(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130152
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】表示装置及びソースドライバ
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20240920BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240920BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240920BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240920BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20240920BHJP
G02F 1/1362 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 680G
G09G3/20 621M
G09G3/20 670L
G09G3/20 670A
G09G3/20 623V
G09G3/20 623X
G09G3/20 623R
G09G3/20 642J
G09G3/20 612T
G09G3/20 623D
G09G3/20 623F
G09G3/20 641C
G09G3/20 641Q
G09G3/20 650M
G09F9/00 346D
G02F1/133 580
G02F1/1345
G02F1/1362
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039704
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
2H193
5C006
5C080
5G435
【Fターム(参考)】
2H092GA61
2H092JB21
2H092NA01
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2H192FB01
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2H193ZH18
2H193ZH30
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2H193ZH50
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2H193ZP01
5C006AA16
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5C006AF13
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5G435AA18
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5G435CC09
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(57)【要約】
【目的】液晶パネルの部品点数を増加させることなく温度に応じたガンマ補正を精度よく行うことが可能な表示装置を提供する。
【構成】表示領域を有する第1基板と、表示領域に形成された複数のソース線及び複数のゲート線からなる表示用配線と、第1基板の表示領域の外の領域に形成された第1の配線と、を有する表示パネルと、第1基板の外部に設けられ、第1の配線の一端及び他端の電位差に基づいて第1基板の温度を算出する温度算出部を有し、複数のソース線を駆動するソースドライバと、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を有する第1基板と、前記表示領域に形成された複数のソース線及び複数のゲート線からなる表示用配線と前記第1基板の前記表示領域の外の領域に形成された第1の配線と、を有する表示パネルと、
前記第1基板の外部に設けられ、前記第1の配線の一端及び他端の電位差に基づいて前記第1基板の温度を算出する温度算出部を有し、前記複数のソース線を駆動するソースドライバと、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ソースドライバは、前記第1の配線の前記一端及び前記他端の電位差に基づいて前記第1の配線の抵抗値を測定する抵抗値測定部をさらに有し、
前記温度算出部は、前記抵抗値測定部が測定した前記第1の配線の抵抗値に基づいて前記第1の配線の現在の温度を算出する演算を行い、当該演算の演算結果である前記第1の配線の現在の温度を前記第1基板の温度として算出することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の配線は、前記第1基板において前記表示領域の周囲を囲むように配されたクラック検知用の検知配線であり、
前記ソースドライバは、前記検知配線の前記一端及び前記他端の電位差に基づいて前記第1基板におけるクラックの発生を検知するクラック検知回路をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ソースドライバから出力された階調電圧信号を、RGBの各々の画素に応じて前記複数のソース線に切替可能に夫々供給するマルチプレクスセレクタを有し、
前記第1の配線は、前記マルチプレクスセレクタの切替動作を制御する切替制御信号を前記マルチプレクスセレクタに供給するための信号供給ラインであり、
前記温度算出部は、前記表示パネルの1水平走査ライン分毎の表示を行う表示期間の間に設けられたブランク期間において、前記温度の算出を行うことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ソースドライバは、前記第1の配線の前記一端に接続された第1のドライバICと、前記第1の配線の前記他端に接続された第2のドライバICと、を有し、
前記第1のドライバIC及び前記第2のドライバICの各々は、前記温度算出部と、前記温度算出部の算出結果を格納するレジスタと、前記複数のソース線に階調電圧信号を出力する階調電圧出力部と、前記温度算出部の算出結果に基づいて前記階調電圧信号のガンマ補正を行うガンマ補正部と、を有し、
前記第1のドライバIC及び前記第2のドライバICのうちの一方のドライバICにおいて前記温度算出部が温度を算出した場合、他方のドライバICの前記ガンマ補正部は、前記一方のドライバICにおける前記温度の算出結果に基づいて、前記階調電圧信号のガンマ補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ソースドライバは、前記複数のソース線に階調電圧信号を出力する階調電圧出力部と、
前記階調電圧信号に対してガンマ補正を行うガンマ補正部と、
を有し、
前記ガンマ補正部は、前記温度算出部により算出された前記第1基板の温度に基づいて前記ガンマ補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
表示領域を有する第1基板と、前記表示領域に形成された複数のソース線と、前記第1基板の前記表示領域の外の領域に形成された第1の配線と、を有する表示パネルに脱着可能に接続され、前記複数のソース線を駆動するソースドライバであって、
前記第1の配線の一端に接続される第1の端子及び前記第1の配線の他端に接続される第2の端子と、
前記第1の配線の前記一端及び前記他端の電位差に基づいて前記第1基板の温度を算出する温度算出部と、
を有することを特徴とするソースドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びソースドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置において、液晶パネルの周辺温度に応じて液晶のガンマ補正カーブを調整することが行われている。液晶パネルの使用周囲温度に合わせてガンマ補正を行うため、ガンマ補正回路に接続された温度センサを設け、検出した温度に応じてガンマ補正を行う表示装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温度に応じて自動でガンマ補正を行うためには温度センサが必要となり、液晶パネルの部品点数が増えるという問題があった。また、ソースドライバに温度センサを内蔵する構成や、上記従来技術のようにガンマ補正回路の外部に温度センサを設けた構成では、液晶パネルの表示面から離れた位置に温度センサが配置されることになるため、正確な温度補正を行うことが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、液晶パネルの部品点数を増加させることなく温度に応じたガンマ補正を精度よく行うことが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置は、表示領域を有する第1基板と、前記表示領域に形成された複数のソース線及び複数のゲート線からなる表示用配線と前記第1基板の前記表示領域の外の領域に形成された第1の配線と、を有する表示パネルと、前記第1基板の外部に設けられ、前記第1の配線の一端及び他端の電位差に基づいて前記第1基板の温度を算出する温度算出部を有し、前記複数のソース線を駆動するソースドライバと、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るソースドライバは、表示領域を有する第1基板と、前記表示領域に形成された複数のソース線と、前記第1基板の前記表示領域の外の領域に形成された第1の配線と、を有する表示パネルに脱着可能に接続され、前記複数のソース線を駆動するソースドライバであって、前記第1の配線の一端に接続される第1の端子及び前記第1の配線の他端に接続される第2の端子と、前記第1の配線の前記一端及び前記他端の電位差に基づいて前記第1基板の温度を算出する温度算出部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る表示装置によれば、液晶パネルの部品点数を増加させることなく温度に応じたガンマ補正を精度よく行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施例1の表示パネル、ソースドライバ及び断線検知用ダミー配線の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】実施例1のソースドライバの内部構成を示すブロック図である。
【
図4】実施例2の表示パネル、ソースドライバ及び断線検知用ダミー配線の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】実施例2のソースドライバの内部構成を示すブロック図である。
【
図6】実施例3の表示パネル、ソースドライバ及びMUX配線の概略構成を示すブロック図である。
【
図7】実施例3のソースドライバの内部構成を示すブロック図である。
【
図8】実施例3におけるイネーブル制御信号の信号変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0011】
図1は、本発明の実施例1に係る表示装置100の構成を示すブロック図である。表示装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置である。表示装置100は、表示パネル11、タイミングコントローラ12、ゲートドライバ13A、13B及びソースドライバ14を含む。
【0012】
表示パネル11は、複数の画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnm(n,m:2以上の自然数)がマトリクス状に配置された半導体基板である第1の基板から構成されている。本実施例では、第1の基板はガラス基板である。
【0013】
表示パネル11は、各々が水平方向に延伸する走査線であるn本のゲート線GL1~GLnと、これに交差するように配されたデータ線であるm本のソース線SL1~SLmと、を有する。画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnmは、ゲート線GL1~GLn及びソース線SL1~SLmの交差部に設けられている。
【0014】
画素スイッチM11~Mnmは、ゲートドライバ13から供給されるゲート信号Vg1~Vgnに応じてオン又はオフに制御される。
【0015】
画素部P11~Pnmは、ソースドライバ14から映像データに対応した階調電圧(駆動電圧)の供給を受ける。具体的には、ソースドライバ14から階調電圧信号Vd1~Vdmがソース線SL1~SLmに出力され、画素スイッチM11~Mnmがそれぞれオンのときに、階調電圧信号Vd1~Vdmが画素部P11~Pnmに印加される。これにより、画素部P11~Pnmの各々の画素電極が充電され、輝度が制御される。
【0016】
画素部P11~Pnmの各々は、画素スイッチM11~Mnmを介してソース線SL1~SLmに接続される透明電極と、半導体基板に対向して設けられ且つ面全体に1つの透明な電極が形成された対向基板との間に封入された液晶と、を含む。表示装置内部のバックライトに対して、画素部P11~Pnmに印加された階調電圧(駆動電圧)と対向基板電圧との電位差に応じて液晶の透過率が変化することにより、表示が行われる。
【0017】
タイミングコントローラ12は、映像データVSに基づき各画素の輝度レベルを例えば8ビットの256段階の輝度階調で表す画素データ片PDの系列(シリアル信号)を生成する。また、タイミングコントローラ12は、同期信号SSに基づいて、一定のクロック周期を有する埋め込みクロック方式のクロック信号CLKを生成する。タイミングコントローラ12は、画素データ片PDの系列とクロック信号CLKとを一体化したシリアル信号である映像データ信号VDSを生成し、ソースドライバ14に供給して映像データの表示制御を行う。映像データ信号VDSは、所定数のソース線毎に伝送路の数に応じてシリアル化された映像データ信号として構成されている。
【0018】
本実施例では、各々がm個の画素データ片PDからなるn個の画素データ片群がシリアルに連続することにより、1フレーム分の映像データ信号VDSが構成されている。n個の画素データ片群の各々は、それぞれ1水平走査ライン(すなわち、ゲート線GL1~GLnの各々)上の画素を供給対象とする階調電圧に対応する画素データ片からなる画素データ片群である。ソースドライバ14の動作により、m×n個の画素データ片PDに基づいて、n×m個の画素部(すなわち、画素部P11~Pnm)を供給対象とする階調電圧信号Vd1~Vdmがソース線を介して印加される。
【0019】
また、タイミングコントローラ12は、同期信号SSに基づいて、映像データ信号VDSの1フレーム毎のタイミングを示すフレーム同期信号FSを生成し、ソースドライバ14に供給する。
【0020】
ゲートドライバ13A及び13Bは、GIP(Gate In Panel)技術を用いて、表示パネル11を構成するガラス基板に実装されている。ゲートドライバ13A及び13Bは、ソースドライバ14からゲート制御信号GSの供給を受け、ゲート制御信号GSに含まれるクロックタイミングに基づいて、ゲート信号Vg1~Vgnを順次ゲート線GL1~GLnに供給する。ゲート信号Vg1~Vgnの供給により、画素行毎に画素部P11~Pnmが選択される。そして、選択された画素部に対して、ソースドライバ14から階調電圧信号Vd1~Vdmが印加されることにより、画素電極への階調電圧の書き込みが行われる。
【0021】
換言すると、ゲートドライバ13A及び13Bの動作により、ゲート線の伸長方向に沿って(すなわち、横一列に)配置されたm個の画素部が、階調電圧信号Vd1~Vdmの供給対象として選択される。ソースドライバ14は、選択された横一列の画素部に対して階調電圧信号Vd1~Vdmを印加し、電圧に応じた色を表示させる。階調電圧信号Vd1~Vdmの供給対象として選択される横一列分の画素部を選択的に切り替えながら、ソース線の伸長方向(すなわち、縦方向)に繰り返すことにより、1フレーム分の画面表示が行われる。
【0022】
ソースドライバ14は、タイミングコントローラ12から映像データ信号VDSの供給を受け、映像データ信号VDSに示される階調数に応じた多値レベルの階調電圧に対応する階調電圧信号Vd1~Vdmを生成し、ソース線SL1~SLmを介して画素部P11~Pnmに印加する。
【0023】
また、ソースドライバ14は、フレーム同期信号FSに基づいて、ゲートドライバ13の動作タイミングを制御するゲート制御信号GSを生成し、ゲートドライバ13に供給する。
【0024】
図2は、本実施例の表示パネル11、ソースドライバ14及びダミー配線DWの概略構成を示すブロック図である。
【0025】
表示パネル11を構成するガラス基板(Glass)上には、GIP技術を用いて搭載されたゲートドライバ13A及び13Bと、マルチプレクスセレクタ(
図2では、“MUX”として示す)15とが設けられている。ソースドライバ14は、表示パネル11を構成するガラス基板(第1の基板)とは別の基板(第2の基板)に形成されている。
【0026】
ゲートドライバ13A、13B及びマルチプレクスセレクタ15は、表示パネル11の表示領域DAを囲むように配置されている。表示領域DAは、ガラス基板の中央部に設けられ、ソース線SL1~SLm及びゲート線GL1~GLnからなる表示用配線(
図2では図示を省略)が形成されている。
【0027】
表示パネル11には、表示領域DAの外の領域にダミー配線DWが形成されている。本実施例では、ダミー配線DWは、表示領域DA、ゲートドライバ13A、13B及びマルチプレクスセレクタ15の外周に沿って囲むように設けられている。ダミー配線DWは、例えば銅線から構成されている。ダミー配線DWは、第1の端部GBO及び第2の端部GBIを介してソースドライバ14に接続されている。
【0028】
ダミー配線DWは、表示パネル11を構成するガラス基板に発生したクラックを検知するための検知配線である。ソースドライバ14は、一対の接続端子(すなわち、第1の端子及び第2の端子)を有し、各々の接続端子を介してダミー配線DWに接続されている。ソースドライバ14は、ダミー配線DWの両端部の電圧に基づいてダミー配線DWに断線が生じているか否かを判定し、断線していると判定された場合にガラス基板にクラックが発生していると判定する。
【0029】
マルチプレクスセレクタ15は、表示パネル11の表示領域DAとソースドライバ14との間に設けられ、ソースドライバ14から出力された階調電圧信号を複数のデータ線に切替可能に供給するセレクタである。例えば、マルチプレクスセレクタ15は、ソースドライバ14から供給されたMUX制御信号に基づいて、RGBの3画素の各々に対応したデータ線のうち、階調電圧信号の供給対象となるデータ線を時分割で切り替える。これにより、データ線D1~Dnの時分割駆動が行われる。
【0030】
図3は、ソースドライバ14の内部構成を示すブロック図である。ソースドライバ14は、受信部(PLL)21、データ処理部22、設定レジスタ23、ソース制御部24、データラッチ群25、DAコンバータ26(DAC26)及びゲート制御部27を含む。
【0031】
受信部21は、タイミングコントローラ12から供給された映像データ信号VDS及びフレーム同期信号FSを受信する。受信部21は、PLL(Phase Locked Loop)回路を含み、映像データ信号VDS及びフレーム同期信号FSに基づいて、クロック信号CLKを生成する。また、受信部21は、クロック信号CLKに同期したシリアルのデータ信号DSを生成し、データ処理部22に供給する。
【0032】
データ処理部22は、データ信号DSに対してシリアルパラレル変換を行い、パラレルの画素データ片PDを生成してソース制御部24に供給する。また、データ処理部22は、データ信号DSに基づいて水平同期信号LSを生成し、ソース制御部24に供給する。
【0033】
また、データ処理部22は、クロック信号CLKに基づいて、ゲートドライバ13の制御に用いるタイミング制御信号TSを生成し、ゲート制御部27に供給する。
【0034】
設定レジスタ23は、ソースドライバ14の動作に関する設定データを記憶するレジスタ回路である。設定レジスタ23には、タイミングコントローラ12からの書き込み動作に応じて、設定データの書き込みが行われる。また、タイミングコントローラ12による読み出し動作に応じて、設定レジスタ23に記憶されている各種データのタイミングコントローラ12への読み出しが行われる。
【0035】
ソース制御部24は、設定レジスタ23に格納されている設定データを読み出し、読み出した設定データに基づいて、データラッチ群25の動作を制御する。例えば、ソース制御部24は、データ処理部22から供給されたパラレルの画素データ片PDをデータラッチ群25に供給し、水平同期信号LSを取り込みクロックとして、データラッチ群25を構成するデータラッチの各々に画素データ片PDを順次格納させる。
【0036】
データラッチ群25及びDAコンバータ26は、ソース制御部24の制御に応じて階調電圧信号の出力を行う階調電圧出力部である。データラッチ群25は、画素データ片PDの取り込みを行う複数のラッチ回路から構成されている。当該複数のラッチ回路は、例えば、画素データ片PDを1行分毎に取り込む第1のラッチ回路と、第1のラッチ回路に格納された画素データ片PDを水平同期信号LSの立ち上がりのタイミングに応じて取り込む第2のラッチ回路と、を含む。
【0037】
DAコンバータ26は、データラッチ群25から出力された画素データ片PDに対応する階調電圧を選択してデジタルアナログ変換し、アナログの階調電圧信号Vdを生成する。生成されたアナログの階調電圧信号Vdは、出力アンプ(
図2では図示を省略)で増幅され、表示パネル11のソース線SL1~SLmに出力される。
【0038】
ゲート制御部27は、データ処理部22から供給されたタイミング制御信号TSに基づいてゲート制御信号GSを生成する。ゲート制御信号GSは、ゲートドライバ13A及び13Bに供給される。
【0039】
ソース制御部24は、ガンマ補正部28を含む。ガンマ補正部28は、ガンマ補正カーブに基づいて、DAコンバータ26におけるデジタルアナログ変換の対象となる階調電圧のガンマ補正を行う。
【0040】
また、ソースドライバ14は、ADコンバータ(ADC)31及び32、断線検知部33、抵抗値測定部34及び温度算出部35を含む。
【0041】
ADコンバータ31は、ダミー配線DWの第1の端部GBOに接続されている。ADコンバータ31は、ダミー配線DWの第1の端部GBOの電位をアナログデジタル変換してデジタルの第1電圧TOPを生成する。ADコンバータ31とダミー配線DWの第1の端部GBOとを接続する接続ラインは、電源(電源電位VCC)に接続されている。
【0042】
ADコンバータ32は、ダミー配線DWの第2の端部GBIに接続されている。ADコンバータ32は、ダミー配線DWの第2の端部GBIの電位をアナログデジタル変換してデジタルの第2電圧BOTを生成する。ADコンバータ32とダミー配線DWの第2の端部GBIとを接続する接続ラインは、接地(接地電位GNDに接続)されている。
【0043】
断線検知部33は、ダミー配線DWの両端部の電圧に基づいて、ダミー配線DWにおける断線の有無を検知する。具体的には、断線検知部33は、ADコンバータ31及び32の出力電圧である第1電圧TOP及び第2電圧BOTの電位差を算出し、当該電位差を電源電位VCC及び接地電位GNDの電位差と比較する。比較の結果、第1電圧TOP及び第2電圧BOTの電位差が電源電位VCC及び接地電位GNDの電位差とほぼ等しい(すなわち、TOP-BOT≒VCC-GND)場合、断線検知部33は、ダミー配線DWに断線が発生していると判定(検知)する。断線検知部33は、検知結果をソース制御部24に供給する。
【0044】
抵抗値測定部34は、第1電圧TOP及び第2電圧BOTの電圧差、すなわちダミー配線DWの第1の端部GBO及び第2の端部GBIの電位差に基づいて、現在の温度におけるダミー配線DWの抵抗値を測定する。抵抗値測定部34は、測定結果である抵抗値Rtを温度算出部35に供給する。
【0045】
温度算出部35は、抵抗値測定部34により測定されたダミー配線DWの抵抗値Rtに基づいて、ダミー配線DWの現在の温度を算出する。表示パネル11を構成するガラス基板の現在の温度を算出する。具体的には、温度算出部35は、抵抗値測定部34の測定結果である抵抗値Rtと、ダミー配線DWを構成する物質である銅の温度係数Xと、基準温度Tref時のダミー配線DWの抵抗値Rrefと、に基づいて、現在の温度Ttを算出する。温度Ttは、次の数式1(数1)で表される。
【0046】
【0047】
温度算出部35は、算出した温度Ttの値をソース制御部24に供給する。ソース制御部24のガンマ補正部28は、温度算出部35から供給された現在の温度Ttに基づいてガンマ補正カーブの調整を行い、調整されたガンマ補正カーブを用いて階調電圧のガンマ補正を行う。例えば、ガンマ補正部28は、温度Ttに基づいて、複数種類のガンマ補正カーブの中から1のガンマ補正カーブを選択し、選択したガンマ補正カーブに基づいて階調電圧のガンマ補正を行う。
【0048】
これにより、表示パネル11の温度に応じたガンマ補正が行われ、当該ガンマ補正を反映した階調電圧信号Vd1~Vdmがソースドライバ14出力され、画素部P11~Pnmに供給される。
【0049】
以上のように、本実施例の表示装置100では、温度算出部35がダミー配線DWの抵抗値に基づいて温度を算出し、算出された温度に基づいてガンマ補正部28がガンマ補正カーブを調整し、階調電圧のガンマ補正を行う。
【0050】
ダミー配線DWは表示パネル11を構成するガラス基板に設けられており、表示パネル11と密接しているため、算出された温度は表示パネル11の現在の温度と看做すことができる。したがって、例えば表示パネル11から離間した位置にあるソースドライバの温度に基づいてガンマ補正を行う場合とは異なり、より正確な温度に基づいて、ガンマ補正を精度よく行うことができる。
【0051】
また、表示パネル11そのものの温度を測定する場合には表示パネル11に温度センサを設ける必要があるのに対し、本実施例の表示装置100では、クラック検知のために設けられたダミー配線DWを用いて温度の算出を行うため、そのような温度センサを表示パネル11に搭載する必要がない。したがって、本実施例の表示装置100によれば、部品点数の増加を抑えつつ、温度に応じた適切なガンマ補正を行うことができる。
【0052】
以上のように、本実施例の表示装置100によれば、液晶パネルの部品点数を増加させることなく温度に応じたガンマ補正を精度よく行うことが可能となる。
実施例1と同様に、表示パネル11を構成するガラス基板(Glass)上には、表示領域DA、ゲートドライバ13A、13B及びマルチプレクスセレクタ15の外周に沿って囲むように、ダミー配線DW1が設けられている。ダミー配線DW1は、例えば銅線から構成され、第1の端部GBO1及び第2の端部GBI1を介してソースドライバ14に接続されている。
また、本実施例では、ダミー配線DW1の他にダミー配線DW2が設けられている。ダミー配線DW2は、ダミー配線DW1と同様に例えば銅線から構成され、第1の端部GBI2を介して第1のソースドライバIC14A、第2の端部GBO2を介して第2のソースドライバIC14Bにそれぞれ接続されている。
第1のソースドライバIC14A及び第2のソースドライバIC14Bは、同様の機能を有する別のドライバICにより構成されている。第1のソースドライバIC14A及び第2のソースドライバIC14Bの各々には、後述するレジスタの書き込み及び読み出しを制御するための設定通信信号CSがタイミングコントローラ12から供給される。
ADコンバータ31Aは、ダミー配線DW1の第1の端部GBO1とスイッチS1Aを介して接続することが可能に構成されている。すなわち、ADコンバータ31Aは、スイッチS1Aがオンのときにダミー配線DW1の第1の端部GBO1と接続され、スイッチS1Aがオフのときにダミー配線DW1の第1の端部GBO1と切り離される。
ADコンバータ32Aは、ダミー配線DW2の第1の端部GBI2に接続されている。ダミー配線DW1の第1の端部GBO1及びADコンバータ31Aを接続するラインL1Aと、ダミー配線DW2の第1の端部GBI2及びADコンバータ32Aを接続するラインL2Aとの間は、スイッチS2Aを介して短絡することが可能に構成されている。すなわち、ラインL1Aは、スイッチS2AがオンのときにラインL2Aと接続(短絡)され、スイッチS2AがオフのときにラインL2Aから切り離される。
また、ラインL2Aは、定電流源IAを介して接地電位に接続されている。定電流源IAは、スイッチS2Aと連動してオン及びオフとなるように制御される。具体的には、スイッチS2Aがオンのときに定電流源IAはオフとなり、スイッチS2Aがオフのときに定電流源IAはオンとなる。
スイッチS1AとスイッチS2Aとは、例えばタイミングコントローラ12から第1のソースドライバIC14Aに供給された切替信号に応じて、相補的にオン及びオフとなるように制御される。スイッチS1Aがオン且つスイッチS2Aがオフのとき、ダミー配線DW1の第1の端部GBO1とADコンバータ31A、ダミー配線DW2の第1の端部GBI2とADコンバータ32Aがそれぞれ接続され、抵抗値測定部34Aによる抵抗値の測定及び温度算出部35Aによる温度の算出が行われる。一方、スイッチS1Aがオフ且つスイッチS2Aがオンのとき、ダミー配線DW1の第1の端部GBO1とダミー配線DW2の第1の端部GBI2とが短絡され、抵抗値測定部34Aによる抵抗値の測定及び温度算出部35Aによる温度の算出は行われない。
レジスタ36Aは、温度算出部35Aによる温度算出の結果を格納する記憶部である。レジスタ36Aは、スイッチS3Aを介して温度算出部35Aと接続することが可能に構成されている。レジスタ36Aは、タイミングコントローラ12からの設定通信信号CSに基づいて、データ(すなわち、温度算出の結果)の書き込み及び読み出しを行うことが可能に構成されている。
温度算出部35Aは、温度算出の結果をソース制御部に出力するための出力ノードn1AとスイッチS4Aを介して接続することが可能に構成されている。また、レジスタ36Aは、スイッチS5Aを介して出力ノードn1Aと接続することが可能に構成されている。
スイッチS3A及びS4Aと、スイッチS5Aとは、例えばタイミングコントローラ12からの切替信号に応じて、相補的にオン及びオフとなるように制御される。スイッチS3A及びS4Aがオン且つスイッチS5Aがオフのとき、温度算出部35Aによる温度算出の結果が出力ノードn1Aを介してソース制御部に供給されるとともに、レジスタ36Aに格納される。一方、スイッチS3A及びS4Aがオフ且つスイッチS5Aがオンのとき、レジスタ36Aに格納されている温度算出の結果が読み出され、ソース制御部に供給される。
ADコンバータ31Bは、ダミー配線DW2の第2の端部GBO2とスイッチS1Bを介して接続することが可能に構成されている。すなわち、ADコンバータ31Bは、スイッチS1Bがオンのときにダミー配線DW2の第2の端部GBO2と接続され、スイッチS1Bがオフのときにダミー配線DW2の第2の端部GBO2と切り離される。
ADコンバータ32Bは、ダミー配線DW1の第2の端部GBI1に接続されている。ダミー配線DW2の第2の端部GBO2及びADコンバータ31Bを接続するラインL1Bと、ダミー配線DW1の第2の端部GBI1及びADコンバータ32Bを接続するラインL2Bとの間は、スイッチS2Bを介して短絡することが可能に構成されている。すなわち、ラインL1Bは、スイッチS2BがオンのときにラインL2Bと接続(短絡)され、スイッチS2BがオフのときにラインL2Bから切り離される。
また、ラインL2Bは、定電流源IBを介して接地電位に接続されている。定電流源IBは、スイッチS2Bと連動してオン及びオフとなるように制御される。具体的には、スイッチS2Bがオンのときに定電流源IBはオフとなり、スイッチS2Bがオフのときに定電流源IBはオンとなる。
スイッチS1BとスイッチS2Bとは、例えばタイミングコントローラ12から第2のソースドライバIC14Bに供給された切替信号に応じて、相補的にオン及びオフとなるように制御される。スイッチS1Bがオン且つスイッチS2Bがオフのとき、ダミー配線DW2の第2の端部GBO2とADコンバータ31B、ダミー配線DW1の第2の端部GBI1とADコンバータ32Bがそれぞれ接続され、抵抗値測定部34Bによる抵抗値の測定及び温度算出部35Bによる温度の算出が行われる。一方、スイッチS1Bがオフ且つスイッチS2Bがオンのとき、ダミー配線DW2の第2の端部GBO2とダミー配線DW1の第2の端部GBI1とが短絡され、抵抗値測定部34Bによる抵抗値の測定及び温度算出部35Bによる温度の算出は行われない。
レジスタ36Bは、温度算出部35Bによる温度算出の結果を格納する記憶部である。レジスタ36Bは、スイッチS3Bを介して温度算出部35Bと接続することが可能に構成されている。レジスタ36Bは、タイミングコントローラ12からの設定通信信号CSに基づいて、データ(すなわち、温度算出の結果)の書き込み及び読み出しを行うことが可能に構成されている。
第1のソースドライバIC14Aのレジスタ36A及び第2のソースドライバIC14Bのレジスタ36Bは互いに接続されている。レジスタ36A及び36Bは、タイミングコントローラ12からの設定通信信号CSに基づいて、一方に格納されているデータを読み出して他方に格納することが可能に構成されている。
温度算出部35Bは、温度算出の結果をソース制御部に出力するための出力ノードn1BとスイッチS4Bを介して接続することが可能に構成されている。また、レジスタ36Bは、スイッチS5Bを介して出力ノードn1Bと接続することが可能に構成されている。
スイッチS3B及びS4Bと、スイッチS5Bとは、例えばタイミングコントローラ12からの切替信号に応じて、相補的にオン及びオフとなるように制御される。スイッチS3B及びS4Bがオン且つスイッチS5Bがオフのとき、温度算出部35Bによる温度算出の結果が出力ノードn1Bを介してソース制御部に供給されるとともに、レジスタ36Bに格納される。一方、スイッチS3B及びS4Bがオフ且つスイッチS5Bがオンのとき、レジスタ36Bに格納されている温度算出の結果が読み出され、ソース制御部に供給される。
本実施例の表示装置200では、第1のソースドライバIC14Aの温度算出部35A及び第2のソースドライバIC14Bの温度算出部35Bのうちのいずれか一方のみが温度算出を行うように、各スイッチのオン及びオフが制御される。
例えば、第1のモードでは、スイッチS1A、S3A、S4A、S2B及びS5Bがオン、スイッチS2A、S5A、S1B、S3B及びS4Bがオフとなる。これにより、第1のソースドライバIC14Aの温度算出部35Aにより温度が算出され、算出結果が第1のソースドライバIC14Aのソース制御部に供給されるとともに、レジスタ36Aに格納される。レジスタ36Aから読み出された算出結果は、第2のソースドライバIC14Bのレジスタ36Bに供給され、格納される。レジスタ36Bから読み出された算出結果は、第2のソースドライバIC14Bのソース制御部に供給される。
第1のソースドライバIC14Aでは、温度算出部35Aにより算出された温度に基づいて、階調電圧のガンマ補正が行われる。第2のソースドライバIC14Bでは、第1のソースドライバIC14Aから供給された温度の算出結果に基づいて、階調電圧のガンマ補正が行われる。
一方、第2のモードでは、スイッチS1A、S3A、S4A、S2B及びS5Bがオフ、スイッチS2A、S5A、S1B、S3B及びS4Bがオンとなる。これにより、第2のソースドライバIC14Bの温度算出部35Bにより温度が算出され、算出結果が第2のソースドライバIC14Bのソース制御部に供給されるとともに、レジスタ36Bに格納される。レジスタ36Bから読み出された算出結果は、第1のソースドライバIC14Aのレジスタ36Aに供給され、格納される。レジスタ36Aから読み出された算出結果は、第1のソースドライバIC14Aのソース制御部に供給される。
第2のソースドライバIC14Bでは、温度算出部35Bにより算出された温度に基づいて、階調電圧のガンマ補正が行われる。第1のソースドライバIC14Aでは、第2のソースドライバIC14Bから供給された温度の算出結果に基づいて、階調電圧のガンマ補正が行われる。
以上のように、本実施例の表示装置200では、ソースドライバが第1のソースドライバIC14A及び第2のソースドライバIC14Bという2つのドライバICから構成され、各々がダミー配線DW1及びDW2の端部の抵抗値に基づいて現在の温度を算出可能に構成されている。また、各ドライバICは、温度算出の結果をレジスタに格納し、一方のドライバICのレジスタ格納された温度算出の結果を他方のドライバICに供給して、当該温度算出の結果を用いてガンマ補正を行うことが可能に構成されている。