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特開2024-130107管およびそれを用いた管路の構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130107
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】管およびそれを用いた管路の構築方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
F16L1/00 P
F16L1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039629
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(71)【出願人】
【識別番号】590000916
【氏名又は名称】株式会社オカトク
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】関根 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】硲 昌也
(72)【発明者】
【氏名】奥田 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】二村 恵一
(72)【発明者】
【氏名】山内 修二
(57)【要約】
【課題】新設管路を構築するためのパイプインパイプ工法において、簡単な構成で、さや管内での管の位置決めを正確に行えるようにする。
【解決手段】さや管20に挿入される管10の管本体11の外周にカラーや管本体11の外周面の上部を覆うプレート14を装着し、そのカラーやプレート14の上部の径方向外側に複数の充填材注入パイプ15を設けて、各充填材注入パイプ15でさや管20と管10の管本体11の隙間に充填材を注入したときに、充填材注入パイプ15の外周面が摩擦低減材30を介してさや管20の内周面に当接することにより、さや管20内での管10の浮き上がりが最小限に抑えられて、管10が正確に位置決めされるようにした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に埋設されたさや管内に新設管路を構築するパイプインパイプ工法におけるさや管に挿入される管において、
管本体と、前記さや管と前記管本体の隙間に充填材を注入するための充填材注入パイプとを備え、
前記管本体の外周にはカラーが装着されており、
前記充填材注入パイプは、前記カラーの上部の径方向外側に設けられていることを特徴とする管。
【請求項2】
地盤に埋設されたさや管内に新設管路を構築するパイプインパイプ工法におけるさや管に挿入される管において、
管本体と、前記さや管と前記管本体の隙間に充填材を注入するための充填材注入パイプとを備え、
前記管本体の軸方向の少なくとも一部には、その部分の外周面の上部を覆うプレートが設けられており、
前記充填材注入パイプは、前記プレートの上部の径方向外側に設けられていることを特徴とする管。
【請求項3】
地盤に埋設されたさや管に管を挿入して新設管路を構築するパイプインパイプ工法による管路の構築方法において、
前記管は、管本体の上部に、前記さや管と前記管本体の隙間に充填材を注入するための充填材注入パイプを取り付けたものとし、
前記管を前記さや管に挿入して、前記さや管と前記管本体の隙間に充填材を注入したときに、前記充填材注入パイプの外周面が前記さや管の内周面に当接しても自然流下式の管路で必要な勾配を確保できる、さや管の内周面と充填材注入パイプの外周面との間の隙間を設定したことを特徴とする管路の構築方法。
【請求項4】
前記地盤に設けられた縦穴状の搬入路へ搬入した管は、前記さや管に挿入する前に、前記搬入路内において、前記さや管に直前に挿入された管と前記管本体どうしおよび前記充填材注入パイプどうしの接続を行うことを特徴とする請求項3に記載の管路の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプインパイプ工法におけるさや管に挿入される管と、その管を用いた管路の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤に埋設された下水道等の管路が老朽化した場合に管路を更生する方法として、老朽化した既設管路を形成している既設管をさや管とし、そのさや管内にさや管よりも小径の更生管を挿入した後、さや管と更生管の間の隙間にエアモルタル等の充填材を充填して固定することにより新設管路を構築するパイプインパイプ工法が知られている。
【0003】
ただし、パイプインパイプ工法は、さや管と更生管の間に充填材を注入したときに、さや管内で更生管が充填材によって浮き上がりやすいという難点がある。更生管の浮き上がり量が管路方向で不均一になると、特に管路が下水道のような自然流下方式の場合に、流体が下流側へ流下していくための勾配が得られず、流体の滞留が生じるおそれがある。なお、この問題は、新設のシールド管をさや管として新設管路を構築する場合にも生じる。
【0004】
これに対し、特許文献1~3では、既設管路を更生する場合に、充填材の充填工程において、予め、更生管の上部とさや管の間に挿入した膨張可能な管状弾性体に充填材を注入して、充填材で膨張した管状弾性体がさや管の内周面に当接するとともに、更生管の下部をさや管の内周面に押し付けるようにしておくことにより、さや管と更生管の間に充填材を注入したときの更生管の浮き上がりを防止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63-88388号公報
【特許文献2】特許第5014924号公報
【特許文献3】特公昭60-41269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1~3のような更生管の浮上防止技術は、さや管と更生管の間に充填材を充填するための装置と別に管状弾性体を必要とするので、パイプインパイプ工法全体の装置構成を複雑にしてしまう。また、管状弾性体の膨張量が必ずしも管路方向で一定とならないことから、更生管が正確に位置決めされず、自然流下方式の管路で必要な勾配を確保できないおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、新設管路を構築するためのパイプインパイプ工法において、簡単な構成で、さや管内での管の位置決めを正確に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の管は、地盤に埋設されたさや管内に新設管路を構築するパイプインパイプ工法におけるさや管に挿入される管において、管本体と、前記さや管と前記管本体の隙間に充填材を注入するための充填材注入パイプとを備え、前記管本体の外周にはカラーが装着されており、前記充填材注入パイプは、前記カラーの上部の径方向外側に設けられている構成(構成1)を採用した。
【0009】
上記構成1の管を用いたパイプインパイプ工法では、さや管内への管のスムーズな挿入のために管本体に装着される一般的なカラーの上部の径方向外側に充填材注入パイプを設けただけの簡単な構成で、充填材注入パイプの外径に応じてカラーの厚みを調整することによって、さや管と管の間に充填材を注入したときのさや管内での管の浮き上がりを最小限に抑えて、管を正確に位置決めすることができる。
【0010】
あるいは、上記構成1とは別に、地盤に埋設されたさや管内に新設管路を構築するパイプインパイプ工法におけるさや管に挿入される管において、管本体と、前記さや管と前記管本体の隙間に充填材を注入するための充填材注入パイプとを備え、前記管本体の軸方向の少なくとも一部には、その部分の外周面の上部を覆うプレートが設けられており、前記充填材注入パイプは、前記プレートの上部の径方向外側に設けられている構成(構成2)を採用することもできる。
【0011】
上記構成2の管を用いたパイプインパイプ工法でも、構成1の管を用いた場合と同様、鞍状に形成されるプレートの上部の径方向外側に充填材注入パイプを設けただけの簡単な構成で、充填材注入パイプの外径に応じたプレートの厚みの調整によって、充填材注入時のさや管内での管の浮き上がりを最小限に抑えて、管の正確な位置決めを行うことができる。
【0012】
また、本発明の管路の構築方法は、地盤に埋設されたさや管に管を挿入して新設管路を構築するパイプインパイプ工法による管路の構築方法において、前記管は、管本体の上部に、前記さや管と前記管本体の隙間に充填材を注入するための充填材注入パイプを取り付けたものとし、前記管を前記さや管に挿入して、前記さや管と前記管本体の隙間に充填材を注入したときに、前記充填材注入パイプの外周面が前記さや管の内周面に当接しても自然流下式の管路で必要な勾配を確保できる、さや管の内周面と充填材注入パイプの外周面との間の隙間を設定したものである(構成3)。
【0013】
上記構成3の管路の構築方法によれば、構成1または構成2の管を用いた場合と同様、簡単な構成で、さや管内での管の浮き上がり防止と正確な位置決めを行うことができる。
【0014】
また、上記構成3において、前記地盤に設けられた縦穴状の搬入路へ搬入した管は、前記さや管に挿入する前に、前記搬入路内において、前記さや管に直前に挿入された管と前記管本体どうしおよび前記充填材注入パイプどうしの接続を行うようにするとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上述したように、パイプインパイプ工法において、簡単な構成で、充填材注入時のさや管内での管の浮き上がりを抑えて、管を正確に位置決めできるようにしたものであるから、装置構成を複雑にすることなく、自然流下方式の管路で必要な勾配が確保された新設管路を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の管の正面図
図2図1のII-II線に沿った断面図
図3図2のIII-III線に沿った断面図
図4】実施形態の管を用いた管路の構築方法の概略説明図
図5図4のV-V線に沿った断面図
図6図4の管路の構築方法の変形例を示す平面図
図7】その他の管の浮上防止技術を用いた管路の構築方法を説明する断面図
図8図7の要部の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1乃至図6に基づき、本発明の実施形態を説明する。この実施形態は、パイプインパイプ工法によって地盤に埋設された既設管路を更生して新設管路を構築する場合を対象としている。この場合、既設管路を形成する既設管がさや管となり、そのさや管に挿入される管を更生管と称する。図1乃至図3は実施形態の管すなわち更生管10を示す。この更生管10は、管本体11と、管本体11の外周に装着されるカラー12、13と、管本体11の軸方向の一部で外周面の上部を覆うプレート14と、カラー12、13およびプレート14の上部の径方向外側に設けられる3本の充填材注入パイプ15とを備えている。
【0018】
管本体11は、内径が600~1350mmのFRPM管(繊維強化プラスチックと樹脂モルタルを複合した管)からなり、直管部11aと、直管部11aの先端部に連続する挿口部11bと、直管部11aの後端部の外周に取り付けられる受口部11cとを有している。その挿口部11bは外周面が先端に向かって小径となるテーパ形状に形成されており、受口部11cの内周側は別の更生管10の管本体11の挿口部11bを嵌め込み可能に形成されている。すなわち、管本体11の受口部11cへ別の更生管10の管本体11の挿口部11bを嵌め込んで接続する作業を繰り返すことにより、必要な長さの管路を形成できるようになっている。
【0019】
カラー12、13は、後述するように更生管10を既設管路に挿入する際の抵抗を少なくして、既設管路に隙間や段差があっても更生管10がスムーズに移動できるようにするための環状部材である。これらのカラー12、13は、外径が管本体11の受口部11cと同径に形成されて、管本体11の受口部11cに隣接する位置に装着されており、充填材注入パイプ15を安定的に支持する役割も果たしている。
【0020】
プレート14は、充填材注入パイプ15を保持するための部材であり、管本体11の外周に沿う断面円弧状に形成されて、管本体11の外周面のカラー12、13よりも先端側の位置に装着されている。プレート14の外周面からは3対の保持片14aが突出しており、各対の保持片14aどうしの間に、それぞれ充填材注入パイプ15が通されるようになっている。また、この実施形態では、プレート14の内周面と管本体11の外周面との間にゴム板16を挟み込むことにより、プレート14が装着後に位置ずれしにくいようにしている。
【0021】
充填材注入パイプ15は、後述するように既設管路を形成している既設管と更生管10の管本体11との隙間にエアモルタル等の充填材を注入するためのものであり、この実施形態では鋼管を使用しているが、他の剛性を有するパイプを用いることもできる。3本の充填材注入パイプ15の配置は、管本体11の最上部に1本を設け、その両側に対称に1本ずつを設けたものとなっている。なお、充填材注入パイプ15の本数は変更可能であるが、後述する浮上防止効果の面でのバランスを考慮すると、3本以上とすることが望ましい。
【0022】
また、この実施形態の充填材注入パイプ15は、軸方向で2つの短尺管15a、15bに分割し、各短尺管15a、15bの両端部に形成したおねじ部をねじ込み管継手15cで接続して、そのねじ込み管継手15cがプレート14の各対の保持片14a間に挟まれるようにしている。そして、このようにねじ込み管継手15cをプレート14で保持した状態で、ねじ込み管継手15cの前後2箇所ずつをステンレスバンド17で管本体11に縛り付けている。これにより、充填材注入パイプ15は、前述のカラー12、13およびプレート14の上部の径方向外側で管本体11に取り付けられている。
【0023】
次に、図4乃至図5に基づき、上述した実施形態の更生管10を用いた管路の構築方法について説明する。
【0024】
この実施形態の管路の構築方法での作業内容は、通常のパイプインパイプ工法によるものとほぼ同じである。すなわち、図4に示すように、複数のさや管となる既設管(呼び径:700~1500mm)20からなる既設管路の一端付近の地盤に掘設された縦穴状の搬入路としての立坑1を利用して、予め既設管路の内側に不織布等からなる布状の摩擦低減材30を敷設しておき、地上からトラッククレーン2で立坑1内へ搬入した更生管10をさや管(既設管)20へ挿入していく。なお、更生管10の搬入路としては、既設のマンホールを利用することもできる。その挿入の際には、まず、立坑1において、搬入した更生管10の管本体11と充填材注入パイプ15を、さや管20に直前に挿入された更生管10の管本体11と充填材注入パイプ15にそれぞれ接続した後、先に挿入した他の更生管10とともにジャッキ3で既設管路の他端側へ押し込んでいく。なお、ジャッキ3の代わりに、推進機等を用いることもできる。そして、全ての更生管10の挿入が完了した後、既設管路の両端部を塞ぎ、充填材注入パイプ15でさや管20と更生管10の管本体11との隙間に充填材を注入することにより、更生管10を固定して新設管路を構築する。
【0025】
ここで、更生管10の3本の充填材注入パイプ15は、カラー12、13およびプレート14の上部の径方向外側で管本体11に取り付けられているため、さや管20と更生管10の管本体11との隙間に充填材を注入したときには、各充填材注入パイプ15の外周面が摩擦低減材30を介してさや管20の内周面に当接し、これによって更生管10のさや管20内での浮き上がりが最小限に抑えられ、更生管10が正確に位置決めされる。なお、管本体11の最上部に1本の充填材注入パイプ15を設け、その両側に対称に1本ずつ充填材注入パイプ15を設けた配置も、更生管10の浮上防止効果を高めるのに寄与している。
【0026】
また、更生管10をさや管20にスムーズに挿入するには、さや管20と更生管10の管本体11の隙間に充填材を注入する前の状態で、さや管20の内周面と充填材注入パイプ15の外周面との間に多少の隙間がある方がよいが、その隙間が大きいと更生管10の位置決め精度が低下する。したがって、更生管10をさや管20にスムーズに挿入でき、かつ更生管10の位置決めを精度よく行えるように、その隙間を適切に設定することが望ましい。その隙間は、例えば、さや管20の内径が700~900mmの場合、摩擦低減材30(通常3mm程度)を挟んで15mm以下とするとよい。そして、その隙間の設定は、充填材注入パイプ15の外径に応じてカラー12、13やプレート14(およびゴム板16)の厚みを調整することによって容易に行うことができる。
【0027】
この実施形態の更生管10を用いた管路の構築方法では、上述のように、パイプインパイプ工法において、カラー12、13やプレート14の上部の径方向外側に充填材注入パイプ15を設けただけの簡単な構成で、充填材注入時のさや管20内での更生管10の浮き上がりを抑えて、更生管10を正確に位置決めできる。したがって、自然流下方式の管路でも、新設管路が必要な勾配を確実に得られるようにすることができる。
【0028】
図6は上述した管路の構築方法の変形例を示す(更生管のステンレスバンドは図示省略)。この変形例では、3本の充填材注入パイプ15が、それぞれ管路方向の互いに異なる位置で短尺管15bを1本だけ抜いた形態となっている。このようにすれば、各充填材注入パイプ15の注入口15dの管路方向位置が互いに異なり、充填材がさや管20と更生管10の管本体11の間により均一に充填されるようになる。しかも、各充填材注入パイプ15の注入口15dよりも前方の管路(充填材注入パイプ15がダミー管となる部分)も、注入口15dよりも後方の管路と同じ構造となって、新設管路全体で更生管10の浮上防止効果が得られ、更生管10の正確な位置決めが行えるようになる。
【0029】
なお、上述した実施形態は、既設管路を更生する場合について説明したが、本発明は新設のシールド管をさや管として新設管路を構築する場合にも適用することができる。ただし、実施形態のように既設管路を更生する場合の方が、さや管と更生管との隙間が大きくとれないため本発明の効果が大きい。
【0030】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0031】
例えば、更生管の充填材注入パイプを支持するカラーとプレートは、いずれか一方のみを管本体に装着するようにしてもよい。また、管路の構築方法において、摩擦低減材は必ずしも用いなくてもよい。
【0032】
なお、上述した管路の構築方法とは別に、更生管の口径が800mm以上、すなわち、作業員が新設管路内に入って作業できる場合は、図7および図8に示すような更生管50の浮上防止技術を用いた管路の構築方法も考えられる。
【0033】
この更生管50は、管本体51の管軸方向中央位置の最上部に充填材注入孔(グラウトホール)51aが設けられ、管本体51の後端部の上部に2つの浮上防止部材取付孔51bが管本体51の最上部を挟んで対称に設けられている。その充填材注入孔51aと浮上防止部材取付孔51bは同径に形成されており、それぞれ内周に雌ねじを有するソケット52が嵌め込まれている。
【0034】
この更生管50を用いた管路の構築方法は、上述した実施形態の管路の構築方法と同様に全ての更生管50をさや管20へ挿入して、既設管路の両端部を塞いだ後、作業員が新設管路内に入って管本体51の浮上防止部材取付孔51bのソケット52に浮上防止部材(浮上防止用プラグ)53をねじ込む。そして、その浮上防止部材53の先端を摩擦低減材30を介してさや管20の内周面に当接させた後、管本体51の充填材注入孔51aからさや管20と管本体51との隙間に充填材を注入して、更生管50を固定する。最後に、管本体51の充填材注入孔51aと浮上防止部材取付孔51bのそれぞれのソケット52に閉塞用プラグ54をねじ込む。
【0035】
この管路の構築方法でも、充填材を注入したときの更生管50のさや管20内での浮き上がりを防止でき、更生管50を正確に位置決めすることができる。
【0036】
なお、管本体51の充填材注入孔51aと浮上防止部材取付孔51bは、必ずしも同径に形成する必要はないが、実施形態のように同径としておけば、共通の閉塞用プラグ54が使用できるので好ましい。また、新設管路内での作業性を考慮すると、更生管50は、予め浮上防止部材53を浮上防止部材取付孔51bのソケット52にある程度ねじ込んだ状態で、さや管20内に挿入していくことが望ましい。
【符号の説明】
【0037】
1 立坑
10 更生管(管)
11 管本体
12、13 カラー
14 プレート
15 充填材注入パイプ
16 ゴム板
17 ステンレスバンド
20 さや管
30 摩擦低減材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8