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特開2024-130074道路照明装置および道路照明システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130074
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】道路照明装置および道路照明システム
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240920BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240920BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20240920BHJP
   F21W 131/103 20060101ALN20240920BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240920BHJP
【FI】
F21S2/00 350
F21V23/00 113
F21V23/00 140
F21V31/00 100
F21S2/00 311
F21S2/00 600
F21W131:103
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039580
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】矢野 彰太
(72)【発明者】
【氏名】谷口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】安宅 脩
(72)【発明者】
【氏名】岡田 晃夫
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014GA03
3K014NA02
(57)【要約】
【課題】道路照明装置の設置台数の削減を図りながらも照射光の照射範囲を十分に確保することができる道路照明装置および道路照明システムを提供する。
【解決手段】装置本体2の内部に、対称配光ユニット5およびプロビーム配光ユニット6を収容する。対称配光ユニット5は、LEDモジュールから発せられた光を道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光として道路に照射する。プロビーム配光ユニット6は、LEDモジュールから発せられた光を道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光として道路に照射する。これにより、照射光の照射範囲を道路の縦断方向に拡大させることができ、照射光の照射範囲を十分に確保しながらも道路照明装置の設置台数を削減することができ、道路照明装置の設置作業工数の削減、保守点検箇所の削減、消費電力の削減を図ることができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の横断方向の一方側または両側に複数台設置され、筐体と、前記筐体の内部に収容された光源とを備え、前記光源から発せられた光を前記道路に向けて照射する道路照明装置において、
前記光源は、前記道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第1光源と、前記道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第2光源との両方を有していることを特徴とする道路照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の道路照明装置において、
前記第2光源から発光された照射光の主たる照射方向は、前記道路の横断方向に対して前記道路を走行する車両の進行方向に沿う方向に向けられた方向であることを特徴とする道路照明装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の道路照明装置において、
前記筐体の内部には、前記第1光源を発光させるための第1光源制御装置と、前記第2光源を発光させるための第2光源制御装置とがそれぞれ独立した電気回路として収容されていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の道路照明装置において、
前記筐体には前記道路に面して開放された開口部が設けられており、
前記開口部は、前記第1光源から発せられた光を前記道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光として透過させる第1透光カバー、および、前記第2光源から発せられた光を前記道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光として透過させる第2透光カバーによって覆われていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項5】
請求項4記載の道路照明装置において、
前記筐体には、前記第1透光カバーの外縁部および前記第2透光カバーの外縁部に亘って連続するパッキンが設けられており、
前記筐体の前記開口部が前記各透光カバーによって覆われた状態において、前記第1透光カバーの外縁部と前記筐体との間および前記第2透光カバーの外縁部と前記筐体との間それぞれが前記パッキンによってシールされていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項6】
請求項5記載の道路照明装置において、
前記第1透光カバーと前記第2透光カバーとは水平方向において隣接または一体化して配設されており、
前記筐体には、前記第1透光カバーにおける前記第2透光カバー側の端縁部、および、前記第2透光カバーにおける前記第1透光カバー側の端縁部それぞれに対応する位置に境界パッキンが設けられており、
前記筐体の前記開口部が前記各透光カバーによって覆われた状態において、前記第1透光カバーにおける前記第2透光カバー側の端縁部および前記第2透光カバーにおける前記第1透光カバー側の端縁部それぞれが前記境界パッキンに当接されていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項7】
請求項1または2記載の道路照明装置において、
前記筐体の内部には、前記第1光源を含む第1光源ユニットが収容されており、
前記第1光源ユニットには、前記第1光源から発せられた光が前記道路に照射される際の照射範囲の上端位置を規制するシャッタ部材が上下方向の位置調整が可能に設けられていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項8】
請求項1または2記載の道路照明装置において、
前記筐体の内部には、前記第2光源を含む第2光源ユニットが収容されており、
前記第2光源ユニットは、少なくとも3軸方向の取付姿勢が可変となっていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項9】
請求項1または2記載の道路照明装置において、
前記筐体の内部には、前記第1光源を含む第1光源ユニットおよび前記第2光源を含む第2光源ユニットが収容されており、これら第1光源ユニットおよび第2光源ユニットのうち少なくとも一方には前記照射光の配光範囲を拡大または限定させるための光学レンズが設けられていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項10】
請求項1または2記載の道路照明装置において、
前記筐体の内部には、前記第2光源を含む第2光源ユニットが収容されており、
前記第2光源ユニットには、前記第2光源から発せられた照射光の照射範囲の上端位置および前記道路の路肩側の位置を規制する遮光部材が設けられていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項11】
請求項1または2記載の道路照明装置において、
前記各光源の発光の異常を検知する自己診断部と、前記自己診断部によって異常が発生していると診断された場合に異常状態であることを表示する異常診断表示部とを備えていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項12】
請求項4記載の道路照明装置において、
前記第2透光カバーの外周囲には、該第2透光カバーの端面よりも外側に突出した庇部が設けられていることを特徴とする道路照明装置。
【請求項13】
請求項1記載の道路照明装置の複数台を制御する道路照明システムであって、
前記各道路照明装置との間で相互通信が可能な制御監視装置には、
前記各道路照明装置に対して監視情報要求信号を発する信号送信部と、
前記各道路照明装置から受信した応答信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が受信した応答信号に応じた通知情報を生成する通知情報生成部とが設けられていることを特徴とする道路照明システム。
【請求項14】
請求項13記載の道路照明システムにおいて、
前記道路照明装置の前記各光源の発光時間を累積する発光時間累積部と、
前記発光時間累積部によって累積された前記発光時間が所定時間に達した前記道路照明装置が存在する場合に、当該道路照明装置の個体情報と寿命警告情報とを関連付けた通知情報を生成する寿命通知情報生成部とを備えていることを特徴とする道路照明システム。
【請求項15】
請求項13または14記載の道路照明システムにおいて、
前記複数台の道路照明装置は前記道路の縦断方向に沿う方向において所定間隔を存して設置されており、
前記複数台の道路照明装置のうち何れかの道路照明装置において前記第1光源および前記第2光源のうち少なくとも一方の光源の発光が不能となった際、前記道路の縦断方向に沿う方向において当該道路照明装置に隣り合う他の道路照明装置における前記第1光源および前記第2光源のうち少なくとも一方の光源の発光量を増大させるための指令情報を生成する光量指令情報生成部を備えていることを特徴とする道路照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路照明装置および道路照明システムに係る。特に、本発明は、道路の路肩の壁高欄や路側部に設置された架台等に設置される道路照明装置、および、当該道路照明装置の制御等を行う道路照明システムに関する。尚、本明細書でいう「プロビーム」とは、配光が道路の縦断方向に対し、主に車両の進行方向を照射する配光を意味するものとする。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路等に設置される道路照明装置として例えば特許文献1に開示されているようなポール照明方式のものが広く使用されてきた。ところが、この種の道路照明装置にあっては、倒壊のリスクや高所での保守点検作業が煩雑である等といった種々の課題があることから、道路照明装置を低い位置に設置するニーズが高まっている。
【0003】
特許文献2には、道路の路肩の壁高欄等の低い位置に設置される道路照明装置(一般に低位置道路照明装置と呼ばれている)が開示されている。この特許文献2に開示されている道路照明装置は、筐体の内部に発光部および反射鏡を備え、発光部からの光を反射鏡によって道路に向けて照射させ、当該光を道路幅方向(道路の横断方向)に沿って照射する所謂対称配光による照明を行う構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-59365号公報
【特許文献2】特開2021-51902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまでの道路照明装置(対称配光方式の道路照明装置)にあっては、道路において照明が必要な範囲の略全体(例えば車両が走行する領域の略全体)を十分に照明することができていないのが実情であった。図17は、従来の対称配光方式の道路照明装置a,a,…が設置された道路bの平面図であって照射光の照射範囲を一点鎖線で示している。この場合、図中の領域c,c,…は光の照射範囲から外れており照明ができていない。このような光の照射範囲から外れる領域cを無くすための手段として、道路照明装置の狭スパン化(道路の延長方向(縦断方向)に沿う方向での各道路照明装置の設置間隔を短くすること)が挙げられる。つまり、互いに隣り合う道路照明装置同士の間の間隔を短くすることで必要な範囲の略全体を照明することが可能となる。
【0006】
しかしながら、この場合、道路照明装置の設置台数の増加に繋がることになり、道路照明装置の設置作業工数の増加、保守点検箇所の増加、これらに伴うコストの高騰を招くことになってしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、道路照明装置の設置台数の削減を図りながらも照射光の照射範囲を十分に確保することができる道路照明装置および道路照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、道路の横断方向の一方側または両側に設置され、筐体と、前記筐体の内部に収容された光源とを備え、前記光源から発せられた光を前記道路に向けて照射する道路照明装置を前提とする。そして、この道路照明装置は、前記光源として、前記道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第1光源と、前記道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第2光源との両方を有していることを特徴とする。
【0009】
ここでいう「道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第1光源」とは、主たる発光方向が道路の横断方向に沿う方向となっている第1光源である場合、および、第1光源からの光が反射される等して照射光の主たる照射方向が道路の横断方向に沿う方向となる場合の当該第1光源である場合の両方を含む概念である。同様に、ここでいう「道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第2光源」とは、主たる発光方向が道路の縦断方向に向けられた方向となっている第2光源である場合、および、第2光源からの光が反射される等して照射光の主たる照射方向が道路の縦断方向に向けられた方向となる場合の当該第2光源である場合の両方を含む概念である。また、ここでいう「道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光」とは所謂プロビーム照明での照射光および所謂カウンタビーム照明での照射光のうちの一方または両方を含む概念である。
【0010】
本解決手段によれば、道路照明装置からの照射光によって道路を照明するに当たり、第1光源から発せられた光は、道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光として道路を照明する。また、第2光源から発せられた光は、道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光として道路を照明する。これにより、従来の対称配光方式の道路照明装置に比べて、照射光の照射範囲を道路の縦断方向に拡大させることができる。つまり、従来技術において光の照射範囲から外れていた領域を、第2光源から発せられた光によって照明することが可能となる。このため、道路照明装置の狭スパン化を必要とすることなく、照射光の照射範囲を十分に確保することが可能となる。その結果、道路照明装置の設置台数の削減に伴って、道路照明装置の設置作業工数の削減、保守点検箇所の削減、消費電力の削減、これらに伴うコストの削減を図ることができ、また、倒壊のリスクを大幅に低減できる。
【0011】
また、前記第2光源から発光された照射光の主たる照射方向は、前記道路の横断方向に対して前記道路を走行する車両の進行方向に沿う方向に向けられた方向である。
【0012】
本解決手段によれば、第2光源から発せられた光の一部は、道路を走行する車両の背面に向けて照射されることになり、後続車両の運転者による先行車両の視認性の向上を図ることができる。これにより、道路に対する照射光の照射範囲の拡大と先行車両の視認性の向上により、交通安全に大きく寄与する道路照明装置を提供することができる。
【0013】
また、前記筐体の内部には、前記第1光源を発光させるための第1光源制御装置と、前記第2光源を発光させるための第2光源制御装置とがそれぞれ独立した電気回路として収容されている。
【0014】
これによれば、第1光源制御装置および第2光源制御装置のうち一方の制御装置に断線等が生じて当該制御装置上の光源が発光できない不点灯状態が発生した場合であっても他方の光源の発光が可能であり、両光源が発光できない全不点灯状態を回避することができる。これにより、道路の照明を、少なくとも一方の光源が発光状態となることで維持することができ、継続的に交通安全に寄与することができる。
【0015】
また、前記筐体には前記道路に面して開放された開口部が設けられており、前記開口部は、前記第1光源から発せられた光を前記道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光として透過させる第1透光カバー、および、前記第2光源から発せられた光を前記道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光として透過させる第2透光カバーによって覆われている。
【0016】
第1光源に対応する透光カバー(第1透光カバー)と第2光源に対応する透光カバー(第2透光カバー)とを個別のものとした場合、第1透光カバーの構成材料と第2透光カバーの構成材料とを必要に応じて別の材料とすることができる。例えば第1透光カバーをガラス製とし第2透光カバーを樹脂製とした場合、第2透光カバーの形状を第1透光カバーの形状に比べて複雑化することが可能となり、第2透光カバーの設計自由度を向上することができる。
【0017】
この場合、前記筐体には、前記第1透光カバーの外縁部および前記第2透光カバーの外縁部に亘って連続するパッキンが設けられており、前記筐体の前記開口部が前記各透光カバーによって覆われた状態において、前記第1透光カバーの外縁部と前記筐体との間および前記第2透光カバーの外縁部と前記筐体との間それぞれは前記パッキンによって雨水や塵等の浸入が防止されている。
【0018】
これにより、第1透光カバーの外縁部と筐体との間や第2透光カバーの外縁部と筐体との間からの装置内へ雨水や塵等の浸入を防止することができる。
【0019】
更に、前記第1透光カバーと前記第2透光カバーとは水平方向において隣接または一体化して配設されており、前記筐体には、前記第1透光カバーにおける前記第2透光カバー側の端縁部、および、前記第2透光カバーにおける前記第1透光カバー側の端縁部それぞれに対応する位置に境界パッキンが設けられており、前記筐体の前記開口部が前記各透光カバーによって覆われた状態において、前記第1透光カバーにおける前記第2透光カバー側の端縁部および前記第2透光カバーにおける前記第1透光カバー側の端縁部それぞれが前記境界パッキンに当接されている。
【0020】
これにより、第1透光カバーと第2透光カバーとの境界部分(第1透光カバーにおける第2透光カバー側の端縁部と第2透光カバーにおける第1透光カバー側の端縁部)が境界パッキンによってシールされており、これによっても筐体の内部への雨水や塵等の浸入を防止することができる。
【0021】
前記筐体の内部には、前記第1光源を含む第1光源ユニットが収容されており、前記第1光源ユニットには、前記第1光源から発せられた光が前記道路に照射される際の照射範囲の上端位置を規制するシャッタ部材が上下方向の位置調整が可能に設けられている。
【0022】
第1光源から発せられた光は、道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光となるため、この照射光の照射範囲が車両の運転者の視線高さを含んでいる場合には、当該運転者は眩しさを感じてしまうことがある。この点に鑑み、本解決手段では、上下方向の位置調整が可能なシャッタ部材を第1光源ユニットに設けることにより、照射光の照射範囲の上端位置を規制できるようにし、この位置調整によって、照射光の照射範囲を車両の運転者の視線高さよりも低い位置に設定できるようになっていてもよい。これにより、運転者に眩しさを感じさせることのない照射光を照射することが可能になる。
【0023】
また、前記筐体の内部には、前記第2光源を含む第2光源ユニットが収容されており、前記第2光源ユニットは、少なくとも3軸方向の取付姿勢が可変できるようになっている。
【0024】
第2光源ユニットの姿勢を例えば鉛直軸周りで変更することにより、第2光源から発せられた光の照射方向(道路の縦断方向に向けられた方向)の角度調整が可能となる。これにより、道路の縦断方向に向けられた方向の照射光の照射範囲の適正化を図ることができる。例えば照射範囲の外側端を道路の路肩の外側線(白線)に位置合わせするようにすれば、外側線と該外側線よりも外側の路肩とのコントラストが大きく得られ、当該外側線を強調させることができ、車両の運転者による外側線の視認性を高め、交通安全性を向上することができる。また、道路外への漏れ光に起因する光害を抑制することができる。例えば、道路照明装置の設置作業にあっては、先ず、第1光源ユニットから発せられる光による道路横断方向の照明効果を良好にするセッティングを行い、その後、第2光源ユニットから発せられる光の照射範囲を調整することになる。この際、第2光源ユニットの姿勢を調整することにより、第1光源ユニットの調整角度の制約を受けることなく、第2光源ユニットから発せられる光の照射範囲を道路の縦断方向における適切な範囲に調整することができる。これにより、第1光源ユニットから発せられる光の照射範囲から外れている領域を、第2光源から発せられた光によって良好に照明することが可能となる。
【0025】
前記筐体の内部には、前記第1光源を含む第1光源ユニットおよび前記第2光源を含む第2光源ユニットが収容されており、これら第1光源ユニットおよび第2光源ユニットのうち少なくとも一方には前記照射光の配光範囲を拡大または限定させるための光学レンズが設けられている。
【0026】
光学レンズによって照射光の配光範囲を拡大させた場合には、道路照明装置を大型化することなく配光範囲を拡大させることができるため、道路照明装置の小型化、および、道路の縦断方向に沿う方向での各道路照明装置の設置間隔の延長化(道路照明装置の広スパン化)を図りながらも、照射光の照射範囲を十分に確保することが可能となる。
【0027】
前記筐体の内部には、前記第2光源を含む第2光源ユニットが収容されており、前記第2光源ユニットには、前記第2光源から発せられた照射光の照射範囲の上端位置および前記道路の路肩側の位置を規制する遮光部材が設けられている。
【0028】
第2光源から発せられた光は、道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光となるため、その照射範囲が必要以上に広い場合には、車両の運転者が眩しさを感じてしまったり、道路外への漏れ光に起因する光害を招いてしまったりすることがある。この点に鑑み、本解決手段では、遮光部材によって、照射光の照射範囲の上端位置および道路の路肩側の位置を規制し、照射光の照射範囲の適正化が図れるようにしている。これにより、車両の運転者が眩しさを感じてしまったり、道路外への漏れ光に起因する光害を招いてしまったりすることを抑制できる。
【0029】
また、道路照明装置は、前記各光源の異常を検知する自己診断部と、前記自己診断部によって異常が発生していると診断された場合に異常状態であることを表示する異常診断表示部とを備えている。
【0030】
これによれば、少なくとも一方の光源に異常が発生した場合、道路照明装置に備えられた異常診断表示部に異常であることの表示がなされることになる。このため、道路照明装置の保守点検作業に際しては、日中の作業時(各光源が消灯されている状態)であっても、この異常の表示がなされているか否かを確認することにより、異常が発生する状態であるか否か(夜間になった際に各光源が発光されない状態であるか否か)を容易に把握することができる。
【0031】
また、前記第2透光カバーの外周囲には、該第2透光カバーの端面よりも外側に突出した庇部が設けられている。
【0032】
これによれば、降雨時に、第2透光カバーが降雨を直接受けることがないような構成とすることができる。
【0033】
また、前述した道路照明装置の複数台の制御や監視に供される道路照明システムも本発明の技術的思想の範疇である。具体的には、前記各道路照明装置との間で相互通信が可能な制御監視装置に、前記各道路照明装置に対して監視情報要求信号を発する信号送信部と、前記各道路照明装置から受信した応答信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部が受信した応答信号に応じた通知情報を生成する通知情報生成部とが設けられた構成となっている。
【0034】
この道路照明システムによれば、監視情報要求信号に応じた各道路照明装置からの応答信号に応じた通知情報が管理者に提供されることによって、複数台の道路照明装置それぞれの状態を監視(例えば、不点灯等の異常や車両との接触事故による損傷故障等を監視)することができる。つまり、各道路照明装置の設置場所まで出向くことなく各道路照明装置それぞれの状態を監視することができる。このため、保守点検作業の高効率化を図ることができる。
【0035】
また、道路照明システムは、前記道路照明装置の前記各光源の発光時間を累積する発光時間累積部と、前記発光時間累積部によって累積された前記発光時間が所定時間に達した前記道路照明装置が存在する場合に、当該道路照明装置の個体情報と寿命警告情報とを関連付けた通知情報を生成する寿命通知情報生成部とを備えている。
【0036】
この場合、発光時間累積部は、各道路照明装置に備えられていてもよいし、制御監視装置に備えられていてもよい。
【0037】
本解決手段によれば、発光時間が所定時間に達したことで光源等の寿命が近い道路照明装置を自動的に抽出し、その情報を管理者に提供することが可能になる。これによっても道路照明装置の取替工事の必要性を認識できる様になるなど、設備保守の効率化を図ることができる。
【0038】
また、道路照明システムは、前記道路の縦断方向に沿う方向において所定間隔を存して設置された複数台の道路照明装置のうち何れかの道路照明装置において前記第1光源および前記第2光源のうち少なくとも一方の光源の発光が不能となった際、前記道路の縦断方向に沿う方向において当該道路照明装置に隣り合う他の道路照明装置における前記第1光源および前記第2光源のうち少なくとも一方の光源の発光量を増大させるための指令情報を生成する光量指令情報生成部を備えている。
【0039】
これによれば、光源の発光が不能となったことで照明できなくなった道路の所定領域に対し、隣り合う他の道路照明装置からの照射光を照射することが可能となり、当該所定領域を良好に照明することができる。つまり、一部の道路照明装置に不具合が生じた場合であっても他の道路照明装置によって道路の照明を補完することにより、交通安全に寄与することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明では、道路照明装置の筐体の内部に、道路の横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第1光源と、道路の縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光を発光するための第2光源とを収容した構成としている。これにより、照射光の照射範囲を道路の縦断方向に拡大させることができ、道路照明装置の狭スパン化を必要とすることなく、従来技術において光の照射範囲から外れていた領域を照明することが可能となる。その結果、照射光の照射範囲を十分に確保しながらも道路照明装置の設置台数を削減することができ、道路照明装置の設置作業工数の削減、保守点検箇所の削減、消費電力の削減、これらに伴うコストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】実施形態に係る道路照明装置の設置状態を示す図である。
図2】実施形態に係る道路照明装置の斜視図である。
図3】実施形態に係る道路照明装置の正面図である。
図4】実施形態に係る道路照明装置の右側面図である。
図5】実施形態に係る道路照明装置の左側面図である。
図6】各透光カバーを取り外して道路照明装置の内部を示した斜視図である。
図7】各透光カバーを取り外して道路照明装置の内部を示した正面図である。
図8】各透光カバーを取り外して道路照明装置の内部を示した右側面図である。
図9】本体ケースと右側板との接続部分を拡大して示す斜視図である。
図10】本体ケースと左側板との接続部分を拡大して示す斜視図である。
図11図3におけるXI-XI線に沿った断面図である。
図12】プロビーム配光ユニットを示す斜視図である。
図13】実施形態に係る道路照明装置から照射される照射光を説明するための平面図である。
図14】各配光ユニットにおける結線図である。
図15】実施形態に係る道路照明装置が設置された道路の平面図であって照射光の照射範囲を一点鎖線で示す図である。
図16】各道路照明装置および制御監視装置によって構成される道路照明システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
図17】従来の対称配光方式の道路照明装置が設置された道路の平面図であって照射光の照射範囲を一点鎖線で示す図である。
図18】従来のポール照明方式の道路照明装置が設置された道路の平面図であって照射光の照射範囲を一点鎖線で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、光源としてLED(Light Emitting Diode)を使用した道路照明装置を例に挙げて説明する。尚、光源としてはLEDに限定されるものではない。
【0043】
図1は、本実施形態に係る道路照明装置1の設置状態を示す図である(この図1では道路照明装置1に接続される電線や通信線については省略している)。この図1に示すように、本実施形態に係る道路照明装置1は、道路(例えば高速道路)Rの路肩に設置されている壁高欄WRの上部や路側部に設置された架台等の上部に、道路Rの縦断方向に沿う方向において所定間隔を存して複数設置されている。以下では、道路照明装置1が壁高欄WRの上部に設置された場合を例に挙げて説明する。各道路照明装置1,1,…は、道路Rを照明するための光を当該道路Rに向けて照射するものであり、道路Rの横断方向の一方側または両側に設置されている。この道路Rに向けて照射される照射光については後述する。また、各道路照明装置1,1,…は、後述する制御監視装置100(図16を参照)との間で相互通信を行うようになっている。各道路照明装置1,1,…と制御監視装置100との間での通信形態についても後述する。
【0044】
-道路照明装置の構成-
図2図5は、本実施形態に係る道路照明装置1を示す図であって、図2は斜視図であり、図3は正面図であり、図4は右側面図であり、図5は左側面図である。また、図6図8は、各透光カバー3,4を取り外して道路照明装置1の内部を示す図であって、図6は斜視図であり、図7は正面図であり、図8は右側面図である。
【0045】
以下の説明では、道路照明装置1の長手方向をX方向とし、壁高欄WRの上部に設置された状態における車両の進行方向に沿う方向をX1方向と呼び、車両の進行方向とは反対方向をX2方向と呼ぶこととする。また、壁高欄WRの上部に設置された状態における道路Rの横断方向(道路Rの縦断方向に直交する水平方向)をY方向とし、壁高欄WRの上部に設置された状態における道路Rに向かう方向をY1方向と呼び、道路Rに向かう方向とは反対方向をY2方向と呼ぶこととする。また、壁高欄WRの上部に設置された状態における鉛直方向をZ方向とし、上方向をZ1方向と呼び、下方向をZ2方向と呼ぶこととする。
【0046】
図2図8に示すように、道路照明装置1は、装置本体(筐体)2、フロント透光カバー(第1透光カバー)3、サイド透光カバー(第2透光カバー)4、対称配光ユニット(第1光源ユニット)5、プロビーム配光ユニット(第2光源ユニット)6、取付脚ユニット7を備えている。
【0047】
(装置本体)
装置本体2は、本体ケース21、該本体ケース21の右側(X1方向側)に取り付けられた右側板22、および、本体ケース21の左側(X2方向側)に取り付けられた左側板23を備えている。
【0048】
本体ケース21は、上板部21a、下板部21b、背面板部21c、開口上縁部21d、開口下縁部21eを有している。上板部21aは、本体ケース21の上部を構成し、Z方向に対して直交する水平方向に延在する。下板部21bは、本体ケース21の底部を構成し、Z方向に対して直交する水平方向に延在する。背面板部21cは、本体ケース21の背面部を構成し、上板部21aの後端(Y2方向側の端部)と下板部21bの後端との間に亘って配設され、Y方向に対して直交する鉛直方向に延在する。
【0049】
開口上縁部21dは、上板部21aの前端(Y1方向側の端部)から下方に所定寸法だけ延在する。開口下縁部21eは、下板部21bの前端から上方に所定寸法だけ延在する。これにより、開口上縁部21dと開口下縁部21eとの間には開口部が設けられている。この開口部は、後述するフロント透光カバー3およびサイド透光カバー4によって覆われており、対称配光ユニット5およびプロビーム配光ユニット6からの照射光は該開口部からフロント透光カバー3およびサイド透光カバー4を透過して外部に(道路Rに向けて)照射されることになる。
【0050】
図9は本体ケース21と右側板22との接続部分を拡大して示す斜視図である。この図9に示すように、開口上縁部21dの下端部には断面が略コ字状とされてY2方向側に凹陥されて成るパッキン装着溝部21fがX方向の全体に亘って形成されている。同様に、開口下縁部21eの上端部にも断面が略コ字状とされてY2方向側に凹陥されて成るパッキン装着溝部21gがX方向の全体に亘って形成されている。これらパッキン装着溝部21f,21gには後述するパッキン11が装着される(図6および図7を参照)。
【0051】
また、図6および図9に示すように、背面板部21cには、本体ケース21の内部空間における対称配光ユニット5の収容空間とプロビーム配光ユニット6の収容空間との境界部分に配設された仕切り金具24が取り付けられている。この仕切り金具24は、センタパッキン取付部24aおよび取付脚24b,24bを有している。センタパッキン取付部24aは、前記境界部分における前記開口部近傍に位置し、Y方向に対して直交する方向に延在するセンタパッキン取付面24c(図9を参照)を有している。取付脚24b,24bは、センタパッキン取付部24aの上部および下部それぞれから背面板部21cに向かって延在し、該背面板部21cにネジ止めされている。図6および図7は、センタパッキン取付部24aのセンタパッキン取付面24cにセンタパッキン(境界パッキン)12が取り付けられた状態を示している。このセンタパッキン12は、センタパッキン取付面24cに取り付けられた状態において、その上端が、パッキン装着溝部21fに装着されているパッキン11の下端に当接し、また、下端が、パッキン装着溝部21gに装着されているパッキン11の上端に当接している。また、このセンタパッキン12は、センタパッキン取付面24cに取り付けられた状態において、その前面(Y1方向側に位置する面)がパッキン11(各パッキン装着溝部21f,21gに装着されているパッキン11)の前面と略面一となっている。
【0052】
右側板22は、図2図4および図9に示すように、本体ケース21の右側端部との間に図示しないパッキンを介在させた状態で該本体ケース21の右側端部に取り付けられている。この右側板22は、本体ケース21の上板部21aに沿う上部22a、本体ケース21の背面板部21cに沿う背面部22b、本体ケース21の下板部21bに沿う下部22cを有している。上部22aの前端部(Y1方向側の端部)、背面部22bの上端部(Z1方向側の端部)および下端部(Z2方向側の端部)、下部22cの前端部(Y1方向側の端部)それぞれが図示しないネジ(タッピングネジ)によって本体ケース21の右側端部に締結されている。尚、この締結部分にはゴム栓RSが嵌め込まれて防水(本体ケース21の内部への水の浸入が防止)されている。
【0053】
このように右側板22は、中央部が開放された形状となっている。つまり、上部22aの下側(Z2方向側)、背面部22bの前側(Y1方向側)、下部22cの上側(Z1方向側)が開口部となっている。この開口部は、後述するサイド透光カバー4によって覆われており、プロビーム配光ユニット6からの照射光は該開口部からサイド透光カバー4を透過して外部に(道路Rに向けて)照射されることになる。
【0054】
図9に示すように、右側板22は、前記上部22a、背面部22bおよび下部22cの内側(上部22aの下側、背面部22bの前側および下部22cの上側)において、これら上部22a、背面部22bおよび下部22cからX1方向に膨出した膨出部22Aを有している。
【0055】
膨出部22Aには、パッキン装着用の溝部22d,22e,22fが設けられている。この溝部22d,22e,22fは、パッキン11を装着するための凹部であって、膨出部22Aの一部の断面が略コ字状とされて構成されている。具体的には、上部22aの延在方向に沿うように延在する上側溝部22d、背面部22bの延在方向に沿うように延在する背面側溝部22e、下部22cの延在方向に沿うように延在する下側溝部22fを含んで連続した溝部22d,22e,22fが構成されている。上側溝部22dは、膨出部22Aの側面(X1方向を向く面)から前面(Y1方向を向く面)に亘って形成されており、この上側溝部22dにおけるX2方向側の端部は、前記本体ケース21の開口上縁部21dに形成されているパッキン装着溝部21fに連続している。同様に、下側溝部22fは、膨出部22Aの側面(X1方向を向く面)から前面(Y1方向を向く面)に亘って形成されており、この下側溝部22fにおけるX2方向側の端部は、前記本体ケース21の開口下縁部21eに形成されているパッキン装着溝部21gに連続している。図6および図8は、これらパッキン装着溝部21f,21gおよび各溝部22d,22e,22fに亘ってパッキン11が装着された状態を示している。
【0056】
また、膨出部22Aには庇部22g,22h,22iが設けられている。この庇部22g,22h,22iは、サイド透光カバー4が降雨を直接受けることがないようにするためのものであって、膨出部22Aの外縁に沿うように当該膨出部22Aの外面(X1方向側に位置する外面)から外側(X1方向側)に突出する板状となっている。具体的には、膨出部22Aの上縁部に沿って延在する上側庇部22g、膨出部22Aの背面側の縁部に沿って延在する背面側庇部22h、膨出部22Aの下縁部に沿って延在する下側庇部22iによって連続した庇部22g,22h,22iが構成されている。
【0057】
左側板23は、図3および図5に示すように、本体ケース21の左側端部との間に図示しないパッキンを介在させた状態で該本体ケース21の左側端部に取り付けられている。この左側板23は、本体ケース21の左側端部の形状に合致した平板で成り、各隅角部それぞれが図示しないネジによって本体ケース21の左側端部に締結されている。尚、この締結部分にもゴム栓RSが嵌め込まれて防水されている。
【0058】
図10は本体ケース21と左側板23との接続部分を拡大して示す斜視図である。この図10に示すように、左側板23には、パッキン装着溝部23a(23f,23g)が設けられている。このパッキン装着溝部23aは、パッキン11を装着するための凹部であって、左側板23の前面部分(Y1方向側に位置する部分)の断面が略コ字状とされて構成されている。このパッキン装着溝部23aにおける上部は、前記本体ケース21の開口上縁部21dに形成されているパッキン装着溝部21fに連続している。同様に、パッキン装着溝部23aにおける下部は、前記本体ケース21の開口下縁部21eに形成されているパッキン装着溝部21gに連続している。図6および図7は、これらパッキン装着溝部23a,21f,21gに亘ってパッキン11が装着された状態を示している。
【0059】
また、左側板23には、当該道路照明装置1に対する給電のための電線や後述する制御監視装置100との間で通信を行うための通信線が挿通される電線管(プリカチューブ)23b,23bが取り付けられている。
【0060】
(フロント透光カバー)
フロント透光カバー3は、対称配光ユニット5から発せられた光を道路Rに向けて照射するために透過させるガラス製の板材である。尚、このフロント透光カバー3は、透光性を有する樹脂製であってもよい。
【0061】
フロント透光カバー3の上下方向(Z方向)の寸法は、前記開口部の上下方向の寸法(開口上縁部21dの下端と開口下縁部21eの上端との間の寸法)よりも僅かに大きく設定されている。これにより、図2および図3に示すように装置本体2にフロント透光カバー3が取り付けられた状態(開口部がフロント透光カバー3によって覆われた状態)では、フロント透光カバー3の上縁部が、開口上縁部21dのパッキン装着溝部21fに装着されているパッキン11に当接し、フロント透光カバー3の下縁部が、開口下縁部21eのパッキン装着溝部21gに装着されているパッキン11に当接している。また、フロント透光カバー3の左右方向(X方向)の寸法は、前記開口部の左右方向の寸法(右側板22と左側板23との間の寸法)よりも所定寸法だけ短く設定されている。具体的には、仕切り金具24におけるX2方向側の端縁位置と左側板23におけるX1方向側の端縁位置との間の間隔寸法よりも僅かに大きく設定されている。これにより、図2および図3に示すように装置本体2にフロント透光カバー3が取り付けられた状態(開口部がフロント透光カバー3によって覆われた状態)では、フロント透光カバー3の左縁部が、左側板23のパッキン装着溝部23aに装着されているパッキン11に当接し、フロント透光カバー3の右縁部(本発明でいう第1透光カバーにおける第2透光カバー側の端縁部)が、センタパッキン取付面24cに取り付けられているセンタパッキン12に当接している。これにより、フロント透光カバー3の外縁部の全周囲と装置本体2との間にパッキン11およびセンタパッキン12が介在されることになり、フロント透光カバー3と装置本体2との間がシールされて、この両者の間から装置本体2の内部への雨水の浸入が防止されている。
【0062】
また、フロント透光カバー3は、上端部が本体ケース21に対して水平軸(X方向の軸)周りに回動自在に装着されている。具体的に、フロント透光カバー3の上縁部の3箇所が、X方向を回動軸とするヒンジ31,31,31を介して開口上縁部21dに支持されている。また、フロント透光カバー3の下縁部の3箇所がラッチ32,32,32によって開口下縁部21eに係合されている。このため、各ラッチ32,32,32の係合状態を解除することにより、ヒンジ31,31,31によるフロント透光カバー3の回動(図3に示す状態から手前側へのフロント透光カバー3の回動)が可能となっており、この回動によってフロント透光カバー3を開放状態(開口部を覆わない状態)とすることができ、これによって道路照明装置1の内部に収容されている各機器の調整やメンテナンスが可能な構成となっている。尚、このフロント透光カバー3としては、その全体が透光性を有しているものには限らず、光を特定の照射範囲に向けて照射させるべく中央部分のみが透光性を有し、それ以外の領域に対して黒色の遮光処理が施されたものとなっていてもよい。
【0063】
(サイド透光カバー)
サイド透光カバー4は、プロビーム配光ユニット6から発せられた光を道路Rに向けて照射するために透過させる樹脂製の部材である。尚、このサイド透光カバー4は、ガラス製であってもよい。
【0064】
サイド透光カバー4は、フロント投光部41およびサイド投光部42を備えている。
【0065】
図2および図4に示すように、フロント投光部41は前面側(Y1方向側)に僅かに張り出した形状となっている。具体的に、フロント投光部41は、図2および図3に示すように、Y方向に対して直交する方向に延在する前面部41a、該前面部41aにおけるX2方向側の縁部から本体ケース21に向けて傾斜する傾斜部41b、該傾斜部41bにおけるX2方向側の縁部から本体ケース21に向けて延在する延在部41cを有している。また、これら前面部41a、傾斜部41bおよび延在部41cの各上端縁に連続して本体ケース21に向けて水平方向に延在する上側水平部41dを有している。また、前面部41a、傾斜部41bおよび延在部41cの各下端縁に連続して本体ケース21に向けて水平方向に延在する下側水平部41eを有している。更に、フロント投光部41は、延在部41c、上側水平部41dおよび下側水平部41eそれぞれに連続し、Y方向に対して直交する方向に延在するフランジ部41f,41g,41hを有している。
【0066】
フロント投光部41は、上下一対のフロント投光部取付金具43a,43bによって本体ケース21に取り付けられている。具体的に、サイド透光カバー4が装置本体2に取り付けられた状態にあっては、延在部41cに連続するフランジ部41f(本発明でいう第2透光カバーにおける第1透光カバー側の端縁部)が、センタパッキン取付面24cに取り付けられているセンタパッキン12に当接している。また、上側水平部41dに連続する上側フランジ部41gが、本体ケース21のパッキン装着溝部21fに装着されたパッキン11に重ね合わされ、その前面側がフロント投光部取付金具43aによって抑えられた状態で、該フロント投光部取付金具43aが本体ケース21の開口上縁部21dにネジ止めされている。同様に、下側水平部41eに連続する下側フランジ部41hが、本体ケース21のパッキン装着溝部21gに装着されたパッキン11に重ね合わされ、その前面側がフロント投光部取付金具43bによって抑えられた状態で、該フロント投光部取付金具43bが本体ケース21の開口下縁部21eにネジ止めされている。これにより、フロント投光部41の各フランジ部41f,41g,41hと装置本体2との間にパッキン11およびセンタパッキン12が介在されることになり、フロント投光部41と装置本体2との間がシールされて、この両者の間から装置本体2の内部への雨水の浸入が防止されている。
【0067】
サイド投光部42は、フロント投光部41における前面部41a、上側水平部41dおよび下側水平部41eに連続し、X方向に対して直交する方向に延在する平板状で成る。
【0068】
図2および図4に示すように、サイド投光部42は、上下一対のサイド投光部取付金具44a,44bによって右側板22に取り付けられている。具体的に、サイド透光カバー4が装置本体2に取り付けられた状態にあっては、サイド投光部42の外縁部が、右側板22の各溝部22d,22e,22fに亘って装着されたパッキン11に重ね合わされ、Y2方向側に位置する隅角部がサイド投光部取付金具44a,44bによって抑えられた状態で、該サイド投光部取付金具44a,44bが右側板22にネジ止めされている。これにより、サイド投光部42と右側板22との間にパッキン11が介在されることになり、サイド投光部42と右側板22との間がシールされて、この両者の間から装置本体2の内部への雨水の浸入が防止されている。
【0069】
(対称配光ユニット)
対称配光ユニット5は、道路Rの横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光を道路Rに向けて照射するためのユニットである。この対称配光ユニット5は、X方向に沿って所定長さを有している。例えばフロント透光カバー3のX方向の長さ寸法よりも僅かに短い寸法を有している。
【0070】
図11は、図3におけるXI-XI線に沿った断面図である。図6図7および図11に示すように、対称配光ユニット5は、LED取付金具51、LED取付板52、LEDモジュール53、反射板54を備えている。
【0071】
LED取付金具51は、例えば背面板部21cに固定された部材である。図11に示すように、このLED取付金具51の背面側には各種機器(各配光ユニット5,6を制御するための機器)が配設されている。図7および図10に示すように、LED取付金具51におけるX2方向側の端部近傍にはモニタランプ(異常診断表示部)51aが配設されている。このモニタランプ51aは、道路照明装置1の自己診断(後述する自己診断部202による自己診断)によって何らかの異常が生じている場合にその異常の種類に応じて点灯または点滅する複数のランプで構成されている。
【0072】
LED取付板52は、LEDモジュール53を支持するための部材であって、LED取付金具51の前面(Y1方向側の面)に取り付けられている。このLED取付板52は、取付板本体52aおよびシャッタ部材52bが一体的に組み付けられて構成されている。
【0073】
図11に示すように、取付板本体52aは、鉛直方向に沿って延在しLED取付金具51に取り付けられる取付部52c、該取付部52cの下端から前方に向かって斜め下方に傾斜する傾斜部52d、該傾斜部52dの前端から下方に所定寸法だけ延在する鉛直部52eを備えている。
【0074】
LEDモジュール53は、LED取付板52の傾斜部52dの下面において該傾斜部52dにおけるX方向の略全体に亘って配設されている。LEDモジュール53は、LED基板53a、該LED基板53aに配置された複数の光源(本発明でいう第1光源)としてのLED素子(図には現れない)、各LED素子が発した光を所定の配光角度や配光方向に調整するための光学レンズ(例えば照射光の配光範囲を拡大または限定させるための樹脂製の光学レンズ)53bを含んで構成されている。光学レンズ53bは、各LED素子が発した光の配光角度や配光方向を規定するものであり、道路照明装置1が設置される道路Rの幅寸法や、道路Rの縦断方向に沿う方向において互いに隣り合う道路照明装置1,1同士の間の間隔に応じて設計されたものである。
【0075】
シャッタ部材52bは、対称配光ユニット5からの照射光における上端位置を規制するための部材であって、鉛直部52eに対して上下方向に沿って位置変更可能な構成となっている。具体的には、鉛直部52eの複数箇所にはネジ孔(円形のネジ孔)が形成されており、シャッタ部材52bには、これらネジ孔に対応する位置に、上下方向を長手方向とする長孔52fが形成されている。これにより、シャッタ部材52bを鉛直部52eに対して上下方向に沿って位置変更が可能な構成となっている。つまり、この位置変更によってシャッタ部材52bの下端位置を可変として照射光の上端位置を規制できるようにしている。このシャッタ部材52bの下端位置の調整によって、対称配光ユニット5からの照射光の照射範囲を車両の運転者の視線高さよりも低い位置に設定することができる。これにより、運転者に眩しさを感じさせることのない照射光を照射することが可能になる。
【0076】
反射板54は、LEDモジュール53の各LED素子から発せられた光を道路Rに向けて反射させるものであり、所定の曲率を有する曲面で構成された反射面54aを有している。この反射面54aの形状は予め実験やシミュレーションによって設計されたものである。
【0077】
以上の如く、対称配光ユニット5にあっては、各LED素子から発せられた光が、光学レンズ53bによって配光角度や配光方向が調整された後、反射板54によって道路Rに向けて反射され、この反射された光の一部がシャッタ部材52bによって遮断された後(照射範囲の上端位置が規制された後)、前記開口部からフロント透光カバー3を透過して道路Rに向けて照射されることになる。
【0078】
(プロビーム配光ユニット)
プロビーム配光ユニット6は、道路Rの縦断方向に向けられた方向(より具体的には、道路Rを走行する車両の進行方向に沿う方向に向けられた方向)を主たる照射方向とする照射光を道路Rに向けて照射するためのユニットである。
【0079】
図12は、プロビーム配光ユニット6を示す斜視図である(この図12では後述するLEDモジュール67を省略している)。この図12に示すようにプロビーム配光ユニット6は、取付台61、調整金具62、中間金具63、レンズユニット取付金具64、レンズユニット65、LEDモジュール67(図6および図7を参照)を備えている。
【0080】
取付台61は、背面板部21cにネジ止めされた部材であり、Z方向に対して直交する方向に延在する取付板部61aを有している。また、図示しないが、この取付台61には、上下方向を長手方向とする長孔が形成されており、これにより、取付台61が背面板部21cに対して上下方向に沿って位置変更可能な構成となっている。これにより、プロビーム配光ユニット6全体が上下方向に沿って位置変更可能となっている。尚、このプロビーム配光ユニット6全体を上下方向に沿って位置変更可能とする構成としては、取付台61に長孔を形成する構成に限らず、その他の部材(調整金具62、中間金具63、レンズユニット取付金具64)に適用されていてもよい。
【0081】
調整金具62は、取付台61の取付板部61aに取り付けられ、X方向に対して直交する方向に延在する取付板部62aを有している。
【0082】
中間金具63は、調整金具62の取付板部62aに取り付けられ、Z方向に対して直交する方向に延在するレンズユニット取付板部63aを有している。このレンズユニット取付板部63aには、レンズユニット取付金具64をネジ止めするためのネジ孔が2箇所(図には現れない)に形成されている。
【0083】
レンズユニット取付金具64は、レンズユニット65を支持する部材であって、Z方向に対して直交する方向に延在する回動板部64aを有している。この回動板部64aには、中間金具63に形成されている各ネジ孔に対応したネジ孔が形成されている。これらネジ孔のうちの一方(図12においてX2寄りの位置に形成されたネジ孔)64bは、他方(図12においてX1寄りの位置に形成されたネジ孔:図12では現れない)を中心とする円弧形状となっている。このため、レンズユニット取付金具64は、中間金具63に対して鉛直軸周りに回動自在となっており(図12における矢印を参照)、これによってレンズユニット65の向きを鉛直軸周りで変更可能となっている。つまり、プロビーム配光ユニット6からの照射光の照射方向(道路Rの縦断方向に向けられた方向)の角度調整が可能となる。
【0084】
レンズユニット65は、図示しないLED素子(本発明でいう第2光源)を備えたLEDモジュール67(図6および図7を参照)の前側(X1方向側)に配設された光学レンズ65aと、これらLEDモジュール67および光学レンズ65aを支持するベース部材65cを備えている。これにより、LEDモジュール67からの光が光学レンズ65aを経てサイド透光カバー4を透過して、道路Rを走行する車両の進行方向に沿う方向に向けられて照射されるようになっている。前述したようにプロビーム配光ユニット6からの照射光の照射方向の角度調整が可能となっているため、道路Rの縦断方向に向けられた方向の照射光の照射範囲の適正化を図ることができる。例えば照射範囲の外側端を道路Rの路肩の外側線(白線)に位置合わせするようにすれば、外側線と該外側線よりも外側の路肩とのコントラストが大きく得られ、当該外側線を強調させることができ、車両の運転者による外側線の視認性を高め、交通安全性を向上することができる。
【0085】
図8に破線で示すように、光学レンズ65aの内部には、LEDモジュール67から発せられた照射光の照射範囲の上端位置および道路Rの路肩側の位置を規制する遮光部材65bが設けられている。この遮光部材65bとしては予め複数枚が準備されており、照射光の照射の規制範囲(上端位置および道路Rの路肩側の位置の範囲)に応じて選択された遮光部材65bが光学レンズ65aの内部に装着されるようになっている。例えばレンズユニット65のベース部材65cや光学レンズ65aに締結されて支持されている。この遮光部材65bの装着作業は、道路照明装置1の製造工程で行われるようになっていてもよいし、道路照明装置1の設置作業時に行われるようになっていてもよい。プロビーム配光ユニット6からの照射光は、道路Rの縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とするものであるため、その照射範囲が必要以上に広い場合には、車両の運転者が眩しさを感じてしまったり、道路R外への漏れ光に起因する光害を招いてしまったりすることがある。この点に鑑み、本実施形態では、光学レンズ65aの内部に遮光部材65bを装着し、この遮光部材65bによって、照射光の照射範囲の上端位置および道路Rの路肩側の位置を規制し、照射光の照射範囲の適正化が図れるようにしている。これにより、車両の運転者が眩しさを感じてしまったり、道路R外への漏れ光に起因する光害を招いてしまったりすることを抑制できる。
【0086】
(取付脚ユニット)
取付脚ユニット7は、道路照明装置1を壁高欄WRの上部に取り付けるためのユニットである。図2および図3に示すように、取付脚ユニット7は、装置本体2の下板部21bの下面における左寄りの位置および右寄りの位置にそれぞれ取り付けられている。各取付脚ユニット7の構成は略同一(左右対称)である。
【0087】
取付脚ユニット7は、第1部材71と第2部材72とを備えて成る。
【0088】
第1部材71は水平部71aと鉛直部71bとを有する略L型の部材で成る。水平部71aは装置本体2の下板部21bの下面にボルトによって締結されている。鉛直部71bは、水平部71aにおけるX方向の外側端から下方に所定寸法だけ延在している。
【0089】
第2部材72は、鉛直部72aと上下一対の水平部72b,72cとが一体となった構成となっている。鉛直部72aは、第1部材71の鉛直部71bに重ね合わされ、該鉛直部71bにボルトによって締結されている。各水平部72b,72cは、鉛直部72aにおける上下方向の中間位置および下端位置それぞれから水平方向外側に向けて所定寸法だけ延在している。
【0090】
第2部材72の鉛直部72aに形成されているボルト挿通孔72d,72dは上下方向を長手方向とする長孔となっている(図5を参照)。これにより、第2部材72に対する第1部材71の上下方向での相対位置や傾きを変更した状態でこれら第1部材71と第2部材72とが締結可能な構成となっている。
【0091】
例えば第1部材71を第2部材72に対して前傾姿勢にして締結した場合には、道路照明装置1の全体も前傾姿勢となり、各配光ユニット5,6から道路Rに向けて照射される光の照射方向は、この前傾姿勢の角度に応じて下向きにすることができる。つまり、各配光ユニット5,6から道路Rに向けて照射される光の主たる照射方向をX軸周りで調整することが可能となっている。
【0092】
また、左側の取付脚ユニット7において第2部材72に対する第1部材71の締結高さ位置と、右側の取付脚ユニット7において第2部材72に対する第1部材71の締結高さ位置とを異ならせた場合には、プロビーム配光ユニット6から道路Rに向けて照射される光の照射方向は、これら締結高さ位置の差に応じて上下方向での向きを変更することができる。つまり、プロビーム配光ユニット6から道路Rに向けて照射される光の主たる照射方向をY軸周りで調整することが可能となっている。
【0093】
このように取付脚ユニット7によるX軸周りおよびY軸周りでの調整、および、前述したレンズユニット65の鉛直軸(Z軸)周りでの調整が可能となっており、プロビーム配光ユニット6は3軸方向の取付姿勢が可変となっている。
【0094】
(照射光の照射範囲)
図13は、前述の構成とされた道路照明装置1から照射される照射光を説明するための平面図である。図13では、対称配光ユニット5から照射される照射光の範囲を一点鎖線で示し、プロビーム配光ユニット6から照射される照射光の範囲を二点鎖線で示している。
【0095】
図13に示すように、対称配光ユニット5から照射される照射光は、道路Rの横断方向(図13におけるY1方向)に沿う方向が主たる照射方向となっており、LEDモジュール53に備えられた光学レンズ65aによって配光角度が所定角度に規定されたものとなっている。一方、プロビーム配光ユニット6から照射される照射光は、道路Rの縦断方向に向けられた方向(図13にあってはX1方向)が主たる照射方向となっており、レンズユニット65に備えられた光学レンズ65aによって配光角度が所定角度に規定されたものとなっている。そして、これら対称配光ユニット5から照射される照射光の照射範囲およびプロビーム配光ユニット6から照射される照射光の照射範囲は互いに隣接するように設定されており、道路Rの横断方向および該道路Rの縦断方向に向けられた方向の広範囲に亘るものとなっている。尚、対称配光ユニット5から照射される照射光の照射範囲とプロビーム配光ユニット6から照射される照射光の照射範囲とが部分的に重なり合うようにそれぞれの照射範囲が規定されていてもよい。
【0096】
-電気系および制御系-
次に、各配光ユニット5,6の電気系および制御系について簡単に説明する。図14は各配光ユニット5,6における結線図である。この図14に示すように、本実施形態に係る道路照明装置1にあっては、対称配光ユニット5とプロビーム配光ユニット6とがそれぞれ独立した電気回路となっている。図14において破線5Aで囲んだ範囲が対称配光ユニット5における対称配光回路(第1光源制御装置)であり、図14において破線6Aで囲んだ範囲がプロビーム配光ユニット6におけるプロビーム配光回路(第2光源制御装置)である。具体的に、対称配光回路5Aは、対称配光用のLEDモジュール用制御装置55および前記LEDモジュール53を備えている。一方、プロビーム配光回路6Aは、プロビーム配光用のLEDモジュール用制御装置66およびLEDモジュール67を備えている。
【0097】
具体的には、電源用端子台80から電源スイッチ81を介して給電ラインがそれぞれLEDモジュール用制御装置66および制御基板82に接続されている。そして、プロビーム配光回路6Aにあっては、LEDモジュール用制御装置66にLEDモジュール67が電線によって接続されている。また、LEDモジュール用制御装置66は、制御用端子台83に接続された制御基板82に接続され、制御信号に応じてLEDモジュール67の制御を行う構成となっている。以上の構成により、プロビーム配光用のLEDモジュール67への給電および該プロビーム配光用のLEDモジュール67の点灯/消灯の切り替え制御や調光制御が可能な構成となっている。
【0098】
一方、対称配光回路5Aにあっては、制御基板82を経た給電および制御のための電線がLEDモジュール用制御装置55およびLEDモジュール53の順に接続されている。以上の構成により、対称配光用のLEDモジュール53への給電および該対称配光用のLEDモジュール53の点灯/消灯の切り替え制御や調光制御が、前述したプロビーム配光用のLEDモジュール67への給電および該プロビーム配光用のLEDモジュール67の点灯/消灯の切り替え制御とは独立して実施可能な構成となっている。
【0099】
このように対称配光ユニット5(対称配光回路5A)とプロビーム配光ユニット6(プロビーム配光回路6A)とがそれぞれ独立した電気回路として構成されていることにより、一方のユニットの回路に断線等に起因する不点灯が発生した場合であっても他方のユニットの点灯が可能であり、全不点灯を回避できる構成となっている。これにより、道路Rの照明を維持する(少なくとも一方の配光ユニットの発光状態を維持する)ことができ、継続的に交通安全に寄与することができる。
【0100】
-道路照明装置の設置作業-
前述の如く構成された道路照明装置1を壁高欄WRの上部に取り付ける設置作業にあっては、先ず、対称配光ユニット5から発せられる光による道路横断方向の照明効果を良好にするセッティングを行う。つまり、各取付脚ユニット7,7を壁高欄WRの上部に取り付ける。その後、プロビーム配光ユニット6から発せられる光の照射範囲を調整することになる。この際、前述した如くプロビーム配光ユニット6は姿勢調整が可能な構成となっているので、この姿勢調整によって、対称配光ユニット5の調整角度の制約を受けることなく、プロビーム配光ユニット6から発せられる光の照射範囲を道路の縦断方向における適切な範囲に調整することができる。これにより、対称配光ユニット5から発せられる光の照射範囲から外れている領域を、プロビーム配光ユニット6から発せられた光によって良好に照明することが可能となるように道路照明装置1が設置される。
【0101】
-道路の照明状態-
図15は、前述の如く構成された道路照明装置1の複数が、道路Rの縦断方向に沿う方向において所定間隔を存して複数設置された状態を示す道路Rの平面図である。この図15においては各配光ユニット5,6から照射される照射光の範囲を一点鎖線で示している。また、対称配光ユニット5から照射される照射光の範囲を図中の符号Sで示し、プロビーム配光ユニット6から照射される照射光の範囲を図中の符号Pで示している。この図15から明らかなように本実施形態に係る道路照明装置1によれば、照射光の照射範囲が道路Rの縦断方向に大きく拡大している。つまり、従来技術において光の照射範囲から外れていた領域(前述した図17における領域cを参照)を、プロビーム配光ユニット6から照射された照射光によって照明することが可能となっている。
【0102】
また、図18は従来のポール照明方式の道路照明装置d,d,…が設置された道路bの平面図であって照射光の照射範囲を一点鎖線で示す図である。この場合にも図中の領域c,c,…は光の照射範囲から外れており照明ができていないが、本実施形態に係る道路照明装置1,1,…によれば、図15に示すように、照射光の照射範囲が道路Rの縦断方向に大きく拡大していることにより、道路Rの全体を良好に照明することができる。
【0103】
-道路照明システム-
前述したように、本実施形態に係る各道路照明装置1,1,…は、制御監視装置100(図16を参照)との間で相互通信が可能となっており、制御監視装置100からの制御信号による制御や、制御監視装置100からの監視情報要求信号に応じた応答信号の送信が可能となっている。以下、これら道路照明装置1,1,…および制御監視装置100によって構成されている道路照明システムについて説明する。
【0104】
図16は道路照明システムの概略構成を示す機能ブロック図である。この図16では、各道路照明装置1,1,…のうち1台の道路照明装置1についてのみ制御装置200を示している。この図16に示すように、道路照明システムは、各道路照明装置1,1,…に備えられた制御装置200と、電気室等に設置された制御監視装置100とを備えて成る。これら、各道路照明装置1,1,…の制御装置200と制御監視装置100との通信形態としては、有線接続による通信に限らず、ネットワークを介した無線接続であってもよい。
【0105】
各道路照明装置1,1,…の制御装置200には、コンピュータプログラムによって実現される機能部として、信号受信部201、自己診断部202、発光時間累積部203、記憶部204、寿命通知情報生成部205、信号送信部206を備えている。一方、制御監視装置100には、コンピュータプログラムによって実現される機能部として、信号送信部101、制御信号生成部102、信号受信部103、応答信号解析部104、通知情報生成部105、光量指令情報生成部106、表示部107、記憶部108を備えている。以下、制御装置200および制御監視装置100それぞれにおける各部の機能について説明する。
【0106】
(制御装置)
制御装置200における信号受信部201は、制御監視装置100からの監視情報要求信号を受信可能となっている。つまり、制御監視装置100からは所定時間毎または所定時刻に達したタイミングで監視情報要求信号が送信され(信号送信部101から送信され)、信号受信部201は、この監視情報要求信号を受信する。また、信号受信部201は、制御監視装置100から制御信号を受信可能となっている。この制御信号は、各配光ユニット5,6の光源であるLED素子の点灯/消灯の切り替えや調光を行うための信号であり、各配光ユニット5,6は、この制御信号に従って制御されることになる。
【0107】
自己診断部202は、信号受信部201が監視情報要求信号を受信した場合に自己診断を行う。つまり、各配光ユニット5,6の点灯状態が正常であるか否か等といった異常の発生の有無の自己診断を行う。各配光ユニット5,6の点灯状態が正常であった場合には、自己診断部202は正常信号を信号送信部206に出力する。一方、各配光ユニット5,6のうち少なくとも一方の配光ユニットの点灯状態に異常(不点灯等)が生じている場合には、自己診断部202は異常信号(例えば不点灯である旨の信号)を信号送信部206に出力する。この異常信号には、異常の種類や異常の発生時刻等の情報が含まれている。これら信号を受信した信号送信部206は、当該信号に応じた応答信号を制御監視装置100に送信する。
【0108】
発光時間累積部203は、各配光ユニット5,6それぞれにおける発光時間(点灯時間)を累積する。つまり、道路照明装置1が設置されてから各配光ユニット5,6の交換が行われていない場合には、この設置されてからの各配光ユニット5,6それぞれにおける発光時間を累積する。一方、配光ユニット5,6の交換が行われた場合には、その交換が行われた配光ユニットの発光時間の累積値をリセットし、当該発光時間の累積を再開する。配光ユニット5,6の発光時間の累積値は記憶部204に記憶されるようになっている。つまり、配光ユニット5,6の発光が再開された際(例えば夕刻になって配光ユニット5,6の発光が再開された際)、記憶部204に記憶されている発光時間の累積値を読み出して、該累積値に対して発光時間が加算されていくことになる。
【0109】
寿命通知情報生成部205は、発光時間累積部203によって累積されている発光時間が、配光ユニット5,6それぞれに予め規定されている寿命時間(交換が必要となる時間)に近付いた場合(例えば寿命時間の90%に達した場合)に、当該道路照明装置1の個体情報(ID情報)と寿命警告情報とを関連付けた通知情報を生成する。この生成された通知情報は信号送信部206に出力され、該信号送信部206から制御監視装置100に送信されることになる。
【0110】
(制御監視装置)
制御監視装置100における信号送信部101は、所定時間毎または所定時刻に達したタイミングで監視情報要求信号を各道路照明装置1,1,…の制御装置200に送信する。信号受信部103は、各道路照明装置1,1,…の制御装置200からの信号を受信する。この受信する信号としては、自己診断部202の診断結果である正常信号や異常信号(応答信号)である。また、信号受信部103は、前述した寿命に係る通知情報(寿命時間に近付いた道路照明装置1の個体情報と寿命警告情報とを関連付けた通知情報)も受信可能となっている。
【0111】
制御信号生成部102は、各道路照明装置1,1,…の対称配光ユニット5およびプロビーム配光ユニット6それぞれに対する点灯/消灯の切り替えや調光のための制御信号を生成する。この制御信号は、信号送信部101によって制御装置200に送信される。
【0112】
応答信号解析部104は、自己診断部202の診断結果である正常信号や異常信号を受信することにより、異常が生じている道路照明装置1およびその異常の種類を特定し、その情報を通知情報生成部105に出力する。また、応答信号解析部104は、前記監視情報要求信号に対する応答信号を返信してこない道路照明装置1が存在する場合には、その道路照明装置1の個体情報と応答信号無し情報とを関連付けた情報も通知情報生成部105に出力するようになっている。通知情報生成部105は、受信した情報に応じて異常が生じている道路照明装置1およびその異常の種類を特定するための画像情報を生成して表示部107に送信する。これにより、表示部107には、異常が生じている道路照明装置1およびその異常の種類が表示されることになり、管理者に情報が提供されることになる。例えば道路照明装置1に異常が発生してから所定時間(例えば5sec)以内に管理者に情報が提供されることになる。尚、応答信号解析部104による解析結果は記憶部108に記憶される。
【0113】
光量指令情報生成部106は、信号受信部103が受信した応答信号に基づき、複数台の道路照明装置1,1,…のうち何れかの道路照明装置1において対称配光ユニット5およびプロビーム配光ユニット6のうち少なくとも一方のLEDモジュール53,67の光源の発光が不能となっている際、道路Rの縦断方向に沿う方向において当該道路照明装置1に隣り合う他の道路照明装置1における対称配光ユニット5およびプロビーム配光ユニット6のうち少なくとも一方のLEDモジュール53,67の光源の発光量を増大させる指令信号を出力する。この指令信号は、信号送信部101によって前記隣り合う他の道路照明装置1(LEDモジュール53,67の光源の発光が不能となった道路照明装置1に隣り合う他の道路照明装置1)に向けて送信される。例えば1つの道路照明装置1のプロビーム配光ユニット6の光源の発光が不能となった場合には、この道路照明装置1に対して車両の進行方向側に位置する道路照明装置1の対称配光ユニット5の光源の発光量を増大させる指令信号を出力する(例えば光量を1.5倍にする指令信号を出力する)。これにより、光源の発光が不能となったことで照明できなくなった道路Rの所定領域に対し、隣り合う他の道路照明装置1からの照射光を照射することが可能となり、当該所定領域を良好に照明することができる。つまり、一部の道路照明装置1に不具合が生じた場合であっても他の道路照明装置1によって道路Rの照明を補完することにより、交通安全に寄与することができる。
【0114】
-実施形態の効果-
以上説明したように本実施形態では、道路照明装置1からの照射光によって道路Rを照明するに当たり、対称配光ユニット5からの照射光は、道路Rの横断方向に沿う方向を主たる照射方向とする照射光として道路Rを照明する。また、プロビーム配光ユニット6からの照射光は、道路Rの縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光として道路Rを照明する。これにより、従来の対称配光方式の道路照明装置に比べて、照射光の照射範囲を道路Rの縦断方向に拡大させることができる。つまり、従来技術において光の照射範囲から外れていた領域を、プロビーム配光ユニット6からの照射光によって照明することが可能となる。このため、道路照明装置1,1,…の狭スパン化を必要とすることなく、照射光の照射範囲を十分に確保することが可能となる。一例として、従来技術に係る道路照明装置におけるスパン(道路の縦断方向に沿う方向での間隔)が例えば10m程度であったものが、本実施形態によれば例えば20m程度にすることができる。その結果、道路照明装置1,1,…の設置台数の削減に伴って、道路照明装置1の設置作業工数の削減、保守点検箇所の削減、消費電力の削減、これらに伴うコストの削減を図ることができる。
【0115】
特に、本実施形態にあっては、プロビーム配光ユニット6からの照射光の主たる照射方向は、道路Rの横断方向に対して該道路Rを走行する車両の進行方向に沿う方向に向けられた方向となっている。このため、プロビーム配光ユニット6からの照射光の一部は、道路Rを走行する車両の背面に向けて照射されることになり、後続車両の運転者による先行車両の視認性の向上を図ることができる。つまり、道路Rに対する照射光の照射範囲の拡大と先行車両の視認性の向上により、交通安全に大きく寄与する道路照明装置1を提供することができる。
【0116】
また、本実施形態では、照射光を透過させる透光カバーとしてフロント透光カバー3とサイド透光カバー4とを備えさせている。個別の透光カバー3,4とすることにより、フロント透光カバー3の構成材料とサイド透光カバー4の構成材料とを必要に応じて別の材料とすることができる。本実施形態では、フロント透光カバー3をガラス製としサイド透光カバー4を樹脂製としていることにより、サイド透光カバー4の形状をフロント透光カバー3の形状に比べて複雑化することが可能となり、サイド透光カバー4の設計自由度の向上を図ることができる。
【0117】
また、本実施形態に係る道路照明システムによれば、監視情報要求信号に応じた各道路照明装置1,1,…からの応答信号に応じた通知情報が管理者に提供されることによって、複数台の道路照明装置1,1,…それぞれの状態を監視することができる。つまり、各道路照明装置1,1,…の設置場所まで出向くことなく各道路照明装置1,1,…それぞれの状態を監視することができる。このため、保守点検作業の高効率化を図ることができる。
【0118】
-他の実施形態-
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
【0119】
例えば、前記実施形態では、プロビーム配光ユニット6は、照射光の主たる照射方向が道路Rを走行する車両の進行方向に向けられた方向としていた。本発明はこれに限らず、照射光の主たる照射方向が道路Rを走行する車両の進行方向とは反対の方向に向けられた方向(所謂カウンタビーム配光)となっていてもよい。また、プロビーム配光およびカウンタビーム配光の両方を行うようになっていてもよい。
【0120】
また、前記実施形態では、装置本体2を金属製の筐体としていた。これは、LEDモジュール53,67が発する熱を熱伝導によって外部に放熱し易くするためであるが、発熱量の少ないLEDモジュールを使用する場合には装置本体2を金属製とする必要はなくなり、装置本体2を樹脂製とすることも可能である。この場合、装置本体2自体に透過性を持たせることも可能となるため各透光カバーを不要とすることもできる。
【0121】
また、前記実施形態では、対称配光ユニット5にあっては、LEDモジュール53からの光を反射板54によって反射させることによって、道路Rの横断方向に沿う方向を主たる照射方向とするようにしていた。本発明はこれに限らず、対称配光ユニット5のLEDモジュール53が道路Rの横断方向に発光するもの(反射板を使用することなく道路Rの横断方向に発光するもの)としてもよい。
【0122】
また、前記実施形態では、プロビーム配光ユニット6のLEDモジュール67が、道路Rの縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光を照射するものとしていた。本発明はこれに限らず、プロビーム配光ユニット6にあっては、LEDモジュール67からの光を反射板によって反射させることによって、道路Rの縦断方向に向けられた方向を主たる照射方向とする照射光を照射するものとしてもよい。
【0123】
また、前記実施形態では、フロント透光カバー3とサイド透光カバー4とを個別のものとしていたが、これら透光カバー3,4は一体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、道路の路肩の壁高欄等に設置される道路照明装置、および、該道路照明装置の制御等を行う道路照明システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 道路照明装置
11 パッキン
12 センタパッキン(境界パッキン)
2 装置本体(筐体)
22g,22h,22i 庇部
3 フロント透光カバー(第1透光カバー)
4 サイド透光カバー(第2透光カバー)
5 対称配光ユニット(第1光源ユニット)
51a モニタランプ(異常診断表示部)
52b シャッタ部材
53b 光学レンズ
5A 対称配光回路(第1光源制御装置)
6 プロビーム配光ユニット(第2光源ユニット)
65a 光学レンズ
65b 遮光部材
6A プロビーム配光回路(第2光源制御装置)
100 制御監視装置
101 信号送信部
103 信号受信部
105 通知情報生成部
106 光量指令情報生成部
202 自己診断部
203 発光時間累積部
205 寿命通知情報生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18