IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 錦町農産加工株式会社の特許一覧

特開2024-130082蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130082
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20240920BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20240920BHJP
   A23L 33/22 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
A23L19/00 102A
A23L7/10 Z
A23L33/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039590
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】598105123
【氏名又は名称】錦町農産加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100206302
【弁理士】
【氏名又は名称】落志 雅美
(72)【発明者】
【氏名】廣兼 一昭
【テーマコード(参考)】
4B016
4B018
4B023
【Fターム(参考)】
4B016LC07
4B016LC08
4B016LE03
4B016LG07
4B016LK12
4B018LB10
4B018LE06
4B018MD40
4B018MD47
4B018MD49
4B018ME02
4B018ME14
4B018MF04
4B018MF07
4B023LC05
4B023LC09
4B023LE08
4B023LK14
4B023LP07
(57)【要約】
【課題】 蕎麦様舌触りの栄養価の高いこんにゃく麺を提供する。
【解決方法】 こんにゃく麺の製造において、こんにゃく精粉100重量部に、平均粒径30~300μmの焙煎した米糠130~250重量部を加配・混合して製造する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
こんにゃく麺の製造方法において、こんにゃく精粉100重量部に、平均粒径30~300μmの焙煎した米糠130~250重量部を加配・混合して製造することを特徴とする蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺の製造方法。
【請求項2】
こんにゃく麺の製造方法において、こんにゃく精粉100重量部に、平均粒径75~200μmの焙煎した米糠150~200重量部を加配・混合して製造することを特徴とする蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺の製造方法。
【請求項3】
焙煎した米糠が、米糠に250~350℃の過熱水蒸気を0.5~30秒間接触させて製造されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺の製造方法。
【請求項4】
こんにゃく精粉100重量部に、平均粒径30~300μmの焙煎した米糠130~250重量部が加配・混合されて製造された蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺。
【請求項5】
こんにゃく精粉100重量部に、平均粒径75~200μmの焙煎した米糠150~200重量部が加配・混合されて製造された蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺。
【請求項6】
焙煎した米糠が、米糠に250~350℃の過熱水蒸気を0.5~30秒間接触させて製造されたものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にこんにゃく製品の製造方法は、こんにゃく精粉を出発原料とする場合は、まずこんにゃく精粉に水を加え撹拌し、ドロドロのこんにゃく糊状としたものに、凝固剤として水酸化カルシウムや石灰乳等のアルカリを加え練り上げ、成形し水洗して仕上げる。また、こんにゃく生芋を原料とする場合は、以下(1)~(5)工程により実施される。
(1)こんにゃくいもを茹で、粒が残らない程度にミキサ-等でらいかいする。
(2)ボ-ルに移し粘性がでるまで混合する。
(3)しばらく放置した後、炭酸ナトリウム又は水酸化カルシウムを加え均一に混ざるように良くねり混ぜる。
(4)適度な大きさに丸めて沸騰水中で煮る。
(5)冷水で長時間アク抜きをしてこんにゃく製品とする。
【0003】
また、昨今はダイエット効果のあるこんにゃく製品として、生おからを添加・
混合したこんにゃく麺が提供されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4662181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記の生おからを混合したこんにゃく麺は舌触りはつるつるとしたもので、かつ栄養価も期待されるほどのものではなかった。
そこで、本発明者は鋭意研究の結果、焙煎米糠の粉体を添加してこんにゃく麺を製造することで、蕎麦用の舌触りを有するこんにゃく麺が得られることを見いだした。
そして、米糠は多くのビタミン、ミネラル、ポリフェノール、食物繊維等を含むスーパーフードでかつ低カロリー食材であるため、本発明品は蕎麦用の舌触りでかつ多くの栄養分を含む新規な低カロリーダイエットこんにゃく麺となることが解った。
【0006】
すなわち本発明は以下の蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺及びその製造方法である。
〔1〕 こんにゃく麺の製造方法において、こんにゃく精粉100重量部に、平均粒径30~300μmの焙煎した米糠130~250重量部を加配・混合して製造することを特徴とする蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺の製造方法。
〔2〕 こんにゃく麺の製造方法において、こんにゃく精粉100重量部に、平均粒径75~200μmの焙煎した米糠150~200重量部を加配・混合して製造することを特徴とする蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺の製造方法。
〔3〕 焙煎した米糠が、米糠に250~350℃の過熱水蒸気を0.5~30秒間接触させて製造されたものであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺の製造方法。
〔4〕 こんにゃく精粉100重量部に、平均粒径30~300μmの焙煎した米糠130~250重量部が加配・混合されて製造された蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺。
〔5〕 こんにゃく精粉100重量部に、平均粒径80~200μmの焙煎した米糠150~200重量部が加配・混合されて製造された蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺。
〔6〕 焙煎した米糠が、米糠に250~350℃の過熱水蒸気を0.5~30秒間接触させて製造されたものであることを特徴とする〔4〕又は〔5〕に記載の蕎麦様の舌触りのこんにゃく麺。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蕎麦用の舌触りでかつ多くの栄養分を含む低カロリーのダイエット食として好適は美味なこんにゃく麺蕎が提供できる。
そして、製品の色合いも灰色で蕎麦様の色合いとなっている。、
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願発明では焙煎米糠の粉体を添加してこんにゃく麺を製造すると、蕎麦用の舌触りを有するこんにゃく麺が取得されるものである。
しかるに、従来のこんにゃく麺(糸こんにゃく又は白滝)は、つるつる、ぬるぬるした舌触りで満足できるものでなかった。
また、カロリーは低いもののビタミン、ミネラルのごとき栄養分も殆ど含有していないものであった。
【0009】
本発明で用いられる焙煎米糠は、好ましくは生の米糠に250~350℃の過熱水蒸気を0.5~30秒間接触させて製造されたものであり、経時変質がなく多くの栄養分を多量に含有しており、生の米糠のごとく数日後に腐敗・変質することがないものである。
この焙煎米糠の製造は、例えば特許6332344号公報に記載されている。
すなわち、生の米糠に250~350℃の過熱水蒸気を接触せしめ、無酸素雰囲気中での接触処理であるため、製品の米糠中には多くのポリフェノール類や油脂等の栄養分が酸化されないで含有されている。
本願発明で用いられる実施例の焙煎米糠は、その含有成分は下記表1に示すごときもので、多種の栄養成分を多量に含むものである。
【表1】
【0010】
また、焙煎米糠は油脂分も多く耐水性であるため水中でふやけず、硬めで粗い粉体の舌触り感覚(蕎麦様の感覚)を長時間にわたって与えるものと考えられる。
焙煎米糠の粒径は好ましくは平均粒径30~800μmのもの、特に好ましくは50~500μmのものが良い。
また、過熱水蒸気の温度及び時間は250~350℃のものを0.5~30秒間接触させることが好ましい。
こんにゃく精粉と焙煎米糠の配合割合は、こんにゃく精粉100重量部に焙煎米糠130~250重量部、より好ましくは150~200重量部を加配・混合することが好ましい。
【0011】
こんにゃく精粉としては、通常のこんにゃく原料として市販されているものを用いることができるが、水分含有量は10%以下のものが望ましい。
精粉を使用するこんにゃく製品の製造における原料配合は、例えば、こんにゃく精粉10重量部、焙煎米糠粉17重量部、水300重量部、水酸化カルシウム0.5重量部である。
【0012】
精粉あるいはこんにゃくいもへの焙煎米糠の添加時期は、炭酸ナトリウム又は水酸化カルシウムを添加する前であれば、どの段階でも良い。精粉の場合は最初から精粉とともに水に加えても良く、こんにゃくいもの場合は、ミキサ-に同時に加えて混合しても良い。
【0013】
精粉に対する焙煎米糠の添加割合は精粉100重量部に対して130~250重量部が好ましく、より好ましくは150~200重量部が適当である。
精粉に焙煎米糠を添加する場合でもこんにゃく製品の製造方法に特に変わりはなく、通常のこんにゃく製品の製法で製造できる。
【実施例0014】
以下に、本発明の蕎麦様舌触りのこんにゃく麺及びその製造方法における実施例を以下に説明する。
実施例1:
こんにゃく精粉30gと、水900mlと、水酸化カルシウム2.0gと、焙煎米糠(平均粒径100μmの粉体を40gを用意し、以下の製造方法でこんにゃく麺を製造した。
製造方法
第1工程:ボ-ルに水700mlを入れ、精粉と焙煎米糠をパラパラ入れる。
第2工程:かたまりが出来ないように5~7分間かき混ぜる。
第3工程:約1時間放置する。
第4工程:あらかじめ200mlのぬるま湯に水酸化カルシウムを溶かした石灰水(水酸化カルシウム懸濁液)を、加えて均一に混ざるように良くねり混ぜる。
第5工程:糸こんにゃく成形機に入れて80℃のお湯の中に押し出す。
第6工程:沸騰した湯で30~40分間煮る。
第7工程:冷水につけて10時間 アク抜きをする。
取得されたこんにゃく麺をめんつゆにつけて食したところ、舌に若干の荒さを感じ、本当の蕎麦様の舌触り感で美味のものであった。
また、取得されたこんにゃく麺は色彩も深い褐色気味を呈して、重厚感のあるものであった。
【0015】
実施例2:
こんにゃく精粉30gと、水900mlと、炭酸ナトリウム3.5gとの混合物を用意し、それに焙煎米糠(平均粒径150μmの粉体を50g添加し、以下の製造方法でこんにゃく麺を製造した。
製造方法
第1工程:ボ-ルに水700mlを入れ、精粉と焙煎米糠をパラパラ入れる。
第2工程:かたまりが出来ないように5~7分間かき混ぜる。
第3工程:約1時間放置する。
第4工程:あらかじめ200mlのぬるま湯に炭酸ナトリウム溶液を溶かし、加えて均一に混ざるように良くねり混ぜる。
第5工程:糸こんにゃく成形機に入れて85℃のお湯の中に押し出す。
第6工程:沸騰した湯で30~40分間煮る。
第7工程:冷水につけて10時間 アク抜きをする。
取得されたこんにゃく麺をめんつゆにつけて食したところ、舌に若干の荒さを感じ、本当の蕎麦様の舌触り感で感で美味のものであった。取得されたこんにゃく麺は色彩も深い褐色気味を呈して、重厚感のあるものであった。
【0016】
比較例1:
こんにゃく精粉30gと、水900mlと、炭酸ナトリウム3.5gとの混合物を用意し、以下の製造方法でこんにゃく麺を製造した。
製造方法
第1工程:ボ-ルに水700mlを入れ、精粉をパラパラ入れる。
第2工程:かたまりが出来ないように5~7分間かき混ぜる。
第3工程:約1時間放置する。
第4工程:あらかじめ200mlのぬるま湯に炭酸ナトリウム溶液を溶かし、加えて均一に混ざるように良くねり混ぜる。
第5工程:糸こんにゃく成形機に入れて85℃のお湯の中に押し出す。
第6工程:沸騰した湯で30~40分間煮る。
第7工程:冷水につけて10時間 アク抜きをする。
取得されたこんにゃく麺をめんつゆにつけて食したところ、つるつる、ぬるぬるとした舌触りで蕎麦様の感覚は全く無かった。