(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130164
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】自動扉装置
(51)【国際特許分類】
E05B 41/00 20060101AFI20240920BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240920BHJP
E05F 15/77 20150101ALI20240920BHJP
E05F 15/63 20150101ALI20240920BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20240920BHJP
E06B 7/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E05B41/00 F
E05B49/00 J
E05F15/77
E05F15/63
E05B65/06 A
E06B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039728
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】523091936
【氏名又は名称】株式会社リンク
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100099977
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 章吾
(74)【代理人】
【識別番号】100104259
【弁理士】
【氏名又は名称】寒川 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100224915
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 茉友
(74)【代理人】
【識別番号】100229116
【弁理士】
【氏名又は名称】日笠 竜斗
(72)【発明者】
【氏名】阪口 学
【テーマコード(参考)】
2E036
2E052
2E250
【Fターム(参考)】
2E036JA02
2E036JC03
2E036LA02
2E052AA02
2E052BA06
2E052BA07
2E052CA06
2E052DA06
2E052DB06
2E052EA03
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA02
2E250AA02
2E250AA03
2E250BB08
2E250DD06
2E250FF25
2E250FF26
2E250FF27
2E250FF28
2E250FF35
2E250FF36
(57)【要約】
【課題】開錠から施錠までを自動で行うことができる使い勝手の良い自動扉装置を提供する。
【解決手段】デッドボルト13を有する電子錠ユニット3と、ラッチボルト7と係合する電気ストライクユニット4と、戸体2を開閉駆動する扉開閉ユニット5と、制御ユニット6とを備える。扉開閉ユニット5は、開扉信号を受信すると、戸体2を一旦開いた後に閉じるように構成される。そして、制御ユニット6は、電子錠ユニット3の開錠を検知すると電気ストライクユニット4に開錠信号を送信し、電気ストライクユニット4の開錠を検知すると扉開閉ユニット5に開扉信号を送信する。そして、制御ユニット6は、戸体2が閉扉位置に復帰したのを検知すると、電子錠ユニット3および電気ストライクユニット4に施錠信号を送信し、電子錠ユニット3と電気ストライクユニット4の双方を施錠する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジを介して戸枠に揺動可能に支持される戸体と、
前記戸体をデッドボルトを介して施錠および開錠する電子錠ユニットと、
前記戸体をラッチボルトを介して施錠および開錠する電気ストライクユニットと、
前記戸体を開閉駆動する扉開閉ユニットと、
前記電子錠ユニット、前記電気ストライクユニットおよび前記扉開閉ユニットと通信接続される制御ユニットと、を有し、
前記扉開閉ユニットは、開扉信号を受信すると、前記戸体を閉扉位置から開扉位置まで駆動してその位置で所定時間保持した後、再び前記閉扉位置まで駆動する制御構成を有し、
前記制御ユニットは、前記電子錠ユニットの開錠を検知して、前記電気ストライクユニットに開錠信号を送信するラッチ錠開錠制御と、前記電気ストライクユニットの開錠を検知して、前記扉開閉ユニットに前記開扉信号を送信する開扉制御と、前記戸体が前記開扉位置から前記閉扉位置に復帰したのを検知して、前記電子錠ユニットおよび前記電気ストライクユニットに施錠信号を送信する施錠制御と、を実行する制御構成を有している
ことを特徴とする自動扉装置。
【請求項2】
前記戸体および/または前記戸枠に、前記戸体の内外の気圧差を解消する気圧差解消機構が備えられ、
前記制御ユニットは、前記電気ストライクユニットの開錠を検知すると、前記開扉制御を実行する前に、前記気圧差解消機構を作動させる制御構成を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の自動扉装置。
【請求項3】
前記電子錠ユニットは、施錠および開錠の操作を受け付ける操作装置と、前記操作装置から出力される施錠信号および開錠信号に応じて、前記デッドボルトを施錠位置および開錠位置に位置させる錠機構本体とを有し、
前記操作装置は、ユーザの操作権限を、知識情報、所持情報、生体情報のうちの少なくとも一つの情報を用いて認証する手段を有している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動扉装置。
【請求項4】
前記デッドボルトは、鎌式デッドボルトの形態とされていることを特徴とする請求項3に記載の自動扉装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記扉開閉ユニットの筐体内に収容されていることを特徴とする請求項3に記載の自動扉装置。
【請求項6】
戸枠にスライド可能に支持される戸体と、
前記戸体をデッドボルトを介して施錠および開錠する電子錠ユニットと、
前記戸体を開閉駆動する扉開閉ユニットと、
前記電子錠ユニットおよび前記扉開閉ユニットと通信接続される制御ユニットと、を有し、
前記扉開閉ユニットは、開扉信号を受信すると、前記戸体を閉扉位置から開扉位置まで駆動してその位置で所定時間保持した後、再び前記閉扉位置まで駆動する制御構成を有し、
前記制御ユニットは、前記電子錠ユニットの開錠を検知して、前記扉開閉ユニットに前記開扉信号を送信する開扉制御と、前記戸体が前記開扉位置から前記閉扉位置に復帰したのを検知して、前記電子錠ユニットに施錠信号を送信する施錠制御と、を実行する制御構成を有している
ことを特徴とする自動扉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は自動扉装置に関し、より詳細には、開錠操作に伴って扉が自動で開閉する自動扉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、障がい者や高齢者などが支障なく生活できるように建物のバリアフリー化が求められており、その一環として、マンションの玄関扉やホテルの客室扉などの扉について、その開閉を自動化することが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、住宅の玄関扉の開閉を自動化する自動ドアユニットを開示している。この自動ドアユニットは、手動で開閉する既設の玄関扉を送信装置から送信される開信号によって自動で開閉する自動扉に変更するユニットであって、開信号を送信する送信装置と、戸体の室内側に取り付けられ、開信号を受信すると錠操作部を施錠位置から解錠位置に切り替える電動サムターンと、開信号を受信すると戸体を閉鎖位置から開放位置に移動させる電動オープナと、ラッチ機構による戸体の保持を解除するラッチ解除装置とを有している。
【0004】
そして、玄関扉の自動化にあたっては、ラッチ解除装置によって玄関扉のラッチ機構を解除状態に固定しておき、この状態で送信装置から開信号を送信することで、電動サムターンが錠操作部を操作して錠機構が開錠されるとともに、電動オープナが駆動して戸体を解放位置まで移動させることで、玄関扉が自動で解放される。そして、玄関扉の閉鎖は、玄関扉にあらかじめ設置されているドアクローザによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の自動ドアユニットを用いた扉の自動化には以下のような問題があった。
【0007】
すなわち、従来の自動ドアユニットは、錠操作部を操作する電動サムターンと戸体を移動させる電動オープナとが、相互に連携することなく、送信装置から送信される開信号によってそれぞれ独自に動作するように構成されているので、たとえば、錠操作部による開錠操作が完了する前に電動オープナが動作を開始するおそれがある。この場合、錠機構のデッドボルトと戸枠のストライクとの係合状態が完全に解除されていないため、電動オープナが動作しても戸体が解放されないという不具合が生じる。
【0008】
また、従来の自動ドアユニットでは、既設のドアクローザを利用することで扉を閉じることはできるものの自動で施錠することができない。そのため、たとえば、車いす利用者は、入室後、施錠のために狭い玄関で180度の方向転換を余儀なくされ、きわめて使い勝手が悪いという問題もあった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、開錠から施錠までを自動で行うことができる使い勝手の良い自動扉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る自動扉装置は、ヒンジを介して戸枠に揺動可能に支持される戸体と、上記戸体をデッドボルトを介して施錠および開錠する電子錠ユニットと、上記戸体をラッチボルトを介して施錠および開錠する電気ストライクユニットと、上記戸体を開閉駆動する扉開閉ユニットと、上記電子錠ユニット、上記電気ストライクユニットおよび上記扉開閉ユニットと通信接続される制御ユニットと、を有し、上記扉開閉ユニットは、開扉信号を受信すると、上記戸体を閉扉位置から開扉位置まで駆動してその位置で所定時間保持した後、再び上記閉扉位置まで駆動する制御構成を有し、上記制御ユニットは、上記電子錠ユニットの開錠を検知して、上記電気ストライクユニットに開錠信号を送信するラッチ錠開錠制御と、上記電気ストライクユニットの開錠を検知して、上記扉開閉ユニットに上記開扉信号を送信する開扉制御と、上記戸体が上記開扉位置から上記閉扉位置に復帰したのを検知して、上記電子錠ユニットおよび上記電気ストライクユニットに施錠信号を送信する施錠制御と、を実行する制御構成を有していることを特徴とする。
【0011】
この自動扉装置では、電子錠ユニットの開錠は、当該電子錠ユニットの操作手順に従って行われる。制御ユニットは、電子錠ユニットの開錠を検知すると、電気ストライクユニットに開錠信号を送信する。これにより、電気ストライクユニットがラッチボルトの拘束を解いてラッチ錠を開錠する。電気ストライクユニットが開錠すると、制御ユニットは、電気ストライクユニットの開錠を検知して、扉開閉ユニットに開扉信号を送信する。これにより、扉開閉ユニットが戸体を閉扉位置から開扉位置まで駆動し、開扉位置で戸体を所定時間保持した後、再び閉扉位置まで駆動する。このようにして戸体が閉扉位置に復帰すると、制御ユニットは、戸体の閉扉位置への復帰を検知して、電子錠ユニットおよび電気ストライクユニットに施錠信号を送信する。これにより、電子錠ユニットおよび電気ストライクユニットが電子錠とラッチ錠とを施錠する。このように、本発明に係る自動扉装置によれば、電子錠ユニットの開錠を検知してからラッチ錠の開錠と戸体の開閉とが行われるので、電子錠の開錠前に戸体の開扉制御が実行されることがなく、戸体の開閉を確実に行うことができる。
【0012】
そして、本発明は好適な実施態様として、上記戸体および/または上記戸枠に、上記戸体の内外の気圧差を解消する気圧差解消機構が備えられ、上記制御ユニットは、上記電気ストライクユニットの開錠を検知すると、上記開扉制御を実行する前に、上記気圧差解消機構を作動させる制御構成を備えていることを特徴とする。
【0013】
この自動扉装置によれば、開扉制御が実行される前に気圧差解消機構が作動するので、扉開閉ユニットが戸体を開閉する前に戸体内外の気圧差が解消される。したがって、気圧差による影響を受けることなく、戸体をスムーズに開閉することができる。
【0014】
また、本発明は好適な実施態様として、上記電子錠ユニットは、施錠および開錠の操作を受け付ける操作装置と、上記操作装置から出力される施錠信号および開錠信号に応じて、上記デッドボルトを施錠位置および開錠位置に位置させる錠機構本体とを有し、上記操作装置は、ユーザの操作権限を、知識情報、所持情報、生体情報のうちの少なくとも一つの情報を用いて認証する手段を有していることを特徴とする。
【0015】
この自動扉装置によれば、電子錠ユニットの操作装置は、知識情報、所持情報、生体情報のうちの少なくとも一つの情報を用いてユーザの操作権限を認証するので、物理的な鍵を用いることなく、電子錠ユニットの施錠/開錠操作を行わせることができる。これにより、戸体の外側に物理的な鍵用の鍵穴を設ける必要性がなくなり、ピッキングなどによる不法な開錠を防止することができる。
【0016】
また、本発明は好適な実施態様として、上記デッドボルトは、鎌式デッドボルトの形態とされていることを特徴とする。このようにデッドボルトに鎌式デッドボルトを用いることにより、戸体のこじ開けを阻止することができ、防犯性に優れた自動扉装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明は好適な実施態様として、上記制御ユニットは、上記扉開閉ユニットの筐体内に収容されていることを特徴とする。このように制御ユニットを扉開閉ユニットの筐体内に収容することにより、制御ユニットの追加による見栄えの悪化を防止しつつ、防犯性にも優れた自動扉装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明は他の好適な実施態様として、戸枠にスライド可能に支持される戸体と、上記戸体をデッドボルトを介して施錠および開錠する電子錠ユニットと、上記戸体を開閉駆動する扉開閉ユニットと、上記電子錠ユニットおよび上記扉開閉ユニットと通信接続される制御ユニットと、を有し、上記扉開閉ユニットは、開扉信号を受信すると、上記戸体を閉扉位置から開扉位置まで駆動してその位置で所定時間保持した後、再び上記閉扉位置まで駆動する制御構成を有し、上記制御ユニットは、上記電子錠ユニットの開錠を検知して、上記扉開閉ユニットに上記開扉信号を送信する開扉制御と、上記戸体が上記開扉位置から上記閉扉位置に復帰したのを検知して、上記電子錠ユニットに施錠信号を送信する施錠制御と、を実行する制御構成を有していることを特徴とする。
【0019】
この自動扉装置では、制御ユニットは、電子錠ユニットの開錠を検知すると、扉開閉ユニットに開扉信号を送信する。これにより、扉開閉ユニットが戸体を閉扉位置から開扉位置まで駆動し、開扉位置で戸体を所定時間保持した後、再び閉扉位置まで駆動する。このようにして戸体が閉扉位置に復帰すると、制御ユニットは、戸体の閉扉位置への復帰を検知して、電子錠ユニットに施錠信号を送信する。これにより、電子錠ユニットが電子錠を施錠する。このように、本実施態様に係る自動扉装置によれば、戸体がスライド可能に支持される引戸において、電子錠ユニットが開錠を検知してから戸体の開閉が行われるので、電子錠の開錠前に戸体の開扉制御が実行されることがなく、戸体の開閉を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電子錠ユニットの開錠を制御ユニットが検知すると、該制御ユニットが電気ストライクユニットの開錠、戸体の開閉、電子錠ユニットおよび電気ストライクユニットの施錠までの一連の処理を順序だてて行うので、戸体の開閉を確実に行うことができる。また、戸体の施錠までを一連の処理として実行するので、入室したユーザが施錠のための方向転換をしなくて済み、使い勝手のよい自動扉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る自動扉装置の一例を示す正面図である。
【
図2】同自動扉装置の電子錠ユニットの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】同自動扉装置における入室時の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】同自動扉装置の他の実施形態の一例を示す正面図である。
【
図5】同自動扉装置の他の実施形態の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
図1は、本発明に係る自動扉装置1を室外側から見た外観の一例を示している。図示の自動扉装置1は、たとえば、マンションの玄関扉やホテルの客室扉などに適用される開き戸の形態とされており、戸体2と、電子錠ユニット3と、電気ストライクユニット4と、扉開閉ユニット5と、制御ユニット6とを主要部として備えている。
【0023】
戸体2は、開き戸の扉を構成する部材であって、後述する錠機構本体11やラッチボルト7などを収容可能な正面視略矩形の箱状を呈しており、その長手側の一側面(戸尻側の側面)にヒンジ8,8,8の一端が取り付けられ、これらのヒンジ8,8,8を介して戸枠10に揺動可能に支持されている。
【0024】
戸枠10は、室内外を仕切る壁面に形成された矩形の開口部(図示せず)に配設される枠体であって、上枠10aと、下枠10bと、左右の縦枠10c、10dとで構成されている。そして、戸体2の戸尻側に配置される縦枠10dにヒンジ8,8,8の他端が取り付けられ、これによって戸体2が戸枠10に取り付けられている。なお、戸体2は、ヒンジ8,8,8によって室外側(
図1の紙面から手前)に開くように取り付けられている。
【0025】
電子錠ユニット3は、デッドボルト13を介して戸体2を施錠および開錠する装置であって、錠機構本体11と、錠機構本体11の操作装置12とで構成される。
図2は電子錠ユニット3の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0026】
錠機構本体11は、デッドボルト13とその駆動機構とで構成される。
デッドボルト13は、戸先側の縦枠10cに備えられるストライクプレート(図示せず)と係合することで戸体2を施錠する部材であって、本実施形態では、略L字状の鎌型に形成されたデッドボルトを有する鎌式デッドボルトを用いている。図示例では、施錠時に戸体2の戸先側端面からデッドボルトの突出とともに鎌部分が上向きに開く鎌式デッドボルト13aと、施錠時に戸体2の戸先側端面からデッドボルトの突出とともに鎌部分が下向きに開く鎌式デッドボルト13bの上下一対で構成されている。このような鎌式のデッドボルトは戸体2のこじ開けを困難にするので、防犯性に優れた扉を提供できる。
【0027】
デッドボルト13の駆動機構は、デッドボルト13を施錠位置と開錠位置とに位置させる機構であって、本実施形態では、デッドボルト13と連動するシリンダ錠機構14で構成されている。このシリンダ錠機構14には、戸体2の室外側にシリンダ錠操作用の鍵穴14aが備えられている。また、室内側にはシリンダ錠操作用のサムターン14bが備えられている。つまり、このシリンダ錠機構14は、室外側からは鍵を使って施錠/開錠ができ、室内側からはサムターン14bの操作によって施錠/開錠ができるように構成されている。
【0028】
本実施形態では、このシリンダ錠機構14には、図示しない動力源(たとえば、DCモータ15)が備えられており、このDCモータ15によってデッドボルト13を施錠位置と開錠位置とに切り替えられるようになっている。DCモータ15は、通信線S1,S2を介して操作装置12および制御ユニット6と通信接続されており、これら操作装置12および制御ユニット6からの制御を受けて作動するように構成されている。なお、本実施形態では、通信線S2はDCモータ15の駆動電力(たとえば、DC6V)を供給する電源線を兼ねている。符号20は、通信線S2の戸体2側の配線と戸枠10側の配線とを接続する通電金具20である。また、図中の符合16は通信線S1,S2との通信インターフェースを示しており、符号17は錠機構本体11の各部に電力を供給する電源部を示している。また、符号18は、錠機構本体11に備えられるセンサ類であり、たとえば、戸体2の開閉を検知するセンサやデッドボルト13の位置(施錠位置/開錠位置)を検知するセンサなどで構成され、これらセンサ類の検出結果は制御部21に入力されるようになっている。
【0029】
操作装置12は、錠機構本体11を遠隔操作する操作装置である。具体的には、この操作装置12は、鍵を使わずに錠機構本体11を施錠/開錠できるようにする装置である。そのため、この操作装置12は、錠機構本体11に対する開錠信号/施錠信号の生成・送信機能のほか、許可されたユーザであるか否か(ユーザに操作権限があるか否か)を判定するユーザ認証機能が備えられており、ユーザ認証に合格したユーザのみが開錠/施錠操作を行えるようになっている。
【0030】
このユーザ認証機能に関して、本実施形態に示す操作装置12は、知識情報と所持情報とを用いたユーザ認証を行うようにしている。具体的には、知識情報としてパスワード、所持情報としてRFID(radio frequency identification)カードに格納されたIDデータ、スマートフォンに格納されたIDデータを用いており、これらのうち少なくとも一つの情報を使ってユーザ認証を行うように構成されている。
【0031】
そのため、本実施形態に示す操作装置12は、装置の各部を制御する制御部21のほかに、パスワードの入力手段としてのタッチパネルで構成された操作・表示部22と、RFIDカードやスマートフォンとの通信に用いる無線通信部23とを有している。ここで、RFIDカードとしては、たとえば、Felica(登録商標)、Mifare(登録商標)などの規格に準拠したカードが用いられる。また、スマートフォンとの通信には、たとえば、Bluetooth Low Energy(登録商標)に準拠した無線通信が用いられる。なお、
図2の符号24は通信線S1の通信インターフェースを示しており、符号25は操作装置12の電源部を、符号26は操作音などの音声を出力する音声出力部をそれぞれ示している。
【0032】
電気ストライクユニット4は、戸先側の縦枠10cに取り付けられる電気錠であって、ラッチボルト7を介して戸体2の施錠および開錠を行うユニットである。本実施形態では、電気ストライクユニット4は、縦枠10cに取り付けられるストライクパネルに設けられた揺動金具(図示せず)を揺動させることにより、戸体2のラッチボルト7の拘束/開放を切り替える構造とされている。具体的には、ラッチボルト7を拘束することで戸体2を施錠し、ラッチボルト7を開放することで戸体2を開錠するようになっている。この揺動金具は制御ユニット6から与えられる施錠信号/開錠信号に基づいて作動する。図中の通信線S3は、この施錠信号/開錠信号の伝達と電力供給とを行う通信線である。また、符号9は、ラッチボルト7と連動するプッシュプル式のドアハンドルであって、このドアハンドル9を手前に引くことで、バネなどの付勢手段(図示せず)によって戸体2から突出状態に保持されているラッチボルト7が戸体2の内部に収容されるようになっている。
【0033】
扉開閉ユニット5は、戸体2の開閉を自動化する装置である。この扉開閉ユニット5は、戸枠10に取り付けられる装置本体31と、戸体2に取り付けられるガイドレール(図示せず)と、装置本体31とガイドレールとを連結する連結アーム(図示せず)とを主要部として備えている。そして、装置本体31には、連結アームを駆動するDCモータ(図示せず)と、DCモータの制御部(図示せず)と、開扉信号/閉扉信号を受信する通信インターフェース(図示せず)とが備えられており、通信インターフェースに入力される開扉信号/閉扉信号に応じて、制御部がDCモータを制御することで、戸体2を開閉駆動するように構成されている。
【0034】
ここで、このDCモータの制御部にはマイコンが備えられており、このマイコンのプログラムに従ってDCモータの駆動制御、すなわち、戸体2の開閉制御が行われる。本実施形態では、戸体2の開閉制御として、たとえば、開扉信号を受信すると、DCモータを駆動して、戸体2を所定の閉扉位置から所定の開扉位置まで駆動するとともに、戸体2をその位置(開扉位置)で所定時間T1の間保持した後、再び戸体2を所定の閉扉位置まで駆動する制御が行われる。戸体2の開閉制御の詳細は、制御部の設定(マイコンの設定)によって適宜変更可能である。たとえば、戸体2の開扉位置、閉扉位置を変更したり、あるいは、開扉信号の受信によって戸体2を開扉位置まで駆動して閉扉信号を受信するまでその位置で保持するようにしておき、閉扉信号によって戸体2を閉扉位置まで駆動するといった制御構成を採用することも可能である。また、制御部の設定により、開扉位置で戸体2を保持する保持時間も適宜変更可能である。
【0035】
図1において、符号35は商用電源のコンセント40に接続するプラグであり、符号36は商用電源を直流電源に変換するACアダプタを示している。図示のように、ACアダプタ36で直流に変換された電力は扉開閉ユニット5に供給されて扉開閉ユニット5の駆動電力として用いられる。また、本実施形態では、この直流電力は制御ユニット6にも供給されるようになっており、制御ユニット6において所望の電圧に変換されて電子錠ユニット3および電気ストライクユニット4に供給される。S4は電源線を示している。
【0036】
制御ユニット6は、電子錠ユニット3、電気ストライクユニット4および扉開閉ユニット5を連携させる制御装置であって、制御部と、通信インターフェースと、DC/DCコンバータを備えた電源部(いずれも図示せず)とを備えている。制御ユニット6の制御部には制御用のマイコンが備えられており、このマイコンが制御プログラムにしたがって、後述するラッチ錠開錠制御、開扉制御、施錠制御などの各種制御を実行するように構成されている。図示例では、制御ユニット6を扉開閉ユニット5(装置本体31)の筐体内に収容した場合を示したが、これは制御ユニット6を構成する電装部品などが外部に露出して美観を損ねるのを回避するためである。したがって、電装部品等が外部に露出しない構成であれば、たとえば、扉開閉ユニット5の筐体以外の筐体に収容するように構成してもよい。
【0037】
次に、このように構成された自動扉装置1による戸体2の開閉制御について
図3および
図4を用いて説明する。
図3は自動扉装置1の入室時の開閉手順を示している。
【0038】
A:入室時
(1)入室前、自動扉装置1は、電子錠ユニット3および電気ストライクユニット4の双方が施錠状態にある(
図3ステップS1)。
【0039】
(2)入室するユーザは、戸体2の室外側に設けられた操作装置12で電子錠ユニット3の開錠操作を行う(
図3ステップS2)。開錠操作にあたっては、開錠権限を有するか否かについてのユーザ認証が行われる。本実施形態では、パスワード、RFIDカードに格納されたIDデータ、スマートフォンに格納されたIDデータのいずれかによりユーザ認証が行えるようになっているので、ユーザはこれらのうちからユーザ認証に用いる情報を選択して操作装置12に入力する。パスワードを選択した場合には操作・表示部22にパスワードを入力する。RFIDカードを選択した場合にはRFIDカードを無線通信部23にかざしてIDデータを読み取らせる。スマートフォンを選択した場合には、スマートフォンにインストールされた専用のアプリケーションプログラムを起動し、このアプリケーションプログラムを用いてスマートフォンに格納されたIDデータを無線通信部23に送信する。
【0040】
(3)このようにして、パスワードまたはIDデータが入力されると、操作装置12の制御部21は、入力されたパスワードまたはIDデータからユーザ認証を行う。ユーザ認証の結果、合格の場合(許可されたユーザであった場合)には、制御部21は、錠機構本体11に開錠信号を送信する。これに対し、不合格の場合には、たとえば、操作・表示部22にユーザ認証は不合格である旨を表示したり、音声出力部26から所定の警報音を出力するなど、ユーザ認証が不合格であったことをユーザに知らせる処理が実行される。
【0041】
錠機構本体11に開錠信号が与えられると、DCモータ15が作動してシリンダ錠機構14が開錠する。すなわち、開錠信号の受信によりデッドボルト13が施錠位置から開錠位置に切り替えられる。また、本実施形態では、操作装置12から送信される開錠信号は、通信インターフェース24,16を介して制御ユニット6にも与えられる。これにより、制御ユニット6は電子錠ユニット3の開錠を検知する(
図3ステップS3)。なお、本実施形態では、電子錠ユニット3の開錠検知を開錠信号によって行う場合を示したが、たとえば、錠機構本体11にデッドボルト13の位置(施錠位置/開錠位置)を検知するセンサを設けておき、このセンサの出力を制御ユニット6で監視することで、電子錠ユニット3の開錠を検知するように構成することも可能である。
【0042】
(4)このようにして電子錠ユニット3の開錠を検知すると、制御ユニット6は、電気ストライクユニット4に対して開錠信号を送信する(
図3ステップS4:ラッチ錠開錠制御)。電気ストライクユニット4は、制御ユニット6から開錠信号が与えられると、施錠位置にある揺動金具を開錠位置に移動させてラッチボルト7の拘束を解除(ラッチボルト7を開放)し、電気ストライクユニット4を開錠する(ラッチ錠の開錠)。
【0043】
(5)この電気ストライクユニット4の開錠は、制御ユニット6において検知される(
図3ステップS5)。この検知は、たとえば、上述した電子錠ユニット3の開錠の検知と同様に、電気ストライクユニット4に与える開錠信号をモニタすることで検知する構成を採用してもよいが、電気ストライクユニット4に揺動金具の位置(施錠位置/開錠位置)を検知するセンサを設けておき、このセンサの出力から電気ストライクユニット4の開錠を検知するように構成してもよい。
【0044】
(6)このようにしてラッチ錠の開錠を検知すると、制御ユニット6は、扉開閉ユニット5に対して開扉信号を送信する(
図3ステップS6:開扉制御)。ここで、この開扉信号は、電気ストライクユニット4の開錠を検知した後に送信するので、ラッチボルト7の拘束が解除される前に扉開閉ユニット5が作動することは原則として生じない。しかし、たとえば、電気ストライクユニット4に与えられる開錠信号から電気ストライクユニット4の開錠を検知する構成の場合、開錠信号の受信からラッチボルト7が解放されるまでには時間のズレがわずかにあるので、この時間的なズレを考慮して、本実施形態では、制御ユニット6は、電気ストライクユニット4の開錠を検知してから所定時間T2(たとえば、0.5秒)が経過した後に開扉信号を送信するように構成している。そうすることで、ラッチボルト7の拘束が完全に解除される前に扉開閉ユニット5が作動するといった事態を回避することができる。なお、この所定時間T2は、電気ストライクユニット4の開錠に要する時間を考慮して適宜変更可能であるのは勿論である。
【0045】
(7)扉開閉ユニット5は、開扉信号を受信すると、扉開閉ユニット5の制御部が上述した戸体2の開閉制御を実行する。すなわち、戸体2を閉扉位置から開扉位置まで駆動してその位置で所定時間T1だけ保持した後、再び戸体2を閉扉位置まで駆動する。ユーザは、戸体2が開いている間に室内に入るだけでよく、入室後に戸体2は自動的に閉扉位置に復帰する。
【0046】
(8)戸体2が閉扉位置に復帰すると、錠機構本体11のセンサ類18が戸体2の閉扉を検知するので、これによって制御ユニット6も戸体2の閉扉を検知する(
図3ステップS8)。これにより、制御ユニット6は、電子錠ユニット3および電気ストライクユニット4に対して施錠信号を送信し(
図3ステップS9、S11)、電子錠ユニット3および電気ストライクユニット4においてそれぞれ施錠制御が行われ(
図3ステップS10,S12)、電子錠ユニット3および電気ストライクユニット4の双方が施錠状態に復帰する(
図3ステップ1)。
【0047】
このように、本発明に係る自動扉装置1によれば、ユーザが電子錠ユニット3の開錠操作を行うと、制御ユニット6が電子錠ユニット3の開錠を検知して、電気ストライクユニット4の開錠から、戸体2の開閉、さらには電子錠ユニット3および電気ストライクユニット4の施錠までの一連の処理を順序だてて行うので、戸体2の開閉を滞りなく確実に行うことができる。また、戸体2の施錠までが一連の処理として実行されるので、入室したユーザは施錠のために方向転換をしなくて済むので、使い勝手のよい自動扉装置1を提供できる。
【0048】
なお、上述した実施形態では、操作装置12を用いて電子錠ユニット3を開錠する場合を示したが、鍵を使って開錠することも勿論可能である。その場合、鍵を鍵穴14aに差し込んで開錠する。鍵で開錠された場合、制御ユニット6はデッドボルト13の位置(施錠位置/開錠位置)を検知するセンサによって電子錠ユニット3の開錠を検知する(
図3ステップS3)。それ以降の手順は操作装置12で開錠した場合と同様である。
【0049】
B:退室時
退出時の手順には、戸体2の室内側に備えられたサムターン14bの操作により電子錠ユニット3を開錠する。サムターン14bによる開錠後の手順については、上述した鍵を使った開錠と同様である。なお、戸体2の室内側にも操作装置12と同様の操作装置(図示せず)を備えさせておくことも可能であり、その場合、ユーザは室内側の操作装置を使って戸体2の開錠を行うことができる。この場合、室内側の操作装置の操作では上述したユーザ認証機能を省略することができる。そして、この室内側の操作装置で電子錠ユニット3が開錠された場合には、上述した
図3の手順で戸体2の開閉が行われる。
【0050】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態を
図4に基づいて説明する。
本実施形態では、電子錠ユニット3と制御ユニット6とが無線で通信接続される。その他の構成は上述した実施形態1と共通するので、構成が共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
本実施形態に示す自動扉装置1は、電子錠ユニット3が電池(図示せず)で駆動するように構成されている。たとえば、操作装置12の電源部25が電池を電源とするように構成され、その電力が通信線S1を介して錠機構本体11に供給される。それに伴って、錠機構本体11または操作装置12の一方と制御ユニット6のそれぞれに、図示しない無線通信手段が備えられ、これらの無線通信手段によって電子錠ユニット3と制御ユニット6とが通信接続される。これにより、戸体2の内部に通信線S2と通電金具20を省略することができ、配線作業の省力化を図ることができる。
【0052】
実施形態3
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態は、上述した実施形態1および2に示す自動扉装置1の改変例を示しており、本実施形態の自動扉装置1には、戸体2の開閉時に戸体2の内外の気圧差を解消する気圧差解消機構が備えられている。この気圧差解消機構は、たとえば、戸体2に設けられる通気孔(図示せず)と、この通気孔を開閉する通気孔開閉機構(図示せず)とを主要部として構成される。
【0053】
上記通気孔は、戸体2の適所に戸体2を貫通して形成される。また、通気孔開閉機構は、制御ユニット6によって通気孔の開閉を行うように構成される。そして、本実施形態では、制御ユニット6は、電気ストライクユニット4の開錠を検知すると、扉開閉ユニット5に開扉信号を送信する(開扉制御を実行する)前に、通気孔開閉機構を作動させて通気孔を通気状態にし、戸体2内外の気圧差を解消するように構成されている。
【0054】
そのため、本実施形態に係る自動扉装置1によれば、扉開閉ユニット5によって戸体2を開閉するときには、戸体2内外の気圧差が解消しているので、気圧差によって戸体2の開閉が阻害されることなく、戸体2をスムーズに開閉することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、気圧差解消機構の貫通孔を戸体2に開設した場合を示したが、気圧差解消機構は室内外の気圧差を解消できる構造であればよく、たとえば、貫通孔を戸枠10に設けたり、戸体2と戸枠10の双方に設けることも可能である。
【0056】
実施形態4
次に、本発明の第4の実施形態について
図5に基づいて説明する。
図5は、本発明に係る自動扉装置を引戸に適用した場合を示している。図示に示すように、本実施形態に示す自動扉装置100は、戸体2が水平方向にスライド可能に戸枠10に支持された片引きタイプの開き戸の形態とされている。
【0057】
そのため、この自動扉装置100では、ラッチボルト7および電気ストライクユニット4が省略されるとともに、扉開閉ユニット(図示せず)は、引戸に対応するユニットとして構成される。具体的には、この扉開閉ユニットは、戸体2を所定の開扉位置と所定の閉扉位置との間でスライド移動させることができる構造を備えており、制御ユニット6から開扉信号が与えられると、戸体2を閉扉位置から開扉位置まで駆動してその位置で所定時間T1だけ保持した後、再び閉扉位置まで駆動するように構成されている。その他の構成、すなわち、戸体2と、電子錠ユニット3と、制御ユニット6の構造は、上述した実施形態1~3と概ね共通するので、構成が共通する部分については同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0058】
なお、図において、符号30は、電子錠ユニット3と制御ユニット6とを通信接続する通信線S2の通電金具である。また、符号31は、戸体2のスライド操作用のハンドルである。
【0059】
しかして、このように構成された自動扉装置100では、入室に際して、操作装置12で電子錠ユニット3の開錠操作が行われ、制御ユニット6が電子錠ユニット3の開錠を検知すると、制御ユニット6は、扉開閉ユニットに対して開扉信号を送信する(開扉制御)。その際、デッドボルト13が開錠する前に扉開閉ユニットが作動するのを防止するために、制御ユニット6は、電子錠ユニット3の開錠を検知してから所定時間T3(たとえば、0.5秒)が経過した後に開扉信号を送信する。そうすることで、デッドボルト13の開錠が完了する前に扉開閉ユニットが作動する事態を回避できる。なお、この所定時間T3は、電子錠ユニット3の開錠に要する時間を考慮して適宜変更可能であるのは勿論である。
【0060】
そして、開扉信号によって扉開閉ユニットが戸体2の開閉を行い、戸体2が再び閉扉位置に復帰すると、錠機構本体11のセンサ類18が戸体2の閉扉を検知するので、これによって制御ユニット6が戸体2の閉扉を検知し、電子錠ユニット3に対して施錠信号を送信する施錠制御が行われ、電子錠ユニット3が施錠状態に復帰する。
【0061】
このように、本発明に係る自動扉装置100によれば、開き戸においても、制御ユニット6が電子錠ユニット3の開錠を検知して、戸体2の開閉から電子錠ユニット3の施錠までを順序だてて行うので、戸体2の開閉を滞りなく確実に行うことができる。また、戸体2の施錠までが一連の処理として実行されるので、入室したユーザは施錠のために方向転換をしなくて済むので、使い勝手のよい自動扉装置100を提供できる。
【0062】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0063】
たとえば、上述した実施形態では、操作装置12によるユーザ認証に用いる情報として、知識情報と所持情報を用いた場合を示したが、これらに代えて、またはこれらに加えて生体情報を用いることも可能である。ユーザ認証は、知識情報、所持情報、生体情報のうち少なくとも1以上の情報を用いて行われるように構成されていればよく、ユーザ認証として2要素以上の要素を用いて認証を行うように構成してもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、シリンダ錠機構14に鍵穴14aを備えた場合を示したが、本発明に係る自動扉装置1によれば、操作装置12によって電子錠ユニット3の開錠操作を行うことができるので、鍵穴14aを省略することも可能である。これにより、ピッキングによる不正な解錠を防止することができ、防犯性に優れた自動扉装置1を提供することができる。
【0065】
また、上述した実施形態では、開き戸タイプの自動扉装置1をマンションの玄関扉やホテルの客室扉など室内外を仕切る扉に適用した場合を示したが、本発明に係る自動扉装置1はこれらに限定されず、たとえば、室内の仕切りに用いる扉や廊下と階段室とを仕切る扉など、様々な場所に設置される開き戸に適用可能である。同様に、引戸タイプの自動扉装置100も室内の仕切りや階段室との仕切りなど、様々な場所に設置される引戸に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1,100 自動扉装置
2 戸体
3 電子錠ユニット
4 電気ストライクユニット
5 扉開閉ユニット
6 制御ユニット
7 ラッチボルト
8 ヒンジ
10 戸枠
11 錠機構本体
12 操作装置
13 デッドボルト
14 シリンダ錠機構
14a 鍵穴
14b サムターン