IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フタバ産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-被覆部材 図1
  • 特開-被覆部材 図2
  • 特開-被覆部材 図3
  • 特開-被覆部材 図4
  • 特開-被覆部材 図5
  • 特開-被覆部材 図6
  • 特開-被覆部材 図7
  • 特開-被覆部材 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130151
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】被覆部材
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/14 20100101AFI20240920BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20240920BHJP
   F01N 13/18 20100101ALI20240920BHJP
【FI】
F01N13/14
F01N13/08 A
F01N13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039703
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】泉川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹渕 正一
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004DA14
3G004EA05
3G004FA04
3G004FA06
3G004GA06
(57)【要約】
【課題】被覆部材の組み付けの作業性を向上させる。
【解決手段】筒状の排気部材の外周面を周回するように配置される被覆部材は、第1部材と、第1部材と連結する第2部材と、を備える。第1部材は、外周面と対面する第1本体部と、少なくとも1つの突出部と、を有する。少なくとも1つの突出部は、第1本体部における周端部から対面方向に延びる仮想線よりも外周面から離れた領域に、周端部から突出する。第2部材は、外周面と対面する第2本体部と、重複部と、を有する。重複部は、第2本体部における周回方向の端部に設けられ、第1部材と第2部材とが連結される際に、少なくとも1つの突出部よりも外周面に近い領域に位置し、周端部と重なる部分である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスが流れる筒状の排気部材の外周面を周回するように配置される被覆部材であって、
前記外周面を覆う第1部材と、
前記外周面を覆い、前記第1部材と連結する第2部材と、
を備え、
前記第1部材は、
排気ガスの流れる流れ方向に延び、前記外周面と対面する第1本体部と、
前記第1本体部における前記外周面を周回する周回方向の端部である周端部から前記第1部材と前記第2部材とが対面する方向に延びる仮想線よりも前記外周面から離れた領域に、前記周端部から突出する少なくとも1つの突出部と、を有し、
前記第2部材は、
前記流れ方向に延び、前記外周面と対面する第2本体部と、
前記第2本体部における前記周回方向の端部に設けられ、前記第1部材と前記第2部材とが連結される際に、前記少なくとも1つの突出部よりも前記外周面に近い領域に位置し、前記周端部と重なる部分である重複部と、を有する、被覆部材。
【請求項2】
請求項1に記載の被覆部材であって、
前記第1部材及び前記第2部材を連結する連結部は、前記周端部に、前記少なくとも1つの突出部の近傍に位置するように設けられる、被覆部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の被覆部材であって、
前記少なくとも1つの突出部は、前記第1部材を支持する支持治具に対する前記第1部材の位置決めが可能となるように、前記支持治具と当接するように構成される、被覆部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被覆部材に関する。
【背景技術】
【0002】
遮熱を目的として排気ガスが流れる排気管を外側から覆う筒状の被覆部材が知られている。特許文献1には、半円弧状に湾曲する第1インシュレータの周方向の端部の外側に、半円弧状に湾曲する第2インシュレータの周方向の端部が重なるように、排気管に第1インシュレータ及び第2インシュレータを組み付けることで形成されるインシュレータが開示されている。このインシュレータでは、第1インシュレータ及び第2インシュレータにおける重なる部分が溶接により固定される。このため、溶接不良を抑制するために、第1インシュレータの端部と第2インシュレータの端部との間の隙間は狭くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-76045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したインシュレータでは、排気管に第1インシュレータ及び第2インシュレータを組み付ける際、第1インシュレータの端部と第2インシュレータの端部とが干渉しやすい。このため、第2インシュレータの端部内に第1インシュレータの端部を差し込みにくく、インシュレータの組み付けの作業性が低下しやすいという問題があった。
【0005】
本開示の一局面は、被覆部材の組み付けの作業性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、排気ガスが流れる筒状の排気部材の外周面を周回するように配置される被覆部材であって、第1部材と、第2部材と、を備える。第1部材は、外周面を覆う。第2部材は、外周面を覆い、第1部材と連結する。第1部材は、第1本体部と、少なくとも1つの突出部と、を有する。第1本体部は、排気ガスの流れる流れ方向に延び、外周面と対面する。少なくとも1つの突出部は、第1本体部における外周面を周回する周回方向の端部である周端部から第1部材と第2部材とが対面する方向に延びる仮想線よりも外周面から離れた領域に、周端部から突出する。第2部材は、第2本体部と、重複部と、を有する。第2本体部は、流れ方向に延び、外周面と対面する。重複部は、第2本体部における周回方向の端部に設けられ、第1部材と第2部材とが連結される際に、少なくとも1つの突出部よりも外周面に近い領域に位置し、周端部と重なる部分である。
【0007】
このような構成では、第1部材と第2部材との連結の際に、第2部材の重複部が、第1部材の突出部の内壁に沿って第1部材の内側に挿入されやすくなる。このため、第1部材の内側に第2部材の重複部が差し込みやすくなる。したがって、被覆部材の組み付けの作業性を向上させることができる。
【0008】
本開示の一態様では、第1部材及び第2部材を連結する連結部は、周端部に、少なくとも1つの突出部の近傍に位置するように設けられてもよい。このような構成では、第1部材及び第2部材の組み付け状態において、第2部材の重複部と第1部材の周端部との間に隙間が形成されにくい位置である突出部の近傍に、連結部が設けられる。このため、第1部材及び第2部材の連結がしやすくなる。
【0009】
本開示の一態様では、少なくとも1つの突出部は、第1部材を支持する支持治具に対する第1部材の位置決めが可能となるように、支持治具と当接するように構成されてもよい。このような構成によれば、突出部によって、支持治具に対する第1部材の位置決めを行いやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】排気系部品を示す斜視図である。
図2】排気系部品の分解斜視図である。
図3】排気系部品の第1突出部が設けられた位置における流れ方向に垂直な断面を示す図である。
図4】排気系部品の第2突出部が設けられた位置における流れ方向に垂直な断面を示す図である。
図5】支持治具によって第1部材が支持された状態を示す断面図である。
図6】変形例として4つの部材により構成されるインシュレータを備える排気系部品の分解斜視図である。
図7】変形例として第1突出部のみを有するインシュレータを備える排気系部品の分解斜視図である。
図8】変形例として排気部材に直接固定可能なインシュレータを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.排気系部品の構成]
図1に示す排気系部品100は、車両に搭載された内燃機関からの排気ガスを通過させるための流路の少なくとも一部を構成する部品である。図1及び図2に示すように、排気系部品100は、排気部材1と、被覆部材2と、ブラケット3と、緩衝部材4と、連結部5と、を備える。
【0012】
排気部材1は、内部を排気ガスが流れる筒状の部材である。例えば、排気部材1は、金属製の略円筒状の排気管である。
詳細は後述するが、被覆部材2は、排気部材1の外周面11との間に隙間を有しつつ、外周面11を周回するように配置される筒状の部材である。例えば、被覆部材2は略円筒状の形状を有し、被覆部材2の中心軸は排気部材1の中心軸Aと一致する。なお、排気部材1の中心軸Aが延びる方向は、排気ガスの流れ方向(以下、流れ方向とする)とも一致する。
【0013】
ブラケット3は、排気部材1と被覆部材2との間に配置され、排気部材1の外周面11から離間した状態で被覆部材2を排気部材1に固定するための部材である。ブラケット3は、板状の部材であり、略U字状に曲がった形状を有する。ブラケット3は、互いに対面する2つの側壁が、排気部材1の外周面11に溶接等により固定される。ブラケット3の2つの側壁を繋ぐ壁に、被覆部材2の内周面が溶接等により固定される。ブラケット3を設けることによって、排気部材1への組み付け時の被覆部材2のズレが抑制される。また、ブラケット3を介して排気部材1と被覆部材2とを固定することによって、排気部材1と被覆部材2との接触を抑制することができるため、遮熱効果が高まりやすい。
【0014】
緩衝部材4は、排気部材1の外周面11と被覆部材2の内周面との間に配置され、被覆部材2の振動、及び、排気部材1と被覆部材2との干渉による異音を抑制するための部材である。例えば、緩衝部材4として、金属製のワイヤメッシュが用いられる。緩衝部材4は、流れ方向において1つ以上設けられ、例えば、被覆部材2における流れ方向の端部に少なくとも位置するように配置される。本実施形態では、緩衝部材4は、被覆部材2における流れ方向の両端部間の領域にも、互いに間隔を空けて流れ方向に並んで複数配置される。緩衝部材4は、排気部材1と被覆部材2との間の隙間において、周方向全体に延びるリング状であることが好ましい。これにより、被覆部材2における流れ方向の端部からの異物の侵入が抑制される。
【0015】
なお、緩衝部材の形状及び配置は、上述した形状及び配置に限定されるものではない。例えば、緩衝部材は、周方向に約180°程度にわたって延びる形状であってもよい。また、例えば、緩衝部材は、被覆部材2における流れ方向の両端部にのみ配置されていてもよい。
【0016】
<被覆部材>
本実施形態では、被覆部材2は、高温の排気ガスが通過することにより生じる排気部材1からの放熱を遮断するように構成されるインシュレータである。被覆部材2は、例えば、ステンレスやアルミニウム等により構成され、排気部材1からの放熱を抑制する。被覆部材2は、例えば、マフラよりも上流に配置され、比較的高い温度の排気ガスが流れる排気管や、排気流路が曲がったりうねったりしているため、二重管構造を設けることが困難な排気管などに設けられる。
【0017】
図2に示すように、被覆部材2は、第1部材21と、第2部材22と、を備える。第1部材21及び第2部材22は、互いに対面するように配置され、排気部材1を挟み込む。本実施形態では、第1部材21は、周方向に約180°程度にわたって広がり、排気部材1の外周面11を覆う。第2部材22は、第1部材21の上方に位置し、周方向に約180°程度にわたって広がり、排気部材1の外周面11を覆う。詳細は後述するが、図1に示すように、被覆部材2は、第1部材21及び第2部材22を連結部5により連結することで製造される。
【0018】
図2図4に示すように、第1部材21は、第1本体部211と、第1重複部212と、第1突出部213と、第2突出部214と、を有する。
第1本体部211は、流れ方向に延び、排気部材1の外周面11に対面する板状の部分である。第1本体部211は、対面する外周面11に沿った形状を有する。本実施形態では、第1本体部211は、流れ方向に垂直な断面(以下、単に断面とする)が円弧状となるように湾曲した形状を有する。
【0019】
第1重複部212は、第1本体部211の周方向の両端部にそれぞれ設けられ、第1部材21と第2部材22とが連結される際に、第2部材22の周方向の両端部よりも外側に位置し、第2部材22と径方向において重なる部分である。第1重複部212は、第1部材21と第2部材22とが対面する対面方向(以下、対面方向とする)及び流れ方向に広がる。本実施形態では、第1重複部212と第1本体部211との間に段差(換言すると、傾斜)が形成され、第1重複部212は、第1本体部211により描かれる円弧を一部とする円よりも外側に位置する。
【0020】
図3及び図4に示す断面上において、第1突出部213及び第2突出部214は、第1重複部212の先端から対面方向に延びる仮想線Lよりも外周面11から離れた領域に、第1重複部212の先端から突出する部分である。換言すると、第1突出部213及び第2突出部214は、第1重複部212の先端から、第1本体部211により描かれる円弧を一部とする円の外側に屈曲して延び出している。図3に示すように、第1突出部213は、仮想線Lに対して約90°の角度を有するように第1重複部212の先端から屈曲して延び出す。第1突出部213の根元である屈曲した部分であって、第1突出部213の内側に位置する部分には、丸みが設けられている。図4に示すように、第2突出部214は、仮想線Lに対して約45°の角度を有するように第1重複部212の先端から屈曲して延び出す。なお、第1突出部213及び第2突出部214の仮想線Lに対する角度は、上記角度に限定されるものではない。
【0021】
図2図4に示すように、本実施形態では、第1突出部213及び第2突出部214は、第1本体部211の周方向の両端部に位置する各第1重複部212にそれぞれ複数設けられる。具体的には、各第1重複部212に設けられる第1突出部213は、中心軸Aを挟んで互いに対面する位置に配置される。第1突出部213は、第1本体部211の流れ方向の両端部の近傍にそれぞれ配置される。また、各第1重複部212に設けられる第2突出部214は、中心軸Aを挟んで互いに対面する位置に配置される。第2突出部214は、第1本体部211の流れ方向における第1側の端部に位置する第1突出部213及び第2側に位置する第1突出部213の間に、互いに間隔を空けて流れ方向に並んで配置される。
【0022】
第2部材22は、第2本体部221と、第2重複部222と、固定部223と、を有する。
第2本体部221は、流れ方向に延び、排気部材1の外周面11に対面する板状の部分である。第2本体部221は、対面する外周面11に沿った形状を有する。本実施形態では、第2本体部221は、断面が円弧状となるように湾曲した形状を有する。
【0023】
第2重複部222は、第2本体部221の周方向の両端部にそれぞれ設けられ、第1部材21と第2部材22とが連結される際に、第1部材21の第1突出部213及び第2突出部214よりも外周面11に近い領域に位置し、第1部材21の第1重複部212と径方向において重なる部分である。具体的には、第1部材21と第2部材22とが連結された状態において、第2重複部222は、第1重複部212の内側に位置する。第2重複部222は、対面方向及び流れ方向に広がる。本実施形態では、第2重複部222と第2本体部221との間に段差が形成され、第2重複部222は、第2本体部221により描かれる円弧を一部とする円よりも外側に位置する。第2重複部は、第2本体部の周方向の端部から、当該端部における接線方向に延びる形状であってもよい。
【0024】
図2に示すように、固定部223は、第2本体部221に設けられる。固定部223は、第2本体部221の一部が外側に突出した部分であり、上述したブラケット3に当接する。固定部223とブラケット3とを溶接することで、第2本体部221が排気部材1に固定される。
【0025】
本実施形態では、少なくとも第1突出部213及び第2突出部214の近傍において、第1部材21の各第1重複部212における内周面間の幅方向の距離は、第2部材22の各第2重複部222における外周面間の幅方向の距離と略同じである。幅方向とは、対面方向及び流れ方向と直交する方向である。このため、第1重複部212の内側に第2重複部222が重なった状態である第1部材21及び第2部材22の組み付け状態において、第1突出部213及び第2突出部214の近傍の第1重複部212と第2重複部222とは、当接する。すなわち、第1部材21及び第2部材22の組み付け状態において、第1突出部213及び第2突出部214の近傍は、第1重複部212と第2重複部222との間に隙間が形成されにくい位置である。なお、第1部材21及び第2部材22の組み付け状態において、第1重複部212と第2重複部222の流れ方向に延びる全ての領域が当接してもよい。また、第1部材21及び第2部材22の組み付け状態において、第1突出部213及び第2突出部214の近傍以外の第1重複部212と第2重複部222との間には、わずかな隙間が空いていてもよい。
【0026】
図1に示すように、第1部材21及び第2部材22は、組み付け状態において、連結部5によって連結される。本実施形態では、連結部5は、溶接等により設けられ、流れ方向に間隔を空けて並ぶように複数設けられる。具体的には、連結部5は、第1重複部212に、第1突出部213及び第2突出部214の近傍に位置するように設けられる。例えば、第1突出部213及び第2突出部214、又は、2つの第2突出部214が流れ方向において比較的に近い距離に位置する場合、連結部5は、第1突出部213と第2突出部214との間の第1重複部のほぼ全域、又は、2つの第2突出部214間の第1重複部のほぼ全域に、流れ方向に延びるように設けられていてもよい。また、例えば、連結部5は、第1突出部213又は第2突出部214の縁から、第1突出部213又は第2突出部214の流れ方向の長さと略同一の長さ、又は、当該長さよりも短い長さ離れて設けられる。具体的には、第1突出部213又は第2突出部214の流れ方向の長さが約10mmである場合、連結部5は、第1突出部213又は第2突出部214の縁から、約10mm、又は10mmよりも短い長さ離れて設けられる。このように、第1部材21及び第2部材22の組み付け状態において、第1重複部212と第2重複部222との間に隙間が形成されにくい位置に連結部5が設けられるため、第1部材21及び第2部材22を連結しやすい。なお、連結部は、流れ方向において、第1突出部213及び第2突出部214の両側に設けられていてもよいし、第1突出部213及び第2突出部214の一方側にのみ設けられてもよい。
【0027】
[2.排気系部品の製造方法]
次に、排気系部品100の製造方法について、図1図2及び図5を用いて説明する。具体的には、排気系部品100の製造方法に含まれる排気部材1に対する被覆部材2の組み付け方法及び連結方法について説明する。
【0028】
まず、図5に示すように、第1部材21を支持治具6の上方に配置する。
支持治具6とは、第1部材21を下方から支持するように構成された部材である。支持治具6は、第1支持面61と、第2支持面62と、を有する。第1支持面61は、円弧状に湾曲する面であり、第1部材21の第1本体部211を嵌め込み可能な溝を形成する。第2支持面62は、第1支持面61の周方向の両端部にそれぞれ位置し、略水平方向に広がる略平面状の面である。第1部材21は、支持治具6の第1支持面61が形成する溝に嵌め込まれた状態において、第1本体部211の外周面が第1支持面61と当接し、第1部材21の第1突出部213の下面が第2支持面62と当接する。このように、第1突出部213の下方に第2支持面62を当接させることで、支持治具6に対する第1部材21の位置決めが可能である。
【0029】
次に、図2に示すように、排気部材1に固定されたブラケット3が上方を向いた状態で、排気部材1を第1部材21の上方に配置する。具体的には、第1部材21の第1本体部211が形成する溝の内側に、排気部材1を配置する。なお、第1部材21には、第1本体部211が形成する溝の内側の流れ方向における所定の位置に、周方向に約180°程度にわたって延びる緩衝部材4が配置されている。このため、排気部材1の外周面11は、緩衝部材4に当接した状態となる。
【0030】
次に、ブラケット3の上方に第2部材22に設けられた固定部223が当接するように、第2部材22を排気部材1の上方に配置する。そして、次に説明するように、第1部材21に第2部材22を組み付ける。
【0031】
第1部材21の第1突出部213及び第2突出部214の内壁に沿って、第1部材21の第1重複部212の内側に、第2部材22の第2重複部222を挿入する。本実施形態では、上述したように、第1部材21及び第2部材22の組み付け状態において、少なくとも第1突出部213及び第2突出部214の近傍の第1重複部212と第2重複部222とは、当接する。第2部材22には、第2本体部221が形成する溝の内側に、第1部材21に配置される緩衝部材4と対面する位置に、周方向に約180°程度にわたって延びる緩衝部材4が配置されている。このため、排気部材1の外周面11は、緩衝部材4に当接した状態となる。
【0032】
次に、ブラケット3と固定部223とを溶接等により固定する。
次に、組み付け状態にある第1部材21及び第2部材22を連結部5によって連結する。本実施形態では、図1に示すように、第1突出部213及び第2突出部214の近傍に溶接等により複数の連結部5を設ける。これにより、排気部材1に対して被覆部材2が固定される。
【0033】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)第1部材21が第1突出部213及び第2突出部214を有しない構成では、第1部材21と第2部材22とを組み付ける際に、第1部材21の第1重複部212と第2部材22の第2重複部222とが干渉しやすい。このため、第1重複部212と第2重複部222との干渉を抑制するためには、各第1重複部212の内周面間の幅方向の距離を、各第2重複部222の外周面間の幅方向の距離よりも大きくする必要がある。この場合、第1部材21及び第2部材22の組み付け状態において、第1重複部212と第2重複部222との間の隙間は広くなりやすい。そして、第1重複部212と第2重複部222との間の隙間が広くなると、第1部材21及び第2部材22の組み付け後、第1部材21と第2部材22とを溶接により連結する際に、溶接不良が生じやすい。
【0034】
一方、本実施形態では、第1部材21が第1重複部212に第1突出部213及び第2突出部214を有する。これにより、第1部材21と第2部材22とを組み付ける際に、第2部材22の第2重複部222が、第1部材21の第1突出部213及び第2突出部214の内壁に沿って第1部材21の内側に挿入しやすくなる。このため、第1部材21及び第2部材22の組み付け状態における、第1重複部212と第2重複部222との間の隙間が狭くなる構成でも、第1重複部212の内側に第2重複部222が差し込みやすくなる。したがって、被覆部材2の組み付けの作業性を向上させることができる。
【0035】
(3b)本実施形態では、上述したように、第1突出部213及び第2突出部214を設けることによって、第1部材21及び第2部材22の組み付け状態における、第1重複部212と第2重複部222との間の隙間を狭くすることができる。このため、当該隙間への溶接の溶け落ちや穴空き等の溶接不良を抑制することができる。
【0036】
また、第1突出部213及び第2突出部214の近傍では、第1部材21及び第2部材22の組み付け状態において、第1重複部212と第2重複部222とを当接させることができる。そして、本実施形態では、当該隙間が形成されにくい位置である第1突出部213及び第2突出部214の近傍に連結部5が設けられるため、第1部材21及び第2部材22を溶接しやすくなる。
【0037】
(3c)本実施形態では、第1突出部213が仮想線Lに対して約90°の角度を有するように第1重複部212の先端から屈曲して延び出す。そして、第1部材21を支持治具6によって下方から支持する際に、第1突出部213が支持治具6の第2支持面62に当接する。これにより、支持治具6に対する第1部材21の位置決めを行いやすくすることができる。
【0038】
(3d)本実施形態では、第2突出部214が仮想線Lに対して約45°の角度を有するように第1重複部212の先端から屈曲して延び出す。このため、第2部材22の第2重複部222を、第2突出部214の内壁に沿って第1部材21の内側に挿入しやすい。また、本実施形態では、仮想線Lに対して約90°の角度を有するように第1重複部212の先端から屈曲して延び出す第1突出部213の根元である屈曲した部分であって、第1突出部213の内側に位置する部分には、丸みが設けられている。このため、第2部材22の第2重複部222を、第1突出部213の根元の丸みに沿って第1部材21の内側に挿入しやすい。
【0039】
なお、本実施形態では、第1突出部213及び第2突出部214が少なくとも1つの突出部の一例に相当し、第1重複部212が第1本体部211の周端部の一例に相当し、第2重複部222が重複部の一例に相当し、周方向が周回方向の一例に相当する。
【0040】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0041】
(4a)上記実施形態では、第1部材21及び第2部材22の2つの部材により構成される被覆部材2を例示したが、被覆部材の構成はこれに限定されるものではない。例えば、被覆部材は、排気部材1を挟み込むように対面して連結する、周方向に並ぶ3つ以上の部材により構成されていてもよい。被覆部材が周方向に並ぶ3つの部材により構成される場合、例えば、3つの部材のそれぞれは、周方向における第1端部に少なくとも1つの突出部を有し、周方向における第2端部に突出部を有しない。そして、各部材の第2端部が、周方向において隣り合う部材の第1端部に設けられた突出部の内側に位置するように組み付けられた後、3つの部材が連結される。
【0042】
また、例えば、被覆部材は、排気部材1を挟み込むように対面して連結する2つの部材が、流れ方向において2組以上連結する構成であってもよい。具体的には、図6に示すように、被覆部材2aは、第1部材21aと、第2部材22aと、第3部材23と、第4部材24と、を備えてもよい。第1部材21aは、第3部材23と流れ方向に溶接等により連結され、第2部材22aは、第4部材24と流れ方向に溶接等により連結される。そして、第1部材21a及び第2部材22aと、第3部材23及び第4部材24と、が互いに対面するように配置され、排気部材1を挟み込む。第1部材21a及び第2部材22aは、上記実施形態の第1部材21及び第2部材22と、形状が異なるが、それ以外の構成は同様であるため、詳細な構成の説明を省略する。また、第3部材23は、第1部材21aと形状が異なるが、それ以外では第1部材21aと同様の構成を有する。また、第4部材24は、第2部材22aと形状が異なるが、それ以外では第2部材22と同様の構成を有するため、詳細な構成の説明を省略する。
【0043】
第1~第4部材21a,22a,23,24が連結される構成では、複雑な排気流路を形成する排気管に容易に当該被覆部材2aを設けつつ、第1部材21a及び第2部材22aと、第3部材23及び第4部材24と、の組み付けの作業性を向上させることができる。
【0044】
(4b)上記実施形態では、第1部材21が第1突出部213及び第2突出部214を有する構成を例示したが、第1部材の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、流れ方向の長さが短い被覆部材2bでは、第1部材21bが第1突出部213bのみを有する構成であってもよい。すなわち、第1部材が、第2突出部214を有しない構成であってもよい。図7に示す例では、第1突出部213bは、第1部材21bの各第1重複部212bにそれぞれ設けられる。各第1重複部212bに設けられる第1突出部213bは、互いに対面する位置に配置される。第1突出部213bは、第1部材21bの流れ方向の両端部にそれぞれ配置される。被覆部材2bのように、第1部材21bが、第1突出部213bのみを有する構成でも、第1部材21b及び第2部材22bの組み付けの作業性を向上させることができる。
【0045】
(4c)上記実施形態では、第1突出部213及び第2突出部214が、第1部材21の各第1重複部212にそれぞれ複数設けられている。しかし、例えば、第1突出部及び第2突出部は、2つの第1重複部212のうちの片側のみに設けられていてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、各第1重複部212に設けられる第1突出部213及び第2突出部214のそれぞれは、互いに対面する位置に配置されている。しかし、例えば、各第1重複部212に設けられる第1突出部及び第2突出部のそれぞれは、互いに対面しない位置に配置されていてもよい。換言すると、第1側の第1重複部212に設けられる第1突出部213及び第2突出部214は、第2側の第1重複部212に設けられる第1突出部213及び第2突出部214と、流れ方向における位置が異なるように配置されていてもよい。
【0047】
(4d)上記実施形態では、排気部材1にブラケット3が固定されており、第2部材22の第2本体部221に設けられた固定部223とブラケット3とを固定することで、排気部材1に対して被覆部材2が固定されていた。しかし、排気部材に被覆部材を固定する構成はこれに限定されるものではない。例えば、排気系部品がブラケット3を備えない構成において、被覆部材の一部が排気部材に直接固定されていてもよい。具体的には、図8に示すように、被覆部材2cは、第1部材21cと、第2部材22cと、凹み部224と、を備えてもよい。凹み部224は、第2部材22cに設けられ、当該第2部材22cの壁の一部が内側に突出した部位である。凹み部224によって、排気部材と固定されていてもよい。例えば、凹み部224と排気部材の外周面とが溶接等により固定されてもよい。
【0048】
(4e)上記実施形態では、被覆部材2が排気部材1からの放熱を遮断するように構成されるインシュレータであった。しかし、例えば、被覆部材は、排気部材1からの放熱を保温するように構成された部材であってもよい。
【0049】
(4f)上記実施形態では、連結部5が、流れ方向に間隔を空けて並ぶように複数設けられ、第1突出部213及び第2突出部214の近傍に位置するように設けられていた。しかし、例えば、連結部は、第1突出部213及び第2突出部214が設けられる位置を含んで又は除いて、第1部材21の第1重複部212と第2部材22の第2重複部222との重なる部分に設けられていてもよい。また、上記実施形態では、連結部5が溶接等により設けられていた。しかし、例えば、連結部は、ボルト及びナットにより形成されてもよい。
【0050】
(4g)上記実施形態では、第1突出部213が支持治具6の第2支持面62と当接することで第1部材21の支持治具6に対する位置決めが行われていた。しかし、例えば、第2突出部214が支持治具に当接することで、第1部材21の支持治具に対する位置決めが行われてもよい。
【0051】
(4h)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0052】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
排気ガスが流れる筒状の排気部材の外周面を周回するように配置される被覆部材であって、
前記外周面を覆う第1部材と、
前記外周面を覆い、前記第1部材と連結する第2部材と、
を備え、
前記第1部材は、
排気ガスの流れる流れ方向に延び、前記外周面と対面する第1本体部と、
前記第1本体部における前記外周面を周回する周回方向の端部である周端部から前記第1部材と前記第2部材とが対面する方向に延びる仮想線よりも前記外周面から離れた領域に、前記周端部から突出する少なくとも1つの突出部と、を有し、
前記第2部材は、
前記流れ方向に延び、前記外周面と対面する第2本体部と、
前記第2本体部における前記周回方向の端部に設けられ、前記第1部材と前記第2部材とが連結される際に、前記少なくとも1つの突出部よりも前記外周面に近い領域に位置し、前記周端部と重なる部分である重複部と、を有する、被覆部材。
【0053】
[項目2]
項目1に記載の被覆部材であって、
前記第1部材及び前記第2部材を連結する連結部は、前記周端部に、前記少なくとも1つの突出部の近傍に位置するように設けられる、被覆部材。
【0054】
[項目3]
項目1又は項目2に記載の被覆部材であって、
前記少なくとも1つの突出部は、前記第1部材を支持する支持治具に対する前記第1部材の位置決めが可能となるように、前記支持治具と当接するように構成される、被覆部材。
【符号の説明】
【0055】
1…排気部材、2,2a~2c…被覆部材、3…ブラケット、4…緩衝部材、5…連結部、6…支持治具、11…外周面、21,21a~21c…第1部材、22,22a~22c…第2部材、23…第3部材、24…第4部材、61…第1支持面、62…第2支持面、100…排気系部品、211…第1本体部、212,212b…第1重複部、213,213b…第1突出部、214…第2突出部、221…第2本体部、222…第2重複部、223…固定部、224…凹み部、A…中心軸、L…仮想線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8