(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130175
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
B60R 5/04 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B60R5/04 T
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039741
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智幸
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA06
3D022BB03
3D022BC10
(57)【要約】
【解決手段】電動車両10は、バッテリ12を内部に格納可能なバッテリ格納室44と、バッテリ格納室44の格納口46を開閉可能な蓋部材48とを備える。電動車両10の車室24内には、蓋部材48よりも上方に配置される棚構造22を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能なバッテリの電力によって駆動する駆動部を備えた電動車両であって、
前記電動車両は、車体に囲まれた車室を有し、前記車室内の床面より下方に配置され、前記床面に開口する格納口を通じて前記バッテリを内部に格納可能なバッテリ格納室と、
前記バッテリ格納室の前記格納口を開閉可能に設けられ、前記バッテリ格納室から前記バッテリを取り出す際に開き、且つ前記格納口を塞ぐときに前記床面の一部を構成する蓋部材と、
前記車室内において前記蓋部材よりも上方に配置される棚構造と、
を備える、電動車両。
【請求項2】
請求項1記載の電動車両において、
前記棚構造は、
平板状に形成される棚板と、
前記車室内において前記車体に設けられ前記棚板を水平に支持可能な支持部と、
を備える、電動車両。
【請求項3】
請求項2記載の電動車両において、
前記車室内には、前記車室内において前方側に配置され乗員が乗車するシートと、
前記車室内において後方側に配置され前記床面を有する荷室と、
を備え、
前記支持部は、前記シートと前記荷室との間に設けられる前方支持部材と、
前記荷室に配置され、且つ前記車体の車幅方向の両側部に固定される後方支持部材と、
を備え、
前記前方支持部材及び前記後方支持部材によって前記棚板が支持される、電動車両。
【請求項4】
請求項3記載の電動車両において、
前記前方支持部材は、前記車室内の前記床面に設けられ、前記床面に対して上方に突出して前記シートと前記荷室とを前記車体の前後方向に分離し、且つ前記床面に対して着脱可能な分離部材である、電動車両。
【請求項5】
請求項3又は4記載の電動車両において、
前記後方支持部材は、前記両側部に固定される固定部と、
前記固定部に対して水平方向、且つ、前記固定部に対して車幅方向内方に向かうように回動可能に設けられる可動部と、
を備え、
前記後方支持部材に前記棚板を支持するとき、前記可動部が前記固定部に対して車幅方向内方に突出した位置に配置され、前記可動部によって前記棚板が支持される、電動車両。
【請求項6】
請求項3記載の電動車両において、
前記前方支持部材は、前記車室内の前記床面に回動可能に支持され、前記棚板を支持する状態では前記床面から上方に突出し、前記棚板を支持しない状態では、前記床面と略平行に配置される、電動車両。
【請求項7】
請求項2記載の電動車両において、
前記支持部は、前記車体の両側部から車幅方向内方に突出して固定され、且つ前記車体の前後方向に沿って水平に延在する一対の支持体を有する、電動車両。
【請求項8】
請求項7記載の電動車両において、
前記一対の支持体は、前記車室内において後方側に配置され前記床面を有する荷室から前方に向けて延在し、前記車体の平面視において、前記支持体が前記蓋部材に重なる位置まで延在する、電動車両。
【請求項9】
請求項7記載の電動車両において、
前記支持体は、前記棚板を支持する上面に第1係合部を有し、
前記棚板の下面には、前記第1係合部に係合される第2係合部を備え、
前記第1係合部及び前記第2係合部のうちの一方が突起であり、他方が前記突起の係合される凹部である、電動車両。
【請求項10】
請求項7又は8記載の電動車両において、
前記車体の前記両側部には、車高方向に沿って複数の締結孔を備え、
前記支持体は、互いに高さ位置が異なる前記複数の締結孔のうち、いずれか1つの位置に設けられた締結孔に締結部材によって固定される、電動車両。
【請求項11】
請求項2記載の電動車両において、
平面視において、前記棚板が前記バッテリ格納室に重なる位置に配置され、
前記蓋部材を開いて前記格納口を開放した前記蓋部材の開状態において、前記蓋部材の一部が前記床面に対して上方に位置し、
前記蓋部材の前記開状態において、前記蓋部材は、最も上方に位置する上端を有し、
前記床面に対する前記棚板の下面の高さが、前記床面に対する前記蓋部材の上端の高さよりも大きい、電動車両。
【請求項12】
請求項2記載の電動車両において、
前記棚板は、前記支持部に対して着脱可能に設けられる、電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの電力によって走行可能な電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが交換可能なバッテリを搭載した電動作業機が開示されている。電動作業機の機体内にバッテリが収納される。ユーザがバッテリを交換するとき、機体上方に配置された蓋部材を開いて機体上方に開口した開口部からバッテリを上方に取り出す。ユーザが開口部を通じて機体内にバッテリを収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなバッテリを電動車両の車室内の床下に搭載した場合、ユーザが車室内でバッテリ交換するとき、車室内の床面に載置した荷物を移動させる必要が生じる。荷物を移動させるためのスペースが必要となり、さらに荷物の移動を伴うことでバッテリ交換の作業効率が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、交換可能なバッテリの電力によって駆動する駆動部を備えた電動車両であって、前記電動車両は、車体に囲まれた車室を有し、前記車室内の床面より下方に配置され、前記床面に開口する格納口を通じて前記バッテリを内部に格納可能なバッテリ格納室と、前記バッテリ格納室の前記格納口を開閉可能に設けられ、前記バッテリ格納室から前記バッテリを取り出す際に開き、且つ前記格納口を塞ぐときに前記床面の一部を構成する蓋部材と、前記車室内において前記蓋部材よりも上方に配置される棚構造と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、交換式バッテリを格納可能な電動車両において、バッテリ格納室を蓋部材で塞いだ状態で床面に荷物を置いている場合に、床面から棚構造に荷物を移動させることで蓋部材を開放させることが可能となり、バッテリの交換作業を効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動車両の全体側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の電動車両におけるバッテリ格納部の周辺を示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す電動車両を車室内から見た平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態に係る電動車両の全体側面図である。
【
図5】
図5は、
図4の電動車両におけるバッテリ格納部の周辺を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す電動車両を車室内から見た平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3実施形態に係る電動車両の全体側面図である。
【
図8】
図8は、
図7の電動車両におけるバッテリ格納部の周辺を示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図7に示す電動車両を車室内から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示されるように、第1実施形態に係る電動車両10は、バッテリ12の電力によって駆動する電動機を備えた電気自動車(EV)である。なお、電動車両10は、電気自動車に限定されるものではない。バッテリ12を用いる車両であれば、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)又は燃料電池自動車(FCV)等の種々の電動車両10に適用可能である。
【0010】
電動車両10は、車体14と、車体14の車体開口部16に開閉可能に配置されるドア18と、車体14に設けられ電力が供給されることで回転駆動する電動機である駆動部20と、荷物Bを積載可能な棚構造22とを備える。
【0011】
車体14は、車室24と、車体開口部16と、バッテリ12を格納可能なバッテリ格納部26とを備える。車室24は、車体14に囲まれ乗員が乗車可能な空間である。車体14の前後方向における車室24の前方部には、乗員が座るシート28が設けられる。車体14の前後方向における車室24の略中央部から後方には、床面34を有して荷物B等を積載可能な荷室241が設けられる。荷室241は、荷台30を備える。荷室241には、車体14の車幅方向の両側に両側部141を有する(
図3参照)。両側部141は、車体14の前後方向及び車高方向に沿って延在し床面34と直交する取付面142を有する。シート28は、電動車両10の前輪32Fと後輪32Rとの間に設けられる。車室24の下部には、車体14の前後方向に沿った床面34が設けられる。床面34は、車体14の後方に向けて荷台30まで延在する。床面34は、車体14の前後方向に沿って平坦に形成される。
【0012】
車体開口部16は、車室24と連通する開口である。車体開口部16は、車体14において車幅方向の側面に開口する側部開口36と、車体14の後方に開口する後部開口38とを備える。車体開口部16は、車室24と車体14の外部とを連通する。
【0013】
側部開口36は、車室24内に乗員が乗降するときに主に使用される開口である。後部開口38は、荷台30の後方に開口し、例えば荷台30に荷物Bを積載するときに使用される開口である。後部開口38の開口方向は、車体14の前後方向である。
【0014】
図2に示すように、バッテリ格納部26は、車体14における車室24の下部に配置される。バッテリ格納部26は、車体14の床面34より下方に設けられる。以下、車体14の前後方向の略中央部にバッテリ格納部26が配置される場合について説明する。なお、バッテリ格納部26は、車体14の前後方向の略中央部に設けられる場合に限定されない。例えば、バッテリ格納部26が、車体14の前後方向における後方に設けられてもよい。
【0015】
バッテリ格納部26は、バッテリ12が格納されるバッテリ格納室44と、バッテリ格納室44の格納口46を覆う蓋部材48とを備える。バッテリ格納室44は、床面34に対して下方に突出した箱状のハウジング50の内部に形成される。ハウジング50及びバッテリ格納室44は、車幅方向中央に対して車幅方向一方及び車幅方向他方に配置される。ハウジング50の上部が、床面34の下方に配置されるフロア(不図示)に固定される。ハウジング50の上部が開口する。格納口46は、車室24内の床面34に開口してバッテリ格納室44と連通する。格納口46がバッテリ格納室44の内部と車室24とを連通する。
図1に示すように、側部開口36の開口方向から車体14を見たとき、バッテリ格納部26の格納口46が、側部開口36の開口範囲内に配置される。電動車両10の外部からユーザが側部開口36を介してバッテリ格納室44に対してバッテリ12を着脱可能である。
【0016】
バッテリ格納室44は、複数のバッテリ12を格納可能に形成される。バッテリ格納室44は、電動車両10の車幅方向において右側に配置される右側格納部52Rと、車幅方向において左側に配置される左側格納部52Lとを備える。
【0017】
右側格納部52Rと左側格納部52Lとが、車幅方向中央に対して対称形状に形成される。なお、右側格納部52Rと左側格納部52Lとが対称形状に形成される場合に限定されるものではない。右側格納部52Rと左側格納部52Lとが異なる形状であってもよい。
【0018】
右側格納部52R及び左側格納部52Lの各々には、バッテリホルダ56を介して複数のバッテリ12が格納され保持される。右側格納部52Rに格納されるバッテリ12の数と、左側格納部52Lに格納されるバッテリ12の数とが同数である。バッテリ12は、交換可能な低電圧式のバッテリ12である。バッテリ12は、取り扱い資格を有していない一般のユーザが取り扱い可能である。
【0019】
右側格納部52Rに収納されたバッテリ12は、車体14の鉛直方向(仮想線L)に対して右方向に傾斜して配置される。バッテリ12の上端部121が、車体14の右側に向かうように傾斜して収納される。左側格納部52Lに収納されたバッテリ12は、車体14の鉛直方向(仮想線L)に対して左方向に傾斜して配置される。バッテリ12の上端部121が、車体14の左側に向かうように傾斜して収納される。
【0020】
蓋部材48は、床面34の格納口46を開閉可能に設けられる。蓋部材48は、バッテリ格納室44からバッテリ12を取り出す際に開いて格納口46を開放する。蓋部材48が閉じることで、蓋部材48が格納口46を塞いで蓋部材48が床面34の一部を構成する。
【0021】
蓋部材48は、右側格納部52Rを覆う右側カバー78Rと、左側格納部52Lを覆う左側カバー78Lとを備える。右側カバー78R及び左側カバー78Lは略同一形状である。右側カバー78R及び左側カバー78Lの各々は、カバー本体80と、カバー本体80の端部に設けられる支持端82とを有する。カバー本体80は平板状に形成され格納口46に向かい合う。支持端82は、カバー本体80の幅方向一端に設けられる。支持端82は、車体14の車幅方向の略中央部に配置される。支持端82は、車体14の床面34に対して回動自在に支持される。支持端82は、車体14の前後方向に沿って支持される。
【0022】
カバー本体80の幅方向他端は、カバー本体80に対して直交方向に延出する。カバー本体80の幅方向他端は、把持部84を備える。把持部84は、蓋部材48を開閉するときにユーザが把持可能である。
【0023】
車体14の車幅方向において、右側カバー78Rと左側カバー78Lとが離間して配置される。右側カバー78Rと左側カバー78Lとの間にはランド部86が設けられる。ランド部86は、車幅方向に一定幅で形成され、且つ車体14の前後方向に延在する。
【0024】
支持端82を支点として蓋部材48(右側カバー78R、左側カバー78L)を格納口46に向けて回動させると、カバー本体80が車体14の車幅方向に沿うように水平状態に配置され、右側カバー78R及び左側カバー78Lの各カバー本体80によって格納口46が閉塞される。バッテリ格納室44の側方の一部が延出部位によって覆われる。蓋部材48を閉めて蓋部材48によってバッテリ格納部26の格納口46を閉塞したとき、蓋部材48と車体14の床面34とが略同一平面となる。蓋部材48は床面34と共に荷台30の一部を構成する。車室24内において、荷台30には荷物Bを積載可能である(
図1参照)。
【0025】
支持端82を支点として蓋部材48(右側カバー78R、左側カバー78L)が格納口46から離間する方向に向けて回動すると(
図2中、二点鎖線形状参照)、カバー本体80の幅方向他端が上方となるように蓋部材48が傾斜し、カバー本体80が格納口46から離間して格納口46が開放される(
図2中、二点鎖線形状参照)。このとき、車体14とカバー本体80とを支持する支持ロッド87によって、蓋部材48が開放状態で保持される。支持ロッド87によって、蓋部材48が自重によって格納口46側に向けて回動することが防止される。すなわち、蓋部材48を開いて格納口46を開放した蓋部材48の開状態において、蓋部材48が床面34に対して上方に位置する。このとき、最も上方に配置される蓋部材48の上端481は、カバー本体80の幅方向端部である。
【0026】
図2に示すように、ドア18は、車体14における車幅方向の右側に配置される右ドア88Rと、車体14における車幅方向の左側に配置される左ドア88Lと、車体14の後方に配置される後方ドア88B(
図1参照)とを備える。
【0027】
図1に示すように、右ドア88Rは、右側に配置されるフロントドア881と、フロントドア881の後方に配置されるリアドア882とを備える。左ドア88Lは、左側に配置されるフロントドア881と、フロントドア881の後方に配置されるリアドア882とを備える。
【0028】
駆動部20は、図示しない電装部によって複数のバッテリ12と電気的に接続される。駆動部20は、前輪32Fの各々を駆動する前輪用モータ90と、後輪32Rを駆動する後輪用モータ92とを備える。前輪用モータ90は、車体14の前方側に配置される。前輪用モータ90の駆動シャフト(不図示)が各前輪32Fに連結される。後輪用モータ92は、車体14の後方側に配置される。後輪用モータ92の駆動シャフト(不図示)が後輪32Rに連結される。
【0029】
棚構造22は、車室24内において蓋部材48より上方に設けられる。棚構造22は、平板状に形成される棚板94と、車体14に設けられ棚板94を水平に支持可能な支持部96とを備える。
【0030】
棚板94は、例えば強度を有した板材から形成される。棚板94は、一定厚さで矩形状に形成される。
図3に示されるように、車体14の車幅方向において、棚板94の幅は、車体14の両側部141の幅と略同等若しくは若干小さく形成される。
図1に示されるように、棚板94の上面に荷物Bを積載可能である。
【0031】
棚板94は、支持部96に対して着脱可能に設けられる。棚板94は、シート28の後方に配置される前方板98Fと、前方板98Fの後方に配置される後方板98Rとを備える。前方板98Fは、バッテリ格納部26の上方に配置される。
図3に示す車体14の平面視において、前方板98Fが、バッテリ格納部26(バッテリ格納室44)に重なる位置に配置される。蓋部材48が開いて格納口46を開放した蓋部材48の開状態において、前方板98Fが、蓋部材48の上端481よりも高い位置に配置される。すなわち、
図2に示すように、床面34に対する前方板98F(棚板94)の下面の高さH1が、床面34に対する蓋部材48の上端481の高さH2よりも大きい(H1>H2)。蓋部材48の上端481と前方板98Fの下面とが車高方向に離間する。支持部96によって、前方板98Fがバッテリ格納部26の上方に水平に支持される。
【0032】
後方板98Rは、荷室241に配置される。例えば、前方板98F及び後方板98Rは略矩形状に形成される。支持部96によって、後方板98Rが荷室241内に水平に支持される。車高方向において、前方板98Fと後方板98Rとが同一高さに支持される。なお、前方板98Fと後方板98Rとが異なる高さで支持されていてもよい。
【0033】
前方板98F及び後方板98Rには、上面から上方に向けて突出したストッパ100を備える。ストッパ100は、車体14の前後方向における棚板94の上面に積まれた荷物Bの移動を防止する。ストッパ100は、棚板94の上面に前方板98Fの前端部及び後端部、後方板98Rの後端部にそれぞれ設けられる。ストッパ100は、棚板94において車幅方向に延在する。車体14の前後方向から見たとき、ストッパ100は棚板94に向けて開口するU字形状である。ストッパ100における一対の開口端1001が、前方板98F及び後方板98Rの上面に挿入され固定される。
【0034】
図3に示されるように、棚板94の面積は、蓋部材48の面積よりも大きい。具体的には、前方板98Fの面積と後方板98Rの面積とを合わせた棚板94の合計面積が、右側カバー78Rの面積と左側カバー78Lの面積とを合わせた蓋部材48の合計面積よりも大きい。棚板94の面積は、蓋部材48の面積より小さくてもよいが、蓋部材48の面積の90%以上であることが好ましい。
【0035】
支持部96は、前方支持部材102Fと、後方支持部材102Rとを備える。前方支持部材102F及び後方支持部材102Rによって棚板94が支持される。
【0036】
前方支持部材102Fは、車室24内においてシート28と荷室241との間に設けられる。前方支持部材102Fによって、前方板98Fの前端部が支持される。
【0037】
図2に示すように、前方支持部材102Fは、車室24内の床面34に設けられる分離部材104である。分離部材104は、車体14の車幅方向に沿って配置される。分離部材104は、車体14の前後方向においてシート28と荷室241とを分離可能である。分離部材104は、シート28の後方に配置され床面34に対して上方に突出する。分離部材104は、シート28とバッテリ格納部26との間に配置される。分離部材104は、一対の脚部106と、脚部106の上端を繋ぐ水平部108とを有する。一対の脚部106が、車体14の車幅方向に離間して配置される。脚部106の下端が床面34に対して挿入され固定される。一対の脚部106の下端は、床面34に対して挿抜可能である。
【0038】
水平部108は、車幅方向に沿って水平に配置される。床面34から水平部108の上部までの高さは、蓋部材48を開いたときの蓋部材48の上端481の高さH2よりも高い。水平部108の上部には、前方板98Fの前端部が載置される。水平部108によって前方板98Fの前端部が水平に支持される。
【0039】
床面34に対して前方支持部材102Fの脚部106を挿抜することで、前方支持部材102Fが床面34に対して着脱可能である。棚構造22を使用しないとき、前方支持部材102Fが床面34から取り外される。
【0040】
図2に示すように、後方支持部材102Rは、荷室241に配置される。後方支持部材102Rは、車室24内において車体14の両側部141にそれぞれ固定される。
図3に示すように、後方支持部材102Rは、車体14の両側部141に固定される固定部110と、固定部110に対して水平方向に可動する第1及び第2可動部1121、1122とを備える。固定部110は、車体14の前後方向に延在する取付部材114を有する。取付部材114は、例えば金属板によって形成される。車体14の両側部141に対して取付部材114の前端部及び後端部が締結部材116によって固定される。取付部材114の上部が車体14の両側部141の取付面142に固定される。
【0041】
第1可動部1121及び第2可動部1122は、車体14の前後方向に離間して配置される。第1可動部1121は、取付部材114の前端部に近接して配置される。第1可動部1121は、前方板98Fの後端部及び後方板98Rの前端部を支持する。第2可動部1122は、取付部材114の後端部に近接して配置される。第2可動部1122は、後方板98Rの後端部を支持する。
【0042】
第1及び第2可動部1121、1122の各々は、固定端118と、可動端120とを有する。第1及び第2可動部1121、1122は、固定端118と可動端120とが離間して直線状に配置される。第1及び第2可動部1121、1122の固定端118は、車体14の前方側に配置される。第1及び第2可動部1121、1122の固定端118は、取付部材114の収容孔122に収容される。収容孔122は、取付部材114において車幅方向内方に開口する。第1及び第2可動部1121、1122の固定端118は、支軸124を介して取付部材114に支持される。
【0043】
棚構造22を使用しないとき、すなわち、支持部96で棚板94を支持しない場合、支軸124を支点として第1及び第2可動部1121、1122の可動端120が車体14の両側部141に向けて回動し、第1及び第2可動部1121、1122が収容孔122にそれぞれ収容された位置に配置される(
図3中、二点鎖線形状参照)。このとき、第1及び第2可動部1121、1122が、取付部材114から車幅方向内方に突出しない。なお、第1及び第2可動部1121、1122が収容孔122に収容されたとき、第1及び第2可動部1121、1122が取付部材114から車幅方向内方に突出してもよい。
【0044】
棚構造22を使用する場合、支軸124を支点として第1及び第2可動部1121、1122の可動端120が車体14の車幅方向内方に向かうように回動し、第1及び第2可動部1121、1122が固定部110に対して略直交した位置となる。第1及び第2可動部1121、1122が、車体14の両側部141から車幅方向内方に向けて突出した位置に配置される。
【0045】
車幅方向において、一対の第1可動部1121が互いに向かい合い、第1可動部1121が互いに車幅方向内方に向けて突出する。車幅方向において、一対の第2可動部1122が互いに向かい合い、第1可動部1121が互いに車幅方向内方に向けて突出する。第1及び第2可動部1121、1122の上面は、棚板94(前方板98F、後方板98R)を支持する支持面となる。床面34に対する第1可動部1121の上面の高さと第2可動部1122の上面の高さとが同一である。床面34に対する第1及び第2可動部1121、1122の上面の高さと前方支持部材102F(水平部108)の上部までの高さとが略同一である。前方支持部材102Fにおける水平部108の上部、一対の第1可動部1121の上面、一対の第2可動部1122の上面によって棚板94が水平に支持される。車体14の車幅方向において、第1可動部1121の固定端118と可動端120との間、第2可動部1122の固定端118と可動端120との間によって、棚板94が支持される。
【0046】
次に、電動車両10におけるバッテリ12の交換を行う場合について説明する。
【0047】
バッテリ12の交換を行うにあたって、載置された荷物Bをユーザが棚構造22に移動させる。ユーザが荷物Bを把持し、荷室241の床面34として使用される蓋部材48の上面にバッテリ格納部26の上方に配置された棚板94の上面へと荷物Bを移動させる(
図1参照)。
【0048】
ユーザは、蓋部材48の把持部84を把持して蓋部材48の左側カバー78Lを支持端82を支点として幅方向他端が上方に向かうように回動させる。左側カバー78Lが回動することで格納口46が開放される。このとき、蓋部材48の上端481と棚板94の下面とが接触しない。ユーザは、開放された格納口46からバッテリ12を上方に向けて引き出し、車室24内へと取り出した後、車体開口部16を通じて車体14の外部へと取り出す。新たなバッテリ12を格納口46を通じてバッテリ格納室44へと装填した後、ユーザが蓋部材48を閉めることで蓋部材48が床面34と略同一平面となって荷台30の一部を構成する。
【0049】
棚構造22を使用しない場合には、支持部96から前方板98F及び後方板98Rを上方に取り外した後、前方支持部材102Fである分離部材104を床面34から上方へと引き抜く。
図3に示すように、後方支持部材102Rの第1及び第2可動部1121、1122を、固定端118を支点として可動端120を車体14側に向けて回動させることで、第1及び第2可動部1121、1122を収容孔122に収容する(
図3中、二点鎖線形状参照)。棚板94(前方板98F及び後方板98R)及び分離部材104は、車室24内に収容してもよいし、車体開口部16を通じて電動車両10の外部に取り出してもよい。
【0050】
第1実施形態は、以下の効果を奏する。
【0051】
図1に示すように、電動車両10は、床面34に開口する格納口46を通じてバッテリ12を内部に格納可能なバッテリ格納室44と、バッテリ格納室44の格納口46を開閉可能に設けられた蓋部材48と、車室24内において蓋部材48よりも上方に配置される棚構造22とを備える。
【0052】
これにより、車室24内においてバッテリ格納室44を蓋部材48で塞いだ状態で床面34に荷物Bを置いている場合に、床面34から棚構造22に荷物Bを移動させることで蓋部材48を開放させることが可能となる。そのため、バッテリ12の交換作業を効率的に行うことが可能となる。
【0053】
棚構造22は、平板状に形成される棚板94と、車室24内において車体14に設けられ棚板94を水平に支持可能な支持部96とを備える。これにより、車室24内に設けられた支持部96によって棚板94を水平に支持することで、蓋部材48から移動させた荷物Bを棚板94で積載することができる。
【0054】
図3に示すように、車室24内には、車室24内において前方側に配置され乗員が乗車するシート28と、車室24内において後方側に配置され床面34を有する荷室241とを備え、支持部96は、シート28と荷室241との間に設けられる前方支持部材102Fと、荷室241に配置され、且つ車体14の車幅方向の両側部141に固定される後方支持部材102Rとを備える。前方支持部材102F及び後方支持部材102Rによって棚板94が支持される。これにより、前方支持部材102F及び後方支持部材102Rによって、車室24内において前後方向に沿って棚板94を支持できるため、車室24内における荷物Bの積載スペースを大きく確保できる。
【0055】
図2に示すように、前方支持部材102Fは、車室24内の床面34に設けられ、床面34に対して上方に突出してシート28と荷室241とを車体14の前後方向に分離し、且つ床面34に対して着脱可能な分離部材104である。これにより、シート28と荷室241とを分離する分離部材104を前方支持部材102Fとして利用することで、前方支持部材102Fを新たに設定する必要がなく、車内スペースを有効に活用でき、しかも、製造コストを削減できる。棚構造22を使用しないとき、分離部材104を取り外すことで車室24内のスペースを有効活用することができる。
【0056】
図3に示すように、後方支持部材102Rは、両側部141に固定される固定部110と、固定部110に対して水平方向、且つ、固定部110に対して車幅方向内方に向かうように回動可能に設けられる第1及び第2可動部1121、1122とを備える。後方支持部材102Rに棚板94を支持するとき、第1及び第2可動部1121、1122が固定部110に対して車幅方向内方に突出した位置に配置され、第1及び第2可動部1121、1122によって棚板94が支持される。これにより、第1及び第2可動部1121、1122を車幅方向内方に回動させることで、後方支持部材102Rによって棚板94を支持することができる。棚構造22を使用しないときには、固定部110側に向けて第1及び第2可動部1121、1122を回動させることで、第1及び第2可動部1121、1122が車幅方向内方へ突出することがないため、車室24内のスペースを有効に活用することができる。
【0057】
車体14の平面視において、棚板94がバッテリ格納室44に重なる位置に配置され、蓋部材48を開いて格納口46を開放した蓋部材48の開状態において、蓋部材48の一部が床面34に対して上方に位置する。
図2に示すように、蓋部材48の開状態において、蓋部材48は、最も上方に位置する上端481を有し、床面34に対する棚板94の下面の高さH1が、床面34に対する蓋部材48の上端481の高さH2よりも大きい(H1>H2)。これにより、バッテリ12を交換するために蓋部材48を開いたとき、バッテリ格納室44の上方に配置された棚板94に蓋部材48が接触することが防止され、バッテリ12の交換作業を行うことができる。
【0058】
棚板94は、支持部96に対して着脱可能に設けられるため、棚構造22を使用しない場合に、支持部96から棚板94を取り外すことで車室24内のスペースを有効に活用できる。棚構造22を使用しない場合に、棚板94を取り外すことで車室24内のスペースを有効活用できる。
【0059】
図3に示すように、棚板94の面積は、蓋部材48の面積の90%以上であるため、蓋部材48に積載された略全ての荷物Bを、棚板94へと効果的に移動することが可能である。
【0060】
図4に示す第2実施形態の電動車両150は、車室24内においてバッテリ格納部26の蓋部材48よりも上方に配置される棚構造152を備える。棚構造152は、棚板94と、支持部154とを備える。支持部154は、前方支持部材156Fと、後方支持部材156Rとを備える。
【0061】
前方支持部材156Fは、シート28と荷室241との間に設けられる。前方支持部材156Fは、車室24内の床面34に回動可能に支持される。前方支持部材156Fは、棚板94を支持する状態では床面34から上方に突出する。棚板94を支持しない状態では、前方支持部材156Fが床面34と略平行に配置される。
【0062】
図5に示すように、前方支持部材156Fは、床面34に固定されるベース部158と、ベース部158に対して回動可能なアーム部160と、アーム部160に連結されて棚板94を支持可能な板支持部162とを備える。
【0063】
ベース部158は、車体14の車幅方向に沿って配置される。ベース部158は、例えば、床面34の車幅方向中央から幅方向外方に向けて延在する。ベース部158の下部が床面34の上面に固定される。
【0064】
アーム部160は、前方支持部材156Fの幅方向中央に配置される。アーム部160は、ベース部158の延在方向と直交する。アーム部160は、車幅方向に離間した一対のロッド164を備える。一対のロッド164の一端部が、ジョイント部材166を介してベース部158に回動可能に支持される。なお、アーム部160は、一対のロッド164から構成される場合に限定されない。アーム部160を1つのロッド164から構成してもよい。
【0065】
板支持部162は、ベース部158と略平行に配置され、一対のロッド164の他端部に連結される。すなわち、アーム部160を介して板支持部162とベース部158とが離間して平行に保持される。板支持部162の両端部には、下方に向けて開口する略U字状の板ホルダ1621を備える。板ホルダ1621の上面は、平坦であり棚板94を支持する支持面である。
【0066】
図4に示すように、ベース部158に対してアーム部160が回動し、床面34からアーム部160が上方に突出した状態で、板支持部162の上部に棚板94(前方板98Fの前方端)が支持される(
図6参照)。床面34に対してアーム部160が直交した状態で、板支持部162によって棚板94(前方板98Fの前方端)が水平に支持される。このとき、
図5に示すように、板支持部162の上部(棚板94の下面)の高さH1が、蓋部材48を開いたときの蓋部材48の上端481の高さH2よりも大きい(H1>H2)。
【0067】
図4に示すように、棚構造152を使用しないとき、ベース部158に対してアーム部160を後方に向けて回動させることで、アーム部160及び板支持部162が床面34の上方で床面34と略平行に配置される。このとき、
図6に示すように、アーム部160は、バッテリ格納部26のランド部86に向かい合う。アーム部160が、蓋部材48における右側カバー78Rと左側カバー78Lとの間に配置される。板支持部162は、右側カバー78R及び左側カバー78Lの後方に配置される。蓋部材48を開閉するとき、収容された前方支持部材156Fと蓋部材48とが接触しない。
【0068】
図4に示すように、後方支持部材156Rは、荷室241に配置される。後方支持部材156Rは、車室24内において車体14の両側部141にそれぞれ固定される。後方支持部材156Rは、車体14の両側部141に固定される固定部168と、固定部168に保持される第1支持体1701、1702及び第2支持体172とを備える。
【0069】
図6に示すように、固定部168は、第1ホルダ1741及び第2ホルダ1742を備える。第1ホルダ1741は、荷室241における前方側に配置される。第2ホルダ1742は、第1ホルダ1741の後方に配置される。第1ホルダ1741と第2ホルダ1742とが車体14の前後方向に離間する。第1ホルダ1741及び第2ホルダ1742の各々は上下方向に延在する。第1ホルダ1741及び第2ホルダ1742の上部が、車体14の取付面142に対して締結部材116によって固定される。
【0070】
図4に示すように、第1ホルダ1741の下部には、第1支持体1701、1702を保持可能な一対の第1凹部176を有する。一対の第1凹部176は、第1ホルダ1741の延在方向に対して車体14の前後方向に配置される。一対の第1凹部176は、車体14の前後方向に離間する。第1凹部176は、下方に向けて断面半円状に窪んで形成される。
【0071】
第2ホルダ1742の下部には、第2支持体172を保持可能な第2凹部178を有する。第2凹部178は、第2ホルダ1742の延在方向に対して後方に配置される。第2凹部178は、下方に向けて断面半円状に窪んで形成される。なお、第2凹部178は、第2ホルダ1742の延在方向に対して後方に配置される場合に限定されない。例えば、第2ホルダ1742の延在方向に対して前方に第2凹部178が配置されてもよい。
【0072】
第1支持体1701、1702及び第2支持体172は、例えば断面円形状の管体である。第1支持体1701、1702及び第2支持体172は、車体14の車幅方向に沿って配置される。一対の第1支持体1701、1702の両端部が、第1ホルダ1741の第1凹部176によって保持される。第1ホルダ1741によって、一対の第1支持体1701、1702が水平に保持される。前方に配置される第1支持体1701によって、前方板98Fの後端部が支持される。前方板98Fの後端部の下面には、下方に向けて突出したホルダ981が設けられる。ホルダ981は、上方に向けて窪んで第1支持体1701の一部が挿入される凹部(不図示)を有する。ホルダ981を介して前方板98Fが第1支持体1701に支持される。後方に配置される第1支持体1702によって、後方板98Rの前端部が支持される。後方板98Rの前端部の下面には、下方に向けて突出したホルダ981が設けられる。ホルダ981は、上方に向けて窪んで第1支持体1702の一部が挿入される凹部(不図示)を有する。ホルダ981を介して後方板98Rが第1支持体1702に支持される。
【0073】
第2支持体172の両端部が、第2ホルダ1742の第2凹部178によって保持される。第2ホルダ1742によって第2支持体172が水平に保持される。第2支持体172によって後方板98Rの後端部が支持される。後方板98Rの後端部の下面には、下方に向けて突出したホルダ981が設けられる。ホルダ981は、上方に向けて窪んで第2支持体172の一部が挿入される凹部(不図示)を有する。ホルダ981を介して後方板98Rが第2支持体172に支持される。
【0074】
図4に示すように、床面34に対する第1支持体1701、1702(ホルダ981)の高さと第2支持体172(ホルダ981)の高さとが同一である。床面34に対する第1支持体1701、1702及び第2支持体172の上部の高さと前方支持部材156F(板支持部162)の上部までの高さとが略同一である。前方支持部材156Fにおける板支持部162の上部、第1支持体1701、1702及び第2支持体172の上部によって棚板94が水平に支持される。
【0075】
第2実施形態は、以下の効果を奏する。
【0076】
図4に示すように、車室24内には、車室24内において前方側に配置され乗員が乗車するシート28と、車室24内において後方側に配置され床面34を有する荷室241とを備える。支持部154は、シート28と荷室241との間に設けられる前方支持部材156Fと、荷室241に配置され、且つ車体14の車幅方向の両側部141に固定される後方支持部材156Rとを備える。前方支持部材156F及び後方支持部材156Rによって棚板94が支持される。これにより、前方支持部材156F及び後方支持部材156Rによって、車室24内において前後方向に沿って棚板94を支持できる。そのため、車室24内における荷物Bの積載スペースを大きく確保できる。
【0077】
前方支持部材156Fは、車室24内の床面34に回動可能に支持され、棚板94を支持する状態では床面34から上方に突出し、棚板94を支持しない状態では、床面34と略平行に配置される。これにより、棚構造152を使用しない場合に、前方支持部材156Fを床面34に向けて回動させて床面34と略平行に配置することで、車室24内のスペースを有効活用できる。
【0078】
図7に示す第3実施形態の電動車両200は、車室24内においてバッテリ格納部26の蓋部材48よりも上方に配置される棚構造202を備える。
【0079】
棚構造202は、棚板204と、支持部206とを備える。支持部206は、一対の支持体2081、2082を備える。
図8に示すように、支持体2081、2082の延在方向から見たとき、支持体2081、2082の断面形状は矩形状である。支持体2081、2082の上面が、水平に配置され棚板204を支持可能な支持面となる。
【0080】
一対の支持体2081、2082は、車体14における両側部141にそれぞれ設けられる。車体14における両側部141の取付面142に固定された取付部材210に支持体2081、2082が固定される。一対の支持体2081、2082は、車体14の両側部141から車幅方向内方に突出して固定される。
図8に示すように、車体14の車幅方向において、一方の支持体2081と他方の支持体2082とが互いに接近する方向に突出する。取付部材210と支持体2081、2082との間には中間部材212が設けられる。取付部材210、中間部材212及び支持体2081、2082が、支持体2081、2082の延在方向と直交する方向(車幅方向)に互いに連結される。
【0081】
図7に示すように、車体14の両側部141における取付面142には、一対の締結孔2141、2142を有する。一対の締結孔2141、2142は、車体14の前後方向に離間する。一対の締結孔2141、2142は、車高方向において同一高さである。車体14の両側部141に取付部材210を固定するとき、一対の締結部材116が締結孔2141、2142に締結されることで取付部材210の前端部及び後端部が取付面142に固定される。取付部材210の上部が車体14の両側部141の取付面142に固定される。車体14の両側部141には、車高方向に沿って一対の締結孔2141、2142が複数組設けられる。複数組の締結孔列216は、車高方向に互いに離間する。複数組の締結孔2141、2142から1つの位置に設けられた一対の締結孔2141、2142に、締結部材116によって取付部材210が取り付けられる。
【0082】
一対の支持体2081、2082は、車体14の前後方向に沿って水平に延在する。一対の支持体2081、2082は、荷室241から前方に向けて延在する。
図9に示すように、車体14の平面視において、支持体2081、2082が蓋部材48に重なる位置まで延在する。
【0083】
図10に示すように、支持体2081、2082の上面は、複数の第1係合部218を有する。第1係合部218は、支持体2081、2082の前端部及び中間部に配置される(
図9参照)。第1係合部218は、支持体の上面から上方に突出した突起220を有する。突起220は、例えば上方に向けて徐々に先細となる断面台形状に形成される。なお、突起220の形状は、断面台形状に形成される場合に限定されない。
【0084】
支持部206に支持される棚板204の下面には、第1係合部218に係合される第2係合部222を有する。第2係合部222は、前方板98Fの前端部、後方板98Rの前端部に設けられる。第2係合部222は、前方板98F及び後方板98Rの下面に対して窪んだ凹部224を有する。凹部224は、前方板98F及び後方板98Rの幅方向に離間して一対ずつ設けられる。一対の支持体2081、2082の上面によって棚板204を支持するとき、支持体2081、2082の突起220が、前方板98F及び後方板98Rの凹部224に挿入され係合される。第1係合部218と第2係合部222との係合によって、支持体2081、2082の上面に沿った棚板204の移動が防止される。
【0085】
なお、支持体2081、2082の第1係合部218が突起220を備え、棚板204の第2係合部222が凹部224を備える場合に限定されない。第1係合部218が凹部224を備え、第2係合部222が凹部224に挿入される突起220を備えていてもよい。
【0086】
第3実施形態は、以下の効果を奏する。
【0087】
図9に示すように、棚構造202の支持部206は、車体14の両側部141から車幅方向内方に突出して固定され、且つ車体14の前後方向に沿って水平に延在する一対の支持体2081、2082を有する。これにより、車室24内に設けられた一対の支持体2081、2082に棚板204を乗せることで、簡単且つ迅速に棚構造202を構成することができる。
【0088】
一対の支持体2081、2082は、荷室241から前方に向けて延在し、車体14の平面視において、支持体2081、2082が蓋部材48に重なる位置まで延在する。これにより、荷室241に配置された支持体2081、2082がバッテリ格納室44の上方まで延びることで、荷室241のみでなくバッテリ格納室44の上方に荷物Bを積載できる。そのため、車室24内においてより広範囲に多くの荷物Bを蓋部材48の上部から棚板204へと移動することが可能となる。前方支持部材を設ける必要がないため、支持部206の構造を簡素化でき、製造コストを削減することができる。
【0089】
支持体2081、2082は、棚板204を支持する上面に第1係合部218を有し、棚板204の下面には、第1係合部218に係合される第2係合部222を備え、第1係合部218及び第2係合部222のうちの一方を突起220とし、他方を突起220の係合される凹部224とする。これにより、突起220及び凹部224からなる第1及び第2係合部218、222によって、支持体2081、2082の上面に沿った棚板204の移動が効果的に防止される。
【0090】
図7に示すように、車体14の両側部141には、車高方向に沿って複数の締結孔2141、2142を備え、支持体2081、2082は、互いに高さ位置が異なる複数の締結孔2141、2142のうち、いずれか1つの位置に設けられた締結孔2141、2142に締結部材116によって固定される。これにより、締結部材116によって、車体14に対して支持体2081、2082を容易に固定又は取り外すことができ、さらに、高さが異なる複数の締結孔2141、2142のうちから締結する締結孔2141、2142を選択することで、車高方向の異なる高さで支持体2081、2082を固定することができる。車室24内における棚板204の高さを容易に変更できる。
【0091】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0092】
(付記1)
交換可能なバッテリ(12)の電力によって駆動する駆動部(20)を備えた電動車両(10、150、200)であって、前記電動車両は、車体(14)に囲まれた車室(24)を有し、前記車室内の床面(34)より下方に配置され、前記床面に開口する格納口(46)を通じて前記バッテリを内部に格納可能なバッテリ格納室(44)と、前記バッテリ格納室の前記格納口を開閉可能に設けられ、前記バッテリ格納室から前記バッテリを取り出す際に開き、且つ前記格納口を塞ぐときに前記床面の一部を構成する蓋部材(48)と、前記車室内において前記蓋部材よりも上方に配置される棚構造(22、152、202)と、を備える。
【0093】
このような構成によれば、交換可能なバッテリを格納可能な電動車両において、バッテリ格納室を蓋部材で塞いだ状態で床面に荷物を置いている場合に、床面から棚構造に荷物を移動させることで蓋部材を開放させることが可能となる。そのため、バッテリの交換作業を効率的に行うことができる。
【0094】
(付記2)
付記1に記載の電動車両において、前記棚構造は、平板状に形成される棚板(94、204)と、前記車室内において前記車体に設けられ前記棚板を水平に支持可能な支持部(96、154、206)と、を備えてもよい。このような構成によれば、車室内に設けられた支持部によって棚板を水平に支持することで、蓋部材から移動させた荷物を棚板で積載することができる。
【0095】
(付記3)
付記2に記載の電動車両において、前記車室内には、前記車室内において前方側に配置され乗員が乗車するシート(28)と、前記車室内において後方側に配置され前記床面を有する荷室(241)と、を備え、前記支持部は、前記シートと前記荷室との間に設けられる前方支持部材(102F、156F)と、前記荷室に配置され、且つ前記車体の車幅方向の両側部(141)に固定される後方支持部材(102R、156R)と、を備え、前記前方支持部材及び前記後方支持部材によって前記棚板が支持されてもよい。このような構成によれば、前方支持部材及び後方支持部材によって、車室内において前後方向に沿って棚板を支持できるため、車室内における荷物の積載スペースを大きく確保できる。
【0096】
(付記4)
付記3に記載の電動車両において、前記前方支持部材は、前記車室内の前記床面に設けられ、前記床面に対して上方に突出して前記シートと前記荷室とを前記車体の前後方向に分離し、且つ前記床面に対して着脱可能な分離部材(104)であってもよい。このような構成によれば、車室内においてシートと荷室とを分離する分離部材を前方支持部材として利用することで、前方支持部材を新たに設定する必要がなく、車内スペースを有効に活用でき、しかも製造コストを削減することができる。棚構造を使用しないとき、分離部材を取り外すことで車室内のスペースを有効活用することができる。
。
【0097】
(付記5)
付記3又は4に記載の電動車両において、前記後方支持部材は、前記両側部に固定される固定部(110)と、前記固定部に対して水平方向、且つ、前記固定部に対して車幅方向内方に向かうように回動可能に設けられる可動部(1121、1122)と、を備え、前記後方支持部材に前記棚板を支持するとき、前記可動部が前記固定部に対して車幅方向内方に突出した位置に配置され、前記可動部によって前記棚板が支持されてもよい。このような構成によれば、可動部を車幅方向内方に回動させることで、後方支持部材によって棚板を支持することができる。棚構造を使用しないときには、固定部側に向けて可動部を回動させることで、可動部が車幅方向内方へ突出することがないため、車室内のスペースを有効に活用することができる。
【0098】
(付記6)
付記3に記載の電動車両において、前記前方支持部材は、前記車室内の前記床面に回動可能に支持され、前記棚板を支持する状態では前記床面から上方に突出し、前記棚板を支持しない状態では、前記床面と略平行に配置されてもよい。このような構成によれば、棚構造を使用しない場合に、前方支持部材を床面に向けて回動させて床面と略平行に配置することで、車室内のスペースを有効活用できる。
【0099】
(付記7)
付記2に記載の電動車両において、前記支持部は、前記車体の両側部から車幅方向内方に突出して固定され、且つ前記車体の前後方向に沿って水平に延在する一対の支持体(2081、2082)を有してもよい。このような構成によれば、車室内に設けられた一対の支持体に棚板を乗せることで、簡単且つ迅速に棚構造を構成することができる。
【0100】
(付記8)
付記7に記載の電動車両において、前記一対の支持体は、前記車室内において後方側に配置され前記床面を有する荷室から前方に向けて延在し、前記車体の平面視において、前記支持体が前記蓋部材に重なる位置まで延在してもよい。このような構成によれば、荷室に配置された支持体がバッテリ格納室の上方まで延びることで、荷室のみでなくバッテリ格納室の上方に荷物を積載できる。そのため、車室内において、より広範囲に多くの荷物を蓋部材の上部から棚板へと移動することが可能となる。前方支持部材を設ける必要がないため、支持部の構造を簡素化でき、製造コストを削減することができる。
【0101】
(付記9)
付記7に記載の電動車両において、前記支持体は、前記棚板を支持する上面に第1係合部(218)を有し、前記棚板の下面には、前記第1係合部に係合される第2係合部(222)を備え、前記第1係合部及び前記第2係合部のうちの一方が突起(220)であり、他方が前記突起の係合される凹部(224)であってもよい。このような構成によれば、突起及び凹部からなる第1及び第2係合部によって、支持体の上面に沿った棚板の移動が効果的に防止される。
【0102】
(付記10)
付記7又は8に記載の電動車両において、前記車体の前記両側部には、車高方向に沿って複数の締結孔(2141、2142)を備え、前記支持体は、互いに高さ位置が異なる前記複数の締結孔のうち、いずれか1つの位置に設けられた締結孔に締結部材(116)によって固定されてもよい。このような構成によれば、締結部材によって、車体に対して支持体を容易に固定又は取り外すことができる。さらに、高さが異なる複数の締結孔のうちから締結する締結孔を選択することで、車高方向の異なる高さで支持体を固定することができる。車室内における棚板の高さを容易に変更できる。
【0103】
(付記11)
付記2~10のいずれか1つに記載の電動車両において、平面視において、前記棚板が前記バッテリ格納室に重なる位置に配置され、前記蓋部材を開いて前記格納口を開放した前記蓋部材の開状態において、前記蓋部材の一部が前記床面に対して上方に位置し、前記蓋部材の前記開状態において、前記蓋部材は、最も上方に位置する上端を有し、前記床面に対する前記棚板の下面の高さ(H1)が、前記床面に対する前記蓋部材の上端の高さ(H2)よりも大きくてもよい。このような構成によれば、バッテリを交換するために蓋部材を開いたとき、バッテリ格納室の上方に配置された棚板に蓋部材が接触することが防止され、バッテリの交換作業を行うことができる。
【0104】
(付記12)
付記2~11のいずれか1つに記載の電動車両において、前記棚板は、前記支持部に対して着脱可能に設けられてもよい。このような構成によれば、棚構造を使用しない場合に、支持部から棚板を取り外すことで車室内のスペースを有効に活用できる。棚構造を使用しない場合に、棚部材を取り外すことで車室内のスペースを有効活用できる。
【0105】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0106】
10、150、200…電動車両
12…バッテリ
20…駆動部
14…車体
22、152、202…棚構造
24…車室
34…床面
44…バッテリ格納室
46…格納口
48…蓋部材