(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130184
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 19/10 20060101AFI20240920BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240920BHJP
B41J 29/48 20060101ALI20240920BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20240920BHJP
B41J 11/64 20060101ALI20240920BHJP
B65H 23/032 20060101ALI20240920BHJP
B65H 23/02 20060101ALI20240920BHJP
B65H 26/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65H19/10 A
B41J29/00 U
B41J29/48 E
B41J11/42
B41J11/64
B65H23/032
B65H23/02
B65H26/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039764
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】山藤 宏之
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
3F064
3F104
3F105
【Fターム(参考)】
2C058AB10
2C058AB12
2C058AB15
2C058AC07
2C058AC11
2C058AE04
2C058AE08
2C058AF06
2C058AF36
2C061AP10
2C061AQ05
2C061AS06
2C061BB08
2C061CF06
2C061CF07
2C061CM07
2C061EE04
2C061EE12
2C061EE13
2C061HH03
2C061HJ03
2C061HJ04
2C061HJ10
2C061HV09
2C061LL00
2C061MM01
2C061MM07
3F064AA01
3F064EB06
3F104AA02
3F104CA00
3F105AA01
3F105AB03
3F105BA30
3F105BA33
3F105DA27
(57)【要約】
【課題】巻回された媒体に対して、幅方向において適正な位置に画像を形成する。
【解決手段】媒体Mを繰り出す繰り出し部2と、媒体Mを搬送方向Aに搬送する搬送ベルト5と、媒体Mに画像を形成する記録部101と、繰り出し部2にセットされた媒体Mにおける幅方向Bの中心位置を検出する検出部16と、搬送方向Aにおける記録部101よりも下流に配置され、記録データに基づいて幅方向Bにおける画像の端部の形成予定位置IEを投射する第1投射部50と、搬送方向Aにおける記録部101よりも上流に配置され、幅方向Bにおける搬送ベルト5の中心位置を含む第1中心領域5Cと、検出部16によって検出された幅方向Bにおけるロール体Rの中心位置を含む第2中心領域MCと、を投射する第2投射部60と、を備える記録装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が巻回されたロール体がセットされ、前記媒体を繰り出す繰り出し部と、
前記繰り出し部から繰り出された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送ベルトと、
記録データに基づいて、前記搬送ベルトで搬送される前記媒体に画像を形成する記録部と、
前記繰り出し部にセットされた前記媒体における前記搬送方向と交差する幅方向の中心位置を検出する検出部と、
前記搬送方向における前記記録部よりも下流に配置され、前記記録データに基づいて前記幅方向における前記画像の端部の形成予定位置を投射する第1投射部と、
前記搬送方向における前記記録部よりも上流に配置され、前記幅方向における前記搬送ベルトの中心位置を含む第1中心領域と、前記検出部によって検出された前記幅方向における前記ロール体の中心位置を含む第2中心領域と、を投射する第2投射部と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
前記第2投射部は、前記第1中心領域と前記第2中心領域とが重なったときに、前記第1中心領域と前記第2中心領域とが重なっていないときに対して、投射状態を変更することを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、
前記第2投射部は、前記第1中心領域と前記第2中心領域とが重なったときに、前記第1中心領域と前記第2中心領域とが重なっていないときに対して、前記第1中心領域及び前記第2中心領域の少なくとも一方の投射光の色を変更することを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の記録装置において、
前記第2投射部は、前記第1中心領域として前記搬送ベルトの中心位置を投射し、前記第2中心領域として前記幅方向における前記ロール体の中心位置のずれ量の許容範囲を投射することを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の記録装置において、
前記第1投射部は、前記搬送ベルトによる前記媒体の搬送時も前記幅方向における前記画像の端部の形成予定位置を投射し続けることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の記録装置において、
前記第1投射部は、前記画像の全体の形成予定位置を投射することを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な記録装置が使用されている。このうち、ロール状に巻回された媒体を搬送ベルトで搬送させつつ記録する構成の記録装置がある。このような構成の記録装置においては、媒体が大きい場合が多く、幅方向において画像を複数形成する場合などがあり、幅方向において適正な位置に画像を形成する必要がある。このため、例えば、特許文献1には、ロール状に巻回された媒体などを搬送ベルトで搬送させつつ印刷する構成の印刷装置であって、搬送ベルトに対して媒体のセット位置を示すオブジェクトを投影することが可能な印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロール状に巻回された媒体を搬送ベルトで搬送させつつ記録する構成の記録装置のうち、特に大型のものなどにおいては、記録動作の継続に伴って媒体が斜行して搬送される虞がある。このような記録装置においては、1カ所で媒体のセット位置を決めただけでは、記録動作の継続に伴って媒体が斜行して搬送され、幅方向において適正な位置に画像が形成されなくなる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の記録装置は、媒体が巻回されたロール体がセットされ、前記媒体を繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部から繰り出された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送ベルトと、記録データに基づいて、前記搬送ベルトで搬送される前記媒体に画像を形成する記録部と、前記繰り出し部にセットされた前記媒体における前記搬送方向と交差する幅方向の中心位置を検出する検出部と、前記搬送方向における前記記録部よりも下流に配置され、前記記録データに基づいて前記幅方向における前記画像の端部の形成予定位置を投射する第1投射部と、前記搬送方向における前記記録部よりも上流に配置され、前記幅方向における前記搬送ベルトの中心位置を含む第1中心領域と、前記検出部によって検出された前記幅方向における前記ロール体の中心位置を含む第2中心領域と、を投射する第2投射部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施例に係る記録装置の概略側面図。
【
図2】本発明の一実施例に係る記録装置を搬送方向下流側から見た斜視図。
【
図3】本発明の一実施例に係る記録装置を搬送方向上流側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の記録装置は、媒体が巻回されたロール体がセットされ、前記媒体を繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部から繰り出された前記媒体を搬送方向に搬送する搬送ベルトと、記録データに基づいて、前記搬送ベルトで搬送される前記媒体に画像を形成する記録部と、前記繰り出し部にセットされた前記媒体における前記搬送方向と交差する幅方向の中心位置を検出する検出部と、前記搬送方向における前記記録部よりも下流に配置され、前記記録データに基づいて前記幅方向における前記画像の端部の形成予定位置を投射する第1投射部と、前記搬送方向における前記記録部よりも上流に配置され、前記幅方向における前記搬送ベルトの中心位置を含む第1中心領域と、前記検出部によって検出された前記幅方向における前記ロール体の中心位置を含む第2中心領域と、を投射する第2投射部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、搬送方向における記録部よりも下流に、幅方向における画像の端部の形成予定位置を投射する第1投射部を備え、さらに、搬送方向における記録部よりも上流に、幅方向における搬送ベルトの中心位置を含む第1中心領域と、幅方向におけるロール体の中心位置を含む第2中心領域と、を投射する第2投射部を備える。すなわち、搬送方向における記録部よりも下流側と上流側とにおいて媒体のセット位置を適正化することができる。このように搬送方向における2カ所で媒体のセット位置を適正化することができるため、例え、特に大型の記録装置などであっても記録動作の継続に伴って媒体が斜行して搬送される虞を抑制でき、記録動作の開始直後だけでなく記録動作の継続期間にわたって、幅方向において適正な位置に画像を形成しつづけることができる。
【0009】
本発明の第2の態様の記録装置は、前記第1の態様に従属する態様において、前記第2投射部は、前記第1中心領域と前記第2中心領域とが重なったときに、前記第1中心領域と前記第2中心領域とが重なっていないときに対して、投射状態を変更することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、第2投射部は、第1中心領域と第2中心領域とが重なったときに、第1中心領域と第2中心領域とが重なっていないときに対して、投射状態を変更する。このため、ユーザーは媒体のセット位置が適正化されたことを容易に認識することができ、ロール体の繰り出し部へのセット及び媒体の搬送ベルトに対する載置などに伴う媒体のセット位置の適正化における作業性を向上することができる。
【0011】
本発明の第3の態様の記録装置は、前記第2の態様に従属する態様において、前記第2投射部は、前記第1中心領域と前記第2中心領域とが重なったときに、前記第1中心領域と前記第2中心領域とが重なっていないときに対して、前記第1中心領域及び前記第2中心領域の少なくとも一方の投射光の色を変更することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、第2投射部は、第1中心領域と第2中心領域とが重なったときに、第1中心領域と第2中心領域とが重なっていないときに対して、第1中心領域及び第2中心領域の少なくとも一方の投射光の色を変更する。このような構成とすることで、ユーザーは媒体のセット位置が適正化されたことを特に容易に認識することができる。
【0013】
本発明の第4の態様の記録装置は、前記第1または第2の態様に従属する態様において、前記第2投射部は、前記第1中心領域として前記搬送ベルトの中心位置を投射し、前記第2中心領域として前記幅方向における前記ロール体の中心位置のずれ量の許容範囲を投射することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、第2投射部は、第1中心領域として搬送ベルトの中心位置を投射し、第2中心領域として幅方向における前記ロール体の中心位置のずれ量の許容範囲を投射する。このような構成とすることで、ユーザーは媒体のセット位置を必要以上に厳密化しなくてもよくなり、媒体のセット位置の適正化に伴う作業性を特に向上することができる。
【0015】
本発明の第5の態様の記録装置は、前記第1または第2の態様に従属する態様において、前記第1投射部は、前記搬送ベルトによる前記媒体の搬送時も前記幅方向における前記画像の端部の形成予定位置を投射し続けることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、第1投射部は、搬送ベルトによる媒体の搬送時も幅方向における画像の端部の形成予定位置を投射し続ける。このような構成とすることで、記録動作の継続期間などの媒体の搬送期間にわたって、媒体のセット位置が適正化されていることをユーザーは確認することができる。
【0017】
本発明の第6の態様の記録装置は、前記第1または第2の態様に従属する態様において、前記第1投射部は、前記画像の全体の形成予定位置を投射することを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、第1投射部は画像の全体の形成予定位置を投射する。このように、幅方向における画像の端部だけでなく画像の全体の形成予定位置を投射することで、記録動作の開始前にユーザーは媒体への画像全体の形成状態を把握することができる。
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
最初に、本発明の記録装置1として、本実施例の記録装置の概要について
図1を参照して説明する。
図1で表されるように、本実施例の記録装置1は、媒体Mを搬送方向Aに搬送可能な搬送部20を備えている。
【0020】
搬送部20は、媒体Mが巻回されたロール体R、すなわち、ロール状の媒体Mをセットして回転方向C1に回転することで媒体Mを繰り出すことが可能な繰り出し部2を備えている。また、搬送部20は、繰り出し部2から繰り出された媒体Mを搬送方向Aに搬送可能な搬送ベルト5を備えている。搬送部20は、搬送方向Aの上流側に位置する従動ローラー3と、搬送方向Aの下流側に位置する駆動ローラー4と、該従動ローラー3及び該駆動ローラー4に架け渡された無端ベルトである搬送ベルト5と、を備えている。さらに、搬送部20は、媒体Mにおける搬送方向Aと交差する幅方向Bの両端部を検出することで繰り出し2部にセットされた媒体Mの幅方向Bの中心位置を検出することが可能な検出部16を備えている。
【0021】
ここで、搬送ベルト5は外側表面である媒体Mの支持面に粘着剤が塗られた外周面5aを有する粘着性ベルトである。
図1で表されるように、外周面5aに媒体Mが貼り付けられた状態で、媒体Mは搬送ベルト5に支持されて搬送される。本実施例の記録装置1においては、搬送ベルト5における媒体Mの支持領域は、従動ローラー3と駆動ローラー4とで架橋された上側の領域である。また、駆動ローラー4はモーター15の駆動力により回転するローラーであり、従動ローラー3は駆動ローラー4を回転させることに伴う搬送ベルト5の回転に従動することで回転するローラーである。
【0022】
また、本実施例の記録装置1は、搬送方向Aにおける繰り出し部2と搬送ベルト5との間に、媒体Mが搬送されることに伴い従動回転する従動ローラー8及び従動ローラー18を備えている。そして、従動ローラー8と従動ローラー18との間に、ブレーキローラー7を備えている。ブレーキローラー7は、駆動ローラー4と同様にモーター15の駆動力により回転するが、搬送ベルト5に支持されて搬送される媒体Mの搬送速度よりも、ブレーキローラー7が回転方向C1に回転することでブレーキローラー7により媒体Mが搬送される搬送速度のほうが遅くなるように回転する。ブレーキローラー7がこのように回転することで、媒体Mは、ブレーキローラー7から搬送ベルト5までの間で搬送方向Aにテンションがかかり、搬送方向Aにテンションがかかった状態で搬送ベルト5に支持される。また、本実施例の記録装置1は、搬送ベルト5と対向する領域に、搬送ベルト5に媒体Mを押し付ける加圧ローラー6を備えている。
【0023】
また、本実施例の記録装置1は、搬送ベルト5の幅方向Bに往復移動可能なキャリッジ100と、キャリッジ100に取り付けられたヘッド101と、を備えている。ヘッド101は、記録データに基づいて搬送方向Aに搬送される媒体Mに画像を記録可能な記録部として機能する。
【0024】
そして、本実施例の記録装置1は、搬送方向Aと交差する幅方向Bにキャリッジ100を往復移動させながら、搬送される媒体Mにヘッド101からインクを吐出して画像を形成することが可能である。このような構成のキャリッジ100を備えていることにより、本実施例の記録装置1は、所定の搬送量で媒体Mを搬送方向Aに搬送させることと、媒体Mを停止した状態でキャリッジ100を幅方向Bに移動させながらインクを吐出させることと、を繰り返すことで、媒体Mに所望の画像を形成可能である。
【0025】
上記のように、本実施例の記録装置1は、キャリッジ100に搭載されたヘッド101が幅方向Bに往復移動する所謂シリアルヘッド方式の記録部を備えている。しかしながら、このような記録部に限定されない。例えば、ヘッド101が、幅方向Bに延在されているとともに固定され、幅方向Bに沿ってインクを吐出する複数のノズルが配列されたラインヘッド方式の記録部であってもよい。なお、ラインヘッド方式の記録部を備える構成に場合は、本実施例の記録装置1のように所定の搬送量で媒体Mを搬送させることと媒体Mを停止させることとを繰り返す所謂間欠搬送で媒体Mを搬送させるのではなく、連続的に媒体Mを搬送させる所謂連続搬送で媒体Mを搬送させることができる。
【0026】
ヘッド101からインクを吐出することで画像が形成された媒体Mは、本実施例の記録装置1から排出されると、本実施例の記録装置1よりも後段に設けられた、媒体Mに吐出されたインクの成分を揮発させる乾燥装置や画像が形成された媒体Mを巻き取る巻取装置などに送られる。
【0027】
ここで、媒体Mとしては、被捺染材を好ましく用いることができる。被捺染材とは、捺染の対象となる布地や、衣服や、その他の服飾製品等のことを言う。布地には、綿、絹、羊毛等の天然繊維やナイロン等の化学繊維あるいはこれらを混ぜた複合繊維の織物、編物、不織布等が含まれる。また、衣服や、その他の服飾製品には、縫製後のTシャツ、ハンカチ、スカーフ、タオル、手提げ袋、布製のバッグ、カーテン、シーツ、ベッドカバー等のファニチャー類等の他、縫製前の状態のパーツとして存在する裁断前後の布地等も含まれる。ただし、上記被捺染材の他、普通紙、上質紙、及び光沢紙などのインクジェット印刷用専用紙等も用いることができる。
【0028】
媒体Mとして被捺染材を用いた場合、被捺染材は媒体Mに吐出されたインクが裏側の面まで滲む現象であるインクの裏抜けをし易いので、搬送ベルト5がインクで汚れる場合がある。そこで、本実施例の記録装置1には、裏抜けして搬送ベルト5に付着したインクを清掃するための清掃部9を備えている。本実施例の清掃部9は、清掃液が貯留される貯留部14と、清掃液が浸されて搬送ベルト5と接触する清掃ローラー10と、搬送ベルト5に付着した清掃液をワイプするブレード部11と、を備えている。
【0029】
本実施例の記録装置1は、駆動ローラー4を回転方向C1に回転させることで媒体Mを搬送方向Aに搬送可能である。また、本実施例の記録装置1は、駆動ローラー4を回転方向C1とは逆方向である回転方向C2に回転させることで媒体Mを搬送方向Aとは逆の方向に搬送させることも可能である。また、
図1で表されるように、本実施例の記録装置1は制御部40を備えており、制御部40は本実施例の記録装置1の各構成部材の全体の制御を行う。
【0030】
上記のように、本実施例の記録装置1は、媒体Mが巻回されたロール体Rがセットされ、媒体Mを繰り出す繰り出し部2と、繰り出し部2から繰り出された媒体Mを搬送方向Aに搬送する搬送ベルト5と、記録データに基づいて、搬送ベルト5で搬送される媒体Mに画像を形成するヘッド101と、繰り出し部2にセットされた媒体Mにおける幅方向Bの中心位置を検出する検出部16と、を備えている。さらに、本実施例の記録装置1は、搬送方向Aにおけるヘッド101よりも下流に第1投射部50を備えているとともに、搬送方向Aにおけるヘッド101よりも上流に第2投射部60を備えている。以下に、第1投射部50及び第2投射部60について、
図2及び
図3を用いて詳細に説明する。
【0031】
図2及び
図3で表されるように、本実施例の記録装置1は、内部にキャリッジ100が設けられる筐体102を備えている。そして、
図2で表されるように、筐体102の搬送方向Aにおける下流側端部には、制御部40の制御により投射位置を変更可能な第1投射部50が設けられている。第1投射部50は、記録装置1で記録される幅方向Bにおける画像の端部の形成予定位置IEを投射する。具体的には、本実施例の記録装置1においては、第1投射部50として第1投射部50A及び第1投射部50Bとが設けられている。このうち、第1投射部50Aは、幅方向Bのうちの方向B1側の画像の端部の形成予定位置IE1を投射する。そして、第1投射部50Bは、幅方向Bのうちの方向B2側の画像の端部の形成予定位置IE2を投射する。ここで、幅方向Bに複数の画像を並べて形成する場合は、第1投射部50Aは最も方向B1側の画像における方向B1側の端部の形成予定位置IEを形成予定位置IE1として投射し、第1投射部50Bは最も方向B2側の画像における方向B2側の端部の形成予定位置IEを形成予定位置IE2として投射する。なお、本実施例の記録装置1において、制御部40は、記録データに基づいて幅方向Bにおける画像の端部の形成予定位置IEを把握可能となっている。
【0032】
また、
図3で表されるように、筐体102の搬送方向Aにおける上流側端部には、制御部40の制御により投射位置を変更可能な第2投射部60が設けられている。第2投射部60は、幅方向Bにおける搬送ベルト5の中心位置を含む第1中心領域5Cと、幅方向Bにおける媒体Mのロール体Rの中心位置を含む第2中心領域MCと、を投射する。具体的には、本実施例の記録装置1においては、第2投射部60として第2投射部60A及び第2投射部60Bとが設けられておる。このうち、第2投射部60Aは第1中心領域5Cを投射し、第2投射部60Bは第2中心領域MCを投射する。なお、制御部40は、搬送ベルト5の中心位置のデータを予め記憶しているとともに、検出部16の検出結果に基づいて幅方向Bにおけるロール体Rの中心位置を把握可能となっている。
【0033】
このように、本実施例の記録装置1は、搬送方向Aにおけるヘッド101よりも下流に、記録データに基づいて幅方向Bにおける画像の端部の形成予定位置IEを投射する第1投射部50を備え、さらに、搬送方向Aにおけるヘッド101よりも上流に、幅方向Bにおける搬送ベルト5の中心位置を含む第1中心領域5Cと、検出部16によって検出された幅方向Bにおけるロール体Rの中心位置を含む第2中心領域MCと、を投射する第2投射部60を備える。このような構成となっていることで、本実施例の記録装置1は、搬送方向Aにおけるヘッド101よりも下流側と上流側とにおいて媒体Mのセット位置を適正化することができる。このように搬送方向Aにおける2カ所で媒体Mのセット位置を適正化することができるため、本実施例の記録装置1が特に大型の記録装置であっても記録動作の継続に伴って媒体Mが斜行して搬送される虞を抑制でき、記録動作の開始直後だけでなく記録動作の継続期間にわたって、幅方向Bにおいて適正な位置に画像を形成しつづけることができる。
【0034】
さらには、搬送方向Aにおけるヘッド101よりも下流に、幅方向Bにおける画像の端部の形成予定位置IEを投射する第1投射部50を備えることで、斜行搬送の発生有無とは関係なく、ユーザーが意図していない幅方向Bにおける媒体Mの場所に画像を形成してしまうということを簡単に抑制することができる。このような第1投射部50を有さない記録装置を使用した場合、媒体Mの幅方向Bにおけるユーザーが意図していない場所に画像を形成してしまうことを抑制するためには、スケールなどの測定器具を別途用意しなければならなくなるが、本実施例のような構成とすることで測定器具を別途用意する必要性をなくすことができる。
【0035】
ここで、
図2で表されるように、本実施例の記録装置1においては、第1投射部50A及び第1投射部50Bはいずれも、幅方向Bにおける画像の端部の形成予定位置IEを略円形のパッチ状に投射することが可能に構成されている。ただし、このような構成に限定されず、例えば、幅方向Bにおける画像の端部の形成予定位置IEを搬送方向Aに沿う線状となるように投射する構成などとしてもよい。
【0036】
一方、
図3で表されるように、本実施例の記録装置1においては、第2投射部60Aは略円形のパッチ状に投射することが可能に構成されているとともに、第2投射部60Bは幅方向Bを長手方向とする略矩形状に投射することが可能に構成されている。ただし、このような構成に限定されず、例えば、第2投射部60A及び第2投射部60Bのいずれもが、幅方向Bを長手方向とする略矩形状に投射する構成などとしてもよい。
【0037】
また、本実施例の記録装置1においては、第1投射部50及び第2投射部60のいずれも、複数種類の色の光源を有し、複数種類の色の光を投射することが可能な構成となっている。そして、例えば、第2投射部60は、第1中心領域5Cと第2中心領域MCとが重なったときに、第1中心領域5Cと第2中心領域MCとが重なっていないときに対して、投射状態、具体的には、第1中心領域5C及び第2中心領域MCの少なくとも一方の投射光の色を変更することができる。
【0038】
このため、ユーザーは媒体Mのセット位置が適正化されたことを容易に認識することができ、ロール体Rの繰り出し部2へのセット及び媒体Mの搬送ベルト5に対する載置などに伴う媒体Mのセット位置の適正化における作業性を向上することができる。なお、本実施例の記録装置1においては、投射状態の変更として投射光の色を変更することが可能な構成としたが、このような構成に限定されず、投射状態の変更として、例えば、点灯状態を点滅状態に変更する構成などとしてもよい。ただし、投射状態の変更として投射光の色を変更する構成とすることで、ユーザーは媒体Mのセット位置が適正化されたことを特に容易に認識することができる。
【0039】
上記のように、本実施例の記録装置1においては、第2投射部60Aは略円形のパッチ状に投射することが可能に構成されているとともに、第2投射部60Bは幅方向Bを長手方向とする略矩形状に投射することが可能に構成されている。別の表現をすると、本実施例の記録装置1においては、第2投射部60Aは第1中心領域5Cとして搬送ベルト5の中心位置を略円形のパッチ状に投射し、第2投射部60Bは第2中心領域MCとして幅方向Bにおけるロール体Rの中心位置のずれ量の許容範囲に対応する幅方向Bを長手方向とする略矩形状に投射する構成となっている。このような構成とすることで、ユーザーは媒体Mのセット位置を必要以上に厳密化しなくてもよくなり、媒体Mのセット位置の適正化に伴う作業性を特に向上することができる。特に、本実施例の記録装置1のような大型の記録装置においては、媒体Mのセットに伴うユーザーの負荷が大きいので、媒体Mのセット位置の適正化に伴う作業性を向上することができることは大きな利点となる。
【0040】
なお、本実施例の記録装置1とは逆に、第2投射部60Bがパッチ状に投射し、第2投射部60Aが幅方向Bを長手方向とする略矩形状に投射する構成としてもよい。このような構成としても、本実施例の記録装置1と同様、ユーザーは媒体Mのセット位置を必要以上に厳密化しなくてもよくなり、媒体Mのセット位置の適正化に伴う作業性を特に向上することができる。
【0041】
ここで、本実施例の記録装置1においては、制御部40の制御により、第1投射部50は、記録動作時などの搬送ベルト5による媒体Mの搬送時も幅方向Bにおける画像の端部の形成予定位置IEを投射し続けることが可能な構成となっている。このような構成とすることで、記録動作の継続期間などの媒体Mの搬送期間にわたって、媒体Mのセット位置が適正化されていることをユーザーは確認することができる。
【0042】
なお、上記のように、本実施例の記録装置1においては、第1投射部50は、第1投射部50A及び第1投射部50Bともにレーザーポインターであり、幅方向Bにおける画像の端部の形成予定位置IEのみを投射可能な構成である。しかしながら、このような構成に限定されない。例えば、レーザーポインターの代わりにプロジェクターなどを用いることなどによって、第1投射部50に画像の全体の形成予定位置を投射させる構成としてもよい。このように、幅方向Bにおける画像の端部だけでなく画像の全体の形成予定位置を投射することで、記録動作の開始前にユーザーは媒体Mへの画像全体の形成状態を把握することができる。また、第1投射部50だけでなく第2投射部60としても、レーザーポインターやプロジェクターなどのほか、様々な投射機構を用いることができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
1…記録装置、2…繰り出し部、3…従動ローラー、4…駆動ローラー、5…搬送ベルト、5a…外周面、5C…第1中心領域、6…加圧ローラー、7…ブレーキローラー、8…従動ローラー、9…清掃部、10…清掃ローラー、11…ブレード部、14…貯留部、15…モーター、16…検出部、18…従動ローラー、20…搬送部、40…制御部、50…第1投射部、50A…第1投射部、50B…第1投射部、60…第2投射部、60A…第2投射部、60B…第2投射部、100…キャリッジ、101…ヘッド(記録部)、102…筐体、IE…画像の端部の形成予定位置、IE1…画像の端部の形成予定位置、IE2…画像の端部の形成予定位置、M…媒体、MC…、R…ロール体