(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130098
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240920BHJP
A45D 29/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
A45D29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039617
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】刑部 文裕
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA26
2C056EB20
2C056EB29
2C056EB38
2C056EC19
2C056EC28
2C056EE18
2C056FA10
2C056FB09
2C056HA58
(57)【要約】
【課題】コストを抑えつつ、インクカートリッジの識別を容易に行う。
【解決手段】印刷装置1は、カートリッジ(インクカートリッジ7)を格納し、格納されたカートリッジを回転させることで当該カートリッジに充填されているインクを撹拌する第1格納部(撹拌領域60)と、カートリッジを格納し、格納されたカートリッジに充填されているインクを使用して印刷対象に印刷を行う第2格納部(印刷領域40)と、第1格納部に格納されたカートリッジの識別情報(シリアル番号)、及び、第2格納部に格納されたカートリッジの識別情報を撮像可能な撮像部(カメラ51)と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1格納部に格納されたカートリッジの識別情報と、第2格納部に格納されたカートリッジの識別情報と、を撮像可能な撮像部を備え、
前記第1格納部と前記第2格納部とは、異なる位置に配置されている、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
第1反射部を更に備え、
前記撮像部は、前記第1反射部により反射された前記第1格納部に格納されたカートリッジの識別情報を撮像可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
第2反射部を更に備え、
前記撮像部は、前記第2反射部により反射された前記第2格納部に格納されたカートリッジの識別情報を撮像可能である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1格納部に格納されたカートリッジを回転させることで前記第1格納部に格納されたカートリッジに充填されているインクを撹拌する撹拌部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第2格納部に格納されたカートリッジに充填されているインクを使用して印刷対象に印刷を行う印刷部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項6】
カートリッジを格納し、格納されたカートリッジを回転させることで当該カートリッジに充填されているインクを撹拌する第1格納部と、
カートリッジを格納し、格納されたカートリッジに充填されているインクを使用して印刷対象に印刷を行う第2格納部と、
前記第1格納部に格納されたカートリッジの識別情報、及び、前記第2格納部に格納されたカートリッジの識別情報を撮像可能な撮像部と、
前記第1格納部又は前記第2格納部に格納されたカートリッジのそれぞれについて、前記撮像部が撮像することで取得した当該カートリッジの識別情報と対応付けて、当該カートリッジが前記第1格納部又は前記第2格納部に格納された日時である格納日時、及び、当該カートリッジが前記第1格納部に格納された場合の前記第1格納部において撹拌された時間である撹拌時間を記憶部に記憶させ、
前記記憶部に記憶されている前記格納日時及び前記撹拌時間のうち、処理対象のカートリッジの識別情報と対応付けられている情報に基づいて、前記処理対象のカートリッジが前記第1格納部において新たに撹拌される時間、又は、前記処理対象のカートリッジを使用した前記第2格納部による印刷動作のうち少なくともいずれか一方を制御する制御部と、
を備える、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記処理対象のカートリッジの識別情報と対応付けられている前記格納日時及び前記撹拌時間に基づいて、前記処理対象のカートリッジが前記第1格納部において撹拌されていない時間である静置時間を算出し、前記静置時間が長いほど、前記処理対象のカートリッジが前記第1格納部において新たに撹拌される時間が長くなるように制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記処理対象のカートリッジの識別情報と対応付けられている最新の前記撹拌時間が、前記静置時間に応じて予め定められた所定時間未満である場合に、前記処理対象のカートリッジを使用した前記第2格納部による印刷動作を禁止する、
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記撮像部は、印刷対象を撮像可能である、
ことを特徴とする請求項1、2、6~8のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項10】
印刷対象は爪である、
ことを特徴とする請求項1、2、6~8のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項11】
撮像部を備える印刷装置における印刷制御方法であって、
前記撮像部が、第1格納部に格納されたカートリッジの識別情報と、第2格納部に格納されたカートリッジの識別情報と、を撮像する工程を含み、
前記第1格納部と前記第2格納部とは、異なる位置に配置されている、
ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項12】
カートリッジを格納し、格納されたカートリッジを回転させることで当該カートリッジに充填されているインクを撹拌する第1格納部と、カートリッジを格納し、格納されたカートリッジに充填されているインクを使用して印刷対象に印刷を行う第2格納部と、前記第1格納部に格納されたカートリッジの識別情報、及び、前記第2格納部に格納されたカートリッジの識別情報を撮像可能な撮像部と、を備える印刷装置における印刷制御方法であって、
前記第1格納部又は前記第2格納部に格納されるカートリッジのそれぞれについて、前記撮像部が撮像することで取得した当該カートリッジの識別情報と対応付けて、当該カートリッジが前記第1格納部又は前記第2格納部に格納された日時である格納日時、及び、当該カートリッジが前記第1格納部に格納された場合の前記第1格納部において撹拌された時間である撹拌時間を記憶部に記憶させる工程と、
前記記憶部に記憶されている前記格納日時及び前記撹拌時間のうち、処理対象のカートリッジの識別情報と対応付けられている情報に基づいて、前記処理対象のカートリッジが前記第1格納部において新たに撹拌される時間、又は、前記処理対象のカートリッジを使用した前記第2格納部による印刷動作のうち少なくともいずれか一方を制御する工程と、
を含む、
ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項13】
撮像部を備える印刷装置のコンピュータに、
前記撮像部に、第1格納部に格納されたカートリッジの識別情報と、第2格納部に格納されたカートリッジの識別情報と、を撮像させる機能を実現させ、
前記第1格納部と前記第2格納部とは、異なる位置に配置されている、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
カートリッジを格納し、格納されたカートリッジを回転させることで当該カートリッジに充填されているインクを撹拌する第1格納部と、カートリッジを格納し、格納されたカートリッジに充填されているインクを使用して印刷対象に印刷を行う第2格納部と、前記第1格納部に格納されたカートリッジの識別情報、及び、前記第2格納部に格納されたカートリッジの識別情報を撮像可能な撮像部と、を備える印刷装置のコンピュータに、
前記第1格納部又は前記第2格納部に格納されるカートリッジのそれぞれについて、前記撮像部が撮像することで取得した当該カートリッジの識別情報と対応付けて、当該カートリッジが前記第1格納部又は前記第2格納部に格納された日時である格納日時、及び、当該カートリッジが前記第1格納部に格納された場合の前記第1格納部において撹拌された時間である撹拌時間を記憶部に記憶させる機能と、
前記記憶部に記憶されている前記格納日時及び前記撹拌時間のうち、処理対象のカートリッジの識別情報と対応付けられている情報に基づいて、前記処理対象のカートリッジが前記第1格納部において新たに撹拌される時間、又は、前記処理対象のカートリッジを使用した前記第2格納部による印刷動作のうち少なくともいずれか一方を制御する機能と、
を実現させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式の印刷装置では、インクが十分に撹拌されていない場合、インク材料の沈降によるノズル詰まりが発生し、正常な印刷ができないことがある。特に、白インクを用いた印刷において、印刷の未実施時間が長い場合には、白インク材料(主に酸化チタン)の沈降により、ノズル詰まりが発生しやすい。
正常に印刷するためには、インクが充填されているインクカートリッジを撹拌することになるが、各インクカートリッジについて、撹拌がきちんと行われているかどうかを個別に管理するのは、ユーザにとって煩雑な作業である。
【0003】
インクジェットプリンタにおいて使用されるインクカートリッジの識別を容易に行うために、例えば、インクカートリッジに貼り付けられたICタグに、シリアル番号、インクのロット番号、生産日、開封期限等を記録させておく技術が利用されている(特許文献1参照)。インクジェットプリンタは、インクカートリッジを装着する際に、ICタグからシリアル番号等を読み取ることで、各種情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術のように、インクカートリッジの一つ一つにICタグを付けると、コストがかかる上、プリンタ側にもICタグを読み取る機構を設けなければならず、装置構成が複雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、コストを抑えつつ、インクカートリッジの識別を容易に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の印刷装置は、
第1格納部に格納されたカートリッジの識別情報と、第2格納部に格納されたカートリッジの識別情報と、を撮像可能な撮像部を備え、
前記第1格納部と前記第2格納部とは、異なる位置に配置されている、
ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の印刷装置は、
カートリッジを格納し、格納されたカートリッジを回転させることで当該カートリッジに充填されているインクを撹拌する第1格納部と、
カートリッジを格納し、格納されたカートリッジに充填されているインクを使用して印刷対象に印刷を行う第2格納部と、
前記第1格納部に格納されたカートリッジの識別情報、及び、前記第2格納部に格納されたカートリッジの識別情報を撮像可能な撮像部と、
前記第1格納部又は前記第2格納部に格納されたカートリッジのそれぞれについて、前記撮像部が撮像することで取得した当該カートリッジの識別情報と対応付けて、当該カートリッジが前記第1格納部又は前記第2格納部に格納された日時である格納日時、及び、当該カートリッジが前記第1格納部に格納された場合の前記第1格納部において撹拌された時間である撹拌時間を記憶部に記憶させ、
前記記憶部に記憶されている前記格納日時及び前記撹拌時間のうち、処理対象のカートリッジの識別情報と対応付けられている情報に基づいて、前記処理対象のカートリッジが前記第1格納部において新たに撹拌される時間、又は、前記処理対象のカートリッジを使用した前記第2格納部による印刷動作のうち少なくともいずれか一方を制御する制御部と、
を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コストを抑えつつ、インクカートリッジの識別を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態における印刷装置の要部外観構成を示す斜視図である。
【
図2】印刷装置の概略の制御構成を示す要部ブロック図である。
【
図3】(a)は、印刷装置の印刷領域の内部要部構成を示す平面図である。(b)は、Y方向と直交する切断面における印刷領域の概略断面図である。
【
図4】印刷装置の内部の概略構成を模式的に示した正面図である。
【
図5】撹拌領域に格納されたインクカートリッジのシリアル番号を撮像可能な位置関係を模式的に示した正面図である。
【
図6】撹拌領域に格納されたインクカートリッジのシリアル番号を撮像不可能な位置関係を模式的に示した正面図である。
【
図7】(a)は、印刷領域に格納されたインクカートリッジのシリアル番号を撮像可能な位置関係を模式的に示した正面図である。(b)は、印刷領域に格納されたインクカートリッジのシリアル番号を撮像可能な位置関係を模式的に示した側面図である。
【
図8】静置時間に応じた撹拌時間の例を示す図である。
【
図9】撹拌領域側処理を示すフローチャートである。
【
図10】撹拌領域側処理を示すフローチャートである。
【
図11】印刷領域側処理を示すフローチャートである。
【
図13】静置時間が800時間のインクカートリッジの状態を示す図である。
【
図14】静置時間が96時間のインクカートリッジの状態を示す図である。
【
図15】静置時間が30時間のインクカートリッジの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る印刷装置、印刷制御方法及びプログラムの実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
<印刷装置の構成>
図1は、本実施形態における印刷装置1の要部外観構成を示す斜視図である。以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、
図1に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向、Z方向は、
図1に示した方向をいうものとする。
図2は、印刷装置1の概略の制御構成を示す要部ブロック図である。
図3(a)は、印刷装置1の印刷領域40(
図1参照)の内部要部構成を示す平面図であり、
図3(b)は、Y方向と直交する切断面における印刷領域40の概略断面図である。
【0013】
ここでは、印刷装置1が手の指Uの爪T(
図3(a)及び(b)参照)を印刷対象として、これに印刷するネイルプリンタである場合を例に説明するが、印刷装置1の印刷対象は手の指Uの爪Tに限るものではなく、例えば、足の指の爪等を印刷対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、爪以外のものを印刷対象としてもよい。
印刷装置1は、ネイルサロンや美容サロン等の店舗に設置されたものでもよいし、ユーザの自宅等で使用されるものであってもよい。
【0014】
図1に示すように、印刷装置1は、略箱形に形成された筐体2を有している。
印刷装置1は、印刷対象に印刷を行うための印刷領域40と、印刷に用いるインクを撹拌するための撹拌領域60と、を有している。
印刷領域40は、上下方向の略中央部から上下に分かれており、上側部分は、図示しないヒンジ部等を介して上方向(
図1に示す矢印4C参照)に回動可能なカバー41(蓋部)となっている。
撹拌領域60は、上下方向の略中央部から上下に分かれており、上側部分は、図示しないヒンジ部等を介して上方向(
図1に示す矢印6C参照)に回動可能なカバー61(蓋部)となっている。
【0015】
印刷装置1の筐体2において、印刷領域40の前面側(Y方向の手前側)には、開口部21が形成されている。開口部21は、印刷対象となる爪Tに対応する指Uを装置内に挿入する指挿入口であり、指Uを出し入れ可能な程度の幅及び高さを有している。
また、筐体2の内部であって開口部21の内側に、印刷対象となる爪Tに対応する指Uを配置する指配置部3が設けられている。
【0016】
図3(a)及び(b)に示すように、指配置部3の下側面は、開口部21から挿入された指Uの腹部分を受ける指受け部31となっている。なお、指受け部31には、例えば樹脂等の柔軟性を有する材料で形成されたクッション部材が設けられていてもよい。
指配置部3の上方(少なくとも
図1におけるY方向の奥側の上方)は開放されており、指配置部3内に挿入された指Uの爪Tの表面が露出するようになっている。
指配置部3の手前側(
図1におけるY方向の手前側)には、指Uの上方を囲うような枠状部32が設けられている。指配置部3に配置された指Uの上側は、この枠状部32の天面に突き当てられるように構成されている。これにより、枠状部32の天面が指Uの上方向の位置を規制する指押えとして機能し、指Uが上方向に押し上げられすぎるのを防ぎ、指Uの高さ方向を位置決めすることができる。
【0017】
筐体2の上面(天板)には、操作部22が設置されている。
操作部22は、ユーザからの各種入力を受け付ける受付手段である。
操作部22は、例えば、印刷装置1の電源をON/OFFする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、印刷開始を指示する印刷開始釦等、各種の入力を行うための操作釦で構成されている。
また、操作部22は、表示部23の表面に一体的に設けられたタッチパネルによって構成され、ユーザの指先やスタイラスペン等によるタッチ操作に応じて、各種の入力・設定等を行うことができるようになっている。
操作部22が操作されると、操作に応じた操作信号が制御装置10の制御部11(
図2参照)に出力され、制御部11が操作信号に従った制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。
【0018】
筐体2の上面には、表示部23が配置されている。
表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、その他のディスプレイを含んでいる。表示部23は、制御部11から入力される表示信号に基づいて、ディスプレイに各種画像や情報を表示する。
【0019】
なお、スマートフォン、タブレット端末等の外部機器を、印刷装置1の操作部22及び表示部23として使用し、制御部11は、外部機器にて入力・設定された情報に基づいて、印刷装置1の各部を動作させてもよい。この場合、外部機器は、外部機器の通信部を介して印刷装置1との間でデータの送受信を行うことで、印刷装置1から提供された操作画面を外部機器の表示部に表示するとともに、外部機器の操作部から入力された操作指示を印刷装置1に送信する。
【0020】
また、
図2に示すように、印刷装置1は、前述の操作部22、表示部23を備える他、印刷部4、撮像部5、撹拌部6、計時部24、通信部25及び制御装置10等を備えている。
【0021】
印刷部4は、インクカートリッジ7(印刷ヘッド)と、インクカートリッジ7を格納する格納部42と、インクカートリッジ7(インクカートリッジ7を保持する格納部42)を移動させるX方向移動モータ45及びY方向移動モータ47とを備える。
【0022】
インクカートリッジ7は、格納部42に対して着脱可能となっており、印刷時には、格納部42に格納された状態で使用される(
図3(a)及び(b)参照)。
【0023】
インクカートリッジ7には、インクが充填されている。本実施形態において、インクカートリッジ7は、内部のインクをノズルから微細な液滴として吐出させ、印刷対象面に印刷を施すインクジェット方式のインク吐出機構(図示せず)を一体的に備えたカートリッジ一体型の印刷ヘッドである。
印刷部4は、格納部42に格納されたインクカートリッジ7に充填されているインクを使用して印刷対象に印刷を行う。
【0024】
図3(b)に示すように、インクカートリッジ7における印刷対象面(爪Tの表面)に対向する面には、インク吐出面71が一体に形成されている。インク吐出面71には、それぞれの色のインクを噴射する複数のノズルからなるノズルアレイの吐出口が列状に形成されている。
インクカートリッジ7は、制御部11がインク吐出機構を制御することで、適宜所定のインクをノズル口から吐出させ、印刷を行うようになっている。
なお、インクカートリッジ7がインクを吐出させる構成等、印刷を行うための具体的な構成は、特に限定されない。
【0025】
インクカートリッジ7(印刷ヘッド)は、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等の各色のインクを吐出可能となっている。また、インクカートリッジ7として、印刷対象となる爪Tにネイルの下地を印刷する下地用ヘッドと、印刷対象となる爪Tにネイルデザインを印刷するデザイン用ヘッドと、が設けられていてもよい。下地用のインクとしては、デザインを印刷するときにインクの発色が良くなるように、白色等(白色若しくはこれに近いピンクやブルー等)であることが好ましい。白インク(下地用のインク)は、酸化チタン等を含んでおり、インク内の材料の沈降やノズル詰まりが発生しやすい。
【0026】
インクカートリッジ7は、格納部42に格納された状態で、装置の左右方向(X方向)及び前後方向(Y方向)に移動可能となっている。X方向移動モータ45は、インクカートリッジ7をX方向に移動させるX方向移動機構450(
図3(a)及び(b)参照)を構成し、Y方向移動モータ47は、インクカートリッジ7をY方向に移動させるY方向移動機構470(
図3(a)参照)を構成する。X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47は、例えば、ステッピングモータである。
また、印刷部4は、図示しない位置検出センサ(原点センサやエンコーダセンサ等)を有しており、制御部11は、センサからの出力情報に基づいてインクカートリッジ7の位置を正確に把握しつつ、インクカートリッジ7を適宜X方向、Y方向に移動させる制御を行う。
なお、印刷部4におけるインクカートリッジ7の位置を、装置の上下方向(Z方向)にも移動可能としてもよい。
【0027】
撹拌部6は、インクカートリッジ7を格納する格納部62を備える。
撹拌部6は、格納部62に格納されたインクカートリッジ7を回転させることで当該インクカートリッジ7に充填されているインクを撹拌する。撹拌部6は、インクを撹拌し、インク中の成分(酸化チタン等)を均一に分散させる。
【0028】
撮像部5は、カメラ51と、光源52とを備えている(
図2、
図3(b)参照)。
カメラ51は、印刷対象である爪Tや爪Tを含む指Uを撮像して爪画像のデータを生成する。また、撮像部5は、印刷部4の格納部42に格納されたインクカートリッジ7の識別情報、及び、撹拌部6の格納部62に格納されたインクカートリッジ7の識別情報を撮像する。
光源52は、例えば、白色LED等の照明灯である。
【0029】
計時部24は、計時回路(RTC:Real Time Clock)を有し、この計時回路により現在日時を計時して制御部11に出力する。
【0030】
通信部25は、ネットワークインターフェース等により構成され、通信ネットワークを介して接続された外部装置との間でデータ通信を行う。
【0031】
印刷装置1に搭載される制御装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有する制御部11と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を有する記憶部12とを備えるコンピュータである。
【0032】
記憶部12には、制御部11が各種処理を行うための各種プログラムを記憶するプログラム記憶領域121が設けられている。また、記憶部12には、処理を行うのに必要な各種情報が記憶されている。また、記憶部12には、印刷装置1における印刷及び撹拌の履歴を示す動作履歴テーブル122が記憶される。
【0033】
制御部11が、プログラム記憶領域121に格納された各種プログラムをRAMの作業領域に展開して実行することによって、印刷装置1の各部の動作を統合的に制御する。すなわち、制御部11は、プログラムとの協働により、印刷装置1が印刷処理、撹拌処理等を行うための各種機能を実現する。
【0034】
制御部11は、印刷部4の各部の動作を制御する。具体的には、制御部11は、位置検出センサからの出力に応じてインクカートリッジ7(印刷ヘッド)の位置を把握し、X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47を動作させて適宜インクカートリッジ7をXY方向に移動させる。また、制御部11は、印刷データに従ってインクカートリッジ7を制御し、印刷対象である爪Tに適宜インクを吐出させる。
【0035】
制御部11は、表示部23の動作を制御する。具体的には、制御部11は、表示部23のディスプレイに表示させる表示データを生成し、表示部23に出力する。例えば、制御部11は、撮像部5により取得された爪画像を表示させるための画像データや、デザイン(ネイルデザイン)等を表示部23に表示させるための表示データ、各種メッセージ画面、案内画面、エラー画面等を表示部23のディスプレイに表示させる表示データ等を生成する。
【0036】
制御部11は、撮像部5のカメラ51及び光源52の動作を制御して、光源52によって爪Tやその周辺を照明させ、カメラ51によって爪画像等を取得させる。
例えば、制御部11は、印刷処理に先立ち、撮像部5を制御して、ユーザの爪Tを含む指Uを撮像させ、撮像により得られた画像データに対して画像処理を行うことにより、爪領域を検出する。
【0037】
図4は、印刷装置1の内部の概略構成を模式的に示した正面図である。
印刷装置1には、撹拌領域60と印刷領域40とが別々に設けられている。撹拌領域60には、撹拌部6が含まれる。印刷領域40には、印刷部4が含まれる。
撹拌領域60の格納部62には、少なくとも一つのインクカートリッジ7を装着可能となっている。
印刷領域40の格納部42には、少なくとも一つのインクカートリッジ7を装着可能となっている。
撹拌領域60の格納部62と、印刷領域40の格納部42とは、異なる位置に配置されている。
【0038】
インクカートリッジ7には、当該インクカートリッジ7の識別情報が記載されている。ここでは、識別情報として、シリアル番号を用いる。例えば、インクカートリッジ7にシリアル番号が印刷されていてもよいし、シリアル番号が記載されたシールがインクカートリッジ7に貼られていてもよい。
【0039】
また、印刷装置1の内部には、ミラー81,82が設けられている。
カメラ51は、ミラー81,82を介して、撹拌領域60又は印刷領域40に格納されたインクカートリッジ7のシリアル番号記載箇所72に記載されたシリアル番号を撮像する。つまり、印刷装置1は、撹拌領域60に格納されたインクカートリッジ7と、印刷領域40に格納されたインクカートリッジ7を、一つのカメラ51で撮像可能な構造となっている。
制御部11は、カメラ51が撮像した画像からシリアル番号を検出し、インクカートリッジ7の固体を識別する。
【0040】
次に、
図5を参照して、撹拌領域60に格納されたインクカートリッジ7のシリアル番号の撮像方法について説明する。
図5に示すように、ミラー81(第1反射部)は、印刷装置1の下方に、鏡面が上側を向くように、カメラ51の画角53内に設けられている。
カメラ51は、撹拌領域60の格納部62に格納されたインクカートリッジ7のシリアル番号記載箇所72に記載されたシリアル番号を撮像する。具体的には、カメラ51は、ミラー81により反射されたインクカートリッジ7(格納部62に格納されたインクカートリッジ7)のシリアル番号記載箇所72に記載されたシリアル番号を撮像する。
ミラー81は、インクカートリッジ7が撹拌領域60内の所定の位置(例えば、
図5に示す位置)にある場合に、シリアル番号記載箇所72がカメラ51に向けて反射される位置に設けられている。つまり、ミラー81は、カメラ51により撮像される画像に、撹拌領域60内の所定の位置にあるインクカートリッジ7のシリアル番号記載箇所72が映り込む位置に設けられている。
【0041】
なお、インクカートリッジ7が
図6に示す位置にある場合には、カメラ51によりインクカートリッジ7のシリアル番号記載箇所72を撮像することはできない。
【0042】
次に、印刷領域40に格納されたインクカートリッジ7のシリアル番号の撮像方法について説明する。
図7(a)は、印刷装置1の印刷領域40を中心とした内部の概略構成を模式的に示した正面図であり、
図7(b)は、印刷領域40の内部の概略構成を模式的に示した側面図である。
ミラー82(第2反射部)は、印刷装置1の手前側の壁面に、鏡面が内側を向くように、カメラ51の画角53内に設けられている。
カメラ51は、印刷領域40の格納部42に格納されたインクカートリッジ7のシリアル番号記載箇所72に記載されたシリアル番号を撮像する。具体的には、カメラ51は、ミラー82により反射されたインクカートリッジ7(格納部42に格納されたインクカートリッジ7)のシリアル番号記載箇所72に記載されたシリアル番号を撮像する。
ミラー82は、インクカートリッジ7が印刷領域40内の所定の位置(例えば、
図7(a)及び(b)に示す位置)にある場合に、シリアル番号記載箇所72がカメラ51に向けて反射される位置に設けられている。つまり、ミラー82は、カメラ51により撮像される画像に、印刷領域40内の所定の位置にあるインクカートリッジ7のシリアル番号記載箇所72が映り込む位置に設けられている。
【0043】
なお、撹拌領域60と印刷領域40との間に仕切り(壁)は必要ない。ただし、カメラ51が撹拌領域60に格納されたインクカートリッジ7のシリアル番号記載箇所72を撮像する際に、シリアル番号の撮像を妨げないものであれば、撹拌領域60と印刷領域40との間の一部に仕切りが配置されていてもよい。
【0044】
次に、撹拌時間と静置時間(撹拌されていない時間)の管理について説明する。
制御部11は、撹拌領域60(撹拌部6)の格納部62又は印刷領域40(印刷部4)の格納部42に格納されたインクカートリッジ7のそれぞれについて、撮像部5が撮像することで取得した当該インクカートリッジ7のシリアル番号と対応付けて、当該インクカートリッジ7が格納部62又は格納部42に格納された日時である格納日時、及び、当該インクカートリッジ7が格納部62に格納された場合の撹拌部6において撹拌された時間である撹拌時間を記憶部12(動作履歴テーブル122)に記憶させる。
【0045】
制御部11は、撹拌部6の格納部62にインクカートリッジ7が格納された日時(格納日時)、撹拌部6において実際に撹拌を行った日時(撹拌開始日時、撹拌終了日時)と撹拌時間を管理する。
【0046】
印刷領域40では撹拌が実施されないため、印刷部4の格納部42に格納されたインクカートリッジ7は静置状態とみなされる。
制御部11は、印刷部4の格納部42にインクカートリッジ7が格納された日時(格納日時)、静置時間を管理する。
【0047】
制御部11は、シリアル番号にて識別したインクカートリッジ7の個体ごとに、撹拌領域60への格納日時、撹拌開始日時、撹拌終了日時、撹拌時間、印刷領域40への格納日時、静置時間等を対応付けて管理する。
なお、各情報の管理は、各情報を直接記憶することに限定されず、各情報を算出するために必要な情報を記憶することも含む。例えば、撹拌開始日時及び撹拌終了日時が記憶されていれば、撹拌時間を算出することができる。
【0048】
制御部11は、記憶部12(動作履歴テーブル122)に記憶されている格納日時及び撹拌時間のうち、処理対象のインクカートリッジ7のシリアル番号と対応付けられている情報に基づいて、処理対象のインクカートリッジ7が撹拌部6(格納部62)において新たに撹拌される時間、又は、処理対象のインクカートリッジ7を使用した印刷部4(格納部42)による印刷動作のうち少なくともいずれか一方を制御する。
印刷動作の制御には、例えば、印刷可否の制御が含まれる。
【0049】
制御部11は、記憶部12に記憶されている処理対象のインクカートリッジ7のシリアル番号と対応付けられている格納日時及び撹拌時間に基づいて、処理対象のインクカートリッジ7が撹拌部6において撹拌されていない時間である静置時間を算出する。制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7の静置時間が長いほど、処理対象のインクカートリッジ7が撹拌部6において新たに撹拌される時間が長くなるように制御する。
【0050】
静置時間は、撹拌部6において撹拌されていない時間である。静置時間は、例えば、最新の撹拌終了日時から現在までの経過時間、撹拌終了日時から次の撹拌に係る撹拌開始日時までの時間等である。インクカートリッジ7の静置時間によって、インクカートリッジ7に必要となる撹拌時間が異なるため、制御部11は、それぞれの静置時間に応じて、必要な時間だけ撹拌を実施する。
【0051】
図8に、静置時間に応じた撹拌時間の例を示す。例えば、インクカートリッジ7を初めて使用する時に(状態A)、必要な撹拌時間は「24時間」である。静置時間が「1か月以上」である場合に(状態B)、必要な撹拌時間は「24時間」である。静置時間が「3日以上1か月未満」である場合に(状態C)、必要な撹拌時間は「8時間」である。静置時間が「1日以上3日未満」である場合に(状態D)、必要な撹拌時間は「3時間」である。
なお、
図8は一例であり、必要となる撹拌時間は、インクの特性によって異なる。
図8に示すような静置時間と撹拌時間との対応関係は、記憶部12に予め記憶されている。例えば、静置時間と撹拌時間との対応関係として、計算式が用意されていてもよいし、対応テーブルが記憶されていてもよい。
【0052】
制御部11は、記憶部12に記憶されている処理対象のインクカートリッジ7のシリアル番号と対応付けられている最新の撹拌時間が、静置時間に応じて予め定められた所定時間(撹拌推奨時間)未満である場合に、処理対象のインクカートリッジ7を使用した印刷部4による印刷動作を禁止する。
【0053】
<印刷装置の動作>
次に、本実施形態における動作について説明する。
図9及び
図10は、印刷装置1において実行される撹拌領域側処理を示すフローチャートである。
【0054】
まず、制御部11は、撹拌領域60(撹拌部6)の格納部62にインクカートリッジ7が格納されたことを検出する(ステップS1)。例えば、制御部11は、撹拌領域60のカバー61に対する開閉動作が行われた場合に、格納部62にインクカートリッジ7が格納されたと判断する。また、制御部11は、格納部62に設けられたセンサによりインクカートリッジ7が新たに検出された場合に、インクカートリッジ7が格納部62に格納されたと判断してもよい。また、インクカートリッジ7が格納部62に格納された場合に、ユーザが操作部22から所定の操作指示を入力してもよい。
【0055】
次に、制御部11は、撹拌部6を制御して、格納部62に格納されたインクカートリッジ7を、シリアル番号を識別可能な位置へ回転させる(ステップS2)。制御部11は、
図5に示すように、ミラー81により反射されたインクカートリッジ7のシリアル番号を、カメラ51により撮像し得る位置まで、インクカートリッジ7を回転させる。
【0056】
次に、制御部11は、撮像部5を制御して、カメラ51により、ミラー81を介して、格納部62に格納されているインクカートリッジ7のシリアル番号を撮像させる(ステップS3)。
次に、制御部11は、撮像により得られた画像データを解析して、格納部62に格納されているインクカートリッジ7のシリアル番号を識別する(ステップS4)。例えば、制御部11は、光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)により、シリアル番号を取得する。
【0057】
次に、制御部11は、計時部24から現在日時を取得し、シリアル番号と現在日時(撹拌領域60への格納日時)を対応付けて記憶部12に記憶させる(ステップS5)。具体的には、制御部11は、格納部62に格納されているインクカートリッジ7のシリアル番号と対応付けて、撹拌領域60への格納日時を動作履歴テーブル122に記録する。
【0058】
ここで、制御部11は、撹拌領域60に格納されているインクカートリッジ7(処理対象のインクカートリッジ7)について、静置時間を計測中であるか否かを判断する(ステップS6)。
制御部11は、静置時間を計測中であると判断した場合には(ステップS6;YES)、静置時間の計測を停止する(ステップS7)。具体的には、制御部11は、計時部24から現在日時を取得し、動作履歴テーブル122を参照して、ステップS4で識別されたシリアル番号と対応付けられた最新の撹拌終了日時から現在日時までの時間を、静置時間として算出する。
【0059】
制御部11は、ステップS7の後、又は、ステップS6において、静置時間を計測中でないと判断した場合には(ステップS6;NO)、処理対象のインクカートリッジ7が初めて使用するものであるか否かを判断する(ステップS8)。例えば、制御部11は、動作履歴テーブル122を参照して、ステップS4で識別されたシリアル番号と対応付けられた撹拌の履歴がない場合に、初めて使用するものであると判断する。
【0060】
制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7が初めて使用するものであると判断した場合には(ステップS8;YES)、新品のインクカートリッジ7用の撹拌時間を設定する(ステップS9)。例えば、制御部11は、
図8に示す対応関係を参照して、初めて使用する時に必要な撹拌時間である「24時間」に設定する。
【0061】
制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7が初めて使用するものでないと判断した場合(ステップS8;NO)、すなわち、過去に使用したことがあると判断した場合には、ステップS4で識別されたシリアル番号と対応付けられた最新の静置時間(ステップS7で得られた静置時間)に基づいて、撹拌時間を設定する(ステップS10)。具体的には、制御部11は、静置時間が長いほど、撹拌時間が長くなるようにする。例えば、制御部11は、
図8に示す対応関係を参照して、静置時間に対応する撹拌時間に設定する。
【0062】
制御部11は、ステップS9又はステップS10の後、撹拌部6を制御して、インクカートリッジ7の撹拌を開始させる(ステップS11)。具体的には、制御部11は、撹拌部6を制御して、処理対象のインクカートリッジ7を回転させることで、当該インクカートリッジ7に充填されているインクを撹拌させる。
【0063】
また、制御部11は、計時部24から現在日時を取得し、シリアル番号と現在日時(撹拌開始日時)を対応付けて記憶部12に記憶させる(ステップS12)。具体的には、制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7のシリアル番号と対応付けて、撹拌開始日時を動作履歴テーブル122に記録する。なお、撹拌開始日時を、撹拌領域60への格納日時と同じとみなして、ステップS12の処理を省略してもよい。
【0064】
次に、
図10に移り、制御部11は、撹拌領域60のカバー61が開けられたか否かを判断する(ステップS13)。
制御部11は、撹拌領域60のカバー61が開けられていないと判断した場合には(ステップS13;NO)、設定された撹拌時間が終了したか否かを判断する(ステップS14)。具体的には、制御部11は、計時部24から現在日時を取得して、撹拌開始日時から現在日時までの時間を算出する。そして、制御部11は、算出された時間を、ステップS9又はステップS10で設定された撹拌時間と比較し、設定された撹拌時間が終了したか否かを判断する。
制御部11は、設定された撹拌時間が終了していないと判断した場合には(ステップS14;NO)、処理をステップS13に戻す。
【0065】
制御部11は、ステップS13において、撹拌領域60のカバー61が開けられたと判断した場合には(ステップS13;YES)、撹拌部6を制御して、インクカートリッジ7の撹拌を停止させる(ステップS17)。この状況は、設定された撹拌時間が終了する前に、撹拌領域60のカバー61が開けられた場合である。
【0066】
制御部11は、ステップS14において、設定された撹拌時間が終了したと判断した場合には(ステップS14;YES)、動作履歴テーブル122において、処理対象のインクカートリッジ7のシリアル番号に対応する印刷OKフラグをONにする(ステップS15)。
また、制御部11は、設定された撹拌時間が終了したことを表示部23に表示させたり、音声を出力したりして、ユーザに通知してもよい。
【0067】
次に、制御部11は、撹拌領域60のカバー61が開けられたか否かを判断する(ステップS16)。
制御部11は、撹拌領域60のカバー61が開けられていないと判断した場合には(ステップS16;NO)、処理をステップS16に戻す。
【0068】
制御部11は、ステップS16において、撹拌領域60のカバー61が開けられたと判断した場合には(ステップS16;YES)、撹拌部6を制御して、インクカートリッジ7の撹拌を停止させる(ステップS17)。
【0069】
ステップS17の後、制御部11は、計時部24から現在日時を取得し、シリアル番号と対応付けて、現在日時(撹拌終了日時)及び撹拌時間を記憶部12に記憶させる(ステップS18)。具体的には、制御部11は、ステップS12で記憶した撹拌開始日時から撹拌終了日時までの撹拌時間を算出する。そして、制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7のシリアル番号と対応付けて、撹拌終了日時と撹拌時間を動作履歴テーブル122に記録する。
【0070】
また、制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7に対し、撹拌の停止を契機として、静置時間の計測を開始する(ステップS19)。
以上で、撹拌領域側処理が終了する。
【0071】
図11は、印刷装置1において実行される印刷領域側処理を示すフローチャートである。
【0072】
まず、制御部11は、印刷領域40(印刷部4)の格納部42にインクカートリッジ7が格納されたことを検出する(ステップS21)。例えば、制御部11は、印刷領域40のカバー41に対する開閉動作が行われた場合に、格納部42にインクカートリッジ7が格納されたと判断する。また、制御部11は、格納部42に設けられたセンサによりインクカートリッジ7が新たに検出された場合に、インクカートリッジ7が格納部42に格納されたと判断してもよい。また、インクカートリッジ7が格納部42に格納された場合に、ユーザが操作部22から所定の操作指示を入力してもよい。
【0073】
次に、制御部11は、印刷部4を制御して、格納部42に格納されたインクカートリッジ7を、シリアル番号を識別可能な位置へ移動させる(ステップS22)。制御部11は、
図7(a)及び(b)に示すように、ミラー82により反射されたインクカートリッジ7のシリアル番号を、カメラ51により撮像し得る位置まで、インクカートリッジ7を移動させる。
【0074】
次に、制御部11は、撮像部5を制御して、カメラ51により、ミラー82を介して、格納部42に格納されているインクカートリッジ7のシリアル番号を撮像させる(ステップS23)。
次に、制御部11は、撮像により得られた画像データを解析して、格納部42に格納されているインクカートリッジ7のシリアル番号を識別する(ステップS24)。
【0075】
次に、制御部11は、計時部24から現在日時を取得し、シリアル番号と現在日時(印刷領域40への格納日時)を対応付けて記憶部12に記憶させる(ステップS25)。具体的には、制御部11は、格納部42に格納されているインクカートリッジ7のシリアル番号と対応付けて、印刷領域40への格納日時を動作履歴テーブル122に記録する。
【0076】
次に、制御部11は、動作履歴テーブル122を参照して、格納部42に格納されているインクカートリッジ7(処理対象のインクカートリッジ7)のシリアル番号に対応する印刷OKフラグがONであるか否かを判断する(ステップS26)。
【0077】
制御部11は、印刷OKフラグがONであると判断した場合には(ステップS26;YES)、ユーザによる操作部22からの操作により、印刷指示があったか否かを判断する(ステップS27)。
【0078】
制御部11は、印刷指示があったと判断した場合には(ステップS27;YES)、撮像部5を制御して、カメラ51により爪Tを撮像させ(ステップS28)、撮像により得られた画像データから爪領域を認識する(ステップS29)。制御部11は、印刷データを爪領域の形状及び大きさに合わせておく。
【0079】
次に、制御部11は、印刷部4を制御して、指配置部3に置かれた指Uの爪領域に相当する領域に対して、印刷データに従ってインクカートリッジ7(印刷ヘッド)に印刷を行わせる(ステップS30)。そして、制御部11は、処理をステップS27に戻す。
【0080】
制御部11は、ステップS27において、印刷指示がないと判断した場合には(ステップS27;NO)、処理対象のインクカートリッジ7についての静置時間を算出する(ステップS31)。具体的には、制御部11は、計時部24から現在日時を取得し、動作履歴テーブル122を参照して、ステップS24で識別されたシリアル番号と対応付けられた最新の撹拌終了日時から現在日時までの時間を、静置時間として算出する。
【0081】
ここで、制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7の静置時間が24時間以上であるか否かを判断する(ステップS32)。ステップS32において、閾値に用いる「24時間」は、撹拌終了からの使用可能な時間であり、インクの特性に応じて適宜変更可能である。
制御部11は、静置時間が24時間未満であると判断した場合には(ステップS32;NO)、処理をステップS27に戻す。
【0082】
制御部11は、静置時間が24時間以上であると判断した場合には(ステップS32;YES)、動作履歴テーブル122において、処理対象のインクカートリッジ7のシリアル番号に対応する印刷OKフラグをクリアする(ステップS33)。
【0083】
制御部11は、ステップS33の後、又は、ステップS26において、印刷OKフラグがONでないと判断した場合には(ステップS26;NO)、処理対象のインクカートリッジ7の撹拌を案内する(ステップS34)。例えば、制御部11は、インクカートリッジ7を撹拌領域60に格納するように促す旨のメッセージを表示部23に表示させる。
以上で、印刷領域側処理が終了する。
【0084】
なお、制御部11は、撹拌を案内した後、印刷領域40からインクカートリッジ7が取り出されたことを検出し、その日時を記憶させてもよい。例えば、制御部11は、印刷領域40のカバー41が開けられたことで、インクカートリッジ7が取り出されたと判断する。
【0085】
図12に、動作履歴テーブル122の例を示す。動作履歴テーブル122には、インクカートリッジ7のシリアル番号と対応付けられて、印刷装置1における動作と、その日時と、インクカートリッジ7の状態と、印刷OKフラグと、が格納されている。
【0086】
動作履歴テーブル122のレコードR1には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、印刷領域40への格納日時である「2023/2/5 9:00」が記録されている。この時、インクカートリッジ7は、未使用の状態であったこととする。
この場合、制御部11は、
図11のステップS26において、印刷OKフラグがONでないと判断するため(ステップS26;NO)、インクカートリッジ7の撹拌を案内することになる(ステップS34)。
レコードR2には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、撹拌を案内したこと、案内した日時、印刷OKフラグがOFF(印刷NG)であることが記録されている。
【0087】
レコードR3には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、撹拌領域60への格納日時である「2023/2/5 9:04」が記録されている(
図9のステップS5に対応)。
レコードR4には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、撹拌開始日時である「2023/2/5 9:05」が記録されている(
図9のステップS12に対応)。ここで、未使用状態のインクカートリッジ7に対して、撹拌時間(撹拌推奨時間)が24時間(
図8参照)に設定されたこととする(
図9のステップS9に対応)。
【0088】
制御部11は、設定された撹拌時間分の撹拌が終了すると、印刷OKフラグをオン(印刷OK)に変更する(
図10のステップS15)。
レコードR5には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、設定された撹拌時間の終了を通知したこと、通知した日時、これまでの撹拌時間(撹拌開始からの時間)、印刷OKフラグがON(印刷OK)であることが記録されている。
【0089】
ユーザが撹拌領域60からインクカートリッジ7を取り出すために、カバー61を開けると、制御部11は、撹拌部6における撹拌を停止させる(
図10のステップS17)。
レコードR6には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、撹拌終了日時である「2023/2/8 8:58」、撹拌時間である「71時間」が記録されている(
図10のステップS18に対応)。この「71時間」は、撹拌が開始された「2023/2/5 9:05」から撹拌が終了した「2023/2/8 8:58」までの時間に対して、1時間未満を切り捨てた値である。動作履歴テーブル122において記録される撹拌時間及び静置時間については、1時間未満を切り捨てることとする。
【0090】
レコードR7には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、印刷領域40への格納日時である「2023/2/8 9:00」が記録されている(
図11のステップS25に対応)。
【0091】
レコードR8には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、印刷が行われた日時である「2023/2/8 9:30」、静置時間である「0時間」が記録されている(
図11のステップS30に対応)。静置時間の「0時間」は、撹拌が終了した「2023/2/8 8:58」からの時間に対して、1時間未満を切り捨てた値である。
レコードR9には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、印刷待機中の日時である「2023/2/8 9:35」、その時の静置時間である「0時間」が記録されている(
図11のステップS31に対応)。
【0092】
制御部11は、撹拌が終了してからの時間である静置時間が24時間になると、印刷OKフラグをクリアし(
図11のステップS33)、インクカートリッジ7の撹拌を案内する(ステップS34)。
レコードR10には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、撹拌を案内した日時である「2023/2/9 8:58」、その時の静置時間である「24時間」、印刷OKフラグがOFF(印刷NG)であることが記録されている(
図11のステップS33、S34に対応)。
【0093】
ユーザが印刷領域40からインクカートリッジ7を取り出すために、カバー41を開けると、制御部11は、インクカートリッジ7の取り出しを記録する。
レコードR11には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、印刷領域40から取り出された日時である「2023/2/9 9:58」、その時の静置時間である「25時間」が記録されている。
【0094】
レコードR12には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、撹拌領域60への格納日時である「2023/2/9 9:59」が記録されている(
図9のステップS5に対応)。
レコードR13には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、撹拌開始日時である「2023/2/9 10:00」が記録されている(
図9のステップS12に対応)。ここで、静置時間が「25時間」のインクカートリッジ7に対して、撹拌時間(撹拌推奨時間)が3時間(
図8参照)に設定されたこととする(
図9のステップS10)。
【0095】
制御部11は、設定された撹拌時間分の撹拌が終了すると、印刷OKフラグをオン(印刷OK)に変更する(
図10のステップS15)。
レコードR14には、シリアル番号「000A」のインクカートリッジ7について、設定された撹拌時間の終了を通知したこと、通知した日時、これまでの撹拌時間(撹拌開始からの時間)、印刷OKフラグがON(印刷OK)であることが記録されている。
【0096】
次に、
図8に示した状態A~Dのインクカートリッジ7を使用して印刷を行う手順について説明する。
制御部11は、印刷領域40にインクカートリッジ7が格納されると、動作履歴テーブル122を参照し、印刷装置1内のカメラ51の撮像により取得したシリアル番号と対応付けられた撹拌の履歴(時間)があるか否かを確認する。
制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7について、最新の撹拌終了日時からの経過時間(静置時間)が所定時間(使用可能時間。例えば24時間)未満であり、かつ、最新の撹拌時間が前回の静置時間(最新の撹拌時間の直前の静置時間)に応じた所定時間(撹拌推奨時間)以上である場合に、このインクカートリッジ7を使用した印刷部4による印刷動作を許可する。
静置時間が所定時間未満であることは、
図11のステップS32でNOに相当する。
最新の撹拌時間が前回の静置時間に応じた所定時間以上であることは、印刷OKフラグがONであること(
図11のステップS26でYES)に相当する。
【0097】
一方、制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7について、最新の撹拌時間が前回の静置時間に応じた所定時間未満である場合、又は、撹拌が未実施である場合には、このインクカートリッジ7を使用した印刷部4による印刷動作を禁止し、ユーザに撹拌(インクカートリッジ7の撹拌領域60への格納)を促す。
最新の撹拌時間が前回の静置時間に応じた所定時間未満であることは、印刷OKフラグがOFFであること(
図11のステップS26でNO)に相当する。
撹拌が未実施であることは、処理対象のインクカートリッジ7のシリアル番号と対応付けられた撹拌の履歴がないこと(
図11のステップS26でNOに含まれる)に相当する。
【0098】
(状態A)
初めてインクカートリッジ7を使用する場合には、静置時間が長期に亘るため、インク材料(酸化チタン等)の沈降の度合いが大きいことが想定される。よって、
図8に示すように、24時間の撹拌時間が必要となる。
初めて使用するインクカートリッジ7に対して必要な撹拌時間は「24時間」であるから、印刷装置1は、撹拌部6において24時間撹拌を実施した後、印刷部4により印刷可能な状態となり、印刷動作へ進むことができる。
【0099】
(状態B)
静置時間が800時間(33日間)である場合には、静置時間が長期に亘るため、インク材料(酸化チタン等)の沈降の度合いが大きいことが想定される。よって、
図8に示すように、24時間の撹拌時間が必要となる。
図13に、静置時間が800時間のインクカートリッジ7の状態を示す。必要な撹拌時間は「24時間」であるから、印刷装置1は、撹拌部6において24時間撹拌を実施した後、印刷部4により印刷可能な状態となり、印刷動作へ進むことができる。
【0100】
(状態C)
静置時間が96時間(4日間)である場合には、やや長時間の静置状態が続いており、インク材料(酸化チタン等)の沈降が発生していることが想定される。よって、
図8に示すように、8時間の撹拌時間が必要となる。
図14に、静置時間が96時間のインクカートリッジ7の状態を示す。必要な撹拌時間は「8時間」であるから、印刷装置1は、撹拌部6において8時間撹拌を実施した後、印刷部4により印刷可能な状態となり、印刷動作へ進むことができる。
【0101】
(状態D)
静置時間が30時間である場合には、少しだけ静置状態が続いており、インク材料(酸化チタン等)の沈降が少し進行していることが想定される。よって、
図8に示すように、短い時間ではあるが、3時間の撹拌時間が必要となる。
図15に、静置時間が30時間のインクカートリッジ7の状態を示す。必要な撹拌時間は「3時間」であるから、印刷装置1は、撹拌部6において3時間撹拌を実施した後、印刷部4により印刷可能な状態となり、印刷動作へ進むことができる。
【0102】
以上説明したように、本実施形態によれば、撮像部5が撹拌部6の格納部62に格納されたインクカートリッジ7のシリアル番号と、印刷部4の格納部42に格納されたインクカートリッジ7のシリアル番号と、を撮像することで、制御部11は、インクカートリッジ7のシリアル番号を識別するので、コストを抑えつつ、インクカートリッジ7の識別を容易に行うことができる。
また、インクカートリッジ7を撮像してシリアル番号を得るため、ICタグをインクカートリッジ7の一つ一つに付けるよりも安価である。
【0103】
また、撮像部5は、印刷対象である爪Tを撮像するために従来から搭載されているものであるから、インクカートリッジ7のシリアル番号を撮像するために別途撮像部を設ける必要がなく、コストアップを回避することができる。
【0104】
また、ミラー81,82を用いることで、撮像部5が直接撮像できない位置にあるインクカートリッジ7のシリアル番号を撮像可能となる。
また、ミラー81,82を用いることで、一つの撮像部5(カメラ51)で、異なる場所(撹拌部6の格納部62、印刷部4の格納部42)に設置された二つのインクカートリッジ7のそれぞれを撮像できる。
【0105】
また、撮像部5が撹拌部6により撹拌されるインクカートリッジ7のシリアル番号を撮像することで、制御部11は、撹拌されるインクカートリッジ7の識別を容易に行うことができる。
【0106】
また、撮像部5が印刷部4による印刷に使用されるインクカートリッジ7のシリアル番号を撮像することで、制御部11は、印刷に使用されるインクカートリッジ7の識別を容易に行うことができる。
【0107】
また、印刷装置1は、撹拌領域60と印刷領域40とを有し、それぞれの領域に一つ以上のインクカートリッジ7を格納できる。そのため、印刷装置1では、印刷部4により印刷を行いつつ、撹拌部6により常に最適な撹拌具合のインクカートリッジ7を用意することができる。
【0108】
また、制御部11は、インクカートリッジ7の個体ごとに、撹拌部6に格納された日時、印刷部4に格納された日時、撹拌部6における撹拌時間等を管理し、その動作履歴を利用することができる。
制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7のシリアル番号と対応付けられている格納日時及び撹拌時間に基づいて、新たに撹拌される時間、又は、印刷動作のうち少なくともいずれか一方を制御するので、最適なインク状態での印刷を実現できる。
特に、インク材料の沈降が生じやすい白インクによる印刷において、ユーザは、インクカートリッジ7の状態を気にすることなく、印刷装置1を使用できる。
また、ユーザの熟練度にかかわらず、ユーザは機器の案内に従うだけで、最適なインクカートリッジ7のメンテナンスを実施できる。
【0109】
また、制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7の静置時間が長いほど、新たに撹拌される時間が長くなるように制御するので、効率良く撹拌時間を設定できる。
【0110】
また、制御部11は、処理対象のインクカートリッジ7における最新の撹拌時間が、静置時間に応じて予め定められた所定時間未満である場合に、当該インクカートリッジ7を使用した印刷動作を禁止するので、撹拌時間の不足による印刷の不具合を防止できる。
【0111】
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る印刷装置、印刷制御方法及びプログラムの例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0112】
撹拌領域側処理(
図9及び
図10参照)のステップS10では、制御部11が、直前の静置時間に基づいて、静置時間に応じた撹拌時間を設定することとしたが、直前の静置時間だけでなく、それ以前の撹拌時間や静置時間を考慮することとしてもよい。例えば、ある程度長時間の撹拌が行われた後の静置時間が短時間である場合には、短時間の撹拌で状態を回復できる等、インクの特性に応じた時間設定を行うことができる。
【0113】
また、撹拌領域側処理では、制御部11が、撹拌領域60のカバー61が開けられたと判断した場合に、撹拌を停止させることとしたが、設定された撹拌時間が終了した場合に、自動的に撹拌を停止させてもよい。
【0114】
また、制御部11は、撹拌領域側処理のステップS13において、撹拌領域60のカバー61が開けられたと判断した場合に(ステップS13;YES)、撹拌時間が不足していることを通知し、そのまま撹拌を続けるよう案内してもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、白インクの材料として酸化チタンを用いる場合について説明したが、これに限定されない。インクの顔料・染料として、沈降しやすい材料が含まれる場合に、本発明は特に効果がある。
【符号の説明】
【0116】
1 印刷装置
4 印刷部
40 印刷領域
41 カバー
42 格納部
5 撮像部
51 カメラ
52 光源
6 撹拌部
60 撹拌領域
61 カバー
62 格納部
7 インクカートリッジ
10 制御装置
11 制御部
12 記憶部
22 操作部
23 表示部
24 計時部
81 ミラー
82 ミラー
121 プログラム記憶領域
122 動作履歴テーブル
T 爪
U 指