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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130073
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/50 20230101AFI20240920BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240920BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 27/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H10B43/50
H10B43/27
H01L29/78 371
H01L27/088 E
H01L27/00 301C
H01L27/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039579
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡會 亜友美
(72)【発明者】
【氏名】田代 健二
(72)【発明者】
【氏名】野田 耕生
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB09
5F048BB11
5F048BC18
5F048BD07
5F048BF03
5F048BF07
5F048BF12
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083MA20
5F083ZA28
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】ダミーピラーと他の構成との干渉による電気特性への影響を抑制すること。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、複数の第2のピラーHRfは、積層体LMの下層側を積層方向に延びる第1の絶縁層57の単体である第1のサブピラーLHRgと、第1のサブピラーLHRgに対応して、積層体LMの上層側の高さ位置に配置される第2のサブピラーUHRmと、をそれぞれ含み、第2のサブピラーUHRmは、積層体LMの上層側の高さ位置を積層方向に延びる半導体層CNdと、半導体層CNdの側壁を覆う第2の絶縁層TNdと、第2の絶縁層TNdの側壁を覆う第3の絶縁層BKdと、第2及び第3の絶縁層TNd,BKdとは異種の材料を含み、第2及び第3の絶縁層TNd,BKdの間に介在される第4の絶縁層CTdと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電層が互いに離間して積層され、前記複数の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、
前記階段部から外れた前記積層体内を、前記積層体の積層方向に延び、前記複数の導電層の少なくとも一部との交差部にそれぞれメモリセルを形成する第1のピラーと、
前記階段部の前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第2のピラーと、を備え、
前記複数の第2のピラーは、
前記積層体の下層側を前記積層方向に延びる第1の絶縁層の単体である第1のサブピラーと、
前記第1のサブピラーに対応して、前記積層体の上層側の高さ位置に配置される第2のサブピラーと、をそれぞれ含み、
前記第2のサブピラーは、
前記積層体の上層側の高さ位置を前記積層方向に延びる半導体層と、
前記半導体層の側壁を覆う第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の側壁を覆う第3の絶縁層と、
前記第2及び第3の絶縁層とは異種の材料を含み、前記第2及び第3の絶縁層の間に介在される第4の絶縁層と、を含む、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数の導電層のうち上層側の導電層が階段状に加工された部分と前記積層方向に重なる位置で、前記階段部の前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第3のピラーを更に備え、
前記複数の第3のピラーは、
前記積層体の上層側から下層側に亘って前記積層方向に延びる前記半導体層と、
前記半導体層の側壁を覆う前記第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の側壁を覆う前記第3の絶縁層と、
前記第2及び第3の絶縁層の間に介在される前記第4の絶縁層と、をそれぞれ含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数の導電層のうち下層側の導電層が階段状に加工された部分と前記積層方向に重なる位置で、前記階段部の前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第4のピラーを更に備え、
前記複数の第4のピラーのそれぞれは、
前記積層体の上層側の底面と対応する位置に上端部を有する前記第1の絶縁層の単体であり、
前記複数の第2のピラーは、
前記複数の第3のピラーと前記複数の第4のピラーとの間に配置されている、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記複数の第2のピラーは、
前記複数の導電層のうち下層側の導電層が階段状に加工された部分と前記積層方向に重なる領域に分散して配置されている、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
複数の第1の導電層が互いに離間して積層され、前記複数の第1の導電層が階段状に加工された第1の階段部を有する第1の積層体と、
前記第1の積層体の上方に配置され、複数の第2の導電層が互いに離間して積層され、前記第1の階段部に連続して前記複数の第2の導電層が階段状に加工された第2の階段部を有する第2の積層体と、
前記第1及び第2の階段部から外れた前記第1及び第2の積層体内を、前記第1及び第2の積層体の積層方向に延び、前記複数の第1及び第2導電層の少なくとも一部との交差部にそれぞれメモリセルを形成する第1のピラーと、
前記第1の階段部と前記積層方向に重なる位置を前記積層方向に延びる複数の第2のピラーと、
前記第2の階段部と前記積層方向に重なる位置を前記積層方向に延びる複数の第3のピラーと、を備え、
前記複数の第2のピラーは、
前記第1の積層体内を前記積層方向に延びる第1の絶縁層の単体である第1のサブピラーと、
前記第1のサブピラーに対応して、前記第2の積層体の高さ位置に配置される第2のサブピラーと、をそれぞれ含み、
前記第2のサブピラーは、
前記第2の積層体の高さ位置を前記積層方向に延びる半導体層と、
前記半導体層の側壁を覆う第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の側壁を覆う第3の絶縁層と、
前記第2及び第3の絶縁層とは異種の材料を含み、前記第2及び第3の絶縁層の間に介在される第4の絶縁層と、を含み、
前記複数の第3のピラーは、
前記第1及び第2の積層体内を前記積層方向に延びる前記半導体層と、
前記半導体層の側壁を覆う前記第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の側壁を覆う前記第3の絶縁層と、
前記第2及び第3の絶縁層の間に介在される前記第4の絶縁層と、をそれぞれ含む、
半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置においては、複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された積層体を貫通する複数のメモリピラーを配置する。また、メモリピラーが配置されない領域での積層体の積層方向への沈み込みを抑制するため、ダミーピラーが配置されることがある。しかしながら、このとき、ダミーピラーと他の構成とが干渉し、半導体記憶装置の電気特性に影響を及ぼしてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0278860号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、ダミーピラーと他の構成との干渉による電気特性への影響を抑制することができる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数の導電層が互いに離間して積層され、前記複数の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、前記階段部から外れた前記積層体内を、前記積層体の積層方向に延び、前記複数の導電層の少なくとも一部との交差部にそれぞれメモリセルを形成する第1のピラーと、前記階段部の前記積層体内を前記積層方向に延びる複数の第2のピラーと、を備え、前記複数の第2のピラーは、前記積層体の下層側を前記積層方向に延びる第1の絶縁層の単体である第1のサブピラーと、前記第1のサブピラーに対応して、前記積層体の上層側の高さ位置に配置される第2のサブピラーと、をそれぞれ含み、前記第2のサブピラーは、前記積層体の上層側の高さ位置を前記積層方向に延びる半導体層と、前記半導体層の側壁を覆う第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の側壁を覆う第3の絶縁層と、前記第2及び第3の絶縁層とは異種の材料を含み、前記第2及び第3の絶縁層の間に介在される第4の絶縁層と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す断面図。
図2】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す図。
図3】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す図。
図4】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図5】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図6】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図7】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図8】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図9】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図10】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図11】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図12】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図13】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図14】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図15】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図16】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図17】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図18】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図19】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図20】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
図21】実施形態の変形例1にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す図。
図22】実施形態の変形例2にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す図。
図23】実施形態の変形例3にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す図。
図24】実施形態の変形例3にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を例示するX方向に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の概略の構成例を示す断面図である。ただし、図1においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。
【0009】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、紙面下側から順に、電極膜EL、ソース線SL、及び複数のワード線WLを備える。また、半導体記憶装置1は、複数のワード線WLの上方に、半導体基板SBに設けられた周辺回路CBAを備える。なお、図1の説明においては、半導体基板SBが配置される側を半導体記憶装置1の上方側とする。
【0010】
電極膜EL上には、絶縁層150を介してソース線SLが配置されている。絶縁層150中には複数のプラグPGが配置され、プラグPGを介してソース線SLと電極膜ELとが電気的な導通を保っている。図示はしないが、電極膜ELと同層には、外部から半導体記憶装置1に電源や信号を供給するための電極パッドが設けられている。
【0011】
ソース線SL上には複数のワード線WLが積層されている。複数のワード線WLの中央部にはメモリ領域MRが配置され、複数のワード線WLの両端部には階段領域SRが配置されている。
【0012】
メモリ領域MRには、ワード線WLを積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0013】
階段領域SRでは、複数のワード線WLが階段状に加工されて終端している。複数のワード線WLによって構成される各段のテラス部分には、各階層のワード線WLに接続するコンタクトCCがそれぞれ配置される。
【0014】
これらのコンタクトCCにより、多層に積層されるワード線WLが個々に引き出される。これらのコンタクトCCからは、複数のワード線WL中央部のメモリ領域MRに含まれるメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。
【0015】
複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCCは絶縁層50に覆われている。絶縁層50は、複数のワード線WLの周囲にも広がっている。
【0016】
絶縁層50上方の半導体基板SBは、例えばシリコン基板等である。半導体基板SBの表面にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CBAが配置されている。コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、これらのコンタクトCCと電気的に接続される周辺回路CBAにより制御される。これにより、周辺回路CBAはメモリセルの電気的な動作を制御する。
【0017】
周辺回路CBAは絶縁層40で覆われており、この絶縁層40と、複数のワード線WL等を覆う絶縁層50とが接合されることにより、複数のワード線WL、ピラーPL、及びコンタクトCC等の構成と、周辺回路CBAとを備える半導体記憶装置1が構成される。
【0018】
次に、図2及び図3を用いて、半導体記憶装置1の詳細の構成例について説明する。図2及び図3は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の構成の一例を示す図である。
【0019】
より詳細には、図2(a)は、ピラーPLの構成の一例を示すY方向に沿う断面図である。図2(a)においては、絶縁層150下方及び後述する絶縁層53上方の構造が省略されている。
【0020】
図2(b)は、選択ゲート線SGDの高さ位置における積層体LMの一部領域のXY断面図である。
【0021】
図2(c)~図2(e)はそれぞれ、選択ゲート線SGD,SGSの高さ位置におけるピラーPLの拡大断面図、ワード線WLの高さ位置におけるピラーPLの拡大断面図、及びワード線WLまたは選択ゲート線SGD,SGSの高さ位置における柱状部HRmの拡大断面図である。
【0022】
図3(a)は柱状部HRmの構成の一例を示すY方向に沿う断面図であり、図3(b)は柱状部HRm,HRsの構成の一例を示すY方向に沿う断面図であり、図3(c)は柱状部HRf,HRsの構成の一例を示すY方向に沿う断面図である。図3(a)~図3(c)においては、絶縁層150下方及び絶縁層53上方の構造が省略されている。
【0023】
なお、図2及び図3に示す図はあくまでも模式図であり、図2(a)及び図3(a)~図3(c)の各断面図と、図2(b)のXY断面図と、に示す各部のレイアウトは必ずしも一致しない。
【0024】
また、本明細書において、X方向およびY方向は共に、ワード線WLの面の向きに沿う方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。また、ワード線WLの電気的な引き出し方向を第1の方向と呼ぶことがあり、この第1の方向はX方向に沿う方向である。また、第1の方向と交差する方向を第2の方向と呼ぶことがあり、この第2の方向はY方向に沿う方向である。ただし、半導体記憶装置1は製造誤差を含みうるため、第1の方向と第2の方向とは必ずしも直交しない。
【0025】
また、本明細書においては、階段領域SRにおける各段のワード線WLのテラス面が向いた方向を上方向と規定する。
【0026】
図2(a)に示すように、ソース線SLは、絶縁層150上に、例えば下部ソース線DSLa、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLbがこの順に積層された多層構造を有する。なお、中間ソース線BSLは、積層体LMのメモリ領域MR下方に配置される。
【0027】
下部ソース線DSLa、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLbは、例えばポリシリコン層等である。そのうち、少なくとも中間ソース線BSLは、不純物が拡散された導電性のポリシリコン層等であってよい。
【0028】
ソース線SL上には積層体LMが配置される。積層体LMは、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LLM,ULMを備える。
【0029】
積層体LLMは、ソース線SLの上方に配置されている。積層体LLMの最下層のワード線WLの更に下層には、絶縁層OLを介して複数の選択ゲート線SGS0,SGS1が、積層体LLMの上層側からこの順に配置される。積層体ULMは、積層体LLM上に配置されている。積層体ULMの最上層のワード線WLの更に上層には、絶縁層OLを介して複数の選択ゲート線SGD0,SGD1が、積層体ULMの上層側からこの順に配置される。
【0030】
ただし、積層体LMにおけるこれらのワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSの積層数は任意である。ワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。絶縁層OLは例えば酸化シリコン層等である。
【0031】
積層体LMの上面は絶縁層52で覆われている。絶縁層52は絶縁層53で覆われている。絶縁層52,53は、後述する絶縁層51とともに、それぞれ図1の絶縁層50の一部分を構成する。
【0032】
図2(b)に示すように、上述のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが階段状に加工されることで、階段領域SRは、階段部SSP,USP,LSPを有することとなる。
【0033】
階段部SSPは、積層体LMの最上層部分、つまり、選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分である。階段部USPは、積層体LMの選択ゲート線SGDを除く上層部分、つまり、積層体ULMのワード線WLが階段状に加工された部分である。階段部LSPは、積層体LMの下層部分、つまり、積層体LLMのワード線WLと選択ゲート線SGSとが階段状に加工された部分である。
【0034】
階段部SSP,USP,LSPは、この順に、メモリ領域MRから遠ざかるように階段領域SR内に配置される。すなわち、メモリ領域MRから遠ざかるにつれて、階段部SSP,USP,LSPのテラス部分の高さ位置は下降していく。
【0035】
図2(a)(b)に示すように、積層体LMは、複数の板状コンタクトLIによってY方向に分割されている。
【0036】
すなわち、板状コンタクトLIのそれぞれは、互いにY方向に並んで、積層体LMの積層方向およびX方向に沿う方向に延びる。このように、板状コンタクトLIは、積層体LMのX方向一端部から他端部に亘って積層体LM内を連続的に延びている。また、板状コンタクトLIは、積層体LM及び上部ソース線DSLbを貫通し、メモリ領域MRでは中間ソース線BSLに到達している。
【0037】
また、板状コンタクトLIは、例えば上端部から下端部に向かってY方向の幅が小さくなるテーパ形状を有する。あるいは、板状コンタクトLIは、例えば上端部と下端部との間の所定位置においてY方向の幅が最大となるボーイング形状を有する。
【0038】
板状コンタクトLIのそれぞれは、絶縁層54と導電層24とを含む。絶縁層54は例えば酸化シリコン層等である。導電層24は例えばタングステン層または導電性のポリシリコン層等である。
【0039】
絶縁層54は、板状コンタクトLIのY方向に向かい合う側壁を覆う。導電層24は絶縁層54の内側に充填され、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続されている。また、導電層24は、図2(a)とは異なる断面で上層配線と接続される。このような構成により、板状コンタクトLIはソース線コンタクトとして機能することとなる。
【0040】
ただし、板状コンタクトLIに代えて、絶縁層が充填された板状部材が積層体LMを貫通するとともにX方向に沿う方向に延びることにより、積層体LMをY方向に分割していてもよい。この場合、このような板状部材はソース線コンタクトとしての機能を有さない。
【0041】
また、メモリ領域MRと階段領域SRの階段部SSPとにおいて、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間には、積層体ULMの上層部分を貫通してX方向に沿う方向に延びる複数の分離層SHEが配置されている。これらの分離層SHEは、選択ゲート線SGD0,SGD1を貫通し、選択ゲート線SGD1直下の絶縁層OLに到達する酸化シリコン層等の絶縁層56である。
【0042】
換言すれば、積層体ULMの上層部分を貫通するこれらの分離層SHEが、板状コンタクトLI間でメモリ領域MR及び階段部SSPをX方向に延びることで、積層体ULMの上層部分が上述の選択ゲート線SGD0,SGD1に区画される。
【0043】
図2(a)に示すように、メモリ領域MRには、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のピラーPLが分散して配置されている。
【0044】
複数のピラーPLは、積層体LMの積層方向から見て例えば千鳥状の配置を取る。個々のピラーPLは、積層体LMの層方向に沿う方向、つまりXY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型(オーバル型)等の形状を有する。
【0045】
また、ピラーPLは、積層体LLMを貫通する部分と、積層体ULMを貫通する部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、ピラーPLは、積層体LLMを貫通する部分と、積層体ULMを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0046】
複数のピラーPLのそれぞれは、積層体LM内を積層方向に延びるメモリ層ME、積層体LM内を貫通して中間ソース線BSLと接続するチャネル層CN、チャネル層CN上面を覆うキャップ層CP、及びピラーPLの芯材となるコア層CRを有する。
【0047】
図2(c)(d)に示すように、メモリ層MEは、ピラーPLの外周側から、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNがこの順に積層された多層構造を有する。より詳細には、メモリ層MEは、中間ソース線BSLの深さ位置を除くピラーPLの側面に配置されている。また、メモリ層MEは、下部ソース線DSLa深さまで到達するピラーPLの底面にも配置されている。
【0048】
チャネル層CNはメモリ層MEの内側で、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通して、下部ソース線DSLa深さに到達している。より詳細には、チャネル層CNは、メモリ層MEを介してピラーPLの側面および底面に配置されている。ただし、チャネル層CNの一部は、側面で中間ソース線BSLと接触しており、これにより、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続される。チャネル層CNの更に内側にはコア層CRが充填されている。
【0049】
また、複数のピラーPLのそれぞれは、上端部にキャップ層CPを有する。キャップ層CPは、少なくともチャネル層CNの上端部を覆うようにピラーPL上端部に配置され、チャネル層CNと接続されている。キャップ層CPは、絶縁層52中に配置されるプラグCHを介して、絶縁層53中に配置されるビット線BLと接続される。ビット線BLは、ワード線WLの引き出し方向と交差するように、Y方向に沿う方向に積層体LMの上方を延びる。
【0050】
なお、図2(a)においては、6つのピラーPLのうちの3つのピラーPLにのみプラグCHが接続されている。それ以外のピラーPLは、図2(a)に示す断面とは異なる位置で、図2(a)に示すビット線BLと並行してY方向に沿う方向に延びる他のビット線BLに、図2(a)には不図示のプラグCHを介して接続される。
【0051】
メモリ層MEのブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TN、並びにコア層CRは例えば酸化シリコン層等である。メモリ層MEの電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。チャネル層CN及びキャップ層CPは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。
【0052】
図2(d)に示すように、以上のような構成によって、ピラーPL側面の個々のワード線WLと対向する部分には、それぞれメモリセルMCが形成される。ワード線WLから所定の電圧が印加されることにより、メモリセルMCに対してデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0053】
また、図2(c)に示すように、ピラーPLの側面がワード線WLの上層に配置される選択ゲート線SGD0,SGD1と対向する部分には選択ゲートSTDがそれぞれ形成される。また、ピラーPLの側面がワード線WLの下層に配置される選択ゲート線SGS0,SGS1と対向する部分には選択ゲートSTSがそれぞれ形成される。
【0054】
選択ゲート線SGD,SGSから所定の電圧がそれぞれ印加されることにより、選択ゲートSTD,STSがオンまたはオフして、その選択ゲートSTD,STSが属するピラーPLのメモリセルMCを選択状態または非選択状態とすることができる。
【0055】
図3(a)~図3(c)に示すように、階段領域SRにおいて、階段部SSP,USP,LSPは絶縁層51で覆われている。絶縁層51は、例えば積層体LMの最上層の高さ位置に到達し、絶縁層52,53は絶縁層51の上面をも覆っている。上述のように、絶縁層51もまた、図1の絶縁層50の一部分を構成する。
【0056】
絶縁層51は、例えばオルトケイ酸テトラエチル(Tetra Ethyl Ortho Silicate)等を原料として、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)等により形成されるdTEOS(densified TROS)層である。
【0057】
また、階段領域SRにおいて、ソース線SLは、中間ソース線BSLに替えて、上部ソース線DSLbと下部ソース線DSLaとの間に介在される中間絶縁層SCOを備えている。中間絶縁層SCOは例えば酸化シリコン層等である。
【0058】
このため、板状コンタクトLIは、階段領域SRにおいては、絶縁層51、積層体LM、及び上部ソース線DSLbを貫通して、中間絶縁層SCOに到達している。また、板状コンタクトLIの上端部は、絶縁層52中に配置されるプラグCHを介して、絶縁層53中に配置される上層配線MXと接続されている。
【0059】
また、階段領域SRには、コンタクトCC及び複数の柱状部HRm,HRs,HRfが配置されている。後述するように、これらの柱状部HRm,HRs,HRfは、犠牲層と絶縁層とが積層された積層体から積層体LMを形成する際、これらの構成を支持する役割を持ち、半導体記憶装置1の機能には寄与しない。
【0060】
個々のコンタクトCCは、絶縁層51を貫通して、階段部SSP,USP,LSPの各段を構成する絶縁層OL直下のワード線WLまたは選択ゲート線SGD,SGSに接続されている。
【0061】
個々のコンタクトCCは、例えば上端部から下端部に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状を有する。あるいは、コンタクトCCは、例えば上端部と下端部との間の所定位置において径および断面積が最大となるボーイング形状を有する。
【0062】
また、コンタクトCCは、コンタクトCCの外周を覆う絶縁層55と、絶縁層55の内側に充填されるタングステン層または銅層等の導電層25とを有する。導電層25は、絶縁層52中に配置されるプラグV0を介して、絶縁層53中に配置される上層配線MXと接続される。この上層配線MXは、上述の周辺回路CBA(図1参照)と電気的に接続されている。
【0063】
このような構成により、各層のワード線WL、及びワード線WLの上下層の選択ゲート線SGD,SGSを電気的に引き出すことができる。すなわち、上記構成により、周辺回路CBAから、上層配線MX、コンタクトCC、及びワード線WL等を介してメモリセルMCに所定の電圧を印加して、メモリセルMCを記憶素子として動作させることができる。
【0064】
図3(a)に示すように、階段部SSPは、選択ゲート線SGDと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分である。階段部SSPには、絶縁層51、積層体ULM,LLM、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数の柱状部HRmが分散して配置されている。
【0065】
複数の柱状部HRmは、板状コンタクトLI及びコンタクトCCとの干渉を回避しつつ、積層体LMの積層方向から見て例えばグリッド状または千鳥状の配置を取る。個々の柱状部HRmは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状を有する。
【0066】
また、柱状部HRmは、積層体LLMを貫通する部分と、積層体ULMを貫通する部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、柱状部HRmは、積層体LLMを貫通する部分と、積層体ULMを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0067】
複数の柱状部HRmのそれぞれは、上述のピラーPLと同じ層構造を有する。しかし、複数の柱状部HRmは、全体としてフローティング状態となっており、上述のように、半導体記憶装置1において電気的な機能を有してはいない。
【0068】
また、柱状部HRmが、上記のように、板状コンタクトLI及びコンタクトCCとの干渉を回避しつつ配置されることで、ピラーPLと同様の層構造を有する柱状部HRmが、板状コンタクトLI及びコンタクトCCと接触することによる影響が抑制される。
【0069】
ピラーPLと同じ層構造として、柱状部HRmは、積層体LM内を積層方向に延びるダミー層MEd,CNd,CRdを有する。
【0070】
図2(e)に示すように、ダミー層MEdは、柱状部HRmの外周側から、ダミー層BKd,CTd,TNdがこの順に積層された多層構造を有する。つまり、ダミー層MEdは上述のピラーPLのメモリ層MEに相当する。また、ダミー層MEdに含まれるダミー層BKd,CTd,TNdは、それぞれピラーPLのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNに相当する。
【0071】
ただし、ダミー層MEdは、上部ソース線DSLbから下部ソース線DSLaに至る柱状部HRmの側面に途切れることなく配置される。ダミー層MEdは柱状部HRmの下端部にも配置されている。
【0072】
ダミー層CNdは、ダミー層MEdの内側で、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して下部ソース線DSLa深さに到達している。ダミー層CNdは、上述のピラーPLのチャネル層CNに相当する。
【0073】
ただし、上部ソース線DSLbから下部ソース線DSLaに至るダミー層CNdの側面にはダミー層MEdが配置されており、ダミー層CNdは、直接的には中間絶縁層SCOと接していない。ダミー層CNdの更に内側にはダミー層CRdが充填されている。ダミー層CRdは、上述のピラーPLのコア層CRに相当する。
【0074】
また、複数の柱状部HRmのそれぞれは、上端部にダミー層CPdを有する。ダミー層CPdは、少なくともダミー層CNdの上端部を覆うように柱状部HRm上端部に配置され、ダミー層CNdと接続されている。ダミー層CPdは、上述のピラーPLのキャップ層CPに相当する。なお、柱状部HRmがダミー層CPdを有していなくともよい。
【0075】
柱状部HRmに含まれる各層は、対応するピラーPLの各層と同種の材料を含む。つまり、ダミー層MEdのダミー層BKd,TNd、並びにダミー層CRdは、例えば酸化シリコン層等である。ダミー層CTdは例えば窒化シリコン層等である。ダミー層CNd,CPdは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。ここで、ダミー層CNd等に含まれる半導体層は、例えば他のダミー層MEd,CRdに含まれる材料よりもヤング率が高く、硬くて変形し難い性質を有する。
【0076】
図3(b)に示すように、階段部USPは、ワード線WLと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分である。階段部USPには、絶縁層51、積層体ULM,LLM、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する柱状部HRm,HRsが配置されている。
【0077】
階段部USPにおいて、柱状部HRsは、板状コンタクトLIのY方向両側に、板状コンタクトLIに隣接してX方向に沿う方向に配列されている。個々の柱状部HRsは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状を有する。
【0078】
また、個々の柱状部HRsは、積層体LLMの上端部から積層体LLMを貫通してソース線SLに到達する柱状部LHRsと、積層体ULMの上端部の高さ位置から積層体ULMを貫通して柱状部LHRsの上端部に接続される柱状部UHRsとを有する。
【0079】
柱状部LHRs,UHRsはそれぞれが、例えば上端部から下端部に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状を有する。あるいは、柱状部LHRs,UHRsはそれぞれが、例えば上端部と下端部との間の所定位置において径および断面積が最大となるボーイング形状を有する。
【0080】
また、柱状部LHRs,UHRsはそれぞれが、酸化シリコン層等の絶縁層58,59の単体である。したがって、柱状部HRsは他の構成に対して電気的な影響を及ぼし得ず、隣接する板状コンタクトLIとの干渉が許容されている。また、柱状部LHRs,UHRsはともに同一材料の絶縁層58,59の単体構造を取るため、これらの柱状部LHRs,UHRsは、境界部分に界面等を有さず、互いに識別が困難な場合があり得る。
【0081】
複数の柱状部HRmは、階段部USPにおいて、板状コンタクトLIに隣接する位置を除く、階段部USPの全体に亘って分散配置されている。階段部USPにおいて、柱状部HRmに替えて柱状部HRsが板状コンタクトLIに隣接する位置に配置されるのは以下の理由による。
【0082】
板状コンタクトLIにおいて、絶縁層51中に配置される部位は、積層体LM中に配置される部位よりもテーパ形状またはボーイング形状の度合いが大きくなる傾向にある。つまり、板状コンタクトLIがテーパ形状である場合、絶縁層51中において、板状コンタクトLIの上端部の幅と下端部の幅との差が大きくなりやすい。板状コンタクトLIがボーイング形状である場合、絶縁層51中において、板状コンタクトLIの最大幅と、板状コンタクトLIの上下端の幅との差が大きくなりやすい。
【0083】
また、絶縁層51内を積層体LMの積層方向に延びる距離が長いほど、板状コンタクトLIのテーパ形状またはボーイング形状の度合いがいっそう大きくなりやすい。つまり、階段領域SRにおいて、積層体LMの上層側の各層が階段状に加工された領域よりも、積層体LMの下層側の各層が階段状に加工された領域において、板状コンタクトLIのテーパ形状またはボーイング形状がより顕著になりやすい。
【0084】
上記のように、板状コンタクトLIの最大幅が増大する傾向にある階段部USPにおいて、柱状部HRmが板状コンタクトLIに隣接して配置されないため、板状コンタクトLIとの干渉が抑制される。また、階段部USPにおいても、柱状部HRmはコンタクトCCとの干渉を回避しつつ配置されている。
【0085】
図3(c)に示すように、階段部LSPは、ワード線WLと絶縁層OLとが、あるいは、選択ゲート線SGSと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分である。階段部LSPには、絶縁層51、積層体LLM、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する柱状部HRf,HRsが配置されている。
【0086】
また、階段部LSPを覆う絶縁層51において、積層体ULMの高さ位置に配置される部分と、積層体LLMの高さ位置に配置される部分との間には、以下に詳述する柱状部HRfの下部構造である柱状部LHRgと同一材料の酸化シリコン層等である絶縁層57が介在し、XY平面に沿う方向へと広がって、絶縁層51を貫通する柱状部HRf,HRsと交差している。絶縁層51中の絶縁層57は、後述するように、柱状部HRfが備える柱状部LHRgを形成する際に並行して形成される。
【0087】
絶縁層51中に介在される絶縁層57と、絶縁層51とはともに、酸化シリコン層等の同一材料からなる。しかし、絶縁層51は、上述のように、例えばdTEOS層等のより緻密な酸化シリコン層である。このため、例えば絶縁層51中に絶縁層57が介在されていることは、SEM等によって判別しうると考えられる。
【0088】
柱状部HRsは、階段部LSPにおいても、板状コンタクトLIのY方向両側に、板状コンタクトLIに隣接してX方向に沿う方向に配列されている。階段部LSPでは、板状コンタクトLIの幅がより増大し、板状コンタクトLIとの接触リスクがいっそう高まるためである。
【0089】
複数の柱状部HRfは、板状コンタクトLI及びコンタクトCCとの干渉を回避しつつ、積層体LMの積層方向から見て例えばグリッド状または千鳥状の配置を取る。
【0090】
個々の柱状部HRfは、積層体LLMの上端部の高さ位置から積層体LLMを貫通してソース線SLに到達する柱状部LHRgと、積層体ULMの上端部の高さ位置から積層方向に延びて柱状部LHRgの上端部に接続される柱状部UHRmとを有する。
【0091】
すなわち、柱状部HRfは、下部構造として、例えば上述の柱状部HRsの下部構造と同じ形状および層構造の柱状部LHRgを備え、上部構造として、例えば上述の柱状部HRmの上部構造と同じ形状および層構造の柱状部UHRmを備える。
【0092】
複数の柱状部HRfは、階段部LSPにおいて、板状コンタクトLIに隣接する位置を除く、階段部LSPの全体に亘って分散配置されている。このように、柱状部HRfは、板状コンタクトLIに隣接して配置されないため、板状コンタクトLIとの干渉が抑制される。
【0093】
また、上述のように、柱状部HRfは、原則として、コンタクトCCとの干渉が回避されるよう上端部の配置が決定されている。ただし、柱状部LHRgは絶縁層57の単体構造を取るため、柱状部HRfの下部構造においては、コンタクトCCとの干渉が許容されている。柱状部HRfがこのような構成を有することの理由は次の通りである。
【0094】
柱状部HRfは積層方向に長く延びている。同じく、階段部LSPに配置されるコンタクトCCもまた、積層体LMの下層部分である積層体LLMの各層に接続するために、積層方向に長く延びる。したがって、柱状部HRf及びコンタクトCCの少なくとも一方に位置ずれが生じたり、他の層からの応力等によって傾斜してしまったりすることがある。このため、柱状部HRfは、柱状部HRfの下部構造において、コンタクトCCとの干渉が生じうることを想定した構造となっている。
【0095】
以上のように、階段領域SRのうち、より下層側の階段部USP,LSPにおいては、絶縁層58,59である柱状部HRsを板状コンタクトLIの近傍に配置して、板状コンタクトLIとの干渉が生じうることを想定した構成となっている。さらに、階段部LSPにおいては、下部構造においてコンタクトCCとの干渉が許容される柱状部HRfを分散して配置させている。
【0096】
一方、積層体LM最上層の階段部SSPにおいては、板状コンタクトLI及びコンタクトCCとの干渉を抑制することが容易であるため、ピラーPLと同じ層構造を有し、ヤング率の高い半導体層のダミー層CNdを積層方向の全体に亘って含む柱状部HRmが、板状コンタクトLIの近傍を含めた階段部SSP全域に分散配置される。
【0097】
なお、積層体LMの同じ高さ位置において、柱状部HRm,HRs,HRfのXY平面に沿う方向の断面積は、例えばピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積よりも大きい。また、複数の柱状部HRm間のピッチ、複数の柱状部HRs間のピッチ、及び複数の柱状部HRf間のピッチは、例えば複数のピラーPL間のピッチよりも大きく、積層体LMにおけるワード線WLの単位面積あたりの柱状部HRm,HRs,HRfの配置密度は、ワード線WLの単位面積あたりのピラーPLの配置密度よりも低い。
【0098】
このように、例えば柱状部HRm,HRs,HRfに比べて、ピラーPLの断面積を小さく構成し、狭ピッチとすることで、所定サイズの積層体LM内に高密度に多数のメモリセルMCを形成することができ、半導体記憶装置1の記憶容量を高めることができる。一方、柱状部HRm,HRs,HRfは、専ら積層体LMを支持するために用いられるので、例えばピラーPLのように断面積が小さく狭ピッチの精密な構成としないことで、製造負荷を減らすことができる。
【0099】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、図4図20を用いて、実施形態の半導体記憶装置1の製造方法について説明する。図4図20は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
【0100】
まずは、図4及び図5に、ワード線WLが形成される前の積層体LMの下層部分である積層体LLMs、及び積層体LLMsに各種構成が形成される様子を示す。
【0101】
図4は、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0102】
図4(a)に示すように、支持基板SS上に、下部ソース線DSLa、中間犠牲層SCNもしくは中間絶縁層SCO、及び上部ソース線DSLbをこの順に形成する。
【0103】
支持基板SSとしては、シリコン基板等の半導体基板、セラミック基板等の絶縁基板、またはアルミナ基板等の導電性基板等を使用することができる。支持基板SSの上面側には、絶縁層150が形成されていてもよい。
【0104】
中間犠牲層SCNは、後にメモリ領域MRとなる支持基板SS上の領域に形成し、中間絶縁層SCOは、後に階段領域SRとなる支持基板SS上の領域に形成する。中間犠牲層SCNは、例えば窒化シリコン層等であり、後にポリシリコン層等に置き換えられて中間ソース線BSLとなる層である。中間絶縁層SCOは、上述の通り、例えば酸化シリコン層等である。
【0105】
また、上部ソース線DSLb上に、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LLMsを形成する。絶縁層NLは、例えば窒化シリコン層等であり、後に導電材料に置き換えられてワード線WLまたは選択ゲート線SGSとなる犠牲層として機能する。
【0106】
図4(b)に示すように、積層体LLMsの一部領域において、絶縁層NLと絶縁層OLとを階段状に加工して、階段部LSPsを形成する。階段部LSPsは、フォトレジスト層等のマスクパターンのスリミングと、積層体LLMsの絶縁層NL及び絶縁層OLのエッチングとを複数回繰り返すことで形成される。
【0107】
すなわち、積層体LLMsの上面にマスクパターンを形成し、例えば露出部分の絶縁層NLと絶縁層OLとを1層ずつエッチング除去する。また、酸素プラズマ等による処理で、マスクパターンの端部を後退させて積層体LLMsの上面を新たに露出させ、絶縁層NLと絶縁層OLとを更に1層ずつエッチング除去する。このような処理を複数回繰り返すことで階段部LSPsが形成される。
【0108】
図4(c)に示すように、階段部LSPsを覆い、積層体LLMsの上面の高さまで達する絶縁層51を形成する。絶縁層51は、階段部LSPsの外側領域にも形成される。絶縁層51は、上述の通り、プラズマCVD等でdTEOS層を形成することにより得られる。
【0109】
図4(d)に示すように、積層体LLMsを積層方向に延びる複数のメモリホールLMH及び複数のホールLHLを例えば一括形成する。メモリホールLMHは、後にピラーPLの下部構造となる部分である。ホールLHLは、後に柱状部HRm,HRs,HRfのいずれかの下部構造となる部分である。
【0110】
複数のメモリホールLMHは、後にメモリ領域MRとなる領域に配置され、積層体LLMs、上部ソース線DSLb、及び中間犠牲層SCNを貫通して、下部ソース線DSLaに到達している。複数のホールLHLは、後に階段領域SRとなる領域に配置され、絶縁層51、積層体LLMs、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達している。
【0111】
図4(e)に示すように、これらのメモリホールLMH及びホールLHL内をCVD-カーボン層等の犠牲層26で充填する。このとき、犠牲層26は積層体LLMsの上面にも形成される。上面の犠牲層26は例えば全面エッチバック等により除去される。
【0112】
これにより、後にメモリ領域MRとなる領域には、複数のメモリホールLMHに犠牲層26が充填されたピラーPLcが形成される。また、後に階段領域SRとなる領域には、複数のホールLHLに犠牲層26が充填された柱状部HRcが形成される。
【0113】
なお、上述の図4(d)及び図4(e)のより詳細な処理について図5に示す。図5は、後に階段領域SRの階段部USPとなる領域のY方向に沿う断面図である。
【0114】
図5(a)に示すように、上述の図4(d)の処理で形成された複数のホールLHLのうち、後に階段領域SRの階段部USPとなる領域の一部のホールLHLを、フォトレジスト層等のマスク層71で覆う。
【0115】
より詳細には、図5(a)に示す複数のホールLHLのうち、紙面左右方向の両端部に配置されたホールLHLは、後に板状コンタクトLIが形成されることとなる部分に隣接し、柱状部HRsが形成されることとなる位置に配置されている。これら紙面の左右方向両端部のホールLHLを除く複数のホールLHLを、上記のようにマスク層71で覆う。
【0116】
図5(b)に示すように、マスク層71から露出した左右両端部のホールLHL内に絶縁層58を充填して柱状部LHRsを形成する。絶縁層58は、上述のdTEOS層等である絶縁層51に比べて、比較的低密度の酸化シリコン層等である。
【0117】
このとき、絶縁層58は、積層体LLMsの上面にも形成される。積層体LLMs上面の絶縁層58は、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)等により除去されることが好ましい。
【0118】
図5(c)に示すように、酸素プラズマ等を用いてマスク層71が除去される。これにより、左右両端部のホールLHLに挟まれた中央部に、再び複数のホールLHLが開口する。
【0119】
図5(d)に示す処理は、上述の図4(e)の処理に相当する。すなわち、図5(d)に示すように、再び開口した複数のホールLHL内を犠牲層26で充填する。
【0120】
なお、図5に示す処理は、後に階段部SSPとなる領域においては行われない。上記処理が、後に階段部USPとなる図5に示す領域と並行して、形成済みの階段部LSPsにおいて行われてもよい。
【0121】
次に、図6図10に、ワード線WLが形成される前の積層体LMの上層部分である積層体ULMsが形成され、さらに、積層体LLMs,ULMsに柱状部HRsが形成される様子を示す。
【0122】
図6は、上述の図4と同様、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0123】
図6(a)に示すように、積層体LLMs上と階段部LSPsを覆う絶縁層51上とを覆い、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体ULMsを形成する。積層体ULMsの犠牲層NLは、後に導電層に置き換えられてワード線WLまたは選択ゲート線SGDとなる。
【0124】
図6(b)に示すように、積層体ULMsの一部領域において、絶縁層NLと絶縁層OLとを階段状に加工して、階段部USPs,SSPsを形成する。階段部USPs,SSPsは、上述の図4(b)に示した処理と同様、フォトレジスト層等のマスクパターンのスリミングと、積層体ULMsの絶縁層NL及び絶縁層OLのエッチングとを複数回繰り返すことで形成される。
【0125】
このとき、階段部LSPsの最上段と階段部USPsの最下段とを近接させて階段部USPsを形成する。これにより、階段部LSPs,USPs,SSPsが積層体LLMs,ULMsの下層側から上層側へと連続的に連なるように配置される。また、階段部LSPsを覆う絶縁層51上の積層体ULSMsが除去されることにより、階段部LSPsに形成された柱状部HRcの上端部が絶縁層51の上面に露出する。
【0126】
図6(c)に示すように、絶縁層51の上面に上端部が露出した柱状部HRcから、酸素プラズマを用いたアッシング等により、柱状部HRc内に充填された犠牲層26を除去する。これにより、階段部LSPsに、再びホールLHLが開口する。
【0127】
図7及び図8は、後に階段領域SRとなる領域のY方向に沿う断面図である。より詳細には、図7及び図8の(a)は、上述の図5と同様、階段部USPsの断面図であり、図7及び図8の(b)は階段部LSPsの断面図である。
【0128】
図7(b)に示すように、階段部LSPsにおいては、上述のように、犠牲層26が除去されたホールLHLが開口している。ただし、上述の図5に示す処理において、後に柱状部HRsの下部構造となる柱状部LHRsを階段部USPsに形成する際、階段部LSPsにも同様の処理を行った場合には、紙面左右方向の両端部のホールLHLには既に絶縁層58が充填され、柱状部LHRsが形成済みである。
【0129】
図7(a)に示すように、一方の階段部USPsにおいては、複数の柱状部HRcの上端部は積層体ULMsに覆われているため、上述の図6(c)に示すアッシング処理を受けない。同様に、階段部SSPsにおいても、犠牲層26が除去されることなく、複数の柱状部HRcが残存した状態である。
【0130】
図8に示すように、階段部LSPsに開口する複数のホールLHL内に、上述の図5(c)の処理と同様、絶縁層57を充填する。絶縁層57もまた、dTEOS層等である絶縁層51よりも低密度の酸化シリコン層等である。これにより柱状部HRfの下部構造となる柱状部LHRgが形成される。
【0131】
また、絶縁層57は、積層体ULMsの露出面および絶縁層51の上面にも形成される。このとき、階段部LSPsにおいて絶縁層51の上面に形成された絶縁層57は、図8に示すように、積層体ULMsの底面と対応する高さ位置上に配置されることとなる。
【0132】
なお、上述の図5に示す処理を階段部LSPsにおいて行わず、これに代えて図7(b)及び図8(b)に示す処理により、柱状部HRsの下部構造を、柱状部HRfの下部構造となる複数の柱状部LHRgとともに、一括して形成してもよい。
【0133】
図9は、上述の図4及び図6と同様、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0134】
図9(a)は、階段部LSPsに柱状部LHRgが形成された様子を示している。図9(a)に示すように、絶縁層57は、階段部LSPsにおける絶縁層51の上面、階段部USPs,SSPsの各段の上面、及び後にメモリ領域MRとなる領域の積層体ULMsの上面にも形成されている。
【0135】
このように、柱状部HRfの下部構造となるホールLHLを充填する際、絶縁層51等の上面に形成された絶縁層57は、CMP等により除去されることなく残存させておいてよい。なお、これ以降の図面において、階段部LSPsの絶縁層51上面の絶縁層57を除き、階段部USPs,SSPsの各段の上面、及び積層体ULMs上面の絶縁層57の図示を省略する。
【0136】
図9(b)に示すように、階段部USPs,SSPsを覆い、積層体ULMsの上面の高さまで達する絶縁層51を形成する。絶縁層51は、階段部USPs,SSPsの外側領域にも形成される。絶縁層51は、上述の図4(c)の処理と同様、プラズマCVD等でdTEOS層を形成することにより得られる。
【0137】
これにより、階段部LSPs,USPs,SSPsを覆い、積層体ULMsの上面の高さまで達する絶縁層51が形成される。また、積層体LLMsと積層体ULMsとの間の絶縁層51の高さ位置には、絶縁層57が介在される。
【0138】
図9(c)に示すように、積層体ULMsの高さ位置を積層方向に延びる複数のメモリホールUMH及び複数のホールUHLを例えば一括形成する。メモリホールUMHは、後にピラーPLの上部構造となる部分である。ホールUHLは、後に柱状部HRm,HRs,HRfのいずれかの上部構造となる部分である。
【0139】
複数のメモリホールUMHは、後にメモリ領域MRとなる領域に配置され、積層体ULMsを貫通して、積層体LLMsに形成されたピラーPLcの上端部にそれぞれ到達している。
【0140】
複数のホールUHLの一部は、階段部USPs,SSPsと積層方向に重なる位置に配置され、絶縁層51及び積層体ULMsを貫通して、積層体LLMsに形成された柱状部HRcの上端部にそれぞれ到達している。
【0141】
複数のホールUHLの他の一部は、階段部LSPsと積層方向に重なる位置に配置され、絶縁層51を貫通して、積層体LLMsに形成された柱状部LHRgの上端部にそれぞれ到達している。
【0142】
ここで、柱状部LHRgは例えば絶縁層57の単体等である。このため、同種の材料である絶縁層51を貫通させてホールUHLを形成する際、絶縁層57との選択比が確保し難く、ピラーPLc及び柱状部HRcの上端部よりも柱状部LHRg上端部のリセス量が大きくなる場合がある。この場合、柱状部LHRg上端部のリセスは、積層方向から見た柱状部LHRgの中心付近に形成されうる。
【0143】
図10は、上述の図5図7(a)、及び図8(a)と同様、階段部USPsのY方向に沿う断面図である。
【0144】
図10(a)は、階段部USPsに複数のホールUHLが形成された様子を示している。図10(a)に示すように、複数のホールUHLの下端部は、積層体LLMsの柱状部HRcに到達している。ただし、紙面左右方向の両端部には、上述のように、後に柱状部HRsの下部構造となる柱状部LHRsが形成されており、これらと対応する位置では、ホールUHLの下端部は柱状部LHRsに到達している。
【0145】
図10(b)に示すように、紙面左右方向の両端部を除く、複数の柱状部HRcに到達するホールUHRをレジスト層等のマスク層72で覆う。同様に、マスク層72は、階段部LSPsにおいても、後に板状コンタクトLIと隣接することとなるホールUHLを除く部分を覆う。また、マスク層72は、階段部SSPs、及び後にメモリ領域MRとなる領域の全域を覆う。
【0146】
図10(c)に示すように、階段部LSPs,USPsにおいて、マスク層72から露出した左右両端部のホールUHL内に、上述の図5(b)の処理と同様、酸化シリコン層等の絶縁層59を充填し、柱状部UHRsを形成する。絶縁層59もまた、dTEOS層等である絶縁層51よりも低密度の酸化シリコン層等である。
【0147】
これにより、後に板状コンタクトLIと隣接することとなる柱状部HRsが形成される。このとき、絶縁層59は積層体ULMsの上面にも形成される。上面の絶縁層59は、CMP等により除去してもよく、あるいは、除去されることなく残存させておいてもよい。
【0148】
なお、上述の図5に示す処理を階段部USPsにおいて行わず、後に板状コンタクトLIと隣接することとなるホールLHL内を犠牲層26が充填された構造としておき、図10(a)の処理に続けて複数のホールUHLを介してホールUHL底の犠牲層26を除去してホールLHLを開口した後、後に板状コンタクトLIと隣接することとなるホールUHLを除く部分をマスク層72で覆ったうえで、左右両端部のホールLHL,UHL内に絶縁層59の単体を一括して形成してもよい。
【0149】
次に、図11図18を用いて、各ホール内に多層構造が形成される様子を示す。
【0150】
図11は、上述の図10等と同様、階段部USPsのY方向に沿う断面図である。より詳細には、図11図10の処理に続く処理を示している。
【0151】
図11に示すように、柱状部HRsが形成された後、酸素プラズマを用いたアッシング等により、マスク層72を除去し、更に、ホールUHL底の柱状部HRcから犠牲層26を除去する。これにより、複数のホールUHL底に、それぞれホールLHLが開口し、絶縁層51、積層体ULMs,LLMs、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のホールHLが形成される。
【0152】
このとき、階段部SSPsにおいても、柱状部HRcから犠牲層26が除去されてホールLHLが開口する。また、後にメモリ領域MRとなる領域では、積層体LLMsに形成されたピラーPLcから犠牲層26が除去されて、複数のメモリホールLMHが再び開口する。
【0153】
図12は、上述の図4図6、及び図9と同様、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0154】
図12に示すように、後にメモリ領域MRとなる領域には、複数のメモリホールUMH底に、それぞれホールLMHが開口し、積層体ULMs,LLMs、上部ソース線DSLb、及び中間犠牲層SCNを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のメモリホールMHが形成されている。また、階段部SSPs,USPsには、上述のように、複数のホールHLが形成されている。
【0155】
一方、階段部LSPsにおいては、複数のホールUHLのうち柱状部LHRsに接続されるホールUHLには、上述の図10及び図11に示す階段部USPsの場合と同様、柱状部UHRsが形成されている。他のホールUHLは、下部構造として柱状部LHRgを有する状態から変化しない。
【0156】
図13図18は、後にメモリ領域MRまたは階段領域SRとなる領域のY方向に沿う断面図である。より詳細には、図13図18の(a)は後にメモリ領域MRとなる領域の断面図であり、図13図18の(b)は、上述の図7(b)及び図8(b)と同様、階段部LSPsの断面図である。
【0157】
図13(a)及び図14(a)に示すように、後にメモリ領域MRとなる領域において、メモリホールMH内に、多層絶縁層MEb、半導体層CNb、及び絶縁層CRbをこの順に形成する。これにより、メモリホールMHの側面、及び下部ソース線DSLaが露出する底面に、多層絶縁層MEb及び半導体層CNbが配置され、メモリホールMHの中心部に絶縁層CRbが充填される。
【0158】
多層絶縁層MEbは、後にメモリ層MEとなる多層構造の絶縁層である。半導体層CNbは、後にチャネル層CNとなる層である。絶縁層CRbは、後にコア層CRとなる酸化シリコン層等である。
【0159】
多層絶縁層MEb、半導体層CNb、及び絶縁層CRbは、積層体ULMsの上面にもこの順に形成される。
【0160】
また、図示はしないが、階段部SSPs,USPsにおいても、図13(a)及び図14(a)の処理により、ホールHLの側面、及び下部ソース線DSLaが露出する底面に、多層絶縁層MEb及び半導体層CNbが形成され、ホールHLの中心部に絶縁層CRbが充填される。
【0161】
図13(b)及び図14(b)に示すように、階段部LSPsにおいては、図13(a)及び図14(a)の処理により、ホールUHL内に、多層絶縁層MEb、半導体層CNb、及び絶縁層CRbがこの順に形成される。これにより、ホールUHLの側面、及び柱状部LHRgの上端部が露出する底面に、多層絶縁層MEb及び半導体層CNbが配置され、ホールUHLの中心部に絶縁層CRbが充填される。
【0162】
階段部LSPs等を含む階段領域SRにおいても、多層絶縁層MEb、半導体層CNb、及び絶縁層CRbは、絶縁層51の上面にもこの順に形成される。
【0163】
図15(a)に示すように、後にメモリ領域MRとなる領域において、絶縁層CRb、半導体層CNb、及び多層絶縁層MEbを順次エッチバックして、積層体ULMs上面から除去するとともに、メモリホールMH上端部に窪みDNを形成する。
【0164】
これにより、メモリホールMH内に、外周側から順に、メモリ層ME、チャネル層CN、及びコア層CRが形成される。
【0165】
図15(b)に示すように、階段部LSPsにおいても、図15(a)の処理により、絶縁層51の上面から絶縁層CRb、半導体層CNb、及び多層絶縁層MEbが順次除去されるとともに、ホールUHL上端部に窪みDNdが形成される。また、図示はしないが、階段部SSPs,USPsにおいても、同様に、ホールHLの上端部に窪みDNdが形成される。
【0166】
これにより、ホールUHL内、またはホールHL内全体に亘り、外周側から順に、ダミー層MEd,CNd,CRdが形成される。
【0167】
なお、絶縁層CRb、半導体層CNb、及び多層絶縁層MEbのエッチバックの際、多層絶縁層MEb及び絶縁層CRbと同種の絶縁層59等が充填された柱状部HRsの上面を図示しないマスク層等によって保護しておいてもよい。
【0168】
図16(a)に示すように、後にメモリ領域MRとなる領域において、メモリホールMH上端部の窪みDNに半導体層CPbを形成する。半導体層CPbは、後にキャップ層CPとなる層である。半導体層CPbは、積層体ULMsの上面にも形成される。
【0169】
図16(b)に示すように、階段部LSPsにおいても、図16(a)の処理により、ホールUHL上端部の窪みDNdに半導体層CPbが充填され、絶縁層51の上面が半導体層CPbに覆われる。また、図示はしないが、階段部SSPs,USPsにおいても、同様に、ホールHL上端部の窪みDNdに半導体層CPbが充填される。
【0170】
図17(a)及び図18(a)に示すように、後にメモリ領域MRとなる領域において、CMP等によって、積層体ULMs上面の半導体層CPbを除去し、メモリホールMHの上端部にキャップ層CPを形成する。また、CMP等によって薄くなった積層体ULMs最上層の絶縁層OLを積み増す。
【0171】
これにより、キャップ層CPが最上層の絶縁層OLに埋没したピラーPLが形成される。ただし、この時点で、メモリ層MEはピラーPLの側壁全体を覆っており、チャネル層CNの側面の一部がメモリ層MEから露出した状態となっていない。
【0172】
図17(b)及び図18(b)に示すように、階段部LSPsにおいても、図17(a)及び図18(a)の処理により、ダミー層CPdが上端部に形成され、下端部が柱状部LHRgに接続される柱状部UHRmが形成される。これにより、柱状部LHRg,UHRmを含む柱状部HRfが形成される。また、図示はしないが、階段部SSPs,USPsにおいて、ダミー層CPdが上端部に形成された柱状部HRmが形成される。
【0173】
なお、柱状部HRm,HRfは、後述するリプレース処理中に支持構造となるダミーピラーとして形成されるものであって、半導体記憶装置1の機能には寄与しない。したがって、柱状部HRm,HRfはダミー層CPdを有していなくともよく、柱状部HRm,HRfに対し図16(b)の処理を行わなくともよい。この場合、ホールHL,UHL上端部の窪みDNdは、例えば絶縁層等で埋め戻すことができる。
【0174】
次に、図19及び図20を用いて、ソース線SL及びワード線WLが形成される様子を示す。
【0175】
図19及び図20は、上述の図13図18の(a)と同様、後にメモリ領域MRとなる領域のY方向に沿う断面図である。
【0176】
図19(a)に示すように、積層体ULMs,LLMs、及び上部ソース線DSLbを貫通し、中間犠牲層SCNに到達するスリットSTを形成する。また、スリットSTのY方向に向かい合う側壁に絶縁層54sを形成する。
【0177】
スリットSTは、テーパ形状またはボーイング形状のY方向縦断面を有し、積層体LLMs,ULMs内をX方向に沿う方向にも延びている。したがって、図示しない階段領域SRにおいては、スリットSTの下端部は中間絶縁層SCOに到達する。
【0178】
このとき、複数の絶縁層NL,OLが交互に積層された積層体LLMs,ULMsと、酸化シリコン層等の単体である絶縁層51との硬度の違いから、スリットSTのテーパ形状またはボーイング形状の度合いは、絶縁層51で覆われた階段領域SRにおいて、より顕著となる。
【0179】
また、階段領域SRの階段部SSPsから階段部USPs、更に階段部LSPsへと向かうほど、スリットSTが、絶縁層51内を積層体LLMs,ULMsの積層方向に延びる距離が増す。したがって、階段部SSPsから階段部LSPsへと向かうほど、スリットSTのテーパ形状またはボーイング形状の度合いが高まっていく。
【0180】
図19(b)に示すように、絶縁層54sで側壁を保護されたスリットSTを介して、例えば熱リン酸等の中間犠牲層SCNの除去液を流入させて、下部ソース線DSLa及び上部ソース線DSLbに挟まれた中間犠牲層SCNを除去する。
【0181】
これにより、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間にギャップ層GPsが形成される。また、ピラーPL外周部のメモリ層MEの一部がギャップ層GPs内に露出する。
【0182】
このとき、スリットSTの側壁は絶縁層54sで保護されているので、積層体LLMs,ULMs内の絶縁層NLまでもが除去されてしまうことが抑制される。また、図示しない階段領域SRにおいて、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間には中間犠牲層SCNがなく、ギャップ層GPsは形成されない。
【0183】
図19(c)に示すように、スリットSTを介してギャップ層GPs内に適宜、薬液を流入させて、ギャップ層GPs内に露出したメモリ層MEのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TN(図2(c)(d)参照)を順次、除去する。これにより、ピラーPLの一部側壁からメモリ層MEが除去され、内側のチャネル層CNの一部がギャップ層GPs内に露出する。
【0184】
図19(d)に示すように、絶縁層54sで側壁を保護されたスリットSTから、例えばアモルファスシリコン等の原料ガスを注入し、ギャップ層GPsをアモルファスシリコン等で充填する。また、支持基板SSを加熱処理して、ギャップ層GPs内に充填されたアモルファスシリコンを多結晶化してポリシリコン等を含む中間ソース線BSLを形成する。
【0185】
これにより、ピラーPLのチャネル層CNの一部が、中間ソース線BSLを介して側面でソース線SLと接続される。
【0186】
このとき、図示しない階段領域SRにおいては、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間にはギャップ層GPsが形成されていない。このため、例えば柱状部HRmのダミー層MEdが除去されることはなく、また、中間ソース線BSLの形成も行われない。
【0187】
ダミーピラーである柱状部HRmは、ソース線SLと電気的な導通を有さないことが好ましい。上述のように、メモリ領域MRを除く階段領域SRでは、下部ソース線DSLa及び上部ソース線DSLb間に、中間犠牲層SCNに替えて中間絶縁層SCOを配置しておくことで、柱状部HRmがソース線SLと導通することが抑制される。
【0188】
図20(a)に示すように、スリットST側壁の絶縁層54sを一旦除去する。
【0189】
図20(b)に示すように、スリットSTから積層体LLMs,ULMs内部へと、例えば熱リン酸等の絶縁層NLの除去液を流入させて、積層体LLMs,ULMsの絶縁層NLを除去する。これにより、絶縁層OL間の絶縁層NLが除去された複数のギャップ層GPを有する積層体LLMg,ULMgが形成される。
【0190】
なお、複数のギャップ層GPを含む積層体LLMg,ULMgは脆弱な構造となっている。後にメモリ領域MRとなる領域では、複数のピラーPLがこのような脆弱な積層体LLMg,ULMgを支持する。一方、後に階段部SSPとなる領域においては、複数の柱状部HRmがこれらの積層体LLMg,ULMgを支持する。後に階段部USPとなる領域においては、2種類の柱状部HRm,HRsが積層体LLMg,ULMgを支持する。後に階段部LSPとなる領域においては、他の2種類の柱状部HRf,HRsが積層体LLMgを支持する。
【0191】
このようなピラーPL及び柱状部HRm,HRs,HRfの支持構造によって、残った絶縁層OLが撓んだり、積層体LLMg,ULMgが歪んだり倒壊したりすることが抑制される。
【0192】
図20(c)に示すように、スリットSTから積層体LLMg,ULMg内部へと、例えばタングステンまたはモリブデン等の導電材の原料ガスを注入し、積層体LLMg,ULMgのギャップ層GPを導電材で充填して複数のワード線WL等を形成する。これにより、複数のワード線WL等と複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LLM,ULMを含む積層体LMが形成される。
【0193】
なお、積層体ULMの最上層および最上層から2番目の導電層29は、後にこれらを貫通する分離層SHEが形成されることで、複数の選択ゲート線SGDのパターンに区画される。
【0194】
以上のように、中間犠牲層SCNから中間ソース線BSLを形成する処理、及び絶縁層NLからワード線WLを形成する処理をリプレース処理とも呼ぶ。
【0195】
その後、スリットSTの側壁に絶縁層54を形成し、絶縁層54内に導電層24を充填して、ソース線コンタクトとなる板状コンタクトLIを形成する。ただし、スリットST内に導電層24を形成することなく絶縁層54等を充填し、ソース線コンタクトとしての機能を有さない板状部材を形成してもよい。
【0196】
また、積層体ULMの最上層の導電層29を含む1つまたは複数の導電層29を貫通する溝を形成し、溝内に絶縁層56を充填することで、これらの導電層29を選択ゲート線SGDのパターンに区画する分離層SHEを形成する。
【0197】
また、絶縁層51を貫通し、階段部SSP,USP,LSPの各段を構成するワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSにそれぞれ到達する複数のコンタクトホールを一括して形成し、コンタクトホール内に絶縁層55及び導電層25を形成する。これにより、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSにそれぞれ接続されるコンタクトCCが形成される。
【0198】
続いて、積層体LMの上面および階段領域SRを覆う絶縁層51の上面に絶縁層52を形成し、絶縁層52を貫通して、コンタクトCCに接続されるプラグV0を形成する。また、絶縁層52を貫通して、板状コンタクトLI及びピラーPLに接続されるプラグCHを形成する。更に、絶縁層52上に絶縁層53を形成し、プラグV0,CHに接続される上層配線MX及びビット線BL等を形成する。また、絶縁層53の上面には周辺回路CBAと電気的な導通を取るための電極パッド等が形成される。
【0199】
なお、例えばデュアルダマシン法等を用いることにより、プラグV0,CH、上層配線MX、及びビット線BL等を一括して形成してもよい。
【0200】
また、積層体LMが形成された支持基板SSとは別体の半導体基板SB上に、周辺回路CBAを形成し、絶縁層40で覆う。絶縁層40中には、周辺回路CBAを絶縁層40の表面に引き出すコンタクト、ビア、配線等を形成し、絶縁層40の上面に形成された電極パッド等と接続される。
【0201】
続いて、支持基板SSと半導体基板SBとを、それぞれが有する絶縁層50,40で貼り合わせ、絶縁層50,40中の電極パッドを接続する。その後、支持基板SSを研削除去してソース線SLを露出させ、プラグPGが形成された絶縁層150を介して、電極膜ELが接続される。
【0202】
以上により、実施形態の半導体記憶装置1が製造される。
【0203】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置の製造工程において、積層体中の犠牲層を導電層に置き換えて、導電層と絶縁層とが積層された積層体を形成することがある。この場合、リプレース処理中に複数のギャップ層を含む脆弱な積層体を支持するため、例えば階段領域に柱状部が配置されることがある。柱状部は、例えば積層体を貫通するホール内に酸化シリコン層等の絶縁層が充填された構造を有する。
【0204】
しかしながら、積層体を貫通するホール内に絶縁層を充填する際、絶縁層が完全に充填されず、柱状部内にボイドが生じてしまうことがある。また、積層体のリプレース処理を行うスリットを形成する際、または、コンタクトホールを階段領域に形成する際などに、これらのスリットまたはコンタクトホールが柱状部と接触することがある。このとき、柱状部内のボイドがスリットまたはコンタクトホールと連通してしまうと、その後のリプレース処理またはコンタクトホールへの導電層の充填時に、柱状部のボイド内に導電層が進入し、複数のワード線間で耐圧が不足してしまう恐れがある。
【0205】
また、柱状部を絶縁層等から構成した場合、その後の製造工程における熱的な処理によって、柱状部を構成する絶縁層が収縮することがある。この場合、複数の柱状部の収縮により、これらの柱状部が配置された領域全体が、ピラーにより支持されるメモリ領域等の他の領域に比べて積層体の積層方向に沈み込んでしまうことがある。つまり、製造途中の半導体記憶装置の上面が凹凸を有することとなってしまう。
【0206】
これにより、例えばリソグラフィ技術を用いた処理等において、沈み込みが起きた領域で照準が合わずに正常な露光がされないことがある。また、例えばホールまたは溝等に埋め込んだ導電材を積層体上面から研磨除去する処理等において、沈み込みが起きた領域に導電材の研磨残りが発生してしまったりすることがある。
【0207】
そこで、例えば酸化シリコン層等よりもヤング率が高くて硬い材料で柱状部を構成することが考えられる。この場合、例えば柱状部の層構造をヤング率の高いチャネル層等を含むピラーの層構造と統一すれば、柱状部およびピラーを一括形成することができ簡便である。
【0208】
しかしながら、柱状部をピラーと同じ層構造とした場合であっても、スリットまたはコンタクトホールと柱状部との接触による複数のワード線間の耐圧低下の課題が残る。
【0209】
すなわち、ピラーの電荷蓄積層には、複数の導電層を含む積層体を形成する際にリプレース対象となる犠牲層と同種の材料が用いられることがある。柱状部に電荷蓄積層に相当する窒化層等が含まれていると、積層体のリプレース処理を行うスリットを形成する際、スリットと柱状部が接触して柱状部の窒化層がスリット内に露出してしまう懸念が生じる。この場合、スリットを介してリプレース処理を行うと、露出部分を介して柱状部の窒化層までもが導電層で置き換えられてしまい、上記と同様、複数のワード線間で耐圧が不足してしまう恐れがある。
【0210】
また、コンタクトホールの形成条件は窒化層に対する選択比が低く、コンタクトホールが接触することで柱状部の窒化層が除去されてしまう懸念がある。その後、コンタクトホール内に導電層が充填されると、窒化層が除去されて生じた柱状部の空隙内にも導電層が充填されて、やはり複数のワード線間で耐圧が不足してしまう場合がある。
【0211】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、複数の柱状部HRfは、積層体LMの下層側を積層方向に延びる絶縁層57の単体である柱状部LHRgと、柱状部LHRgに対応して、積層体LMの上層側の高さ位置に配置される柱状部UHRmと、をそれぞれ含む。
【0212】
上述のように、コンタクトCCが積層方向に延びる距離が長い階段部LSPでは、例えば互いの下部構造において柱状部HRfとコンタクトCCとの接触のリスクが高まる。
【0213】
上記構成によれば、柱状部HRfの下部構造を絶縁層57の単体としているので、仮に柱状部HRfとコンタクトホールとが下部構造側で接触しても、コンタクトCCの導電層25の柱状部HRf内への進入を抑制することができる。
【0214】
ここで、上述のように、ホールUHLを形成する際、下部構造となる柱状部LHRgに生じたリセスにダミー層CTdが形成される懸念、また、柱状部LHRgの絶縁層57にも上述のボイドが発生する懸念が生じる。
【0215】
しかし、柱状部LHRgにリセスが生じる場合は、積層方向から見た柱状部LHRgの中心付近が窪んだ状態になると考えられる。したがって、柱状部LHRgと接触したコンタクトホールが、柱状部LHRgの深部にまで到達し、柱状部LHRgのリセスに形成されたダミー層CTdに連通してしまう恐れは殆どない。
【0216】
また、積層体LMの下層部分である積層体LLMのみを貫通するホールLHLを埋め込む場合には、例えば積層体LMの上層から下層に亘って延びるホール内に絶縁層を充填する場合と比較してボイドは発生し難く、あるいは、発生したとしても比較的体積の小さなボイドが柱状部LHRgのごく中心寄りに形成されるに留まると考えられる。
【0217】
したがって、柱状部LHRgとの接触が起きた場合でも、コンタクトホールが柱状部LHRgの深部にまで到達し、ボイドと連通してしまうことが抑制される。よって、コンタクトCCの導電層25の柱状部LHRg内への進入を抑制することができる。
【0218】
以上のように、ダミーピラーと他の構成との干渉による電気特性への影響を抑制することができる。
【0219】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、階段部USP,SSPを積層方向に延びる複数の柱状部HRmを備える。複数の柱状部HRmは、積層体LMの上層側から下層側に亘って積層方向に延びるダミー層CNdと、ダミー層CNdの側壁を覆うダミー層TNdと、ダミー層TNdの側壁を覆うダミー層BKdと、ダミー層TNd,BKdとは異種の材料を含み、ダミー層TNd,BKdの間に介在されるダミー層CTdと、をそれぞれ含む。
【0220】
上述した積層体の沈み込みは積層体の層数が増すほど顕著になる。上記構成によれば、階段部LSP,USP,SSPのうち、積層体LMの積層数が増す階段部USP,SSPには、積層体LM全体を積層方向に貫通するダミー層CNdを含む柱状部HRmが配置されている。ダミー層CNdは、上述のように、例えば酸化シリコン層等よりもヤング率が高い半導体層である。
【0221】
これにより、沈み込みがより生じやすい階段部USP,SSPにおいて、積層体LMの沈み込みを抑制することができる。また、例えば全体が絶縁層の単体で構成される柱状部に比べて強度の高い柱状部HRmにより、リプレース処理時の積層体LLMg,ULMgの撓みもいっそう抑制することができる。
【0222】
一方で、階段部USP,SSPでは、接続対象のワード線WL等が比較的浅い位置にあるため、コンタクトCCが積層方向に延びる距離が短い。このため、柱状部HRmまたはコンタクトCCが位置ずれし、あるいは柱状部HRmが傾斜したとしても、柱状部HRmとコンタクトCCとの接触リスクが低いので、窒化シリコン層等のダミー層CTdを含む柱状部HRmを配置することが可能である。
【0223】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、階段部LSP,USPにおける複数の板状コンタクトLIのY方向の両側に、複数の板状コンタクトLIに隣接してX方向に沿う方向に配列される複数の柱状部HRsを備える。複数の柱状部HRsのそれぞれは、積層体LMの上層側の高さ位置、及び下層側を積層方向にそれぞれ延びる絶縁層59,58を備える。
【0224】
上記構成によれば、絶縁層51の厚さが次第に厚くなり、板状コンタクトLI幅が増す階段部LSP,USPにおいて、板状コンタクトLIとの接触リスクの高い位置には、積層体LMの上層側から下層側の高さ位置に亘って絶縁層59,58で構成される柱状部HRsを配置する。これにより、柱状部HRsとスリットSTとが接触した場合でも、リプレース処理によって柱状部HRsの一部が導電層に置き換えられてしまうのを抑制することができる。
【0225】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、複数の柱状部HRmは、選択ゲート線SGDが階段状に加工された階段部SSPでは、複数の板状コンタクトLIに隣接する位置を含めて分散して配置される。
【0226】
上述のように、積層体LMの積層数が多く、絶縁層51の層厚が薄い階段部SSPにおいては、積層体LMの沈み込みが顕著になる一方で、テーパ形状またはボーイング形状を有するスリットSTのY方向の拡幅が抑制される。したがって、階段部SSPの全域に亘って柱状部HRmを配置することで、スリットSTとの接触の懸念なく、積層体LMの沈み込みをいっそう抑制することができる。
【0227】
(変形例1)
次に、図21を用いて、実施形態の変形例1の半導体記憶装置2について説明する。変形例1の半導体記憶装置2は、上述の柱状部HRfに替えて、上下部構造のXY断面積が異なる柱状部HRfdを備える点が、上述の実施形態とは異なる。
【0228】
なお、以下の図面においては、上述の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0229】
図21は、実施形態の変形例1にかかる半導体記憶装置2の構成の一例を示す図である。
【0230】
より詳細には、図21(a)は階段部LSPdの最上層側の構成の一例を示すY方向に沿う断面図であり、図21(b)は柱状部HRfdの構成の一例を示すY方向に沿う断面図である。図21(a)及び図21(b)においては、絶縁層150下方及び絶縁層53上方の構造が省略されている。
【0231】
図21(c)は、選択ゲート線SGDの高さ位置における積層体LMの一部領域のXY断面図である。
【0232】
変形例1の半導体記憶装置2は、上述の図1に示す実施形態の半導体記憶装置1と概ね同様の概略構成を有する。また、半導体記憶装置2は、メモリ領域MR及び階段部SSP,USPにおいて、上述の実施形態の半導体記憶装置1と同様の構成を有する。
【0233】
図21に示すように、半導体記憶装置2の階段領域SRdには、上述の階段部USP,SSPに加え、積層体LLMに属するワード線WL及び選択ゲート線SGSが階段状に加工された階段部LSPdが含まれる。階段部LSPdには、柱状部HRf、HRs,HRfd,HRsdが配置されている。
【0234】
複数の柱状部HRfは、階段部LSPdの最上層寄りの一部領域に配置されている。複数の柱状部HRsは、X方向における柱状部HRfが配置される領域と対応して、板状コンタクトLIに隣接する位置に配置されている。
【0235】
複数の柱状部HRfd,HRsdは、階段部LSPdにおける柱状部HRf,HRsよりも下層側の領域に配置されている。複数の柱状部HRfdは、階段部LSPdの下層側の領域に分散して配置され、複数の柱状部HRsdは、階段部LSPdの下層側の領域において、板状コンタクトLIに隣接する位置に配置されている。
【0236】
個々の柱状部HRfdは、下部構造として柱状部LHRgを備え、上部構造として、積層体ULMの高さ位置を積層方向に延びる柱状部UHRmdを備える。柱状部UHRmdは、例えば上述の実施形態の柱状部UHRmと同様、外周側から順に、ダミー層MEd,CNd,CRdを備える。柱状部UHRmdが、ダミー層CPdを備えていてもよい。
【0237】
個々の柱状部HRsdは、下部構造として柱状部LHRsを備え、上部構造として、積層体ULMの高さ位置を積層方向に延びる柱状部UHRsdを備える。柱状部UHRsdは、例えば上述の実施形態の柱状部UHRsと同様、絶縁層59の単体構造を有している。
【0238】
柱状部UHRmd,UHRsdは、XY平面に沿う方向の断面形状として、柱状部LHRg,LHRsと同様、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状をそれぞれ有し、上端部から下端部に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状、あるいは、上端部と下端部との間で最大径および最大面積となるボーイング形状を有する。
【0239】
ただし、柱状部UHRmd,UHRsdのXY平面に沿う方向の平均の断面積または最大の断面積は、柱状部HRfd,HRsdがそれぞれ備える柱状部LHRg,LHRsのXY平面に沿う方向の平均の断面積または最大の断面積よりも小さい。換言すれば、柱状部UHRmd,UHRsdのそれぞれの平均径または最大径は、柱状部LHRg,LHRsの平均径または最大径よりも小さい。
【0240】
柱状部UHRmd,UHRsdがそれぞれ、柱状部LHRg,LHRsよりも小さい径等を有することにより、柱状部UHRmd,UHRsdを形成する際に絶縁層51に形成されるホールは、例えば柱状部LHRg,LHRsを形成する際に積層体LLMに形成される上述のホールLHLよりも高アスペクト比となりうる。
【0241】
したがって、後に柱状部UHRmd,UHRsdとなるホールを形成する際のホール底のエッチング反応の鈍化等によって、柱状部UHRmd,UHRsdのそれぞれの下端部が柱状部LHRg,LHRsまで到達していなくともよい。
【0242】
これにより、後に柱状部UHRmdとなるホール形成時の柱状部LHRg上端部のリセス量を低減し、ダミー層CTd等を有する柱状部UHRmdの下端部が、積層体LLMの上層部分の高さ位置にまで到達してしまうことが抑制される。
【0243】
以上のように、上下部構造のXY断面積を異ならせた場合であっても、積層体LMの積層方向から見て、柱状部UHRmdと柱状部LHRgとの中心軸、及び柱状部UHRsdと柱状部LHRsとの中心軸は、略一致している。
【0244】
なお、柱状部HRfdを階段部LSPdに配置した場合であっても、上述のように、上部構造のXY断面積が互いに略等しい柱状部HRm,HRf同士が隣接するよう、階段部LSPdの最上層側、つまり、階段部USPとの境界付近に柱状部HRfを配置しておく。これにより、階段部LSPdとの境界部分において、階段部USPに配置される柱状部HRmの加工精度を向上させることができる。
【0245】
変形例1の半導体記憶装置2によれば、複数の柱状部HRfdは、積層体LMの下層側を積層方向に延びる絶縁層57の単体である柱状部LHRgと、柱状部LHRgに対応して、積層体LMの上層側の高さ位置に配置される柱状部UHRmdと、をそれぞれ含む。また、積層体LMの積層方向から見た柱状部LHRgの断面積の最大値は、積層体LMの積層方向から見た柱状部UHRmdの断面積の最大値よりも大きい。
【0246】
上述のリプレース処理において、階段部LSPdは、柱状部HRfd,HRsdのそれぞれの下部構造である柱状部LHRg,LHRsによって支持される。したがって、柱状部LHRg,LHRsのXY断面積が所望の値を有していれば、上部構造である柱状部UHRmd,UHRsdは、上記のように、柱状部LHRg,LHRsとは異なるXY断面積を有していてもよい。
【0247】
また、階段部LSPdにおいては積層体LMの層数が減少しており、積層体LMの沈み込みも比較的生じにくい。したがって、上下部構造のXY断面積を異ならせる場合において、柱状部UHRmdのXY断面積を、上記のように、例えば柱状部LHRgより小さくすることが可能である。これにより、柱状部HRfdの上部構造においてもコンタクトCCとの接触をよりいっそう抑制することができる。
【0248】
変形例1の半導体記憶装置2によれば、その他、上述の実施形態の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0249】
なお、上述の変形例1では、階段部LSPdの最上層側を除く下層側の領域において、板状コンタクトLIと隣接する位置に柱状部HRsdが配置されることとした。しかし、板状コンタクトLIと隣接する位置にも柱状部HRfdを配置して、複数の柱状部HRfdを、階段部LSPdの最上層側を除く全域に分散して配置させてもよい。
【0250】
柱状部HRfdの上部構造である柱状部UHRmdは例えば径が縮小されているため、このような配置を取っても、板状コンタクトLIとの接触を抑制することができる。換言すれば、板状コンタクトLiとの接触が回避されるよう、柱状部UHRmdの径を調整することができる。
【0251】
(変形例2)
次に、図22を用いて、実施形態の変形例2の半導体記憶装置3について説明する。変形例2の半導体記憶装置3は、上述の柱状部HRfに替えて、上下部構造のピッチが異なる柱状部HRfpを備える点が、上述の実施形態とは異なる。
【0252】
なお、以下の図面においては、上述の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0253】
図22は、実施形態の変形例2にかかる半導体記憶装置3の構成の一例を示す図である。
【0254】
より詳細には、図22(a)は階段部LSPpの最上層側の構成の一例を示すY方向に沿う断面図であり、図22(b)は柱状部HRfpの構成の一例を示すY方向に沿う断面図である。図22(a)及び図22(b)においては、絶縁層150下方及び絶縁層53上方の構造が省略されている。
【0255】
図22(c)は、選択ゲート線SGDの高さ位置における積層体LMの一部領域のXY断面図である。
【0256】
変形例2の半導体記憶装置3は、上述の図1に示す実施形態の半導体記憶装置1と概ね同様の概略構成を有する。また、半導体記憶装置3は、メモリ領域MR及び階段部SSP,USPにおいて、上述の実施形態の半導体記憶装置1と同様の構成を有する。
【0257】
図22に示すように、半導体記憶装置3の階段領域SRpには、上述の階段部USP,SSPに加え、積層体LLMに属するワード線WL及び選択ゲート線SGSが階段状に加工された階段部LSPpが含まれる。階段部LSPpには、柱状部HRf、HRs,HRfp,HRspが配置されている。
【0258】
複数の柱状部HRfは、階段部LSPpの最上層寄りの一部領域に配置されている。複数の柱状部HRsは、X方向における柱状部HRfが配置される領域と対応して、板状コンタクトLIに隣接する位置に配置されている。
【0259】
複数の柱状部HRfp,HRspは、階段部LSPpにおける柱状部HRf,HRsよりも下層側の領域に配置されている。複数の柱状部HRfpは、階段部LSPpの下層側の領域に分散して配置され、複数の柱状部HRspは、階段部LSPpの下層側の領域において、板状コンタクトLIに隣接する位置に配置されている。
【0260】
個々の柱状部HRfpは、下部構造として柱状部LHRgを備え、上部構造として、積層体ULMの高さ位置を積層方向に延びる柱状部UHRmpを備える。柱状部UHRmpは、例えば上述の実施形態の柱状部UHRmと同様、外周側から順に、ダミー層MEd,CNd,CRdを備える。柱状部UHRmpが、ダミー層CPdを備えていてもよい。
【0261】
個々の柱状部HRspは、下部構造として柱状部LHRsを備え、上部構造として、積層体ULMの高さ位置を積層方向に延びる柱状部UHRspを備える。柱状部UHRspは、例えば上述の実施形態の柱状部UHRsと同様、絶縁層59の単体構造を有している。
【0262】
柱状部UHRmp,UHRspは、XY平面に沿う方向の断面形状として、柱状部LHRg,LHRsと同様、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状をそれぞれ有し、上端部から下端部に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状、あるいは、上端部と下端部との間で最大径および最大面積となるボーイング形状を有する。
【0263】
ここで、柱状部UHRmp同士、柱状部UHRsp同士、及び柱状部UHRmp,UHRsp間のピッチは、柱状部HRfp,HRspが備える柱状部LHRg同士、柱状部LHRs同士、及び柱状部LHRg,LHRs間のピッチと異なっている。より詳細には、柱状部UHRmp同士、柱状部UHRsp同士、及び柱状部UHRmp,UHRsp間のピッチは、例えば柱状部LHRg同士、柱状部LHRs同士、及び柱状部LHRg,LHRs間のピッチよりも大きい。
【0264】
この場合、積層体LMの積層方向から見て、柱状部UHRmpとこれに対応する柱状部LHRgとの中心軸、及び柱状部UHRspとこれに対応する柱状部LHRsとの中心軸は一致しない。この場合であっても、互いに対となる柱状部UHRmp,LHRg、及び互いに対となる柱状部UHRsp,LHRsを、概ね積層方向に重なる位置に配置することができる。
【0265】
ただし、柱状部UHRmpと柱状部LHRg、あるいは、柱状部UHRspと柱状部LHRsとが接続されていなくともよく、また、これらの上下部構造が1対1に対応していなくともよい。
【0266】
なお、柱状部HRfpを階段部LSPpに配置した場合であっても、上述のように、上部構造のピッチが互いに略等しい柱状部HRm,HRf同士が隣接するよう、階段部LSPpの最上層側、つまり、階段部USPとの境界付近に柱状部HRfを配置しておく。これにより、階段部LSPpとの境界部分において、階段部USPに配置される柱状部HRmの加工精度を向上させることができる。
【0267】
変形例2の半導体記憶装置3によれば、複数の柱状部HRfpは、積層体LMの下層側を積層方向に延びる絶縁層57の単体である柱状部LHRgと、柱状部LHRgに対応して、積層体LMの上層側の高さ位置に配置される柱状部UHRmpと、をそれぞれ含む。また、積層体LMの積層方向から見た柱状部LHRg間のピッチと、積層体LMの積層方向から見た柱状部UHRmp間のピッチとは異なる。
【0268】
上述のリプレース処理において、階段部LSPpは、柱状部HRfp,HRspのそれぞれの下部構造である柱状部LHRg,LHRsによって支持される。したがって、柱状部LHRg,LHRsのピッチが所望の間隔を有していれば、上部構造である柱状部UHRfp,UHRspは、上記のように、柱状部LHRg,LHRsとはそれぞれ異なるピッチを有していてもよい。これにより、柱状部UHRfp,UHRspの配置の自由度を向上させることができる。
【0269】
変形例2の半導体記憶装置3によれば、積層体LMの積層方向から見た柱状部UHRfp間のピッチは、積層体LMの積層方向から見た柱状部LHRg間のピッチよりも大きい。これにより、柱状部UHRfpとコンタクトCCとの接触がいっそう抑制される。
【0270】
変形例2の半導体記憶装置3によれば、その他、上述の実施形態の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0271】
(変形例3)
次に、図23及び図24を用いて、実施形態の変形例3の半導体記憶装置4について説明する。変形例3の半導体記憶装置4は、上述の柱状部HRfに替えて、上部構造を有さない柱状部LHRgを備える点が、上述の実施形態とは異なる。
【0272】
なお、以下の図面においては、上述の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0273】
図23は、実施形態の変形例3にかかる半導体記憶装置4の構成の一例を示す図である。
【0274】
より詳細には、図23(a)は階段部LSPnの最上層側の構成の一例を示すY方向に沿う断面図であり、図23(b)は柱状部LHRgの構成の一例を示すY方向に沿う断面図である。図23(a)及び図23(b)においては、絶縁層150下方及び絶縁層53上方の構造が省略されている。
【0275】
図23(c)は、選択ゲート線SGDの高さ位置における積層体LMの一部領域のXY断面図である。
【0276】
変形例3の半導体記憶装置4は、上述の図1に示す実施形態の半導体記憶装置1と概ね同様の概略構成を有する。また、半導体記憶装置4は、メモリ領域MR及び階段部SSP,USPにおいて、上述の実施形態の半導体記憶装置1と同様の構成を有する。
【0277】
図23に示すように、半導体記憶装置4の階段領域SRnには、上述の階段部USP,SSPに加え、積層体LLMに属するワード線WL及び選択ゲート線SGSが階段状に加工された階段部LSPnが含まれる。階段部LSPnには、柱状部HRf、HRs、及び上部構造を有さない柱状部LHRg,LHRsが配置されている。
【0278】
複数の柱状部HRfは、階段部LSPnの最上層寄りの一部領域に配置されている。複数の柱状部HRsは、X方向における柱状部HRfが配置される領域と対応して、板状コンタクトLIに隣接する位置に配置されている。
【0279】
上部構造を有さない複数の柱状部LHRgは、階段部LSPnにおける柱状部HRf,HRsよりも下層側の領域に分散して配置されている。
【0280】
ここで、個々の柱状部LHRgは、例えば上述の実施形態の柱状部HRfの下部構造である柱状部LHRgと同様の構成を有する一方、上述の実施形態の柱状部HRfとは異なり、積層体ULMの高さ位置を積層方向に延びる上部構造を有していない。
【0281】
すなわち、変形例3における上部構造を有さない柱状部LHRgは、絶縁層57の単体構造を有し、積層体LLMの上面の高さ位置に上端部を備えている。換言すれば、変形例3の半導体記憶装置4において、階段部LSPnの最上層側を除く下層側の領域に配置された柱状部LHRgは、その上端部が積層体ULMの底面と対応する高さに位置している。
【0282】
上部構造を有さない複数の柱状部LHRsは、階段部LSPnにおける柱状部HRf,HRsよりも下層側の領域において、板状コンタクトLIに隣接する位置に配置されている。
【0283】
ここで、個々の柱状部LHRsは、例えば上述の実施形態の柱状部HRsの下部構造である柱状部LHRsと同様の構成を有する一方、上述の実施形態の柱状部HRsとは異なり、積層体ULMの高さ位置を積層方向に延びる上部構造を有していない。
【0284】
すなわち、変形例3の上部構造を有さない柱状部LHRsは、絶縁層58の単体構造を有し、積層体LLMの上面の高さ位置に上端部を備えている。
【0285】
図24は、実施形態の変形例3にかかる半導体記憶装置4の製造方法の手順の一部を例示するX方向に沿う断面図である。
【0286】
変形例3の半導体記憶装置4においても、例えば上述の実施形態の半導体記憶装置1と同様、図4(a)~図9(b)までの処理を行うことができる。
【0287】
図24(a)は、上述の図9(b)と同様、積層体LMの下部構造となる積層体LLMsに、階段部LSPs、ピラーPLc、及び柱状部HRc,LHRgが形成され、積層体LMの上部構造となる積層体ULMsに形成された階段部USPs,SSPsが絶縁層51に覆われた状態を示す。なお、図示はしないが、この時点で、階段部USPs,LSPsにおいて、後に板状コンタクトLIが形成されることとなる領域に隣接して、複数の柱状部LHRsが形成済みであってもよい。
【0288】
図24(b)に示すように、積層体ULMsの高さ位置を積層方向に延びる複数のメモリホールUMH及び複数のホールUHLを例えば一括形成する。メモリホールUMHは、積層体ULMsを貫通してピラーPLcの上端部に到達する。ホールUHLは、絶縁層51及び積層体ULMsを貫通して柱状部HRcまたは柱状部LHRgの上端部に到達する。ホールUHLは、階段部USPsにおいて、柱状部LHRgに加えて、柱状部LHRsの上端部に到達してもよい。このとき、上述の実施形態とは異なり、ホールUHLは、階段部LSPsの最上層側を除き、階段部LSPsの下層側と積層方向に重なる位置には形成されない。
【0289】
図24(c)に示すように、複数のメモリホールUMH及び複数のホールUHLを介して、これらの底面に露出するピラーPLc及び柱状部HRcに充填された犠牲層26を、酸素プラズマを用いたアッシング等により除去する。これにより、複数のメモリホールMH及び複数のホールHLが形成される。下端部が柱状部LHRg,LHRsに接続される一部のホールUHLはそのまま残存する。
【0290】
これ以降、上述の実施形態と同様、階段部USPsに残存するホールUHL内などに絶縁層59を充填して、後に板状コンタクトLIと隣接することとなる階段部USPsの領域などに複数の柱状部HRsを形成する。
【0291】
また、メモリホールMH内、及び階段部USPs,SSPsのホールHLと階段部LSPsの最上層側の領域のホールUHL内に、多層絶縁層MEb、半導体層CNb、及び絶縁層CRbを形成するなどして、ピラーPL及び柱状部HRm,HRfを形成する。このとき、階段部LSPsの最上層側の一部領域には柱状部HRfが形成される。
【0292】
その後も、上述の実施形態と同様の処理が行われ、変形例3の半導体記憶装置4が製造される。
【0293】
変形例3の半導体記憶装置4によれば、上部構造を有さない複数の柱状部LHRgは、積層体LMの上層側の底面と対応する高さ位置にそれぞれ上端部を有する絶縁層57の単体である。
【0294】
上述のリプレース処理において、階段部LSPnは、専ら積層体LLMsの高さ位置に配置される柱状部LHRgによって支持される。したがって、階段部LSPnに配置される柱状部LHRgに対応して、積層体ULMの高さ位置に配置される上部構造を有していなくともよい。
【0295】
また、階段部LSPnにおいて、柱状部LHRgが上部構造を有さないことにより、コンタクトCCとの接触がよりいっそう抑制される。
【0296】
変形例3の半導体記憶装置4によれば、複数の柱状部HRfが、複数の柱状部HRm,LHRgの間に配置されている。これにより、後に柱状部HRmとなるホールUHLを階段部USPsに形成する際、階段部LSPsと隣接する領域において、ホールUHLの開口不良等を抑制することができ、柱状部HRmの加工精度を向上させることができる。
【0297】
(その他の変形例)
上述の実施形態および変形例1~3では、階段領域SR,SRd、SRp,SRnが、積層体LMのX方向両端部に配置されることとした。しかし、積層体の中央部を階段状に掘り下げることで、積層方向から見た積層体の中央部に階段領域を配置してもよい。このような階段領域においても、上述の実施形態および変形例1~3の構成を適用することができる。
【0298】
また、上述の実施形態および変形例1~3では、ピラーPLは、チャネル層CNの側面でソース線SLと接続していることとしたが、これに限られない。例えばピラー底面のメモリ層を除去してチャネル層の下端部でソース線と接続するようにピラーを構成してもよい。
【0299】
また、上述の実施形態および変形例1~3では、積層体LMは、2つの積層体LLM,ULMを含む2Tier構造を有することとした。しかし、積層体のTier数は3Tier以上であってもよい。この場合、1Tier及び2Tierに、上述の実施形態および変形例1~3の柱状部HRf、HRfd、HRfp,LHRgのいずれかの構造を有する柱状部を配置し、3Tier以降は、柱状部UHRmと同様の構成を有する柱状部を積み上げていくことができる。
【0300】
また、上述の実施形態および変形例1~3では、積層体LMの上方に周辺回路CBAを配置することとした。しかし、周辺回路は、積層体の下方または積層体と同じ階層に配置されてもよい。
【0301】
周辺回路を積層体の下方に配置する場合には、例えば絶縁層で覆われた周辺回路を有する半導体基板の絶縁層上に、ソース線および積層体を形成することができる。周辺回路を積層体と同じ階層に配置する場合には、周辺回路が形成される半導体基板上の周辺回路とは異なる位置に、積層体を形成することができる。
【0302】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0303】
1~4…半導体記憶装置、CC…コンタクト、HRf,HRfd,HRfp,HRm,HRs,LHRg,LHRs,UHRm,UHRmd,UHRmp,UHRs,UHRsd,UHRsp…柱状部、LI…板状コンタクト、LLM,LLMg,LLMs,LM,ULM,ULMg,ULMs…積層体、MC…メモリセル、MR…メモリ領域、NL,OL…絶縁層、51,57,58,59…絶縁層、PL…ピラー、LSP,LSPd,LSPn,LSPp,SSP,USP…階段部、SR,SRd,SRn,SRp…階段領域、SGD,SGS…選択ゲート線、ST…スリット、WL…ワード線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
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図19
図20
図21
図22
図23
図24