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特開2024-130103コネクタ装置及びコネクタ装置と相手側コネクタ装置との嵌合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130103
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】コネクタ装置及びコネクタ装置と相手側コネクタ装置との嵌合方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20240920BHJP
   H01R 12/77 20110101ALI20240920BHJP
   H01R 43/26 20060101ALI20240920BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R12/77
H01R43/26
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039624
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】大坂 純士
(72)【発明者】
【氏名】横山 陽平
(72)【発明者】
【氏名】本田 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】松永 章宏
【テーマコード(参考)】
5E021
5E063
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA11
5E021FB02
5E021FC29
5E021HB20
5E063KA01
5E223AB31
5E223AC21
5E223BA01
5E223BA07
5E223BA08
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB11
(57)【要約】
【課題】 そのサイズを大きくすることなく基板に所定の強度を持たせるとともに、コネクタ同士の位置合わせを容易に行うことのできる構造を備えたコネクタ装置を提供すること。
【解決手段】 コネクタ装置10は、基板20と、基板20と一体化されたコネクタ30とを備える。基板20には、基板20を貫通する貫通孔22が設けられている。コネクタ30は、実装面34を有しており、実装面34は、基板20側に向けられている。実装面34には、視認マーク345が形成されている。視認マーク345は、貫通孔22を通して視認可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板と一体化されたコネクタとを備えるコネクタ装置であって、
前記基板には、上下方向において前記基板を貫通し且つ前記上下方向と直交する面内において閉じた貫通孔が設けられており、
前記コネクタは、前記上下方向において下側に位置する相手側コネクタと嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の裏面となる実装面とを有しており、
前記実装面は、前記基板側に向いており、
前記実装面には、画像認識可能な視認マークが形成されており、
前記視認マークは、前記貫通孔を通して視認可能である
コネクタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ装置であって、
前記コネクタは、ピッチ方向に長手を有しており、
前記基板は、前記ピッチ方向において、前記コネクタよりも大きなサイズを有しており、
前記基板は、前記ピッチ方向において、前記コネクタに対応する対応ピッチ範囲を有しており、
前記貫通孔は、前記対応ピッチ範囲の内側だけに形成されている
コネクタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタ装置であって、
前記基板は、前記ピッチ方向と直交する幅方向において前記コネクタよりも大きなサイズを有しており、
前記基板は、前記幅方向において、前記コネクタに対応する対応幅範囲を有しており、
前記貫通孔は、前記対応幅範囲の内側だけに形成されている
コネクタ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のコネクタ装置であって、
前記コネクタ装置は、透過性を有するフィルム基板とそのフィルム基板上に形成された配線とを有するフレキシブルプリント回路基板を更に備えており、
前記フレキシブルプリント回路基板は、前記基板と前記コネクタとに挟まれており、
前記コネクタは、前記実装面を前記フレキシブルプリント回路基板に向けて、前記フレキシブルプリント回路基板上に実装されており、
前記基板は、前記フレキシブルプリント回路基板に固定されている
コネクタ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクタ装置であって、
前記フィルム基板は、前記コネクタの前記視認マークに対応する所定領域を有しており、
前記配線は、前記所定領域外の領域だけに形成されている
コネクタ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のコネクタ装置であって、
前記視認マークは、凹凸構造を有している
コネクタ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のコネクタ装置であって、
前記視認マークは、印刷されたものである
コネクタ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のコネクタ装置であって、
前記コネクタは、ピッチ方向に長手を有しており、
前記基板の前記ピッチ方向の端部のサイズは、前記ピッチ方向と直交する幅方向において、前記コネクタの前記ピッチ方向の端部のサイズよりも大きい
コネクタ装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一つに記載のコネクタ装置と、相手側コネクタ装置との嵌合方法であって、
前記相手側コネクタ装置は、相手側基板と、前記相手側基板上に固定された前記相手側コネクタとを備えており、
前記コネクタ装置よりも上方に位置する一台の画像認識センサを用いて、前記コネクタ装置とそのコネクタ装置より下側に位置する前記相手側コネクタ装置とを画像認識する工程と、
画像認識の結果に基づいて、前記上下方向と直交する水平面内における前記コネクタと前記相手側コネクタとの位置を算出する工程と、
算出した位置に基づいて前記水平面内における前記コネクタと前記相手側コネクタの位置合わせをする工程と、
位置合わせ後に、前記上下方向において前記コネクタを前記相手側コネクタに対して相対的に移動させて前記コネクタを前記相手側コネクタに嵌合する工程と
を備える
コネクタ装置と相手側コネクタ装置との嵌合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ装置及びコネクタ装置と相手側コネクタ装置との嵌合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、簡易な構成で、両電気コネクタ同士を容易かつ確実に位置合わせした状態で円滑に嵌合操作を行うことを可能とする技術を開示している。
【0003】
図10を参照すると、特許文献1の第1電気コネクタ91は、第1配線基板93に実装されている。第1配線基板93の裏面には、補強板95が取り付けられている。第2電気コネクタ97は、第2配線基板99に設けられている。第1電気コネクタ91と第2電気コネクタ97とを互いに対向させ接近させることで、これらを嵌合させることができる。
【0004】
図10に示されるように、補強板95には、ピッチ方向の端部951に切欠き部953が設けられている。第1配線基板93にも切欠き部953に対応する切欠き部が設けられている。これにより、第1電気コネクタ91の一部、即ち端部を目視することができる。その結果、第1電気コネクタ91と第2電気コネクタ97とを嵌合させる際に、第2電気コネクタ97に対する第1電気コネクタ91の位置合わせを容易かつ確実に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-096079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1電気コネクタ91を第2電気コネクタ97から抜去する際、補強板95のピッチ方向の端部951に指をかけて上向きの力が加えられる。補強板95には、ピッチ方向の端部951に切欠き部953が設けられているため、指がかけられる部分の幅のサイズは小さい。そのため、第1電気コネクタ91を第2電気コネクタ97から抜去する際に、補強板95の端部951の根元部分に応力が集中し、補強板95が破損する可能性がある。補強板95の幅のサイズを大きくすることでこのような破損を防ぐことはできるが、補強板の大型化、ひいてはコネクタ装置の大型化を招いてしまう。
【0007】
本発明は、そのサイズを必要以上に大きくすることなく補強板(基板)に所定の強度を持たせるとともに、コネクタ同士の位置合わせを容易に行うことのできる構造を備えたコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタ装置として、基板と、前記基板と一体化されたコネクタとを備えるコネクタ装置であって、
前記基板には、上下方向において前記基板を貫通し且つ前記上下方向と直交する面内において閉じた貫通孔が設けられており、
前記コネクタは、前記上下方向において下側に位置する相手側コネクタと嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の裏面となる実装面とを有しており、
前記実装面は、前記基板側に向いており、
前記実装面には、画像認識可能な視認マークが形成されており、
前記視認マークは、前記貫通孔を通して視認可能である
コネクタ装置を提供する。
【0009】
本発明は、第2のコネクタ装置として、第1のコネクタ装置であって、
前記コネクタは、ピッチ方向に長手を有しており、
前記基板は、前記ピッチ方向において、前記コネクタよりも大きなサイズを有しており、
前記基板は、前記ピッチ方向において、前記コネクタに対応する対応ピッチ範囲を有しており、
前記貫通孔は、前記対応ピッチ範囲の内側だけに形成されている
コネクタ装置を提供する。
【0010】
本発明は、第3のコネクタ装置として、第2のコネクタ装置であって、
前記基板は、前記ピッチ方向と直交する幅方向において前記コネクタよりも大きなサイズを有しており、
前記基板は、前記幅方向において、前記コネクタに対応する対応幅範囲を有しており、
前記貫通孔は、前記対応幅範囲の内側だけに形成されている
コネクタ装置を提供する。
【0011】
本発明は、第4のコネクタ装置として、第1のコネクタ装置であって、
前記コネクタ装置は、透過性を有するフィルム基板とそのフィルム基板上に形成された配線とを有するフレキシブルプリント回路基板を更に備えており、
前記フレキシブルプリント回路基板は、前記基板と前記コネクタとに挟まれており、
前記コネクタは、前記実装面を前記フレキシブルプリント回路基板に向けて、前記フレキシブルプリント回路基板上に実装されており、
前記基板は、前記フレキシブルプリント回路基板に固定されている
コネクタ装置を提供する。
【0012】
本発明は、第5のコネクタ装置として、第4のコネクタ装置であって、
前記フィルム基板は、前記コネクタの前記視認マークに対応する所定領域を有しており、
前記配線は、前記所定領域外の領域だけに形成されている
コネクタ装置を提供する。
【0013】
本発明は、第6のコネクタ装置として、第1のコネクタ装置であって、
前記視認マークは、凹凸構造を有している
コネクタ装置を提供する。
【0014】
本発明は、第7のコネクタ装置として、第1のコネクタ装置であって、
前記視認マークは、印刷されたものである
コネクタ装置を提供する。
【0015】
本発明は、第8のコネクタ装置として、第1のコネクタ装置であって、
前記コネクタは、ピッチ方向に長手を有しており、
前記基板の前記ピッチ方向の端部のサイズは、前記ピッチ方向と直交する幅方向において、前記コネクタの前記ピッチ方向の端部のサイズよりも大きい
コネクタ装置を提供する。
【0016】
本発明は、コネクタ装置と相手側コネクタ装置との嵌合方法として、第1から第8のコネクタ装置のいずれか一つと、相手側コネクタ装置との嵌合方法であって、
前記相手側コネクタ装置は、相手側基板と、前記相手側基板上に固定された前記相手側コネクタとを備えており、
前記コネクタ装置よりも上方に位置する一台の画像認識センサを用いて、前記コネクタ装置とそのコネクタ装置より下側に位置する前記相手側コネクタ装置とを画像認識する工程と、
画像認識の結果に基づいて、前記上下方向と直交する水平面内における前記コネクタと前記相手側コネクタとの位置を算出する工程と、
算出した位置に基づいて前記水平面内における前記コネクタと前記相手側コネクタの位置合わせをする工程と、
位置合わせ後に、前記上下方向において前記コネクタを前記相手側コネクタに対して相対的に移動させて前記コネクタを前記相手側コネクタに嵌合する工程と
を備える
コネクタ装置と相手側コネクタ装置との嵌合方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明のコネクタ装置において、コネクタの実装面に形成された視認マークは、基板に設けられた貫通孔を通して視認可能である。これにより、コネクタを相手側コネクタに嵌合させる際に、相手コネクタに対するコネクタの位置を視認することができ、コネクタと相手側コネクタとの位置合わせを容易に行うことができる。
【0018】
また、本発明のコネクタ装置において、基板に設けられた貫通孔は、上下方向と直交する面内において閉じている。これは、貫通孔が基板の縁から離れていることを意味する。換言すると、貫通孔は、コネクタを相手側コネクタから抜去する際に指がかかる基板の部分から離れている。これにより、基板は、そのサイズを必要以上に大きくすることなく所定の強度を有することができ、基板の損傷を防止することができる。
【0019】
本発明のコネクタ装置と相手側コネクタ装置との嵌合方法は、上記コネクタ装置を用いることにより、一台の画像認識センサを用いて、コネクタと相手側コネクタの位置を画像認識することができる。これにより、コネクタを相手側コネクタに嵌合させる嵌合システムの構成を簡略化するとともに、その画像処理を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態によるコネクタ装置を示す平面図である。
図2図1のコネクタ装置を示す底面図である。
図3図1のコネクタ装置に含まれるコネクタを示す平面図である。
図4図3のコネクタを示す斜視図である。
図5図4のコネクタの変形例を示す斜視図である。
図6図3のコネクタ装置と嵌合可能な相手側コネクタを備える相手側コネクタ装置を示す平面図である。
図7図1のコネクタ装置と図6の相手側コネクタ装置とが嵌合する嵌合工程を説明するための側面図である。コネクタ装置のコネクタと相手側コネクタ装置の相手側コネクタとは、上下方向において互いに離れており、かつ幅方向において互いに離れている。
図8図1のコネクタ装置と図6の相手側コネクタ装置とが嵌合する嵌合工程を説明するための別の側面図である。コネクタと相手側コネクタとは、上下方向において互いに離れているが、幅方向において互いに一致している。
図9図1のコネクタ装置と図6の相手側コネクタ装置とが嵌合する嵌合工程を説明するための更に別の側面図である。コネクタと相手側コネクタとは、互いに嵌合している。
図10】特許文献1に開示された第1電気コネクタと第2電気コネクタとを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施の形態によるコネクタ装置10は、基板20と、基板20と一体化されたコネクタ30とを備えている。本実施の形態において、コネクタ装置10は、フレキシブルプリント回路基板40を更に備えており、コネクタ30は、フレキシブルプリント回路基板40を介して基板20と一体化されている。本実施の形態において、基板20は、補強板として機能する。ただし、本発明は、これに限られない。本発明において、フレキシブルプリント回路基板40は必須ではない。本発明は、フレキシブルプリント回路基板40を備えておらず、基板20がリジッドな回路基板であるコネクタ装置にも適用可能である。
【0022】
図1及び図2から理解されるように、基板20、フレキシブルプリント回路基板40及びコネクタ30は、上下方向において、この順に並んでいる。つまり、フレキシブルプリント回路基板40は、上下方向において、基板20とコネクタ30とに挟まれている。詳しくは、コネクタ30は、フレキシブルプリント回路基板40の下面に搭載され、基板20は、フレキシブルプリント回路基板40の上面に固定されている。なお、本実施の形態において、上下方向は、Z方向である。+Z方向が上方であり、-Z方向が下方である。
【0023】
図3及び図4を参照すると、コネクタ30は、上下方向と直交するピッチ方向に長手を有する形状を有している。コネクタ30は、複数の端子32と、端子32を保持するハウジング34とを備えている。なお、本実施の形態において、ピッチ方向はX方向である。
【0024】
図1及び図2に示されるように、基板20は、ピッチ方向に長い矩形の形状を有している。図1及び図2から理解されるように、ピッチ方向において、基板20は、コネクタ30よりも大きなサイズを有している。コネクタ30は、ピッチ方向において基板20の両縁から離れており、基板20は、ピッチ方向において、コネクタ30に対応する対応ピッチ範囲Rpを有している。
【0025】
図1及び図2から理解されるように、上下方向及びピッチ方向の双方と直交する幅方向において、基板20は、コネクタ30よりも大きなサイズを有している。コネクタ30は、幅方向において基板20の両縁から離れており、基板20は、幅方向において、コネクタ30に対応する対応幅範囲Rwを有している。本実施の形態において、対応幅範囲Rwは、コネクタ30のハウジング34に対応している。なお、本実施の形態において、幅方向はY方向である。
【0026】
上述したように、本実施の形態において、基板20は矩形の形状を有している(図1参照)。換言すると、基板20は、特許文献1の補強板に形成されていた切欠き部953のような切欠き部を有していない。したがって、幅方向において、基板20のピッチ方向の端部のサイズは、コネクタ30のピッチ方向の端部のサイズよりも大きい。これにより、基板20は、幅方向のサイズを必要以上に大きくすることなく所定の強度を有することができる。それゆえ、コネクタ30を相手側コネクタ70(図6参照)から抜去する際に、基板20に働く応力によって基板20が損傷することが防止される。
【0027】
図1及び図2に示されるように、フレキシブルプリント回路基板40は、ピッチ方向において、基板20と同一のサイズを有している。また、幅方向において、フレキシブルプリント回路基板40は、基板20よりも大きなサイズを有している。幅方向において、フレキシブルプリント回路基板40の一方の縁は、基板20の一方の縁と一致している。ただし、本発明は、これに限られない。フレキシブルプリント回路基板40はピッチ方向において基板20よりも小さいサイズを有していてもよい。
【0028】
図1に示されるように、基板20には、上下方向において基板20を貫通しかつ上下方向と直交する面内において閉じた貫通孔22が設けられている。貫通孔22の形状は、特に限定されず、多角形であってもよい。しかしながら、基板20に働く応力を考慮すると、貫通孔22の形状は、円形であることが好ましい。また、貫通孔22のサイズは、基板20の強度低下を抑制すため、できるだけ小さいことが好ましい。ただし、貫通孔22を通して後述する視認マーク345を視認できることを条件とする。
【0029】
図1及び図2から理解されるように、貫通孔22は、基板20の対応ピッチ範囲Rpの内側だけに形成されている。また、貫通孔22は、基板20の対応幅範囲Rwの内側だけに形成されている。これは、貫通孔22を通して後述する視認マーク345を視認できるようにするためである。本実施の形態において、貫通孔22は、ピッチ方向において基板20の中央に位置している。また、本実施の形態において、貫通孔22は、幅方向において基板20の中央に位置している。貫通孔22の位置は、対応ピッチ範囲Rpの内側かつ対応幅範囲Rwの内側であれば、特に限定されない。しかしながら、コネクタ30の挿抜時に基板20に働く応力等を考慮して、貫通孔22は、ピッチ方向及び幅方向の夫々において、基板20の中央に位置していることが好ましい。
【0030】
図1及び図2に加えて図3及び図4を参照すると、コネクタ30は、相手側コネクタ70(図6参照)と嵌合する嵌合部341と、嵌合部341の裏面となる実装面343とを有している。本実施の形態において、嵌合部341は、上下方向において下方へ向けられており、上下方向においてコネクタ装置10の下側に位置する相手側コネクタ70(図6参照)と嵌合する。
【0031】
図3及び図4に示されるように、コネクタ30の実装面343には、画像認識可能な視認マーク345が形成されている。本実施の形態において、視認マーク345は、ピッチ方向及び幅方向のそれぞれにおいてコネクタ30の中央に位置している。本発明において、視認マーク345の位置は、特に限定されないが、基板20の形状及びサイズや貫通孔22の位置を考慮して決定される。
【0032】
図3及び図4に示されるように、本実施の形態において、視認マーク345の形状は、十字マークである。ただし、本発明は、これに限られない。視認マーク345の形状は、十字マーク以外の形状、例えば円形等であってもよい。
【0033】
図4に示されるように、本実施の形態において、視認マーク345は、実装面343から下方へ凹んだ窪みである。ただし、本発明は、これに限られない。視認マーク345は、実装面343から上方へ盛り上がった隆起であってもよい。このように、視認マーク345は、凹構造又は凸構造、若しくは凹凸構造を有するものであってよい。また、視認マーク345は、図5に示されるように、実装面343と実質的に同一平面上にあってもよい。視認マーク345は、例えば、実装面343にレーザ加工して形成されたものであってもよいし、印刷により形成されたものであってよい。
【0034】
図1及び図2から理解されるように、コネクタ30は、実装面343が基板20側に向くように、フレキシブルプリント回路基板40に実装される。本実施の形態において、コネクタ30は、実装面343をフレキシブルプリント回路基板40に向けて、フレキシブルプリント回路基板40上に実装される。これにより、コネクタ30の実装面343は、基板20側に向いている。
【0035】
図1に示されるように、コネクタ30の実装面343に形成された視認マーク345は、基板20に設けられた貫通孔22を通して視認可能である。これを実現するため、コネクタ30は、ピッチ方向及び幅方向のそれぞれにおいて、視認マーク345が貫通孔22と少なくとも部分的に重複するように、フレキシブルプリント回路基板40に実装される。ここで、フレキシブルプリント回路基板40は、フィルム基板42と、フィルム基板42上に形成された配線(図示せず)とを有している。フィルム基板42を通して視認マーク345を視認できるように、フィルム基板42は透過性を有している。また、フィルム基板42は、視認マーク345に対応する所定領域を有しており、配線は、所定領域外の領域だけに形成されている。なお、本発明における「視認」は、画像認識センサ80(図7参照)で認識できること、即ち画像認識できることを意味する。また、「透過性」は、画像認識に使用される光を透過することを意味し、フィルム基板42は無色透明である必要はない。例えば、フィルム基板42は、黄褐色等の色を有するものであってもよい。
【0036】
図6を参照すると、相手側コネクタ装置50は、相手側基板60と、相手側基板60の上面上に固定された相手側コネクタ70とを備えている。相手側コネクタ装置50に対するコネクタ装置10の嵌合は、以下のように行われる。
【0037】
まず、図7に示されるように、コネクタ装置10と相手側コネクタ装置50とを夫々初期位置に配置する。コネクタ装置10の初期位置は、上下方向において相手側コネクタ装置50の初期位置よりも上方の位置である。また、コネクタ装置10の初期位置は、コネクタ装置10よりも上方に位置する一台の画像認識センサ80により、視認マーク345を画像認識できる位置である。更に、相手側コネクタ装置50の初期位置は、画像認識センサ80により、相手側コネクタ70の少なくともと一部を画像認識できる位置である。
【0038】
次に、夫々初期位置に配置されたコネクタ装置10と相手側コネクタ装置50とを画像認識センサ80により画像認識する。
【0039】
次に、画像認識センサ80に接続された制御装置(図示せず)は、画像認識センサ80による画像認識結果に基づいて、上下方向と直交する水平面内におけるコネクタ装置10の位置と相手側コネクタ装置50の位置とを算出する。このとき、コネクタ装置10及び相手側コネクタ装置50の一方を基準として、他方の相対位置を算出してもよい。
【0040】
次に、制御装置(図示せず)は、算出したコネクタ装置10の位置と相手側コネクタ装置50の位置とに基づいて、マニピュレータ(図示せず)を操作して、水平面内におけるコネクタ30と相手側コネクタ70の位置合わせを行う。詳しくは、図8に示されるように、コネクタ30が相手側コネクタ70の真上に位置するように、コネクタ装置10及び相手側コネクタ装置50の少なくとも一方を水平面内で移動させる。
【0041】
最後に、制御装置(図示せず)は、マニピュレータ(図示せず)を操作し、上下方向において、コネクタ装置10及び相手側コネクタ装置50の一方を他方に対して相対的に移動させ、図9に示されるように、コネクタ30を相手側コネクタ70と嵌合させる。
【0042】
以上のように、本実施の形態によるコネクタ装置10と相手側コネクタ装置50との嵌合方法によれば、単一の画像認識センサ80を用いて、コネクタ装置10の位置と相手側コネクタ装置50の位置とを画像認識できる。したがって、コネクタ30を相手側コネクタ70と嵌合させる嵌合システムの構成を簡略化できる。また、嵌合システムにおける画像処理工程を簡易化することができる。
【0043】
嵌合状態(図9参照)にあるコネクタ30を相手側コネクタ70から抜去する際、基板20のピッチ方向の端部に指がかけられ、コネクタ装置10を相手側コネクタ装置50から引き離す方向の力が基板20に加えられる。上述したように、幅方向において、基板20のピッチ方向の端部のサイズは、コネクタ30のピッチ方向の端部のサイズよりも大きい。これにより、基板20は、幅方向のサイズを必要以上に大きくすることなく所定の強度を有する。そして、基板20が所定の強度を有するので、コネクタ30を相手側コネクタ70から抜去する際の基板20の損傷を防止することができる。
【0044】
以上、本発明について、実施の形態を掲げて説明してきたが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、上下方向に沿って見たとき、貫通孔22のサイズは視認マーク345のサイズより大きいが、視認マーク345の向き及び位置が画像認識できるのであれば、貫通孔22のサイズは、視認マーク345のサイズより小さくてもよい。また、貫通孔22及び視認マーク345は、夫々複数設けられてもよい。しかしながら、基板20の強度低下を考慮して貫通孔22及び視認マーク345は、夫々一つであることが好ましい。
【符号の説明】
【0045】
10 コネクタ装置
20 基板
22 貫通孔
30 コネクタ
32 端子
34 ハウジング
341 嵌合部
343 実装面
345 視認マーク
40 フレキシブルプリント回路基板
42 フィルム基板
50 相手側コネクタ装置
60 相手側基板
70 相手側コネクタ
80 画像認識センサ
Rp 対応ピッチ範囲
Rw 対応幅範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10