(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130114
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】位置合わせ装置、放射線治療装置及びX線診断装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20240920BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20240920BHJP
A61B 6/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61N5/10 M
A61B6/00 370
A61B6/04 332P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039639
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅野 仁一
(72)【発明者】
【氏名】小山 和里
(72)【発明者】
【氏名】市橋 正英
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 清人
【テーマコード(参考)】
4C082
4C093
【Fターム(参考)】
4C082AJ01
4C082AJ07
4C082AJ13
4C082AJ16
4C093AA22
4C093AA25
4C093CA16
4C093CA34
4C093EE16
4C093EE30
4C093FA36
4C093FF37
(57)【要約】
【課題】凹凸の情報が少ない体表面を測定した際に、位置合わせ精度の低下を抑制する。
【解決手段】 実施形態に係る位置合わせ装置は、取得部と、照合部と、補正部とを備える。前記取得部は、今回の取得時と前記取得時に先行する基準時との各々において、天板に載置された被検体の体表近傍の静脈画像を取得する。前記照合部は、前記基準時に取得した第1静脈画像に前記今回の取得時に取得した第2静脈画像を照合する。前記補正部は、前記照合した結果に基づいて、前記基準時と前記今回の取得時との間の前記被検体の位置ずれを補正するように、前記天板又は放射線照射部の位置を補正する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
今回の取得時と前記取得時に先行する基準時との各々において、天板に載置された被検体の体表近傍の静脈画像を取得する取得部と、
前記基準時に取得した第1静脈画像に前記今回の取得時に取得した第2静脈画像を照合する照合部と、
前記照合した結果に基づいて、前記基準時と前記今回の取得時との間の前記被検体の位置ずれを補正するように、前記天板又は放射線照射部の位置を補正する補正部と、
を備えた位置合わせ装置。
【請求項2】
前記天板に設けられ、前記被検体に測定光を照射することにより、前記被検体の静脈画像を収集して前記取得部に送出する収集部、
を更に備えた請求項1に記載の位置合わせ装置。
【請求項3】
前記静脈画像の取得後、前記静脈画像の収集位置から前記収集部を退避させる退避部、を更に備えた請求項2に記載の位置合わせ装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記第1静脈画像の静脈パターンと前記第2静脈画像の静脈パターンとの間のズレ量に基づいて、前記天板の位置を補正する、
請求項1に記載の位置合わせ装置を備えた放射線治療装置。
【請求項5】
前記照合部は、前記第1静脈画像の静脈パターンと前記第2静脈画像の静脈パターンとを略一致するように重ね合わせたときのズレに基づいて前記ズレ量を算出し、前記算出したズレ量を、前記照合した結果として得る、
請求項4に記載の放射線治療装置。
【請求項6】
前記照合部は、前記第1静脈画像の静脈パターンと前記第2静脈画像の静脈パターンとを略一致するように重ねあわせが可能か否かを判定し、否の場合には、前記照合した結果としてエラー情報を出力する、
請求項4に記載の放射線治療装置。
【請求項7】
前記第1静脈画像及び前記第2静脈画像の各々は、前記被検体の複数の治療部位に応じて複数あり、
前記エラー情報は、前記複数の治療部位の取り違いに関するメッセージを含む、
請求項6に記載の放射線治療装置。
【請求項8】
前記補正部は、前記第1静脈画像の静脈パターンと前記第2静脈画像の静脈パターンとの間のズレ量に基づいて、前記放射線照射部の位置を補正する、
請求項1に記載の位置合わせ装置を備えたX線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書等に開示の実施形態は、位置合わせ装置、放射線治療装置及びX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療の患者セットアップの際に、患者の体表面の3D形状を光学的に測定することで、治療計画時との位置合わせが可能なSIGRT(Surface Image Guided Radiotherapy)システムが知られている。このSIGRTシステムは、放射線を用いないことから、無被ばくでの患者セットアップを実現している。
【0003】
以上のようなSIGRTシステムは、特段の問題はないものの、本発明者の検討によれば、平坦又は小面積の体表面を測定した際に、凹凸の情報が少なくなり、位置合わせ精度が低下してしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、凹凸の情報が少ない体表面を測定した際に、位置合わせ精度の低下を抑制することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る位置合わせ装置は、取得部と、照合部と、補正部とを備える。前記取得部は、今回の取得時と前記取得時に先行する基準時との各々において、天板に載置された被検体の体表近傍の静脈画像を取得する。前記照合部は、前記基準時に取得した第1静脈画像に前記今回の取得時に取得した第2静脈画像を照合する。前記補正部は、前記照合した結果に基づいて、前記基準時と前記今回の取得時との間の前記被検体の位置ずれを補正するように、前記天板又は放射線照射部の位置を補正する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る放射線治療システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の放射線治療装置の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図1の放射線治療システムによる位置合わせに係る一連の処理の典型的な流れを示す図である。
【
図4】
図4は、治療計画時に取得された静脈画像を説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、治療時に取得された静脈画像を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、治療計画時及び治療時に取得された静脈画像の重ね合わせ表示を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の変形例を説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の他の変形例におけるステップST7の処理の典型的な流れを示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係るX線診断装置の構成を示す図である。
【
図10】
図10は、
図9のX線診断装置による位置合わせに係る一連の処理の典型的な流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態について説明する。
【0009】
<第1の実施形態>
各実施形態に係る位置合わせ装置は、後述する静脈画像の今回の取得時と、今回の取得時に先行する基準時との間で患者の位置合わせを行うコンピュータである。各実施形態のうち、第1の実施形態に係る位置合わせ装置は、放射線治療装置及び放射線治療システムに包含されるものとする。なお、この位置合わせ装置は、放射線治療装置に搭載されてもよく、放射線治療装置とは別体として設けてもよい。第1の実施形態では、位置合わせ装置が放射線治療装置に搭載された場合を例に挙げて述べる。
【0010】
図1に示すように、放射線治療システム1は、CT(Computed Tomography)装置2、治療計画装置3及び放射線治療装置4を有する。CT装置2、治療計画装置3及び放射線治療装置4は、ネットワーク等を介して互いに通信可能に接続されている。
【0011】
CT装置2は、放射線治療計画に利用する3次元のCT画像を生成する医用画像診断装置である。CT装置2は、患者の治療計画用の3次元医用画像データを生成できるコーンビームCT装置でも良い。
【0012】
治療計画装置3は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、表示機器、入力インタフェース、通信インタフェースを含むコンピュータである。治療計画装置3は、CT装置2から直接的に又はPACSシステム等を介して治療計画画像を受信する。治療計画装置3は、治療計画画像を利用して、患者に関する治療計画を作成する。治療計画は、治療計画画像と放射線治療条件とを含む。放射線治療条件は、腫瘍位置や放射線照射方向数、放射線照射角度、放射線強度、コリメータ開度、ウェッジフィルタ等の各種条件を含む。治療計画は、放射線治療装置4に送信される。
【0013】
放射線治療装置4は、
図2に示すように、治療用架台(ガントリ)41と、治療用寝台45と、コンソール部49とを有する。治療用架台41は、回転軸A1回りに回転可能に保持装置42に設けられた照射ヘッド43及び画像撮影装置44とを有する。ここで、治療用架台41の回転軸A1に平行する軸をZ軸、Z軸に鉛直に直交する軸をY軸、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸とする。保持装置42には、電子銃等により発生された電子等を加速する加速管が、照射ヘッド43には、加速管により加速された電子が衝突する金属ターゲットが搭載される。金属ターゲットに電子が衝突することにより、放射線であるX線が発生する。照射ヘッド43は、治療計画装置3により同定された治療計画に含まれる放射線治療条件に従い放射線を照射する。照射ヘッド43からの放射線のビーム軸と回転軸とが交わる点は、空間的に不動であり、アイソセンタと呼ばれている。画像撮影装置44は、放射線治療時の位置確認のため患者の体内情報を収集するためのものである。例えば、画像撮影装置44は、回転軸A1を挟んで対向配置されたX線管とX線検出器とを有する。この構成により画像撮影装置44は、コーンビームCTの撮影を実現し、患者の体内の形態を描出する3次元のCT画像を生成可能である。生成されたCT画像データは、例えば、治療計画用のCT装置2から転送されたCT画像と比較される。比較の結果、適宜、患者である被検体Pの位置合わせが行われる。治療用寝台45は、床面に設けられた基台46と、移動自在に基台46に支持される天板47とを有する。基台46には駆動部461が内蔵されている。駆動部461は、コンソール部49の処理回路491からの制御信号の供給を受けて天板47を移動させる。天板47には静脈画像収集ユニット48が設けられ、被検体P等が、静脈画像収集ユニット48を覆うように天板47上に載置されている。
【0014】
天板47に設けられた静脈画像収集ユニット48は、被検体Pに測定光を照射することにより、被検体Pの体表近傍の静脈画像を収集してコンソール部49に送出する。例えば、静脈画像収集ユニット48は、予め設定された波長を有する測定光(パルス光)を被検体に照射し、被検体内で測定光を吸収した光吸収体により発生した光超音波を受信し、光超音波に基づいて、静脈画像を生成してもよい。光吸収体としては、例えば、生体内に含まれるヘモグロビンやグルコース(血糖)等の物質が挙げられる。各光吸収体は、特定の波長を有するパルス光のエネルギーを吸収して、光超音波をそれぞれ発生する。すなわち、静脈画像収集ユニット48は、光音響イメージング(PAI:Photoacoustic Imaging)により、被検体P内の光吸収体の分布を画像化することで静脈画像を生成してもよい。あるいは、静脈画像収集ユニット48は、近赤外線を含む測定光を照射することにより、被検体Pの体表近傍で透過して拡散しながら皮膚表面に到達した反射光を受信し、反射光に含まれる静脈の情報に基づいて、静脈画像を生成してもよい。静脈画像収集ユニット48は、収集部の一例である。
【0015】
コンソール部49は、処理回路491、メモリ492、ディスプレイ493、入力インタフェース494及び通信インタフェース495を有する。処理回路491、メモリ492、ディスプレイ493、入力インタフェース494及び通信インタフェース495は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。
【0016】
処理回路491は、ハードウェア資源として、CPUやGPU等のプロセッサを有する。処理回路491は、制御プログラムを実行し、システム制御機能491aを実現する。また、処理回路491は、位置合わせに関するプログラム(以下、位置合わせプログラムと呼ぶ)を実行し、取得機能491b、照合機能491c、補正機能491dを実現する。
【0017】
システム制御機能491aは、放射線治療装置4を統括的に制御する。具体的には、システム制御機能491aは、メモリ492に記憶された制御プログラムに従って各部を制御する。
【0018】
取得機能491bは、今回の取得時と当該取得時に先行する基準時との各々において、天板47に載置された被検体Pの体表近傍の静脈画像を静脈画像収集ユニット48から取得する。基準時は、例えば、治療計画時、前回の治療時又はそれ以前の治療時である。本実施形態では、基準時の例として治療計画時を用い、今回の取得時の例として1回目の治療時を用いて述べる。取得機能491b及び処理回路491は、取得部の一例である。
【0019】
照合機能491cは、基準時に取得した第1静脈画像に今回の取得時に取得した第2静脈画像を照合する。例えば、照合機能491cは、第1静脈画像の静脈パターンと第2静脈画像の静脈パターンとを略一致するように重ね合わせたときのズレに基づいてズレ量を算出し、算出したズレ量を、当該照合した結果として得る。照合機能491c及び処理回路491は、照合部の一例である。
【0020】
補正機能491dは、照合した結果に基づいて、基準時と今回の取得時との間の被検体Pの位置ずれを補正するように、天板47の位置を補正する。すなわち、補正機能491dは、第1静脈画像の静脈パターンと第2静脈画像の静脈パターンとの間のズレ量に基づいて、天板47の位置を補正する。補正機能491d及び処理回路491は、補正部の一例である。
【0021】
メモリ492は、種々の情報を記憶するRAMやROM、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。例えば、メモリ492は、治療計画画像、治療計画、位置合わせプログラム、静脈画像、リファレンス画像、アイソセンタ位置、等を記憶する。ハードウェアとしてメモリ492は、CD-ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記録媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。
【0022】
ディスプレイ493は、処理回路491の処理に関する種々の情報を表示する。ディスプレイ493は、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。また、ディスプレイ493は、プロジェクタであってもよい。
【0023】
入力インタフェース494は、入力機器を介して受け付けたユーザからの各種指令を入力する。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース494は、入力機器からの出力信号を、バスを介して処理回路491に供給する。
【0024】
通信インタフェース495は、図示しない有線又は無線を介して、CT装置2、治療計画装置3、放射線治療装置4等との間でデータ通信を行う。例えば、通信インタフェース495は、CT装置2から治療計画画像を受信する。
【0025】
なお、処理回路491の取得機能491b、照合機能491c及び補正機能491dと、メモリ492と、ディスプレイ493と、入力インタフェース494と、通信インタフェース495とは、放射線治療装置4内で位置合わせ装置50を構成している。
【0026】
以下、位置合わせ装置50による位置合わせに係る一連の処理について
図3乃至
図6を用いて詳細に説明する。
【0027】
始めに、ステップST1において、CT装置2は、被検体PのCT撮影を行い、治療計画用の3次元のCT画像データを治療計画装置3に転送する。治療計画装置3は、CT装置2から転送されたCT画像データを取得する。
【0028】
ステップST1の後、ステップST2において、放射線治療装置4では、静脈画像収集ユニット48が、天板47に載置された被検体Pに測定光を照射することにより、被検体Pの体表近傍の静脈画像を収集してコンソール部49に送出する。これにより、コンソール部49の処理回路491は、治療計画時の第1静脈画像を取得する。
【0029】
ステップST2の後、ステップST3において、処理回路491は、第1静脈画像を天板位置情報に関連付けてリファレンス画像としてメモリ492に保存する。天板位置情報は、X軸、Y軸、Z軸の座標値と、ピッチ、ロール、ヨーの角度との計6つの値である。
【0030】
ステップST3の後、ステップST4において、治療計画装置3は、治療計画用のCT画像に基づいて、治療計画を作成する。治療計画において、放射線の照射領域や、放射線の照射角度、照射角度ごとの線量及び照射野の形状、照射する回数などが決定される。例えば、放射線の照射領域の決定においては、まず、治療計画用のCT画像データなどに基づいて、放射線の照射を避けるべきリスク臓器が設定される。そして、腫瘍の進展や存在が肉眼的に確認できる3次元領域である肉眼的腫瘍体積(GTV:gross tumor volume)が設定され、設定されたGTV及び肉眼的には確認できないが潜在的な腫瘍領域を含む臨床的標的体積(CTV:clinical target volume)が設定される。なお、リスク臓器、GTC及びCTVの設定は、例えば、コンツーリング(輪郭の抽出)によって行われるが、コンツーリングは、医師による手動の処理及び画像処理技術による自動の処理のどちらでも行うことができる。
【0031】
そして、放射線の照射領域の決定においては、呼吸、嚥下、心拍動、蠕動などの体内臓器の動きによる影響を吸収するためのインターナルマージン(IM:internal margin)を含めたITV(internal target volume)がCTVに対して設定される。さらに、毎回の照射における設定誤差(SM:set-up margin)を含めた計画標的体積(PTV:planning target volume)がCTVに対して設定されることで、放射線の照射領域が決定される。
【0032】
このように、放射線の照射領域が決定されると、決定された照射領域に対する放射線の照射条件が設定される。例えば、治療計画装置3において、操作者(医療従事者)は、放射線の照射角度、照射角度ごとの線量及び照射野の形状、照射回数などの照射条件を設定する。
【0033】
しかる後、治療計画装置3は、このような設定条件(照射領域、照射条件)や照射領域内のアイソセンタ位置を含む治療計画を放射線治療装置4に出力する。なお、ステップST4は、ステップST1の後、ステップST2の前に実行してもよい。
【0034】
ステップST4の後、ステップST5において、処理回路491は、メモリ492内のリファレンス画像と、治療計画装置3から受けたアイソセンタ位置とを関連付けてメモリ492に保存する。
図4は、リファレンス画像の一例を示す模式図である。
図4中、十字形c1は、第1静脈画像g1の中央で交差し、第1静脈画像g1を略均等に4分割するZ軸上及びX軸上の直線からある。ステップST5の終了により、治療計画時の位置合わせに関する処理を終了する。後日、治療時において、ステップST6以降の処理が実行される。
【0035】
ステップST6において、放射線治療装置4では、静脈画像収集ユニット48が、天板47に載置された被検体Pに測定光を照射することにより、被検体Pの体表近傍の静脈画像を収集してコンソール部49に送出する。これにより、コンソール部49の処理回路491は、治療時の第2静脈画像を取得する。また、処理回路491は、第2静脈画像を天板位置情報に関連付けてメモリ492に保存する。
図5は、第2静脈画像の一例を示す模式図である。
図5中、十字形c2は、第2静脈画像g2の中央で交差し、第2静脈画像g2を略均等に4分割するZ軸上及びX軸上の直線からある。
【0036】
ステップST6の後、ステップST7において、処理回路491は、取得した第2静脈画像g2をリファレンス画像と照合し、位置のズレ量を算出する。例えば、処理回路491は、治療計画時の第1静脈画像g1に今回の治療時の第2静脈画像g2を照合する。このとき、処理回路491は、第1静脈画像g1の静脈パターンと第2静脈画像g2の静脈パターンとのズレ量を算出する。例えば、処理回路491は、第1静脈画像g1の静脈パターンと第2静脈画像g2の静脈パターンとを略一致するように重ね合わせたときのズレに基づいてズレ量を算出する。
図6は、第1静脈画像g1と第2静脈画像g2とをディスプレイ493に重ね合わせ表示した照合画面の一例を示す模式図である。但し、
図6は、ズレを誇張して記載している。このとき、第1静脈画像g1及び第2静脈画像g2は、互いに同一サイズ、同一画素数の画像であり、画像の座標と実空間の座標とは変換可能であるとする。処理回路491は、例えば、第1静脈画像g1の位置を基準とし、第2静脈画像g2の静脈パターンを第1静脈画像g1の静脈パターンに略一致するように第2静脈画像g2の位置を移動させる。また、処理回路491は、第2静脈画像g2の移動量から実空間上の距離であるズレ量を算出し、当該ズレ量を、照合した結果として得る。ズレ量は、例えば、X軸:0.1mm、Y軸:0.5mm、Z軸:0mm、ピッチ:0.0度、ロール:0.1度、ヨー:0.1度のように、天板位置情報の各パラメータの項目に対応している。
【0037】
ステップST7の後、ステップST8において、処理回路491は、当該照合した結果に基づいて、治療計画時と今回の治療時との間の被検体Pの位置ずれを補正するように、天板47の位置を補正する。すなわち、処理回路491は、算出したズレ量に基づいて、天板47の位置を補正する。ステップST8の終了により、治療時の位置合わせに関する処理を終了する。
【0038】
上述したように第1の実施形態によれば、処理回路491は、今回の取得時と当該取得時に先行する基準時との各々において、天板47に載置された被検体Pの体表近傍の静脈画像を取得する。処理回路491は、基準時の第1静脈画像g1に今回の取得時の第2静脈画像g2を照合する。処理回路491は、照合した結果に基づいて、基準時と今回の取得時との間の被検体Pの位置ずれを補正するように、天板47の位置を補正する。従って、凹凸の情報が少ない体表面を測定した際に、位置合わせ精度の低下を抑制することができる。また、位置合わせ精度を確保できることから、より効率的に放射線治療を施すことが可能となる。
【0039】
また、第1の実施形態によれば、天板47に設けられた静脈画像収集ユニット48が、被検体Pに測定光を照射することにより、被検体Pの静脈画像を収集してコンソール部49の処理回路491に送出する。従って、前述した効果に加え、被検体Pの静脈画像を無被ばくで取得することができる。
【0040】
また、第1の実施形態によれば、処理回路491は、第1静脈画像g1の静脈パターンと第2静脈画像g2の静脈パターンとの間のズレ量に基づいて、天板47の位置を補正する。従って、前述した効果に加え、静脈パターンの精度に応じた位置合わせを行うことができる。
【0041】
また、第1の実施形態によれば、処理回路491は、第1静脈画像g1の静脈パターンと第2静脈画像g2の静脈パターンとを略一致するように重ね合わせたときのズレに基づいてズレ量を算出し、算出したズレ量を、照合した結果として得る。従って、前述した効果に加え、静脈パターンの重ね合わせの精度に応じた位置合わせを行うことができる。
【0042】
なお、第1の実施形態では、治療計画時を基準時とし、今回の治療時を今回の取得時としたが、これに限定されない。例えば、第1の実施形態は、1回目の治療時を基準時とし、2回目以降の治療時を今回の取得時とした場合にも同様に実施して同様の効果を得ることができる。このことは、以下の各実施形態でも同様である。
【0043】
患者の位置合わせが完了し治療に移行する際には、静脈画像の取得後、静脈画像の収集位置から静脈画像収集ユニット48を退避させる退避機能を処理回路491に実現させることが好ましい。処理回路491及び退避機能は、退避部の一例である。また、治療用寝台45には、静脈画像収集ユニット48を退避させるための物理的な退避機構が設けられる。退避機構としては、例えば
図7に示すように、被検体Pが載置される透明板496を天板47に設け、透明板496の下方に静脈画像収集ユニット48を移動可能に配置してもよい。透明板496は、静脈画像収集のための測定光や反射光を透過可能な板状部材であり、例えば、ガラス板や透明樹脂板が適宜、使用可能となっている。また、透明板496に沿って移動可能な静脈画像収集ユニット48は、手動又は自動のいずれで退避させてもよい。例えば、処理回路491の退避機能に制御され、静脈画像収集ユニット48をZ軸方向に移動させる収集ユニット駆動部462を治療用寝台45に設けてもよい。このような変形例としても、第1の実施形態を同様に実施して同様の効果を得ることができる。また、放射線の照射パスから静脈画像収集ユニット48を退避させることにより、静脈画像収集ユニット48の劣化を抑制することができる。
【0044】
また、第1の実施形態では、1つの治療部位を有する患者の位置合わせについて説明したが、これに限定されない。すなわち、複数の治療部位を有する患者の位置合わせについても同様に実施することができる。この場合、基準時及び今回の取得時の各々において、治療部位毎に、静脈画像を取得する。すなわち、第1静脈画像及び第2静脈画像の各々は、被検体Pの複数の治療部位に応じて複数あってもよい。例えば、治療部位が首部と胸部の場合、首部に関連する第1静脈画像と、胸部に関連する第1静脈画像と、首部に関連する第2静脈画像と、胸部に関連する第2静脈画像とをそれぞれ取得する。ここで、例えば首部に関し、基準時の第1静脈画像に今回の治療時の第2静脈画像を照合する際に、仮に取り違いが生じても、第1静脈画像(首部)と第2静脈画像(胸部)との静脈パターンが全く異なるので、治療部位の取り違いによる誤照射を防止できる。なお、このような取り違いは、放射線治療装置4を設定するスタッフと、被検体Pを天板47にセットアップするスタッフとが異なるときに生じる可能性がある。具体的には、通常、初めに首部に放射線を照射し、次に胸部に放射線を照射している場合に、普段とは別のスタッフにより、初めに胸部をセットアップしてしまうといった取り違いを生じる可能性がある。しかしながら、仮に取り違いが生じた場合でも、治療部位に関連する静脈画像の静脈パターンが全く異なるため、取り違いによる誤照射を防止できる。このように、第1の実施形態は、SIGRTや壁レーザによる患者位置合わせでは確認が難しい複数の治療部位を有する患者の位置合わせにおける治療部位の取り違いにも使用できる。また、取り違いの防止に関連して処理回路491がエラー情報を出力してもよい。例えば、処理回路491は、
図8に示すように、前述したステップST7を、ステップST7-1~ST7-4により実行してもよい。すなわち、処理回路491は、取得した第2静脈画像をリファレンス画像と照合する際に、取得した第2静脈画像と、リファレンス画像の第1静脈画像とをディスプレイ493に重ね合わせ表示する(ステップST7-1)。続いて、処理回路491は、第1静脈画像の静脈パターンと第2静脈画像の静脈パターンとを略一致するように重ねあわせが可能か否かを判定し(ステップST7-2)、否の場合には、照合した結果としてエラー情報を出力する(ステップST7-3)。このエラー情報は、複数の治療部位の取り違いに関するメッセージを含む情報としてもよい。また、ステップST7-2の判定の結果、重ね合わせが可能な場合には、前述同様に、位置のズレ量を算出する(ステップST7-4)。ステップST7-3又はST7-4の終了により、ステップST7が終了する。このような変形例としても、前述同様に、取り違いによる後照射防止の効果を得ることができる。
【0045】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る位置合わせ装置は、放射線治療システムに包含され且つ天板位置を補正した第1の実施形態とは異なり、X線診断装置に包含され且つX線管位置を補正するものとする。なお、この位置合わせ装置は、X線診断装置に搭載されてもよく、X線診断装置とは別体として設けてもよい。以下では、位置合わせ装置がX線診断装置に搭載された場合を例に挙げて述べる。
【0046】
図10に示すように、X線診断装置201は、撮影部210、寝台部230、コンソール部240、X線検出器250を備える。撮影部210、寝台部230及びX線検出器250は、X線撮影装置202を形成する。
【0047】
撮影部210は、高電圧発生部211、X線管212及び支持アーム214を備える。X線管212は、放射線照射部の一例である。
【0048】
高電圧発生部211は、X線管の陰極から発生する熱電子を加速するために、陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生させてX線管212へ出力する。
【0049】
X線管212は、X線絞りを備える。X線管212は、X線を発生させる真空管である。X線管212は、管球と、管球に設けられたフィラメント(陰極)と、タングステン陽極とを備える。X線管212は、フィラメントより放出された熱電子を高電圧によって加速させる。X線管212は、この加速電子をタングステン陽極に衝突させることでX線を発生させる。
【0050】
X線絞りは、鉛等の金属板で構成される。X線絞りは、開口領域外のX線を遮蔽することにより、X線管212が発生したX線の被検体Pへの照射範囲を絞り込む。X線絞りは、X線の遮蔽される領域を任意のサイズに調節することにより、X線照射範囲の大きさを調整する。
【0051】
支持アーム214は、X線管212を支持する。支持アーム214により支持されたX線管212は、天板233上にX線を照射する。支持アーム214は、スライド可能、かつ、複数の回転軸のそれぞれを中心に回転可能に支持される。支持アーム214は、スライド及び回転に係る動作を実現するための複数の動力源が該当する適当な箇所に備えられている。これらの動力源は支持アーム駆動装置を構成する。支持アーム駆動装置は、処理回路241からの駆動信号を読み込んで支持アーム214をスライド運動、回転運動、直線運動させる。
【0052】
寝台部230は、基台231、駆動部232、天板233及び支持フレーム234を備える。基台231は、床面に設置され、支持フレーム234を鉛直方向(Z方向)に移動可能に支持する筐体である。なお、第2の実施形態中、天板233の長手方向に平行する軸をY軸、Y軸に鉛直に直交する軸をZ軸、Y軸及びZ軸に直交する方向をX軸とする。
【0053】
駆動部232は、寝台部230の筐体内に収容され、被検体Pが設置された天板233を天板233の長手方向(Y方向)に移動するモータあるいはアクチュエータである。駆動部232は、処理回路241からの駆動信号を読み込んで、天板233を床面に対して水平方向や垂直方向(Z軸方向)に移動させる。支持アーム214または天板233が移動することにより、被検体Pに対する撮影軸の位置関係が変化する。なお、駆動部232は、天板233に加え、支持フレーム234を天板233の長手方向に移動させてもよい。また、駆動部232は、処理回路241からの駆動信号を読み込んで、天板233内のX線検出器250を天板233の長手方向に沿って移動させる。
【0054】
天板233は、支持フレーム234の上面に設けられ、被検体P、X線検出器250、図示しない補助具が設置される。
【0055】
なお、寝台部230は、天板233が支持フレーム234に対して移動可能であってもよいし、天板233と支持フレーム234とが一緒に、基台231に対して移動可能であってもよい。
【0056】
静脈画像収集ユニット235は、天板233に設けられ、被検体Pに測定光を照射することにより、被検体Pの体表近傍の静脈画像を収集してコンソール部240に送出する。静脈画像収集ユニット235は、前述した静脈画像収集ユニット48と同様の構成である。
【0057】
X線検出器250は、天板233に設けられ、天板233の長手方向に移動可能となっている。X線検出器250は、X線管から発せられ被検体Pを透過したX線を検出する。このようなX線検出器250としては、例えば、被検体Pを透過したX線を電荷に変換して蓄積する平面状のFPD(Flat Panel Detector)が用いられる。X線検出器250で検出されたデータは、図示しないA/D変換器及び画像発生回路を介し、X線画像としてメモリ242に保存される。
【0058】
コンソール部240は、処理回路241、メモリ242、ディスプレイ243、入力インタフェース244及び通信インタフェース245を備える。処理回路241、メモリ242、ディスプレイ243、入力インタフェース244及び通信インタフェース245は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。
【0059】
処理回路241は、ハードウェア資源として、CPUやGPU等のプロセッサを有する。処理回路241は、制御プログラムを実行し、システム制御機能241aを実現する。また、処理回路241は、位置合わせに関するプログラム(以下、位置合わせプログラムと呼ぶ)を実行し、取得機能241b、照合機能241c、補正機能241dを実現する。
【0060】
システム制御機能241aは、X線診断装置201全体の動作を制御する。具体的にはシステム制御機能241aは、メモリ242内のプログラムに従って各部を制御する。
【0061】
取得機能241bは、今回の取得時と当該取得時に先行する基準時との各々において、天板233に載置された被検体Pの体表近傍の静脈画像を静脈画像収集ユニット235から取得する。基準時は、例えば、初回の検査時から前回の検査時までのいずれかの時点での検査時である。本実施形態では、基準時の例として前回の検査時を用い、今回の取得時の例として今回のフォローアップ検査時(経過観察の検査時)を用いて述べる。取得機能241b及び処理回路241は、取得部の一例である。
【0062】
照合機能241cは、基準時に取得した第1静脈画像に今回の取得時に取得した第2静脈画像を照合する。例えば、照合機能241cは、第1静脈画像の静脈パターンと第2静脈画像の静脈パターンとを略一致するように重ね合わせたときのズレに基づいてズレ量を算出し、算出したズレ量を、当該照合した結果として補正機能241dに出力する。照合機能241c及び処理回路241は、照合部の一例である。
【0063】
補正機能241dは、照合した結果に基づいて、基準時と今回の取得時との間の被検体Pの位置ずれを補正するように、X線管位置及びX線検出器位置を補正する。補正機能241d及び処理回路241は、補正部の一例である。
【0064】
メモリ242は、前述したメモリ492と同様の記憶装置である。メモリ242は、例えば、X線画像、静脈画像、リファレンス画像、X線管位置、X線検出器位置、天板位置、処理回路241によって実行されるプログラム、及び処理回路241の処理に用いられる各種データ等を記憶する。
【0065】
ディスプレイ243は、処理回路241の処理に関する各種の情報を表示する。
【0066】
入力インタフェース244は、入力機器を介して受け付けたユーザからの各種指令を入力する。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース494は、入力機器からの出力信号を、バスを介して処理回路241に供給する。
【0067】
通信インタフェース245は、有線又は無線を介して外部装置と通信するための回路である。外部装置は、例えば、放射線部門情報管理システム(RIS)、病院情報システム(HIS)及びPACS(Picture Archiving and Communication System)等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーション等である。
【0068】
なお、処理回路241の取得機能241b、照合機能241c及び補正機能241dと、メモリ242と、ディスプレイ243と、入力インタフェース244と、通信インタフェース245とは、X線診断装置201内で位置合わせ装置246を構成している。
【0069】
以下、位置合わせ装置246による位置合わせに係る一連の処理について
図10を用いて詳細に説明する。
【0070】
始めに、ステップST11において、X線診断装置201は、被検体PのX線撮影を行い、被検体PのX線画像を取得する。すなわち、X線診断装置201は、天板233に載置された被検体Pに対してX線管212がX線を照射し、被検体Pを透過したX線をX線検出器250が検出し、X線検出器250の出力に基づいてX線画像を生成する。
【0071】
ステップST11の後、ステップST12において、X線診断装置201の処理回路241は、取得したX線画像、X線管位置、X線検出器位置及び天板位置を関連付けてメモリ242に保存する。X線管位置、X線検出器位置及び天板位置は、X軸、Y軸、Z軸の座標値と、ピッチ、ロール、ヨーの角度との計6つの値である。但し、高さ(Z軸)と、角度が固定(水平)の場合、X線管位置、X線検出器位置及び天板位置は、X軸、Y軸の2つの座標値としてもよい。また、静脈画像収集ユニット235が天板233の固定位置にある場合、天板位置は、静脈画像収集ユニット235の位置(すなわち、静脈画像の位置)に対応する。以下では、この場合を例に挙げて述べる。
【0072】
ステップST12の後、ステップST13において、X線診断装置201では、X線の照射パスから外れた位置にある静脈画像収集ユニット235が、天板233に載置された被検体Pに測定光を照射する。これにより、静脈画像収集ユニット235は、被検体Pの体表近傍の静脈画像を収集してコンソール部240に送出する。コンソール部240の処理回路241は、検査時の第1静脈画像を取得する。
【0073】
ステップST13の後、ステップST14において、処理回路241は、第1静脈画像をX線管位置、X線検出器位置及び天板位置情報に関連付けてリファレンス画像としてメモリ242に保存する。ステップST14の終了により、検査時の位置合わせに関する処理を終了する。後日、フォローアップ検査時において、ステップST15以降の処理が実行される。
【0074】
ステップST15において、X線診断装置201では、静脈画像収集ユニット235が、天板233に載置された被検体Pに測定光を照射することにより、被検体Pの体表近傍の静脈画像を収集してコンソール部240に送出する。これにより、コンソール部240の処理回路241は、フォローアップ検査時の第2静脈画像を取得する。また、処理回路241は、このときの天板位置情報を取得し、第2静脈画像を天板位置情報に関連付けてメモリ242に保存する。なお、今回のフォローアップ検査時の天板位置情報は、前回の検査時の天板位置情報と同一であるとする。
【0075】
ステップST15の後、ステップST16において、処理回路241は、取得した第2静脈画像をリファレンス画像と照合し、位置のズレ量を算出する。当該ズレ量は、当該照合した結果として得られる。このステップST16は、前述したステップST7と同様に実行される。
【0076】
ステップST16の後、ステップST17において、処理回路491は、当該照合した結果に基づいて、前回の検査時と今回のフォローアップ検査時との間の被検体Pの位置ずれを補正するように、X線管位置及びX線検出器位置を補正する。すなわち、処理回路241は、算出したズレ量、前回の検査時のX線管位置及びX線検出器位置に基づいて、今回のX線管位置及びX線検出器位置を補正する。ステップST17の終了により、フォローアップ検査時の位置合わせに関する処理を終了する。
【0077】
上述したように第2の実施形態によれば、X線診断装置201の処理回路241は、第1静脈画像の静脈パターンと前記第2静脈画像の静脈パターンとの間のズレ量に基づいて、X線管位置及びX線検出器位置を補正する。このように、X線診断装置201に適用した構成としても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
なお、第2の実施形態では、処理回路241は、X線管位置及びX線検出器位置を補正したが、これに限定されない。例えば、X線検出器250として携帯可能なFPDを操作者が天板233上に載置し、処理回路241がX線管位置を補正する構成としてもよい。このような変形例としても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、凹凸の情報が少ない体表面形状を測定した際に、位置合わせ精度の低下を抑制することができる。
【0080】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムがメモリに保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1、
図2及び
図9における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
1 放射線治療システム
2 CT装置
3 治療計画装置
4 放射線治療装置
41 治療用架台
42 保持装置
43 照射ヘッド
44 画像撮影装置
45 治療用寝台
46,231 基台
47,233 天板
48,235 静脈画像収集ユニット
49,240 コンソール部
50,246 位置合わせ装置
201 X線診断装置
202 X線撮影装置
210 撮影部
211 高電圧発生部
212 X線管
214 支持アーム
230 寝台部
232,461 駆動部
234 支持フレーム
241,491 処理回路
241a,491a システム制御機能
241b,491b 取得機能
241c,491c 照合機能
241d,491d 補正機能
242,492 メモリ
243,493 ディスプレイ
244,494 入力インタフェース
245,495 通信インタフェース
250 X線検出器
462 収集ユニット駆動部
496 透明板