(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130095
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039613
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】岸 恒一
(72)【発明者】
【氏名】杉澤 宏之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 彰光
(72)【発明者】
【氏名】山田 篤志
(72)【発明者】
【氏名】北野 敬子
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】学習者の特性を基準として学習者に関する様々なデータを分析し、分析結果を指導者に提示する。
【解決手段】情報処理装置は、学習者の識別情報と、分析対象となる学習者の情報である分析対象情報とを関連付けて記憶する。情報処理装置は、内発性の強弱を基準として分析対象情報を分析し、分析結果を出力する。これによれば、情報処理装置は、内発性の強弱を基準とした分析結果を指導者に提示することができ、授業改善や個に応じた指導を支援することができる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習者の識別情報と、分析対象となる学習者の情報である分析対象情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
内発性の強弱を基準として前記分析対象情報を分析する分析部と、
前記分析部による分析結果を出力する分析結果出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記分析対象情報は、学習者の出欠に関する校務情報であり、
前記分析部は、前記内発性の強弱を基準として前記校務情報を複数のタイプに分類し、前記タイプ毎に分析する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記分析対象情報は、学習者に対して実施されたアンケートに関するアンケート情報であり、
前記分析部は、前記内発性の強弱を基準として前記アンケート情報を複数のタイプに分類し、前記タイプ毎に分析する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記分析部は、前記内発性の強弱を基準として前記アンケートの項目を複数のタイプに分類し、前記タイプ毎に前記項目に対する回答を集計するものであって、
前記分析結果出力部は、各タイプの集計結果を分析結果として並べて表示する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記学習者の成績に関する成績情報を取得する成績情報取得部と、
前記成績情報に基づき、前記成績の上下を基準として前記学習者を複数のグループに分類するグループ分類部と、を備え、
前記分析部は、前記グループ毎に、前記内発性の強弱を基準として前記分析対象情報を分析し、
前記分析結果出力部は、各グループの前記分析結果を並べて表示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記学習者の成績に関する成績情報を取得する成績情報取得部と、
前記成績情報に基づき、前記成績の上下を基準として前記学習者を複数のグループに分類するグループ分類部と、を備え、
前記分析部は、前記グループ毎に、前記内発性の強弱を基準として前記分析対象情報を分析し、
前記分析結果出力部は、前記グループ毎の人数集計グラフと、前記内発性の集計結果とを同時に表示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータを備える情報処理装置により実行されるプログラムであって、
学習者の識別情報と、分析対象となる学習者の情報である分析対象情報とを関連付けて記憶する記憶部、
内発性の強弱を基準として前記分析対象情報を分析する分析部、
前記分析部による分析結果を出力する分析結果出力部、
として前記コンピュータを機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習に関する情報を分析する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生徒に対して実施したテスト結果をデータベースに保存し、コンピュータ上で確認することが可能なシステムが知られている。特許文献1には、学習者のテストの成績を集計した成績集計データベースを有し、タブレット端末装置により当該データベースが参照可能に構成された教育支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、学習履歴であるテスト結果を確認できるにすぎず、テスト結果を含む様々なデータの分析結果を確認することはできなかった。
【0005】
本発明は、例えば、上記のような課題を解決するためになされたものであり、学習者の特性を基準として学習者に関する様々なデータを分析し、分析結果を提示することができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの観点では、情報処理装置は、学習者の識別情報と、分析対象となる学習者の情報である分析対象情報とを関連付けて記憶する記憶部と、内発性の強弱を基準として前記分析対象情報を分析する分析部と、前記分析部による分析結果を出力する分析結果出力部と、を備える。この態様によれば、情報処理装置は、内発性の強弱に応じて分析対象情報を分析するため、指導者は、出力された分析結果から生徒の特性を把握しやすい。ここで、内発性とは、外からの働きかけによらず、自分自身から起こる性質のことである。
【0007】
上記の情報処理装置の一態様では、前記分析対象情報は、学習者の出欠に関する校務情報であり、前記分析部は、前記内発性の強弱を基準として前記校務情報を複数のタイプに分類し、前記タイプ毎に分析する。この態様によれば、情報処理装置は、内発性の強弱に応じて分類したタイプ毎に、例えば、ボランティアや生徒会をはじめとする自治活動等への出欠に関する校務情報を分析することができる。よって、指導者は、分析結果を確認することで、学習者の活動に対する出欠をより深く見取り、授業改善や個に応じた指導に役立てることができる。
【0008】
上記の情報処理装置の一態様では、前記分析対象情報は、学習者に対して実施されたアンケートに関するアンケート情報であり、前記分析部は、前記内発性の強弱を基準として前記アンケート情報を複数のタイプに分類し、前記タイプ毎に分析する。この態様によれば、情報処理装置は、内発性の強弱に応じて分類したタイプ毎に、例えば、学習者の学習動機や学習方略等に関するアンケート情報を分類することができる。よって、指導者は、分析結果を確認することで、アンケート結果をより深く見取り、授業改善や個に応じた指導に役立てることができる。
【0009】
上記の情報処理装置の一態様では、前記分析部は、前記内発性の強弱を基準として前記アンケートの項目を複数のタイプに分類し、前記タイプ毎に前記項目に対する回答を集計するものであって、前記分析結果出力部は、各タイプの集計結果を分析結果として並べて表示する。この態様によれば、情報処理装置は、アンケート情報を分析した分析結果として、内発性の強弱に応じて分類した各タイプの回答の集計結果を並べて出力することができる。よって、指導者は、分析結果を確認することで、内発性の強弱を基準としたタイプ別に回答の集計結果を把握し、学習支援に活用することができる。
【0010】
上記の情報処理装置の一態様では、前記学習者の成績に関する成績情報を取得する成績情報取得部と、前記成績情報に基づき、前記成績の上下を基準として前記学習者を複数のグループに分類するグループ分類部と、を備え、前記分析部は、前記グループ毎に、前記内発性の強弱を基準として前記分析対象情報を分析し、前記分析結果出力部は、各グループの前記分析結果を並べて表示する。ここで、成績とは、テスト結果、偏差値、学習ランク等、生徒の学力を表すものである。この態様によれば、情報処理装置は、成績に応じたグループ別に分析結果を出力する。よって、指導者は、グループ間で分析結果を比較することができ、分析対象情報をより深く見取ることができる。
【0011】
上記の情報処理装置の一態様では、前記学習者の成績に関する成績情報を取得する成績情報取得部と、前記成績情報に基づき、前記成績の上下を基準として前記学習者を複数のグループに分類するグループ分類部と、を備え、前記分析部は、前記グループ毎に、前記内発性の強弱を基準として前記分析対象情報を分析し、前記分析結果出力部は、前記グループ毎の人数集計グラフと、前記内発性の集計結果とを同時に表示する。ここで、成績とは、テスト結果、偏差値、学習ランク等、生徒の学力を表すものである。この態様によれば、情報処理装置は、成績に応じたグループ別に、人数集計グラフと、内発性の強弱を基準とした集計結果とを同時に表示することができる。よって、指導者は、視覚的にわかりやすく人数集計グラフと集計結果を確認することができる。
【0012】
本発明の別の観点では、コンピュータを備える情報処理装置により実行されるプログラムは、学習者の識別情報と、分析対象となる学習者の情報である分析対象情報とを関連付けて記憶する記憶部、内発性の強弱を基準として前記分析対象情報を分析する分析部、前記分析部による分析結果を出力する分析結果出力部、として前記コンピュータを機能させる。このプログラムをコンピュータにインストールして実行させることで、本発明に係る情報処理装置を構成させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る情報処理装置によれば、学習者の特性を基準として学習者に関する様々なデータを分析し、分析結果を指導者に提示することで、授業改善や個に応じた指導を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態における学習支援システムの構成を示す。
【
図2】サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】アンケート情報DBのデータ構成の一例である。
【
図10】第2変形例における学習支援システムの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
<実施形態>
[全体構成]
図1は、本発明のサーバを適用した学習支援システムの構成を示す。学習支援システム100は、学習者に関する様々なデータを分析し、分析結果を指導者に提示するシステムである。学習者に関するデータは、例えば、テスト結果等の成績に関する成績情報、アンケートに関するアンケート情報、出欠に関する校務情報、デジタル教材の学習ログに関する学習履歴情報等である。なお、本実施形態において、アンケートは、紙媒体のマークシートを適用している。また、説明の便宜上、学習者は生徒、指導者は教師とする。
【0016】
学習支援システム100は、サーバ10と、複数の教師用端末20とがインターネット等のネットワーク5を介して通信可能に構成されている。サーバ10は、種々の情報に対する処理、記憶及び送受信を行う情報処理装置であって、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータ(PC)または汎用のタブレット等である。また、サーバ10は、後述する生徒情報データベース(以下、「データベース」を「DB」と記す。)31、成績情報DB32、アンケート情報DB33、及び、分析結果DB34と接続されている。サーバ10は、本発明の情報処理装置の一例である。
【0017】
教師用端末20は、教師が使用するものであって、例えば、タブレットやPC等の情報処理機器である。具体的に、教師用端末20は、詳細は後述するが、分析対象を示す対象情報をサーバ10に送信したり、分析結果をサーバ10から取得して表示したりする端末装置である。また、教師用端末20は、アンケートの回答が記入されたマークシートをOMR(Optical Mark Reader)やOCR(Optical Character Reader)を用いて読み取ることで、アンケートに関するアンケート情報を取得し、サーバ10に送信する。
【0018】
なお、本実施形態では、アンケートに紙媒体のマークシートを適用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、アンケートやその回答を、生徒が使用する生徒用端末と教師用端末20との間で送受信可能なデジタルデータとしてもよい。このように、サーバ10がアンケート情報を取得可能であれば、アンケートには任意の方法を適用することができる。
【0019】
[サーバのハードウェア構成]
図2は、サーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13と、記録媒体14と、表示部15と、入力部16とを備える。なお、これらの構成要素と、生徒情報DB31と、成績情報DB32と、アンケート情報DB33と、分析結果DB34とは、バス19を介して相互に接続されている。
【0020】
なお、サーバ10はコンピュータ単体で実行しても良いし、複数のコンピュータで分散して実行しても良いし、仮想マシンで分散して実行しても良い。
【0021】
通信部11は、ネットワーク5を通じて教師用端末20と通信を行うための通信ユニットである。具体的に、通信部11は、教師用端末20から対象情報やアンケート情報を受信したり、分析結果に関する情報を教師用端末20に送信したりする。
【0022】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を含み、記憶部13に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、サーバ10に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。なお、プログラムは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトにおいて配置されるか、もしくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。なお、
図2では制御部12を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
【0023】
記憶部13はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部12が処理を実行するために必要なプログラム又はデータ等を記憶している。また、記憶部13は、制御部12が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。
【0024】
記録媒体14は、ディスク状記録媒体、半導体メモリ等の不揮発性で非一時的な記録媒体であり、サーバ10に対して着脱可能に構成される。記録媒体14は、制御部12が実行する各種プログラムを記録している。サーバ10が分析処理を実行する際には、記録媒体14に記録されているプログラムが記憶部13にロードされ、制御部12により実行される。
【0025】
表示部15は、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等であり、制御部12の指示に従い各種情報を表示する。入力部16は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン等の入力デバイスであり、受け付けた操作情報を制御部12へ出力する。
【0026】
生徒情報DB31は、生徒を識別する生徒IDに対応付けて、生徒の学年、組、番号、氏名等を生徒情報として記憶している。
【0027】
成績情報DB32は、生徒の成績に関する成績情報を記憶している。
図3は、成績情報DB32のデータ構成の一例である。
図3に示すように、成績情報DB32は、生徒IDと、1学期中間や2学期期末といったテストが実施された時期を示す定期考査と、テストの科目と、テストを識別するテストIDと、生徒によるテストの得点とを対応付け、成績情報として記憶している。なお、成績は、テストの得点に限定されるものではなく、偏差値や生徒の学力を表す学習ランクを含むものとする。偏差値や学習ランクは、テストの得点から算出してもよいし、別のサーバ等から取得してもよい。
【0028】
アンケート情報DB33は、生徒に実施したアンケートに関するアンケート情報を記憶している。本実施形態では、定期考査終了後、科目毎に、生徒に対して定期考査振り返りアンケートを実施するものとする。ここで、アンケートについて説明する。
図4は、本実施形態のアンケートに使用されるアンケート用紙の一例である。アンケート用紙50は、1学期期末終了後に実施され、国語の学習について振り返るアンケートであって、学習動機エリア51と、学習方略エリア52と、学習計画エリア53と、課外活動エリア54とを有する。
【0029】
なお、本実施形態のアンケートは一例であって、本発明はこれに限定されるものではなく、アンケートの内容、種類、実施時期等は、任意に設定することができる。
【0030】
学習動機エリア51は、何をモチベーションとして学習しているのかという学習動機を知るための質問及び項目で構成されている。具体的に、学習動機エリア51の質問は、「1あなたが国語を勉強する理由は何ですか?」であり、項目は(1)~(10)である。学習方略エリア52は、勉強方法や勉強に取り組む際の工夫である学習方略について知るための質問及び項目で構成されている。学習計画エリア53は、勉強の計画と実績を知るための質問及び項目で構成されている。課外活動エリア54は、学校外の時間をどのくらい使っているのかを知るための質問及び項目で構成されている。生徒は該当する選択肢の番号に対応する丸を鉛筆等で塗りつぶすことで、質問の各項目にそれぞれ回答する。なお、本実施形態では、1つの質問が複数の項目で構成される形式となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の項目のみで構成される形式でもよい。
【0031】
生徒による回答が記入されたアンケート用紙50は、教師により回収される。教師は、教師用端末20を使用し、OMRやOCRを用いてアンケート用紙50から、アンケートを識別するアンケートID、アンケートを構成する項目を識別する項目番号、項目内容、及び、回答に関する情報を取得する。そして、教師は、教師用端末20を使用し、アンケートに回答した生徒の生徒IDと、アンケートが実施された時期を示す1学期期末と、アンケートの対象科目である国語と、アンケート用紙50から取得したアンケートID、項目番号、項目内容及び回答とを対応付け、アンケート情報としてサーバ10に送信する。サーバ10は、教師用端末20から取得したアンケート情報をアンケート結果DB33に記憶する。
【0032】
なお、アンケート情報に含まれる生徒ID、アンケートが実施された時期、及び、アンケートの対象科目は、教師用端末20が所定のDB等から取得してもよいし、アンケート用紙50から取得可能に構成されていてもよい。また、教師用端末20からサーバ10に送信されるアンケート情報は、生徒ID、アンケートID、項目番号及び回答に関する情報が含まれていればよく、アンケートが実施された時期、対象科目、項目内容は、サーバ10が所定のDB等から取得することとしてもよい。また、本実施形態では、サーバ10がアンケート情報をアンケート情報DB33に記憶することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、教師用端末20や他のサーバ等がアンケート情報をアンケート結果DB33に記憶してもよい。
【0033】
アンケート情報DB33は、生徒のアンケートに関するアンケート情報を記憶している。
図5は、アンケート情報DB33のデータ構成の一例である。
図5に示すように、アンケート情報DB33は、生徒IDと、アンケートを実施した時期を示す定期考査と、アンケートの対象科目と、アンケートを識別するアンケートIDと、アンケートを構成する項目を識別する項目番号と、項目内容と、生徒の回答とを対応付け、アンケート情報として記憶している。
【0034】
分析結果DB34は、分析対象となる定期考査、科目、学年、クラス等の対象情報に対応付けて、成績情報及びアンケート情報を分析した分析結果を分析結果情報として記憶している。
【0035】
[サーバの機能構成]
図6は、サーバ10の機能構成を示すブロック図である。サーバ10は、生徒情報DB31、成績情報DB32、アンケート情報DB33、及び、分析結果DB34に接続されており、機能的には、対象情報取得部41と、成績情報取得部42と、グループ分類部43と、アンケート情報取得部44と、分析部45と、分析結果出力部46とを備える。
【0036】
なお、対象情報取得部41、成績情報取得部42、グループ分類部43、アンケート情報取得部44、分析部45、及び、分析結果出力部46は、制御部12がプログラムを実行することにより実現される。
【0037】
対象情報取得部41は、教師用端末20から分析対象となる定期考査、科目、学年、クラス等の情報を対象情報として取得する。具体的に、教師は、教師用端末20を使用し、所定のサイト等にログインして分析対象となる定期考査、科目、学年、クラス等の情報を入力し、対象情報としてサーバ10に送信する。これにより、対象情報取得部41は、対象情報を取得する。なお、分析対象を示す対象情報は、教師が任意に設定することができる。
【0038】
成績情報取得部42は、生徒情報DB31を参照し、成績情報DB32から、対象情報に基づいて分析対象に該当する全ての生徒の成績情報を取得する。具体的に、対象情報に含まれる学年やクラスに属する生徒を「分析対象となる生徒」、対象情報に含まれる定期考査及び科目のテストを「分析対象のテスト」とする。つまり、成績情報取得部42は、成績情報DB32から、分析対象となる生徒全員分の、分析対象のテストの得点を取得する。
【0039】
グループ分類部43は、成績情報取得部42により取得された成績情報に基づいて、分析対象となる生徒を、成績上位、成績中位、成績下位の3つのグループに分類する。具体的に、グループ分類部43は、成績情報に含まれるテストの得点に応じて、分析対象となる生徒を、得点が70以上の成績上位グループ、得点が40点以上70点未満の成績中位グループ、得点が40点未満の成績下位グループに分類する。
【0040】
なお、本実施形態では、テストの得点に応じて生徒を成績上位、成績中位、成績下位の3つのグループに分類しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、成績上位、成績下位の2つのグループに分類してもよい。また、本実施形態では、成績情報DB32に成績情報としてテストの得点を記憶しているが、テストを構成する問題の正誤を記憶してもよい。この場合、グループ分類部43は、テストの得点ではなく、問題1が正解のグループ、問題1が不正解のグループのように問題の正誤に応じて生徒を複数のグループに分類してもよい。このように、成績情報に応じて生徒を複数のグループに分類する方法は、任意に設定することができる。
【0041】
アンケート情報取得部44は、生徒情報DB31を参照し、アンケート情報DB33から、対象情報に基づいて分析対象に該当する全ての生徒のアンケート情報を取得する。具体的に、対象情報に含まれる定期考査及び科目の振り返りアンケートを「分析対象のアンケート」とする。つまり、アンケート情報取得部44は、アンケート情報DB33から、分析対象となる生徒全員分の、分析対象のアンケートのアンケート情報を取得する。
【0042】
分析部45は、成績上位、成績中位、成績下位それぞれのグループ毎に、アンケート情報取得部44により取得されたアンケート情報を分析する。また、分析部45は、分析対象を示す対象情報と、グループと、分析結果とを対応付け、分析結果情報として分析結果DB34に記憶する。
【0043】
ここで、学習動機についてのアンケート情報を分析する方法について説明する。分析部45は、まず、学習動機についての項目を複数のタイプに分類する。そして、分析部45は、各グループに分類された生徒のアンケート情報に基づいて、タイプ毎に回答を集計することで分析結果を作成する。
図7は、学習動機の分析結果の一例である。アンケート用紙50の学習動機エリア51に記載された項目は、
図7に示す(1)~(10)の10個であり、内発性の強弱に応じて5つのタイプに分類することができる。ここで、内発性とは、外からの働きかけによらず、自分自身から起こる性質のことであり、自己決定性と言い換えてもよい。
【0044】
例えば、
図7に示す「(1)この項目を学ぶことがおもしろいから」と「(2)新しいことを学ぶのが好きだから」は、同じことを別の言い方で表現した項目であり、1つの「統合(好きだから)」タイプとすることができる。内発性の強弱を基準とすると、「統合(好きだから)」タイプは、最も内発性の強いタイプである。
【0045】
同様に、同じことを別の言い方で表現した項目を1つのタイプに分類すると、項目(3)及び(4)は、「同一化(必要だから)」タイプとすることができる。また、項目(5)及び(6)は、「社会的(だれかのために)」タイプとすることができる。また、項目(7)及び(8)は、「取り入れ(負けたくないから)」タイプとすることができる。また、項目(9)及び(10)は、「外的(言われるから)」タイプとすることができる。このように、質問の項目を5つのタイプに分類した場合、
図7に示すように、「外的(言われるから)」タイプが最も内発性が弱く、「取り入れ(負けたくないから)」タイプ、「社会的(だれかのために)」タイプ、「同一化(必要だから)」タイプ、「統合(好きだから)」タイプの順に内発性は強くなっていく。なお、内発性の強弱を基準としたタイプは、任意に設定することができる。
【0046】
分析部45は、学習動機エリア51に記載された質問の項目を5つのタイプに分類すると、成績上位グループに分類された生徒のアンケート情報に基づいて、タイプ毎に回答を集計する。例えば、分析部45は、
図7に示す項目(1)及び(2)の回答を集計し、「全くあてはまらない」を選択した生徒の人数を、成績上位グループに分類された全生徒数で割ることで、「全くあてはまらない」を選択した生徒の割合を算出する。同様に、分析部45は、「あまりあてはまらない」を選択した生徒の割合、「ややあてはまる」を選択した生徒の割合、「とてもあてはまる」を選択した生徒の割合をそれぞれ算出し、「統合(好きだから)」タイプの回答割合を示す棒グラフを作成する。なお、
図7に示すような、各タイプの回答割合を示す棒グラフは、本発明の内発性の集計結果の一例である。
【0047】
分析部45は、同様に、「同一化(必要だから)」タイプ、「社会的(だれかのために)」タイプ、「取り入れ(負けたくないから)」タイプ、「外的(言われるから)」タイプの回答割合を示す棒グラフをそれぞれ作成し、内発性を基準として分類したタイプ毎の回答割合を示すグラフ60を作成する。グラフ60は、成績上位グループの学習動機についてのアンケート情報を分析した分析結果である。また、分析部45は、成績中位グループ、及び、成績下位グループについても、同様に、学習動機についてのアンケート情報を分析した分析結果として、内発性を基準として分類したタイプ毎の回答割合を示すグラフを作成する。
【0048】
このような分析結果によれば、教師は、内発性の強弱を基準としたタイプ別に学習動機を把握し、活用することができる。具体的に、内発性が強いほど、主体的、継続的な学習となり、良い成績につながるため、教師は、分析結果を参考に成績別のグループに応じて、内発性がより強い学習動機を意識させる指導をすることができる。また、教師は、内発性が弱い生徒は負荷をかけずに成功体験を積み上げる、内発性が強い生徒は褒めすぎずに探究的学習を支援する等、タイプに応じて生徒を指導することができる。
【0049】
また、分析部45は、成績上位グループ、成績中位グループ、成績下位グループそれぞれに分類された生徒のアンケート情報に基づいて、学習方略、学習計画、課外活動についての回答をそれぞれ集計し、項目毎に作成した回答割合を示すグラフを分析結果としてもよい。また、分析部45は、成績上位グループ、成績中位グループ、成績下位グループそれぞれに分類された生徒の成績情報に基づいて、縦軸を生徒の人数、横軸をテストの得点として作成した得点分布を示すグラフを分析結果としてもよい。分析部45は、作成した分析結果を、成績別のグループ及び対象情報と対応付け、分析結果情報として分析結果DB34に記憶する。
【0050】
分析結果出力部46は、分析結果情報を教師用端末20に送信する。具体的に、分析結果出力部46は、分析結果DB34から取得した分析結果情報に基づいて分析結果画面を作成し、分析結果画面に関する画面情報を教師用端末20に送信する。
図8は、分析結果画面の一例である。
図8に示すように、分析結果画面70は、成績下位グループの分析結果を表示する成績下位エリア71と、成績中位グループの分析結果を表示する成績中位エリア72と、成績上位グループの分析結果を表示する成績上位エリア73と、を有する。
【0051】
成績下位エリア71は、成績下位グループの生徒数、平均点、及び、得点分布を示すグラフ75と、学習動機のグラフ76と、学習計画のグラフ77とを表示する。学習動機のグラフ76は、成績下位グループのアンケート情報に基づき、内発性を基準として分類したタイプ毎の回答割合を示す棒グラフである。また、学習計画のグラフ77は、成績下位グループに分類された生徒のアンケート情報に基づき、計画した学習時間と実行した学習時間それぞれの回答割合を示すグラフである。同様に、成績中位エリア72は、成績中位グループに分類された生徒の成績情報やアンケート情報に基づく分析結果である数値やグラフを表示する。また、成績上位エリア73は、成績上位グループに分類された生徒の成績情報やアンケート情報に基づく分析結果である数値やグラフを表示する。なお、
図8に示すグラフ75は、本発明の人数集計グラフの一例である。
【0052】
教師用端末20は、サーバ10から分析結果画面に関する画面情報を取得すると、
図8に示すような分析結果画面70を表示する。教師は、成績別に表示された分析結果を確認することで、アンケートの結果をより深く見取ることができる。例えば、成績別に学習動機のグラフを確認すると、内発性の強い動機は、成績上位グループが最も高く、成績下位グループが最も低いことが分かる。また、成績別に学習計画の棒グラフを確認すると、成績下位グループ及び成績中位グループと異なり、成績上位グループは、学習を実行した時間が計画した時間より多いことが分かる。このように、成績別に表示された分析結果により、教師は、詳細に生徒の特性や状況を把握することができる。また、学習動機の内発性と、目標達成のために自ら意志を持って使用される学習方略とは相関関係があるため、成績別に学習動機のグラフと学習方略のグラフを確認することで、教師は、成績上位グループが取り入れている勉強の工夫を認識して成績下位グループの環境を整える等、授業改善や個に応じた指導に役立てることができる。
【0053】
上記の構成において、サーバ10の、成績情報取得部42、グループ分類部43、分析部45、及び、分析結果出力部46は、本発明の成績情報取得部、グループ分類部、分析部、及び、分析結果出力部の一例である。また、本実施形態のアンケート情報は、本発明の分析対象情報の一例であり、サーバ10のアンケート情報DB33は、本発明の記憶部の一例である。
【0054】
[分析処理]
次に、生徒の成績情報と学習動機のアンケート情報を分析し、分析結果を出力する分析処理について説明する。
図9は、分析処理のフローチャートである。この処理は、サーバ10が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0055】
教師は、教師用端末20を使用して所定のサイトにログインし、分析対象となる定期考査、科目、学年、クラス等の情報を入力し、対象情報としてサーバ10に送信する。これにより、対象情報取得部41は、対象情報を取得する(ステップS11)。サーバ10は、生徒情報DB31を参照し、成績情報DB32から、対象情報に基づいて分析対象に該当する全ての生徒の成績情報を取得する(ステップS12)。そして、サーバ10は、取得した成績情報に基づいて、分析対象となる生徒を、成績上位、成績中位、成績下位の3つのグループに分類する(ステップS13)。
【0056】
また、サーバ10は、生徒情報を参照し、アンケート情報DB33から、対象情報に基づいて分析対象に該当する全ての生徒のアンケート情報を取得する(ステップS14)。アンケート情報を取得すると、サーバ10は、学習動機についての質問の項目を内発性の強弱を基準として5つのタイプに分類する(ステップS15)。そして、サーバ10は、成績上位、成績中位、成績下位それぞれのグループに分類された生徒のアンケート情報に基づいて、各グループのタイプ毎に分析結果を作成する(ステップS16)。作成した分析結果は、対象情報及びグループに対応付け、分析結果情報として分析結果DB34に記憶される。
【0057】
サーバ10は、分析結果DB34から分析結果情報を取得し、成績上位、成績中位、成績下位それぞれのグループ毎に、各タイプの分析結果を並べて表示する分析結果画面を作成する(ステップS17)。そして、サーバ10は、分析結果画面に関する画面情報を教師用端末20に送信する(ステップS18)。教師用端末20がサーバ10から取得した画面情報に基づいて分析結果画面を表示することで、教師は、成績別に各タイプの学習動機の分析結果を確認することができる。これにより、分析処理は終了する。
【0058】
なお、本実施形態では、分析結果として
図7や
図8に示すようなグラフを作成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、成績に応じたグループ毎にアンケート情報を分析した結果であれば、回答の集計方法やグラフの種類は任意に設定することができる。
【0059】
本実施形態の学習支援システム100は、学習者を成績上位、成績中位、成績下位等にグルーピングし、グループ間でアンケート情報の分析結果を比較してみることで、より深くアンケート結果を見取ることができる。また、内発性の強弱を基準としたタイプ別にアンケート情報の分析結果を作成することで、生徒の特性や状況を見取ることができる。これにより、指導者は、分析結果を授業改善や個に応じた指導に役立てることができる。
【0060】
<第1変形例>
上記の実施形態では、内発性の強弱を基準としたタイプ毎に学習動機のアンケート情報を分析しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、内発性の強弱を基準としたタイプ毎に出欠に関する校務情報を分析することとしてもよい。具体的には、ボランティアや生徒会をはじめとする自治活動への出席率が高いほど内発性は強く、出席率が低いほど内発性は低いものとし、サーバ10は、出席率に応じて生徒を複数のタイプに分類した後、タイプ毎に出席した活動内容を分析する。このように、内発性の強弱を基準とした分析の対象となる情報は、アンケート情報や校務情報等、任意に設定することができる。
【0061】
なお、本変形例の校務情報は、本発明の分析対象情報の一例であり、生徒IDに対応付けて校務情報を記憶した所定のDBは、本発明の記憶部の一例である。
【0062】
<第2変形例>
上記の実施形態において、教師は教師用端末20を使用することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、教師はサーバ10の機能を有する教師用端末90を使用することとしてもよい。教師用端末90は、サーバ10と同様に、例えば、PCまたは汎用のタブレット等である。
【0063】
図10は、この場合の学習支援システム200の構成例を示す。教師用端末90は、生徒情報DB91、成績情報DB92、アンケート情報DB93、及び、分析結果DB94が接続されている。教師用端末90は、サーバ10が行っていた分析処理を実行し、生徒の成績情報と学習動機のアンケート情報を分析し、分析結果を出力することができる。
【符号の説明】
【0064】
5 ネットワーク
10 サーバ
20、90 教師用端末
31、91 生徒情報DB
32、92 成績情報DB
33、93 アンケート情報DB
34、94 分析結果DB
41 対象情報取得部
42 成績情報取得部
43 グループ分類部
44 アンケート情報取得部
45 分析部
46 分析結果出力部
100、200 学習支援システム