(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130122
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240920BHJP
H01R 13/655 20060101ALI20240920BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H01R13/655
B60R16/02 623V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039650
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝祐
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 克俊
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 諒
【テーマコード(参考)】
5E021
5G357
【Fターム(参考)】
5E021FB10
5E021FB20
5E021FC21
5G357DA05
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD05
5G357DD10
5G357DD12
5G357DE05
5G357DE08
5G357DG01
(57)【要約】
【課題】シールド性能の安定化を可能としたワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス10は、電線21と導電性の素線が編み込まれてなる編組部材22とを有する電線部材11と、アース端子14と、を備える。編組部材22は、電線21の外周を覆う筒状部25と、筒状部25の端部からまとめられつつ電線21と分離可能に延びてアース端子14に接続されるアース線26と、を有する。ワイヤハーネス10は、電線21に固定されるホルダ13を備える。ホルダ13は、アース線26における延在方向の一部を保持するアース線保持部44を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、導電性の素線が編み込まれてなる編組部材と、を有する電線部材と、
アース端子と、を備え、
前記編組部材は、前記電線の外周を覆う筒状部と、前記筒状部の端部からまとめられつつ前記電線と分離可能に延びて前記アース端子に接続されるアース線と、を有する、ワイヤハーネスであって、
前記電線に固定されるホルダを備え、
前記ホルダは、前記アース線における延在方向の一部を保持するアース線保持部を有している、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記電線部材の外周を覆う筒状の外装部材をさらに備え、
前記ホルダは、前記外装部材の長さ方向の一端部である取付端部に取り付けられている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記ホルダは、前記外装部材の内側に挿入される筒状の挿入部と、前記挿入部から外周側に延出するフランジ部と、を備え、
前記電線は、前記挿入部の内側に通されており、
前記フランジ部は、前記取付端部に対して前記外装部材の長さ方向に対向している、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記アース線保持部は、前記挿入部を径方向に貫通するように形成されており、
前記アース線は、前記挿入部の内周側から外周側にかけて通されている、
請求項3に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記外装部材は、前記アース線が通されるスリットを有している、
請求項4に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記アース線保持部は、前記スリットに挿入されて前記スリットに対して周方向に係合する位置決め部を有している、
請求項5に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記ホルダを前記電線に固定する締付部材をさらに備え、
前記ホルダは、前記締付部材によって前記電線と共に締付固定される固定片を有している、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記電線は、複数設けられ、
前記ホルダは、前記複数の電線を結束する結束バンドであり、
前記結束バンドは、前記電線の外周に巻き付くバンド部と、前記バンド部の長さ方向の基端部に一体に設けられるとともに、前記バンド部が先端部から挿入されて係止されるロック部と、を有し、
前記アース線保持部は、前記ロック部に設けられている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスとしては、電線と、導電性の素線が編み込まれてなる編組部材と、アース端子とを備えたものがある(例えば、特許文献1(
図7)参照)。編組部材は、電線の外周を覆う筒状部と、筒状部の端部からまとめられつつ電線と分離可能に延びてアース端子に接続されるアース線とを有する。そして、アース端子は、例えば、車両ボディや金属筐体等の接地部材に接続されることになる。このようなワイヤハーネスでは、例えば、電線からのノイズの放射が編組部材によって抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなワイヤハーネスでは、電線に対するアース線の位置が定まっていないことから、編組部材の筒状部から接地部材までの間のインピーダンスが不安定になってしまう。これにより、編組部材によるワイヤハーネスのシールド性能が不安定になるという問題がある。
【0005】
本開示の目的は、シールド性能の安定化を可能としたワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、電線と、導電性の素線が編み込まれてなる編組部材と、を有する電線部材と、アース端子と、を備え、前記編組部材は、前記電線の外周を覆う筒状部と、前記筒状部の端部からまとめられつつ前記電線と分離可能に延びて前記アース端子に接続されるアース線と、を有する、ワイヤハーネスであって、前記電線に固定されるホルダを備え、前記ホルダは、前記アース線における延在方向の一部を保持するアース線保持部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示のワイヤハーネスによれば、シールド性能が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの一部断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態におけるホルダおよび外装部材を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態におけるワイヤハーネスの一部斜視図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの変更例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]電線と、導電性の素線が編み込まれてなる編組部材と、を有する電線部材と、アース端子と、を備え、前記編組部材は、前記電線の外周を覆う筒状部と、前記筒状部の端部からまとめられつつ前記電線と分離可能に延びて前記アース端子に接続されるアース線と、を有する、ワイヤハーネスであって、前記電線に固定されるホルダを備え、前記ホルダは、前記アース線における延在方向の一部を保持するアース線保持部を有している。
【0010】
この構成によれば、電線に固定されるホルダにアース線保持部が設けられるため、電線に対するアース線の位置を安定化させることができる。このため、編組部材の筒状部から接地部材に接続されるアース端子までの間のインピーダンスが安定する。よって、シールド性能が安定する。
【0011】
[2]上記[1]において、前記ワイヤハーネスは、前記電線部材の外周を覆う筒状の外装部材をさらに備え、前記ホルダは、前記外装部材の長さ方向の一端部である取付端部に取り付けられていてもよい。
【0012】
この構成によれば、アース線保持部を有するホルダは、外装部材の長さ方向の一端部である取付端部に取り付けられる。これにより、外装部材の長さ方向の端部付近において、編組部材から延びるアース線を保持することができる。
【0013】
[3]上記[2]において、前記ホルダは、前記外装部材の内側に挿入される筒状の挿入部と、前記挿入部から外周側に延出するフランジ部と、を備え、前記電線は、前記挿入部の内側に通されており、前記フランジ部は、前記取付端部に対して前記外装部材の長さ方向に対向していてもよい。
【0014】
この構成によれば、ホルダのフランジ部によって、電線が外装部材の取付端部に干渉することを抑制することが可能となる。
[4]上記[3]において、前記アース線保持部は、前記挿入部を径方向に貫通するように形成されており、前記アース線は、前記挿入部の内周側から外周側にかけて通されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、アース線をホルダの挿入部を貫通して挿入部の外周側に通すことが可能となる。
[5]上記[4]において、前記外装部材は、前記アース線が通されるスリットを有していてもよい。
【0016】
この構成によれば、アース線を外装部材のスリットを貫通して外装部材の外周側に通すことが可能となる。
[6]上記[5]において、前記アース線保持部は、前記スリットに挿入されて前記スリットに対して周方向に係合する位置決め部を有していてもよい。
【0017】
この構成によれば、アース線保持部の位置決め部が外装部材のスリットに対して周方向に係合されることにより、周方向におけるアース線保持部と外装部材のスリットとの相対位置が位置決めされる。したがって、電線部材に対する周方向における外装部材のスリットの位置、すなわち、アース線の引き出し位置を位置決めすることが可能となる。
【0018】
[7]上記[2]から[6]のいずれかにおいて、前記ワイヤハーネスは、前記ホルダを前記電線に固定する締付部材をさらに備え、前記ホルダは、前記締付部材によって前記電線と共に締付固定される固定片を有していてもよい。
【0019】
この構成によれば、ホルダが締付部材によって電線に固定されるため、ホルダ、および、ホルダのアース線保持部に保持されたアース線をより安定して保持することが可能となる。
【0020】
[8]上記[1]において、前記電線は、複数設けられ、前記ホルダは、前記複数の電線を結束する結束バンドであり、前記結束バンドは、前記電線の外周に巻き付くバンド部と、前記バンド部の長さ方向の基端部に一体に設けられるとともに、前記バンド部が先端部から挿入されて係止されるロック部と、を有し、前記アース線保持部は、前記ロック部に設けられていてもよい。
【0021】
この構成によれば、複数の電線を結束する結束バンドに設けられたアース線保持部によって、電線に対するアース線の位置を安定化させることができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。
【0022】
(第1実施形態)
以下、ワイヤハーネスの第1実施形態について説明する。
図1に示す本実施形態のワイヤハーネス10は、例えば、車両に設けられる車載機器同士を電気的に接続するために、車両に配策されるものである。ワイヤハーネス10は、電線部材11と、電線部材11の外周を覆う外装部材12と、外装部材12に取り付けられるホルダ13と、アース端子14と、を備える。
【0023】
(電線部材11)
電線部材11は、電線21と、電線21の外周を覆う編組部材22とを有する。
図2に示すように、ワイヤハーネス10は、例えば複数の電線21を有する。本実施形態のワイヤハーネス10は、例えば2本の電線21を有する。電線21は、芯線23と、該芯線23の外周を覆う絶縁被覆24とを有する。
【0024】
芯線23は、例えば、複数の導電性の素線をより合わせてなる撚線、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や、内部が中空構造をなす筒状導体などである。芯線23は、例えば、撚線、柱状導体、筒状導体等の複数種類の導体を組み合わせたものでもよい。柱状導体としては、例えば、単芯線やバスバーなどが挙げられる。芯線23の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料が使用可能である。
【0025】
絶縁被覆24は、例えば、芯線23の外周面を全周にわたって被覆している。絶縁被覆24は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料からなる。絶縁被覆24の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする合成樹脂が用いられる。絶縁被覆24の材料としては、1種の材料を単独で用いてもよいし、2種以上の材料を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0026】
(編組部材22)
編組部材22は、導電性の素線が編み込まれてなる。なお、各図では、編組部材22の素線が編み込まれている様子を模式的に図示している。編組部材22の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料が使用可能である。
【0027】
編組部材22は、電線21の外周を覆う筒状部25と、筒状部25の長さ方向の端部からまとめられつつ電線21と分離可能に延びるアース線26と、を有する。本実施形態の筒状部25は、2本の電線21をまとめて覆っている。すなわち、本実施形態の編組部材22は多芯一括シールド部材である。アース線26は、筒状部25の長さ方向の端部からまとめられつつ捻られることなどによって1本の導線とされ、電線21の延在方向とは別の方向に折り曲げることが可能とされている。
【0028】
(アース端子14)
図1に示すように、アース線26の先端部には、導体よりなるアース端子14が取り付けられている。アース端子14の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料が使用可能である。アース端子14は、例えば圧着等によりアース線26に電気的に接続される。アース端子14は、例えば、図示しない車体パネル等の接地部材に固定されることにより、当該接地部材に電気的に接続される。これにより、アース線26を含む編組部材22は、アース端子14を通じて接地部材にアース接続される。
【0029】
(外装部材12)
図1および
図2に示すように、外装部材12は、電線部材11の外周を覆う筒状に形成されている。外装部材12は、電線部材11を保護する。外装部材12は、例えば円筒状に形成されている。外装部材12は、例えば、電線部材11の長さ方向の一部の外周を被覆するように設けられている。
【0030】
外装部材12は、例えば、その長さ方向に沿って大径部31と大径部31よりも径の小さい小径部32とが交互に連なって設けられた蛇腹構造を有するコルゲートチューブである。すなわち、外装部材12は、蛇腹構造によって容易に屈曲可能とされている。外装部材12の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂が使用可能である。
【0031】
外装部材12は、周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリット33を有する。スリット33は、例えば、外装部材12の全長にわたって形成されている。これにより、外装部材12は、電線部材11の外側から電線部材11に対して取り付け可能である。言い換えると、外装部材12は、スリット33を通じて電線部材11に後付け可能である。例えば、外装部材12は、電線部材11の一部を加工した後に電線部材11の外側から電線部材11の外周を覆うように配置することができる。
【0032】
(ホルダ13)
図1に示すように、ホルダ13は、外装部材12の長さ方向の一端部である取付端部12aに取り付けられている。ホルダ13は樹脂製である。ホルダ13の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタールなどの合成樹脂が使用可能である。ホルダ13は、例えば、電線21と外装部材12の取付端部12aとの接触を防止する。すなわち、ホルダ13は、電線21を保護する。
【0033】
図1および
図3に示すように、ホルダ13は、例えば、挿入部41と、フランジ部42と、固定片43と、アース線保持部44と、を備える。
挿入部41は筒状をなす。挿入部41は、外装部材12の長さ方向に沿って、取付端部12aから外装部材12の内側に挿入される。挿入部41の外周面は、外装部材12の内周面に接触している。外装部材12がコルゲートチューブである場合、挿入部41の外周面は、外装部材12の小径部32の内周面に接触する。
【0034】
挿入部41は、挿入部41の外周面から突出する図示しない係止凸部を有している。当該係止凸部は、外装部材12の内周面に対して、外装部材12の長さ方向において引っ掛かる。これにより、挿入部41が外装部材12から抜け出ることが抑制される。なお、外装部材12がコルゲートチューブの場合、挿入部41の前記係止凸部は、例えば、外装部材12の内周面における小径部32と大径部31との間の段差に引っ掛かる。各電線21は、挿入部41の内側に通されている。
【0035】
フランジ部42は、挿入部41から外周側に延出している。挿入部41は、挿入部41の軸方向の一端部である第1端部41aと、当該軸方向における第1端部41aとは反対側の端部である第2端部41bとを有する。フランジ部42は、挿入部41の第1端部41aに設けられている。フランジ部42は、例えば、挿入部41の全周にわたって連続する環状に形成されている。フランジ部42は、外装部材12の取付端部12aに対して外装部材12の長さ方向に対向している。すなわち、フランジ部42は、各電線21と取付端部12aとの間に介在している。これにより、フランジ部42によって、各電線21が取付端部12aに干渉することが抑制されている。
【0036】
(アース線保持部44)
アース線保持部44は、ホルダ13における例えば挿入部41に設けられている。アース線保持部44は、例えば、挿入部41を形成する周壁を径方向に貫通するように形成されている。アース線保持部44は、例えば、挿入部41の第2端部41bから、挿入部41の軸方向に沿って延びるスリット状をなしている。すなわち、アース線保持部44は、挿入部41の第2端部41bにおいて挿入部41の軸方向に開口している。アース線保持部44は、アース線26における延在方向の一部を挟持する。
【0037】
アース線26は、挿入部41の内周側から外周側にかけて通されている。また、アース線26は、外装部材12のスリット33に通されている。すなわち、アース線26は、アース線保持部44および外装部材12のスリット33の各々を通じて、挿入部41の内周側から外装部材12の外周側にかけて引き出されている。なお、外装部材12のスリット33は、外装部材12におけるホルダ13が取り付けられる部分以外において、例えばテープ巻きにより塞がれていてもよい。
【0038】
(固定片43および締付部材51)
ホルダ13の固定片43は、フランジ部42から外装部材12の長さ方向に沿って延出している。フランジ部42は、固定片43と挿入部41との間に設けられている。固定片43は、締付部材51によって電線21と共に締付固定される。固定片43は、挿入部41の軸方向から見て、例えば、挿入部41の軸線を中心とする円弧状をなしている。締付部材51は、各電線21が固定片43の内側面に接触する状態で、各電線21と固定片43とを固定する。
【0039】
図1に示すように、ワイヤハーネス10は、ホルダ13を電線21に固定する締付部材51を備える。締付部材51は、例えば、粘着テープや結束バンドである。締付部材51は、ホルダ13の固定片43と各電線21とを外周側からまとめて締め付けている。これにより、各電線21と固定片43とが互いに固定される。
【0040】
第1実施形態の作用について説明する。
編組部材22のアース線26が設けられる位置には、ホルダ13が設けられる。ホルダ13は、固定片43において各電線21に固定されるとともに、外装部材12の取付端部12aに取り付けられる。アース線26は、ホルダ13のアース線保持部44に保持される。そして、アース線26に取り付けられたアース端子14は、前記接地部材に固定される。これにより、電線21からのノイズの放射は、編組部材22によって良好に抑制される。
【0041】
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)電線21に固定されたホルダ13は、アース線26における延在方向の一部を保持するアース線保持部44を有している。この構成によれば、電線21に固定されるホルダ13にアース線保持部44が設けられるため、電線21に対するアース線26の位置を安定化させることができる。このため、編組部材22の筒状部25から接地部材に接続されるアース端子14までの間のインピーダンスが安定する。よって、シールド性能が安定する。
【0042】
(1-2)ワイヤハーネス10は、電線部材11の外周を覆う筒状の外装部材12を備える。アース線保持部44を有するホルダ13は、外装部材12の長さ方向の一端部である取付端部12aに取り付けられる。これにより、外装部材12の長さ方向の端部付近において、編組部材22から延びるアース線26を保持することができる。
【0043】
(1-3)ホルダ13は、外装部材12の内側に挿入される筒状の挿入部41と、挿入部41から外周側に延出するフランジ部42と、を備える。電線21は、挿入部41の内側に通されている。フランジ部42は、取付端部12aに対して外装部材12の長さ方向に対向している。この構成によれば、ホルダ13のフランジ部42によって、電線21が外装部材12の取付端部12aに干渉することを抑制することが可能となる。
【0044】
(1-4)アース線保持部44は、挿入部41を径方向に貫通するように形成されている。アース線26は、挿入部41の内周側から外周側にかけて通されている。この構成によれば、アース線26をホルダ13の挿入部41を貫通して挿入部41の外周側に通すことが可能となる。
【0045】
(1-5)外装部材12は、アース線26が通されるスリット33を有している。この構成によれば、アース線26を外装部材12のスリット33を貫通して外装部材12の外周側に通すことが可能となる。
【0046】
(1-6)ワイヤハーネス10は、ホルダ13を電線21に固定する締付部材51を備える。ホルダ13は、締付部材51によって電線21と共に締付固定される固定片43を有している。この構成によれば、ホルダ13が締付部材51によって電線21に固定されるため、ホルダ13、および、ホルダ13のアース線保持部44に保持されたアース線26をより安定して保持することが可能となる。
【0047】
(第2実施形態)
以下、ワイヤハーネスの第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態との相違点について主に説明し、第1実施形態と同一の構成もしくは対応する構成に同一の符号を付して、その構成の説明の一部又は全部を省略する場合がある。
【0048】
図4に示すように、第2実施形態のワイヤハーネス10Aは、電線21に固定されるホルダとしての結束バンド60を備える。結束バンド60は、例えば合成樹脂にて形成されている。結束バンド60は、複数の電線21を結束する。結束バンド60は、電線21の外側から電線21に取り付け可能に構成されている。
【0049】
結束バンド60は、電線21の外周に巻き付くバンド部61と、バンド部61の長さ方向の基端部に一体に設けられるとともに、バンド部61が先端部から挿入されて係止されるロック部62と、を有している。
【0050】
バンド部61は、長尺状をなし、かつ、可撓性を有している。バンド部61には、図示しない複数の凸部がバンド部61の長さ方向に並設されている。
ロック部62は、ロック部本体62aと、ロック部本体62aから電線部材11の長さ方向に沿って延びる延出部62bとを有している。ロック部本体62aには、バンド部61が挿入される。ロック部本体62aは、バンド部61が通された状態で、その通す方向の反対方向である抜き方向へのバンド部61の移動を規制するように、バンド部61の前記凸部に係止される。バンド部61は、その先端部からロック部本体62aに挿入されて係止されることによって、複数の電線21を外周からまとめて締め付ける。これにより、複数の電線21が結束される。
【0051】
結束バンド60は、アース線26における延在方向の一部を保持するアース線保持部63を有している。アース線保持部63は、例えば、ロック部62の延出部62bに設けられている。延出部62bは、電線部材11の長さ方向と直交する方向において、編組部材22の筒状部25と対向する。
【0052】
アース線保持部63は、電線部材11の長さ方向と直交する方向において、延出部62bを貫通するように形成されている。アース線保持部63は、例えば、電線部材11の長さ方向に沿って延びるスリット状をなしている。アース線保持部63は、電線部材11の長さ方向における延出部62bの先端部において当該長さ方向に開口している。アース線保持部63は、アース線26における延在方向の一部を挟持する。
【0053】
第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)電線21に固定された結束バンド60は、アース線26における延在方向の一部を保持するアース線保持部63を有している。この構成によれば、電線21に固定される結束バンド60にアース線保持部63が設けられるため、電線21に対するアース線26の位置を安定化させることができる。このため、編組部材22の筒状部25から接地部材に接続されるアース端子14までの間のインピーダンスが安定する。よって、シールド性能が安定する。
【0054】
(2-2)結束バンド60は、電線21の外周に巻き付くバンド部61と、バンド部61の長さ方向の基端部に一体に設けられるとともに、バンド部61が先端部から挿入されて係止されるロック部62と、を有している。そして、アース線保持部63は、ロック部62に設けられている。この構成によれば、複数の電線21を結束する結束バンド60に設けられたアース線保持部63によって、電線21に対するアース線26の位置を安定化させることができる。
【0055】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0056】
・ホルダ13の形状等の構成は、上記第1実施形態に限定されるものではなく、ワイヤハーネス10の構成に応じて適宜変更可能である。
例えば、
図5に示すように、ホルダ13のアース線保持部44は、外装部材12のスリット33に挿入される位置決め部71を有していてもよい。位置決め部71は、例えば、アース線保持部44においてアース線26を挟持する一対の挟持部44aの各々から、挿入部41の外周側に突出している。アース線保持部44は、例えば、位置決め部71においてもアース線26を挟持している。
【0057】
位置決め部71は、スリット33に挿入されることにより、スリット33に対して外装部材12の周方向に係合する。これにより、外装部材12の周方向において、外装部材12とホルダ13との相対的な位置が決まる。したがって、電線部材11に対する周方向におけるスリット33の位置、すなわち、アース線26の引き出し位置を位置決めすることが可能となる。
【0058】
・上記第1実施形態において、ホルダ13のアース線保持部44は、挿入部41を形成する周壁を径方向に貫通する孔状をなしていてもよい。すなわち、アース線保持部44は、挿入部41の軸方向に開口しない形状であってもよい。
【0059】
・上記第1実施形態において、アース線保持部44は、ホルダ13における挿入部41以外の例えばフランジ部42に設けられていてもよい。
・上記第1実施形態において、ホルダ13のフランジ部42は、挿入部41の周方向において部分的に設けられていてもよい。
【0060】
・上記第1実施形態において、ワイヤハーネス10における外装部材12は、コルゲートチューブ以外に例えば、長さ方向において径が一様なパイプ状の部材であってもよい。
・第1実施形態において、外装部材12のスリット33に代えて、例えば、外装部材12の周壁を径方向に貫通する貫通孔を設けてもよい。この場合、アース線26は、当該外装部材12の貫通孔を通じて外装部材12の外周側に引き出される。
【0061】
・第2実施形態のワイヤハーネス10Aは、編組部材22の筒状部25の外周を覆うコルゲートチューブ等の外装部材を備えていてもよいし、当該外装部材を備えていなくてもよい。
【0062】
・電線21の個数は、上記各実施形態に限定されるものではなく、1本のみ、または、3本以上としてもよい。
・上記各実施形態では、アース端子14は、アース線26に圧着されるとしたが、これに限定されない。例えば、アース端子14は、溶接や、ねじ止め等の他の構成によって、アース線26に接続されていてもよい。
【0063】
・上記各実施形態では、特に言及していないが、アース線26は、例えば、外周に絶縁テープが巻かれている等、絶縁処理されていてもよい。
・今回開示された各実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
10,10A ワイヤハーネス
11 電線部材
12 外装部材
12a 取付端部
13 ホルダ
14 アース端子
21 電線
22 編組部材
23 芯線
24 絶縁被覆
25 筒状部
26 アース線
31 大径部
32 小径部
33 スリット
41 挿入部
41a 第1端部
41b 第2端部
42 フランジ部
43 固定片
44 アース線保持部
44a 挟持部
51 締付部材
60 結束バンド(ホルダ)
61 バンド部
62 ロック部
62a ロック部本体
62b 延出部
63 アース線保持部
71 位置決め部