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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130144
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】設計装置および設計方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/045 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G05B19/045
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039690
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】牧平 真太朗
(72)【発明者】
【氏名】奥野 誠
(72)【発明者】
【氏名】一村 良
(72)【発明者】
【氏名】香川 徹雄
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA06
5H220BB11
5H220CC06
5H220JJ12
5H220JJ26
5H220JJ53
5H220JJ59
(57)【要約】
【課題】制御デバイスの動作設定設計をより容易に、かつ正確に実行する。
【解決手段】サーボモータまたはエンコーダを制御する制御デバイス(5)を制御する上位デバイス(4)の動作設定設計を行う設計装置(1)であって、動作設定設計の設計情報ファイル(25)を作成する設計情報作成部(12)と、制御デバイスに関する構成情報(22)と、制御デバイスの制御軸情報(23)と、構成情報および制御軸情報の関係性を定義する関係情報(24)と、を含む参照設定情報(21)を取得する情報取得部(11)と、を備え、設計情報作成部は、参照設定情報に基づいて設計情報ファイルに上位デバイスに関する動作設定設計情報を追加する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の位置、速度、または電流の少なくともいずれかを制御する制御装置、および、センシング対象の角度または位置の少なくとも一方を取得するセンサからの出力を制御する制御装置、の少なくともいずれか一方を制御する上位装置の動作設定設計を行う設計装置であって、
前記動作設定設計の設計情報ファイルを作成する設計情報作成部と、
前記制御装置に関する構成情報と、前記制御装置の制御軸情報と、前記構成情報および前記制御軸情報の関係性を定義する関係情報と、を含む参照設定情報であって、前記設計情報作成部以外の外部処理部によって作成された参照設定情報を取得する情報取得部と、を備え、
前記設計情報作成部は、前記情報取得部によって取得された前記参照設定情報に含まれる前記構成情報、前記制御軸情報、および前記関係情報に基づいて、前記設計情報ファイルに前記上位装置に関する動作設定設計情報を追加する、設計装置。
【請求項2】
前記構成情報および前記制御軸情報は、それぞれ特有のIDを有し、
前記関係情報は、前記構成情報の前記IDと、前記制御軸情報の前記IDとを関連づける情報である、請求項1に記載の設計装置。
【請求項3】
前記設計情報作成部は、
前記参照設定情報に基づき作成した前記設計情報ファイルに関して、前記構成情報と、該構成情報に対応付けられた前記制御軸情報との間に不整合が発生しているか否かを検出する不整合検出部と、
前記不整合が発生している場合に、該不整合を修正するためのユーザ入力を受け付ける受付部と、を備える、請求項1に記載の設計装置。
【請求項4】
前記設計情報作成部は、前記動作設定設計情報に、前記制御装置の動作を決定する少なくとも1つ以上のパラメータを追加する、請求項1に記載の設計装置。
【請求項5】
前記設計情報作成部は、前記制御装置の種類に応じてデフォルト値としてのパラメータを複数含むリストとしての参考情報に基づき、前記設計情報ファイルに前記制御装置に関する前記パラメータを追加する参考情報参照部を備える、請求項4に記載の設計装置。
【請求項6】
前記制御装置は、インバータ、サーボドライバ、および、エンコーダの出力に基づいて計測信号として外部の装置に送信する信号出力装置の少なくともいずれか1つである、請求項1から5のいずれか1項に記載の設計装置。
【請求項7】
制御対象の位置、速度、または電流の少なくともいずれかを制御する制御装置、および、センシング対象の角度または位置の少なくとも一方を取得するセンサからの出力を制御する制御装置、の少なくともいずれか一方を制御する上位装置の動作設定設計を行う設計方法であって、
前記動作設定設計の設計情報ファイルを作成する設計情報作成ステップと、
前記制御装置に関する構成情報と、前記制御装置の制御軸情報と、前記構成情報および前記制御軸情報の関係性を定義する関係情報と、を含む参照設定情報であって、前記設計情報作成ステップ以外の外部処理部によって作成された参照設定情報を取得する情報取得ステップと、を備え、
前記設計情報作成ステップは、前記情報取得ステップによって取得された前記参照設定情報に含まれる前記構成情報、前記制御軸情報、および前記関係情報に基づいて、前記設計情報ファイルに前記上位装置に関する動作設定設計情報を追加する、設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御デバイスの動作設定設計を行う設計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場などの生産ラインで稼働する機械を制御するFA(Factory Automation)用の機器を含むFAシステムにおいて、制御デバイスの動作設定設計を行う設計装置がある。すなわち、設計装置は、動作設定設計として、制御デバイスに対して各種パラメータ設定を行ったり、動作プログラムを設定したり、当該制御プログラムで用いる変数を設定したりする。
【0003】
特許文献1には、各制御機器に一意に割り当てられている識別子に基づき、サーバに記憶されている当該制御機器の固有情報定義ファイルを取得し、パラメータを設定する制御機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-073436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
制御デバイスには、モータなどのアクチュエータを駆動するドライバなどがある。また、アクチュエータの制御に用いるエンコーダの現在位置を取得するデバイスなどもある。これら制御デバイスは、一つの設備に複数用いられることが多く、それぞれ複雑に関係したパラメータが多岐にわたるため、動作設定設計にかかる労力が大きい。
【0006】
電気CADで設計された図面、およびソフトウェア設計のためのドキュメントに基づき、作業者は各制御デバイスに合わせた動作設定設計を再度行うこととなり、二度手間である。また、再設計を行うため、整合性の間違いなどのヒューマンエラーが発生する可能性が高い。
【0007】
本発明の一態様は、制御デバイスの動作設定設計をより容易に、かつ正確に実行することを可能とする設計装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る設計装置は、制御対象の位置、速度、または電流の少なくともいずれかを制御する制御装置、および、センシング対象の角度または位置の少なくとも一方を取得するセンサからの出力を制御する制御装置、の少なくともいずれか一方を制御する上位装置の動作設定設計を行う設計装置であって、前記動作設定設計の設計情報ファイルを作成する設計情報作成部と、前記制御装置に関する構成情報と、前記制御装置の制御軸情報と、前記構成情報および前記制御軸情報の関係性を定義する関係情報と、を含む参照設定情報であって、前記設計情報作成部以外の外部処理部によって作成された参照設定情報を取得する情報取得部と、を備え、前記設計情報作成部は、前記情報取得部によって取得された前記参照設定情報に含まれる前記構成情報、前記制御軸情報、および前記関係情報に基づいて、前記設計情報ファイルに前記上位装置に関する動作設定設計情報を追加する。
【0009】
上記の構成によれば、外部処理部によって作成された参照設定情報によって、適切に制御デバイスの動作設定設計を行うことができる。そのため、ユーザは外部処理部における設計に加えて、設計装置における設計を行わなくてよくなり、二重開発を防止することができる。
【0010】
前記構成情報および前記制御軸情報は、それぞれ特有のIDを有し、前記関係情報は、前記構成情報の前記IDと、前記制御軸情報の前記IDとを関連づける情報であってもよい。
【0011】
上記の構成によれば、参照設定情報において離散した情報である、構成情報と設定情報とを、関係情報によって適切に関係づけることができる。
【0012】
前記設計情報作成部は、前記参照設定情報に基づき作成した前記設計情報ファイルに関して、前記構成情報と、該構成情報に対応付けられた前記制御軸情報との間に不整合が発生しているか否かを検出する不整合検出部と、前記不整合が発生している場合に、該不整合を修正するためのユーザ入力を受け付ける受付部と、を備えてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、参照設定情報において何等かの不整合が発生していた場合であっても、受付部によってユーザ入力を受け付けることで適正な設定で動作設定設計を行うことができる。
【0014】
前記設計情報作成部は、前記動作設定設計情報に、前記制御装置の動作を決定する少なくとも1つ以上のパラメータを追加してもよい。
【0015】
上記の構成によれば、少なくとも1つ以上のパラメータを含む、動作設定設計を行うことができる。
【0016】
前記設計情報作成部は、前記制御装置の種類に応じてデフォルト値としてのパラメータを複数含むリストとしての参考情報に基づき、前記設計情報ファイルに前記制御装置に関する前記パラメータを追加する参考情報参照部を備えてもよい。
【0017】
前記制御装置は、インバータ、サーボドライバ、および、エンコーダの出力に基づいて計測信号として外部の装置に送信する信号出力装置の少なくともいずれか1つであってもよい。
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る設計方法は、制御対象の位置、速度、または電流の少なくともいずれかを制御する制御装置、および、センシング対象の角度または位置の少なくとも一方を取得するセンサからの出力を制御する制御装置、の少なくともいずれか一方を制御する上位装置の動作設定設計を行う設計方法であって、前記動作設定設計の設計情報ファイルを作成する設計情報作成ステップと、前記制御装置に関する構成情報と、前記制御装置の制御軸情報と、前記構成情報および前記制御軸情報の関係性を定義する関係情報と、を含む参照設定情報であって、前記設計情報作成ステップ以外の外部処理部によって作成された参照設定情報を取得する情報取得ステップと、を備え、前記設計情報作成ステップは、前記情報取得ステップによって取得された前記参照設定情報に含まれる前記構成情報、前記制御軸情報、および前記関係情報に基づいて、前記設計情報ファイルに前記上位装置に関する動作設定設計情報を追加する。
【0019】
本発明の各態様に係る設計装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記設計装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記設計装置をコンピュータにて実現させる設計プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、制御デバイスの動作設定設計を容易にかつ正確に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】FA設計システムの要部の構成を示すブロック図である。
図2】FAシステムの制御デバイスに関する構成を示す回路図の一例である。
図3】参照設定情報の一例を示す図である。
図4】ある制御軸ユニットに対するメモリ定義情報の一例である。
図5】ある制御軸ユニットに対する動作設定パラメータの一例である。
図6】設計装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】デバイス割付テーブルの登録例である。
図8】不整合があった場合における受付部による表示の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0023】
§1 適用例
図1は、FA設計システム100の要部の構成を示すブロック図である。FA設計システム100は、設計装置1と、外部処理部3と、上位デバイス4(上位装置)と、制御デバイス5(制御装置)と、制御対象デバイス6と、を備える。また、上位デバイス4と、制御デバイス5と、制御対象デバイス6と、によってFAシステム(制御システム)200は構成されている。
【0024】
従来、ユーザは、FAシステム200を次の手順で設計していた。まず、電気CAD(Computer Aided Design)を搭載したパソコンなどの外部処理部3によって、FAシステム200に関する電気回路の設計を行う。この際、FAシステム200を制御する制御デバイス5を決定していく。次に、ユーザは、IDE(Integrated Development Environment)を搭載したパソコンなどの設計装置1によって上位デバイス4が制御デバイス5および制御対象デバイス6を制御するソフトウェアを製作する。
【0025】
この際、外部処理部3で設計した情報を流用して設計装置1は設計を進めることなく、ユーザが手入力でもって、電気回路の設計をソフトウェアの設計に反映していく作業を行っていた。そのため、無駄な工数を必要とし、非効率である。また、タイプミスまたは設定ミスなどのヒューマンエラーが起こる可能性もある。
【0026】
本実施形態では、まず、外部処理部3が、電気回路のCADデータを利用して、AML(Automation Markup Language)ファイルに代表される参照設定情報を作成する。その後、設計装置1は、参照設定情報を読み込み、制御デバイス5の設定を自動で適切に設定する。
【0027】
§2 構成例
(FA設計システム100)
外部処理部3は、外部の設計装置または設計システムである。外部処理部3は、実際に制御するデバイス(上位デバイス4)に接続せずにアウトラインで設計を行う、CADソフトを搭載したパソコン等である。外部処理部3の代表的な例としては、電気設計を行う電気CADなどが挙げられる。
【0028】
設計装置1は、実際に制御するデバイス(上位デバイス4)に接続して設計を行う、設計装置または設計システムである。設計装置1は、特にソフトウェア設計を行うIDEを搭載したパソコン等である。
【0029】
(FAシステム200)
次に、FAシステム200の詳細に関して説明する。
【0030】
上位デバイス4は、設計装置1で設計されたソフトウェアを実行する制御デバイスである。上位デバイス4としては、PLC(Programmable Logic Controller)のCPU(Central Processing Unit)などが挙げられる。
【0031】
上位デバイス4は、制御部41と、制御軸ユニット42と、動作設定部43と、通信部44と、を備える。制御部41は、FAシステム200を制御するための制御プログラムを実行する制御部である。
【0032】
制御軸ユニット42は、上位デバイス4に複数設けられたモジュールである。制御軸ユニット42は、モータなどのアクチュエータをどの位置・角度に制御するのか、またはエンコーダなどのセンサがどの位置・角度にあるのかを検出するものであり、制御デバイス5を直接的に制御する。制御軸ユニット42には、専用のメモリが含まれているか、上位デバイス4に共通したメモリの一部の領域が割り当てられている。制御軸ユニット42は、メモリを利用して各種演算を行い、制御デバイス5を制御(操作)する。なお、制御軸ユニット42は、制御軸変数として、構造体またはクラスのインスタンスとして存在してもよい。
【0033】
通信部44は、上位デバイス4が制御デバイス5と通信する機能ブロックである。動作設定部43は、制御軸ユニット42および通信部44の動作を決定する。
【0034】
制御デバイス5は、制御軸ユニット42によって制御されるデバイスであり、例えばサーボドライバ、インバータ、エンコーダ入力ユニット(エンコーダの出力に基づいて計測信号を出力する装置)などである。制御デバイス5は、動作設定部51と、メモリ領域52と、入出力ポート53と、を備える。制御デバイス5は、制御対象デバイス6の位置、速度、または電流の少なくともいずれかを制御する制御装置、および、制御対象デバイス6の角度または位置の少なくとも一方を取得するセンサからの出力を制御する制御装置の少なくともいずれか一方である。なお、位置は位置に制限されず角度または回転数であってもよい。速度は速度に制限されず角速度または回転速度であってもよい。電流は電流に制限されずトルクまたは推力であってもよい。
【0035】
制御対象デバイス6は、制御デバイス5によって制御されるデバイスである。例えば、サーボモータ、エンコーダなどである。ここで、サーボモータに限定されず、角度または位置などを制御できるアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ・ロボットシリンダなど)であればよい。また、エンコーダに限定されず、ポテンショメータ、レゾルバなどの、位置または角度を取得するセンサであればよい。
【0036】
入出力ポート53は、制御デバイス5が制御対象デバイス6と入出力または通信するポートである。動作設定部51は、制御デバイス5のデバイス自体の動作の仕方をパラメータで設定する。動作設定部51は、制御デバイス5のメモリ領域52に記録されている情報を、上位デバイス4の制御軸ユニット42とどのようにリンクするかを設定している。
【0037】
また、動作設定部51は、制御対象デバイス6の制御方法またはそのためのパラメータを設定する。例えば、制御対象デバイス6がサーボモータであった場合、動作設定部51は、該当のサーボモータを速度制御するのか、位置制御するのかなどを設定する。制御対象デバイス6がエンコーダであった場合、動作設定部51は、該当のエンコーダを1逓倍で処理するのか、4逓倍で処理するのかなどを設定する。
【0038】
上位デバイス4と制御デバイス5とは、バス通信またはEtherCAT(登録商標)通信等の通信規格に対応しており、データの授受を行い、上位デバイス4は、制御デバイス5を制御する。
【0039】
(外部処理部3における設計)
外部処理部3は、FAシステム200を設計する。具体的には、ユーザは、FAシステム200を制御する上位デバイス4、および上位デバイス4が制御する制御デバイス5の回路を、電気CADを用いて設計することになる。つまり、外部処理部3は、上位デバイス4および制御デバイス5を含むデバイスネットワークを電気設計する機能を有する。
【0040】
図2は、FAシステム200の制御デバイス5に関する構成を示す回路図の一例である。図2に示すように、上位デバイス4はCPUユニット4aであり、当該CPUユニット4aに制御デバイス5であるサーボドライバ5a、エンコーダ入力ユニット5bおよびサーボドライバ5cが接続されている。サーボドライバ5aには、サーボモータ6aが接続されている。エンコーダ入力ユニット5bには、ロータリーエンコーダ6bが接続されている。サーボドライバ5cには、リニアモータ6cが接続されている。
【0041】
外部処理部3では、各制御デバイスの動作の仕方が参照設定情報(詳細は後述する)21に記載されても構わない。例えば、サーボドライバ5aおよび5cの記載内容の一例としては、回転モータなのか直動モータなのか、回転軸なのか直動軸なのか、それらの移動量の設定(リード・分解能)などである。さらに、制御方式の設定などが参照設定情報21に記載されても構わない。また、エンコーダ入力ユニット5bの場合は、ロータリーエンコーダなのか、リニアエンコーダなのか、それらの検出方式および分解能などが参照設定情報21に記載される。すなわち、外部処理部3では、制御対象デバイス6によって、機械的に制約される情報が参照設定情報21に記載されても構わない。なお、参照設定情報21の記載内容は、設計情報作成部12が正常に動作できる分だけの必要最低限の項目さえあればよい。この場合、最低限の項目以外に関しては、自動で設定されなくなり、ユーザが設計装置1によって手動で設計することになる。
【0042】
(設計装置1)
設計装置1は、設計部10と、記憶部20とを備える。記憶部20は、設計装置1の各部のプログラムおよびデータを記憶している。記憶部20には、参照設定情報21と、設計情報ファイル25と、特性情報28と、参考情報29と、が記憶されている。
【0043】
設計装置1は、上位デバイス4および制御デバイス5の動作設定設計を行う。つまり、設計装置1は、動作設定設計として、上位デバイス4の制御軸ユニット42の設定、ならびに制御デバイス5のメモリ領域52および動作設定部51の設定を行う。
【0044】
(参照設定情報21)
参照設定情報21は、外部処理部3において作成された情報であり、例えばAMLファイルである。参照設定情報21は、構成情報22と、制御軸情報23と、関係情報24と、を含む。
【0045】
図3は、参照設定情報21の一例を示す図である。参照設定情報21の記述の仕方は、いわゆるマークアップ言語の形態をとってもよい。
【0046】
構成情報22は、各制御デバイス5が、上位デバイス4に対してどのように接続されているのかを示す情報である。例えば、上位デバイス4と制御デバイス5とを接続するネットワーク内のユニット番号/ノード番号、型式、構成情報自体のユニークID(構成ユニークID)などの情報が含まれる。
【0047】
制御軸情報23は、制御デバイス5の制御軸としての動作設定に関する情報であり、制御対象デバイス6がどのようなデバイスなのかを定義する情報も含まれる。例えば、制御デバイス5が制御される制御軸ユニット42を指定する制御軸ユニット番号、および設定情報自体のユニークID(制御軸ユニークID)である。また、制御軸情報23には、制御対象デバイス6がどのようなデバイスなのかを規定する情報、例えば、回転軸なのか直動軸なのか、それらの移動量の設定(リード・分解能)、制御方式の設定などである。すなわち、制御軸情報23は、制御対象デバイス6によって、機械的に制約される情報も含まれる。
【0048】
関係情報24は、構成情報22と制御軸情報23とを紐づける情報である。関係情報には、構成ユニークIDと制御軸ユニークIDとが含まれる。すなわち、どの構成情報がどの設定情報と対応づくかを定義している情報である。
【0049】
(設計部10)
設計部10は、情報取得部11と、設計情報作成部12と、設計情報書込部13と、を備える。設計情報作成部12は、不整合検出部14と、受付部15と、参考情報参照部16と、を備える。
【0050】
情報取得部11は、参照設定情報21を取得し、設計部10が処理できる形に解析したデータにする機能をもつ。例えば設計装置1のユーザによって、外部処理部3において作成された参照設定情報21のデータファイル(例えばAMLファイル)が指定されることによって、情報取得部11による参照設定情報21の取得が行われるようになっていてもよい。情報取得部11は、解析したデータを設計情報作成部12に出力する。
【0051】
また、情報取得部11は、特性情報28を取得し、設計情報作成部12に出力する。特性情報28に関しての詳細は後述する。
【0052】
設計情報作成部12は、入力されたデータ(参照設定情報21)を基にして、設計情報ファイル25を作成する。つまり、参照設定情報21に含まれる構成情報22、制御軸情報23、および関係情報24に基づいて、設計情報ファイル25に対して、上位デバイス4に関する動作設定設計情報を追加する。設計情報作成部12の各部の詳細は後述する。
【0053】
設計情報書込部13は、設計装置1で設計した設計情報ファイル25を、上位デバイス4に送信する。上位デバイス4は、受信した設計情報ファイル25に基づき、上位デバイス4の制御軸ユニット42および動作設定部43を設定する。また、上位デバイス4は、制御デバイス5に設計情報ファイル25のうちの各制御デバイス5に関する情報を送信する。制御デバイス5は、受信した設計情報ファイル25の一部の情報に基づき、動作設定部51およびメモリ領域52を設定する。
【0054】
(設計情報ファイル25)
設計情報ファイル25は、設計情報作成部12が設計した上位デバイス4および制御デバイス5の各種設定を記憶したファイルである。設計情報ファイル25には、メモリ定義情報26(動作設定設計情報)および動作設定パラメータ27(パラメータ)が記憶されている。
【0055】
メモリ定義情報26は、制御デバイス5に関する上位デバイス4および制御デバイス5のメモリを共有する内容が記憶されている。つまり、制御軸ユニット42とメモリ領域52とのメモリを共有する内容が設定されている。
【0056】
図4は、ある制御軸ユニット42に対するメモリ定義情報26の一例である。上段に制御軸ユニット42に関する情報が纏められている。この情報としては、例えば、制御軸ユニットの制御対象がモータなのかセンサなのかを示す情報(制御軸タイプ)などがある。
【0057】
下段にメモリ定義情報26の詳細が纏められている。メモリ定義情報26は、各制御軸ユニット42における機能名と、その機能に関する出力元の制御デバイスと、該制御デバイスにおけるプロセスデータ、つまりデバイス内のアドレスが示されている。すなわち、メモリ定義情報26は、メモリ領域52と制御軸ユニット42とがメモリ共有する内容を示している。なお、メモリ定義情報26で設定すべき項目は、制御軸タイプの設定に応じて変化しても構わない。
【0058】
なお、図4の下段において、「機能名」は該メモリの意味(コメント)であり、「デバイス」は該メモリを更新するデバイスであり、「プロセスデータ」は該デバイスでの入出力データを指定するためのインデックス(または識別子)である。
【0059】
図5は、ある制御軸ユニット42に対する動作設定パラメータ27の一例である。動作設定パラメータ27は、制御デバイス5の動作を規定する設定(パラメータ)である。設定としては、例えば、上位デバイス4と制御デバイス5の間の通信を確立するための設定に加え、制御デバイス5の動作を決定する設定なども含まれる。例えば、制御デバイス5がサーボドライバだった場合は、制御ゲインおよび機械的に決定する定数(機械的な構造(機構)を選択するパラメータ、ボールネジのリード等)等も、設定項目に含まれる。
【0060】
なお、図5において、「説明」の欄はパラメータの内容を説明しており、「値」の欄は現在の設定値であり、「ドライブ値」は、制御デバイス5における現在値(通信していない場合は非表示)であり、「初期値」と「範囲」は、該パラメータに設定可能な値の範囲とその初期値であり、「単位」は設定する値の単位である。
【0061】
(設計情報作成部12)
不整合検出部14は、参照設定情報21における情報の不整合を検出する。すなわち、構成情報22と、該構成情報22に対応付けられた制御軸情報23との間に不整合が発生しているか否かを検出する。例えば、「不整合」とは、同じ制御軸ユニット42を、複数の制御軸情報23が選択している場合などである。不整合検出部14は、参照設定情報21において不整合が発生していた場合、受付部15に不整合の有無とその内容を通知する。
【0062】
受付部15は、参照設定情報21によって入力された不整合に対し、ユーザ入力を受け付けて、参照設定情報21を修正する。受付部15には、ディスプレイなどの表示装置(図示省略)およびマウス・キーボードなどの入力装置(図示省略)が接続されている。受付部15は、不整合の有無とその内容を表示装置に表示する。また、受付部15は、不整合に対する対応内容の入力を受け付ける。参考情報参照部16の詳細に関しては後述する。
【0063】
§3 動作例
図6は、設計装置1の動作例を示すフローチャートである。情報取得部11は、構成情報22を読み込む(S11)。情報取得部11は、構成情報22を読み込むことで、装置を構成する制御デバイス5の接続形態を把握する。すなわち、上位デバイス4に対して、どのように制御デバイス5が接続されているのかを把握する。この際、接続されている制御デバイス5の一覧(構成リスト(図示省略))を設計情報ファイル25に作成する。
【0064】
情報取得部11は、関係情報24を読み込む(S12)。この際に、読み込まれた構成情報にない、構成ユニークIDが関係情報に記載されていた場合、エラーを出して終了しても構わない。
【0065】
設計情報作成部12は、情報取得部11を介して、関係情報24に記載された制御軸情報23が存在するかを確認する(S13)。なお、設計情報作成部12は、順番に一つずつ関係情報24を処理していく。設計情報作成部12は、関係情報24に記載された制御軸情報23が存在しなかった場合(S13においてNo)、S18に処理を進める。
【0066】
制御軸情報23が存在するかの確認は、関係情報24に記載された制御軸ユニークIDと制御軸情報23に記載された制御軸ユニークIDとを比較し、一致するか否かで判断し、一致した場合、互いを関係づけていく。
【0067】
設計情報作成部12は、関係情報24に記載された制御軸情報23が存在した場合(S13においてYes)、設定情報から一つの制御軸ユニット42に関するメモリ定義情報26を作成する(S14)。
【0068】
設計情報作成部12は、情報取得部11を介して、関係情報24に記載された構成情報22が存在するかを確認する(S15)。設計情報作成部12は、関係情報24に記載された構成情報22が存在しなかった場合(S15においてNo)、処理を終了する。
【0069】
構成情報22が存在するかの確認は、関係情報24に記載された構成ユニークIDと構成情報22に記載された構成ユニークIDとを比較し、一致するか否かで判断し、一致した場合、互いを関係づけていく。
【0070】
設計情報作成部12は、関係情報24に記載された構成情報22が存在した場合(S15においてYes)、設計情報ファイル25における構成リストを参照し、関係づいた構成情報22に記載の制御デバイス5が存在するかを確認する(S16)。設計情報作成部12は、関係づいた構成情報22に記載の制御デバイス5が構成リストに存在しなかった場合(S16においてNo)、処理を終了する。
【0071】
設計情報作成部12は、関係づいた構成情報22に記載の制御デバイス5が構成リストに存在した場合(S16においてYes)、制御デバイス5が制御軸情報23に対応できるデバイスであるかを確認する(S17)。この際、設計情報作成部12は、特性情報を用いてもよく、この際の処理の詳細は後述する。
【0072】
(特性情報28)
特性情報28には、制御デバイス5に設定し得る動作設定パラメータ27の詳細が含まれている。つまり、特性情報28には、制御軸ユニット42で制御できる制御デバイス5のリストが登録されている。例えば、特性情報28は、制御デバイス5がサーボドライバであった場合は、サーボモータ、リニアモータが制御可能であり、ステッピングモータおよびエンコーダなどを制御可能ではない、などの制御デバイス5の特性を示す情報である。そのため、設計情報作成部12は、特性情報に基づき制御軸情報23に対応できないデバイスを検出することができる。
【0073】
制御デバイス5が設定情報に対応できるデバイスというのは、例えば、設定情報がサーボモータに関する内容が記載されている場合は、設定情報に対応できるデバイスはサーボドライバであり、エンコーダ入力ユニットは設定情報に対応できないデバイスである。不整合検出部14は、設定情報に対応できないデバイスが選択されていた場合(S17においてNo)、処理を終了する。
【0074】
なお、特性情報28には、ある動作設定パラメータ27によって、他の動作設定パラメータが制限される場合などにおける、設定可能なパラメータの組み合わせ条件などが含まれていてもよい。例えば、制御デバイス5がエンコーダ入力ユニットの場合、アブソリュート入力またはインクリメント入力の選択によって検出方式が変化する。アブソリュート入力の場合は、分解能のbit数を指定する。インクリメント入力の場合は、逓倍数の指定と、制御軸の一周あたりのパルス数を指定する。このように、設定できるパラメータが異なるため、装置構成として矛盾が発生する組み合わせ、例えば、アブソリュート入力の場合に、逓倍数を指定する記載が参照設定情報にある場合などは、S17において設計情報作成部12は制御軸情報23に対応できないデバイスと判定する。
【0075】
設計情報作成部12は、設計情報作成部12によって処理できない参照設定情報21が入力されていたために、参照設定情報21の読み込みを終了し、ユーザに対してエラーが発生したことを通知する(S18)。
【0076】
設計情報作成部12は、制御軸情報23に対応できるデバイスが選択されていた場合(S17においてYes)、設計情報作成部12は、構成情報22をデバイス割付テーブル30に登録する(S19)。なお、既に登録されている構成情報22の場合には、次のステップに移行する。その後、設計情報作成部12は、制御軸情報23をデバイス割付テーブル30に登録する(S20)。
【0077】
すなわち、S19およびS20において、設計情報作成部12は、関係情報に対応づいた内容をデバイス割付テーブル30に登録し、メモリ定義情報26に登録する準備を行い、制御デバイス5を制御軸ユニット42が制御できるようにする準備を行う。
【0078】
図7は、デバイス割付テーブル30の登録例である。図7に示すように、デバイス割付テーブルには、「制御軸を割付可能なデバイス」と「割付先の制御軸ユニット」の項目がある。「制御軸を割付可能なデバイス」は、S15~S17の条件を満たした制御デバイス5の一覧である。「割付先の制御軸ユニット」は、制御軸情報23で選択された制御軸ユニット42の一覧である。一つの制御軸を割付可能なデバイスに対して、複数の割付先の制御軸ユニットが対応づくこともある。また、同一の制御軸ユニット42に、複数の制御軸を割付可能なデバイスが対応づくこともある。このようなときは、制御デバイス5が複数の制御軸ユニット42に対応できるものでなかった場合、後述する不整合が起きている。
【0079】
情報取得部11は、未読み込みの関係情報24があるか否かを判断する(S21)。設計情報作成部12は、未読み込みの関係情報24があった場合(S21においてYes)、S12に処理を戻し、次の関係情報24に関する処理を行う。
【0080】
設計情報作成部12は、未読み込みの関係情報24がなかった場合(S21においてNo)、不整合検出部14は、デバイス割付テーブル30において、不整合があるか、すなわち重複する設定があるかを確認する(S22)。重複する設定というのは、デバイス割付テーブル30に登録された制御軸情報23においては、同一の制御軸ユニット42に複数のメモリ領域52が書き込むような設定をしている場合、または、デバイス割付テーブル30に登録された構成情報22においては、別の制御軸情報23が単一の制御軸ユニットを設定する動作設定パラメータ27となっている場合である。
【0081】
設計情報作成部12は、不整合がなかった場合(S22においてNo)、一連の処理を終了する。対して、設計情報作成部12は、不整合があった場合(S22においてYes)、不整合に関してユーザ入力を受け付けて、適正なデバイス割付テーブル30に修正する(S23)。
【0082】
図8は、不整合があった場合における受付部15による表示の一例である。図8におけるある参照設定情報21における事例は二つの不整合を示す事例が含まれている。
【0083】
行710および行720は、ともに、制御軸ユニット番号が「1」であり、制御軸ユニークIDが「Axis1」であるのに対し、構成情報の欄において異なる制御デバイス5が割り当てられるように参照設定情報21が記載されており、不整合が発生している状態を示している。そのため、同一の制御軸ユニット番号と同一の制御軸ユニークIDとの行が複数行に亘って表示されている。この場合では、ユーザによって、例えば行710におけるチェックボックス711が選択され、行720におけるチェックボックス721が選択されない入力を受付部15が受け付ける。設計情報作成部12は、チェックボックスがチェックされていない行に関しては処理を行わないことで不整合が解消される。
【0084】
行730および行740は、ともに、構成情報に共通の制御デバイス5である「Device3」が選択されている。その結果、同一の制御デバイス5を異なる制御軸ユニット42に割り当てるように参照設定情報21が記載されており、不整合が発生している状態を示している。この場合では、ユーザによって、例えば行730におけるチェックボックス731が選択されずに、行740におけるチェックボックス741が選択される入力を受付部15が受け付けることで、不整合が解消される。
【0085】
(参考情報参照部16)
設計情報作成部12は、デバイス割付テーブル30の内容をメモリ定義情報26に割り付ける。また、合わせて、設計情報作成部12は、デバイス割付テーブル30の内容に基づき、動作設定パラメータ27を追加してもよい(S24)。
【0086】
参考情報参照部16は、記憶部20に記憶されている参考情報29を参照し、適合する情報があった場合に、動作設定パラメータ27を割り付ける。なお、参考情報参照部16は受付部15の入力でもって、適合する情報を選択してもよい。
【0087】
参考情報29は、制御デバイス5の種類に応じてデフォルト値としての動作設定パラメータ27を複数含むリストである。すなわち、参考情報29には、様々な場合における動作設定パラメータ27が記憶されている。参考情報29は、量産設備などでの過去の設備の情報、またはデバイスのメーカが予め用意した、様々な場合における動作設定パラメータ27の一覧などである。
【0088】
ここで、様々な場合というのは、機械的な構成を含んでもよい。機械的な構成とは、例えば、サーボモータの場合では、回転モータなのかリニアモータなのか、ならびに回転モータの場合は回転軸なのか直動軸なのか、あるいは設けられているセンサに依存した位置検出分解能などの機械的な構成である。また、エンコーダの場合は、センサ自体の種類(光学エンコーダ、レゾルバ、ポテンショメータ等)、その検出方法(例えば光学エンコーダでは、1逓倍、2逓倍または4逓倍)、検出方向などの機械的な構成である。なお、機械的な構成はこれらの内容に限定されず、任意の取り得る構成のことを指す。また、様々な場合には機械的な構成以外の項目を含んでも構わない。
【0089】
したがって、参考情報参照部16は、参照設定情報21の記載に基づき、類似した参考情報29を選択することができる。その上で、参考情報参照部16は、メモリ定義情報26および動作設定パラメータ27を適正に設定することができる。合わせて、制御軸ユニット42をも適正に設定することができる。
【0090】
§4 作用・効果
設計情報作成部12によって、設計情報ファイル25に対し、参照設定情報21に記載されている内容を自動で反映することができる。すなわち、使用する制御軸ユニット42に対応した、メモリ定義情報26および動作設定パラメータ27を自動で設定することができる。そのため、容易にかつ正確に制御デバイス5の動作設定設計情報を設定することができる。つまり、メモリ定義情報26に則り、上位デバイス4の制御軸ユニット42を設定し、さらに制御デバイス5のメモリ領域52をも設定することができる。動作設定パラメータ27に則り、制御デバイス5の動作設定部51を動作させることで、制御デバイス5を所望の動作を行えるようにできる。
【0091】
また、動作設定設計情報の設定に際し、不整合検出部14によって、参照設定情報21における不整合を検出し、受付部15によってユーザ入力を受け付けて修正することができる。そのため、修正作業も容易になる。この際、制御デバイス5の特性を示す特性情報を参照することもでき、設定し得ない設定等を検出することもできる。
【0092】
さらに、参考情報参照部16によって、過去の知見を含めた参考情報29を参照することができるため、容易に動作設定設計情報を決定することができる。
【0093】
〔変形例〕
(制御軸ユニット番号の指定)
実施形態では、制御軸ユニット番号の指定を制御軸情報23で行ったが、これに制限されない。例えば、制御軸ユニット42毎に関係情報24が一つ定義されており、制御軸情報23には制御軸ユニット番号の指定がなくてもよい。この場合、関係情報24が一意に制御軸ユニット42に紐づくこととなるため、同じ制御軸ユニット42を指定するような不整合が発生しなくなる、利点がある。
【0094】
(設定情報における項目漏れの修正)
設定情報において、項目の記載漏れがあった場合、メモリ定義情報26および動作設定パラメータ27が設定できない場合がある。例えば、制御対象デバイス6の種類を特定する情報の参照設定情報21における記載漏れなどである。このような場合、設計情報作成部12は、他の記載されている情報から類推し、該当の項目を補間して設定しても構わない。
【0095】
この場合、受付部15によって、補間した項目に関する設定内容を強調表示し、ユーザに補間したことを通知してもよい。そのため、ユーザは設計情報作成部12が補間したことを知ることができ、その設定が適正か否かを判断することが容易になる。
【0096】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る設計装置は、制御対象の位置、速度、または電流の少なくともいずれかを制御する制御装置、および、センシング対象の角度または位置の少なくとも一方を取得するセンサからの出力を制御する制御装置、の少なくともいずれか一方を制御する上位装置の動作設定設計を行う設計装置であって、前記動作設定設計の設計情報ファイルを作成する設計情報作成部と、前記制御装置に関する構成情報と、前記制御装置の制御軸情報と、前記構成情報および前記制御軸情報の関係性を定義する関係情報と、を含む参照設定情報であって、前記設計情報作成部以外の外部処理部によって作成された参照設定情報を取得する情報取得部と、を備え、前記設計情報作成部は、前記情報取得部によって取得された前記参照設定情報に含まれる前記構成情報、前記制御軸情報、および前記関係情報に基づいて、前記設計情報ファイルに前記上位装置に関する動作設定設計情報を追加する。
【0097】
本発明の態様2に係る設計装置は、上記態様1において、前記構成情報および前記制御軸情報は、それぞれ特有のIDを有し、前記関係情報は、前記構成情報の前記IDと、前記制御軸情報の前記IDとを関連づける情報であってもよい。
【0098】
本発明の態様3に係る設計装置は、上記態様1または2において、前記設計情報作成部は、前記参照設定情報に基づき作成した前記設計情報ファイルに関して、前記構成情報と、該構成情報に対応付けられた前記制御軸情報との間に不整合が発生しているか否かを検出する不整合検出部と、前記不整合が発生している場合に、該不整合を修正するためのユーザ入力を受け付ける受付部と、を備えてもよい。
【0099】
本発明の態様4に係る設計装置は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記設計情報作成部は、前記動作設定設計情報に、前記制御装置の動作を決定する少なくとも1つ以上のパラメータを追加してもよい。
【0100】
本発明の態様5に係る設計装置は、上記態様4において、前記設計情報作成部は、前記制御装置の種類に応じてデフォルト値としてのパラメータを複数含むリストとしての参考情報に基づき、前記設計情報ファイルに前記制御装置に関する前記パラメータを追加する参考情報参照部を備えてもよい。
【0101】
本発明の態様6に係る設計装置は、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記制御装置は、インバータ、サーボドライバ、および、エンコーダの出力に基づいて計測信号として外部の装置に送信する信号出力装置の少なくともいずれか1つであってもよい。
【0102】
本発明の態様7に係る設計方法は、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る設計方法は、制御対象の位置、速度、または電流の少なくともいずれかを制御する制御装置、および、センシング対象の角度または位置の少なくとも一方を取得するセンサからの出力を制御する制御装置、の少なくともいずれか一方を制御する上位装置の動作設定設計を行う設計方法であって、前記動作設定設計の設計情報ファイルを作成する設計情報作成ステップと、前記制御装置に関する構成情報と、前記制御装置の制御軸情報と、前記構成情報および前記制御軸情報の関係性を定義する関係情報と、を含む参照設定情報であって、前記設計情報作成ステップ以外の外部処理部によって作成された参照設定情報を取得する情報取得ステップと、を備え、前記設計情報作成ステップは、前記情報取得ステップによって取得された前記参照設定情報に含まれる前記構成情報、前記制御軸情報、および前記関係情報に基づいて、前記設計情報ファイルに前記上位装置に関する動作設定設計情報を追加する。
【0103】
〔ソフトウェアによる実現例〕
設計装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に設計部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0104】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0105】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0106】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0107】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1 設計装置
3 外部処理部
4 上位デバイス(上位装置)
5 制御デバイス(制御装置)
6 制御対象デバイス
10 設計部
11 情報取得部
12 設計情報作成部
13 設計情報書込部
14 不整合検出部
15 受付部
16 参考情報参照部
20 記憶部
21 参照設定情報
22 構成情報
23 制御軸情報
24 関係情報
25 設計情報ファイル
26 メモリ定義情報
27 動作設定パラメータ
28 特性情報
29 参考情報
30 デバイス割付テーブル
41 制御部
42 制御軸ユニット
43、51 動作設定部
44 通信部
52 メモリ領域
53 入出力ポート
100 FA設計システム
200 FAシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8