(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130117
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用デッキ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 5/04 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039644
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古澤 克仁
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA10
3D022BB01
3D022BC11
(57)【要約】
【課題】使用性に優れた車両用デッキ装置を提供する。
【解決手段】車両用デッキ装置10は、車両のフロアボデー102に固定された前側ボード41と、一部が回動することでフロアボデー102に設けられた凹部102aを開放又は閉塞するとともに車両の前後方向にスライド可能な後側ボード42と、後側ボード42が前後方向にスライドするときに前後方向及び上下方向に移動する中間ボード43とを有するデッキボード11を備える。デッキボード11が荷室内に格納された格納状態のとき、中間ボード43は、後側ボード42の下側に位置するとともに、前側ボード41の一部と後側ボード42の一部とはオーバーラップしている。デッキボード11の一部が荷室の外かつ後方に引き出された引出状態のとき、中間ボード43の上面43tは、後側ボード42の上面42tと面一であるとともに、前側ボード41の一部と中間ボード43の一部とはオーバーラップしている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部に位置する荷室に設けられる車両用デッキ装置であって、
前記車両のフロアボデーに固定された前側ボードと、
一部が回動することで前記フロアボデーに設けられた凹部を開放又は閉塞するとともに前記車両の前後方向にスライド可能な後側ボードと、
前記後側ボードが後方にスライドするときには後方かつ上方に移動し、前記後側ボードが前方にスライドするときには前方かつ下方に移動する中間ボードと、
を有するデッキボードを備え、
前記デッキボードが前記荷室内に格納された格納状態のとき、前記中間ボードは、前記後側ボードの下側に位置するとともに、前記前側ボードの一部と前記後側ボードの一部とはオーバーラップしており、
前記デッキボードの一部が前記荷室の外かつ後方に引き出された引出状態のとき、前記中間ボードの上面は、前記後側ボードの上面と面一であるとともに、前記前側ボードの一部と前記中間ボードの一部とはオーバーラップしていることを特徴とする車両用デッキ装置。
【請求項2】
前記フロアボデーに固定された支持体を備え、
前記支持体は、前記前側ボードが固定される固定部と、前記フロアボデー上に配置されたワイヤハーネスを覆うカバー部とを有し、
前記前側ボードは、前記固定部よりも後方に延出する部分を有するように前記固定部上に載置されている請求項1に記載の車両用デッキ装置。
【請求項3】
前記支持体は、前記カバー部の上面から凹む収納部を有する請求項2に記載の車両用デッキ装置。
【請求項4】
前記デッキボードが前記引出状態のとき、前記中間ボードの後端面と前記後側ボードの前端面とは当接している請求項1~3の何れか一項に記載の車両用デッキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用デッキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の後部に位置する荷室に設けられる車両用デッキ装置が開示されている。車両用デッキ装置は、デッキボードを備えている。デッキボードは、一部が回動することで車両のフロアボデーに設けられた凹部を開放又は閉塞する。また、デッキボードは、車両の前後方向にスライド可能である。
【0003】
このような車両デッキ装置では、デッキボードが後方にスライドした際に、デッキボードの前方に荷物が落下することがある。この問題を解決するための構成として、例えば、デッキボードが後方にスライドしていない状態において、デッキボードの前側部位と重なるようにデッキボードの下側にカバーを設けることが考えられる。この場合、デッキボードが後方にスライドした状態において、デッキボードの前方にはカバーが位置しているため、荷物が落下しにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デッキボードが後方にスライドした状態において、デッキボードの上面及びカバーの上面はテーブル等として利用されることがある。しかしながら、デッキボードの上面とカバーの上面とで段差があるため、利用しづらい。また、凹部を開放することにより凹部から荷物を取り出すときに、荷物がカバーに干渉することによって、荷物が取り出しにくくなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための車両用デッキ装置は、車両の後部に位置する荷室に設けられる車両用デッキ装置であって、前記車両のフロアボデーに固定された前側ボードと、一部が回動することで前記フロアボデーに設けられた凹部を開放又は閉塞するとともに前記車両の前後方向にスライド可能な後側ボードと、前記後側ボードが後方にスライドするときには後方かつ上方に移動し、前記後側ボードが前方にスライドするときには前方かつ下方に移動する中間ボードと、を有するデッキボードを備え、前記デッキボードが前記荷室内に格納された格納状態のとき、前記中間ボードは、前記後側ボードの下側に位置するとともに、前記前側ボードの一部と前記後側ボードの一部とはオーバーラップしており、前記デッキボードの一部が前記荷室の外かつ後方に引き出された引出状態のとき、前記中間ボードの上面は、前記後側ボードの上面と面一であるとともに、前記前側ボードの一部と前記中間ボードの一部とはオーバーラップしていることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、デッキボードが引出状態のときには、中間ボードの上面は後側ボードの上面と面一になる。このため、デッキボードのフラットな面を広げることができる。したがって、例えば、デッキボードをテーブルとして利用しやすくなる。また、前側ボードの一部と中間ボードの一部とはオーバーラップしている。このため、荷物が前側ボードと中間ボードとの間から落下しにくい。
【0008】
デッキボードが格納状態のときには、中間ボードは、デッキボードが引出状態のときよりも前方に位置している。このため、凹部を開放することにより凹部から荷物を取り出す際に、荷物が中間ボードに干渉しにくい。また、前側ボードの一部と後側ボードの一部とはオーバーラップしている。このため、荷物が前側ボードと後側ボードとの間から落下しにくくなる。よって、使用性に優れた車両用デッキ装置を提供できる。
【0009】
上記車両用デッキ装置において、前記フロアボデーに固定された支持体を備え、前記支持体は、前記前側ボードが固定される固定部と、前記フロアボデー上に配置されたワイヤハーネスを覆うカバー部とを有し、前記前側ボードは、前記固定部よりも後方に延出する部分を有するように前記固定部上に載置されていてもよい。
【0010】
上記構成によれば、前側ボードは、支持体を介してフロアボデーに固定される。したがって、前側ボードがフロアボデーに直接固定される場合と比較して、前側ボードの高さを任意の高さに設定しやすい。また、フロアボデー上に配置されたワイヤハーネスは、カバー部によって覆われる。したがって、ワイヤハーネスを隠すことができる。さらに、前側ボードは、固定部よりも後方に延出する部分を有している。したがって、デッキボードが格納状態のときには、前側ボードの一部と後側ボードの一部とがオーバーラップできるとともに、デッキボードが引出状態のときには、前側ボードの一部と中間ボードの一部とがオーバーラップできる。
【0011】
上記車両用デッキ装置において、前記支持体は、前記カバー部の上面から凹む収納部を有していてもよい。
この構成によれば、工具などの使用頻度の低い物を収納するスペースとして収納部を利用することができる。
【0012】
上記車両用デッキ装置において、前記デッキボードが前記引出状態のとき、前記中間ボードの後端面と前記後側ボードの前端面とは当接していてもよい。
上記構成によれば、デッキボードが引出状態のとき、荷物が中間ボードと後側ボードとの間から落下しにくい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使用性に優れた車両用デッキ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】車両の荷室に設けられた車両用デッキ装置を示す斜視図である。
【
図2】フロアボデー及び車両用デッキ装置の一部を示す斜視図である。
【
図3】デッキボードが格納状態のときの車両用デッキ装置を示す平面図である。
【
図4】デッキボードが格納状態のときの車両用デッキ装置を示す断面図である。
【
図5】車両用デッキ装置の一部を示す断面図である。
【
図6】車両用デッキ装置の動作を示す断面図である。
【
図7】車両用デッキ装置の動作を示す断面図である。
【
図8】デッキボードが引出状態のときの車両用デッキ装置を示す平面図である。
【
図9】デッキボードが引出状態のときの車両用デッキ装置を示す断面図である。
【
図10】変更例における車両用デッキ装置を示す断面図である。
【
図11】変更例における車両用デッキ装置を示す断面図である。
【
図12】変更例における車両用デッキ装置を示す断面図である。
【
図13】変更例における車両用デッキ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、車両用デッキ装置を具体化した一実施形態を
図1~
図9にしたがって説明する。
図1に示すように、車両100には、荷室101が設けられている。荷室101は、車両100の後部に位置している。荷室101には、車両用デッキ装置10が設けられている。
【0016】
図2に示すように、車両100のフロアボデー102には、凹部102aが形成されている。凹部102a内には、例えば、2つの収納ボックス103が収納されている。2つの収納ボックス103は、凹部102aの後部に配置されている。2つの収納ボックス103は、凹部102a内において左右方向に並べて配置されている。凹部102aに収納される荷物は、収納ボックス103に限定されない。凹部102aには、例えば、スペアタイヤなどが収納されてもよい。
【0017】
フロアボデー102には、隔壁102bが設けられている。隔壁102bは、フロアボデー102の上面から立設されている。隔壁102bは、凹部102aよりも前方に位置している。隔壁102bは、後部座席が配置される空間と荷室101とを隔てている。
【0018】
フロアボデー102上には、インバータなどの車両搭載装置104と、車両搭載装置104から延びるワイヤハーネス105とが配置されている。ワイヤハーネス105は、前後方向において隔壁102bよりも後方かつ凹部102aよりも前方に位置している。ワイヤハーネス105は、左右方向に延びている。
【0019】
<車両用デッキ装置の構成>
図2~
図4に示すように、車両用デッキ装置10は、デッキボード11と、支持フレーム12と、支持体13とを備えている。なお、
図2では、デッキボード11は図示されていない。
【0020】
支持フレーム12は、一対の固定フレーム21を有している。各固定フレーム21は、前後方向に延びている。一対の固定フレーム21は、左右方向において凹部102aの両側に配置されている。各固定フレーム21は、取付脚22を介してフロアボデー102の上面に固定されている。
【0021】
図5に示すように、各固定フレーム21には、レール凹部21aが設けられている。レール凹部21aは、固定フレーム21の上面から凹んでいる。レール凹部21aは、前後方向に沿って延びている。レール凹部21aは、固定フレーム21の後端面において開口している。
【0022】
図2~
図4に示すように、各固定フレーム21には、2つのレール部材23が設けられている。2つのレール部材23は、一対の固定フレーム21同士が対向する対向面21bに取り付けられている。2つのレール部材23は、前後方向に間隔を空けて配置されている。
【0023】
図4に示すように、各レール部材23は、前側水平面23aと、後側水平面23bと、傾斜面23cと、規制部23dとを有している。後側水平面23bは、前側水平面23aよりも後方に位置している。後側水平面23bは、前側水平面23aよりも上方に位置している。傾斜面23cは、前側水平面23aの後端部と後側水平面23bの前端部とを接続している。傾斜面23cは、前方から後方に向かうにつれて上方に向かうように傾斜している。規制部23dは、前側水平面23aの前端部から上側に向けて突出している。
【0024】
図2に示すように、支持フレーム12は、四角枠状の可動フレーム24を有している。可動フレーム24は、一対の第1フレーム部25と、一対の第2フレーム部26とを有している。各第1フレーム部25は、前後方向に延びている。一対の第1フレーム部25は、左右方向において間隔を空けて配置されている。各第2フレーム部26は、左右方向に延びている。一対の第2フレーム部26は、前後方向において間隔を空けて配置されている。一方の第2フレーム部26は、一対の第1フレーム部25の前端部同士を接続している。他方の第2フレーム部26は、一対の第1フレーム部25の後端部同士を接続している。可動フレーム24は、一対の第1フレーム部25が一対の固定フレーム21と重なるように一対の固定フレーム21上に載置されている。
【0025】
図5に示すように、各第1フレーム部25には、レール凸部25aが設けられている。レール凸部25aは、第1フレーム部25の下面から突出している。レール凸部25aは、前後方向に延びている。一対のレール凸部25aは、一対の固定フレーム21のレール凹部21aに挿入されている。レール凸部25aは、レール凹部21a内を前後方向に移動可能である。可動フレーム24は、レール凸部25aがレール凹部21a内を前後方向に移動することによって、固定フレーム21に対して前後方向にスライド可能である。
【0026】
図2~
図4に示すように、支持体13は、固定部31とカバー部32とを有している。固定部31は、フロアボデー102の隔壁102bの上方に位置している。カバー部32は、固定部31と一体形成されている。カバー部32は、前後方向において固定部31よりも後方かつ凹部102aよりも前方に位置している。カバー部32は、ワイヤハーネス105を上方及び後方から覆っている。カバー部32におけるワイヤハーネス105を後方から覆う部分は、凹部102aに沿う形状をしている。支持体13は、フロアボデー102に固定されている。
【0027】
図2に示すように、支持体13は、カバー部32の上面から凹む収納部33を有している。収納部33には、工具などの使用頻度の低い物が収納される。収納部33には、例えば、ジャッキが収納される。
【0028】
<デッキボード>
図3及び
図4に示すように、デッキボード11は、前側ボード41と、後側ボード42と、中間ボード43とを有している。前側ボード41、後側ボード42、及び中間ボード43はそれぞれ、矩形平板状である。
【0029】
前側ボード41は、固定部31上に載置されている。前側ボード41は、固定部31によって支持されている。前側ボード41は、固定部31よりも後方に延出する部分を有している。前側ボード41は、固定部31に固定されている。したがって、前側ボード41は、支持体13を介してフロアボデー102に固定されている。
【0030】
後側ボード42は、可動フレーム24上に載置されている。後側ボード42は、可動フレーム24によって支持されている。可動フレーム24が固定フレーム21に対して前後方向にスライドすることによって、後側ボード42も可動フレーム24とともに前後方向にスライドする。したがって、後側ボード42は、車両100の前後方向にスライド可能である。
【0031】
後側ボード42は、前側被覆部421と、後側被覆部422よりも後方に位置する後側被覆部422とによって構成されている。後側被覆部422は、前側被覆部421に対して折り曲げ可能に設けられている。後側被覆部422は、車両100の左右方向、すなわち車両100の車幅方向を軸に回動可能である。
【0032】
後側ボード42には、一対の引掛部44が設けられている。各引掛部44は、後側ボード42の前端面42fに設けられている。一対の引掛部44は、左右方向における後側ボード42の両端部に位置している。本実施形態の各引掛部44は、L字状である。各引掛部44は、後側ボード42の前端面42fから前方に向かって延びる第1部位44aと、第1部位44aの先端部から下側に向かって延びる第2部位44bとを有している。
【0033】
中間ボード43には、4つのローラ部材45が取り付けられている。4つのローラ部材45は、中間ボード43の下面43dに取り付けられている。4つのローラ部材45のうち、2つのローラ部材45は、中間ボード43の右部において前後方向に間隔を空けて配置されているとともに、他の2つのローラ部材45は、中間ボード43の左部において前後方向に間隔を空けて配置されている。
【0034】
図5に示すように、ローラ部材45は、ブラケット45aと、ブラケット45aに設けられた軸部材45bと、軸部材45bに設けられたローラ本体45cとを有している。ブラケット45aは、軸部材45bが左右方向に延びるように中間ボード43の下面43dに固定されている。ローラ本体45cは、前転及び後転可能である。
【0035】
中間ボード43に取り付けられた4つのローラ部材45は、各固定フレーム21に取り付けられた2つのレール部材23に載置されている。したがって、中間ボード43は、一対のレール部材23によって支持されている。
【0036】
図3に示すように、中間ボード43には、一対の突起46が設けられている。一対の突起46のうち、一方の突起46は、中間ボード43の左側面43lから突出するとともに、他方の突起46は、中間ボード43の右側面43rから突出している。一対の突起46は、中間ボード43の後端部に位置している。
【0037】
<格納状態及び引出状態>
デッキボード11は、荷室101内に格納された格納状態と、一部が荷室101の外かつ後方に引き出された引出状態とを取り得る。
【0038】
図3及び
図4に示すように、デッキボード11が格納状態のとき、後側ボード42全体が凹部102aの上方に位置している。後側ボード42の前側被覆部421は、凹部102aの前部を覆っている。後側ボード42の後側被覆部422は、凹部102aの後部を覆っている。このとき、後側ボード42は、凹部102aを閉塞している。一方、
図4において二点鎖線で示すように、後側被覆部422が凹部102aの後部を覆っていないとき、後側ボード42は、凹部102aを開放している。
【0039】
後側ボード42が凹部102aを閉塞している状態において後側被覆部422が上方に持ち上げられると、後側被覆部422が左右方向を軸に回動することで、後側ボード42は凹部102aを開放する。後側ボード42が凹部102aを開放している状態において後側被覆部422が下方に下げられると、後側被覆部422が左右方向を軸に回動することで、後側ボード42は凹部102aを閉塞する。このように後側ボード42は、後側ボード42の一部である後側被覆部422が回動することで凹部102aを閉塞又は開放する。
【0040】
前側ボード41の一部と後側ボード42の一部とは、オーバーラップしている。詳しくは、後側ボード42の一部は、前側ボード41における固定部31よりも後方に延出している部分の下側に位置している。後側ボード42の上面42tは、前側ボード41と当接している。これにより、前側ボード41と後側ボード42との間には隙間が生じない。
【0041】
中間ボード43のローラ部材45は、レール部材23の前側水平面23a上に位置している。中間ボード43は、後側ボード42の前側被覆部421の下側に位置している。中間ボード43の上面43tは、後側ボード42の下面42dと対向している。中間ボード43の後端面43bは、収納ボックス103の前端面よりも前方に位置している。後側ボード42に設けられた一対の引掛部44は、中間ボード43の両側に位置している。一対の引掛部44は、一対の突起46よりも前方に位置している。一対の引掛部44と一対の突起46は、前後方向において対向している。
【0042】
図6に示すように、可動フレーム24が後方にスライドすると、後側ボード42は、可動フレーム24とともに後方にスライドする。すると、後側ボード42に設けられた一対の引掛部44も後方に移動することによって、中間ボード43に設けられた一対の突起46に接触する。
【0043】
図7に示すように、可動フレーム24及び後側ボード42が後方にさらにスライドすると、一対の突起46が一対の引掛部44によって後方に向けて押圧されることにより、中間ボード43は、可動フレーム24及び後側ボード42とともに後方に移動する。このとき、ローラ部材45がレール部材23の傾斜面23c上を後方に移動することによって、中間ボード43は上方にも移動する。つまり、後側ボード42が後方にスライドするときには、中間ボード43は後方かつ上方に移動する。
【0044】
そして、
図8及び
図9に示すように、ローラ部材45がレール部材23の後側水平面23b上に到達する位置まで中間ボード43が後方に移動すると、デッキボード11は引出状態になる。デッキボード11が引出状態のとき、後側ボード42の一部が凹部102aの上方に位置している。後側ボード42の前側被覆部421は、凹部102aの後部を覆っている。後側ボード42の後側被覆部422は、凹部102aよりも後方に位置している。
【0045】
中間ボード43は、前後方向において前側ボード41と後側ボード42との間に位置している。中間ボード43は、凹部102aの前部を覆っている。つまり、中間ボード43によって、デッキボード11が引出状態のとき、凹部102aの前部が開放されることが回避されている。中間ボード43のローラ部材45は、レール部材23の後側水平面23b上に位置している。このため、中間ボード43は、デッキボード11が格納状態のときよりも後方かつ上方に位置している。中間ボード43の上面43tは、後側ボード42の上面42tと面一となっている。本実施形態では、中間ボード43の後端面43bは、後側ボード42の前端面42fと当接している。このため、中間ボード43と後側ボード42との間には隙間が生じない。
【0046】
前側ボード41の一部と中間ボード43の一部とはオーバーラップしている。詳しくは、中間ボード43の一部は、前側ボード41における固定部31よりも後方に延出している部分の下側に位置している。中間ボード43の上面43tは、前側ボード41と当接している。このため、中間ボード43と前側ボード41との間には隙間が生じない。
【0047】
可動フレーム24が前方にスライドすると、後側ボード42は、可動フレーム24とともに前方にスライドする。すると、後側ボード42の前端面42fが中間ボード43の後端面43bを押圧することによって、中間ボード43も可動フレーム24及び後側ボード42とともに前方に移動する。また、後側ボード42に設けられた一対の引掛部44も前方に移動することによって、一対の引掛部44は中間ボード43に設けられた一対の突起46から離れる。そして、ローラ部材45がレール部材23の傾斜面23c上を前方に移動することによって、中間ボード43は下方にも移動する。つまり、後側ボード42が前方にスライドするときには、中間ボード43は前方かつ下方に移動する。レール部材23の規制部23dにより、中間ボード43が前方に移動する際、ローラ部材45がレール部材23から脱落することが規制されている。
【0048】
そして、ローラ部材45がレール部材23の前側水平面23a上に到達する位置まで中間ボード43が前方に移動した状態において、中間ボード43の上面43tは、後側ボード42の下面42dよりも下側に位置している。これにより、後側ボード42は、中間ボード43の上側に位置することができる。後側ボード42は、後側ボード42の一部が前側ボード41とオーバーラップする位置まで前方にスライドする。これにより、デッキボード11は格納状態になる。
【0049】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)車両用デッキ装置10は、前側ボード41、後側ボード42、及び中間ボード43を有するデッキボード11を備えている。前側ボード41は、車両100のフロアボデー102に固定されている。後側ボード42は、後側被覆部422が回動することでフロアボデー102に設けられた凹部102aを開放又は閉塞する。また、後側ボード42は、車両100前後方向にスライド可能である。中間ボード43は、後側ボード42が後方にスライドするときには後方かつ上方に移動する。中間ボード43は、後側ボード42が前方にスライドするときには前方かつ下方に移動する。
【0050】
デッキボード11は、荷室101内に格納された格納状態と、一部が荷室101の外かつ後方に引き出された引出状態とを取り得る。デッキボード11が格納状態のとき、中間ボード43は、後側ボード42の下側に位置するとともに、前側ボード41の一部と後側ボード42の一部とはオーバーラップしている。デッキボード11が引出状態のとき、中間ボード43の上面43tは、後側ボード42の上面42tと面一となるとともに、前側ボード41の一部と中間ボード43の一部とはオーバーラップしている。
【0051】
この構成によれば、デッキボード11が引出状態のときには、中間ボード43の上面43tは、後側ボード42の上面42tと面一になるため、デッキボード11のフラットな面を広げることができる。したがって、例えば、デッキボード11をテーブルとして利用しやすくなる。また、前側ボード41の一部と中間ボード43の一部とはオーバーラップしている。このため、荷物が前側ボード41と中間ボード43との間から落下しにくい。
【0052】
デッキボード11が格納状態のときには、中間ボード43は、デッキボード11が引出状態のときよりも前方に位置している。このため、凹部102aを開放することにより凹部102aから収納ボックス103を取り出す際に、収納ボックス103が中間ボード43に干渉しにくい。また、前側ボード41の一部と後側ボード42の一部とは、オーバーラップしている。このため、荷物が前側ボード41と後側ボード42との間から落下しにくい。よって、使用性に優れた車両用デッキ装置10を提供できる。
【0053】
(2)車両用デッキ装置10は、フロアボデー102に固定された支持体13を備えている。支持体13は、前側ボード41が固定される固定部31と、フロアボデー102上に配置されたワイヤハーネス105を覆うカバー部32とを有している。前側ボード41は、固定部31よりも後方に延出する部分を有するように固定部31上に載置されている。
【0054】
この構成によれば、前側ボード41は、支持体13を介してフロアボデー102に固定されている。したがって、前側ボード41がフロアボデー102に直接固定される場合と比較して、前側ボード41の高さを任意の高さに設定しやすい。また、フロアボデー102上に配置されたワイヤハーネス105は、カバー部32によって覆われている。したがって、ワイヤハーネス105を隠すことができる。さらに、前側ボード41は、固定部31よりも後方に延出する部分を有している。したがって、デッキボード11が格納状態のときには、前側ボード41の一部と後側ボード42の一部とがオーバーラップできるとともに、デッキボード11が引出状態のときには、前側ボード41の一部と中間ボード43の一部とがオーバーラップできる。
【0055】
(3)支持体13は、カバー部32の上面から凹む収納部33を有している。この構成によれば、工具などの使用頻度の低い物を収納するスペースとして収納部33を利用することができる。
【0056】
(4)デッキボード11が引出状態であるとき、中間ボード43の後端面43bと後側ボード42の前端面42fとは当接している。この構成によれば、デッキボード11が引出状態であるとき、荷物が中間ボード43と後側ボード42との間から落下しにくい。
【0057】
(5)中間ボード43の下面43dには、ローラ部材45が取り付けられている。したがって、中間ボード43は、レール部材23上をスムーズに移動することができる。
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0058】
○
図10~
図13に示すように、引掛部44は、F字状の回転ヒンジであってもよい。引掛部44は、長方形板状の基部51と、第1突出片52と、第2突出片53とを有している。第1突出片52及び第2突出片53は、基部51から板厚方向に突出している。第1突出片52と第2突出片53は、基部51の長手方向において間隔を空けて並んでいる。第1突出片52は、第2突出片53よりも基部51の先端側に位置している。引掛部44は、回転軸54を介して後側ボード42に取り付けられている。また、後側ボード42には、回転軸54を介して平板状のカバープレート55が取り付けられている。カバープレート55は、左右方向において延在している。左右方向におけるカバープレート55の幅は、中間ボード43の幅と同程度である。
【0059】
図10に示すように、デッキボード11が格納状態のとき、引掛部44の基部51は、後側ボード42から下方に延びている。基部51と第1突出片52と第2突出片53とによって囲まれた空間は、後方に開口している。カバープレート55における回転軸54とは反対側に位置する端部は、中間ボード43の上面43tに当接している。
【0060】
図11に示すように、可動フレーム24及び後側ボード42が後方にスライドすると、中間ボード43に設けられた突起46は、引掛部44の基部51と第1突出片52と第2突出片53とによって囲まれた空間に挿入される。
【0061】
図12に示すように、可動フレーム24及び後側ボード42がさらに後方にスライドすると、引掛部44及びカバープレート55はそれぞれ、回転軸54を軸にして回動する。後側ボード42が後方にスライドする際、突起46には、第1突出片52から上方かつ後方に向かう力が作用する。これにより、中間ボード43は、可動フレーム24及び後側ボード42とともに後方に移動する。また、上記実施形態と同様、ローラ部材45がレール部材23の傾斜面23c上を後方に移動することによって、中間ボード43は上方にも移動する。
【0062】
図13に示すように、デッキボード11が引出状態のとき、引掛部44の基部51及びカバープレート55はそれぞれ、後側ボード42から水平に延びた状態になる。中間ボード43の後端面43bと後側ボード42の前端面42fとの間には隙間が生じている。カバープレート55は、この隙間を覆っている。したがって、荷物が中間ボード43と後側ボード42との間から落下しにくい。
【0063】
このように引掛部44を回転ヒンジにした場合、ローラ部材45がレール部材23の傾斜面23c上を移動する際、突起46には、後方に向かう力だけでなく、上方に向かう力も作用する。したがって、中間ボード43を上方に移動させやすい。
【0064】
中間ボード43の後端面43bと後側ボード42の前端面42fとの間に生じる隙間の幅が、荷物が中間ボード43と後側ボード42との間から落下しない程度の幅であれば、カバープレート55は省略されてもよい。
【0065】
○ 支持体13は省略されてもよい。この場合、前側ボード41は、フロアボデー102に直接固定される。
○ 支持体13は、カバー部32を有していなくてもよい。
【0066】
○ 支持体13は、収納部33を有していなくてもよい。
○ 中間ボード43がレール部材23に沿って移動可能であれば、中間ボード43にはローラ部材45が取り付けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…車両用デッキ装置、11…デッキボード、13…支持体、31…固定部、32…カバー部、33…収納部、41…前側ボード、42…後側ボード、42f…前端面、42t…上面、43…中間ボード、43b…後端面、43t…上面、100…車両、101…荷室、102…フロアボデー、102a…凹部、105…ワイヤハーネス。