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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130121
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20240920BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F28D15/02 101G
H05K7/20 Q
F28D15/02 101L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039649
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 友和
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322BB03
5E322BC05
5E322DB06
5E322DB12
5E322EA10
5E322FA01
(57)【要約】
【課題】冷却効率の向上を図ることができる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置1は、発熱部材2からの熱で沸騰する冷媒Rが収められる容器と、容器に収められ、発熱部材2から離間する方向と発熱部材2に接近する方向とに移動することで、冷媒Rを攪拌する攪拌部とを備え、攪拌部は、発熱部材2に対向して配置され、貫通孔31が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部材からの熱で沸騰する冷媒が収められる容器と、
前記容器に収められ、前記発熱部材から離間する方向と前記発熱部材に接近する方向とに移動することで、前記冷媒を攪拌する攪拌部とを備え、
前記攪拌部は、前記発熱部材に対向して配置され、貫通孔が設けられる
冷却装置。
【請求項2】
前記攪拌部には、前記発熱部材に対向する面から突出する突出部が設けられ、
前記突出部には、前記貫通孔に向かって前記冷媒を案内する突出片が設けられる
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記突出片には、前記貫通孔に向かうにつれて、前記発熱部材から離間する方向に傾斜する傾斜面が設けられる
請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記貫通孔の縁部には、曲面が設けられる
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記攪拌部は、前記発熱部材から離間する方向と、前記発熱部材に接近する方向に移動する方向と、に交差する方向に移動可能である
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱部材からの熱によって沸騰する冷媒を用いる、所謂沸騰冷却を行う冷却装置が知られている。
特許文献1は、発熱体に対する絶縁性を確保しつつ、冷却性能を向上できる沸騰冷却装置およびその製造方法を開示する。特許文献1の沸騰冷却装置は、熱を受熱する第1プレートと、第1プレートと対向して配置される第2プレートと、第1プレートと第2プレートとを接続すると共に第1プレートと第2プレートとの間に冷媒流路を形成するリブ部と、を有するプレート本体部と、第1プレートの対向面に配置されると共に、冷媒の沸騰を促進する沸騰促進部と、を備える。プレート本体部は、本体用セラミックス粉末からなり、沸騰促進部は、本体用セラミックス粉末の粒径よりも粒径の大きい積層用セラミックス粉末からなり、プレート本体部および沸騰促進部が焼結されることで一体的に形成されており、プレート本体部は、緻密質焼結体であり、沸騰促進部は、積層用セラミックス粉末が粒子状で積層された粒子積層体である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-110792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、発熱部材と、冷媒との熱交が行われる箇所に、冷媒の沸騰に伴って生じる気泡が付着し、冷却効率が低下する虞がある。
本発明は、冷却効率の向上を図ることができる冷却装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、発熱部材からの熱で沸騰する冷媒が収められる容器と、前記容器に収められ、前記発熱部材から離間する方向と前記発熱部材に接近する方向とに移動することで、前記冷媒を攪拌する攪拌部とを備え、前記攪拌部は、前記発熱部材に対向して配置され、貫通孔が設けられる冷却装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、冷却効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る冷却装置を示す図である。
図2】気泡剥離促進板の斜視図である。
図3】気泡剥離促進板の斜視図である。
図4】気泡剥離促進板の動作を示す図である。
図5】気泡剥離促進板の動作を示す図である。
図6】実施形態2に係る冷却装置を示す図である。
図7】気泡剥離促進板の斜視図である。
図8】気泡剥離促進板の動作を示す図である。
図9】気泡剥離促進板の動作を示す図である。
図10】変形例に関わる冷却装置1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
以下、図面を参照して実施形態1について説明する。
図1は、本実施形態に係る冷却装置1を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の冷却装置1は、発熱部材2を冷却する装置である。
発熱部材2は、作動に伴って発熱する発熱体である。発熱部材2は、例えば、PCU(Power Control Unit)やインバータ等の電子基板や電気部品を備える電子機器、あるいはモータ等の回転電機等、駆動に伴って発熱する各種の部材が相当する。本実施形態では、発熱部材2は、自動車や鞍乗り型車両、あるいは除雪機や芝刈り機等の作業機に搭載されるPCUである。
【0009】
冷却用容器10は、発熱部材2を冷却するための冷媒Rが貯留される内部空間11を備える槽状、あるいは容器状の部材である。冷却用容器10は、内部空間11の内部全体が冷媒Rに満たされる所謂液密構造である。本実施形態の冷却用容器10は、略直方体状に形成される。
【0010】
冷却用容器10は、発熱部材2の一側面に、外側面13が接する。本実施形態では、外側面13は、平坦面である。外側面13は、平面視で発熱部材2よりも大きい平面である。外側面13は、冷却用容器10の一側面を形成する側壁15の外側に位置する平面である。
このように配置される冷却装置1では、冷却用容器10の壁面を介して、発熱部材2と、冷媒Rとの熱交換が行われる。このため、冷却用容器10は、熱伝導率が高い材料が用いられることが望ましい。
冷却用容器10は、「容器」に相当する。
【0011】
冷媒Rは、液相状態で冷却用容器10に貯留されると共に、発熱部材2からの熱で気相変化する流体である。冷媒Rは、発熱部材2の発熱温度よりも低い沸点を有する。これによって、冷媒Rは、発熱部材2の発熱で沸騰可能である。当該冷媒Rには、水やジエチルエーテル、ロングライフクーラント、フロン系冷媒等、発熱部材2の発熱温度に応じて、任意の冷媒が用いられてもよい。
【0012】
冷却用容器10には、流入管20と、流出管22とを介して、熱交換器24と、循環ポンプ26とが接続される。
流入管20と、流出管22とは、冷媒Rが流通する配管である。
【0013】
熱交換器24は、冷却用容器10から流れ込む冷媒Rの熱を放熱して冷却する凝縮器として機能する。本実施形態の熱交換器24は、空気と熱交換することで冷却するラジエータである。冷却装置1は、熱交換器24に送風する送風機28を備える。
なお、これに限らず、熱交換器24は、流入する冷媒Rを、他の冷温冷媒と熱交換させることで、冷媒Rを凝縮させる所謂チラーであってもよい。
【0014】
循環ポンプ26は、冷媒R吸入して所定の圧力で吐出することで、冷媒Rを、冷却用容器10と、流出管22と、熱交換器24と、流入管20とで形成される冷媒回路内に流通させる。本実施形態では、冷媒Rは、循環ポンプ26によって、冷却用容器10から流出管22を介して、熱交換器24に流れ込み、当該熱交換器24から流入管20を介して冷却用容器10に流入する。
【0015】
冷却用容器10の内部空間11には、気泡剥離促進板30が設けられる。気泡剥離促進板30は、全体が平板形状を備え、板厚方向が外側面13に略垂直に延びるように配置される。すなわち、気泡剥離促進板30は、一方の平面35が外側面13に対向するように配置される。本実施形態の気泡剥離促進板30は、平面35が外側面13に略平行となるように配置される。
気泡剥離促進板30は、平面視で、発熱部材2と略同一、あるいは発熱部材2よりも大きい平面形状を備える。気泡剥離促進板30は、内部空間11において、平面視で、発熱部材2の全体を覆う位置に配置される。
【0016】
図2は、気泡剥離促進板30の斜視図である。図2は、気泡剥離促進板30を発熱部材2に対向する平面35の反対側の平面37から視た図である。
図2に示すように、気泡剥離促進板30には、複数の貫通孔31が設けられる。これらの貫通孔31は、気泡剥離促進板30の板厚方向に貫通することで形成される。貫通孔31の各々は、気泡剥離促進板30の平面視で、当該気泡剥離促進板30の平面35の各辺に沿って、互いに間隔を空けて並ぶように配置される。
本実施の形態の貫通孔31は、平面視で略矩形状に形成される。
【0017】
図3は、気泡剥離促進板30の斜視図である。図3は、気泡剥離促進板30を発熱部材2側から視た図である。
図1に示すように、気泡剥離促進板30には、複数の突出部40が設けられる。突出部40は、外側面13に対向する平面35から、外側面13に向かって突出する。図3の示すように、突出部40は、平面35において、平面視で、一つの辺から当該辺に平行な辺に亘って延びる長尺の形状を備える。突出部40は、当該突出部40の長手方向に交差する方向に複数が平35に並べて配置される。突出部40は、平面視で、貫通孔31の各々の間に配置される。
【0018】
突出部40は、一対の突出片42を備える。突出片42は、気泡剥離促進板30の平面視で、突出部40の長手方向に交差する方向に、突出片42の先端部の両側面から突出する。このため、突出片42は、平面35から離間する。突出片42は、突出部40の長手方向全体に亘って設けられる。
突出片42の各々は、気泡剥離促進板30の平面視で、突出部40が隣り合う貫通孔31の一部に重なる程度の長さ寸法で突出する。このため、貫通孔31の各々は、発熱部材2側から、平面視で、突出部40が並ぶ方向における両側から突出する一対の突出片42によって、その一部が覆われる。
【0019】
突出片42には、傾斜面45が設けられる。傾斜面45は、突出部40の先端部から、突出片42の先端部に亘って形成される平坦面である。傾斜面45は、突出部40の先端部から突出片42の先端部に向かうにつれて、外側面13から平面35に向かうように形成される。このため、傾斜面45は、外側面13側から貫通孔31に向かって傾斜するように設けられる。換言すれば、傾斜面45は、貫通孔31に向かうにつれて、発熱部材2から離間する方向に傾斜する。
気泡剥離促進板30は、「攪拌部」に相当する。
【0020】
図1に示すように、気泡剥離促進板30は、内部空間11において、駆動部50によって支持される。駆動部50は、例えば、偏心モータ、リニア振動アクチュエータ、又は圧電素子等といったアクチュエータである。駆動部50は、取り付けられる所定の部材を所定の方向に往復移動、あるいは振動させる。本実施形態の駆動部50は、外側面13を備える冷却用容器10の側壁15に取り付けられる。
【0021】
駆動部50は、平面35が外側面13に平行に対向するように気泡剥離促進板30を保持する。駆動部50は、駆動することで、気泡剥離促進板30を、発熱部材2から離間する方向と、発熱部材2に接近する方向とに交互に移動させる。すなわち、気泡剥離促進板30は、側面3に略直交する方向に振動する。
駆動部50は、気泡剥離促進板30の移動可の範囲において、当該気泡剥離促進板30が側壁15に接触しない程度の間隔を空けて、気泡剥離促進板30を支持する。
【0022】
次いで、本実施形態の冷却装置1の動作について説明する。
冷却用容器10の内部空間11では、発熱部材2の発熱によって、冷媒Rが沸騰し、気相冷媒が発生する。この場合、冷却装置1では、冷却用容器10の外側面13を介して、発熱部材2と冷媒Rとが熱交換することで、冷却用容器10の外側面13を備える側壁15に接触する冷媒Rが沸騰する。沸騰する冷媒Rの気化潜熱によって、冷却用容器10の外側面13を介して、発熱部材2が冷却される。
【0023】
沸騰した冷媒Rは、気相冷媒となる。これによって、側壁15の周辺では、気相冷媒となった冷媒Rの気泡Bが発生する(図4)。
通常、気泡Bは、側壁15から離間し、液相の冷媒Rによって一部が凝縮される。
さらに、気泡Bは、流出管22を介して、液相の冷媒Rと共に、熱交換器24に流れ、当該熱交換器24において、凝縮が促進され、液相となる。熱交換器24で凝縮された冷媒Rは、循環ポンプ26によって、流入管20を介して冷却用容器10に送り出される。
【0024】
ここで、気泡Bが発生すると、表面張力によって、当該気泡Bが側壁15に付着する場合がある。これによって、気泡Bが側壁15における断熱空気層となり、冷媒Rと、発熱部材2との熱交換が阻害される虞がある。
【0025】
図4は、気泡剥離促進板30の動作を示す図である。図4では、気泡剥離促進板30が発熱部材2に接近する方向に移動する場合を示す。図4では、気泡剥離促進板30の移動する方向を矢印Mで示す。
本実施形態の冷却装置1では、気泡剥離促進板30が振動可能に形成される。例えば、図4に示すように、気泡Bが側壁15に付着した状態において、発熱部材2に接近する方向に気泡剥離促進板30が移動すると、傾斜面45に誘導されて、気泡Bが突出部40の各々の間、すなわち貫通孔31の下方に移動する。
【0026】
図5は、気泡剥離促進板30の動作を示す図である。図5では、気泡剥離促進板30が発熱部材2から離間する方向に移動する場合を示す。図5では、気泡剥離促進板30の移動する方向を矢印Mで示し、液相の冷媒Rが移動する方向を矢印Fで示す。
図5に示すように、気泡剥離促進板30が発熱部材2から離間する方向に移動すると、突出片42によって保持される気泡Bが気泡剥離促進板30と共に、発熱部材2から離間する方向に移動する。
さらに、気泡剥離促進板30の移動に伴って、貫通孔31から気泡剥離促進板30の平面35側に液相の冷媒Rが流れ込む。この液相の冷媒Rは、突出片42に上方から当たり、平面視における貫通孔31の中央側から気泡剥離促進板30の上方に向かって流れる。
【0027】
冷媒Rの当該流れによって、気泡Bは、貫通孔31を通過して、気泡剥離促進板30の平面35側から平面37側に移動する。さらに、気泡Bと共に、気泡剥離促進板30が退避した位置には、液相の冷媒Rが流れ込み、発熱部材2と熱交換される。
【0028】
上述のように、気泡剥離促進板30は、傾斜面45が設けられることで、突出部40の間、且つ貫通孔31の下方に気泡Bを誘導可能である。
また、上述のように、気泡剥離促進板30は、突出片42が設けられることで、突出部40の間に入り込む気泡Bを保持可能となる。
【0029】
さらに、気泡剥離促進板30は、貫通孔31が設けられることで、当該貫通孔31を介して、気泡Bを側壁15から離間する方向に誘導できる。上述の通り、本実施形態の気泡剥離促進板30は、平板形状を備えるため、貫通孔31に気泡Bが付着することが抑制される。
さらに、本実施形態の気泡剥離促進板30は、平板形状を備えるため、小さい振動幅で、気泡Bを側壁15から離間する方向に誘導できる。
加えて、冷却装置1では、気泡剥離促進板30が気泡Bを保持する必要がないため、当該気泡剥離促進板30を薄い板状に形成することが可能である。これによって、冷却装置1は、大型化の抑制を図ることができる。
【0030】
また、気泡剥離促進板30は、振動に伴って、気泡を剥離すると共に、周囲の冷媒Rを側壁15に送り出すことが可能である。これによって、気泡剥離促進板30は、振動する場合に、側壁15により低温の冷媒Rを常に送り出すことができる。このため、冷却装置1では、例えば側壁15の周辺における冷媒Rの温度が沸点よりも低い場合であっても、より低温の冷媒Rが供給されることで、発熱部材2の冷却を測ることができる。
【0031】
加えて、発熱部材2の冷却が不要な場合は、駆動部50の駆動を停止することで、気泡剥離促進板30による冷媒Rの攪拌を停止させてもよい。これによって、冷却装置1では、省エネルギー化を図ることが可能である。
【0032】
このように、冷却装置1では、気泡剥離促進板30が冷媒Rを攪拌することで、気泡Bが側壁15から離間し、冷却装置1の冷却効率の低下を抑制できる。この気泡剥離促進板30は、発熱部材2に対して略垂直方向に振動するため、重力方向に対して発熱部材2が配置される方向に関わらず、気泡Bを発熱部材2から離間する方向に誘導できる。
【0033】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2について説明する。
図6は、本発明の実施形態1に係る冷却装置1を示す。図6において、図1と同一箇所には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の冷却装置100は、気泡剥離促進板30に代えて、気泡剥離促進板130を備える点で、冷却装置1と相違する。
【0034】
図6に示すように、気泡剥離促進板130は、全体が平板形状を備え、板厚方向が外側面13に略垂直に延びるように配置される。すなわち、気泡剥離促進板130は、一方の平面135が外側面13に対向するように配置される。本実施形態の気泡剥離促進板130は、平面135が外側面13に略平行となるように配置される。
気泡剥離促進板130は、平面視で、発熱部材2と略同一、あるいは発熱部材2よりも大きい平面形状を備える。気泡剥離促進板130は、内部空間11において、平面視で、発熱部材2の全体を覆う位置に配置される。
【0035】
図7は、気泡剥離促進板130の斜視図である。図7は、気泡剥離促進板130を発熱部材2側から視た図である。
図7に示すように、気泡剥離促進板130には、複数の貫通孔131が設けられる。これらの貫通孔131は、気泡剥離促進板130の板厚方向に貫通することで形成される。貫通孔131の各々は、気泡剥離促進板130の平面視で、当該気泡剥離促進板30の平面35の各辺に沿って、互いに間隔を空けて並ぶように配置される。
本実施の形態の貫通孔131は、平面視で略円形状に形成される。
【0036】
平面135側に位置する貫通孔131の縁部には、当該平面135と、貫通孔131の内側面139とを連結する曲面145が設けられる。曲面145は、発熱部材2に向かって凸な曲面である。曲面145は、貫通孔131の縁部の全体に亘って設けられる。
【0037】
図8は、気泡剥離促進板130の動作を示す図である。図8では、気泡剥離促進板130が発熱部材2から離間する方向に移動する場合を示す。図8では、気泡剥離促進板130の移動する方向を矢印Mで示し、液相の冷媒Rが移動する方向を矢印Fで示す。
図8に示すように、気泡剥離促進板130が発熱部材2から離間する方向に移動すると、貫通孔131から気泡剥離促進板130の平面135側に液相の冷媒Rが流れ込む。この液相の冷媒Rは、気泡剥離促進板130側から側壁15に向かって流れた後に、側壁15に沿って流れる。この冷媒Rの流れによって、側壁15に付着する気泡Bが当該側壁15から剥離される。
【0038】
図9は、気泡剥離促進板130の動作を示す図である。図9では、気泡剥離促進板130が発熱部材2に接近する方向に移動する場合を示す。図9では、気泡剥離促進板130の移動する方向を矢印Mで示す。
図9に示すように、発熱部材2に接近する方向に気泡剥離促進板130が移動すると、気泡剥離促進板130と、側壁15との間に位置する冷媒Rが貫通孔131を介して、平面135の反対側に位置する気泡剥離促進板130の平面137側に流れる。
上述のように、気泡剥離促進板130には、曲面145が設けられる。これによって、平面135と、側壁15との間から、貫通孔131に冷媒Rが流れ込むことが促進される。この冷媒Rの流れによって、気泡Bは、貫通孔131を介して、平面137側に移動する。これによって、側壁15に気泡Bが付着することが抑制される。
【0039】
このように、冷却装置100では、気泡剥離促進板130が冷媒Rを攪拌することで、気泡Bが側壁15から離間し、冷却装置100の冷却効率の低下を抑制できる。この気泡剥離促進板130は、駆動されるため、重力方向に対して発熱部材2が配置される方向に関わらず、気泡Bを発熱部材2から離間する方向に誘導できる。
【0040】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の要旨の範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
【0041】
上述した実施の形態では、気泡剥離促進板30、130は、発熱部材2から離間する方向と、発熱部材2に接近する方向とに交互に移動するとした。しかしながらこれに限らず、気泡剥離促進板30、130は、発熱部材2から離間する方向と、発熱部材2に接近する方向とに加えて、これらの方向に交差する方向に移動可能に設けられてもよい。
例えば、図10に示すように、冷却装置1では、2つの駆動部50が設けられてもよい。これらの駆動部50によって、気泡剥離促進板30は、発熱部材2から離間する方向と、発熱部材2に接近する方向とに交互に移動すると共に、発熱部材2に平行に移動可能であってもよい。これによって、冷却装置1は、より確実に、気泡Bを側壁15から離脱させることができる。
【0042】
上述した実施の形態では、冷却装置1は、循環ポンプ26によって冷媒Rが循環するとした。しかしながらこれに限らず、所謂熱対流で冷媒Rを循環可能に形成されてもよい。
【0043】
上述した実施の形態では、冷却装置1は、循環ポンプ26と、熱交換器24とが設けられる冷媒回路を備えるとした。しかしながらこれに限らず、冷却装置1は、冷媒回路に代えて、冷却用容器10に放熱フィン等が設けられ、当該放熱フィンと熱交換することで、気相冷媒を凝縮してもよい。
【0044】
また例えば、発熱部材2の側面3と、冷却用容器10の外側面13との間には、熱伝導シートや、アルミニウム板等の熱伝導性の高い部材が設けられてもよい。また例えば、外側面13において、少なくとも側面3が接する箇所は、アルミニウム板等の熱伝導性の高い部材で形成されてもよい。
【0045】
また例えば、発熱部材2と、冷却用容器10との熱交換が可能であれば、発熱部材2は、冷却用容器10の内部空間11に配置されてもよい。
【0046】
上述した実施形態における水平、及び垂直等の方向や各種の数形状は、特段の断りがない限り、それら方向や形状と同じ作用効果を奏する所謂均等の範囲を含む。
【0047】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0048】
(構成1)発熱部材からの熱で沸騰する冷媒が収められる容器と、前記容器に収められ、前記発熱部材から離間する方向と前記発熱部材に接近する方向とに移動することで、前記冷媒を攪拌する攪拌部とを備え、前記攪拌部は、前記発熱部材に対向して配置され、貫通孔が設けられる冷却装置。
【0049】
(構成2)前記攪拌部には、前記発熱部材に対向する面から突出する突出部が設けられ、前記突出部には、前記貫通孔に向かって前記冷媒を案内する突出片が設けられる構成1に記載の冷却装置。
この構成によれば、攪拌部は、貫通孔の下方に気泡を誘導すると共に、冷媒の気泡を保持し、容器から離間する方向に誘導できる。
【0050】
(構成3)前記突出片には、前記貫通孔に向かうにつれて、前記発熱部材から離間する方向に傾斜する傾斜面が設けられる構成2に記載の冷却装置。
この構成によれば、攪拌部は、貫通孔の下方に気泡を誘導可能である。このため、攪拌部は、貫通孔を介して、冷媒の気泡を容器から離間する方向に誘導できる。
【0051】
(構成4)前記貫通孔の縁部には、曲面が設けられる構成1から構成3のいずれかに記載の冷却装置。
この構成によれば、攪拌部は、冷媒をより確実に貫通孔の内部に誘導できる。
【0052】
(構成5)前記攪拌部は、前記発熱部材から離間する方向と、前記発熱部材に接近する方向に移動する方向と、に交差する方向に移動可能である構成1から構成4のいずれかに記載の冷却装置。
この構成によれば、前記攪拌部は、より確実に冷媒の気泡を容器から離間する方向に誘導できる。
【符号の説明】
【0053】
1、100 冷却装置
2 発熱部材
10 冷却用容器(容器)
11 内部空間
13 外側面
15 側壁
30、130 気泡剥離促進板(攪拌部)
31、131 貫通孔
40 突出部
42 突出片
45 傾斜面
50 駆動部
145 曲面
B 気泡
R 冷媒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10