(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130190
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】オゾンインジケーター
(51)【国際特許分類】
G01N 31/00 20060101AFI20240920BHJP
G01N 31/22 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01N31/00 L
G01N31/22 121C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039781
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義則
(72)【発明者】
【氏名】三本木 法光
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克有
【テーマコード(参考)】
2G042
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BB10
2G042CB01
2G042DA08
2G042FA11
2G042FB07
2G042FC03
2G042FC08
(57)【要約】
【課題】容易に、かつ精度よくオゾンの測定を行うことができるオゾンインジケーターを提供する。
【解決手段】オゾンインジケーター110は、オゾンと反応して色が変化する色素を含むテープ状の多孔質基材101と、多孔質基材101の表面のうち第1端101Aを含む領域を隙間なく覆うカバー部材2と、を備える。カバー部材2に、多孔質基材1の第1端101Aとは反対の第2端101Bを含む露出領域101Cを外気に開放可能な窓部24が形成されている。多孔質基材101に、露出領域101Cから第1端101Aに向けて1または複数のスリット状の切欠き4が形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンと反応して色が変化する色素を含むテープ状の多孔質基材と、
前記多孔質基材の表面のうち第1端を含む領域を隙間なく覆うカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材に、前記多孔質基材の前記第1端とは反対の第2端を含む露出領域を外気に開放可能な窓部が形成され、
前記多孔質基材に、前記露出領域から前記第1端に向けて1または複数のスリット状の切欠きが形成されている、
オゾンインジケーター。
【請求項2】
前記切欠きは、前記多孔質基材に複数形成され、
複数の前記切欠きは、前記多孔質基材の幅方向に間隔を空けて形成されている、
請求項1記載のオゾンインジケーター。
【請求項3】
前記切欠きは、前記多孔質基材の幅方向に線対称となるように形成されている、
請求項2記載のオゾンインジケーター。
【請求項4】
前記切欠きの総幅寸法は、前記多孔質基材の総幅寸法以下である、
請求項1記載のオゾンインジケーター。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記多孔質基材をラミネートすることによって覆う一対のシートを備える、
請求項1記載のオゾンインジケーター。
【請求項6】
前記窓部を開放可能に封止する封止材をさらに備える、
請求項1記載のオゾンインジケーター。
【請求項7】
前記カバー部材に、前記外気に含まれるオゾンとの接触によって前記多孔質基材が変色した領域の位置を示す目盛りが形成されている、
請求項1記載のオゾンインジケーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンインジケーターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オゾンを検知するオゾンインジケーターが開示されている。このオゾンインジケーターは、オゾン検知用インキを含む変色層を備える。このオゾンインジケーターは、変色層の変色による色差等によりCT値を求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記オゾンインジケーターでは、変色層が変色した際の色差を目視で判定してCT値を導き出すのは容易ではない。しかし、測定精度を高めるために、色差を計測器によって測定する場合には、測定の簡便性が失われる。そのため、容易に、かつ精度よくオゾンの測定を行うことができるオゾンインジケーターが求められていた。
【0005】
本発明の一態様は、容易に、かつ精度よくオゾンの測定を行うことができるオゾンインジケーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)オゾンと反応して色が変化する色素を含むテープ状の多孔質基材と、前記多孔質基材の表面のうち第1端を含む領域を隙間なく覆うカバー部材と、を備え、前記カバー部材に、前記多孔質基材の前記第1端とは反対の第2端を含む露出領域を外気に開放可能な窓部が形成され、前記多孔質基材に、前記露出領域から前記第1端に向けて1または複数のスリット状の切欠きが形成されている、オゾンインジケーター。
【0007】
この構成によれば、窓部を開放することによって、第2端を外気に開放することができる。多孔質基材はCT値に応じて変色するため、変色領域はCT値に応じた長さとなる。したがって、変色領域の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。この構成によれば、変色領域の長さを目視によって容易に確認できる。そのため、色差等を計測器によって測定する技術とは異なり、CT値の測定は容易となる。
【0008】
この構成によれば、多孔質基材に切欠きが形成されているため、外気は切欠きからも多孔質基材に入ることができ、多孔質基材の内部に拡散しやすくなる。よって、外気との接触による多孔質基材の変色を進行させ、CT値を精度よく測定できる。
【0009】
(2)前記切欠きは、前記多孔質基材に複数形成され、複数の前記切欠きは、前記多孔質基材の幅方向に間隔を空けて形成されている、(1)記載のオゾンインジケーター。
【0010】
この構成によれば、変色の進行速度に幅方向の偏りが生じるのを抑えることができる。よって、CT値を精度よく測定できる。
【0011】
(3)前記切欠きは、前記多孔質基材の幅方向に線対称となるように形成されている、(2)記載のオゾンインジケーター。
【0012】
この構成によれば、多孔質基材の変色は、幅方向に均等となりやすい。そのため、変色領域の長さを確認しやすくなる。よって、CT値を精度よく測定できる。
【0013】
(4)前記切欠きの総幅寸法は、前記多孔質基材の総幅寸法以下である、(1)記載のオゾンインジケーター。
【0014】
この構成によれば、多孔質基材の強度を確保することができる。
【0015】
(5)前記カバー部材は、前記多孔質基材をラミネートすることによって覆う一対のシートを備える、(1)記載のオゾンインジケーター。
【0016】
この構成によれば、カバー部材によって多孔質基材の表面を隙間なく覆うことができる。そのため、露出領域以外の領域が外気に触れて変色するのを抑制できる。よって、変色領域の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。
【0017】
(6)前記窓部を開放可能に封止する封止材をさらに備える、(1)記載のオゾンインジケーター。
【0018】
この構成によれば、測定時以外は多孔質基材を外気に触れないようにすることができる。そのため、オゾンインジケーターの長期保存が可能である。この構成によれば、多孔質基材を外気から遮断して保存できるため、測定時には、精度の高いCT値の測定を実現できる。
【0019】
(7)前記カバー部材に、前記外気に含まれるオゾンとの接触によって前記多孔質基材が変色した領域の位置を示す目盛りが形成されている、(1)記載のオゾンインジケーター。
【0020】
この構成によれば、多孔質基材が変色した領域の長さを正確に把握することができる。そのため、CT値を容易に、かつ精度よく測定できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、容易に、かつ精度よくオゾンの測定を行うことができるオゾンインジケーターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係るオゾンインジケーターの斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係るオゾンインジケーターの斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るオゾンインジケーターの断面図である。
【
図4】第1実施形態に係るオゾンインジケーターの拡大した断面図である。
【
図5】第1実施形態に係るオゾンインジケーターの断面図である。
【
図6】第1実施形態に係るオゾンインジケーターの平面図である。
【
図7】第2実施形態に係るオゾンインジケーターの平面図である。
【
図8】第2実施形態に係るオゾンインジケーターの平面図である。
【
図9】第2実施形態に係るオゾンインジケーターの多孔質基材の平面図である。
【
図10】第2実施形態に係るオゾンインジケーターの断面図である。
【
図11】第2実施形態に係るオゾンインジケーターの断面図である。
【
図12】第2実施形態に係るオゾンインジケーターの断面図である。
【
図13】第3実施形態に係るオゾンインジケーターの平面図である。
【
図14】第3実施形態に係るオゾンインジケーターの多孔質基材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
[オゾンインジケーター](第1実施形態)
第1実施形態に係るオゾンインジケーター10について説明する。
図1および
図2は、第1実施形態に係るオゾンインジケーター10の斜視図である。
図1は、封止材3を取り外した状態のオゾンインジケーター10を示す。
図2は、封止材3を取り付けた状態のオゾンインジケーター10を示す。
図3は、オゾンインジケーター10の断面図である。
図3は、
図2のI-I断面図である。
図4は、オゾンインジケーター10の拡大した断面図である。
図5は、封止材3の一部を剥がした状態のオゾンインジケーター10の断面図である。多孔質基材1、カバー部材2および封止材3について、厚さ方向から見ることを平面視という。
【0025】
図2に示すように、オゾンインジケーター10は、多孔質基材1と、カバー部材2と、封止材3とを備えている。
【0026】
(多孔質基材)
多孔質基材1は、テープ状に形成されている。多孔質基材1は、一方向に延在するシート体である。多孔質基材1は、例えば、平面視において矩形状とされている。多孔質基材1は、平面視において、直交する2つの方向の寸法が異なる。言い換えれば、多孔質基材1は、平面視において、第1方向(長さ方向)の寸法が、第1方向に直交する第2方向(幅方向)の寸法より大きい。多孔質基材1の長さは、例えば、幅の1.5倍以上である。多孔質基材1は、直線状に延在する形状であってもよいし、曲げ形状であってもよい。
【0027】
多孔質基材1は、内部に多数の空孔(空隙)を有する基材である。多孔質基材1としては、例えば、繊維集合体、樹脂発泡体、多孔膜などがある。繊維集合体としては、紙、不織布、織布などが挙げられる。繊維集合体からなる多孔質基材では、繊維どうしの隙間が空孔となる。
【0028】
繊維集合体を構成する繊維としては、例えば、天然繊維、化学繊維などが挙げられる。天然繊維としては、セルロース繊維、綿繊維などがある。化学繊維としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維などがある。合成繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレートなどで形成される。繊維は、ガラス、金属、金属酸化物などで形成されていてもよい。
【0029】
樹脂発泡体を構成する樹脂としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。樹脂発泡体は、連続気泡型であることが好ましい。多孔膜は、樹脂、セラミックス、金属、金属酸化物などで構成される。多孔質基材1は、内部に多数の空孔を有する構造であれば特に限定されず、木質材料、セラミックスなどで形成されていてもよい。
【0030】
多孔質基材1としては、紙が好ましい。多孔質基材1としては、例えば、濾紙を使用できる。濾紙の具体例としては、クロマトグラフィー用濾紙No.50(アドバンテック東洋株式会社)が挙げられる。
【0031】
多孔質基材1の空隙率は、例えば、10%~98%である。多孔質基材1の空隙率がこの範囲であると、多孔質基材1の内部を外気が通りやすく、かつ、多孔質基材1に十分な強度を与えることができる。
【0032】
オゾンは、色素と反応せずに繊維に吸着する可能性がある。多孔質基材1の空隙率は繊維密度と相関があるため、空隙率は、多孔質基材1の変色の進行速度に影響する。そのため、空隙率の選択により、変色の進行速度を調整することができる。したがって、多孔質基材1の空隙率により、測定したいCT値の範囲を調整することができる。例えば、測定したいCT値が小さい範囲である場合、空隙率が高い多孔質基材1を選択できる。測定したいCT値が大きい範囲である場合、空隙率が低い多孔質基材1を選択できる。多孔質基材1として濾紙を用いる場合、濾紙の空隙率は濾水時間と相関があるため、濾水時間を指標として、測定したいCT値の範囲を選択することができる。
【0033】
多孔質基材1は、濾水時間のほか、濾過速度、ヘルツベルヒ氏速度、保留粒子の大きさなどを指標として、変色の進行速度などの特性を調整することができる。
【0034】
多孔質基材1の色(多孔質基材1自体の色)は、色素がオゾンと接触することによる変色を確認することができれば、特に限定されない。多孔質基材1の色は、例えば、白であってよい。多孔質基材1の色が白であると、変色を確認しやすくなる。
【0035】
多孔質基材1の厚みは、例えば、0.1mm以上(好ましくは、0.15mm以上)とすることができる。多孔質基材1の厚みをこの範囲にすることで、十分量の色素を外気に接触可能とすることができる。そのため、多孔質基材1が変色する際の色差を大きくすることができる。したがって、変色を目視で確認しやすくなる。多孔質基材1の厚みは、例えば、0.35mm以下とすることができる。
【0036】
多孔質基材1は、オゾンと反応して色が変化する色素を含む。「色が変化する」とは、色相、明度、彩度のうち少なくとも1つが変化することである。色の変化としては、例えば、退色、消色、および発色を挙げることができる。
【0037】
色素としては、例えば、インジゴ系、アゾ系、アントラキノン系の色素を用いることができる。
インジゴ系の色素は、インジゴ環を含む。インジゴ系の色素としては、インジゴカルミンなどがある。インジゴ系の色素は、オゾンと反応することによって、インジゴ環に含まれるC=C結合が開裂し、分子構造が変化する。これにより、可視領域の光吸収が変化して色(色相)が変化(詳しくは退色)する。インジゴ系の色素は、酸性の環境で使用するのが好ましい。酸性環境は、クエン酸、酢酸などの酸性物質の添加によって得られる。
【0038】
アゾ系の色素は、アゾ基を含む。アゾ系の色素としては、カルコンなどがある。アゾ系の色素は、オゾンと反応することによって、アゾ基(R-N=N-R)が酸化により分解され、分子構造が変化する。これにより、可視領域の光吸収が変化して色(色相)が変化(詳しくは退色)する。
【0039】
アントラキノン系の色素としては、アリザリンなどがある。アントラキノン系の色素は、オゾンと反応することによって、分子構造が変化する。これにより、可視領域の光吸収が変化して色(色相)が変化(詳しくは退色)する。
【0040】
多孔質基材1には、保湿剤、紫外線吸収剤、バインダ、増量剤などを添加してもよい。保湿剤としては、グリセリン、エチレングリコールなどが使用できる。紫外線吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸などがある。
【0041】
色素を含む多孔質基材1は、例えば、次のようにして作製することができる。色素を含む溶液(例えば、水溶液)を用意する。色素を含む溶液は、クエン酸、酢酸などの酸性物質を添加することによって、酸性とすることができる。溶液は、例えば、保湿剤、紫外線吸収剤等を含む。色素を含む溶液に多孔質基材1を接触させる。例えば、色素を含む水溶液に多孔質基材1を浸漬させる。これにより、色素を含む溶液を多孔質基材1に含浸させる。
【0042】
多孔質基材1を溶液から取り出し、乾燥させる。多孔質基材1は、窒素ガスなどの不活性ガス中で乾燥させるのが好ましい。これにより、色素を含む多孔質基材1を得る。多孔質基材1は、色素による色を呈する。例えば、インジゴ系の色素を用いる場合は、多孔質基材1は青色を呈する。
【0043】
多孔質基材1の長さ方向の一端を、第1端1Aという。多孔質基材1の長さ方向の他端(第1端1Aと反対の端)を、第2端1Bという(
図1参照)。多孔質基材1の一方の面(
図3において上面)を第1主面1a(表面)という。多孔質基材1の他方の面(第1主面1aと反対の面。
図3において下面)を第2主面1b(表面)という。
【0044】
(カバー部材)
図3に示すように、カバー部材2は、多孔質基材1の表面のうち第1端1Aを含む領域を覆う。
カバー部材2は、例えば、第1シート21と、第2シート22とを備える。第1シート21および第2シート22は、シート状(またはフィルム状)に形成されている。第1シート21および第2シート22は「一対のシート」の例である。
【0045】
図1および
図2に示すように、第1シート21および第2シート22は、例えば、平面視において矩形状(例えば、長方形状)に形成されている。第1シート21および第2シート22は、形状および大きさが互いに同じとされ、重ね合わされている。第1シート21および第2シート22の長さは、多孔質基材1の長さより長い。第1シート21および第2シート22の幅は、多孔質基材1の幅より大きい。
【0046】
第1シート21の周縁部21Aと、第2シート22の周縁部22Aとは、全周にわたって、溶着、接着などにより接合されている。カバー部材2は、周縁部21Aと周縁部22Aとが接合されることによって、容器状に形成される。カバー部材2は、多孔質基材1を収容する内部空間23が形成されたシート状(または板状)のケース(収容体)である。カバー部材2は、多孔質基材1をラミネートすることによって覆う。
【0047】
第1シート21および第2シート22は、例えば、樹脂で形成されている。樹脂としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドなどがある。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン(PE)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂等が挙げられる。ポリアミドとしては、ナイロンなどが挙げられる。PETは、ガス透過性が低いため、第1シート21および第2シート22の材料として好適である。
【0048】
第1シート21および第2シート22は、複数種類の樹脂層を有する多層構造体であってもよい。第1シート21および第2シート22は、熱溶着可能な熱可塑性樹脂からなるシーラント層を備えていてもよい。シーラント層を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0049】
第1シート21と第2シート22のうち少なくとも一方は、透明であることが好ましい。透明とは、例えば、可視光線の全波長域(380nm~780nm)で、可視光線の厚さ方向の透過率(JIS K 7375:2008参照)が50%以上となることである。
第1シート21と第2シート22のうち少なくとも一方が透明であると、多孔質基材1の変色を目視で容易に確認できる。第1シート21と第2シート22は、両方が透明であることが望ましい。第1シート21と第2シート22は、一方が透明であり、他方が金属箔を含む不透明シートであってもよい。
【0050】
図3および
図4に示すように、第1シート21および第2シート22は、多孔質基材1の第1端1Aを含む領域を覆う。第1シート21は、多孔質基材1の第1主面1aに重ねられている。そのため、第1シート21は、第1主面1aのうち第1端1Aを含む領域(第2端1Bを含む部分を除く領域)を隙間なく覆う。第2シート22は、多孔質基材1の第2主面1bに重ねられている。第2シート22は、第2主面1bの全領域を隙間なく覆う。
【0051】
図1に示すように、第1シート21には、窓部24が形成されている。窓部24は、例えば、矩形状に形成されている。窓部24は、平面視において、多孔質基材1の第1主面1aのうち第2端1Bを含む領域を包含する。窓部24は、第1主面1aのうち第2端1Bを含む領域を露出させる。窓部24によって露出する多孔質基材1の領域を露出領域1Cという。露出領域1Cの長さは、例えば、多孔質基材1の全長の1%~25%であってよい。
【0052】
第1シート21には、多孔質基材1が変色した領域の位置を示す目盛り25が形成されていることが好ましい。目盛り25は、多孔質基材1の長さ方向に沿って形成されている。目盛り25によって、多孔質基材1が変色した領域(
図6における変色領域R1)の長さを正確に把握することができる。そのため、CT値を容易に、かつ精度よく測定できる。
【0053】
目盛り25は、インクジェットなどの印刷等により第1シート21に形成することができる。目盛り25は、予め目盛り25が形成された粘着材付きフィルムを第1シート21に貼り付けることによって形成してもよい。
【0054】
(封止材)
図2に示すように、封止材3は、シート状(またはフィルム状)に形成されている。封止材3は、例えば、樹脂などで形成されている。樹脂としては、ポリエステル(PETなど)、ポリオレフィン(PE、PPなど)、ポリアミド(ナイロンなど)等がある。封止材3は、紙からなる主層と、樹脂層とを有する多層構造体であってもよい。封止材3は、ガス透過性が低いことが望ましい。
【0055】
封止材3は、窓部24を覆って窓部24を封止するように第1シート21の外面に貼り付けられている。封止材3は、第1シート21から剥離することによって窓部24を開放可能である。封止材3は、例えば、矩形状に形成されている。
封止材3は、主層と、粘着層とを有する粘着材付きシート(または粘着材付きフィルム)であってよい。主層は、樹脂、紙などで形成される。粘着層は、アクリル樹脂等からなる粘着材で形成される。封止材3は、粘着層によって第1シート21の外面に貼り付けられる。
【0056】
[オゾンインジケーターの製造方法]
オゾンインジケーター10の製造方法の一例を説明する。
【0057】
窓部24が形成された第1シート21と、第2シート22とを用意する。第1シート21と第2シート22との間に多孔質基材1を配置する。第1シート21の周縁部21Aと、第2シート22の周縁部22Aとを、熱溶着、接着などにより接合してカバー部材2を形成する。カバー部材2は、多孔質基材1をラミネートによって覆う。封止材3を、窓部24を封止するように第1シート21に貼り付けることにより、
図2に示すオゾンインジケーター10を得る。
【0058】
[オゾンインジケーターの使用方法]
オゾンインジケーター10は、例えば、次のようにして使用することができる。
図3および
図4に示すように、窓部24が封止材3で覆われたオゾンインジケーター10を、測定対象となる環境に置く。
図5に示すように、封止材3を第1シート21から剥離させ、窓部24を開放する。これにより、多孔質基材1のうち第2端1Bを含む部分は、測定対象となる外気に開放される。カバー部材2は、第1端1Aを含む領域(第2端1Bを含む部分を除く領域)を隙間なく覆うため、多孔質基材1は、主として第2端1Bを含む部分が外気に曝露される。
【0059】
図6は、オゾンインジケーター10の平面図である。
図6に示すように、外気にオゾンが含まれていると、外気に触れた色素はオゾンとの反応によって変色する。例えば、インジゴ系の色素を用いる場合、露出領域1Cは、外気に曝露されることによって退色する。外気に曝露された部分の多孔質基材1の色は、青色から、多孔質基材1自体の色(例えば、白)に近づく。
【0060】
多孔質基材1の変色による色差は、オゾンのCT値(CT:Concentration Time Value)に応じて増減する。CT値は、多孔質基材1が曝露される外気のオゾン濃度と曝露時間との積である。
【0061】
カバー部材2は、第2端1Bを含む部分(露出領域1C)を除いて多孔質基材1の表面を覆うため、色素とオゾンの反応は、露出領域1Cを起点として開始する。多孔質基材1は空孔を有するため、外気は、多孔質基材1の内部を第1端1Aに向けて拡散する。多孔質基材1に含まれる色素とオゾンの反応が進行するにつれ、多孔質基材1が変色した領域は、第1端1Aに向けて広がる。
図6において、変色領域R1は、変色した領域である。未変色領域R2は、未だ変色していない領域である。
【0062】
多孔質基材1は、CT値(オゾン濃度と曝露時間との積)に応じて変色するため、変色領域R1は、CT値に応じた長さとなる。そのため、一定の曝露時間における変色領域R1の長さと、CT値との関係を把握しておけば、CT値を定量的に導き出すことができる。具体的には、例えば、予備試験によって、予め定められた曝露時間における変色領域R1の長さと、CT値との関係を示す検量線を作成する。この検量線に基づいて作成した目盛り25をカバー部材2に形成しておく。変色領域R1の長さからCT値を算出できる。
【0063】
封止材3は、第1シート21に対して着脱自在であってもよい。封止材3は、再び第1シート21に貼り付け、窓部24を封止することもできる。
【0064】
[実施形態のオゾンインジケーターが奏する効果] 本実施形態のオゾンインジケーター10によれば、カバー部材2は、第1端1Aを含む領域(第2端1Bを含む部分を除く領域)を隙間なく覆う。カバー部材2には、第2端1Bを外気に開放可能な窓部24が形成されている。そのため、窓部24を開放することによって、第2端1Bを外気に開放することができる。多孔質基材1はCT値に応じて変色するため、変色領域R1はCT値に応じた長さとなる。したがって、変色領域R1の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。
【0065】
オゾンインジケーター10では、変色領域R1の長さを目視によって容易に確認できる。そのため、色差等を計測器によって測定する技術とは異なり、CT値の測定は容易となる。
【0066】
カバー部材2は、多孔質基材1を隙間なく覆うため、外気に曝露される領域を、第2端1Bを含む部分(露出領域1C)に限定することができる。したがって、他の領域が外気に触れて変色するのを抑制できる。よって、変色領域R1の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。
【0067】
オゾンインジケーター10によれば、CT値を精度よく測定できるため、除菌、殺菌、脱臭等の達成度を判断することができる。そのため、例えば、測定対象においてオゾン発生器が用いられている場合、測定値に基づいて、オゾン発生器の設定条件(オゾン発生時間、休止時間の設定等)を見直すことができる。
【0068】
測定対象の環境条件(例えば、温度、湿度など)は、被反応物に対するオゾンの吸収性に影響を及ぼす。そのため、天候、季節などによって空気中のオゾンの濃度は変動する場合がある。オゾンインジケーター10は、CT値を容易かつ精度よく測定できるため、オゾン発生条件を適時に調整することができる。よって、環境条件の変動があった場合でも、人体への悪影響を抑制し、安全にオゾンを運用することができる。
【0069】
オゾンインジケーター10は、窓部24を開放可能に封止する封止材3を備えるため、測定時以外は多孔質基材1を外気に触れないようにすることができる。そのため、オゾンインジケーター10を長期保存することができる。オゾンインジケーター10では、多孔質基材1を外気から遮断して保存できるため、測定時には、精度の高いCT値の測定を実現できる。
【0070】
オゾンインジケーター10は、封止材3が粘着材付きシートであると、封止材3を簡単な操作で第1シート21から剥離させ、窓部24を開放することができる。よって、CT値の測定を容易にすることができる。
【0071】
オゾンインジケーター10は、窓部24が平面視において多孔質基材1の第2端1Bを包含するように形成されているため、第2端1Bを含む部分の開放面積を大きく確保できる。そのため、外気との接触による多孔質基材1の変色を進行させ、CT値を精度よく測定できる。
【0072】
カバー部材2は、多孔質基材1をラミネートするため、多孔質基材1の表面を隙間なく覆うことができる。そのため、外気に曝露される領域を、第2端1Bを含む部分(露出領域1C)に限定することができる。したがって、他の領域が外気に触れて変色するのを抑制できる。よって、変色領域R1の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。
【0073】
[オゾンインジケーター](第2実施形態) 第2実施形態に係るオゾンインジケーター110について説明する。第1実施形態に係るオゾンインジケーター10と共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0074】
図7および
図8は、オゾンインジケーター110の平面図である。
図7は、封止材3を取り外した状態のオゾンインジケーター110を示す。
図8は、封止材3を取り付けた状態のオゾンインジケーター110を示す。
図9は、多孔質基材101の平面図である。
図10は、オゾンインジケーター110の断面図である。
図10は、
図8のII-II断面図である。
図11は、封止材3の一部を剥がした状態のオゾンインジケーター110の断面図である。
図12は、オゾンインジケーター110の断面図である。
図12は、
図8のIII-III断面図である。
【0075】
図8に示すように、オゾンインジケーター110は、多孔質基材101と、カバー部材2と、封止材3とを備えている。
オゾンインジケーター110は、多孔質基材1に代えて多孔質基材101を用いること以外は、第1実施形態に係るオゾンインジケーター10(
図1および
図2参照)と同様の構成である。
【0076】
図7に示すように、多孔質基材101の長さ方向の一端は、第1端101Aである。多孔質基材101の長さ方向の他端(第1端101Aと反対の端)は、第2端101Bである。多孔質基材101の一方の面(
図10において上面)は第1主面101a(表面)である。多孔質基材101の他方の面(第1主面101aと反対の面。
図10において下面)は第2主面101b(表面)である。
【0077】
第1シート21に形成された窓部24は、平面視において、多孔質基材101の第2端101Bを含む領域を包含する。窓部24は、多孔質基材101の第1主面101aのうち第2端101Bを含む領域を露出させる。窓部24によって露出する多孔質基材101の領域は露出領域101Cである。
【0078】
多孔質基材101は、スリット状の切欠き4が形成されている点で、多孔質基材1と異なる。
切欠き4は、露出領域101Cから第1端101Aに向けて、多孔質基材101の長さ方向に沿って形成されている。切欠き4の一端(第1端4A)は、多孔質基材101の第1端101Aに近い位置にある。切欠き4の他端(第2端4B)は、多孔質基材101の第2端101Bに近い位置にある。切欠き4は、多孔質基材101の一方の面から他方の面にかけて多孔質基材101を厚さ方向に貫通して形成されている。
【0079】
切欠き4の形状は特に限定されないが、切欠き4は、例えば、平面視において多孔質基材101の長さ方向に沿う長円形状とすることができる。長円形状は、向かい合う一対の直線と、直線の端部どうしをそれぞれ接続する一対の湾曲凸線とを有する形状である。
【0080】
切欠き4は、一対の側縁4a,4bと、一対の端縁4c,4dと、を有する。一対の側縁4a,4bは向かい合う。一対の端縁4c,4dは、側縁4a,4bの端部どうしをそれぞれ接続する。側縁4a,4bは、多孔質基材101の長さ方向に沿う直線状とされている。一対の端縁4c,4dは、互いに離れる方向に凸となる半円形状とされている。切欠き4の形状は、露出領域101Cから第1端101Aに向けて延びる形状であればよい。切欠き4は、多孔質基材101の長さ方向に沿う長方形状であってもよい。
【0081】
切欠き4の第2端4Bは、窓部24の内周縁より内側に位置する。切欠き4の第2端4Bを含む部分は、窓部24に包含されている。そのため、窓部24が開放された状態では、切欠き4の端縁4dの少なくとも一部は外気に開放される。
【0082】
図9に示すように、切欠き4の幅s(総幅寸法)は、多孔質基材101の総幅寸法(a+b)以下であることが望ましい。すなわち、s≦(a+b)が成立することが望ましい。「a」は、一方の側縁4aを含む多孔質基材101の部分101Dの幅である。「b」は、他方の側縁4bを含む多孔質基材101の部分101Eの幅である。「a+b」は、切欠き4を除く多孔質基材101の幅である。aおよびbは、それぞれ5mm以下とすることができる。aおよびbは、それぞれ1mm以上とすることができる。
【0083】
切欠き4の幅sが多孔質基材101の総幅寸法(a+b)以下であると、多孔質基材101の強度を確保することができる。切欠き4の幅が多孔質基材101の総幅寸法以下であると、多孔質基材101の実質的な幅を十分に確保できるため、多孔質基材101の変色を目視で確認しやすくなる。
【0084】
切欠き4は、多孔質基材101の長さ方向に沿う中央線C1を対称軸として、幅方向に線対称となるように形成されることが望ましい。切欠き4が線対称に形成されていると、多孔質基材101の変色は、幅方向に均等となりやすい。そのため、変色領域R1(
図6参照)の長さを確認しやすくなる。よって、変色領域R1の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。中央線C1は、多孔質基材101の幅方向の中央を通る線である。
【0085】
図7に示すように、第1シート21には、目盛り25が形成されている。目盛り25は、多孔質基材101の長さ方向に沿って形成されている。目盛り25によって、多孔質基材101が変色した領域(
図6における変色領域R1)の長さを正確に把握することができる。そのため、CT値を容易に、かつ精度よく測定できる。
【0086】
[オゾンインジケーターの製造方法]
多孔質基材101は、色素を含む溶液を含浸させて乾燥させた多孔質基材を、テープ状に切り出すことで作製することができる。切欠き4は、例えば、多孔質基材の切り出しと同時に、型抜き等の手法により形成することができる。
【0087】
[オゾンインジケーターの使用方法]
オゾンインジケーター110は、例えば、次のようにして使用することができる。
図10に示すように、窓部24が封止材3で覆われたオゾンインジケーター110を、測定対象となる環境に置く。
図11に示すように、封止材3を第1シート21から剥離させ、窓部24を開放する。これにより、多孔質基材101の露出領域101Cは、測定対象となる外気に開放される。
【0088】
多孔質基材101は、外気との接触により、CT値に応じて変色する。そのため、変色領域R1(
図6参照)の長さからCT値を算出することができる。
【0089】
外気は、切欠き4内の空間(
図12参照)を、第1端4A(
図7参照)に向けて奥側に進入可能であるが、切欠き4の内周縁を含む部分の変色が奥行き方向に過度に進行することはない。外気に含まれるオゾンは多孔質基材101との接触により徐々に消費され、オゾン濃度は奥側に行くほど低くなるためである。
【0090】
[実施形態のオゾンインジケーターが奏する効果] 本実施形態のオゾンインジケーター110では、第1実施形態のオゾンインジケーター10と同様に、変色領域R1の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。オゾンインジケーター110では、変色領域R1(
図6参照)の長さを目視によって容易に確認できるため、CT値の測定は容易となる。オゾンインジケーター110では、変色領域R1の長さを目視によって容易に確認できるため、色差等を計測器によって測定する技術とは異なり、CT値の測定は容易となる。
【0091】
カバー部材2は、多孔質基材101を隙間なく覆うため、露出領域101C以外の領域が外気に触れて変色するのを抑制できる。よって、変色領域R1の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。
【0092】
オゾンインジケーター110では、多孔質基材101に切欠き4が形成されているため、外気は、切欠き4からも多孔質基材101に入ることができ、多孔質基材101の内部に拡散しやすくなる。よって、外気との接触による多孔質基材101の変色を進行させ、CT値を精度よく測定できる。
【0093】
多孔質基材101は、変色の進行方向の奥側に行くほど気体の拡散抵抗が大きくなる傾向があるが、オゾンインジケーター110では、切欠き4によって外気が多孔質基材101に入りやすくなるため、外気は多孔質基材101内部で広がりやすくなる。そのため、多孔質基材101の奥側部分において変色の進行速度(時間あたりの変色の進行距離)が小さくなるのを抑え、精度の高いCT値の測定を実現することができる。
【0094】
カバー部材2は、多孔質基材101をラミネートするため、多孔質基材101の表面を隙間なく覆うことができる。そのため、露出領域101C以外の領域が外気に触れて変色するのを抑制できる。よって、変色領域R1の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。
【0095】
オゾンインジケーター110は、窓部24を開放可能に封止する封止材3(
図8参照)を備えるため、測定時以外は多孔質基材101を外気に触れないようにすることができる。そのため、オゾンインジケーター110を長期保存することができる。オゾンインジケーター110では、多孔質基材101を外気から遮断して保存できるため、測定時には、精度の高いCT値の測定を実現できる。
【0096】
オゾンインジケーター110は、窓部24が平面視において多孔質基材101の第2端101Bを包含するように形成されているため、第2端101Bを含む部分の開放面積を大きく確保できる。そのため、外気との接触による多孔質基材101の変色を進行させ、CT値を精度よく測定できる。
【0097】
[オゾンインジケーター](第3実施形態) 第3実施形態に係るオゾンインジケーター210について説明する。他の実施形態に係るオゾンインジケーターと共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0098】
図13は、封止材3(
図8参照)を取り外した状態のオゾンインジケーター210の平面図である。
図14は、多孔質基材201の平面図である。
【0099】
図13に示すように、オゾンインジケーター210は、多孔質基材101に代えて多孔質基材201を用いること以外は、第2実施形態に係るオゾンインジケーター110(
図7参照)と同様の構成である。
【0100】
多孔質基材201の長さ方向の一端は、第1端201Aである。多孔質基材201の長さ方向の他端(第1端201Aと反対の端)は、第2端201Bである。 第1シート21に形成された窓部24は、平面視において、多孔質基材201の第2端201Bを含む領域を包含する。窓部24は、多孔質基材201の第1主面のうち第2端201Bを含む領域を露出させる。窓部24によって露出する多孔質基材201の領域は露出領域201Cである。
【0101】
多孔質基材201は、2つのスリット状の切欠き204が形成されている点で、多孔質基材101(
図7参照)と異なる。
【0102】
切欠き204は、露出領域201Cから第1端201Aに向けて、多孔質基材201の長さ方向に沿って形成されている。切欠き204の一端(第1端204A)は、多孔質基材201の第1端201Aに近い位置にある。切欠き204の他端(第2端204B)は、多孔質基材201の第2端201Bに近い位置にある。
【0103】
切欠き204は、例えば、平面視において多孔質基材201の長さ方向に沿う長円形状、長方形状などであってよい。
2つの切欠き204の長さは互いに同じであってよい。2つの切欠き204の幅は互いに同じであってよい。2つの切欠き204は、互いに同じ形状であることが好ましい。2つの切欠き204は、多孔質基材201の幅方向に並列して形成されている。2つの切欠き204は、多孔質基材201の幅方向に間隔をおいて形成されている。
【0104】
切欠き204の第2端204Bは、窓部24の内周縁より内側に位置する。切欠き204の第2端204Bを含む部分は、窓部24に包含されている。そのため、窓部24が開放された状態では、切欠き204の端縁204dの少なくとも一部は外気に開放される。
【0105】
図14に示すように、一方の切欠き204の幅をs1とする。他方の切欠き204の幅をs2とする。2つの切欠き204の幅の合計(総幅寸法)は、多孔質基材201の総幅寸法(a1+b1+c1)以下であることが望ましい。すなわち(s1+s2)≦(a1+b1+c1)が成立することが望ましい。
【0106】
「a1」は、一方の切欠き204の外側の側縁を含む多孔質基材201の部分201Dの幅である。「c1」は、他方の切欠き204の外側の側縁を含む多孔質基材201の部分201Eの幅である。「b1」は、2つの切欠き204の間の部分201Fの幅である。「a1+b1+c1」は、切欠き204を除く多孔質基材201の幅である。a1、b1およびc1は、それぞれ5mm以下とすることができる。a1、b1およびc1は、それぞれ1mm以上とすることができる。
【0107】
切欠き204の総幅寸法(s1+s2)が多孔質基材201の総幅寸法(a1+b1+c1)以下であると、多孔質基材201の強度を確保することができる。切欠き204の総幅寸法が多孔質基材201の総幅寸法以下であると、多孔質基材201の実質的な幅を十分に確保できるため、多孔質基材201の変色を目視で確認しやすくなる。
【0108】
2つの切欠き204は、多孔質基材201の長さ方向に沿う中央線C2を対称軸として、互いに線対称に形成されていることが望ましい。2つの切欠き204が線対称に形成されていると、長さ方向に進行する多孔質基材201の変色は、幅方向に均等となりやすい。そのため、変色領域R1(
図6参照)の長さを確認しやすくなる。よって、変色領域R1の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。中央線C2は、多孔質基材101の幅方向の中央を通る線である。
【0109】
[実施形態のオゾンインジケーターが奏する効果] 本実施形態のオゾンインジケーター210では、第1実施形態のオゾンインジケーター10と同様に、変色領域R1の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。オゾンインジケーター210では、変色領域R1(
図6参照)の長さを目視によって容易に確認できるため、CT値の測定は容易となる。
【0110】
カバー部材2は、多孔質基材201を隙間なく覆うため、露出領域201C以外の領域が外気に触れて変色するのを抑制できる。よって、変色領域R1の長さに基づいて、CT値を精度よく測定できる。
【0111】
オゾンインジケーター210では、多孔質基材201に切欠き204が形成されているため、外気は、切欠き204からも多孔質基材201に入ることができ、多孔質基材201の内部に拡散しやすくなる。よって、外気との接触による多孔質基材201の変色を進行させ、CT値を精度よく測定できる。
【0112】
オゾンインジケーター210では、多孔質基材201に、複数の切欠き204が形成されているため、変色の進行に幅方向の偏りが生じるのを抑えることができる。よって、CT値を精度よく測定できる。
【0113】
本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されず、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
図7に示す多孔質基材101では、切欠き4の数は1である。
図13に示す多孔質基材201では、切欠き204の数は2つである。多孔質基材に形成される切欠きの数は特に限定されず、1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。切欠きの数が3以上の場合でも、これらの切欠きは多孔質基材の幅方向に並列して形成することができる。
【0114】
図7に示す多孔質基材101では、切欠き4は、露出領域101Cから第1端101Aに向けて、多孔質基材101の長さ方向に沿って形成されているが、切欠き4の形成方向は多孔質基材101の長さ方向に対して傾斜していてもよい。
【0115】
図1に示すオゾンインジケーター10は封止材3を備えるが、実施形態に係るオゾンインジケーターは、この構成に限定されない。オゾンインジケーターは、封止材を用いずに窓部を封止できる構造であってもよい。例えば、カバー部材は、窓部が開閉されるように開口端部が互いに接離可能であってもよい。
【符号の説明】
【0116】
1,101,201…多孔質基材
1A,101A,201A…第1端
1C,101C,201C…露出領域
1a,101a…第1主面(表面) 1B,101B,201B…第2端
1b,101b…第2主面(表面) 2…カバー部材
4,204…切欠き
10,110,210…オゾンインジケーター
21…第1シート(シート)
22…第2シート(シート)
24…窓部
25…目盛り