(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130070
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電圧生成回路及び制御装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/07 20060101AFI20240920BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240920BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02M3/07
G09G3/20 612D
G09G3/20 612K
G09G3/20 641C
G09G3/20 623F
G09G3/20 623R
G09G3/36
G09G3/20 670M
G09G3/20 680G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039573
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】政井 英樹
【テーマコード(参考)】
5C006
5C080
5H730
【Fターム(参考)】
5C006AA16
5C006AF25
5C006AF64
5C006AF68
5C006AF72
5C006AF83
5C006BB16
5C006BC02
5C006BC03
5C006BC12
5C006BC14
5C006BC16
5C006BF04
5C006BF07
5C006BF16
5C006BF24
5C006BF25
5C006BF26
5C006BF27
5C006BF34
5C006BF37
5C006BF42
5C006BF46
5C006EB05
5C006FA16
5C006FA36
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD14
5C080DD19
5C080DD25
5C080EE29
5C080FF03
5C080FF11
5C080GG11
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5H730AS01
5H730AS04
5H730BB02
5H730BB82
5H730BB88
5H730DD04
5H730FG01
(57)【要約】
【目的】チャージポンプの動作停止時における貫通電流の発生を防ぐことが可能な電圧生成回路を提供する。
【構成】チャージポンプ回路は、第1及び第2コンデンサと、第1クロック信号によってオン及びオフとなり、オンの時に第1の電圧供給ラインと第1コンデンサとを接続する第1のスイッチ素子群と、第1クロック信号によってオン及びオフとなり、オンの時に第2の電圧供給ラインと第2コンデンサとを接続する第2のスイッチ素子群と、第2クロック信号によってオン及びオフとなり、オンの時に電圧出力ラインと第1及び第2コンデンサとを接続する第3のスイッチ素子群と、を含む。制御回路は、第1及び第2クロック信号を発振停止させる際、第1及び第2のスイッチ素子群がオフからオンに変化したときに第1及び第2クロック信号の信号レベルが固定されるように第1イネーブル信号の信号変化のタイミングを制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を昇圧して出力電圧を生成するチャージポンプ回路と、
前記チャージポンプ回路の動作を制御する一対の信号であって、一方の信号の信号レベルの変化のタイミングと他方の信号の信号レベルの変化のタイミングとに所定の時間差が設けられた第1クロック信号及び第2クロック信号を前記チャージポンプ回路に供給する信号供給回路と、
信号レベルの変化に応じて前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の発振の開始及び停止を制御する第1イネーブル信号を前記信号供給回路に供給する制御回路と、
を有し、
前記チャージポンプ回路は、
各々が所定の静電容量を有する第1コンデンサ及び第2コンデンサと、
前記第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第1の電圧供給ラインと前記第1コンデンサとを接続する第1のスイッチ素子群と、
前記第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第2の電圧供給ラインと前記第2コンデンサとを接続する第2のスイッチ素子群と、
前記第2クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に前記出力電圧の電圧出力ラインと前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサとを接続する第3のスイッチ素子群と、
を含み、
前記制御回路は、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の発振を停止させる際、前記第1のスイッチ素子群及び前記第2のスイッチ素子群がオフ状態からオン状態に変化したタイミングで前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の信号レベルが固定されるように前記第1イネーブル信号の信号変化のタイミングを制御することを特徴とする電圧生成回路。
【請求項2】
前記第1クロック信号は、論理レベル0のときに前記第1のスイッチ素子群及び前記第2のスイッチ素子群をオン状態に制御し、論理レベル1のときに前記第1のスイッチ素子群及び前記第2のスイッチ素子群をオフ状態に制御する信号であり、
前記制御回路は、前記第1クロック信号が論理レベル1から論理レベル0に変化したタイミングで前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の信号レベルが固定されるように前記第1イネーブル信号の信号変化のタイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の電圧生成回路。
【請求項3】
前記第1のスイッチ素子群は、ソースが前記第1の電圧供給ラインに接続されるとともにドレインが前記第1コンデンサの一端に接続され且つゲートに前記第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなる第1導電型の第1トランジスタと、ソースが所定電位に接続されるとともにドレインが前記第1コンデンサの他端に接続され且つゲートに前記第1クロック信号を反転させた反転第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなる第2導電型の第2トランジスタと、を含み、
前記第2のスイッチ素子群は、ソースが前記第2の電圧供給ラインに接続されるとともにドレインが前記第2コンデンサの一端に接続され且つゲートに前記第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなる第1導電型の第3トランジスタと、ソースが所定電位に接続されるとともにドレインが前記第2コンデンサの他端に接続され且つゲートに前記反転第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなる第2導電型の第4トランジスタと、を含み、
前記第3のスイッチ素子群は、ソースが所定電位に接続されるとともにドレインが前記第1コンデンサの一端に接続され且つゲートに前記第2クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなる第2導電型の第5トランジスタと、ソースが前記第1コンデンサの他端に接続されるとともにドレインが前記第2コンデンサの一端に接続され且つゲートに前記第2クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなる第2導電型の第6トランジスタと、ソースが前記第2コンデンサの他端に接続されるとともにドレインが前記電圧出力ラインに接続され且つゲートに前記第2クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなる第2導電型の第7トランジスタと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の電圧生成回路。
【請求項4】
前記制御回路は、NANDゲート回路を含み、外部から供給されたイネーブル信号と前記第1クロック信号と同相で変化するクロック信号との否定論理積に基づいて、前記第1イネーブル信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の電圧生成回路。
【請求項5】
前記チャージポンプ回路は、
前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ、前記第1のスイッチ素子群、前記第2のスイッチ素子群及び前記第3のスイッチ素子群を含む第1のチャージポンプ回路と、
前記第1のチャージポンプ回路と逆相で動作する第2のチャージポンプ回路と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電圧生成回路。
【請求項6】
前記第2のチャージポンプ回路は、
各々が所定の静電容量を有する第3コンデンサ及び第4コンデンサと、
前記第2クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に前記第1の電圧供給ラインと前記第3コンデンサとを接続する第4のスイッチ素子群と、
前記第2クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に前記第2の電圧供給ラインと前記第3コンデンサとを接続する第5のスイッチ素子群と、
前記第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に前記電圧出力ラインと前記第3コンデンサ及び前記第4コンデンサとを接続する第6のスイッチ素子群と、
を有することを特徴とする請求項5に記載の電圧生成回路。
【請求項7】
複数本のデータ線及び複数本のゲート線と、前記複数本のデータ線と前記複数本のゲート線との交差部の各々にマトリクス状に設けられた複数個の画素部と、を有する表示パネルに接続され、前記複数本のゲート線にゲート信号を供給するゲートドライバに電源電圧を供給して前記ゲートドライバの動作を制御する制御装置であって、
入力電圧を昇圧して前記電源電圧を生成するチャージポンプ回路と、
前記チャージポンプ回路の動作を制御する一対の信号であって且つ一方の信号の信号レベルの変化のタイミングと他方の信号の信号レベルの変化のタイミングとに所定の時間差が設けられた第1クロック信号及び第2クロック信号を前記チャージポンプ回路に供給する信号供給回路と、
信号レベルの変化に応じて前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の発振の開始及び停止を制御する第1イネーブル信号を前記信号供給回路に供給する制御回路と、
を有し、
前記チャージポンプ回路は、
各々が所定の静電容量を有する第1コンデンサ及び第2コンデンサと、
前記第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第1の電圧供給ラインと前記第1コンデンサとを接続する第1のスイッチ素子群と、
前記第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第2の電圧供給ラインと前記第2コンデンサとを接続する第2のスイッチ素子群と、
前記第2クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に前記電源電圧の電圧出力ラインと前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサとを接続する第3のスイッチ素子群と、
を含み、
前記制御回路は、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の発振を停止させる際、前記第1のスイッチ素子群及び前記第2のスイッチ素子群がオフ状態からオン状態に変化したタイミングで前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の信号レベルが固定されるように前記第1イネーブル信号の信号変化のタイミングを制御することを特徴とする制御装置。
【請求項8】
映像データ信号に基づいて階調電圧信号を前記複数本のデータ線を介して前記複数個の画素部に供給するソースドライバに内蔵されていることを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧生成回路及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置において、T-CON(Timing Controller)やソースドライバに設けられた電圧生成回路により、ゲートドライバ用の電源電圧を生成することが行われている。かかる電圧生成回路の構成として、例えば出力が共通化され且つ逆相で動作する第1のチャージポンプ及び第2のチャージポンプからなるデュアルチャージポンプが用いられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のようなデュアルチャージポンプ回路では、チャージ状態からポンプ状態、及びポンプ状態からチャージ状態に切り替わる際に第1及び第2のチャージポンプを構成するトランジスタにおいて貫通電流が生じないようにするため、クロック信号を遅延させてHiZ期間を設けることが行われている。これにより、各チャージポンプはHiZ期間を介してチャージ状態及びポンプ状態の切り替えが行われるため、通常動作時において貫通電流の発生を防ぐことができる。
【0005】
しかしながら、各チャージポンプにイネーブル信号(又はディセーブル信号)を供給して動作を停止させる際、第1のチャージポンプ又は第2のチャージポンプのうちのいずれか一方はポンプ状態からHiz期間を介さずにチャージ状態となるため、貫通電流が発生してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、デュアルチャージポンプ回路を含む電圧生成回路において、チャージポンプの動作停止時における貫通電流の発生を防ぐことが可能な電圧生成回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電圧生成回路は、入力電圧を昇圧して出力電圧を生成するチャージポンプ回路と、前記チャージポンプ回路の動作を制御する一対の信号であって、一方の信号の信号レベルの変化のタイミングと他方の信号の信号レベルの変化のタイミングとに所定の時間差が設けられた第1クロック信号及び第2クロック信号を前記チャージポンプ回路に供給する信号供給回路と、信号レベルの変化に応じて前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の発振の開始及び停止を制御する第1イネーブル信号を前記信号供給回路に供給する制御回路と、を有し、前記チャージポンプ回路は、各々が所定の静電容量を有する第1コンデンサ及び第2コンデンサと、前記第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第1の電圧供給ラインと前記第1コンデンサとを接続する第1のスイッチ素子群と、前記第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第2の電圧供給ラインと前記第2コンデンサとを接続する第2のスイッチ素子群と、前記第2クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に前記出力電圧の電圧出力ラインと前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサとを接続する第3のスイッチ素子群と、を含み、前記制御回路は、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の発振を停止させる際、前記第1のスイッチ素子群及び前記第2のスイッチ素子群がオフ状態からオン状態に変化したタイミングで前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の信号レベルが固定されるように前記第1イネーブル信号の信号変化のタイミングを制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る制御装置は、複数本のデータ線及び複数本のゲート線と、前記複数本のデータ線と前記複数本のゲート線との交差部の各々にマトリクス状に設けられた複数個の画素部と、を有する表示パネルに接続され、前記複数本のゲート線にゲート信号を供給するゲートドライバに電源電圧を供給して前記ゲートドライバの動作を制御する制御装置であって、入力電圧を昇圧して前記電源電圧を生成するチャージポンプ回路と、前記チャージポンプ回路の動作を制御する一対の信号であって且つ一方の信号の信号レベルの変化のタイミングと他方の信号の信号レベルの変化のタイミングとに所定の時間差が設けられた第1クロック信号及び第2クロック信号を前記チャージポンプ回路に供給する信号供給回路と、信号レベルの変化に応じて前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の発振の開始及び停止を制御する第1イネーブル信号を前記信号供給回路に供給する制御回路と、を有し、前記チャージポンプ回路は、各々が所定の静電容量を有する第1コンデンサ及び第2コンデンサと、前記第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第1の電圧供給ラインと前記第1コンデンサとを接続する第1のスイッチ素子群と、前記第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第2の電圧供給ラインと前記第2コンデンサとを接続する第2のスイッチ素子群と、前記第2クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に前記電源電圧の電圧出力ラインと前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサとを接続する第3のスイッチ素子群と、を含み、前記制御回路は、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の発振を停止させる際、前記第1のスイッチ素子群及び前記第2のスイッチ素子群がオフ状態からオン状態に変化したタイミングで前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の信号レベルが固定されるように前記第1イネーブル信号の信号変化のタイミングを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電圧生成回路によれば、チャージポンプの動作停止時における貫通電流の発生を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の電圧生成回路の構成を示すブロック図である。
【
図3】ロジック遅延回路の構成を示す回路図である。
【
図4】ロジック遅延回路により生成される各種クロック信号のタイムチャートである。
【
図5A】第1バッファ回路の構成を示す回路図である。
【
図5B】第2バッファ回路の構成を示す回路図である。
【
図7】第1チャージポンプ回路及び第2チャージポンプ回路の構成を示す回路図である。
【
図8】比較例の電圧生成回路の構成を示すブロック図である。
【
図9】比較例の電圧生成回路でイネーブル信号がHレベルからLレベルに変化した際の各種クロック信号の信号変化を示すタイムチャートである。
【
図10】比較例の電圧生成回路で発生する可能性がある貫通電流の経路の例を示す図である。
【
図11】本実施例でイネーブル信号がHレベルからLレベルに変化した際の各種クロック信号の信号変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0012】
図1、本発明に係る電圧生成回路を含む表示装置100の構成を示すブロック図である。表示装置100は、表示パネル11、タイミングコントローラ12、ゲートドライバ13及びソースドライバ14を含む。
【0013】
表示パネル11は、複数の画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnm(n,m:2以上の自然数)がマトリクス状に配置された半導体基板から構成されている。表示パネル11は、各々が水平方向に延伸する走査線であるn本のゲート線GL1~GLnと、これに交差するように配されたデータ線であるm本のソース線SL1~SLmと、を有する。画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnmは、ゲート線GL1~GLn及びソース線SL1~SLmの交差部に設けられている。
【0014】
画素スイッチM11~Mnmは、ゲートドライバ13から供給されるゲート信号Vg1~Vgnに応じてオン又はオフに制御される。
【0015】
画素部P11~Pnmは、ソースドライバ14から映像データに対応した階調電圧(駆動電圧)の供給を受ける。具体的には、ソースドライバ14から階調電圧信号Vd1~Vdmがソース線SL1~SLmに出力され、画素スイッチM11~Mnmがそれぞれオンのときに、階調電圧信号Vd1~Vdmが画素部P11~Pnmに印加される。これにより、画素部P11~Pnmの各々の画素電極が充電され、輝度が制御される。
【0016】
画素部P11~Pnmの各々は、画素スイッチM11~Mnmを介してソース線SL1~SLmに接続される透明電極と、半導体基板に対向して設けられ且つ面全体に1つの透明な電極が形成された対向基板との間に封入された液晶と、を含む。表示装置内部のバックライトに対して、画素部P11~Pnmに印加された階調電圧(駆動電圧)と対向基板電圧との電位差に応じて液晶の透過率が変化することにより、表示が行われる。
【0017】
タイミングコントローラ12は、映像データVSに基づき各画素の輝度レベルを例えば8ビットの256段階の輝度階調で表す画素データ片PDの系列(シリアル信号)を生成する。また、タイミングコントローラ12は、同期信号SSに基づいて、一定のクロック周期を有する埋め込みクロック方式のクロック信号CLK を生成する。タイミングコントローラ12は、画素データ片PDの系列とクロック信号CLKとを一体化したシリアル信号である映像データ信号VDSを生成し、ソースドライバ14に供給して映像データの表示制御を行う。映像データ信号VDSは、所定数のソース線毎に伝送路の数に応じてシリアル化された映像データ信号として構成されている。
【0018】
本実施例では、各々がm個の画素データ片PDからなるn個の画素データ片群がシリアルに連続することにより、1フレーム分の映像データ信号VDSが構成されている。n個の画素データ片群の各々は、それぞれ1水平走査ライン(すなわち、ゲート線GL1~GLnの各々)上の画素を供給対象とする階調電圧に対応する画素データ片からなる画素データ片群である。ソースドライバ14の動作により、m×n個の画素データ片PDに基づいて、n×m個の画素部(すなわち、画素部P11~Pnm)を供給対象とする階調電圧信号Vd1~Vdmがソース線を介して印加される。
【0019】
また、タイミングコントローラ12は、同期信号SSに基づいて、映像データ信号VDSの1フレーム毎のタイミングを示すフレーム同期信号FSを生成し、ソースドライバ14に供給する。
【0020】
ゲートドライバ13は、ソースドライバ14からゲートドライバ用電源電圧VLOUT及びゲート制御信号GSの供給を受けて動作し、ゲート制御信号GSに含まれるクロックタイミングに基づいて、ゲート信号Vg1~Vgnを順次ゲート線GL1~GLnに供給する。ゲート信号Vg1~Vgnの供給により、画素行毎に画素部P11~Pnmが選択される。そして、選択された画素部に対して、ソースドライバ14から階調電圧信号Vd1~Vdmが印加されることにより、画素電極への階調電圧の書き込みが行われる。
【0021】
換言すると、ゲートドライバ13の動作により、ゲート線の伸長方向に沿って(すなわち、横一列に)配置されたm個の画素部が、階調電圧信号Vd1~Vdmの供給対象として選択される。ソースドライバ14は、選択された横一列の画素部に対して階調電圧信号Vd1~Vdmを印加し、電圧に応じた色を表示させる。階調電圧信号Vd1~Vdmの供給対象として選択される横一列分の画素部を選択的に切り替えながら、ソース線の伸長方向(すなわち、縦方向)に繰り返すことにより、1フレーム分の画面表示が行われる。
【0022】
ソースドライバ14は、タイミングコントローラ12から映像データ信号VDSの供給を受け、映像データ信号VDSに示される階調数に応じた多値レベルの階調電圧に対応する階調電圧信号Vd1~Vdmを生成し、ソース線SL1~SLmを介して画素部P11~Pnmに印加する。
【0023】
また、ソースドライバ14は、ゲートドライバ13の動作を制御するゲート制御信号GS及びゲートドライバ用電源電圧VLOUTを生成し、ゲートドライバ13に供給する。ソースドライバ14は、ゲートドライバ用電源電圧VLOUTを生成する電圧生成回路を有する。
【0024】
図2は、本実施例の電圧生成回路200の構成を示すブロック図である。電圧生成回路200は、ロジック遅延回路21、レベルシフタ22、第1バッファ回路23、第2バッファ回路24、第1監視回路25、第2監視回路26、第1チャージポンプ回路27及び第2チャージポンプ回路28を有する。ロジック遅延回路21は、低電圧電源LV(ローボルテージ)の供給を受けて動作する回路である。一方、レベルシフタ22、第1バッファ回路23、第2バッファ回路24、第1監視回路25、第2監視回路26、第1チャージポンプ回路27及び第2チャージポンプ回路28は、高電圧電源HV(ハイボルテージ)の供給を受けて動作する回路である。
【0025】
ロジック遅延回路21は、クロック信号CLKの入力を受け、反転第1クロック信号XCLK1及び第2クロック信号CLK2を生成する回路である。ロジック遅延回路21は、NANDゲート回路及びORゲート回路から構成されている。
【0026】
図3は、ロジック遅延回路21の構成を示す回路図である。インバータIV1及びIV2と、NANDゲート回路ND1及びORゲート回路OR1と、を含む。インバータIV1及びIV2は、クロック信号CLKを遅延させた遅延クロック信号delayCLKを生成する。
【0027】
NANDゲート回路ND1は、クロック信号CLK及び遅延クロック信号delayCLKの入力を受け、これらの否定論理積からなる信号を反転第1クロック信号XCLK1として生成する。ORゲート回路OR1は、クロック信号CLK及び遅延クロック信号delayCLKの入力を受け、これらの論理和からなる信号を第2クロック信号CLK2として生成する。
【0028】
図4は、クロック信号CLK、遅延クロック信号delayCLK、反転第1クロック信号XCLK1及び第2クロック信号CLK2の信号変化を示すタイムチャートである。
【0029】
遅延クロック信号delayCLKは、クロック信号CLKを所定期間遅延させた信号であり、図中に「Delay」と記載した期間分だけ、クロック信号CLKの位相を時間軸方向にシフトした信号波形となる。
【0030】
反転第1クロック信号XCLK1は、クロック信号CLKの立下がりのタイミングで立ち上がり、遅延クロック信号delayCLKの立ち上がりのタイミングで立ち下がる信号波形となる。第2クロック信号CLK2は、クロック信号CLKの立ち上がりのタイミングで立ち上がり、遅延クロック信号delayCLKの立下りのタイミングで立ち下がる信号波形となる。
【0031】
再び
図2を参照すると、レベルシフタ22は、反転第1クロック信号XCLK1、第2クロック信号CLK2及びイネーブル信号enの供給を受け、これらの信号レベルをLV(ローボルテージ)からHV(ハイボルテージ)の信号レベルにシフトする。イネーブル信号enは、反転第1クロック信号XCLK1及び第2クロック信号CLK2とは非同期の信号であり、第1チャージポンプ回路27及び第2チャージポンプ回路28の動作に用いるクロック信号の発振開始及び発振停止を制御する信号である。
【0032】
レベルシフタ22は、反転第1クロック信号XCLK1の信号レベルをシフトしたHVの反転第1クロック信号XCLK1H、第2クロック信号CLK2の信号レベルをシフトしたHVの第2クロック信号CLK2H、及びイネーブル信号enの信号レベルをシフトしたHVのイネーブル信号enHを生成する。なお、以下の説明では、これらの信号の「HVの」という修飾部分の記載は省略する。
【0033】
第1バッファ回路23、第2バッファ回路24、第1監視回路25、第2監視回路26、第1チャージポンプ回路27及び第2チャージポンプ回路28は、チャージポンプ部(図中、CP部)20を構成している。
【0034】
図5Aは、第1バッファ回路23の構成を示す回路図である。第1バッファ回路23は、NANDゲート回路ND2、NANDゲート回路ND3、インバータIV3、インバータIV4及びインバータIV5を含む。
【0035】
NANDゲート回路ND2は、反転第1クロック信号XCLK1H、及び第1監視回路25から出力された第1のイネーブル信号enH1の入力を受け、これらの否定論理積を第1クロック信号CLK1H1として出力する。第1クロック信号CLK1H1は、第1のイネーブル信号enH1が論理レベル1のときに発振し、第1のイネーブル信号enH1が論理レベル0のときに発振を停止してHレベル(論理レベル1)に固定される。
【0036】
インバータIV3は、第2クロック信号CLK2Hの入力を受け、これを反転した反転第2クロック信号XCLK2H(図示せず)を生成する。
【0037】
NANDゲート回路ND3は、反転第2クロック信号XCLK2H及び第1のイネーブル信号enH1の入力を受け、これらの否定論理積を第2クロック信号CLK2H1として出力する。第2クロック信号CLK2H1は、第1のイネーブル信号enH1が論理レベル1のときに発振し、第1のイネーブル信号enH1が論理レベル0のときに発振を停止してHレベル(論理レベル1)に固定される。
【0038】
インバータIV4は、第1クロック信号CLK1H1の入力を受け、これを反転した反転第1クロック信号XCLK1H1を出力する。反転第1クロック信号XCLK1H1は、第1のイネーブル信号enH1が論理レベル1のときに発振し、第1のイネーブル信号enH1が論理レベル0のときに発振を停止してLレベル(論理レベル0)に固定される。
【0039】
インバータIV5は、第2クロック信号CLK2H1の入力を受け、これを反転した反転第2クロック信号XCLK2H1を出力する。反転第2クロック信号XCLK2H1は、第1のイネーブル信号enH1が論理レベル1のときに発振し、第1のイネーブル信号enH1が論理レベル0のときに発振を停止してLレベル(論理レベル0)に固定される。
【0040】
第1バッファ回路23は、第1クロック信号CLK1H1(及びそれを反転した反転第1クロック信号XCLK1H1)と、第2クロック信号CLK2H1(及びそれを反転した反転第2クロック信号XCLK2H1)と、を第1チャージポンプ回路27に供給する信号供給回路である。各クロック信号の信号レベルに応じて、第1チャージポンプ回路27の動作が制御される。
【0041】
図5Bは、第2バッファ回路24の構成を示す回路図である。第2バッファ回路24は、NANDゲート回路ND4、NANDゲート回路ND5、インバータIV6、インバータIV7及びインバータIV8を含む。
【0042】
インバータIV6は、反転第1クロック信号XCLK1Hの入力を受け、これを反転した第1クロック信号CLK1H2を生成する。
【0043】
NANDゲート回路ND4は、第1クロック信号CLK1H2、及び第2監視回路26から出力された第2のイネーブル信号enH2の入力を受け、これらの否定論理積を反転第1クロック信号XCLK1H2として出力する。反転第1クロック信号XCLK1H2は、第2のイネーブル信号enH2が論理レベル1のときに発振し、第2のイネーブル信号enH2が論理レベル0のときに発振を停止してLレベル(論理レベル0)に固定される。
【0044】
インバータIV7は、反転第1クロック信号XCLK1H2の入力を受け、これを反転した第1クロック信号CLK1H2を出力する。第1クロック信号CLK1H2は、第2のイネーブル信号enH2が論理レベル1のときに発振し、第2のイネーブル信号enH2が論理レベル0のときに発振を停止してHレベル(論理レベル1)に固定される。
【0045】
NANDゲート回路ND5は、第2クロック信号CLK2H及び第2のイネーブル信号enH2の入力を受け、これらの否定論理積を反転第2クロック信号XCLK2H2として出力する。反転第2クロック信号XCLK2H2は、第2のイネーブル信号enH2が論理レベル1のときに発振し、第2のイネーブル信号enH2が論理レベル0のときに発振を停止してLレベル(論理レベル0)に固定される。
【0046】
インバータIV8は、反転第2クロック信号XCLK2H2の入力を受け、これを反転した第2クロック信号CLK2H2を出力する。第2クロック信号CLK2H2は、第2のイネーブル信号enH2が論理レベル1のときに発振し、第2のイネーブル信号enH2が論理レベル0のときに発振を停止してHレベル(論理レベル1)に固定される。
【0047】
第2バッファ回路24は、第1クロック信号CLK1H2(及びそれを反転した反転第1クロック信号XCLK1H2)と、第2クロック信号CLK2H2(及びそれを反転した反転第2クロック信号XCLK2H2)と、を第2チャージポンプ回路28に供給する信号供給回路である。各クロック信号の信号レベルに応じて、第2チャージポンプ回路28の動作が制御される。 再び
図2を参照すると、チャージポンプ部20は、第1監視回路25及び第2監視回路26を有する。第1監視回路25は、イネーブル信号enHの入力を受け、当該イネーブル信号enHに基づいて第1のイネーブル信号enH1を生成する回路である。第1監視回路25は、生成した第1のイネーブル信号enH1を第1バッファ回路23に供給する。
【0048】
図6は、第1監視回路25の構成を示す回路図である。第1監視回路25は、インバータIV9、NANDゲート回路ND6、NANDゲート回路ND7、NANDゲート回路ND8、NANDゲート回路ND9を含む。なお、第2監視回路26は第1監視回路25と同様の構成を有するため、ここでは説明を省略する。
【0049】
インバータIV9は、イネーブル信号enHの入力を受け、これを反転した反転イネーブル信号XenHを生成する。NANDゲート回路ND6は、反転イネーブル信号XenH及び反転第1クロック信号XCLK1Hの入力を受け、これらの否定論理積からなる否定論理積信号NS1を出力する。NANDゲート回路ND7は、イネーブル信号enH及び反転第1クロック信号XCLK1Hの入力を受け、これらの否定論理積からなる否定論理積信号NS2を出力する。NANDゲート回路ND8は、NANDゲート回路ND6の出力信号である否定論理積信号NS1、及びNANDゲート回路ND9の出力信号の入力を受け、これらの否定論理積からなる信号を否定論理積信号NS3として出力する。
【0050】
NANDゲート回路ND9は、NANDゲート回路ND7の出力信号である否定論理積信号NS2、及びNANDゲート回路ND8の出力信号である否定論理積信号NS3の入力を受け、これらの否定論理積を第1のイネーブル信号enH1として出力する。第1のイネーブル信号enH1は、イネーブル信号enHが論理レベル0で且つ反転第1クロック信号XCLK1H1が論理レベル0の場合に論理レベル0、それ以外の場合に論理レベル1の信号レベルを有する信号である。
【0051】
再び
図2を参照すると、チャージポンプ部20は、第1チャージポンプ回路27及び第2チャージポンプ回路28を含む。第1チャージポンプ回路27及び第2チャージポンプ回路28は、入力電圧を昇圧して出力電圧を生成するチャージポンプ回路である。第1チャージポンプ回路27及び第2チャージポンプ回路28は、出力が共通化され且つ逆相で動作するチャージポンプ回路であり、所謂デュアルチャージポンプ回路を構成している。
【0052】
図7は、第1チャージポンプ回路27及び第2チャージポンプ回路28の構成を示す回路図である。
【0053】
第1チャージポンプ回路27は、トランジスタPM11、PM12、NM11、NM12、NM13、NM14、NM15、コンデンサC11、C12、抵抗R11、R12、R13及びR14を含む。
【0054】
トランジスタPM11は、第1導電型であるP型のMOSFETから構成されている。トランジスタPM11のソースは、第1の入力電圧VCI1の電圧供給ラインに接続されている。トランジスタPM11のドレインは、ノードn11に接続されている。トランジスタPM11のゲートには、第1バッファ回路23から出力された反転第1クロック信号XCLK1H1が印加される。
【0055】
トランジスタNM11は、第2導電型であるN型のMOSFETから構成されている。トランジスタNM11のソースは、接地されている。トランジスタNM11のドレインは、ノードn12に接続されている。トランジスタNM11のゲートには、第1バッファ回路23から出力された第1クロック信号CLK1H1が印加される。
【0056】
トランジスタPM11及びNM11は、反転第1クロック信号XCLK1H1(又はこれを反転した第1クロック信号CLK1H1)の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第1の入力電圧VCI1の電圧供給ラインとコンデンサC11とを接続する第1のスイッチ素子群である。
【0057】
トランジスタPM12は、第1導電型であるP型のMOSFETから構成されている。トランジスタPM12のソースは、第2の入力電圧VLIN1の電圧供給ラインに接続されている。トランジスタPM12のドレインは、ノードn13に接続されている。トランジスタPM12のゲートには、第1バッファ回路23から出力された反転第1クロック信号XCLK1H1が印加される。
【0058】
トランジスタNM12は、第2導電型であるN型のMOSFETから構成されている。トランジスタNM12のソースは、接地されている。トランジスタNM12のドレインは、ノードn14に接続されている。トランジスタNM12のゲートには、第1バッファ回路23から出力された第1クロック信号CLK1H1が印加される。
【0059】
トランジスタPM12及びNM12は、反転第1クロック信号XCLK1H1(又はこれを反転した第1クロック信号CLK1H1)の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第2の入力電圧VLIN1の電圧供給ラインとコンデンサC12とを接続する第2のスイッチ素子群である。
【0060】
トランジスタNM13は、第2導電型であるN型のMOSFETから構成されている。トランジスタNM13のソースは、接地されている。トランジスタNM13のドレインは、ノードn11に接続されている。トランジスタNM13のゲートには、第1バッファ回路23から出力された反転第2クロック信号XCLK2H1が印加される。
【0061】
トランジスタNM14は、第2導電型であるN型のMOSFETから構成されている。トランジスタNM14のソースは、ノードn12に接続されている。トランジスタNM14のドレインは、ノードn13に接続されている。トランジスタNM14のゲートには、第1バッファ回路23から出力された反転第2クロック信号XCLK2H1が印加される。
【0062】
トランジスタNM15は、第2導電型であるN型のMOSFETから構成されている。トランジスタNM15のソースは、ノードn14に接続されている。トランジスタNM15のドレインは、ゲートドライバ用電源電圧VLOUTの電圧出力ラインに接続されている。トランジスタNM15のゲートには、第1バッファ回路23から出力された反転第2クロック信号XCLK2H1が印加される。
【0063】
トランジスタNM13、NM14及びNM15は、反転第2クロック信号XCLK2H1の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時にゲートドライバ用電源電圧VLOUTの電圧出力ラインとコンデンサC11及びC12とを接続する第3のスイッチ素子群である。
【0064】
コンデンサC11は、例えばその静電容量として2.2μFの静電容量を有する。コンデンサC11の一端は、抵抗R11を介してノードn11に接続されている。コンデンサC11の他端は、R12を介してノードn12に接続されている。
【0065】
コンデンサC12は、例えばその静電容量として2.2μFの静電容量を有する。コンデンサC12の一端は、抵抗R13を介してノードn13に接続されている。コンデンサC12の他端は、R14を介してノードn14に接続されている。
【0066】
第1チャージポンプ回路27のチャージ動作時には、トランジスタPM11、NM11、PM12及びNM12がオン、トランジスタNM13、NM14及びNM15がオフとなり、コンデンサC11及びC12に電荷が蓄積される。ポンプ動作時には、トランジスタPM11、NM11、PM12及びNM12がオフ、トランジスタNM13、NM14及びNM15がオンとなり、コンデンサC11及びC12に蓄積されていた電荷が放電され、ゲートドライバ用電源電圧VLOUTが出力される。
【0067】
第2チャージポンプ回路28は、トランジスタPM21、PM22、NM21、NM22、NM23、NM24、NM25、コンデンサC21、C22、抵抗R21、R22、R23及びR24を含む。
【0068】
トランジスタPM21は、第1導電型であるP型のMOSFETから構成されている。トランジスタPM21のソースは、第1の入力電圧VCI1の電圧供給ラインに接続されている。トランジスタPM21のドレインは、ノードn21に接続されている。トランジスタPM21のゲートには、第2バッファ回路24から出力された第2クロック信号CLK2H2が印加される。
【0069】
トランジスタNM21は、第2導電型であるN型のMOSFETから構成されている。トランジスタNM21のソースは、接地されている。トランジスタNM21のドレインは、ノードn22に接続されている。トランジスタNM21のゲートには、第2バッファ回路24から出力された反転第2クロック信号XCLK2H2が印加される。
【0070】
トランジスタPM22は、第1導電型であるP型のMOSFETから構成されている。トランジスタPM22のソースは、第2の入力電圧VLIN1の電圧供給ラインに接続されている。トランジスタPM22のドレインは、ノードn23に接続されている。トランジスタPM22のゲートには、第2バッファ回路24から出力された第2クロック信号CLK2H2が印加される。
【0071】
トランジスタNM22は、第2導電型であるN型のMOSFETから構成されている。トランジスタNM22のソースは、接地されている。トランジスタNM22のドレインは、ノードn24に接続されている。トランジスタNM22のゲートには、第2バッファ回路24から出力された反転第2クロック信号XCLK2H2が印加される。
【0072】
トランジスタNM23は、第2導電型であるN型のMOSFETから構成されている。トランジスタNM23のソースは、接地されている。トランジスタNM23のドレインは、ノードn21に接続されている。トランジスタNM23のゲートには、第2バッファ回路24から出力された第1クロック信号CLK1H2が印加される。
【0073】
トランジスタNM24は、第2導電型であるN型のMOSFETから構成されている。トランジスタNM24のソースは、ノードn22に接続されている。トランジスタNM24のドレインは、ノードn23に接続されている。トランジスタNM24のゲートには、第2バッファ回路24から出力された第1クロック信号CLK1H2が印加される。
【0074】
トランジスタNM25は、第2導電型であるN型のMOSFETから構成されている。トランジスタNM25のソースは、ノードn24に接続されている。トランジスタNM25のドレインは、ゲートドライバ用電源電圧VLOUTの電圧出力ラインに接続されている。トランジスタNM25のゲートには、第2バッファ回路24から出力された第1クロック信号CLK1H2が印加される。
【0075】
コンデンサC21は、例えばその静電容量として2.2μFの静電容量を有する。コンデンサC21の一端は、抵抗R21を介してノードn21に接続されている。コンデンサC21の他端は、R22を介してノードn22に接続されている。
【0076】
コンデンサC22は、例えばその静電容量として2.2μFの静電容量を有する。コンデンサC22の一端は、抵抗R23を介してノードn23に接続されている。コンデンサC22の他端は、R24を介してノードn24に接続されている。
【0077】
第2チャージポンプ回路28は、第1チャージポンプ回路27とは逆相で動作し、チャージ動作時には、トランジスタPM21、NM21、PM22及びNM22がオン、トランジスタNM23、NM24及びNM25がオフとなり、コンデンサC21及びC22に電荷が蓄積される。ポンプ動作時には、トランジスタPM21、NM21、PM22及びNM22がオフ、トランジスタNM23、NM24及びNM25がオンとなり、コンデンサC21及びC22に蓄積されていた電荷が放電され、ゲートドライバ用電源電圧VLOUTが出力される。
【0078】
図4に示すように、反転第1クロック信号XCLK1の信号変化のタイミングと第2クロック信号CLK2の信号変化のタイミングには、所定の遅延時間(図中、“Delay”として示す)分だけ時間差が設けられている。このため、これらをHVの信号レベルにシフトした信号である、反転第1クロック信号XCLK1H1、XCLK1H2及び第1クロック信号CLK1H1、CLK1H2の信号変化のタイミングと、第2クロック信号CLK2H1、CLK2H2及び反転第2クロック信号XCLK2H1、XCLK2H2の信号変化のタイミングと、の間にも同様の時間差が生じる。このため、通常動作時にはHiz期間を介してチャージ動作及びポンプ動作の切り替えが行われる。したがって、第1チャージポンプ回路27においてトランジスタPM11とトランジスタNM13とが同時にオンになるような状態や、トランジスタPM12及びNM11とトランジスタNM14とが同時にオンになるような状態、及びトランジスタNM15とトランジスタNM12とが同時にオンになるような状態が生じない。したがって、通常動作時において、第1チャージポンプ回路27には貫通電流が発生しない。第2チャージポンプ回路28についても同様である。
【0079】
また、本実施例の電圧生成回路200では、第1監視回路25が生成した第1のイネーブル信号enH1に基づいて各クロック信号の発振開始及び発振停止の制御を行う。第1のイネーブル信号enH1は、イネーブル信号enHが立ち下がった状態で反転第1クロック信号XCLK1H1が立ち下がったときに立ち下がる信号であり、第1チャージポンプ回路27がチャージ動作に移行したタイミングで論理レベル0となるため、これに応じて第1チャージポンプ回路27の動作が停止した際にも、貫通電流が発生しない。これについて、以下説明する。
【0080】
図8は、本実施例の電圧生成回路200とは異なり、第1監視回路25及び第2監視回路26を有しない比較例の電圧生成回路300の構成を示すブロック図である。比較例の電圧生成回路300では、イネーブル信号enHの信号レベルの変化に基づいて、各クロック信号の発振の開始及び発振の停止が制御される。
【0081】
図9は、比較例の電圧生成回路300でイネーブル信号enHがHレベルからLレベルに変化した際の各種クロック信号の信号変化の例を示すタイムチャートである。
【0082】
イネーブル信号enHは、各クロック信号とは非同期の信号であるため、例えば、反転第1クロック信号XCLK1H1が論理レベル1且つ第2クロック信号CLK2H1が論理レベル0の状態で第1チャージポンプ回路27がポンプ動作を行っている途中に、イネーブル信号enHが論理レベル1から論理レベル0に変化する場合がある。その際、通常動作時とは異なり、Hiz期間を経ずに各クロック信号の信号レベルが変化して各トランジスタの状態(オン及びオフ)が変化するため、通常動作時には同時にオン状態とはならないトランジスタ同士が同時にオン状態となることにより、貫通電流が発生する場合がある。
【0083】
図10は、比較例の電圧生成回路300の第1チャージポンプ回路において発生する可能性がある貫通電流の経路の例を示す図である。例えば、トランジスタPM11とトランジスタNM13とが同時にオンになった場合、図にTP1として示す経路で貫通電流が発生する。また、トランジスタPM12及びNM11とトランジスタNM14とが同時にオンになった場合、図にTP2として示す経路で貫通電流が発生する。また、トランジスタNM15とトランジスタNM12とが同時にオンになった場合、図にTP3として示す経路で貫通電流が発生する。
【0084】
これに対し、本実施例の電圧生成回路200では、第1チャージポンプ回路27がポンプ状態のときにイネーブル信号enHが論理レベル0になった場合でも、その後第1チャージポンプ回路27がチャージ状態に変化したタイミングで第1のイネーブル信号enH1が論理レベル0に変化し、各クロック信号の信号レベルが固定されるため、貫通電流が発生しない。
【0085】
図11は、本実施例の電圧生成回路200において、イネーブル信号enHが論理レベル1(Hレベル)から論理レベル0(Lレベル)に変化した際の各信号の信号変化を示すタイムチャートである。
【0086】
第1のイネーブル信号enH1は、
図6に示す構成の第1監視回路25によって生成される信号であり、イネーブル信号enHが論理レベル0で且つ反転第1クロック信号XCLK1H1が論理レベル0の場合に論理レベル0となる。したがって、イネーブル信号enHが立ち下がっても、第1のイネーブル信号enH1は直ちには立ち下がらず、その後反転第1クロック信号XCLK1H1が論理レベル0に変化したタイミングで立ち下がる。
【0087】
このため、反転第1クロック信号XCLK1H1が論理レベル1から論理レベル0に変化して第1チャージポンプ回路27のトランジスタPM11、NM11、PM12及びNM12がオンになった状態、すなわち第1チャージポンプ回路27がチャージ状態になってから、第1のイネーブル信号enH1が論理レベル0となり、各クロック信号の信号レベルが固定される。
【0088】
したがって、本実施例の電圧生成回路200では、第1チャージポンプ回路27の動作状態が変化したタイミングで各クロック信号の信号レベルが固定されるため、比較例のような貫通電流が発生しない。
【0089】
よって、本実施例の電圧生成回路200によれば、チャージポンプの動作停止時における貫通電流の発生を防ぐことが可能となる。
【0090】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例では、第1チャージポンプ回路27及び第2チャージポンプ回路28が動作状態から停止状態に移行する際に貫通電流の発生を防ぐことができることについて説明した。しかし、貫通電流の発生を防ぐことができるのは動作停止の場合に限られず、上記構成の電圧生成回路200によれば、各チャージポンプ回路が停止状態から動作状態に移行する際にも貫通電流の発生を防ぐことが可能である。
【0091】
また、第1チャージポンプ回路27及び第2チャージポンプ回路28の回路構成は、上記実施例で示したものに限定されない。第1チャージポンプ回路27及び第2チャージポンプ回路28は、各々が所定の静電容量を有する第1コンデンサ及び第2コンデンサと、第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第1の電圧供給ラインと第1コンデンサとを接続する第1のスイッチ素子群と、第1クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に第2の電圧供給ラインと第2コンデンサとを接続する第2のスイッチ素子群と、第2クロック信号の印加を受けてオン及びオフとなり、オン状態時に出力電圧の電圧出力ラインと第1コンデンサ及び第2コンデンサとを接続する第3のスイッチ素子群と、を備えた構成であればよい。
【0092】
また、第1監視回路25の構成は、上記実施例で示したものに限定されず、イネーブル信号enH及び反転第1クロック信号XCLK1Hに基づいて、イネーブル信号enHが立ち下がった状態で且つ反転第1クロック信号XCLK1Hが立ち下がったときに立ち下がるように信号レベルが変化する第1のイネーブル信号enH1を生成することが可能に構成されていればよい。
【0093】
また、上記実施例では、電圧生成回路200がソースドライバ14に設けられている場合を例として説明を行った。しかし、電圧生成回路200は、タイミングコントローラ12に設けられていてもよい。すなわち、本実施例の電圧生成回路200は、ゲートドライバ13に電源電圧を供給してその動作を制御する制御装置に搭載されていればよい。
【0094】
なお、上記実施例では、HV(ハイボルテージ)で動作する第1監視回路25において第1のイネーブル信号enH1を生成し、イネーブル信号の信号レベルが変化するタイミングの制御を行っている。これに対し、本実施例とは異なり、LV(ローボルテージ)で動作するレベルシフト前のロジック回路でイネーブル信号の信号変化のタイミング調整を行うことも可能である。しかし、LVの段階でイネーブル信号のタイミング調整を行う場合、第1チャージポンプ回路27用のクロック信号と第2チャージポンプ回路28用のクロック信号とを別個に用意する必要があり、レベルシフタを複数設ける必要がある。ま、イネーブル信号の遅延とクロック信号の遅延とを合わせこむ処理が別途必要となる。このため、本実施例のように、イネーブル信号の信号変化のタイミング調整は、HVで動作するレベルシフタ以降の回路ブロックで行うことが好ましい。
【符号の説明】
【0095】
100 表示装置
11 表示パネル
12 タイミングコントローラ
13 ゲートドライバ
14 ソースドライバ
200 電圧生成回路
21 ロジック遅延回路
22 レベルシフタ
23 第1バッファ回路
24 第2バッファ回路
25 第1監視回路
26 第2監視回路
27 第1チャージポンプ回路
28 第2チャージポンプ回路