(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130201
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電子装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20240920BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/56 R
H01L23/12 501P
H01L23/12 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039797
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】524212040
【氏名又は名称】三井化学ICTマテリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100196368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 京平
(72)【発明者】
【氏名】三浦 徹
【テーマコード(参考)】
5F061
【Fターム(参考)】
5F061AA01
5F061BA07
5F061CA26
5F061CB03
5F061CB12
5F061CB13
(57)【要約】
【課題】電子部品の位置ずれを抑制することが可能な電子装置の製造方法を提供する。
【解決手段】硬化性樹脂層10と、基材層40と、粘着性樹脂層(B)50とをこの順に備える積層体100と、硬化性樹脂層10に固着した電子部品70と、粘着性樹脂層(B)50に貼り付けられた支持基板80と、を備える構造体(a)200を準備する工程(A)と、封止材60により電子部品70を封止する工程(C)と、硬化性樹脂層10を硬化してなる絶縁樹脂層20と、絶縁樹脂層20に固着し、封止材60により封止された電子部品70とを備える構造体(b)を得る工程(D)と、絶縁樹脂層20に配線を形成して、再配線層30を形成する工程(E)と、を含む電子装置の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂層と、基材層と、粘着性樹脂層(B)とをこの順に備える積層体と、前記硬化性樹脂層に固着した電子部品と、前記粘着性樹脂層(B)に貼り付けられた支持基板と、を備える構造体(a)を準備する工程(A)と、
封止材により前記電子部品を封止する工程(C)と、
前記硬化性樹脂層を硬化してなる絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に固着し、封止材により封止された電子部品とを備える構造体(b)を得る工程(D)と、
前記絶縁樹脂層に配線を形成して、再配線層を形成する工程(E)と、を含む、電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記硬化性樹脂層はエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記硬化性樹脂層中の前記エポキシ樹脂の含有量は、前記硬化性樹脂層中の樹脂成分の合計含有量を100質量部としたとき、10質量部以上である、請求項2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(A)において、前記硬化性樹脂層は未硬化状態または半硬化状態である、請求項1~3のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
前記工程(A)と前記工程(C)との間に、前記硬化性樹脂層を硬化させる工程(B)を含む、請求項4に記載の電子装置の製造方法。
【請求項6】
前記工程(E)よりも後に、再配線層をさらに形成する工程(F)を含む、請求項1~5のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項7】
前記工程(A)は、
前記基材層と、前記粘着性樹脂層(B)と、前記粘着性樹脂層(B)に貼り付けられた前記支持基板とを備える構造体(a-1)を準備する工程(A-1)と、
前記構造体(a-1)の前記支持基板側とは反対側の面に前記硬化性樹脂層を貼り付けた構造体(a-2)を準備する工程(A-2)とを含む、請求項1~6のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項8】
前記封止材はエポキシ樹脂系封止材を含む、請求項1~7のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項9】
前記硬化性樹脂層は無機フィラーをさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項10】
前記硬化性樹脂層は硬化剤をさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項11】
前記粘着性樹脂層(B)は外部刺激により粘着力が低下する、請求項1~10のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項12】
前記粘着性樹脂層(B)は加熱により粘着力が低下する、請求項11に記載の電子装置の製造方法。
【請求項13】
前記粘着性樹脂層(B)は、気体発生成分および熱膨張性の微小球からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項12に記載の電子装置の製造方法。
【請求項14】
前記積層体は、粘着性樹脂層(A)をさらに備え、
前記粘着性樹脂層(A)は、前記硬化性樹脂層と、前記基材層との間に位置する、請求項1~13のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【請求項15】
前記粘着性樹脂層(A)中の気体発生成分および熱膨張性の微小球の合計含有量が、前記粘着性樹脂層(A)の全体を100質量%としたとき、0.1質量%未満である、請求項14に記載の電子装置の製造方法。
【請求項16】
前記粘着性樹脂層(A)は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂及びスチレン系粘着性樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を含む、請求項14または15に記載の電子装置の製造方法。
【請求項17】
前記電子装置はファンアウト型パッケージを含む、請求項1~16のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置(例えば、半導体装置)の小型化・軽量化を図ることができる技術として、ファンアウト型WLP(ウエハレベルパッケージ)が開発されている。
ファンアウト型WLPの作製方法のひとつであるeWLB(Embedded Wafer Level Ball Grid Array)では、支持基板に貼り付けた仮固定材料(例えば、粘着性フィルム等)上に、半導体チップ等の複数の電子部品を離間させた状態で仮固定し、封止材により複数の電子部品を一括封止する手法が取られる。ここで、仮固定材料は、封止工程等においては電子部品および支持基板に固着させる必要があり、封止後は支持基板とともに封止された電子部品から除去する必要がある。
【0003】
このような電子装置の製造方法に関する技術としては、例えば、特許文献1に記載のものが挙げられる。
【0004】
特許文献1には、粘着シート上に配置された半導体裏面保護フィルム上に半導体チップを配置する工程と、前記半導体裏面保護フィルム上に前記半導体チップを配置する工程の後に、前記半導体裏面保護フィルムを硬化させる工程と、前記半導体裏面保護フィルムを硬化させる工程の後に、前記半導体チップを樹脂で封止する工程とを含む半導体パッケージの製造方法が記載されている。
特許文献1には、樹脂の熱硬化収縮による半導体チップの位置ずれを防止することが可能な半導体パッケージの製造方法を提供することを目的とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
仮固定材料に電子部品を配置して封止材により電子部品を封止する際に、電子部品の位置がずれてしまう(以下、電子部品の位置ずれとも呼ぶ。)場合がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、電子部品の位置ずれを抑制することが可能な電子装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下に示す電子装置の製造方法が提供される。
【0009】
[1]
硬化性樹脂層と、基材層と、粘着性樹脂層(B)とをこの順に備える積層体と、前記硬化性樹脂層に固着した電子部品と、前記粘着性樹脂層(B)に貼り付けられた支持基板と、を備える構造体(a)を準備する工程(A)と、
封止材により前記電子部品を封止する工程(C)と、
前記硬化性樹脂層を硬化してなる絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に固着し、封止材により封止された電子部品とを備える構造体(b)を得る工程(D)と、
前記絶縁樹脂層に配線を形成して、再配線層を形成する工程(E)と、を含む、電子装置の製造方法。
[2]
前記硬化性樹脂層はエポキシ樹脂を含む、前記[1]に記載の電子装置の製造方法。
[3]
前記硬化性樹脂層中の前記エポキシ樹脂の含有量は、前記硬化性樹脂層中の樹脂成分の合計含有量を100質量部としたとき、10質量部以上である、前記[2]に記載の電子装置の製造方法。
[4]
前記工程(A)において、前記硬化性樹脂層は未硬化状態または半硬化状態である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[5]
前記工程(A)と前記工程(C)との間に、前記硬化性樹脂層を硬化させる工程(B)を含む、前記[4]に記載の電子装置の製造方法。
[6]
前記工程(E)よりも後に、再配線層をさらに形成する工程(F)を含む、前記[1]~[5]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[7]
前記工程(A)は、
前記基材層と、前記粘着性樹脂層(B)と、前記粘着性樹脂層(B)に貼り付けられた前記支持基板とを備える構造体(a-1)を準備する工程(A-1)と、
前記構造体(a-1)の前記支持基板側とは反対側の面に前記硬化性樹脂層を貼り付けた構造体(a-2)を準備する工程(A-2)とを含む、前記[1]~[6]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[8]
前記封止材はエポキシ樹脂系封止材を含む、前記[1]~[7]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[9]
前記硬化性樹脂層は無機フィラーをさらに含む、前記[1]~[8]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[10]
前記硬化性樹脂層は硬化剤をさらに含む、前記[1]~[9]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[11]
前記粘着性樹脂層(B)は外部刺激により粘着力が低下する、前記[1]~[10]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[12]
前記粘着性樹脂層(B)は加熱により粘着力が低下する、前記[11]に記載の電子装置の製造方法。
[13]
前記粘着性樹脂層(B)は、気体発生成分および熱膨張性の微小球からなる群から選択される少なくとも一種を含む、前記[12]に記載の電子装置の製造方法。
[14]
前記積層体は、粘着性樹脂層(A)をさらに備え、
前記粘着性樹脂層(A)は、前記硬化性樹脂層と、前記基材層との間に位置する、前記[1]~[13]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
[15]
前記粘着性樹脂層(A)中の気体発生成分および熱膨張性の微小球の合計含有量が、前記粘着性樹脂層(A)の全体を100質量%としたとき、0.1質量%未満である、前記[14]に記載の電子装置の製造方法。
[16]
前記粘着性樹脂層(A)は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂及びスチレン系粘着性樹脂からなる群から選択される一種または二種以上を含む、前記[14]または[15]に記載の電子装置の製造方法。
[17]
前記電子装置はファンアウト型パッケージを含む、前記[1]~[16]のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子部品の位置ずれを抑制することが可能な電子装置の製造法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の電子装置の製造方法の一例を模式的に示した図である。
【
図2】本実施形態の電子装置の製造方法の一例を模式的に示した図である。
【
図3】工程(A)の好ましい態様の一例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。
数値範囲に関する「A~B」との記載は、特に断りがなければ、A以上B以下を表す。また、「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリルまたはアクリルおよびメタクリルの両方を意味する。
【0013】
[電子装置の製造方法]
図1および
図2は、本実施形態の電子装置の製造方法の一例を模式的に示した図である。
本実施形態の電子装置の製造方法は、硬化性樹脂層10と、基材層40と、粘着性樹脂層(B)50とをこの順に備える積層体100と、硬化性樹脂層10に固着した電子部品70と、粘着性樹脂層(B)50に貼り付けられた支持基板と、を備える構造体(a)200を準備する工程(A)と、封止材60により電子部品70を封止する工程(C)と、硬化性樹脂層10を硬化してなる絶縁樹脂層20と、絶縁樹脂層20に固着し、封止材60により封止された電子部品70とを備える構造体(b)を得る工程(D)と、絶縁樹脂層20に配線を形成して、再配線層30を形成する工程(E)と、を含む。
【0014】
前述したように、電子装置(例えば、ファンアウト型パッケージを含む電子装置)の製造方法において、基板上に貼り付けた仮固定材料(例えば、粘着性フィルム等)上に、半導体チップ等の複数の電子部品を離間させた状態で仮固定し、封止材により複数の電子部品を一括封止する工程がある。
仮固定材料に電子部品を配置して封止材により電子部品を封止する際に、電子部品の位置がずれてしまう(以下、電子部品の位置ずれとも呼ぶ。)場合がある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、電子部品を封止する工程において、封止材の流動による圧力に耐え切れずに、電子部品の位置ずれが生じてしまうことを知見した。
【0015】
電子装置の製造方法において、電子部品を封止した後に、再配線層を形成する工程を含む場合がある。封止工程において電子部品の位置ずれが生じると、再配線層を形成する工程において、電子部品が目的の位置とは異なる場所に移動していることとなる。そのため、再配線層を形成する際に、電子部品の位置ずれに起因した配線の位置ずれが生じてしまう場合があった。配線の位置ずれが生じると、断線等の電子装置の信頼性低下を招くおそれがある。
【0016】
封止材により電子部品を封止する際に用いる仮固定材料に関する従来の技術において、電子部品の位置ずれを解消するために、例えば、高粘着力の仮固定材料が検討されている。
本発明者らの検討によれば、高粘着力の仮固定材料では、仮固定材料を剥離する際に必要な剥離力も高くなるため、仮固定材料が破損してしまう場合があることが明らかになった。また、封止後の支持基板とともに封止された電子部品から除去する工程において、電子部品側への仮固定材料に含まれる粘着性樹脂の一部(以下、糊とも呼ぶ)が残ってしまう場合がある(以下、糊残りとも呼ぶ。)ことが明らかとなった。
すなわち、本発明者らの検討によれば、電子部品の位置ずれと糊残りはトレードオフの関係性となる場合があることが明らかとなった。
【0017】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、硬化性樹脂層10に固着した電子部品70を含む構造体(a)200を準備する工程(A)を備えることにより、封止工程において、電子部品70が固着している層を樹脂硬化物からなる層とすることができ、電子部品70をより強い力で固定することが可能となるため、電子部品の位置ずれを抑制できることを見出した。
【0018】
また、本実施形態の電子装置の製造方法では、硬化性樹脂層10を硬化してなる絶縁樹脂層20と、絶縁樹脂層20に固着し、封止材60により封止された電子部品70とを備える構造体(b)を得る工程(D)を備える。このことにより、電子部品70を直に固定している層である絶縁樹脂層20を剥離する工程を含まないため、電子部品側への糊残りを抑制することができる。
【0019】
さらに、硬化性樹脂層10を硬化してなる絶縁樹脂層20は再配線層30を形成することが可能である。本発明によれば、電子部品の位置ずれを抑制できるため、再配線層を形成する際に、電子部品の位置ずれに起因した配線の位置ずれを抑制できる。そのため、本発明によれば、配線の位置ずれによる断線等の発生を抑制でき、信頼性が向上した電子装置を得ることができる。
ここで、従来の再配線層としては、例えば、ポリイミドを焼結した層が挙げられる。ポリイミドは高価な材料である。また、ポリイミドを焼結するためには、高温(例えば、230℃)下のプロセスが必要となる。
本発明によれば、さらに、再配線層を安価かつ低温下のプロセスで形成することが可能となる。
【0020】
本実施形態の電子装置とは、例えば、半導体装置、パワー半導体装置、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味である。
本実施形態の電子装置は、好ましくはファンアウト型パッケージを含む。ファンアウト型パッケージではチップの外側まで端子を広げること(fan out)ができるため、チップ面積と比べて端子数が多い用途でも採用できる。また、パッケージ基板が不要になるため薄型化も可能になる。
【0021】
以下、本実施形態の電子装置の製造方法の各工程について説明する。
【0022】
<構造体(a)を準備する工程(A)>
本実施形態の電子装置の製造方法は、硬化性樹脂層10と、基材層40と、粘着性樹脂層(B)50とをこの順に備える積層体100と、硬化性樹脂層10に固着した電子部品70と、粘着性樹脂層(B)50に貼り付けられた支持基板80と、を備える構造体(a)200を準備する工程(A)を含む。
ここで、
図3は、工程(A)の好ましい態様の一例を模式的に示した図である。
【0023】
積層体100は、好ましくは粘着性樹脂層(A)をさらに備える。
粘着性樹脂層(A)は、硬化性樹脂層10と基材層40との間に位置していることが好ましく、硬化性樹脂層10と接着していることがより好ましく、硬化性樹脂層10および基材層40の両方と接着していることがさらに好ましい。
【0024】
構造体(a)200を準備する方法は特に限定されないが、好ましくは、基材層40と、粘着性樹脂層(B)50と、粘着性樹脂層(B)50に貼り付けられた支持基板80とを備える構造体(a-1)210を準備する工程(A-1)と、構造体(a-1)210の支持基板80側とは反対側の面に硬化性樹脂層10を貼り付けた構造体(a-2)220を準備する工程(A-2)とを含む。
ここで、工程(A-2)において、
図1および
図3で図示した構造体(a)200の場合、支持基板80側とは反対側の面とは、基材層40となる。また、例えば、構造体(a-1)210が、基材層40の粘着性樹脂層(B)50側とは反対側の面に、さらに粘着性樹脂層(A)を備える場合、支持基板80側とは反対側の面とは、粘着性樹脂層(A)となる。
【0025】
工程(A-1)において、構造体(a-1)210は、例えば、以下の手順で作製することができる。
支持基板80上に、基材層40と粘着性樹脂層(B)50とを含む粘着性フィルムの粘着性樹脂層(B)50側が、支持基板80側となるように貼り合わせることにより、構造体(a-1)210が得られる。粘着性フィルム中の粘着性樹脂層(B)50上に保護フィルムが貼り付けられている場合は、保護フィルムを剥がし、粘着性樹脂層(B)50の露出面を支持基板80表面に貼り合わせることができる。
【0026】
工程(A-2)において、構造体(a-2)220は、例えば、以下の手順で作製することができる。
構造体(a-1)210中の基材層40上に、硬化性樹脂層10を含む硬化性樹脂フィルムの硬化性樹脂層10側が、基材層40側となるように貼り合わせることにより、構造体(a-2)220が得られる。硬化性樹脂フィルムが基材フィルム、保護フィルム等を含む場合は、基材フィルム、保護フィルム等を適宜除去してもよい。
【0027】
構造体(a)200を準備する工程(A)は、工程(A-1)および工程(A-2)に加えて、構造体(a-2)220の硬化性樹脂層10に電子部品70を固着させ、構造体(a)200を準備する工程(A-3)をさらに備えることが好ましい。
【0028】
工程(A)において、貼り付け性をより向上させる観点から、好ましくは硬化性樹脂層10が未硬化状態または半硬化状態である。
【0029】
工程(A)において、硬化性樹脂層10は硬化状態であってもよい。硬化性樹脂層10が硬化状態である場合、硬化性樹脂層10を絶縁樹脂層20とすることができる。すなわち、工程(A)の段階で、絶縁樹脂層20が形成されているともいえる。
【0030】
支持基板80としては、例えば、石英基板、ガラス基板、SUS基板等を用いることができる。
【0031】
電子部品70としては、例えば、IC、LSI、ディスクリート、発光ダイオード、受光素子等の半導体チップや半導体パネル、半導体パッケージ等を挙げることができる。
【0032】
<硬化性樹脂層を硬化させる工程(B)>
本実施形態の電子装置の製造方法は、好ましくは硬化性樹脂層10を硬化させる工程(B)を含む。硬化性樹脂層10を硬化させることにより、絶縁樹脂層20が形成される。
工程(B)は、工程(A)と工程(C)との間に行われる。
【0033】
硬化性樹脂層10を硬化させる方法は特に限定されず、熱硬化であってもよく、光硬化であってもよいが、好ましくは熱硬化である。
【0034】
硬化性樹脂層10を熱硬化させる場合の硬化温度は特に限定されないが、例えば、120℃以上、140℃以上、150℃以上、170℃以上であってもよく、そして、240℃以下、220℃以下、200℃以下であってもよい。
硬化性樹脂層10を熱硬化させる場合の硬化時間は特に限定されないが、例えば、5分以上120分以下である。
【0035】
硬化性樹脂層10を熱硬化させる場合、硬化性樹脂層10を熱硬化させる前に、硬化温度よりも低い温度にて予備加熱をしてもよい。
【0036】
<電子部品を封止する工程(C)>
本実施形態の電子装置の製造方法は、封止材60により電子部品70を封止する工程(C)を含む。
封止材60により電子部品70を覆い、例えば150℃以下の温度で封止材60を硬化させて、電子部品70を封止する。
また、封止材60の形態としては特に限定されないが、例えば、顆粒状、シート状または液状である。
【0037】
工程(C)において、絶縁樹脂層20に電子部品70が固着されていると、電子部品の位置ずれを抑制できるため好ましい。
【0038】
封止材60としては特に限定されないが、好ましくはエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂系封止材である。
特に、硬化性樹脂層10への封止材60の親和性がより良好になり、電子部品70をより一層ムラなく封止することが可能となる点から、液状のエポキシ樹脂系封止材が好ましい。
このようなエポキシ樹脂系封止材としては、例えば、ナガセケムテックス社製のT693/R4000シリーズやT693/R1000シリーズ、T693/R5000シリーズ等を用いることができる。
【0039】
封止方法としては、例えば、トランスファー成形、射出成形、圧縮成形、注型成形等が挙げられる。
【0040】
<構造体(b)を得る工程(D)>
本実施形態の電子装置の製造方法は、硬化性樹脂層10を硬化してなる絶縁樹脂層20と、絶縁樹脂層20に固着し、封止材60により封止された電子部品70とを備える構造体(b)300を得る工程(D)を含む。
工程(D)は、工程(C)よりも後の工程である。
【0041】
構造体(b)300は、本実施形態の仮固定材料中の硬化性樹脂層10を硬化してなる絶縁樹脂層20を含む。
このように、本実施形態の電子装置の製造方法では、電子部品70から絶縁樹脂層20を剥離する工程を含まないため、電子部品側への糊残りの発生を抑制できる。
【0042】
構造体(b)300を得る方法としては特に限定されないが、例えば、絶縁樹脂層20と、絶縁樹脂層20と隣接する層(
図1の場合は、基材層40)とを機械的に剥離する方法;絶縁樹脂層20と隣接する層の接着力を低下させてから、絶縁樹脂層20と、絶縁樹脂層20と隣接する層とを剥離する方法等が挙げられる。
【0043】
構造体(b)300を得る方法としては、絶縁樹脂層20と、絶縁樹脂層20と隣接する層とを剥離する前に、粘着性樹脂層(B)50と支持基板80とを剥離してもよい。
粘着性樹脂層(B)50と支持基板80とを剥離する方法としては、例えば、170℃を超える温度に加熱することにより、粘着性樹脂層(B)50の接着力を低下させ、粘着性樹脂層(B)50と支持基板80とを剥離する方法が挙げられる。
【0044】
<再配線層を形成する工程(E)>
本実施形態の電子装置の製造方法は、絶縁樹脂層20に配線を形成して、再配線層30を形成する工程(E)を含む。
工程(E)は、工程(D)よりも後の工程である。
【0045】
再配線層30は、絶縁樹脂層20に配線を形成することにより得ることができる。
絶縁樹脂層20に配線を形成する方法は特に限定されないが、例えば、フォトレジストによりパターンの型を作り、電解めっきを行うことにより配線を形成する方法が挙げられる。
【0046】
<再配線層をさらに形成する工程(F)>
本実施形態の電子装置の製造方法は、好ましくは再配線層90をさらに形成する工程(F)を含む。
工程(F)は、工程(E)よりも後の工程である。
【0047】
再配線層90は、好ましくは再配線層30の電子部品70側とは反対側の面に形成される。
再配線層90を形成する方法は特に限定されないが、例えば、本実施形態の硬化性樹脂層10と同じ種類の硬化性樹脂層を形成し、硬化性樹脂層を硬化して得られた絶縁樹脂層に対して配線を形成する方法が挙げられる。
【0048】
また、再配線層90の再配線層30側とは反対側の面に、さらに再配線層を形成することにより、再配線層を複数層形成してもよい。
【0049】
<その他の工程>
本実施形態の電子装置の製造方法は、ポストモールドキュア工程、ダイシング工程等をさらに含んでいてもよい。
【0050】
[積層体]
工程(A)における積層体100を構成する各層について説明する。
【0051】
<硬化性樹脂層>
硬化性樹脂層10は、電子部品を固着させることが可能な層である。
硬化性樹脂層10は、熱硬化性樹脂もしくは光硬化性樹脂を含む。
硬化性樹脂層10は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、および不飽和ポリエルテル樹脂からなる群から少なくとも一種を含み、好ましくはエポキシ樹脂を含む。
【0052】
硬化性樹脂層10に含まれるエポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、等が挙げられる。
エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
硬化性樹脂層10中のエポキシ樹脂の含有量は、硬化性樹脂層10中の樹脂成分の合計含有量を100質量部としたとき、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、そして、好ましくは95質量部以下、より好ましくは90質量部以下、さらに好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下である。
【0054】
硬化性樹脂層10中の樹脂成分の合計含有量は、電子部品の位置ずれをより抑制する観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、そして、硬化性樹脂層10の硬化物の線膨張係数をより低下させる観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0055】
硬化性樹脂層10は、硬化性樹脂層10の硬化物の線膨張係数を適切に調整する観点から、好ましくは無機フィラーをさらに含む。
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コージライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられ、これらの中でも、シリカが好ましい。
無機フィラーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
無機フィラーの平均粒子径D50は、硬化性樹脂層10の表面粗度をより小さくする観点から、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは2.5μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下であり、そして、下限値は特に限定されないが、例えば、0.01μm以上であってもよいし、0.1μm以上であってもよい。
無機フィラーの平均粒子径D50は、レーザー回折・散乱法により測定される体積基準の累積度数分布曲線において、累積度数が50%のときの粒子径値を意味する。なお、測定サンプルは、無機フィラーを超音波により水中に分散させたものを用いることが好ましい。
【0057】
無機フィラーは、無機フィラーの耐湿性および分散性を向上させる観点から、表面処理がされていてもよい。
【0058】
硬化性樹脂層10中の無機フィラーの含有量は、硬化性樹脂層10中の全成分の合計含有量を100質量%としたとき、硬化性樹脂層10の硬化物の線膨張係数をより低下させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、そして、硬化性樹脂層10の機械的強度をより向上させる観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
【0059】
硬化性樹脂層10は、好ましくは硬化剤をさらに含む。
硬化剤としては、硬化性樹脂を硬化することが可能な硬化剤であれば特に限定されず、例えば、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤等が挙げられる。
硬化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
硬化性樹脂層10中の硬化剤の含有量は、硬化性樹脂を硬化することが可能な量であればよく、特に限定されない。
【0061】
硬化性樹脂層10は、上述した成分以外に、例えば、熱可塑性樹脂、硬化促進剤、有機フィラー、難燃剤、着色剤等の成分を含んでいてもよい。
【0062】
硬化性樹脂層10は、好ましくは未硬化状態また半硬化状態である。
【0063】
硬化性樹脂層10を硬化してなる絶縁樹脂層20の、30℃から150℃までの線膨張係数は、電子部品の位置ずれをより抑制する観点から、好ましくは100ppm/K以下、より好ましくは80ppm/K以下、さらに好ましくは60ppm/K以下、さらに好ましくは50ppm/K以下、さらに好ましくは40ppm/K以下、さらに好ましくは30ppm/K以下、さらに好ましくは25ppm/K以下であり、そして、下限値は特に限定されないが、例えば、5ppm/K以上であってもよいし、10ppm/K以上であってもよい。
【0064】
硬化性樹脂層10を硬化してなる絶縁樹脂層20のガラス転移温度は、電子部品の位置ずれをより抑制する観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは160℃以上、さらに好ましくは170℃以上であり、そして、上限値は特に限定されないが、例えば、200℃以下であってもよいし、190℃以下であってもよい。
絶縁樹脂層20のガラス転移温度は、例えば、動的粘弾性測定装置により測定することができる。
【0065】
硬化性樹脂層10の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上、さらに好ましくは8μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下、さらに好ましくは300μm以下、さらに好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
【0066】
<基材層>
基材層40は特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムが挙げられる。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン-6、ナイロン-66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタアクリレート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンエーテル等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
これらの中でも、樹脂フィルムを構成する樹脂は、透明性や機械的強度、価格等のバランスに優れる観点から、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドおよびポリイミドからなる群から選択される一種または二種以上であり、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートからなる群から選択させる少なくとも一種である。
【0067】
基材層40は、単層であっても、二種以上の層であってもよい。
基材層40を形成するために使用する樹脂フィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよいが、基材層40の機械的強度を向上させる観点から、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
また、樹脂フィルムは表面処理を行ってもよく、具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理等を行ってもよい。
【0068】
基材層40の厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは250μm以下である。
【0069】
<粘着性樹脂層(B)>
粘着性樹脂層(B)50は、支持基板に貼り付けられる層である。
粘着性樹脂層(B)50は、支持基板から粘着性樹脂層(B)50を容易に剥離する観点から、好ましくは外部刺激により粘着力が低下する。
ここで、外部刺激により粘着力が低下する粘着性樹脂層(B)50としては、例えば、加熱により粘着力が低下する加熱剥離型の粘着性樹脂層や、放射線により粘着力が低下する放射線剥離型の粘着性樹脂層等が挙げられる。これらの中でも加熱により粘着力が低下する加熱剥離型の粘着性樹脂層が好ましい。
加熱剥離型の粘着性樹脂層としては、例えば、気体発生成分を含む加熱膨張型粘着剤、膨張して粘着力を低減できる熱膨張性の微小球を含む加熱膨張型粘着剤、熱により接着剤成分が架橋反応することで接着力が低下する加熱膨張型粘着剤等により構成された粘着性樹脂層が挙げられる。
粘着性樹脂層(B)50は、好ましくは気体発生成分および熱膨張性の微小球からなる群から選択される少なくとも一種を含む。
【0070】
本実施形態において、粘着性樹脂層(B)50に使用される加熱膨張型粘着剤は、例えば170℃を超える温度で加熱することで接着力が低下または喪失する粘着剤である。例えば、170℃以下では剥離せず、170℃を超える温度で剥離する材料を選択することができ、電子装置の製造工程中に粘着性樹脂層(B)50が支持基板から剥離しない程度の接着力を有していることが好ましい。
ここで、170℃を超える温度で加熱することで接着力が低下または喪失することは、例えば、粘着性フィルムの粘着性樹脂層(B)50側をステンレス板に貼り付け、140℃で1時間の加熱処理をおこない、次いで、170℃を超える温度で2分間加熱した後に測定される、ステンレス板からの剥離強度により評価することができる。170℃を超える温度で加熱する際の具体的な加熱温度は、気体が発生する温度や熱膨張性の微小球が熱膨張する温度よりも高い温度に設定され、発生する気体や熱膨張性の微小球の種類によって適宜設定される。本実施形態において、接着力が喪失するとは、例えば、23℃、引張速度300mm/分の条件で測定される180°剥離強度が0.5N/25mm未満になる場合をいう。
【0071】
加熱膨張型粘着剤に使用される気体発生成分としては、例えば、アゾ化合物、アジド化合物、メルドラム酸誘導体等を用いることができる。また、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水酸化ホウ素ナトリウム、各種アジド類等の無機系発泡剤や、水;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等の塩フッ化アルカン系化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ系化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホニルヒドラジド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)等のヒドラジン系化合物;p-トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等のセミカルバジド系化合物;5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等のトリアゾール系化合物;N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N´-ジメチル-N,N’-ジニトロソテレフタルアミド等のN-ニトロソ系化合物等の有機系発泡剤等も用いることができる。気体発生成分は粘着性樹脂(B1)に添加されていてもよく、粘着性樹脂(B1)に直接結合されていてもよい。
【0072】
加熱膨張型粘着剤に使用される熱膨張性の微小球としては、例えば、マイクロカプセル化されている発泡剤を用いることができる。このような熱膨張性の微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタン等の加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球等が挙げられる。上記殻を構成する材料として、例えば、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン等が挙げられる。熱膨張性の微小球は、例えば、コアセルベーション法や、界面重合法等により製造することができる。
熱膨張性の微小球は粘着性樹脂(B1)に添加することができる。
【0073】
気体発生成分および熱膨張性の微小球から選択される少なくとも一種の含有量は、加熱剥離型の粘着性樹脂層(B)50の膨張倍率や接着力の低下性等に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、例えば、加熱剥離型の粘着性樹脂層(B)50中の粘着性樹脂(B1)100質量部に対して、例えば1質量部以上150質量部以下、好ましくは10質量部以上130質量部以下、さらに好ましくは12質量部以上100質量部以下である。
気体が発生する温度や熱膨張性の微小球が熱膨張する温度が、170℃を超える温度になるように設計することが好ましい。
【0074】
加熱膨張型粘着剤を構成する粘着性樹脂(B1)としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)、ウレタン系粘着性樹脂、シリコーン系粘着性樹脂、ポリオレフィン系粘着性樹脂、ポリエステル系粘着性樹脂、ポリアミド系粘着性樹脂、フッ素系粘着性樹脂、スチレン-ジエンブロック共重合体系粘着性樹脂等を挙げることができる。これらの中でも(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)が好ましい。
【0075】
粘着性樹脂層(B)50に使用される(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(b1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー単位(b2)を含む共重合体が挙げられる。
本実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、またはこれらの混合物を意味する。
【0076】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(b1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(b2)を含むモノマー混合物を共重合することにより得ることができる。
【0077】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(b1)を形成するモノマー(b1)としては、炭素数1~12程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。好ましくは炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(b1)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、10質量%以上98.9質量%以下であることが好ましく、50質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、85質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。
【0078】
架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー単位(b2)を形成するモノマー(b2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル-ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル-ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド等である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、モノマー単位(b2)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0079】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)は、モノマー単位(b1)、モノマー単位(b2)以外に、2官能性モノマー単位(b3)や界面活性剤としての性質を有する特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤と称する)単位をさらに含んでもよい。
重合性界面活性剤は、モノマー(b1)、モノマー(b2)およびモノマー(b3)と共重合する性質を有すると共に、乳化重合する場合には乳化剤としての作用を有する。
【0080】
2官能性モノマー単位(b3)を形成するモノマー(b3)としては、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、例えば、両末端がジアクリレートまたはジメタクリレートで主鎖の構造がプロピレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製、商品名;PDP-200、同PDP-400、同ADP-200、同ADP-400)、テトラメチレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製、商品名;ADT-250、同ADT-850)およびこれらの混合型(例えば、日本油脂(株)製、商品名:ADET-1800、同ADPT-4000)であるもの等が挙げられる。
【0081】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、モノマー単位(b3)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0082】
重合性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンRN-10、同RN-20、同RN-30、同RN-50等)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンHS-10、同HS-20、同HS-1025等)、および分子内に重合性二重結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系(花王(株)製;商品名:ラテムルS-120A、同S-180A等)等が挙げられる。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)において、重合性界面活性剤の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0083】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)は、さらに必要に応じて、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性二重結合を有するモノマーにより形成されたモノマー単位をさらに含有してもよい。
【0084】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)の重合反応機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられる。(メタ)アクリル系粘着性樹脂(b)の製造コスト、モノマーの官能基の影響および電子部品表面へのイオンの影響等を考慮すればラジカル重合によって重合することが好ましい。
ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-2-ヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-アミルパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物;2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等のアゾ化合物が挙げられる。
【0085】
乳化重合法により重合する場合には、これらのラジカル重合開始剤の中で、水溶性の過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、同じく水溶性の4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が好ましい。電子部品表面へのイオンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物がさらに好ましく、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物がさらに好ましい。
【0086】
本実施形態に係る粘着性樹脂層(B)50は、粘着性樹脂(B1)に加えて、架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(B2)をさらに含むことが好ましい。
架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(B2)は、粘着性樹脂(B1)が有する官能基と反応させ、粘着力および凝集力を調整するために用いる。
このような架橋剤(B2)としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物;N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N'-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の4官能性エポキシ系化合物;ヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物およびアジリジン系化合物から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
【0087】
架橋剤(B2)の含有量は、通常、架橋剤(B2)中の官能基数が粘着性樹脂(B1)中の官能基数よりも多くならない程度の範囲が好ましい。しかし、架橋反応で新たに官能基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合等、必要に応じて過剰に含有してもよい。
粘着性樹脂層(B)50中の架橋剤(B2)の含有量は、粘着性樹脂(B1)100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
【0088】
本実施形態に係る粘着性樹脂層(B)50は、支持基板への密着性を向上させる観点から、粘着性樹脂(B1)に加えて、粘着付与樹脂を含むことが好ましい。粘着性樹脂層(B)50に粘着付与樹脂を含有させることが、常温付近における支持基板との密着性の調整が容易となるために好ましい。粘着付与樹脂としては、その軟化点が100℃以上であるものが好ましい。粘着付与樹脂の具体例としては、エステル化等の処理をしたロジン系誘導体等のロジン系樹脂;α-ピネン系、β-ピネン系、ジペンテン系、テルペンフェノール系等のテルペン系樹脂;ガム系、ウッド系、トール油系等の天然系ロジン;これらの天然系ロジンを水素化、不均化、2量化(重合)またはマレイン化した樹脂;石油樹脂;クマロン-インデン樹脂等を挙げることができる。
【0089】
これらのなかでも、軟化点が100~160℃の範囲内であるものがより好ましく、120~150℃の範囲であるものがさらに好ましい。軟化点が上記範囲内である粘着付与樹脂を用いると、支持基板への汚染、糊残りが少ないばかりでなく、作業環境下における支持基板との密着性をさらに向上させることが可能となる。さらに、粘着付与樹脂として重合ロジンエステル系の粘着付与樹脂を用いると、支持基板への汚染、糊残りが少ないばかりか、80~130℃の環境下での支持基板との粘着性が向上するとともに、熱膨張性の微小球を含む加熱膨張型粘着剤の場合には、熱膨張性微小球の膨張後は、支持基板からさらに容易に剥離可能となる。
【0090】
粘着付与樹脂の配合割合は、粘着性樹脂層(B)50の弾性率を所望とする所定の数値範囲内に調整することができるように適宜選択すればよく、特に制限はない。ただし、粘着性樹脂層(B)50の弾性率と初期剥離力の面から、粘着性樹脂(B1)100質量部に対して、1~100質量部とすることが好ましい。粘着付与樹脂の配合割合が、粘着性樹脂(B1)100質量部に対して、上記下限値以上であると、作業時の支持基板との密着性が良好になる傾向にある。一方、上記上限値以下であると、常温における支持基板との貼り付け性が良好になる傾向にある。支持基板との密着性、及び常温における貼り付け性の面から、粘着付与樹脂の配合割合を、粘着性樹脂(B1)100質量部に対して、2~50質量部とすることがさらに好ましい。また、粘着付与樹脂の酸価は、30以下であることが好ましい。粘着付与樹脂の酸価が上記上限値以下であると剥離時に支持基板に糊残りが生じ難くなる傾向にある。
【0091】
粘着性樹脂層(B)50は、その他の成分として、可塑剤等の添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層(B)50中の粘着性樹脂(B1)、架橋剤(B2)および粘着付与樹脂の含有量の合計は粘着性樹脂層(B)50の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。さらに粘着性樹脂層(B)50が加熱膨張型粘着剤により構成されている場合は、粘着性樹脂層(B)50中の粘着性樹脂(B1)、架橋剤(B2)、粘着付与樹脂、気体発生成分および熱膨張性の微小球の含有量の合計は、粘着性樹脂層(B)50の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
【0092】
粘着性樹脂層(B)50の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上であり、そして、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは150μm以下である。
【0093】
<粘着性樹脂層(A)>
積層体100は、好ましくは粘着性樹脂層(A)をさらに備え、粘着性樹脂層(A)は硬化性樹脂層10と、基材層40との間に位置する。
粘着性樹脂層(A)を備えると、硬化性樹脂層10と基材層40との密着性が向上できるため、封止材により電子部品を封止する工程において硬化性樹脂層10の位置ずれを抑制でき、その結果、電子部品の位置ずれをより抑制することができる。
【0094】
粘着性樹脂層(A)は、粘着性樹脂(A1)を含む。
粘着性樹脂(A1)は、好ましくは(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂およびスチレン系粘着性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種または二種以上を含み、これらの中でも粘着力の調整を容易にする観点等から、より好ましくは(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)を含む。
【0095】
粘着性樹脂層(A)としては、放射線により粘着力を低下させる放射線架橋型粘着性樹脂層を用いることもできる。放射線架橋型粘着性樹脂層は、放射線の照射により架橋して粘着力が著しく減少するため、硬化性樹脂層10から粘着性樹脂層(A)を剥離しやすくなる。放射線としては、紫外線、電子線、赤外線等が挙げられる。
放射線架橋型粘着性樹脂層としては、紫外線架橋型粘着性樹脂層が好ましい。
【0096】
粘着性樹脂層(A)に使用される(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(a1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー単位(a2)を含む共重合体が挙げられる。
本実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、またはこれらの混合物を意味する。
【0097】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)および架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー(a2)を含むモノマー混合物を共重合することにより得ることができる。
【0098】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(a1)を形成するモノマー(a1)としては、炭素数1~12程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。好ましくは炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位(a1)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、10質量%以上98.9質量%以下であることが好ましく、50質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、85質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。
【0099】
架橋剤と反応し得る官能基を有するモノマー単位(a2)を形成するモノマー(a2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、メサコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ターシャル-ブチルアミノエチルアクリレート、ターシャル-ブチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド等である。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、モノマー単位(a2)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0100】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)は、モノマー単位(a1)、モノマー単位(a2)以外に、2官能性モノマー単位(a3)や界面活性剤としての性質を有する特定のコモノマー(以下、重合性界面活性剤と称する)単位をさらに含んでもよい。
重合性界面活性剤は、モノマー(a1)、モノマー(a2)およびモノマー(a3)と共重合する性質を有すると共に、乳化重合する場合には乳化剤としての作用を有する。
【0101】
2官能性モノマー単位(a3)を形成するモノマー(a3)としては、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、例えば、両末端がジアクリレートまたはジメタクリレートで主鎖の構造がプロピレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製、商品名;PDP-200、同PDP-400、同ADP-200、同ADP-400)、テトラメチレングリコール型(例えば、日本油脂(株)製、商品名;ADT-250、同ADT-850)およびこれらの混合型(例えば、日本油脂(株)製、商品名:ADET-1800、同ADPT-4000)であるもの等が挙げられる。
【0102】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、モノマー単位(a3)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0103】
重合性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンRN-10、同RN-20、同RN-30、同RN-50等)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルの硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1-プロペニル基を導入したもの(第一工業製薬(株)製;商品名:アクアロンHS-10、同HS-20、同HS-1025等)、および分子内に重合性二重結合を持つ、スルホコハク酸ジエステル系(花王(株)製;商品名:ラテムルS-120A、同S-180A等)等が挙げられる。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)において、重合性界面活性剤の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)中の全モノマー単位の合計を100質量%としたとき、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0104】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)は、さらに必要に応じて、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の重合性2重結合を有するモノマーにより形成されたモノマー単位をさらに含有してもよい。
【0105】
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)の重合反応機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等が挙げられる。(メタ)アクリル系粘着性樹脂(a)の製造コスト、モノマーの官能基の影響および電子部品表面へのイオンの影響等を考慮すればラジカル重合によって重合することが好ましい。
ラジカル重合反応によって重合する際、ラジカル重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-2-ヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-アミルパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物;2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等のアゾ化合物が挙げられる。
【0106】
乳化重合法により重合する場合には、これらのラジカル重合開始剤の中で、水溶性の過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、同じく水溶性の4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を持ったアゾ化合物が好ましい。電子部品表面へのイオンの影響を考慮すれば、過硫酸アンモニウム、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物がさらに好ましく、4,4'-アゾビス-4-シアノバレリックアシッド等の分子内にカルボキシル基を有するアゾ化合物がさらに好ましい。
【0107】
本実施形態に係る粘着性樹脂層(A)は、粘着性樹脂(A1)に加えて、架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(A2)をさらに含むことが好ましい。
架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤(A2)は、粘着性樹脂(A1)が有する官能基と反応させ、粘着力および凝集力を調整するために用いる。
このような架橋剤(A2)としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物;N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N'-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の4官能性エポキシ系化合物;ヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物およびアジリジン系化合物から選択される一種または二種以上を含むことが好ましい。
【0108】
架橋剤(A2)の含有量は、通常、架橋剤(A2)中の官能基数が粘着性樹脂(A1)中の官能基数よりも多くならない程度の範囲が好ましい。しかし、架橋反応で新たに官能基が生じる場合や、架橋反応が遅い場合等、必要に応じて過剰に含有してもよい。
粘着性樹脂層(A)中の架橋剤(A2)の含有量は、粘着性樹脂層(A)の耐熱性や密着力とのバランスを向上させる観点から、粘着性樹脂(A1)100質量部に対し、0.1質量部以上15質量部以下であることが好ましい。
【0109】
粘着性樹脂層(A)は、その他の成分として、可塑剤、粘着付与樹脂等の添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層(A)が放射線架橋型粘着性樹脂層の場合は放射線架橋のための各種添加剤を含んでもよい。粘着性樹脂層(A)中の粘着性樹脂(A1)および架橋剤(A2)の含有量の合計は、粘着性樹脂層(A)の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。これにより、構造体(b)をより得やすくなる。
【0110】
粘着性樹脂層(A)中の気体発生成分および熱膨張性の微小球の合計含有量は、前記粘着性樹脂層(A)の全体を100質量%としたとき、好ましくは0.1質量%未満、より好ましくは0.05質量%未満、さらに好ましくは0.01質量%未満、さらに好ましくは0.00質量%である。
ここで、上述の気体発生成分および熱膨張性の微小球は、粘着性樹脂層(B)50に含まれる気体発生成分および熱膨張性の微小球と同様の成分を意味する。
【0111】
粘着性樹脂層(A)の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
【0112】
<その他の層>
積層体100は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、その他が設けられていてもよい。
その他の層としては、凹凸吸収層、衝撃吸収層、易接着層等がさらに備えられていてもよい。
その他の層は、例えば、硬化性樹脂層10と基材層40との間;基材層40と粘着性樹脂層(B)50との間;粘着性樹脂層(A)と基材層40との間;等に位置する。
【0113】
凹凸吸収層は、ASTM D-2240のD型ショアーによるショアーD型硬度が、例えば50以下、好ましくは40以下の天然ゴムや合成ゴム、又はゴム弾性を有する合成樹脂により形成することが好ましい。凹凸吸収層の厚さは、例えば500μm以下、好ましくは5~300μm、より好ましくは10~150μmである。
【0114】
合成ゴム又は合成樹脂としては、例えばニトリル系やジエン系やアクリル系等の合成ゴム、ポリオレフィン系やポリエステル系等の熱可塑性エラストマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体やポリウレタン、ポリブタジエンや軟質ポリ塩化ビニル等のゴム弾性を有する合成樹脂が挙げられる。なお、ポリ塩化ビニルのように本質的には硬質系のポリマーであっても可塑剤や柔軟剤等の配合剤との組合せでゴム弾性をもたせたものも本実施形態においては用いることができる。また上記の粘着性樹脂層(A)や粘着性樹脂層(B)50で例示した粘着性樹脂等も凹凸吸収層の形成に好ましく用いることができる。
【0115】
[仮固定材料]
次に、工程(A)における積層体100を形成するための仮固定材料について説明する。
【0116】
本実施形態の仮固定材料は、硬化性樹脂層10と、基材層40と、粘着性樹脂層(B)50とをこの順に備える積層体100を形成することが可能である材料であれば、その態様は特に限定されない。
本実施形態の仮固定材料の態様は、例えば、硬化性樹脂層10を含む硬化性樹脂フィルムと、基材層40と粘着性樹脂層(B)50とを含む粘着性フィルムと、を含むフィルムセット;硬化性樹脂層10と、基材層40と、粘着性樹脂層(B)50とをこの順に備える積層フィルム;等が挙げられる。
【0117】
以下、硬化性樹脂層10を含む硬化性樹脂フィルムと、基材層40と粘着性樹脂層(B)50とを含む粘着性フィルムと、を含むフィルムセットについて、具体的に説明する。
【0118】
本実施形態の硬化性樹脂フィルムは、例えば、基材フィルムと、硬化性樹脂層10と、保護フィルムとが積層されたフィルムである。
基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)等が挙げられる。
保護フィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)等が挙げられる。
本実施形態の硬化性樹脂フィルムは、市販の硬化性樹脂フィルムを使用してもよく、例えば、味の素ビルドアップフィルム(登録商標、味の素ファインテクノ(株)製)を用いることができる。
【0119】
本実施形態の粘着性フィルムは、基材層40と粘着性樹脂層(B)50とが積層されたフィルムであり、好ましくは、粘着性樹脂層(A)と基材層40と粘着性樹脂層(B)50とが積層されたフィルムである。
本実施形態の粘着性フィルムは、保護フィルム等を適宜備えていてもよい。
【0120】
本実施形態の仮固定材料の態様の一つである、硬化性樹脂層10と、基材層40と、粘着性樹脂層(B)50とをこの順に備える積層フィルムは、さらに保護フィルム等を適宜備えていてもよい。
【0121】
本実施形態の硬化性樹脂フィルム、粘着性フィルム、および積層フィルムにおいて、硬化性樹脂層10、基材層40、粘着性樹脂層(B)50および粘着性樹脂層(A)の好ましい態様は、積層体100の各層の好ましい態様と同様である。
【0122】
本実施形態の仮固定材料の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
本実施形態の仮固定材料が、硬化性樹脂層10を含む硬化性樹脂フィルムと、基材層40と粘着性樹脂層(B)50とを含む粘着性フィルムと、を含むフィルムセットである場合、例えば、基材フィルム上に硬化性樹脂層10を形成するための樹脂組成物を塗布、乾燥することにより、硬化性樹脂フィルムを得ることができる。また、例えば、基材層40上に粘着性樹脂層(B)50を形成するための粘着性塗布液を塗布、乾燥することにより、粘着性フィルムを得ることができる。
本実施形態の仮固定材料が、硬化性樹脂層10と、基材層40と、粘着性樹脂層(B)50とをこの順に備える積層フィルムである場合、例えば、粘着性フィルムの基材層40と、硬化性樹脂フィルムの硬化性樹脂層10とを貼り合わせることにより、積層フィルムを得ることができる。
【0123】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0124】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0125】
10 硬化性樹脂層
20 絶縁樹脂層
30 再配線層
40 基材層
50 粘着性樹脂層(B)
60 封止材
70 電子部品
80 支持基板
90 再配線層
100 積層体
200 構造体(a)
210 構造体(a-1)
220 構造体(a-2)
300 構造体(b)