線O1回りに回転する。なお、本実施形態では、第1中間歯車5d1は、スライダ5aが前方FWに向けて移動することに伴って、送りねじ5cと同様に、後方BKから見て反時計方向に回転する。
【0077】
第2中間歯車5d2は、第1中間歯車5d1に噛み合った状態で、第1中間歯車5d1よりも左側LHに配置されている。第2中間歯車5d2は、第1中間歯車5d1の回転に伴って回転する。なお、第2中間歯車5d2は、送り軸線O1に対して平行に延びる軸線を中心として回転する。この第2中間歯車5d2は、第1中間歯車5d1の回転に伴って、後方BKから見て時計方向に回転する。
【0078】
第3中間歯車5d3は、第2中間歯車5d2の後方BKに位置し、第2中間歯車5d2と軸部が連結されている。第3中間歯車5d3は、第2中間歯車5d2の回転に伴って回転する。なお、第3中間歯車5d3は、送り軸線O1に対して平行に延びる軸線を中心として回転する。この第3中間歯車5d3は、第2中間歯車5d2の回転に伴って、後方BKから見て時計方向に回転する。
【0079】
また、第3中間歯車5d3の軸部の後方BK側の端部には、露出ナット5d6が設けられている。露出ナット5d6は、後方BKから見て本体ケース2に設けられた開口にて露出するように配置されている。この露出ナット5d6を、工具等を用いて回転させることで、第3中間歯車5d3を強制的に回転させることができる。このため、緊急時や異常発生時に、輪列機構5dを強制的に回転させることができる。
【0080】
第4中間歯車5d4は、第3中間歯車5d3に噛み合った状態で、第3中間歯車5d3よりも左側LHに配置されている。第4中間歯車5d4は、第3中間歯車5d3の回転に伴って回転する。なお、第4中間歯車5d4は、送り軸線O1に対して平行に延びる軸線を中心として回転する。この第4中間歯車5d4は、第3中間歯車5d3の回転に伴って、後方BKから見て反時計方向に回転する。
【0081】
第5中間歯車5d5は、第4中間歯車5d4に噛み合った状態で、第4中間歯車5d4よりも右側RHに配置されている。これにより、第5中間歯車5d5は、第4中間歯車5d4の回転に伴って回転する。なお、第5中間歯車5d5は、送り軸線O1に対して平行に延びる軸線を中心として回転する。
【0082】
(調速機構)
調速機構5eは、輪列機構5dを調速する。図1に示すように、調速機構5eは、羽根車5e1を備える。羽根車5e1は、輪列機構5dに噛み合うと共に、輪列機構5dの回転速度に応じて抵抗を発生させる。羽根車5e1は、輪列機構5dを構成する第5中間歯車5d5に噛み合うウォーム軸5e2に設けられている。ウォーム軸5e2は、左右方向L2に延びるように形成され、第5中間歯車5d5より上方に位置するように配置されている。ウォーム軸5e2は、本体ケース2内に回転軸線O2回りに回転可能に支持されている。ウォーム軸5e2の外周面には、第5中間歯車5d5が噛み合う螺旋状のウォーム溝が形成されている。このように構成されたウォーム軸5e2は、第1中間歯車5d1、第2中間歯車5d2、第3中間歯車5d3、第4中間歯車5d4及び第5中間歯車5d5を介して伝達された送りねじ5cの回転力によって回転する。
【0083】
羽根車5e1は、ウォーム軸5e2の右端部に一体に組み合わされ、ウォーム軸5e2と共に回転する。なお、回転軸線O2方向から見て、回転軸線O2に対して交差する方向を径方向といい、回転軸線O2回りを周回する方向を周方向という。
【0084】
図3は、羽根車5e1を含む切換機構5fの右側RHから見た側面図である。図3に示すように、羽根車5e1は、軸体5e3と、羽根部5e4と、弾性支持部5e5と、を備える。軸体5e3は、ウォーム軸5e2に固定され、円柱状に形成されている。羽根部5e4は、複数設けられており、回転速度に応じた回転抵抗(空気抵抗)を発生させると共に、回転に伴う遠心力によって変位する。弾性支持部5e5は、各々の羽根部5e4と軸体5e3との間にそれぞれ配置され、各々の羽根部5e4を弾性変位可能に支持する。
【0085】
羽根車5e1の材質は、特に限定されるものではないが、例えば合成ゴム製とされている。ただし、羽根車5e1の全体が合成ゴムで形成されている必要はなく、少なくとも弾性支持部5e5が合成ゴムで形成されることで弾性変位可能とされていれば構わない。
【0086】
本実施形態では、羽根車5e1は、周方向に等間隔に配置された2つの羽根部5e4を具備している。ただし、羽根部5e4の数は、この場合に限定されるものではなく、例えば1つでも構わないし、3つ以上の複数であっても構わない。2つの羽根部5e4は、ウォーム軸5e2の回転に伴って空気抵抗を受けながら回転する。これにより、羽根車5e1は、ウォーム軸5e2の回転速度に応じた回転抵抗を付与することが可能とされている。
【0087】
さらに2つの羽根部5e4は、回転に伴う遠心力によって径方向の外側に引っ張られながら、応力を受けるように設計されている。これにより、2つの羽根部5e4は、弾性支持部5e5を弾性変位(弾性変形)させながら、変位可能とされている。
【0088】
また、羽根車5e1は、各々の羽根部5e4から右側RHに突出して設けられる突起部5e6を備える。各々の突起部5e6は、切換機構5fの後述する回転規制リング5f3と当接可能な部位である。
【0089】
このように構成された羽根車5e1は、回転速度に応じた抵抗(回転抵抗)を発生させることで、輪列機構5dの全体を調速する。なお、輪列機構5dは、送りねじ5cの回転を増速する噛み合いでウォーム軸5e2に繋がっている。
【0090】
(切換機構)
切換機構5fは、輪列機構5dの回転の停止と開始とを切り換える。図1に示すように、切換機構5fは、操作ハンドル5f1(操作部)と、保持部5f2と、回転規制リング5f3と、台部5f4と、コイルばね5f5と、当接ブロック5f6と、を備える。
【0091】
操作ハンドル5f1は、使用者(作業者)によって手動で操作可能であり、円板状に形成されている。なお、操作ハンドル5f1の形状は変更可能である。操作ハンドル5f1は、図1に示すように、本体ケース2の外部に配置されている。本実施形態では、操作ハンドル5f1は、本体ケース2の右側RHに位置する。このような操作ハンドル5f1は、左右方向L2と平行な回転軸線O3回りに回転可能である。また、操作ハンドル5f1は、左右方向に移動が可能である。つまり、操作ハンドル5f1は、使用者によって、左右方向に押し引きすることができる。
【0092】
本実施形態では、操作ハンドル5f1は、左右方向L2に移動することで、本体ケース2に対して相対的に近い位置(図1の実線で示す位置)と、本体ケース2に対して相対的に遠い位置(図1の仮想線で示す位置)とに移動可能である。操作ハンドル5f1の本体ケース2に対して相対的に近い位置は、輪列機構5dの回転が許容される回転許容位置である。また、操作ハンドル5f1の本体ケース2に対して相対的に遠い位置は、輪列機構5dの回転が停止される停止位置である。つまり、使用者が操作ハンドル5f1を本体ケース2に向けて押し込むことで、操作ハンドル5f1は、回転許容位置となる。また、使用者が操作ハンドル5f1を本体ケース2から引き離すことで、操作ハンドル5f1は、停止位置となる。このように操作ハンドル5f1は、停止位置と回転許容位置とに位置変更が可能である。
【0093】
保持部5f2は、本体ケース2の内部に設けられ、操作ハンドル5f1と回転規制リング5f3とを接続する軸部5f7を支持する。保持部5f2は、軸部5f7を軸支すると共に、軸部5f7を左右方向L2に移動可能に支持する。これによって、操作ハンドル5f1が回転軸線O3回りに回転可能であり、左右方向L2に移動可能となる。
【0094】
回転規制リング5f3は、軸部5f7の左端部に接続され、リング状に形成されている。回転規制リング5f3は、回転軸線O3に中心が重なるように、本体ケース2の内部に位置する。この回転規制リング5f3は、軸部5f7を介して操作ハンドル5f1に接続されており、操作ハンドル5f1の左右方向L2への移動に伴って左右方向に移動し、操作ハンドル5f1の回転に伴って回転軸線O3回りに回転する。
【0095】
図3に示すように、回転規制リング5f3は、回転軸線O3を中心とする回転方向に配列された複数の歯5f8を備えている。本実施形態では、回転軸線O3を中心とする回転方向に、90°間隔で歯5f8が設けられている。つまり、歯5f8は、回転規制リング5f3に4つ設けられている。なお、回転規制リング5f3に設けられる歯5f8の数は変更可能である。
【0096】
図4及び図5は、上方から見た回転規制リング5f3と羽根車5e1との位置関係を示す模式図である。図4は、操作ハンドル5f1が回転許容位置に位置する場合を示す図である。また、図5は、操作ハンドル5f1が停止位置に位置する場合を示す図である。図4に示すように、操作ハンドル5f1が回転許容位置に位置する場合には、回転規制リング5f3は、歯5f8が羽根車5e1の突起部5e6に当接しないように、羽根部5e4に対して左右方向L2に突起部5e6の突起量以上に離間する。これによって、羽根車5e1は、回転規制リング5f3に規制されることなく回転できる。
【0097】
一方で、図5に示すように、操作ハンドル5f1が停止位置に位置する場合には、回転規制リング5f3は、歯5f8が羽根車5e1の突起部5e6に当接するように、羽根部5e4に対して近づく。これによって、回転規制リング5f3が突起部5e6に当接し、羽根車5e1は回転が規制される。
【0098】
図1に示すように、台部5f4は、本体ケース2の内部に配置されており、回転規制リング5f3の前方FWに位置する。台部5f4は、コイルばね5f5及び当接ブロック5f6を支持する。コイルばね5f5は、台部5f4の前方FW側の側面に接続されており、当接ブロック5f6を弾性支持する。
【0099】
当接ブロック5f6は、コイルばね5f5を介して、前後方向L1に移動可能に支持されている。当接ブロック5f6は、図3に示す下端部5faが本体ケース2に軸支され、下端部5faを中心として傾動可能に支持されている。このような当接ブロック5f6は、回転規制リング5f3に対して前方FWから当接している。また、当接ブロック5f6は、回転規制リング5f3の歯5f8が収容される歯収容凹部5fbを備える。歯収容凹部5fbは、後方BKから前方FWに向けて窪むように形成されている。
【0100】
また、当接ブロック5f6は、歯収容凹部5fbの下方に位置する下方突起5fcと、歯収容凹部5fbの上方に位置する上方突起5fdと、を備える。下方突起5fcは、先端を回転規制リング5f3に向けて突出するように設けられており、先端よりも下方から先端に接続される下方傾斜面5feと、先端から歯収容凹部5fbの底部に接続される下方水平面5ffと、を備える。上方突起5fdは、先端を回転規制リング5f3に向けて突出するように設けられており、歯収容凹部5fbの底部から先端に接続される上方傾斜面5fgと、先端から前方FWに延びる上方水平面5fhと、を備える。
【0101】
このような当接ブロック5f6が前方FWから回転規制リング5f3に当接することで、回転規制リング5f3は、右側RHから見て回転軸線O3を中心とした周方向のうち左回りのみに回転可能であり、右回りへの回転が規制されている。同様に、軸部5f7を介して回転規制リング5f3に接続された操作ハンドル5f1も、右側RHから見て回転軸線O3を中心とした周方向のうち左回りのみに回転可能であり、右回りへの回転が規制されている。
【0102】
(セルフロック機構)
セルフロック機構5gは、経年劣化等の何らかの原因によって、送りねじ5cとナット5a2との噛み合いに不具合が生じた場合に、スライダ5aが意図せずに前方FWに移動することを抑止し、液体Wが意図せずにシリンジ4から排出されることを抑止するものである。
【0103】
例えば、ナット5a2の雌ねじ部の前後方向L1の長さは、送りねじ5cの雄ねじ部の前後方向L1の長さと比較して短い。また、ナット5a2は、定圧ばね5bから常に推力が付与されている。このため、ナット5a2のねじ山が摩耗や欠損し、送りねじ5cとナット5a2との噛み合いに不具合が生じる場合がある。このような場合には、後方BKから推力が付与されるナット5a2を送りねじ5cのねじ山で受け止めることができず、ナット5a2が意図せずに前方FWに移動してしまうことがある。
【0104】
また、送りねじ5cとナット5a2との噛み合いに不具合が生じると、送りねじ5cがナット5a2を前方FWから見て均等に支えることができない箇所が生じ、ナット5a2が送り軸線O1に対して傾く。セルフロック機構5gは、ナット5a2が送り軸線O1に対して傾くことを利用して、スライダ5aの前方FWへの移動を規制する。
【0105】
図1及び図2に示すように、セルフロック機構5gは、下方ガイドカバー10と、上方ガイドカバー11と、ガイドシャフト12(ガイド部材)と、球体支持部13(回転補助部材)と、傾動ブロック14(傾動体)と、を備える。
【0106】
下方ガイドカバー10は、ガイドシャフト12の下方に位置し、本体ケース2に支持されている。上方ガイドカバー11は、ガイドシャフト12の上方に位置し、本体ケース2に支持されている。これらの下方ガイドカバー10と上方ガイドカバー11との間に、ガイドシャフト12の他、球体支持部13、傾動ブロック14、定圧ばね5bが配置されている。
【0107】
下方ガイドカバー10は、図2に示すように、前後方向に延びる開口10aを有する。開口10aには、傾動ブロック14の下方に突出する円筒突出部14aが挿入される。また、上方ガイドカバー11は、図1に示すように、前後方向に延びる開口11aを有する。開口11aには、傾動ブロック14の上方に突出する円筒突出部14aが挿入される。開口10aと開口11aとは、上方から見て重なるように形成されている。傾動ブロック14は、円筒突出部14aが開口10aと開口11aとに挿入された状態で、前後方向L1に移動可能とされている。なお、上下方向において、下方ガイドカバー10と上方ガイドカバー11との間には隙間が形成されている。この隙間によって、傾動ブロック14に接続されたスライダ本体5a1が前後方向L1に移動可能とされている。
【0108】
ガイドシャフト12は、スライダ5aが前後方向L1に移動するときに、スライダ5aの移動を案内する。本実施形態では、ガイドシャフト12は、前後方向L1に沿って延びる棒状に形成されている。つまり、ガイドシャフト12は、前後方向L1と平行な送り軸線O1と平行に配置されている。ガイドシャフト12は、下方ガイドカバー10上に配置されている。図2に示すように、ガイドシャフト12の前端部は、前側固定部材15によって、下方ガイドカバー10に固定されている。また、ガイドシャフト12の後端部は、後側固定部材16によって、本体ケース2に固定されている。
【0109】
図6は、ガイドシャフト12を左前側から見た斜視図である。図7は、ガイドシャフト12を右前側から見た斜視図である。これらの図に示すように、ガイドシャフト12は、円柱状に形成されており、外壁面12aに対して複数の係止凹部12b(凹部)が設けられている。これらの係止凹部12bは、傾動ブロック14が基準姿勢に対して傾いた場合に、傾動ブロック14が係止される凹部である。
【0110】
図6及び図7に示すように、ガイドシャフト12の左側LHを向く面と、ガイドシャフト12の右側RHを向く面との各々に係止凹部12bが前後方向L1に配列されて複数設けられている。ガイドシャフト12の左側LHを向く面に設けられた係止凹部12b(左側係止凹部12c)は、上方から見て傾動ブロック14が右回り方向に傾いた場合に、傾動ブロック14が係止される。また、ガイドシャフト12の右側RHを向く面に設けられた係止凹部12b(右側係止凹部12d)は、傾動ブロック14が上方から見て傾動ブロック14が左回り方向に傾いた場合に、傾動ブロック14が係止される。
【0111】
図8は、係止凹部12bの模式的な断面図である。この図に示すように、各々の係止凹部12bは、後方BKから前方FWに向かうに連れてガイドシャフト12の中心に近づくように傾斜する傾斜面12eと、傾斜面12eの前方FWに位置すると共に左右方向L2及び上下方向と略平行な係止面12fとを有する。係止面12fは、係止凹部12bに係止された傾動ブロック14に前方FWから当接する面である。
【0112】
球体支持部13は、ガイドシャフト12に対して前後方向に摺動可能に設けられており、外表面が球面に形成されている。図9は、スライダ5a、傾動ブロック14及びガイドシャフト12を含む模式図である。図9に示すように、球体支持部13は、スライダ本体5a1と傾動ブロック14との境界部に配置されており、スライダ5a及び傾動ブロック14を回転可能に支持する。スライダ本体5a1と傾動ブロック14とは、球体支持部13の外表面に対して摺動可能な球面状の内壁面を有する。これらの内壁面が球体支持部13の外表面に対して摺動することで、スライダ5a及び傾動ブロック14は球体支持部13に対して回転される。
【0113】
傾動ブロック14は、スライダ本体5a1の左側端部に前方FWから固定された直方体状のブロックである。傾動ブロック14の右側RHの側面には、第1定圧ばね5hの引出部5h2が固定されている。傾動ブロック14の左側LHの側面には、第2定圧ばね5iの引出部5i2が固定されている。
【0114】
また、傾動ブロック14は、上面と下面との各々に円筒突出部14aが設けられている。傾動ブロック14の上面に設けられた円筒突出部14aは、傾動ブロック14の上面から上方に突出しており、上方ガイドカバー11の開口11aに挿入されている。また、傾動ブロック14の下面に設けられた円筒突出部14aは、傾動ブロック14の下面から下方に突出しており、下方ガイドカバー10の開口10aに挿入されている。傾動ブロック14は、ガイドシャフト12が挿通されるシャフト挿通孔14bを備える。シャフト挿通孔14bは、ガイドシャフト12の直径よりも大きな内径の貫通孔である。
【0115】
傾動ブロック14は、スライダ本体5a1に固定されており、スライダ5aの傾きに伴って傾く。つまり、傾動ブロック14は、スライダ5aの送り軸線O1に対する傾きに伴って傾く。送りねじ5cとナット5a2との噛み合いが正常である場合には、図9に示すように、スライダ5a及び傾動ブロック14とは、送り軸線O1に対して傾いていない基準姿勢となる。この基準姿勢は、ガイドシャフト12の軸線(すなわち送り軸線O1)と、シャフト挿通孔14bの中心線とが平行な状態となる姿勢である。上述のようにシャフト挿通孔14bは、ガイドシャフト12よりも大径に形成されている。このため、傾動ブロック14が基準姿勢である場合には、シャフト挿通孔14bの内壁面は、ガイドシャフト12に接触しない。したがって、傾動ブロック14が基準姿勢である場合には、傾動ブロック14はガイドシャフト12に接触することなく、前後方向に移動する。
【0116】
一方で、送りねじ5cとナット5a2との噛み合いに不具合が生じ、スライダ5a及び傾動ブロック14が送り軸線O1に対して傾いた傾斜姿勢となると、傾動ブロック14の前側端がガイドシャフト12の周面(外壁面12a)に接触する。
【0117】
図10は、スライダ5a及び傾動ブロック14が上方から見て球体支持部13を中心に右回りに傾動した場合を示す模式図である。図10では、基準姿勢のスライダ5a及び傾動ブロック14を実線で示し、傾斜姿勢のスライダ5a及び傾動ブロック14を仮想線で示す。図10に示すように、スライダ5a及び傾動ブロック14が上方から見て球体支持部13を中心に右回りに傾動した場合には、シャフト挿通孔14bの前方FWの開口端の左側LHの縁部がガイドシャフト12に接触する。さらに、シャフト挿通孔14bの前方FWの開口端の左側LHの縁部は、左側係止凹部12cに係止される。
【0118】
図11は、スライダ5a及び傾動ブロック14が上方から見て球体支持部13を中心に左回りに傾動した場合を示す模式図である。図11では、基準姿勢のスライダ5a及び傾動ブロック14を実線で示し、傾斜姿勢のスライダ5a及び傾動ブロック14を仮想線で示す。図11に示すように、スライダ5a及び傾動ブロック14が上方から見て球体支持部13を中心に左回りに傾動した場合には、シャフト挿通孔14bの前方FWの開口端の右側RHの縁部がガイドシャフト12に接触する。さらに、シャフト挿通孔14bの前方FWの開口端の右側RHの縁部は、右側係止凹部12dに係止される。
【0119】
送りねじ5cとナット5a2との噛み合いに不具合が生じたときのスライダ5a及び傾動ブロック14の傾動方向は、周囲の様々な状態に応じて定まる。例えば、送りねじ5cとナット5a2との噛み合いに不具合が生じたときに、プランジャ4bの前方FWへの移動抵抗が大きいとする。このような場合には、傾動ブロック14を介してスライダ5aの左側LHの部位に伝達される定圧ばね5bの付勢力によって、スライダ5a及び傾動ブロック14が上方から見て球体支持部13を中心に右回りに傾動する。一方、送りねじ5cとナット5a2との噛み合いに不具合が生じたときに、シリンジ本体4aの内部で定圧ばね5bの付勢力を超える負圧が発生したとする。このような場合には、上記負圧による引き込み力によって、スライダ5a及び傾動ブロック14が上方から見て球体支持部13を中心に左回りに傾動する。
【0120】
このようなセルフロック機構5gは、例えば送りねじ5cとナット5a2との噛み合いに不具合が生じて、スライダ5a及び傾動ブロック14が送り軸線O1に対して傾斜すると、傾斜姿勢となった傾動ブロック14の前後方向への移動を規制する。これによって、スライダ5aの移動を停止できる。
【0121】
(液体供給装置の作用)
次に、上述のように構成された液体供給装置1を使用して、液体Wを外部に供給する場合について説明する。なお、この場合の初期状態として、液体Wが充填されたシリンジ4が本体ケース2内にセットされているものとする。また、プランジャ4bが押し込み開始位置にセットされているものとする。また、操作ハンドル5f1が停止位置にセットされているものとする。
【0122】
上述の初期状態のもと、操作ハンドル5f1を本体ケース2に向けて左側LHに押し込むと、操作ハンドル5f1と共に回転規制リング5f3が回転許容位置に移動する。これによって、羽根車5e1及び輪列機構5dが回転可能となる。
【0123】
ここで、液体供給装置1によれば、定圧ばね5bによる弾性復元力を利用してスライダ5aに推力が付与されている。このため、スライダ5aが送り方向である前方FWに向けて押圧される。具体的には、図1及び図2に示す第1定圧ばね5hが引出部5h2を巻回部5h1に巻回するように弾性復元変形する。また、第2定圧ばね5iが、引き伸ばされた引出部5i2を巻回部5i1に巻回するように弾性復元変形する。これにより、第1定圧ばね5h及び第2定圧ばね5iによる弾性復元力を利用して、スライダ5aを送り軸線O1に沿って前方FWに向けて押圧することができる。その結果、スライダ5aを介して、プランジャ4bを押込み方向に向けて、一定の推力で押圧することができる。
【0124】
さらに、スライダ5aのナット5a2には送りねじ5cが組み合わされているので、送りねじ5cを利用してスライダ5aの移動速度を制御することができる。具体的には、定圧ばね5bによる推力によってスライダ5aが前方FWに向けて移動しはじめると、それに伴って送りねじ5cが送り軸線O1回りに回転する。そのため、送りねじ5cの回転に伴って、輪列機構5d(第1中間歯車5d1、第2中間歯車5d2、第3中間歯車5d3、第4中間歯車5d4、第5中間歯車5d5)を回転させることができると共に、ウォーム軸5e2及び羽根車5e1を回転させることができる。
【0125】
そのため、羽根車5e1を利用して、輪列機構5dの回転速度に応じた空気抵抗等の回転抵抗を発生させることができる。したがって、羽根車5e1によって発生した回転抵抗を利用して、例えばウォーム軸5e2を所定の回転速度(例えば2000~3000rpm等)で回転させることができる。
【0126】
このように、羽根車5e1を有する調速機構5eによって、輪列機構5dを調速できるので、輪列機構5d及び送りねじ5cを所定の回転速度で回転させることができる。例えば、送りねじ5cを1rpm程度のゆっくりとした回転速度で回転させることができる。これにより、定圧ばね5bの弾性復元力の変化等に影響され難く、スライダ5aを一定速度で前方FWに向けて移動(送り移動)させることができる。
【0127】
したがって、定圧ばね5b(第1定圧ばね5h及び第2定圧ばね5i)による弾性復元力によって一定の推力で押圧されたプランジャ4bを、速度制御しながら押込み方向である前方FWに向けて移動させることができる。その結果、シリンジ本体4a内に充填された液体Wをプランジャ4bで押し出すことができ、例えば上述のノズルを用いて外部に液体Wを供給できる。また、注入セット3を通じて外部に液体Wを供給することもできる。このとき、プランジャ4bを速度制御しながら移動させることができるので、液体Wを精度良く供給することができる。
【0128】
さらに切換機構5fによって輪列機構5dの回転の停止と開始とを切り換えることができるので、輪列機構5d及び送りねじ5cを介してスライダ5aの移動停止と移動開始とを制御することができる。そのため、スライダ5a及びプランジャ4bの移動のタイミングや、移動時間等を任意に調整することもできる。
【0129】
一方で、操作ハンドル5f1を回転許容位置から停止位置に移動させると、回転規制リング5f3が停止位置に移動され、羽根車5e1の回転は規制される。これによって、輪列機構5dの回転も規制され、送りねじ5cは、回転できなくなる。このため、ナット5a2の前後方向への移動も規制され、スライダ5aの前後方向への移動も規制される。この結果、液体Wの外部への供給が停止される。
【0130】
ただし、回転許容位置にある操作ハンドル5f1を右側RHから見て、左回りに回転させると、図3に示す回転規制リング5f3の歯5f8が当接ブロック5f6の上方突起5fdを乗り越えて、次の歯5f8が歯収容凹部5fbに収容されるまで回転される。この結果、回転規制リング5f3が90°回転され、羽根車5e1が半回転される。したがって、輪列機構5dも羽根車5e1の半回転分だけ回転が可能となり、シリンジ本体4aの液体Wの一部のみが外部に供給できる。
【0131】
以上のような本実施形態のセルフロック機構5gは、傾動ブロック14と、ガイドシャフト12と、を備える。送り装置5が備えるスライダ5aは、プランジャ4bの送り方向に平行な送り軸線O1回りに回転可能な送りねじ5cと組み合わされている。傾動ブロック14は、このようなスライダ5aの送り軸線O1に対する傾きに伴って傾く。ガイドシャフト12は、基準姿勢の傾動ブロック14の移動を可能とすると共に、送り軸線O1に対して傾くことで基準姿勢と異なる傾斜姿勢となった傾動ブロック14の移動を規制する。
【0132】
このような本実施形態のセルフロック機構5gによれば、スライダ5aを送り軸線O1に沿って移動させると、送りねじ5cが送り軸線O1回りに回転する。例えば、送りねじ5cやスライダ5aに形成されたねじ山が摩耗や欠損していない場合には、スライダ5aは送り軸線O1に対して傾斜することなく移動される。一方で、上述のねじ山が摩耗や欠損すると、ねじ山が摩耗や欠損した部位に負荷が掛かったとき等に、スライダ5aが送りねじ5cから受ける荷重のバランスが崩れ、スライダ5aが傾く。つまり、上述のようなねじ山が摩耗や欠損していない場合には、スライダ5aが送り軸線O1に対して傾くことなく送り軸線O1に沿って移動される。また、上述のようなねじ山が摩耗や欠損している場合には、ねじ山が摩耗や欠損した部位負荷が掛かったときに、スライダ5aが傾く。
【0133】
スライダ5aが傾くと、スライダ5aの傾きに伴って傾く傾動ブロック14が基準姿勢から傾斜姿勢となる。傾動ブロック14が傾斜姿勢である場合には、ガイドシャフト12によって傾動ブロック14の移動が規制される。つまり、ねじ山が摩耗や欠損してスライダ5aが送り軸線O1に対して傾いた場合には、傾動ブロック14が傾斜姿勢となってガイドシャフト12によって移動が規制される。この結果、スライダ5aの送り軸線O1に沿った移動も規制され、スライダ5aに推力が付与されていてもスライダ5aが停止する。このように、本実施形態のセルフロック機構5gは、経年劣化等によるねじ山等の形状変化が生じると、傾いたスライダ5aの移動を自動的に規制することができる。したがって、本実施形態のセルフロック機構5gは、ねじ山の強度増加やモータ等の制御を行う必要なく、ねじ山の摩耗や欠損が生じたときにスライダ5aの移動を停止できる。
【0134】
また、本実施形態のセルフロック機構5gにおいてガイドシャフト12は、外壁面12aに設けられると共に傾斜姿勢の傾動ブロック14の一部が係止される係止凹部12bを有する。このような本実施形態のセルフロック機構5gによれば、傾斜姿勢の傾動ブロック14の一部は、ガイドシャフト12の外壁面12aに設けられた係止凹部12bに係止される。傾斜姿勢の傾動ブロック14を係止凹部12bに掛けることなく、ガイドシャフト12との間に発生する摩擦力のみで移動を規制することも可能である。ただし、本実施形態のセルフロック機構5gのように、傾動ブロック14の一部を係止凹部12bに掛けることで、傾動ブロック14の移動をより確実に規制できる。したがって、本実施形態のセルフロック機構5gは、傾動ブロック14の移動をより確実に規制でき、さらには、ねじ山の摩耗や欠損が生じたときにスライダ5aの移動をより確実に停止できる。
【0135】
また、本実施形態のセルフロック機構5gにおいてガイドシャフト12は、傾動ブロック14の案内方向に沿って複数配列された係止凹部12bを有する。このような本実施形態のセルフロック機構5gによれば、傾動ブロック14が傾動姿勢となった位置から係止凹部12bまでの距離が遠くなることを防止できる。例えば、係止凹部12bが1つしか設けられていない場合に、傾動ブロック14が係止凹部12bから遠い位置で傾動姿勢となると、傾動ブロック14が係止凹部12bに到達するまでスライダ5aの移動が継続される可能性がある。これに対して、係止凹部12bが複数設けられている場合には、傾動ブロック14が傾斜姿勢となった位置の近くに係止凹部12bが存在する確率が高まり、スライダ5aが停止するまでの移動を短くできる。
【0136】
また、本実施形態のセルフロック機構5gにおいてガイドシャフト12は、送り軸線O1に対して第1の方向に傾斜した傾動ブロック14の一部が係止される係止凹部12bである左側係止凹部12cと、第1の方向と送り軸線O1から見て反対方向である第2の方向に送り軸線O1に対して傾斜した傾動ブロック14の一部が係止される係止凹部12bである右側係止凹部12dと、を有する。
【0137】
このような本実施形態のセルフロック機構5gによれば、傾動ブロック14が送り軸線O1に対して右回り方向(第1の方向)に傾斜した場合には、傾動ブロック14の一部は、左側係止凹部12cに係止される。また、傾動ブロック14が送り軸線O1に対して、左回り方向(第1の方向と反対方向の第2の方向)に傾斜した場合には、傾動ブロック14の一部は、右側係止凹部12dに係止される。したがって、本実施形態のセルフロック機構5gは、傾動ブロック14の傾斜方向すなわちスライダ5aの傾斜方向に関わらず、傾動ブロック14を係止凹部12bに係止させることができ、より確実にスライダ5aの移動を停止することができる。
【0138】
また、本実施形態のセルフロック機構5gにおいてガイドシャフト12は、送り軸線O1と平行に設けられると共に、周面が傾斜姿勢の傾動ブロック14の一部が摺動可能である。このような本実施形態のセルフロック機構5gによれば、ガイドシャフト12が送り軸線O1と平行に直線状に設けられる。このため、傾動ブロック14が送り軸線O1方向のどの位置で傾斜姿勢となった場合であっても、傾斜姿勢となった傾動ブロック14の一部をガイドシャフト12の周面に摺動させることができる。傾動ブロック14の一部がガイドシャフト12の周面に摺動されることで、傾動ブロック14とガイドシャフト12との間に摩擦力が発生して、傾動ブロック14の移動を規制できる。したがって、本実施形態のセルフロック機構5gは、傾動ブロック14が傾動姿勢となった位置に関わらず、傾動ブロック14の移動を規制できる。
【0139】
また、本実施形態のセルフロック機構5gは、傾動ブロック14及びスライダ5aを回転可能に支持する球体支持部13を備える。このような本実施形態のセルフロック機構5gによれば、傾動ブロック14及びスライダ5aが回転可能に支持される。このため、傾動ブロック14及びスライダ5aは、球体支持部13を中心として容易に傾斜することができ、例えば傾動ブロック14がガイドシャフト12に引っ掛かりやすい姿勢をとることができる。したがって、本実施形態のセルフロック機構5gは、ガイドシャフト12によって傾動ブロック14の移動を規制しやすくでき、より確実に傾動ブロック14の移動を規制できる。
【0140】
また、本実施形態の送り装置5は、スライダ5aと、定圧ばね5bと、送りねじ5cと、輪列機構5dと、調速機構5eと、切換機構5fと、セルフロック機構5gと、を備える。スライダ5aは、プランジャ4bを送り方向に向けて移動させる。定圧ばね5bは、送り方向に向けてスライダ5aに推力を付与する。送りねじ5cは、スライダ5aに付与された推力によって送り軸線O1回りに回転する。輪列機構5dは、送りねじ5cの回転に伴って回転する。調速機構5eは、輪列機構5dの回転速度を調整する。切換機構5fは、輪列機構5dの回転の停止と開始とを切り換える。
【0141】
本実施形態の送り装置5は、セルフロック機構5gを備える。このため、本実施形態の送り装置5は、ねじ山の強度増加やモータ等の制御を行う必要なく、ねじ山の摩耗や欠損が生じたときにスライダ5aの移動を停止できる。また、本実施形態の送り装置5によれば、スライダ5aには送りねじ5cが組み合わされているので、送りねじ5cを利用してスライダ5aの移動速度を制御することができる。具体的には、送りねじ5cの回転に伴って輪列機構5dを回転させることができる。この際、調速機構5eによって輪列機構5dを調速(回転速度を調整)できるので、輪列機構5d及び送りねじ5cを所定の回転速度で回転させることができる。したがって、本実施形態の送り装置5は、スライダ5aを一定速度で送り方向に向けて移動させることができる。
【0142】
さらに本実施形態の送り装置5は、切換機構5fによって輪列機構5dの回転の停止と開始とを切り換えることができるので、輪列機構5d及び送りねじ5cを介してスライダ5aの移動停止と移動開始とを制御することができる。そのため、スライダ5aの移動のタイミングや移動時間等を任意に調整することもできる。
【0143】
また、本実施形態の送り装置5において定圧ばね5bは、送り軸線O1に沿った方向から見て、送り軸線O1を中心とする両側のうち一方側に位置するスライダ5aの一部に推力を付与する。本実施形態によれば、2つの定圧ばね5bがスライダ5aの左側LHに配置されており、スライダ5aの左側の部位にのみ、2つの定圧ばね5bの推力が付与されている。
【0144】
このように本実施形態の送り装置5によれば、スライダ5aの片側に推力が付与される。このため、送りねじ5cやスライダ5aに形成されたねじ山が摩耗や欠損した場合に、スライダ5aを送り軸線O1に対して傾きやすくできる。したがって、本実施形態の送り装置5は、傾動ブロック14を傾斜姿勢としやすく、より確実に傾動ブロック14の移動を規制することができる。
【0145】
また、本実施形態の送り装置5において切換機構5fは、使用者(作業者)によって操作可能な操作ハンドル5f1を有する。操作ハンドル5f1は、輪列機構5dの回転が停止される停止位置と、輪列機構5dの回転が開始される回転許容位置とに位置変更が可能である。
【0146】
本実施形態の送り装置5によれば、操作ハンドル5f1を使用者が手動で操作することで、輪列機構5dの回転の停止と開始とを切り換えることができる。このため、本実施形態の送り装置5は、手動でスライダ5aの移動のタイミングや移動時間等を任意に調整することができる。
【0147】
また、本実施形態の液体供給装置1は、シリンジ4と、送り装置5と、を備える。シリンジ4は、シリンジ本体4aと、プランジャ4bと、を備える。シリンジ本体4aは、内部に液体Wが充填される。プランジャ4bは、シリンジ本体4a内に摺動移動可能に配置され、送り方向に向けた移動によって液体Wを外部に供給する。また、スライダ5aは、プランジャ4bをシリンジ本体4a内に押し込むように、プランジャ4bに連結されている。
【0148】
本実施形態の液体供給装置1は、送り装置5を備える。このため、ねじ山の強度増加やモータ等の制御を行う必要なく、ねじ山の摩耗や欠損が生じたときにスライダ5aの移動を停止できる。また、本実施形態の液体供給装置1は、スライダ5aを送り方向に向けて移動させることで、シリンジ本体4a内にプランジャ4bを押し込むことができる。これにより、シリンジ本体4a内に充填された液体Wを押し出すことができ、液体Wを外部に供給することができる。また、上述した送り装置5を具備しているので、スライダ5a及びプランジャ4bを速度制御しながら移動させることができる。このため、液体Wを精度良く外部に供給することができる。さらに、液体Wの連続的な供給や、決まった単位量の供給等も行うことができる。その結果、液体Wを所望の供給態様で外部に供給することができる。
【0149】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0150】
(送り装置)
図12は、本実施形態の液体供給装置1が備える送り装置5の一部の概略構成を示す平面図である。この図に示すように、本実施形態の送り装置5のセルフロック機構5gは、ガイドシャフト12(ガイド部材)と、後方傾動ブロック20(傾動体)と、を備える。なお、本実施形態の送り装置5も、図12には示されていないが、上記第1実施形態の送り装置5と同様に、輪列機構5dと、調速機構5eと、切換機構5fと、を備える。本実施形態の送り装置5が備える輪列機構5d、調速機構5e及び切換機構5fは、上記第1実施形態と同じ構成である必要はない。
【0151】
(スライダ)
本実施形態の送り装置5のスライダ5aは、直方体状に形成されたスライダ本体5a1を備えている。また、このスライダ5aは、後方傾動ブロック20と当接するための突設部5a4を備えている。突設部5a4は、スライダ本体5a1の左側端部から左側LHに突出して設けられている。
【0152】
突設部5a4は、スライダ5aが送りねじ5c上において、後方傾動ブロック20から離間した場合に、後方傾動ブロック20の後述するアーム部22に当接する部位である。図12に示すように、突設部5a4は、アーム部22に当接可能なスライダ側当接面5a5を有する。スライダ側当接面5a5は、前方FW側に向けられ、右側RHから左側LHに向かうに連れて後方BKに向かう傾斜面である。
【0153】
(定圧ばね)
また、本実施形態の送り装置5の定圧ばね5bは、1つのみ設けられており、スライダ5aの右側RHの側面に固定されている。なお、図12に示す定圧ばね5bに加えて、スライダ5aの上方あるいは下方にスライダ5aに前方FWへの推力を付与する定圧ばねを設置してもよい。
【0154】
(送りねじ)
また、本実施形態の送り装置5の送りねじ5cは、上記第1実施形態の送りねじ5cよりも前後方向L1に長い。具体的には、本実施形態の送り装置5の送りねじ5cは、スライダ5aと、後方傾動ブロック20との両方を前後方向L1に配列させて組み合わせ可能な長さに形成されている。
【0155】
(セルフロック機構)
本実施形態のセルフロック機構5gのガイドシャフト12は、上記第1実施形態のガイドシャフト12よりも前後方向L1に長い。具体的には、本実施形態のセルフロック機構5gのガイドシャフト12は、送りねじ5c上にてスライダ5aの後方BKに位置する後方傾動ブロック20を貫通する長さに形成されている。また、本実施形態のセルフロック機構5gのガイドシャフト12は、上記第1実施形態の左側係止凹部12c及び右側係止凹部12dのうち、右側係止凹部12dのみを備えている。つまり、本実施形態のセルフロック機構5gのガイドシャフト12は、右側RHの右側RHの面のみに係止凹部12bが設けられている。なお、本実施形態における右側係止凹部12dの前後方向における形成範囲及び設置数は、上記第1実施形態と同じである必要はない。
【0156】
後方傾動ブロック20は、図12に示すように、送りねじ5c上においてスライダ5aよりも後方BK(送り方向における後側)に配置されており、送りねじ5cと組み合わされている。このような後方傾動ブロック20は、ブロック本体21と、アーム部22と、を備えている。
【0157】
ブロック本体21は、本体部21aと、ナット21bと、を備える。本体部21aは、送り軸線O1に沿って前後方向L1に移動可能に配置される。本体部21aは、前後方向L1に所定の厚みを有すると共に、前後方向L1から見て外形が四角形状となるように形成されている。ただし、本体部21aの形状は特に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。本体部21aには、アーム部22の後端部が一体的に組み合わされている。
【0158】
本体部21aの下面には、不図示の案内片が形成されている。案内片は、下方に向けて突出すると共に、本体ケース2の底壁に形成された図示しない案内レールに沿って前後方向L1に案内される。これにより、本体部21aは、送り軸線O1に沿って直線的に移動可能とされている。本体部21aの中央部には、ナット21bを保持するナット保持部21cが形成されている。
【0159】
ナット21bは、送りねじ5cに螺着された状態で、ナット保持部21cの内側に組み込まれている。ナット21bの内周面には、送りねじ5cの雄ねじ部に螺合する図示しない雌ねじ部が形成されている。ナット21bは、回り止めがされた状態でナット保持部21cの内側に組み込まれている。これにより、ナット21bは、送り軸線O1回りの回転が規制された状態で送りねじ5cに螺着されている。
【0160】
このようなブロック本体21は、送りねじ5cが送り軸線O1回りに回転することで、ナット21bが前後方向に移動することで、同様に前後方向L1に沿って移動する。つまり、ブロック本体21は、スライダ本体5a1と前後方向L1にて一定の距離を空けて移動する。この一定の距離を基準距離Dとする。
【0161】
なお、スライダ本体5a1からブロック本体21までの距離は、シリンジ4のプランジャ4bの最大移動距離(液体Wが一杯の状態から液体Wが空となるまでのプランジャ4bの移動距離)よりも大きくできる。スライダ本体5a1からブロック本体21までの距離が、シリンジ4のプランジャ4bの最大移動距離よりも大きい場合には、送りねじ5cにおいてブロック本体21の移動範囲と、スライダ本体5a1の移動範囲とが重ならない。このため、スライダ本体5a1の移動によって劣化した可能性のある送りねじ5cの範囲にブロック本体21が到達することがなく、ブロック本体21を安定して前後方向に移動することができる。
【0162】
アーム部22は、本体部21aの左側端部に接続されており、本体部21aから前方FWに向けて、送り軸線O1と平行に延びるように形成されている。図12に示すように、アーム部22は、送りねじ5cの左側に位置している。アーム部22の先端部22aは、前後方向L1にてスライダ5aの突設部5a4よりも前方FWに位置する。このような先端部22aは、右側RHに突出するように形成されており、前後方向L1にて突設部5a4に前方FWから対向配置されている。
【0163】
先端部22aは、スライダ5aが送りねじ5c上において、後方傾動ブロック20から離間した場合に、スライダ5aが当接する部位である。図12に示すように、先端部22aは、スライダ5aに当接可能な後方傾動ブロック側当接面22bを有する。後方傾動ブロック側当接面22bは、後方BK側に向けられて、右側RHから左側LHに向かうに連れて前方FWに向かう傾斜面である。
【0164】
また、後方傾動ブロック20は、ガイドシャフト12が挿通されるシャフト挿通孔23を備える。シャフト挿通孔23は、ガイドシャフト12の直径よりも大きな内径の貫通孔である。図12に示すように、シャフト挿通孔23は、後方傾動ブロック20のアーム部22を前後方向L1に貫通するように設けられている。
【0165】
このような本実施形態のセルフロック機構5gでは、スライダ5a及び後方傾動ブロック20は、互いに傾斜面であるスライダ側当接面5a5と後方傾動ブロック側当接面22bとが当接することで、送り軸線O1に対して傾く。つまり、後方傾動ブロック20は、スライダ5aの送り軸線O1に対する傾きに伴って傾く。
【0166】
送りねじ5cとナット5a2との噛み合いが正常である場合には、図12に示すように、スライダ5a及び後方傾動ブロック20とは、送り軸線O1に対して傾いていない基準姿勢となる。この基準姿勢は、ガイドシャフト12の軸線(すなわち送り軸線O1)と、シャフト挿通孔23の中心線とが平行な状態となる姿勢である。上述のようにシャフト挿通孔23は、ガイドシャフト12よりも大径に形成されている。このため、後方傾動ブロック20が基準姿勢である場合には、シャフト挿通孔23の内壁面は、ガイドシャフト12に接触しない。したがって、後方傾動ブロック20が基準姿勢である場合には、後方傾動ブロック20はガイドシャフト12に接触することなく、前後方向に移動する。
【0167】
一方で、送りねじ5cとナット5a2との噛み合いに不具合が生じて、スライダ5aが送りねじ5c上にて後方傾動ブロック20から離れると、スライダ側当接面5a5と後方傾動ブロック側当接面22bとが当接し、スライダ5a及び後方傾動ブロック20が送り軸線O1に対して傾いた傾斜姿勢となると、後方傾動ブロック20の前側端がガイドシャフト12の周面(外壁面12a)に接触する。
【0168】
図13は、スライダ5a及び後方傾動ブロック20が送り軸線O1に対して傾動した場合を示す模式図である。図13では、基準姿勢のスライダ5a及び後方傾動ブロック20を実線で示し、傾斜姿勢のスライダ5a及び後方傾動ブロック20を仮想線で示す。図13に示すように、スライダ5a及び後方傾動ブロック20が傾動した場合には、シャフト挿通孔23の前方FWの開口端の右側RHの縁部がガイドシャフト12に接触する。さらに、シャフト挿通孔23の前方FWの開口端の右側RHの縁部は、右側係止凹部12dに係止される。
【0169】
このようなセルフロック機構5gは、例えば送りねじ5cとナット5a2との噛み合いに不具合が生じて、スライダ5a及び後方傾動ブロック20が送り軸線O1に対して傾斜すると、傾斜姿勢となった後方傾動ブロック20の前後方向への移動を規制する。これによって、スライダ5aの移動を停止できる。
【0170】
以上のような本実施形態のセルフロック機構5gにおいて後方傾動ブロック20は、スライダ5aよりも後方BK(送り方向における後側)にて送りねじ5cと組み合わされている。また、後方傾動ブロック20は、後方傾動ブロック20とスライダ5aとの距離が基準距離Dよりも離れたときにスライダ5aと当接する後方傾動ブロック側当接面22bを有する。
【0171】
このような本実施形態のセルフロック機構5gによれば、スライダ5aに形成されたねじ山が摩耗や欠損して、送りねじ5cから受けるスライダ5aへの反力が低減すると、スライダ5aが後方傾動ブロック20から離れてスライダ5aが後方傾動ブロック20の後方傾動ブロック側当接面22bに当接する。さらに、後方傾動ブロック20が傾斜姿勢となるとガイドシャフト12により移動が規制される。このような本実施形態のセルフロック機構5gにおいて、後方傾動ブロック20は、スライダ5aと別に設けられて送りねじ5cと組み合わされている。このため、後方傾動ブロック20は、スライダ5aに付与される推力による荷重を受けない。したがって、本実施形態のセルフロック機構5gは、後方傾動ブロック20に対する負荷を低減できる。
【0172】
なお、本実施形態のセルフロック機構5gでは、スライダ側当接面5a5及び後方傾動ブロック側当接面22bが左右方向L2に対して傾斜した傾斜面であった。しかしながら、スライダ側当接面5a5及び後方傾動ブロック側当接面22bを左右方向L2と平行な面としてもよい。このような場合であっても、スライダ側当接面5a5と後方傾動ブロック側当接面22bとが当接した状態で、スライダ5aが傾斜姿勢となることで、後方傾動ブロック20も傾動する。
【0173】
ただし、本実施形態のセルフロック機構5gにおいて後方傾動ブロック側当接面22bは、送り軸線O1に対して傾斜している。このような本実施形態のセルフロック機構5gによれば、スライダ5aが後方傾動ブロック20の後方傾動ブロック側当接面22bに当接すると、後方傾動ブロック20に対して傾斜姿勢となる方向にモーメントが作用する。このため、本実施形態のセルフロック機構5gは、後方傾動ブロック20を傾斜姿勢としやすく、より確実に後方傾動ブロック20の移動を規制することができる。
【0174】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0175】
例えば、上記各実施形態では、流体として液体Wを例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば流体としては、ガス等の気体であっても構わない。使用される用途や目的等に応じて、内容物を適宜変更して構わない。例えば、流体としては、塗料、飲料、香料、油脂類(グリス、オイル等)等、様々なものを選択して構わない。
【0176】
さらに上記各実施形態では、定圧ばねを推力付与部として用いる場合を例に挙げて説明しが、この場合に限定されるものではない。推力付与部として、コイルばね、板ばね等の他のばねを用いても構わない。さらに、ばね以外の推力付与部を用いることも可能である。
【0177】
さらに上記各実施形態では、調速機構5eの一例として、羽根車5e1を利用した例を挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、てんぷや電磁石による磁力を利用してアンクルを規則正しく揺動させることで、輪列機構5dの調速を行っても構わない。また、送りねじ5cのリードの長さを変更することで、スライダ5aの調速を行うことも可能である。また、輪列機構5dの歯車の歯数を変更することでスライダ5aの調速を行うことも可能である。
【0178】
なお、本発明は以下の態様を含む。
【0179】
<1>
対象物の送り方向に平行な送り軸線回りに回転可能な送りねじと組み合わされた可動体の前記送り軸線に対する傾きに伴って傾く傾動体と、
基準姿勢の前記傾動体の移動を可能とすると共に、前記送り軸線に対して傾くことで前記基準姿勢と異なる傾斜姿勢となった前記傾動体の移動を規制するガイド部材と、
を備える、セルフロック機構。
【0180】
<2>
前記ガイド部材は、外壁面に設けられると共に前記傾斜姿勢の前記傾動体の一部が係止される凹部を有する、<1>記載のセルフロック機構。
【0181】
<3>
前記ガイド部材は、前記傾動体の案内方向に沿って複数配列された前記凹部を有する、<2>記載のセルフロック機構。
【0182】
<4>
前記ガイド部材は、
前記送り軸線に対して第1の方向に傾斜した前記傾動体の一部が係止される前記凹部である第1凹部と、
前記第1の方向と前記送り軸線から見て反対方向である第2の方向に前記送り軸線に対して傾斜した前記傾動体の一部が係止される前記凹部である第2凹部と、
を有する、<2>または<3>記載のセルフロック機構。
【0183】
<5>
前記ガイド部材は、前記送り軸線と平行に設けられると共に、周面が前記傾斜姿勢の前記傾動体の一部が摺動可能である、<1>~<4>のいずれか一つに記載のセルフロック機構。
【0184】
<6>
前記傾動体及び前記可動体を回転可能に支持する回転補助部材を備える、<1>~<5>のいずれか一つに記載のセルフロック機構。
【0185】
<7>
前記傾動体は、
前記可動体よりも前記送り方向における後側にて前記送りねじと組み合わされており、
前記傾動体と前記可動体との距離が基準距離よりも離れたときに前記可動体と当接する当接面を有する、
<1>~<5>のいずれか一つに記載のセルフロック機構。
【0186】
<8>
前記当接面は、前記送り軸線に対して傾斜している、<7>記載のセルフロック機構。
【0187】
<9>
前記対象物を送り方向に向けて移動させる前記可動体と、
前記送り方向に向けて前記可動体に推力を付与する推力付与部と、
前記可動体に付与された推力によって前記送り軸線回りに回転する前記送りねじと、
前記送りねじの回転に伴って回転する輪列機構と、
前記輪列機構の回転速度を調整する調速機構と、
前記輪列機構の回転の停止と開始とを切り換える切換機構と、
<1>~<8>のいずれか一つに記載のセルフロック機構と、
を備える、送り装置。
【0188】
<10>
前記推力付与部は、前記送り軸線に沿った方向から見て、前記送り軸線を中心とする両側のうち一方側に位置する前記可動体の一部に前記推力を付与する、<9>記載の送り装置。
【0189】
<11>
前記切換機構は、作業者によって操作可能な操作部を有し、
前記操作部は、前記輪列機構の回転が停止される停止位置と、前記輪列機構の回転が開始される回転許容位置とに位置変更が可能である、
<10>記載の送り装置。
【0190】
<12>
流体収容容器と、
<9>~<11>のいずれか一つに記載の送り装置と、を備え、
前記流体収容容器は、
内部に流体が充填される収容筒と、
前記収容筒内に摺動移動可能に配置され、前記送り方向に向けた移動によって前記流体を外部に供給するプランジャと、を備え、
前記可動体は、前記プランジャを前記対象物として前記収容筒内に押し込むように、前記プランジャに連結されている、
流体供給装置。
【符号の説明】
【0191】
1……液体供給装置(流体供給装置)
4……シリンジ(流体収容容器)
4a……シリンジ本体(収容筒)
4b……プランジャ(対象物)
5……送り装置
5a……スライダ(可動体)
5a1……スライダ本体
5a2……ナット
5b……定圧ばね(推力付与部)
5c……送りねじ
5d……輪列機構
5e……調速機構
5f……切換機構
5f1……操作ハンドル(操作部)
5g……セルフロック機構
5h……第1定圧ばね(推力付与部)
5i……第2定圧ばね(推力付与部)
12……ガイドシャフト(ガイド部材)
12a……外壁面(周面)
12b……係止凹部(凹部)
12c……左側係止凹部(凹部)
12d……右側係止凹部(凹部)
13……球体支持部(回転補助部材)
14……傾動ブロック(傾動体)
20……後方傾動ブロック(傾動体)
22b……後方傾動ブロック側当接面(当接面)
D……基準距離
W……液体(流体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13