(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130055
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】センサ用パッケージ及びその製造方法、並びに、赤外線センサ
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20240920BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01J1/02 C
H01L31/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039548
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】田家 良久
【テーマコード(参考)】
2G065
5F149
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB02
2G065BA02
2G065BA34
2G065BA36
2G065BA38
2G065BE08
2G065CA13
2G065CA23
2G065CA25
2G065CA30
2G065DA20
5F149BA25
5F149BA28
5F149BA30
5F149JA03
5F149JA05
5F149JA19
5F149JA20
5F149LA01
5F149XB02
(57)【要約】
【課題】基板の薄肉箇所に撓みが生じるのを抑制するとともに、基板及びパッケージ全体の強度を確保でき、気密封止構造の高い信頼性並びに優れた製造歩留まりが得られるセンサ用パッケージ及びその製造方法並びに赤外線センサを提供する。
【解決手段】上面2a側に、デバイス領域22と電極配置領域23a,23bとを有する第1基板2と、第1基板2の上面2a側にデバイス領域22を覆うように接合され、下面3a側に、デバイス領域22との間にキャビティCを形成するためのキャビティ領域32と、平面視でキャビティ領域32を囲むように設けられる接合部31とを有するとともに、平面視で接合部31の外側の少なくとも一部が、第1基板2の電極配置領域23a,23bを露出させる貫通領域33とされた第2基板3と、を備え、第2基板3は、キャビティ領域32の天井面32aにおける何れかの位置に補強部が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側に、デバイス領域と、平面視で前記デバイス領域の外側に配置される電極配置領域とを有する第1基板と、
前記第1基板の前記一面側に前記デバイス領域を覆うように接合され、前記第1基板との接合面である下面側に、前記デバイス領域との間に封止空間を形成するための凹状のキャビティ領域と、平面視で前記キャビティ領域を囲むように設けられる接合部とを有するとともに、平面視で前記接合部の外側の少なくとも一部が、前記第1基板の前記電極配置領域を露出させる貫通領域とされた第2基板と、
を備え、
前記第2基板は、前記キャビティ領域の天井面における何れかの位置に補強部が設けられていることを特徴とするセンサ用パッケージ。
【請求項2】
前記補強部は、前記キャビティ領域の前記天井面から突出するように設けられた、平面視で細長梁状とされた少なくとも1以上の凸状体からなることを特徴とする請求項1に記載のセンサ用パッケージ。
【請求項3】
前記補強部は、複数の前記凸状体からなり、前記キャビティ領域の前記天井面において、複数の前記凸状体で囲まれた領域であるセルが複数で確保された平面視格子状に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のセンサ用パッケージ。
【請求項4】
前記補強部は、さらに、前記キャビティ領域の側面と前記天井面との間の角部における少なくとも一部に、前記角部に沿って配置され、且つ、前記キャビティ領域を平面視したとき、前記凸状体よりも幅広とされた段差体を含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のセンサ用パッケージ。
【請求項5】
前記補強部は、前記キャビティ領域の前記天井面に複数で設けられた凹部の各々の間に配置される架橋体からなることを特徴とする請求項1に記載のセンサ用パッケージ。
【請求項6】
前記第2基板は、前記キャビティ領域の前記天井面における複数の前記セルの各々に、断面半球状のレンズ体が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のセンサ用パッケージ。
【請求項7】
前記第1基板は、前記一面側に前記デバイス領域が複数で配置されており、且つ、複数の前記デバイス領域は、前記第2基板に設けられた複数の前記セルの各々に対応した位置で、複数の前記セルとそれぞれ対向するように配置されていることを特徴とする請求項6に記載のセンサ用パッケージ。
【請求項8】
前記第1基板及び前記第2基板がシリコン基板からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサ用パッケージ。
【請求項9】
前記第1基板及び前記第2基板が平面視矩形状とされており、
前記電極配置領域及び前記貫通領域が、前記第1基板及び前記第2基板における平面視で少なくとも一辺側に沿って配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサ用パッケージ。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載のセンサ用パッケージと、
前記第1基板の前記デバイス領域に配置される赤外線検出素子と、
前記第1基板における前記電極配置領域に配置される電極と、
前記第1基板における、前記第2基板に設けられた前記接合部に対応する位置に設けられている第1金属接合膜と、
前記第2基板の前記接合部における前記第1基板と接合する位置を覆うように設けられる第2金属接合膜と、
を備え、
前記第1金属接合膜と前記第2金属接合膜とが接合されていることで、前記赤外線検出素子上に前記封止空間を確保しながら、前記第1基板と前記第2基板とが接合されていることを特徴とする赤外線センサ。
【請求項11】
基板材料の表面をエッチングすることにより、一面側に凹状のデバイス領域を形成して第1基板を得る工程(1)と、
基板材料の表面をエッチングすることにより、前記基板材料の少なくとも一部に貫通領域を形成するとともに、前記第1基板との接合面となる下面側に凹状のキャビティ領域を形成し、さらに、平面視で前記キャビティ領域を囲むように設けられる接合部を形成して第2基板を得る工程(2)と、を備え、
前記工程(2)は、前記基板材料をエッチングすることにより、前記第2基板を、前記キャビティ領域の天井面における何れかの位置に補強部を形成しながら加工することを特徴とするセンサ用パッケージの製造方法。
【請求項12】
前記工程(2)は、前記補強部を、前記キャビティ領域の前記天井面から突出するように設けられた、平面視で細長梁状とされた少なくとも1以上の凸状体として形成することを特徴とする請求項11に記載のセンサ用パッケージの製造方法。
【請求項13】
前記工程(2)は、前記補強部として、複数の前記凸状体を、前記キャビティ領域の前記天井面において、複数の前記凸状体で囲まれた領域であるセルが複数で確保された平面視格子状に形成し、且つ、複数の前記セルの各々に、断面半球状のレンズ体を形成することを特徴とする請求項12に記載のセンサ用パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ用パッケージ及びその製造方法、並びに、赤外線センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の電子デバイスにおいて、これら電子デバイスの小型化や高機能化等に伴い、より一層の小型化及び薄型化が求められるようになっている。これに伴い、例えば、スマートフォン等のモバイル機器、あるいは、ウェアラブル機器等の小型電子機器においても、さらなる小型化や薄型化が進められており、それに搭載されることが検討されている各種のセンサデバイスに対しても、より一層の小型化が求められている。
【0003】
電子機器の小型化の要求に対しては、例えば、それらの寸法を電子部品の寸法に近づけることが有効であり、例えば、ウエハーレベルパッケージ技術を用いること等も提案されている。
ここで、上記のような各種の小型電子機器においては、特性劣化や環境耐性といった品質を向上させるため、気密封止に関しての様々な工夫がなされているが、気密封止特性を高めた構成を採用すると製造コストが増大するという問題がある。このような製造コストが増大するのを抑制する観点からも、小型電子機器等におけるウエハーレベルパッケージ技術の導入は有効である。
【0004】
しかしながら、例えば、センサ基板(ベース基板)とリッド基板(蓋基板)との間にスペーサを設けた場合には、センサ基板とリッド基板の両方にスペーサを接着することになるため、手間がかかる複雑な工程となる。このため、製造歩留まりの低下や、気密不良による品質低下を招くおそれがあった。
【0005】
上記のような問題を解決するため、リッド基板におけるセンサ基板との接合部に凸部を設け、さらに、この凸部の先端に突起部を設けることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載によれば、凸部の先端に突起部を設け、接合部間の加圧力を高めて強固に接合することにより、気密封止構造の信頼性を高められることのみならず、製造歩留まりも向上することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術のように、接合部に凸部を設け、接合部間の加圧力を高めて強固に接合するためには、凸部を大きく構成する必要がある。また、センサ基板上に配置されたセンサ素子等にリッド基板が干渉するのを防止するためには、リッド基板に凹状のキャビティ領域を設ける必要がある。一方、パッケージを薄型化するためには、センサ素子の直上におけるリッド基板の厚みを薄くする必要がある。しかしながら、このような場合、センサ素子等が大型であるか、あるいは、接合部間の間隔が大きいと、センサ基板とリッド基板とを重ね合わせて加圧した際にウエハが撓み、接合部以外の箇所でリッド基板とセンサ基板とが接触し、加圧力が分散してしまう。このような加圧力の分散が生じると、接合部に所望の加圧力が効率的に付与されず、接合部間を強固に接合することができないことから、製造歩留まりの低下が生じるという問題がある。また、リッド基板の厚みが薄く、接合時の加圧力に機械的強度が耐えられない場合には、クラックや割れが生じることから、パッケージ及びこのパッケージを備えるセンサ等の品質や信頼性が低下する。即ち、製造歩留まりの低下や気密封止構造の信頼性の低下が生じてしまうことから、上述した小型電子機器等への適用にあたって求められる、品質面等での種々の要求に応えられないという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、パッケージを薄型化した場合であっても、基板の薄肉箇所に撓みが生じるのを抑制できるとともに、基板及びパッケージ全体の強度を確保することができ、気密封止構造の高い信頼性並びに優れた製造歩留まりが得られるセンサ用パッケージ及びその製造方法、並びに、赤外線センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の赤外線センサは、以下に示す構成を採用する。
[1] 本発明の一態様に係るセンサ用パッケージは、一面側に、デバイス領域と、平面視で前記デバイス領域の外側に配置される電極配置領域とを有する第1基板と、前記第1基板の前記一面側に前記デバイス領域を覆うように接合され、前記第1基板との接合面である下面側に、前記デバイス領域との間に封止空間を形成するための凹状のキャビティ領域と、平面視で前記キャビティ領域を囲むように設けられる接合部とを有するとともに、平面視で前記接合部の外側の少なくとも一部が、前記第1基板の前記電極配置領域を露出させる貫通領域とされた第2基板と、を備え、前記第2基板は、前記キャビティ領域の天井面における何れかの位置に補強部が設けられていることを特徴とするセンサ用パッケージである。
【0010】
本態様によれば、第2基板が、キャビティ領域の天井面における何れかの位置に補強部が設けられていることで、パッケージ全体の薄型化に伴ってキャビティ領域の部分が薄く構成された場合でも、第1基板と第2基板とを接合する際の加圧力によって、第2基板のキャビティ領域が撓むのを抑制できる。これにより、接合部の突設寸法を大きくすることができ、接合時における第2基板の撓みによって接合部以外の部分に加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部に加圧力が効率的に付与され、強固な接合が可能となる。また、センサ素子が大型であるか、あるいは、接合部間の間隔が大きい場合であっても、第2基板のキャビティ領域が撓むのを抑制できることで、上記同様、加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部に加圧力が効率的に付与され、強固な接合が可能となる。従って、気密封止構造の高い信頼性、並びに、優れた製造歩留まりが得られる。
【0011】
[2] 上記[1]の態様のセンサ用パッケージにおいて、前記補強部が、前記キャビティ領域の前記天井面から突出するように設けられた、平面視で細長梁状とされた少なくとも1以上の凸状体からなることが好ましい。
【0012】
本態様のセンサ用パッケージによれば、補強部が、平面視で細長梁状とされた凸状体からなることで、上記同様、パッケージ全体の薄型化に伴ってキャビティ領域の部分が薄く構成された場合でも、第1基板と第2基板とを接合する際の加圧力によって、第2基板のキャビティ領域が撓むのを抑制できる。従って、上記同様、加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部に加圧力が効率的に付与され、強固な接合が可能になることから、気密封止構造の信頼性が高められ、製造歩留まりにも優れたセンサ用パッケージが実現できる。
【0013】
[3] 上記[2]の態様のセンサ用パッケージにおいて、前記補強部が、複数の前記凸状体からなり、前記キャビティ領域の前記天井面において、複数のセルが確保された平面視格子状に配置されていることが好ましい。
【0014】
本態様のセンサ用パッケージによれば、補強部が複数の凸状体からなり、キャビティ領域の天井面において複数のセルが確保された平面視格子状に配置されていることで、キャビティ領域の撓みをより顕著に抑制できる。これにより、気密封止構造の信頼性が顕著に高められ、製造歩留まりに優れたセンサ用パッケージが実現できる。
【0015】
[4] 上記[2]又は[3]の態様のセンサ用パッケージにおいて、前記補強部が、さらに、前記キャビティ領域の側面と前記天井面との間の角部における少なくとも一部に、前記角部に沿って配置され、且つ、前記キャビティ領域を平面視したとき、前記凸状体よりも幅広とされた段差体を含む構成を採用できる。
【0016】
本態様のセンサ用パッケージによれば、第2基板のキャビティ領域において、上記の凸状体に加え、さらに段差体が設けられていることにより、キャビティ領域の撓みをさらに顕著に抑制できる。これにより、気密封止構造の信頼性が顕著に高められ、製造歩留まりに優れたセンサ用パッケージが実現できる。
【0017】
[5] 上記[1]の態様のセンサ用パッケージにおいて、前記補強部が、前記キャビティ領域の前記天井面に複数で設けられた凹部の各々の間に配置される架橋体からなる構成を採用できる。
【0018】
本態様のセンサ用パッケージによれば、補強部が架橋体から構成されることで、上記同様、パッケージ全体の薄型化に伴ってキャビティ領域の部分が薄く構成された場合でも、第1基板と第2基板とを接合する際の加圧力によって、第2基板のキャビティ領域が撓むのを抑制できる。従って、上記同様、加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部に加圧力が効率的に付与され、強固な接合が可能になるので、気密封止構造の信頼性が高められ、製造歩留まりにも優れたセンサ用パッケージが実現できる。
【0019】
[6] 上記[3]の態様のセンサ用パッケージにおいて、前記第2基板が、前記キャビティ領域の前記天井面における複数の前記セルの各々に、断面半球状のレンズ体が設けられている構成を採用できる。
【0020】
本態様のセンサ用パッケージによれば、キャビティ領域における複数のセルの各々にレンズ体が設けられていることで、レンズ効果によって第1基板のデバイス領域に向けて集光することが可能になるので、万が一、補強部による入射光の減衰が生じた場合であっても、受光感度の低下を防止できる。これにより、良好な素子特性を維持することができ、製造歩留まりを高めることが可能となる。
【0021】
[7] 上記[6]の態様のセンサ用パッケージにおいて、前記第1基板が、前記一面側に前記デバイス領域が複数で配置されており、且つ、複数の前記デバイス領域は、前記第2基板に設けられた複数の前記セルの各々に対応した位置で、複数の前記セルとそれぞれ対向するように配置されている構成を採用できる。
【0022】
本態様のセンサ用パッケージによれば、第1基板においてデバイス領域が複数で配置され、且つ、第2基板における複数のセルに各々対応して配置されていることで、第1基板のデバイス領域に向けてより効果的に集光することができる。これにより、十分な受光感度を確保でき、製造歩留まりを高めることが可能となる。
【0023】
[8] 上記[1]~[7]の何れかの態様のセンサ用パッケージにおいて、前記第1基板及び前記第2基板がシリコン基板からなることが好ましい。
【0024】
本態様のセンサ用パッケージによれば、第1基板及び第2基板がシリコン基板からなることで、第2基板における赤外線の透過率が高められるので、センサ用パッケージを赤外線センサに適用した場合には、赤外線を効率よく受光することが可能になる。
また、第1基板及び第2基板が、加工性に優れるシリコン基板からなることで、ドライエッチング又はウェットエッチングで加工するときの精度が向上する。また、第1基板及び第2基板として、一般的に流通している、特に面方位が(100)面であるシリコン基板を採用することにより、入手容易性に優れるとともに、製造コストを抑制することが可能となる。
【0025】
[9] 上記[1]~[8]の何れかの態様のセンサ用パッケージにおいて、前記第1基板及び前記第2基板が平面視矩形状とされており、前記電極配置領域及び前記貫通領域が、前記第1基板及び前記第2基板における平面視で少なくとも一辺側に沿って配置されている構成を採用できる。
【0026】
本態様のセンサ用パッケージによれば、電極を設けるための電極配置領域を、例えば、第1基板の一辺側のみに設けてもよいし、さらに、この一辺側と対向する他辺側にも設けることもできるので、例えば、センサ用パッケージをプリント基板等に対してCOBする場合のスペース等を想定しながら、フレキシブルに構成できる。従って、例えば、第1基板の一辺側にのみ、電極配置領域を設けた場合には、センサ用パッケージ、並びに、赤外線センサが搭載されるプリント基板を小型化することが可能となり、さらに他辺側にも電極配置領域を設けた場合には、より複雑な電気的接続に対応することも可能となる。
【0027】
[10] 本発明の一態様に係る赤外線センサは、上記の[1]~[9]の何れかの態様のセンサ用パッケージと、前記第1基板の前記デバイス領域に配置される赤外線検出素子と、前記第1基板における前記電極配置領域に配置される電極と、前記第1基板における、前記第2基板に設けられた前記接合部に対応する位置に設けられている第1金属接合膜と、前記第2基板の前記接合部における前記第1基板と接合する位置を覆うように設けられる第2金属接合膜と、を備え、前記第1金属接合膜と前記第2金属接合膜とが接合されていることで、前記赤外線検出素子上に前記封止空間を確保しながら、前記第1基板と前記第2基板とが接合されていることを特徴とする赤外線センサである。
【0028】
本態様によれば、第2基板が、キャビティ領域の天井面における何れかの位置に補強部が設けられた、上記態様のセンサ用パッケージを備えることにより、上述したように、パッケージ全体の薄型化に伴ってキャビティ領域の部分が薄く構成された場合でも、第1基板と第2基板とを接合する際の加圧力によって、第2基板のキャビティ領域が撓むのを抑制できる。これにより、上記同様、接合部の突設寸法を大きくすることができ、接合時における第2基板の撓みによって接合部以外の部分に加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部に加圧力が効率的に付与され、強固な接合が可能となる。また、赤外線検出素子が大型であるか、あるいは、接合部間の間隔が大きい場合であっても、第2基板のキャビティ領域が撓むのを抑制できることで、上記同様、加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部に加圧力が効率的に付与され、強固な接合が可能となる。従って、気密封止構造の信頼性が高く、製造歩留まりにも優れた赤外線センサが実現できる。
【0029】
[11] 本発明の一態様に係るセンサ用パッケージの製造方法は、基板材料の表面をエッチングすることにより、一面側に凹状のデバイス領域を形成して第1基板を得る工程(1)と、基板材料の表面をエッチングすることにより、前記基板材料の少なくとも一部に貫通領域を形成するとともに、前記第1基板との接合面となる下面側に凹状のキャビティ領域を形成し、さらに、平面視で前記キャビティ領域を囲むように設けられる接合部を形成して第2基板を得る工程(2)と、を備え、前記工程(2)は、前記基板材料をエッチングすることにより、前記第2基板を、前記キャビティ領域の天井面における何れかの位置に補強部を形成しながら加工することを特徴とするセンサ用パッケージの製造方法である。
【0030】
本態様によれば、工程(2)において、基板材料をエッチングすることにより、第2基板を、キャビティ領域の天井面における何れかの位置に補強部を形成しながら加工することで、上記同様、パッケージ全体の薄型化に伴ってキャビティ領域の部分が薄く構成された場合でも、第1基板と第2基板とを接合する際の加圧力によって、第2基板のキャビティ領域が撓むのを抑制できる。これにより、接合部の突設寸法を大きくすることができ、接合時における第2基板の撓みによって接合部以外の部分に加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部に加圧力を効率的に付与でき、強固に接合することが可能となる。また、センサ素子が大型であるか、あるいは、接合部間の間隔が大きい場合であっても、第2基板のキャビティ領域が撓むのを抑制できることで、上記同様、加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部に加圧力を効率的に付与でき、強固に接合することが可能となる。従って、信頼性の高い気密封止構造を有するセンサ用パッケージを優れた製造歩留まりで製造することが可能となる。
【0031】
[12] 上記[11]の態様のセンサ用パッケージの製造方法において、前記工程(2)は、前記補強部を、前記キャビティ領域の前記天井面から突出するように設けられた、平面視で細長梁状とされた少なくとも1以上の凸状体として形成することが好ましい。
【0032】
本態様のセンサ用パッケージの製造方法によれば、工程(2)において、補強部を、平面視で細長梁状とされた凸状体として形成することで、例えば、デバイス領域に赤外線検出素子が配置された赤外線センサを構成した場合に、外部から入射する赤外線が補強部によって遮られるのを最小限に抑制できるセンサ用パッケージが得られる。これにより、信頼性の高い気密封止構造並びに優れたセンサ用パッケージを、優れた製造歩留まりで製造することが可能となる。
【0033】
[13] 上記[12]の態様のセンサ用パッケージの製造方法において、前記工程(2)は、前記補強部として、複数の前記凸状体を、前記キャビティ領域の前記天井面において複数のセルが確保された平面視格子状に形成し、且つ、複数の前記セルの各々に、断面半球状のレンズ体を形成することがより好ましい。
【0034】
本態様のセンサ用パッケージの製造方法によれば、工程(2)において、補強部を複数の凸状体に形成するとともに、キャビティ領域の天井面において複数のセルが確保された平面視格子状に配置することで、第1基板と第2基板を接合する際のキャビティ領域の撓みをより顕著に抑制できる。また、赤外線センサを構成した場合に、外部から入射する赤外線が補強部によって遮られるのを最小限に抑制できるセンサ用パッケージを製造できる。さらに、工程(2)において、キャビティ領域における複数のセルの各々にレンズ体を形成することで、レンズ効果によって第1基板のデバイス領域に向けて集光することが可能なセンサ用パッケージを製造できる。また、補強部及びレンズ体は同一プロセスで形成することが可能である。従って、万が一、補強部による入射光の減衰が生じるような場合であっても、受光感度の低下を防止できるので、製造歩留まりを高めることが可能になるとともに、工程が増加するのを回避できるので、優れた生産性も維持できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、上記構成を備えることにより、パッケージを薄型化した場合であっても、基板の薄肉箇所に撓みが生じるのを抑制できるとともに、基板及びパッケージ全体の強度を確保することができる。これにより、気密封止構造の高い信頼性並びに優れた製造歩留まりが得られるセンサ用パッケージ及びその製造方法、並びに、赤外線センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサを模式的に説明する平面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサを模式的に説明する図であり、
図1中に示すA-A断面図である。
【
図3A】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第2基板を得る工程(2)の手順を示す工程図である。
【
図3B】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第2基板を得る工程(2)の手順を示す工程図である。
【
図3C】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第2基板を得る工程(2)の手順を示す工程図である。
【
図3D】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第2基板を得る工程(2)の手順を示す工程図である。
【
図4A】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第2基板を得る工程(2)の手順を示す工程図である。
【
図4B】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第2基板を得る工程(2)の手順を示す工程図である。
【
図4C】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第2基板を得る工程(2)の手順を示す工程図である。
【
図4D】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第2基板を得る工程(2)の手順を示す工程図である。
【
図5A】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第2基板を得る工程(2)の手順を示す工程図である。
【
図5B】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第2基板を得る工程(2)の手順を示す工程図である。
【
図5C】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、工程(2)で得られた第2基板の接合部における第1基板と接合する位置を覆うように第2金属接合膜を形成する工程(6)の手順を示す工程図である。
【
図5D】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、工程(2)で得られた第2基板の接合部における第1基板と接合する位置を覆うように第2金属接合膜を形成する工程(6)の手順を示す工程図である。
【
図5E】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、工程(2)で得られた第2基板の接合部における第1基板と接合する位置を覆うように第2金属接合膜を形成する工程(6)の手順を示す工程図である。
【
図6A】本発明の第1の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第1基板を得る工程(1)、第1基板の一面側に、第2基板の接合部に対応する位置で第1金属接合膜を形成する工程(3)、デバイス領域に赤外線検出素子を配置する工程(4)、並びに、第1基板の一面側における電極配置領域に、電極を配置する工程(5)の手順を示す工程図である。
【
図6B】本発明の第1の実施形態である赤外線センサの製造方法を模式的に説明する図であり、第1基板と第2基板とを接合して赤外線センサを得る工程(8)、並びに、ダイシングラインに沿って第1基板及び第2基板を切断することにより、チップ単位に個片化する工程(9)の手順を示す工程図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサを模式的に説明する平面図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサを模式的に説明する図であり、
図7中に示すB-B断面図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサを模式的に説明する平面図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサを模式的に説明する図であり、
図9中に示すC-C断面図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサを模式的に説明する平面図である。
【
図12】本発明の第4の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサを模式的に説明する図であり、
図11中に示すD-D断面図である。
【
図13】本発明の第5の実施形態であるセンサ用パッケージ及び赤外線センサの他の例を模式的に説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明のセンサ用パッケージ及びその製造方法、並びに、赤外線センサの実施形態を挙げ、その構成について
図1~
図13を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる各図面は、本発明のセンサ用パッケージ並びに赤外線センサの特徴をわかりやすくするため、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0038】
【0039】
[センサ用パッケージ及び赤外線センサの構成]
図1及び
図2に示すように、本実施形態のセンサ用パッケージは、第1基板2(ベース基板)と、第2基板3(リッド基板)とを備える。
そして、本実施形態の赤外線センサ1は、上記のセンサ用パッケージを構成する第1基板2及び第2基板3に加え、さらに、第1基板2の上面(一面)2aに形成されたデバイス領域22内に配置される赤外線検出素子4を備え、概略構成される。
即ち、本実施形態の赤外線センサ1は、詳細を後述するように、第1基板2及び第2基板3を有するセンサ用パッケージを含むものである。
【0040】
より詳細に説明すると、本実施形態の赤外線センサ1は、まず、上述した第1基板2及び第2基板3を有する本実施形態のセンサ用パッケージを備える。
さらに、本実施形態の赤外線センサ1は、第1基板2のデバイス領域22に配置される赤外線検出素子4と、第1基板2における電極配置領域23a,23bに配置される電極81,82と、第1基板2における、第2基板3に設けられた接合部31に対応する位置に設けられている第1金属接合膜51と、第2基板3の接合部31における、第1基板2と接合する位置である底面31aを覆うように設けられる第2金属接合膜52と、を備える。これにより、本実施形態の赤外線センサ1は、赤外線検出素子4上に封止空間であるキャビティCを確保しながら、第1基板2と第2基板3とが接合されて構成される。
【0041】
また、本実施形態の赤外線センサ1は、第2基板3における、キャビティ領域32の天井面32aにおける何れかの位置に補強部が設けられるものであり、
図1及び
図2に示す例では、複数の凸状体34からなる補強部が、後述の段差体36を含めて平面視で概略格子状となるように配置されている。即ち、図示例においては、天井面32aにおいて、2本の凸状体34が各々の長さ方向の中心付近で直交するように配置されていることで、天井面32aに計4つのセル35が確保されている。
【0042】
さらに、図示例の赤外線センサ1は、第2基板3における、キャビティ領域32の側面32bと天井面32aとの間の角部32cにおける少なくとも一部に、角部32cに沿って配置され、キャビティ領域32を平面視したとき、凸状体34よりも幅広とされた段差体36からなる補強部が設けられている。
【0043】
そして、本実施形態の赤外線センサ1は、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とが、例えば、金属拡散接合によって接合されていることで、赤外線検出素子4上にキャビティCを確保しながら、第1基板2と第2基板3とが接合された構成とされている。
以下、本実施形態の赤外線センサ1の各構成についてさらに詳細に説明する。
【0044】
第1基板2は、センサ用パッケージ及び赤外線センサ1のベース基板であり、例えば、シリコン基板から構成される。また、第1基板2は、
図1に示す例では、平面視で矩形状に形成されている。また、第1基板2の上面2a(一面)には、詳細を後述する赤外線検出素子4を配置するためのデバイス領域22が凹状に形成されており、図示例においては、平面視で概略中央にデバイス領域22が設けられている。また、第1基板2の上面2aには、平面視でデバイス領域22の外側に配置される電極配置領域23a,23bが設けられている。
【0045】
第1基板2は、例えば、シリコン基板をドライエッチングすることにより、デバイス領域22を形成することで得ることができる。デバイス領域22は、例えば、平面視矩形状に形成される領域である。
なお、第1基板2の平面視形状は、図示例のような概略矩形状のものには限定されず、赤外線センサ1としての平面視形状に合わせて他の形状を採用することも可能である。
また、本実施形態で説明する例では、第1基板2の上面2a及び下面2bは、デバイス領域22の部分を除いて概略平坦に構成されている。
また、第1基板2は、シリコン基板をウェットエッチングすることにより、デバイス領域22を形成することで得ることも可能である。
【0046】
また、第1基板2には、該第1基板2内に埋設され、赤外線検出素子4に電気的に接続される埋め込み配線71,72と、第1基板2上において、対向して配置される第2基板3よりも平面視で外側に設けられ、埋め込み配線71,72と第1コンタクト91a,92aを介して電気的に接続される電極81,82とが備えられている。
また、
図1及び
図2においては詳細な図示を省略しているが、第2コンタクト91b,92bと赤外線検出素子4との間は、第1信号配線部61、又は、第2信号配線部62を介して電気的に接続されており、これにより、電極81,82は、赤外線検出素子4から出力された検出信号を外部に向けて送出できるように構成されている。
【0047】
また、
図1及び
図2等においては図示を省略しているが、本実施形態の赤外線センサ1においては、第1基板2におけるデバイス領域22の周囲や、後述する埋め込み配線71,72又は電極81,82の周囲等に、さらに絶縁層が設けられていてもよい。具体的には、図示略の絶縁層は、第1基板2の上面2a側のうち、赤外線検出素子4よりも外側の領域に、平面視で赤外線検出素子4を囲むように設けることができる。この絶縁層は、絶縁性を有する材料からなり、例えば、二酸化ケイ素(SiO
2)等のシリコン酸化膜や、シリコン窒化膜(SiN
x)等から形成される。
【0048】
第2基板3は、赤外線センサ1のリッド基板(蓋)であり、第1基板2と同様、シリコン基板をエッチングすることで得られる。また、図示例の第2基板3は、第1基板2と同様、平面視で矩形状に形成されている。
より具体的には、第2基板3は、第1基板2の上面2a側にデバイス領域22を覆うように接合されるものであり、第1基板2との接合面である下面3a側に、デバイス領域22との間にキャビティCを確保するための凹状のキャビティ領域32と、平面視でキャビティ領域32を囲むように概略枠状で設けられる接合部31とを有する。
また、第2基板3は、平面視で接合部31の外側の少なくとも一部、図示例では、平面視矩形状とされた第2基板3において対向して配置された一辺側と他辺側に沿うように、第1基板2の電極配置領域23a,23bを露出させるための貫通領域33を有する。
図1及び
図2に示す例では、貫通領域33が、電極配置領域23a及び電極配置領域23bのそれぞれに対応する位置で、キャビティ領域32を介して一対で配置されている。また、図示例では、キャビティ領域32が平面視矩形状とされている。
【0049】
そして、図示例の第2基板3には、上述したように、キャビティ領域32の天井面32aにおいて、2本の凸状体34が各々の長さ方向の中心付近で直交するように、後述の段差体36と含めて平面視で概略格子状に配置されていることで、天井面32aに計4つのセル35が確保されている。
凸状体34は、キャビティ領域32の天井面32aから突出するように設けられるとともに、平面視で細長梁状とされている。
【0050】
さらに、図示例の第2基板3には、キャビティ領域32の側面32bと天井面32aとの間の角部32c全体に沿って配置され、キャビティ領域32を平面視したとき、凸状体34よりも幅広とされた段差体36が配置されている。
【0051】
凸状体34及び段差体36の幅寸法としては、特に限定されないが、第1基板2のデバイス領域22に配置される赤外線検出素子4への赤外線の入光を阻害することのない範囲で適宜設定できる。より具体的には、例えば、第2基板3を平面視したときの凸状体34及び段差体36の合計面積が、少なくとも、第1基板2を平面視したときのデバイス領域22(赤外線検出素子4)の面積の半分以下とすることで、キャビティ領域32の天井面32aの強度を高めながら、赤外線を十分に入光させることが可能となる。
【0052】
また、凸状体34及び段差体36の高さ寸法としても、特に限定されず、例えば、第1基板2のデバイス領域22に配置される赤外線検出素子4との干渉が発生しない程度の寸法で、且つ、赤外線検出素子4への赤外線の入光を阻害することのない範囲で適宜設定できる。
【0053】
第2基板3は、例えば、シリコン基板をドライエッチングすることで接合部31及び貫通領域33を形成するとともに、上記の各補強部を含むキャビティ領域32を形成することが可能である。
即ち、第2基板3は、例えば、接合部31、補強部を含むキャビティ領域32及び貫通領域33の全てをドライエッチングで形成することで、同じプロセスで同時に形成して得ることも可能である。
【0054】
第2基板3は、第1基板2に対して概略平行となるように重ね合わせられる。
第2基板3の平面視形状も、第1基板2の場合と同様、図示例のような概略矩形状には限定されず、赤外線センサ1としての平面視形状に合わせて、第1基板2と対応する形状とすることができる。
また、第2基板3は、遠赤外線を透過可能なシリコン基板からなることで、赤外線検出素子4に遠赤外線を入射させることが可能な構成とされている。
【0055】
第2基板3におけるキャビティ領域32の深さ、即ち、枠状の接合部31の高さとしては、キャビティCとして一定容量を有する空間を確保できる高さであれば、特に限定されず、例えば、30~100μmの高さとすることができる。
【0056】
また、接合部31の底面31aの平面視寸法(面積)としては、特に限定されないが、詳細を後述する、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52との金属拡散接合による接合強度を確保することも勘案し、例えば、1.5~4.0mm角の概略矩形状とすることができる。
【0057】
また、本実施形態においては、第1基板2及び第2基板3がシリコン基板からなることで、第2基板3における遠赤外線の透過率が高められ、遠赤外線を効率よく受光することが可能になる。
また、第1基板2及び第2基板3が、加工性に優れるシリコン基板からなることで、ドライエッチング又はウェットエッチングで加工するときの精度が向上するので、素子特性にさらに優れたものとなる。
また、第1基板2及び第2基板3として、一般的に流通している、特に面方位が(100)面であるシリコン基板を採用することにより、入手容易性に優れるとともに、製造コストを抑制することが可能となる。
【0058】
赤外線検出素子4は、上述のように、第1基板2の上面2a側に形成された凹状のデバイス領域22に収容されるように設けられている。また、赤外線検出素子4は、上述したように、その検出信号を、電極81,82から外部に向けて送出するように設けられており、第1基板2のデバイス領域22に設置された状態において、その上面側が、減圧空間(封止空間)とされたキャビティCに露出するように設けられる。
【0059】
赤外線検出素子4は、例えば、ベース基板である第1基板2の構成材料から構成された部分を有してもよく、外部から供給された材料から構成された部分を有してもよく、また、第1基板2の構成材料と外部から供給された材料とを混合して構成された部分を有してもよい。
【0060】
第1金属接合膜51は、上述したように、第1基板2の上面2aにおける、第2基板3の接合部31に対応した位置に設けられる。
また、第2金属接合膜52は、上述したように、第2基板3の接合部31における、第1基板2と接合する位置、即ち、底面31aを覆うように設けられる。
本実施形態においては、第1基板2に設けられる第1金属接合膜51と、第2基板3に設けられる第2金属接合膜52とが、例えば、金属拡散接合によって接合されることで金属接合体50が形成され、この金属接合体50によって第1基板2と第2基板3とが接合される。
【0061】
第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52は、
図1中に示すように、平面視矩形状で概略枠状に形成され、これら第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とが金属拡散接合してなる金属接合体50も、平面視矩形状で概略枠状に形成される。
また、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とからなる金属接合体50は、第1基板2と第2基板3とを接合することで、これら第1基板2、第2基板3及び金属接合体50に囲まれたキャビティCを形成する。
【0062】
より具体的には、金属接合体50は、第1基板2の上面2aに配置される第1下地層51a、及び、第1下地層51a上に積層して設けられる第1接合層51bからなる第1金属接合膜51と、第2基板3の接合部31の先端に配置される第2下地層52a、及び、第2下地層52a上に積層して設けられる第2接合層52bからなる第2金属接合膜52とから構成される。
【0063】
第1下地層51a及び第2下地層52aは、それぞれ、第1基板2の上面2a、又は、第2基板3における接合部31の底面31aに接合されて設けられる。上記のような各下地層を備えることにより、第1接合層51bが第1基板2に対して強固に接合されるとともに、第2接合層52bが第2基板3の接合部31に対して強固に接合される。
【0064】
第1下地層51a及び第2下地層52aは、第1基板2の上面2a上、又は、第2基板3の接合部31の先端において、導電性を有する金属材料によって薄膜状に形成されている。
第1下地層51a及び第2下地層52aの材料としては、特に限定されないが、例えば、タンタル(Ta)又は窒化チタン(TiN)からなる薄膜とされていることが好ましい。
また、第1基板2側に設けられる第1下地層51aは、例えば、図示略のグラウンドに接続されている。このグラウンドは、例えば、第1基板2の下面2b側に設けることができるが、第1基板2の上面2a側に設けられていてもよい。
【0065】
第1接合層51b及び第2接合層52bは、上記のように、それぞれ、第1下地層51a上、又は、第2下地層52a上に積層されている。
第1接合層51b及び第2接合層52bの材料としては、特に限定されないが、例えば、第1下地層51a及び第2下地層52aの材料としてタンタルを用いた場合には、第1接合層51b及び第2接合層52bの材料として金(Au)を用いる。また、第1下地層51a及び第2下地層52aの材料として窒化チタンを用いた場合には、第1接合層51b及び第2接合層52bの材料としてアルミニウム(Al)を用いる。
【0066】
そして、本実施形態においては、第1接合層51bと第2接合層52bとが、同じ材料同士で接合されるように構成される。即ち、第1接合層51b及び第2接合層52bは、両方が同じ材料、即ち、金(Au)又はアルミニウム(Al)の何れか一方の材料を含むように構成される。
【0067】
金属接合体50を構成する第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52を上記材料から構成した場合、各層の厚さは特に限定されない。一方、電気的特性や接合時の強度等を勘案し、第1下地層51a及び第2下地層52aをタンタルから構成し、第1接合層51b及び第2接合層52bを金から構成した場合には、例えば、{第1接合層51b(又は第2接合層52b):0.5nm~2μm/第1下地層51a(又は第2下地層52a):0.05~0.2μm}の範囲とすることが好ましい。
同様に、第1下地層51a及び第2下地層52aを窒化チタンから構成し、第1接合層51b及び第2接合層52bをアルミニウムから構成した場合には、例えば、{第1接合層51b(又は第2接合層52b):1~3μm/第1下地層51a(又は第2下地層52a):0.05~0.5μm}の範囲とすることが好ましい。
【0068】
また、金属接合体50によるキャビティCに対する封止幅、即ち、接合部31に対応して平面視矩形状に形成された第2金属接合膜52及び第1金属接合膜51の最大幅としても、特に限定されない。一方、この部分の接合性を高め、キャビティCの封止気密性をより高めることを考慮した場合、第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52の最大幅は、第1下地層51a及び第2下地層52aをタンタルから構成し、第1接合層51b及び第2接合層52bを金から構成した場合には、例えば、0.10~0.30mmとすることが好ましい。また、第1下地層51a及び第2下地層52aを窒化チタンから構成し、第1接合層51b及び第2接合層52bをアルミニウムから構成した場合には、第2金属接合膜52及び第1金属接合膜51の最大幅は、例えば、0.03~0.1mmの幅とすることが好ましい。
【0069】
本実施形態においては、金属接合体50をなす第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52を、上記のような層構造から構成することにより、第1基板2と第2基板3とを重ね合わせて加圧した際に、第1下地層51a及び第1接合層51bと、第2下地層52a及び第2接合層52bとの間に金属拡散接合が発現される。これにより、金属接合体50を強固な接合構造とし、且つ、第1基板2と第2基板3とを、キャビティCにおける封止性を高めながら強固に接合することが可能になる。
【0070】
なお、本実施形態においては、第1基板2と第2基板3とを接合するにあたり、第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52を上記材料から構成して金属拡散接合させることには限定されない。例えば、第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52の各層を金(Au)又はスズ(Sn)から構成し、Au-Sn共晶接合させた構成を採用してもよい。この場合、例えば、第1下地層51a及び第2下地層52a、並びに、第1接合層51b及び第2接合層52bを、それぞれAu-Sn共晶合金から形成し、共晶温度まで加熱及び溶融させることで、第1下地層51a及び第1接合層51bと、第2下地層52a及び第2接合層52bとの間を共晶接合させる。これにより、第1基板2と第2基板3とを強固且つ安定して接合することができ、キャビティCの高い封止気密性が得られる。
【0071】
第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52の各層を金又はスズから構成した場合の、各層の組成としては、特に限定されないが、例えば、Au-Snを20~22%で含むものを用いることができる。
また、この場合の第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52の各層の厚みも、特に限定されないが、例えば、5~10μmの厚みを有するペースト状又はリボン状に構成することができる。
また、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とをAu-Sn共晶接合させた場合の封止幅、即ち、第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52の幅についても、特に限定されないが、例えば、0.1~0.5mmの範囲とすることができる。
【0072】
さらに、第1基板2の上面2aには、上述した電極81,82、埋め込み配線71,72、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bが設けられている。
【0073】
埋め込み配線71,72は、上述したように、赤外線検出素子4と電極81,82とを電気的に接続するものである。埋め込み配線71,72は、電極81,82及び赤外線検出素子4における図示略の出力端子の数に応じて複数で設けられており、
図2中においては、埋め込み配線71,72の一部のみを示している。また、電極81,82は、赤外線検出素子4に対して、第1信号配線部61及び第2信号配線部62を介して電気的に接続されている。また、図示例の埋め込み配線71,72は、第1基板2の厚さ方向において、中央部よりも上方に埋設されており、電極81,82、並びに、第1信号配線部61及び第2信号配線部62の下方にわたるように配置されている。
【0074】
埋め込み配線71,72の材料としては、優れた導電性を有する配線材料又は電極材料であれば、特に限定されず、従来からこの分野で用いられている金属材料等を何ら制限無く用いることができる。このような材料としては、例えば、ポリシリコン配線やアルミニウム(Al)配線等、埋め込み配線に一般的に用いられる導電性材料が挙げられる。
【0075】
電極81,82は、埋め込み配線71,72及び第1コンタクト91a,92a等を介して赤外線検出素子4と電気的に接続され、赤外線検出素子4による検出信号等を外部に出力するものである。電極81,82は、第1基板2の上面2a上に確保された電極配置領域23a,23bにおいて、それぞれ対向する縁部に沿って設けられており、図示例においては、電極81と電極82とが、それぞれ対向して5カ所に設けられている。また、電極81,82は、平面視で、第1基板2と対向して設けられる第2基板3よりも外側に設けられている。電極81,82は、例えば、赤外線検出素子4による検出信号等を必要とする種々の外部機器に対して電気的に接続可能に設けられる。
【0076】
電極81,82の材料としても、従来からこの分野で用いられている金属材料等を何ら制限無く用いることができ、例えば、アルミシリコン合金(AlSi)及び窒化チタン(TiN)をスパッタリング法によって順次積層したもの等を用いることができる。
また、詳細を後述するように、電極81,82を、第1金属接合膜51と同じ工程で同時に形成する場合には、これら各電極の材料として、上述した第1金属接合膜51と同じ材料を用いればよい。
【0077】
第1コンタクト91a,92aは、埋め込み配線71,72と電極81,82とを電気的に接続するものであり、第2コンタクト91b,92bは、埋め込み配線71,72と第1信号配線部61又は第2信号配線部62とを電気的に接続するものである。
図2に示す例においては、第1コンタクト91a,92aが埋め込み配線71,72の一端側に接続され、第2コンタクト91b,92bが、埋め込み配線71,72の他端側に接続されている。
【0078】
上記により、赤外線検出素子4は、第1信号配線部61及び第2信号配線部62、第2コンタクト91b,92b、埋め込み配線71,72、及び、第1コンタクト91a,92aを介して電極81,82と電気的に接続されている。
【0079】
第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを構成する材料としても、特に限定されず、従来からこの分野で用いられている金属材料を何ら制限無く用いることができる。
また、電極81,82の場合と同様、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを、第1金属接合膜51と同じ工程で同時に形成する場合には、これら各コンタクトの材料として、上述した第1金属接合膜51と同じ材料を用いればよい。
【0080】
本実施形態のセンサ用パッケージを含む赤外線センサ1によれば、第2基板3が、キャビティ領域32の天井面32aに、補強部として凸状体34や段差体36が設けられた構成を採用している。このような補強部を設けることで、パッケージ全体の薄型化に伴ってキャビティ領域32の部分、即ち、天井面32aの部分が薄く構成された場合でも、第1基板2と第2基板3とを接合する際の加圧力によって、第2基板3のキャビティ領域32が撓むのを抑制できる。これにより、接合部31の突設寸法を大きくすることができ、接合時における第2基板3の撓みによって接合部31以外の部分に加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部31に加圧力が効率的に付与され、強固な接合強度が得られる。また、センサ素子である赤外線検出素子4が大型であるか、あるいは、接合部31間の間隔が大きい場合であっても、第2基板3のキャビティ領域32が撓むのを抑制できることで、上記同様、加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部31に加圧力が効率的に付与され、強固な接合強度が得られる。従って、気密封止構造の信頼性が高く、製造歩留まりにも優れた赤外線センサ1が実現できる。
【0081】
また、第2基板3のキャビティ領域32における補強部として、平面視で細長梁状とされた凸状体34を備えることで、図示例のような、第1基板2のデバイス領域22に赤外線検出素子4が配置された赤外線センサ1を構成した場合に、外部から入射する赤外線が補強部によって遮られるのを最小限に抑制できる。これにより、上記同様、気密封止構造の高い信頼性を有し、製造歩留まりに優れるとともに、優れた素子特性を維持することが可能となる。
【0082】
また、補強部が複数の凸状体34からなり、キャビティ領域32の天井面32aにおいて複数のセル35が確保された平面視格子状に配置されていることで、キャビティ領域32の天井面32aの部分が撓むのをより顕著に抑制できる。また、複数の凸状体34が格子状に配置されていることで、上記同様、センサ用パッケージを用いて赤外線センサ1を構成した場合に、外部から入射する赤外線が凸状体34によって遮られるのを最小限に抑制できる。これにより、気密封止構造の信頼性が顕著に高められ、製造歩留まりに優れるとともに、優れた素子特性を維持することが可能となる。
【0083】
また、第2基板3のキャビティ領域32において、上記の凸状体34に加え、さらに段差体36が設けられていることにより、キャビティ領域32の天井面32aに撓みが生じるのをさらに顕著に抑制できる。また、段差体36は、キャビティ領域32の角部32cに沿って設けられたものなので、上記同様、センサ用パッケージを用いて赤外線センサ1を構成した場合に、外部から入射する赤外線が段差体36によって遮られるのを最小限に抑制できる。これにより、気密封止構造の信頼性が顕著に高められ、製造歩留まりに優れるとともに、優れた素子特性を維持することが可能となる。
【0084】
なお、本実施形態のセンサ用パッケージを含む赤外線センサ1においては、第2基板3における、キャビティ領域32によって確保されるキャビティCに露出した天井面32a及び側面32bのうち、第1基板2に設けられた赤外線検出素子4と対向する部分を除いた位置に、図示略のガス吸着層が設けられていてもよい。上記のようなガス吸着層を備えることで、減圧されたキャビティC内のガスを効果的に吸着でき、キャビティC内の真空度を高める効果が得られるので、赤外線検出素子4による受光感度がより高められる効果が得られる。
また、ガス吸着層の形成位置としては、例えば、凸状体34や段差体36の側面側とすることもできる。
【0085】
図示略のガス吸着層の材質としては、例えば、水素や酸素等のガスを吸着できるゲッター剤からなるものであれば、とくに限定されず、例えば、少なくとも、チタン、ジルコニウム又はニッケル等を含むゲッター剤からなるものを採用することができる。また、これらのゲッター剤の塗布にあたっては、例えば、キャビティC内を高真空封止する必要がある場合には、メタルマスク等を使用してゲッター剤を塗布することでガス吸着層を形成する方法を採用することも可能である。
【0086】
また、ガス吸着層の寸法及び形状についても、特に限定されず、ガス吸着層によるキャビティC内のガス吸着効率を勘案しながら、適宜、設計することができる。
また、上記のようなガス吸着層を設ける場合、このガス吸着層を、赤外線検出素子4と重ならない位置にのみ形成することが好ましいが、赤外線検出素子4における受光に支障が生じない程度であれば、赤外線検出素子4とガス吸着層とが若干重なった構成とすることも可能である。一方、赤外線センサとしての特性を最大限まで高める観点からは、赤外線検出素子4とガス吸着層とが全く重ならない構成とすることがより好ましい。
【0087】
次に、本実施形態の赤外線センサ1を用いた各種検出に係る処理の一例について説明する。
まず、赤外線が第2基板3の上面3b側から入射して第2基板3を透過すると、赤外線検出素子4は、その遠赤外線を検出して検出信号を出力する。赤外線検出素子4から出力された検出信号は、第1信号配線部61及び第2信号配線部62、第2コンタクト91b,92b、埋め込み配線71,72、及び、第1コンタクト91a,92aを通り、電極81,82から外部に向けて出力される。電極81,82から出力された検出信号は、図示略の外部機器等に送信されて所定の動作が行われる。
【0088】
【0089】
本実施形態の赤外線センサ1の製造方法は、例えば、
図1及び
図2に示すような本実施形態の赤外線センサ1を製造する方法であり、まず、センサ用パッケージを製造するための、少なくとも以下の工程(1),(2)を含む方法である。
工程(1):基板材料の表面をエッチングすることにより、上面2a側に凹状のデバイス領域22を形成して第1基板2を得る。
工程(2):基板材料の表面をエッチングすることにより、シリコン基板の少なくとも一部に貫通領域33を形成するとともに、第1基板2との接合面となる下面3a側に凹状のキャビティ領域32を形成し、さらに、平面視でキャビティ領域32を囲むように設けられる接合部31を形成して第2基板3を得る。この際、基板材料をエッチングすることにより、第2基板3を、キャビティ領域32の天井面32aにおける何れかの位置に補強部を形成しながら加工する。本実施形態で説明する例の工程(2)においては、
図1及び
図2中に示すように、補強部として、キャビティ領域32の天井面32aから突出するように設けられた、平面視で細長梁状とされた凸状体34を、複数のセル35を確保しながら平面視格子状に形成する。また、本実施形態で説明する例の工程(2)では、補強部として、さらに、キャビティ領域32の側面32bと天井面32aとの間の角部32cに沿って配置され、且つ、キャビティ領域32を平面視したとき、凸状体34よりも幅広とされた段差体36を形成する。
【0090】
そして、本実施形態の赤外線センサ1の製造方法は、上記の工程(1)及び工程(2)の後に、さらに、少なくとも以下の工程(3)~(6)、及び(8)、(9)を含む方法である。
工程(3):工程(1)で得られた第1基板2の上面2a側に、第2基板3に設けられた接合部31に対応する位置で第1金属接合膜51を形成する。
工程(4):工程(1)で得られた第1基板2の上面2a側における電極配置領域23a,23bに、電極81,82を配置する。
工程(5):工程(1)で得られた第1基板2のデバイス領域22に赤外線検出素子4を配置する。
工程(6):工程(2)で得られた第2基板3の接合部31における、第1基板2と接合する位置である底面31aを覆うように第2金属接合膜52を形成する。
工程(8):第1基板2と第2基板3との間に赤外線検出素子4が配置されるように第1基板2と第2基板3とを重ね合わせ、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とを互いに加圧して金属拡散接合させることで、赤外線検出素子4上にキャビティCを確保しながら、第1基板2と第2基板3とを接合する。
工程(9):ダイシングラインLに沿って第1基板2及び第2基板3を切断することにより、チップ単位に個片化する。
【0091】
また、本実施形態においては、上記の工程(6)と工程(8)との間に、さらに、工程(2)で得られた第2基板3における、キャビティ領域32によって確保されるキャビティCに露出する面のうち、第1基板2に設けられた前記赤外線検出素子4と対向する位置を除いた少なくとも一部を覆うようにゲッター剤を塗布してガス吸着層を形成する工程(7)を備えた例について説明する。
【0092】
まず、工程(1)において、例えばシリコン基板等からなる基板材料の表面をドライエッチングし、赤外線検出素子4を収容する凹状のデバイス領域22を形成して第1基板2を作製する(
図6A及び
図6B中の第1基板2を参照)。
具体的には、工程(1)では、まず、基板材料となるシリコン基板の表面に、例えば、フォトリソグラフィ法により、凹状のデバイス領域22をドライエッチングで形成するための、図示略のレジストパターンを形成する。
次いで、シリコン基板の表面をドライエッチングすることにより、凹状のデバイス領域22を形成する。
その後、第1基板2からレジストパターンを剥離する。
【0093】
工程(1)においては、フォトリソグラフィ法によってレジストパターンを形成するにあたり、例えば、スピンコート法等を用いて、従来公知の条件でレジストパターンを形成することができる。
また、工程(1)においては、ドライエッチングを用いてシリコン基板をエッチング加工することができる一方、ウェットエッチングを用いた方法も採用できる。このように、工程(1)においてウェットエッチングを行う場合の条件としても、特に限定されず、例えば、従来からシリコン基板のエッチングに一般的に用いられている、ヒドラジン(N2H4)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のエッチング液を用いることができる。また、エッチング液の温度やエッチング時間等の各条件についても、従来公知の条件を何ら制限無く採用できる。
【0094】
次いで、本実施形態で説明する例においては、上記の工程(1)において、第1基板2におけるデバイス領域22を除く位置に埋め込み配線71,72を形成する(
図6A及び
図6B中の第1基板2を参照)。
【0095】
具体的には、まず、第1基板2の上面2aに、図示略の絶縁膜(酸化膜)を形成する。
次いで、上記の図示略の絶縁膜を形成した領域に、例えば、{TiN/AlSi/TiN}の積層構造、あるいは、ポリシリコンからなる埋め込み配線膜を、例えば、スパッタリング法や蒸着法(CVD法)等の方法で成膜する。
次いで、フォトリソグラフィ法により、埋め込み配線71,72を形成するための、図示略の酸化膜等からなるレジストパターンを形成する。
次いで、上記の埋め込み配線膜をドライエッチングすることにより、パターニングされた埋め込み配線71,72を形成する。
次いで、第1基板2からレジストパターンを剥離する。
【0096】
次いで、埋め込み配線71,72上に、図示略の絶縁膜(酸化膜や窒化膜)を、例えば、蒸着法によって形成することにより、埋め込み配線71,72を覆い込む。
その後、必要に応じて、埋め込み配線71,72上に形成した図示略の絶縁膜を、例えば、CMP法(化学機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)等の方法で平坦化する。
【0097】
次いで、本実施形態で説明する例においては、上記の工程(1)において、さらに、後述する工程(3)において第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを設けるためのホールを形成する。
この際、まず、第1基板2の上面2aにおける、上記のホールの形成予定位置(第1コンタクト91a、92a及び第2コンタクト91b,92bに対応する位置)を除いた全面に、フォトリソグラフィ法によってレジストパターンを形成する。
次いで、第1基板2の上面2aをドライエッチングすることにより、埋め込み配線71,72の両端に対応する位置に、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを設けるためのホールを形成する。
次いで、第1基板2からレジストパターンを剥離する。
【0098】
本実施形態では、上記工程(1)を実施するとともに、工程(2)において、例えばシリコン基板等からなる基板材料をエッチングすることにより、シリコン基板の少なくとも一部に貫通領域33を形成するとともに、第1基板2との接合面となる下面3a側に凹状のキャビティ領域32を形成し、さらに、平面視でキャビティ領域32を囲むように設けられる接合部31を形成して第2基板3を作製するプロセスを実施する(
図3A~
図3D、
図4A~
図4D、及び、
図5A~
図5Bを参照)。
【0099】
即ち、工程(2)においては、まず、基板材料となるシリコン基板を準備する(
図3Aを参照)。
次いで、シリコン基板の表面(下面3a側)に、例えば、スピンコート法又はスプレーコート法等の方法により、キャビティ領域32、貫通領域33、及び接合部31をドライエッチングで形成するための酸化膜Sを形成する(
図3Bを参照)。
【0100】
次いで、シリコン基板の表面に形成した酸化膜Sの表面に、例えば、スピンコート法又はスプレーコート法等の方法でレジスト材料を塗布し、さらに、フォトリソグラフィ法によってパターニングすることにより、貫通領域33を形成するためのレジストパターンRを形成する(
図3Cを参照)。
【0101】
次いで、ドライエッチング又はウェットエッチングにより、酸化膜SにおけるレジストパターンRの形成箇所以外の部分を除去し、その後、レジストパターンRを除去する(
図3Dを参照)。
【0102】
次いで、シリコン基板の一面側(上面3b側)をドライエッチング又はウェットエッチングすることにより、貫通領域33を形成しながらシリコン基板を矩形状に分割する(
図4Aを参照)。
【0103】
次いで、シリコン基板の表面(下面3a側)の酸化膜S上に、スプレーコート法によってレジスト材料を塗布し、さらに、フォトリソグラフィ法によってパターニングすることにより、キャビティ領域32の形成予定箇所に併せてレジストパターンRを形成する(
図4Aを参照)。
【0104】
次いで、ドライエッチング又はウェットエッチングにより、酸化膜SにおけるレジストパターンRの形成箇所以外の部分を除去する(
図4Bを参照)。
その後、レジストパターンRを除去する(
図4Cを参照)。
【0105】
次いで、シリコン基板の表面(下面3a側)上及び酸化膜S上に、スプレーコート法によってレジスト材料を塗布し、さらに、フォトリソグラフィ法によってパターニングすることにより、凸状体34及び段差体36の形成予定箇所に併せてレジストパターンRを形成する(
図4Dを参照)。
【0106】
次いで、ドライエッチングにより、酸化膜SにおけるレジストパターンRの形成箇所以外の部分を除去することで、凸状体34及び段差体36を含むキャビティ領域32を形成する(
図5Aを参照)。この際、凸状体34及び段差体36を同一のプロセスで形成することができる。
【0107】
上記のような、凸状体34及び段差体36を含むキャビティ領域32の形成にあたっては、レジスト材料とシリコン基板との選択比を利用して、レジストパターンRが全て除去され、且つ、キャビティ領域32の内部に段差が生じるまでドライエッチングで掘り込む。この際、接合部31に対応する位置は、酸化膜S上にレジストパターンRが形成されているので、この酸化膜Sとシリコン基板との選択比を大きくできるエッチングガスを使用し、酸化膜Sが全て除去される前にエッチングを終了する。このようなプロセスを採用することで、シリコン基板上における接合部31に対応する位置が、ドライエッチングによってダメージを受けるのを防止できる。
【0108】
本実施形態の製造方法で得られる赤外線センサ1は、上記のキャビティ領域32に対応する領域が封止空間であるキャビティCとして確保される。
その後、第2基板3から酸化膜Sをウェットエッチングによって除去する(
図5Bを参照)。
【0109】
なお、工程(2)で形成する貫通領域33の寸法や平面視形状は、特に限定されず、電極81,82を露出させ、且つ、外部との結線等を施しやすい形状であれば、如何なる形状、寸法であってもよい。
【0110】
工程(2)においても、工程(1)と同様、上述したようなフォトリソグラフィ法によってレジストパターンを形成するにあたり、例えばスピンコート法等を用いて、従来公知の条件でレジストパターンを形成することができる。
また、工程(2)においても、ドライエッチングを用いてシリコン基板をエッチング加工することができる一方、例えば、貫通領域33の形成プロセスにおいてはウェットエッチングを用いた方法も採用できる。このように、工程(2)においてウェットエッチングを採用した場合の条件としても、工程(1)と同様のエッチング液を用いるとともに、エッチング液の温度やエッチング時間等の各条件についても同様とすることができる。
【0111】
次に、工程(3)においては、工程(1)で得られた第1基板2の上面2a側に、第2基板3に設けられた接合部31に対応する位置で、複数の金属膜からなる第1金属接合膜51を形成する(
図6A及び
図6B中の第1基板2を参照)。
また、本実施形態で説明する例では、工程(3)及び工程(4)を同時に実施することにより、第1基板2の上面2aに、上記の第1金属接合膜51とともに、電極配置領域23a,23bに、電極81,82を形成することも可能である。また、本実施形態では、同時に実施する工程(3)及び工程(4)において、上記の第1金属接合膜51及び複数の電極81,82に加え、さらに、第1コンタクト91a,92a、第2コンタクト91b,92b、第1信号配線部61及び第2信号配線部62を同時に形成することも可能である。
【0112】
具体的には、例えば、デバイス領域22が形成された第1基板2の上面2aに、スプレーコート法によってレジスト材料を塗布した後、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより、第1金属接合膜51を形成するための、図示略の酸化膜等からなるレジストパターンを形成する。この際、第1基板2の上面2aにおける、第2基板3の接合部31に対応する位置、第1コンタクト91a,92a、第1信号配線部61及び第2信号配線部62、第2コンタクト91b,92bを形成するためのホールの位置、並びに、電極81,82の形成予定位置を除いた全面にレジストパターンを形成する。
【0113】
次いで、例えば、スパッタリング法、蒸着法又はめっき法等の方法により、第1基板2の上面2a上に、第1下地層51aと第1接合層51bとが積層されてなる第1金属接合膜51を形成する。
なお、工程(3)においては、材料及び積層順を適宜選択することにより、上述したような{Au/Ta}構造、又は、{Al/TiN}構造の薄膜からなる第1金属接合膜51を形成することができる。
また、この際、第2基板3側に形成される第2金属接合膜52が{Au/Ta}構造である場合には、第1金属接合膜51も同様の材料から形成する。この場合には、第1金属接合膜51のAu層(第1接合層51b)と第2金属接合膜52のAu層(第2接合層52b)とが接合するように、各層の積層順を調整する。
同様に、第2金属接合膜52が{Al/TiN}構造からなる場合には、第1金属接合膜51も同様の材料から形成する。この場合には、第1金属接合膜51のAl層(第1接合層51b)と第2金属接合膜52のAl層(第2接合層52b)とが接合するように、各層の積層順を調整する。
その後、第1基板2の上面2aから図示略のレジストパターンを剥離する。
【0114】
また、本実施形態で説明する例の工程(3)においては、
図6A及び
図6B中中に示すように、第1基板2の上面2a側に、スパッタリング法、蒸着法又はめっき法等の方法によって導電性材料を積層することにより、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを、それぞれ埋め込み配線71,72の両端側に接続するように形成する。
さらに、工程(4)において、第1コンタクト91a,92aに対してそれぞれ接続するように、電極81,82を形成するとともに、第2コンタクト91b,92bに対してそれぞれ接続するように、第1信号配線部61及び第2信号配線部62を形成する。
【0115】
この際、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを、例えば、タングステン(W)を用いて、スパッタリング法や蒸着法等の方法により、上記の工程(2)で形成したホール内に埋め込むように形成することができる。また、電極81,82については、これら電極81,82の形成予定位置(電極配置領域23a,23b)に、TiN及びAlSiを、スパッタリング法等の方法で順次積層することで形成することができる。さらに、第1信号配線部61及び第2信号配線部62についても、これらの形成予定位置に、TiN及びAlSiを、スパッタリング法等の方法で順次積層することで形成することができる。
【0116】
一方、例えば、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92b、電極81,82、並びに第1信号配線部61及び第2信号配線部62を、第1金属接合膜51と同じ工程で同時に形成する場合には、上述した第1金属接合膜51と同じ材料を用い、例えば、スパッタリング法、蒸着法又はめっき法等によって形成することができる。この場合、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92b、電極81,82、並びに第1信号配線部61及び第2信号配線部62は、第1金属接合膜51と同様の積層構造、即ち、{Au/Ta}構造、又は、{Al/TiN}構造を有するものとなる。
【0117】
次に、工程(5)においては、工程(1)で得られた第1基板2のデバイス領域22に、赤外線検出素子4を配置する(
図6A及び
図6B中の第1基板2を参照)。
【0118】
次に、本実施形態では、上記の工程(3)、工程(4)及び工程(5)を実施するとともに、これらと平行して、工程(6)において、上述したような、第2基板3の接合部31における、第1基板2と接合する位置である底面31aを覆うように第2金属接合膜52を形成するプロセスを実施する(
図5C~
図5Eを参照)。
【0119】
具体的には、まず、工程(2)で得られた第2基板3の下面3a側の全面に、例えば、スパッタリング法、蒸着法又はめっき法等の方法により、第2下地層52aの金属材料と第2接合層52bの金属材料とを連続して成膜する(
図5Cを参照)。
【0120】
次いで、第2基板3の下面3a側の全面に形成した金属材料の表面全体に、スプレーコート法によってレジスト材料を塗布した後、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより、第2金属接合膜52を形成するためのレジストパターンRを形成する(
図5Cを参照)。
【0121】
次いで、ウェットエッチングにより、第2基板3の下面3aに形成した金属材料の膜における、レジストパターンRの形成箇所以外の部分を除去することにより、接合部31の下面3aに、第2下地層52aと第2接合層52bとが積層されてなる第2金属接合膜52を形成する(
図5Dを参照)。
その後、レジストパターンRを除去する(
図5Eを参照)。
【0122】
工程(6)においては、材料及び積層順を適宜選択することにより、上述したような{Au/Ta}構造、又は、{Al/TiN}構造の薄膜からなる第2金属接合膜52を形成することができる。
【0123】
なお、上記の工程(3)及び工程(6)では、後述の工程(8)において、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とをAu-Sn共晶接合させることを目的として、例えば、第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52の各層を金(Au)又はスズ(Sn)から構成することも可能である。
【0124】
次に、工程(7)においては、必要に応じて、第2基板3における、キャビティ領域32によって確保されるキャビティCに露出する面のうち、第1基板2に設けられた赤外線検出素子4と対向する位置を除いた少なくとも一部を覆うようにゲッター剤を塗布することで、図示略のガス吸着層を形成することができる。また、ガス吸着層の形成位置としては、例えば、凸状体34や段差体36の側面側とすることもできる。
【0125】
具体的には、まず、第2基板3の下面3a側に、スプレーコート法等のフォトリソグラフィ法によって図示略のレジストパターンを形成するか、又は、第2基板3の下面3a側を、パターン化された図示略のメタルマスクで覆う。
そして、例えば、チタン、ジルコニウム又はニッケルを含むゲッター剤を、従来公知のディスペンサーやスクリーン印刷法、あるいは、スパッタリング法や蒸着法等を用い、第2基板3の下面3aに塗布する。
その後、第2基板3から図示略のレジストパターン又はメタルマスクを剥離する。
【0126】
次に、工程(8)においては、上述したように、第1基板2と第2基板3との間に赤外線検出素子4が配置されるように第1基板2と第2基板3とを重ね合わせ、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とを互いに加圧して金属拡散接合させることで、赤外線検出素子4上にキャビティCを確保しながら、第1基板2と第2基板3とを接合する(
図6A及び
図6Bを参照)。
【0127】
具体的には、まず、
図6Aに示すように、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52との位置合わせを行いながら、第1基板2と第2基板3とを対向させる。
次いで、
図6Bに示すように、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とを突き合わせるように、第1基板2と第2基板3とを重ね合わせる。
次いで、第1基板2と第2基板3とを互いに加圧することにより、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52との間に金属拡散接合を発現させ、これらの部分を接合することで、金属接合体50を形成させる。
【0128】
上記の拡散接合を行う際の条件、即ち、赤外線センサ1のキャビティCを封止する条件としては、特に限定されないが、例えば、第1基板2側の第1金属接合膜51、並びに、第2基板3側の第2金属接合膜52が{Au(第1接合層51b又は第2接合層52b)/Ta(第1下地層51a又は第2下地層52a)}の層構造である場合には、例えば、温度条件を300~350℃の範囲とし、加圧力を450~900kPaの範囲とすることが好ましい。
【0129】
一方、第1金属接合膜51、並びに、第2金属接合膜52が{Al(第1接合層51b又は第2接合層52b)/TiN(第1下地層51a又は第2下地層52a)}の層構造である場合には、例えば、温度条件を350~400℃の範囲とし、加圧力を27~60MPaの範囲とすることが好ましい。
【0130】
上述したように、第1基板2と第2基板3とを接合する際の、金属接合体50によるキャビティCに対する封止幅(接合幅)、即ち、接合部31に対応して形成された金属接合体50の最大幅としても特に限定されない。一方、この部分の接合性を高め、キャビティCの封止気密性をより高めること等を考慮すると、上記の封止幅(最大幅)は、第1下地層51a及び第2下地層52aをTaとし、第1接合層51b及び第2接合層52bをAuとした場合には、例えば、0.10~0.30mmとすることが好ましい。また、第1下地層51a及び第2下地層52aをTiN、第1接合層51b及び第2接合層52bをAlとした場合には、例えば、0.03~0.1mmの幅とすることが好ましい。
【0131】
また、工程(8)においては、上述したように、第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52の各層を金(Au)又はスズ(Sn)から構成することで、Au-Sn共晶接合させることで金属接合体50を形成させてもよい。この場合には、例えば、温度条件を300~400℃の範囲とし、加圧力を0~1kPaの範囲としたうえで、封止幅を0.1~0.5mmとすることが好ましい。
【0132】
そして、本実施形態では、工程(9)において、
図6Bに示すように、ダイシングラインLに沿って、ブレードダイシング等によって第1基板2を切断することにより、チップ単位に個片化する。
以上の各工程により、本実施形態のセンサ用パッケージを含む赤外線センサ1を製造することができる。
なお、上記の各工程は、可能な範囲で、その工程順を変更したり、あるいは、同じ工程として行ったりすることも可能である。
【0133】
本実施形態のセンサ用パッケージの製造方法、並びに、赤外線センサ1の製造方法によれば、まず、工程(2)において、第2基板3を、キャビティ領域32の天井面32aにおける何れかの位置に、補強部として凸状体34や段差体36を形成しながら加工する方法を採用している。上記のような補強部を形成することで、パッケージ全体の薄型化に伴ってキャビティ領域32の天井面32aの部分が薄く構成された場合でも、第1基板2と第2基板3とを接合する際の加圧力によって、第2基板3のキャビティ領域32が撓むのを抑制できる。これにより、接合部31の突設寸法を大きくすることができ、接合時における第2基板3の撓みによって接合部31以外の部分に加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部31に加圧力を効率的に付与でき、強固に接合することが可能となる。また、赤外線検出素子4が大型であるか、あるいは、接合部31間の間隔が大きい場合であっても、第2基板3のキャビティ領域32が撓むのを抑制できることで、上記同様、加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部31に加圧力を効率的に付与でき、強固に接合することが可能となる。
【0134】
そして、本実施形態の製造方法によれば、工程(1)及び工程(2)で、センサ用パッケージを構成する第1基板2及び第2基板3を製造した後、工程(3)~(6)、(8)、(9)の各工程により、第1基板2と第2基板3とを接合する際の加圧力によって第2基板3のキャビティ領域32が撓むのを抑制することが可能な赤外線センサ1を製造することができる。従って、信頼性の高い気密封止構造を有し、センサ特性に優れた赤外線センサ1を歩留まりよく製造することが可能となる。
【0135】
また、工程(2)において、補強部を、平面視で細長梁状とされた凸状体34として形成することで、例えば、デバイス領域22に赤外線検出素子4が配置された赤外線センサ1を構成した場合に、外部から入射する赤外線が凸状体(補強部)34によって遮られるのを最小限に抑制できるセンサ用パッケージが得られる。これにより、信頼性の高い気密封止構造を有するセンサ用パッケージ、並びに、優れた素子特性を有する赤外線センサ1を、優れた製造歩留まりで製造することが可能となる。
【0136】
また、工程(2)において、補強部を複数の凸状体34から形成するとともに、キャビティ領域32の天井面32aにおいて複数のセル35が確保された平面視格子状に配置することで、第1基板2と第2基板3を接合する際のキャビティ領域32の撓みをより顕著に抑制できる。また、赤外線センサ1を構成した場合に、外部から入射する赤外線が凸状体(補強部)34によって遮られるのを最小限に抑制できるセンサ用パッケージを製造できる。
【0137】
また、工程(2)において、補強部として、さらに段差体36を形成することにより、第1基板2と第2基板3とを接合する際のキャビティ領域32の撓みをさらに顕著に抑制できる。また、段差体36を、キャビティ領域32の角部32cに沿って形成することで、赤外線センサ1を構成した場合に、外部から入射する赤外線が段差体(補強部)36によって遮られるのを最小限に抑制可能なセンサ用パッケージを製造できる。これにより、信頼性の高い気密封止構造を有するセンサ用パッケージ、並びに、優れた素子特性を有する赤外線センサ1を、優れた製造歩留まりで製造することが可能となる。
【0138】
また、工程(2)において、シリコン基板材料をドライエッチングで掘り込み、第2基板3に補強部を含むキャビティ領域32を形成することで、加工精度の向上が見込める。これにより、信頼性の高い気密封止構造を有するセンサ用パッケージ、並びに、優れた素子特性を有する赤外線センサ1を、優れた製造歩留まりで製造することが可能となる。
【0139】
<第2の実施形態>
以下に、本発明の第2の実施形態に係るセンサ用パッケージ及び赤外線センサ、並びに、それらの製造方法について、
図7及び
図8を適宜参照しながら詳述する。
図7は、本実施形態の赤外線センサ(センサ用パッケージ)1Aを模式的に説明する平面図であり、
図8は、
図7中に示した赤外線センサ1AのB-B断面図である。
なお、以下に説明する第2の実施形態の赤外線センサ1Aにおいて、上述した第1の実施形態の赤外線センサ1と共通する構成については、図中において同じ符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0140】
図7及び
図8に示すように、第2の実施形態の赤外線センサ1Aは、第2基板3Aが、キャビティ領域32Aの天井面32aにおける補強部として、凸状体34及び段差体36が設けられている点で、
図1及び
図2に示した第1の実施形態の赤外線センサ1と同様である。一方、第2の実施形態の赤外線センサ1Aは、天井面32aに計8本の凸状体34が設けられ、且つ、凸状体34が4本対4本で各々直交するように、平面視で概略格子状に配置されていることで、天井面32aに計25個のセル35が確保されている点で、第1の実施形態の赤外線センサ1とは異なる。
【0141】
本実施形態の赤外線センサ1Aを製造する場合には、工程(2)において、第2基板3Aの下面3a側に形成する凸状体34が
図7及び
図8に示す本数や位置となるように、酸化膜やレジストパターンを適宜変更する。これにより、工程(2)において、
図7及び
図8に示すような構造を有する第2基板3Aを加工することができ、この第2基板3Aを有するセンサ用パッケージ、並びに、それを用いた赤外線センサ1を製造することが可能となる。
【0142】
第2の実施形態のセンサ用パッケージを備える赤外線センサ1Aによれば、複数の凸状体34が、キャビティ領域32Aの天井面32aにおいて複数のセル35が確保された平面視格子状に配置されていることで、第1の実施形態の赤外線センサ1と同様、キャビティ領域32Aの天井面32aの部分が撓むのを顕著に抑制できる。しかも、本実施形態の赤外線センサ1Aにおいては、
図7及び
図8に示すように、より多くの凸状体34を備え、より細かくセル35が配置された構成なので、第1の実施形態の赤外線センサ1に比べ、キャビティ領域32Aの天井面32aの部分が撓むのをより顕著に抑制できる効果が得られる。
【0143】
また、第2の実施形態の赤外線センサ1Aにおいても、複数の凸状体34が格子状に配置されていることで、第1の実施形態の赤外線センサ1と同様、外部から入射する赤外線が凸状体34によって遮られるのを最小限に抑制できる。これにより、気密封止構造の信頼性が顕著に高められ、製造歩留まりに優れるとともに、優れた素子特性を維持することが可能となる。
【0144】
<第3の実施形態>
以下に、本発明の第3の実施形態に係るセンサ用パッケージ及び赤外線センサ、並びに、それらの製造方法について、
図9及び
図10を適宜参照しながら詳述する。
図9は、本実施形態の赤外線センサ1Bを模式的に説明する平面図であり、
図10は、
図9中に示す赤外線センサ1BのC-C断面図である。
なお、以下に説明する第3の実施形態の赤外線センサ1Bについても、上述した第1,2の実施形態の赤外線センサ1,1Aと共通する構成については、図中において同じ符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0145】
図9及び
図10に示すように、第3の実施形態の赤外線センサ1Bは、第2基板3Bが、キャビティ領域32Bの天井面32aにおける補強部として、平面視格子状に配置された複数の凸状体34及び段差体36が設けられている点で、
図7及び
図8に示した第2の実施形態の赤外線センサ1Aと同様である。一方、第3の実施形態の赤外線センサ1Bは、キャビティ領域32Bの天井面32aにおいて、複数の凸状体34が平面視格子状に設けられることで確保された複数のセル35のうち、一部のセル35の各々に、断面半球状のレンズ体30が設けられている点で、第2の実施形態の赤外線センサ1Aとは異なる。図示例においては、天井面32aに設けられた計25個のセル35のうち、平面視で中央寄りの計9個のセル35の各々にレンズ体30が設けられている。
また、
図9及び
図10に示す例では、第1基板2Bの上面2a側に複数のデバイス領域22Bが設けられ、これらデバイス領域22Bのうち、第2基板3Bにおけるレンズ体30が設けられたセル35に対応して配置されたデバイス領域22Bにのみ、赤外線検出素子4Bが配置されている。
【0146】
本実施形態の赤外線センサ1Bを製造する場合には、工程(2)において、まず、第2基板3Aの下面3a側に形成する凸状体34が
図9及び
図10に示す本数や位置となるように、酸化膜やレジストパターンを形成する。そして、例えば、グレースケール露光工法により、複数のセル35の領域に断面半球状のレンズ体30を形成するのと同時に、複数の凸状対、及び、段差体36を形成する。このようなグレースケール露光工法では、光に対する濃淡を有するフォトマスクを用いて、露光面に到達する光量を制御することで、光量に応じて、現像時にシリコン基板が溶ける深さが変化する。これにより、断面半球状のレンズ体30と複数の凸状体34を同一プロセスで同時形成することが可能となり、工程が増加するのを回避できるので、優れた生産性も維持できる。
【0147】
また、本実施形態の赤外線センサ1Bを製造する場合には、工程(1)において、第1基板2Bにデバイス領域22Bを複数で形成し、且つ、複数のデバイス領域22Bを、第2基板3Bに形成される複数のセル35の各々に対応した位置で形成する。
【0148】
第3の実施形態のセンサ用パッケージを備える赤外線センサ1Bによれば、キャビティ領域32Bにおける複数のセル35の各々にレンズ体30が設けられていることで、レンズ効果によって第1基板2Bのデバイス領域22B、即ち、赤外線検出素子4Bに向けて集光することが可能になる。これにより、万が一、例えば、凸状体34や段差体36による入射光の減衰が生じた場合であっても、受光感度の低下を防止できるので、良好な素子特性を維持することができ、製造歩留まりを高めることが可能となる。
【0149】
また、第3の実施形態の赤外線センサ1Bにおいても、第2の実施形態の赤外線センサ1Aと同様、複数の凸状体34が平面視格子状に配置された構成なので、キャビティ領域32Bの天井面32aの部分が撓むのをより顕著に抑制できる効果が得られる。
【0150】
なお、本実施形態においては、
図9及び
図10に示す例のように、第1基板2Bが、上面2a側にデバイス領域22Bが複数で配置され、且つ、複数のデバイス領域22Bが、第2基板3Bに設けられた複数のセル35の各々に対応した位置で、複数のセル35とそれぞれ対向するように配置されている構成を採用してもよい。即ち、第1基板2Bにおける複数のデバイス領域22Bに各々配置される複数の赤外線検出素子4Bと、第2基板3Bに設けられる複数のセル35及び複数のレンズ体30とが、それぞれ対応して配置されていてもよい。
【0151】
上記のように、複数の赤外線検出素子4Bと複数のレンズ体30とが対応配置されていることで、第1基板2Bのデバイス領域22Bに配置された赤外線検出素子4Bに向けてより効果的に集光することができる。これにより、十分な受光感度を確保でき、製造歩留まりを高めることが可能となる。
【0152】
<第4の実施形態>
以下に、本発明の第4の実施形態に係るセンサ用パッケージ及び赤外線センサ、並びに、それらの製造方法について、
図11及び
図12を適宜参照しながら詳述する。
図11は、本実施形態の赤外線センサ1Cを模式的に説明する平面図であり、
図12は、
図11中に示す赤外線センサ1CのD-D断面図である。
なお、以下に説明する第4の実施形態の赤外線センサ1Cについても、上述した第1~3の実施形態の赤外線センサ1,1A,1Bと共通する構成については、図中において同じ符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0153】
図11及び
図12に示すように、第4の実施形態の赤外線センサ1Cは、第2基板3Cが、補強部として、キャビティ領域32Cの天井面32aに複数で設けられた凹部32dの各々の間に配置される架橋体32eからなる。図示例においては、第2基板3Cのキャビティ領域32C内に、平面視円形状の凹部32dが、平面視千鳥状で計13箇所に設けられており、これら各々の凹部32dの間が、架橋体32eからなる補強部とされている。
【0154】
本実施形態の赤外線センサ1Cを製造する場合には、工程(2)において、基板材料の表面をエッチングすることにより、キャビティ領域32Cの天井面32aに複数で凹部32dを形成することで、凹部32dの各々の間に配置される架橋体32eを形成する。
また、工程(1)において、第1基板2Cにデバイス領域22Cを複数で形成し、且つ、複数のデバイス領域22Cを、第2基板3Cに形成される複数の凹部32dの各々に対応した位置で形成する。
【0155】
第3の実施形態のセンサ用パッケージを備える赤外線センサ1Cによれば、第2基板3Cにおける補強部が架橋体32eから構成されることで、上記同様、キャビティ領域32Cの天井面32aが薄く構成された場合でも、第1基板2Cと第2基板3Cとを接合する際の加圧力によって、第2基板3Cのキャビティ領域32Cが撓むのを抑制できる。これにより、上記同様、第1基板2Cと第2基板3Cとを接合する際に加圧力が分散するのを抑制できるので、接合部31に加圧力が効率的に付与され、強固な接合が可能になる。従って、気密封止構造の信頼性が高められ、製造歩留まりにも優れたものとなる。
【0156】
<第5の実施形態>
以下に、本発明の第5の実施形態に係るセンサ用パッケージ及び赤外線センサ、並びに、それらの製造方法について、
図13を適宜参照しながら詳述する。
図13は、本実施形態の赤外線センサ1Dを模式的に説明する平面図である。
なお、以下に説明する第5の実施形態の赤外線センサ1Dにおいても、上述した第1~4の実施形態の赤外線センサ1,1A~1Cと共通する構成については、図中において同じ符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0157】
図13に示すように、第5の実施形態の赤外線センサ1Dは、第2基板3Dに設けられる貫通領域33、及び、第1基板の上面2aに配置される、電極配置領域23bに設けられた電極82が、第1基板2及び第2基板3Aにおける平面視で一辺側にのみ設けられている点で、第1~4の実施形態の赤外線センサ1,1A~1Cとは異なる。
なお、
図13に示す例においては、第1信号配線部、及び、それと電気的に接続される内部配線、第1コンタクト及び第2コンタクトの図示を省略している。
【0158】
また、本実施形態の赤外線センサ1Dは、第1基板2Dに複数のデバイス領域22Cが設けられ、各々のデバイス領域22Cのそれぞれに赤外線センサ1Dが配置されている。
また、本実施形態の赤外線センサ1Dは、第2基板3Dにおけるキャビティ領域32Dの天井面32aに、2本の凸状体34が直交するように平面視で概略格子状に配置されているとともに、キャビティ領域32の角部32c全体に沿うように段差体36が配置されている点で、第1の実施形態の赤外線センサ1と類似している。
【0159】
本実施形態のように、第1基板2D及び第2基板3Dを平面視矩形状に構成した場合には、少なくとも一辺側に沿って電極82が配置されていればよい。また、本発明の赤外線センサは、第1~4の実施形態の赤外線センサ1,1A~1Cのように、一辺側と対向する他辺側にも電極を設けた構成を採用してもよい。
また、第1基板2Dに設けられる電極81、及び、第2基板3Dに設けられる貫通領域33の位置や数は、例えば、センサ用パッケージをプリント基板等に対してCOB(Chip On Board)する場合のスペース等を想定しながら、フレキシブルに設計することができる。
【0160】
従って、本実施形態のように、第1基板2Dの一辺側にのみ、電極82(電極配置領域23b)を設けた場合には、センサ用パッケージ、並びに、赤外線センサ1Dが搭載されるプリント基板を小型化することが可能となる。一方、第1~4の実施形態の赤外線センサ1,1A~1Cのように、さらに他辺側にも電極81を設けた場合には、より複雑な電気的接続に対応することも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明のセンサ用パッケージを備える赤外線センサは、上述したように、パッケージを薄型化した場合であっても、基板の薄肉箇所に撓みが生じるのを抑制できるとともに、基板及びパッケージ全体の強度を確保することができ、気密封止構造の高い信頼性並びに優れた製造歩留まりが得られるものである。従って、本発明のセンサ用パッケージ、及び、それを備える赤外線センサは、信頼性の高い各種検出精度が要求される電子機器等における用途、例えば、携帯端末、スマートフォン、センサネットワーク・デバイス、モノのインターネット(IoT)技術等において非常に好適である。
【符号の説明】
【0162】
1,1A,1B,1C,1D…赤外線センサ(センサ用パッケージ)
2,2B,2C,2D…第1基板
2a…上面
2b…下面
22…デバイス領域
23a,23b…電極配置領域
3,3A,3B,3C,3D…第2基板
3a…下面
3b…上面
30…レンズ体
31…接合部
31a…底面
32,32A,32B,32C,32D…キャビティ領域
32a…天井面
32b…側面
32c…角部
32d…凹部
32e…架橋体
33…貫通領域
34…凸状体(複数の凸状体)
35…セル(複数のセル)
36…段差体
4,4B,4C,4D…赤外線検出素子
50…金属接合体
51…第1金属接合膜
51a…第1下地層
51b…第1接合層
52…第2金属接合膜
52a…第2下地層
52b…第2接合層
61…第1信号配線部
62…第2信号配線部
71,72…埋め込み配線
81,82…電極
91a,92a…第1コンタクト
91b,92b…第2コンタクト