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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130207
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】工作機械及び切粉受け
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B23Q11/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039812
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 博之
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011BB22
(57)【要約】
【課題】切粉受けから切粉受けの外部へ切粉が飛散することを防止できる工作機械及び切粉受けを提供する。
【解決手段】本開示に係る工作機械1は、ワークの加工に伴って生じる切粉を排出するための排出口33を有する基台3と、底壁及び該底壁の周縁部から突出した周壁41bを有する箱状をなし、前記排出口33を通して排出した切粉を受け止める切粉受け4とを備える工作機械1において、前記切粉受け4は、前記基台3に取り付けられた場合に、前記周壁41bが前記排出口33を囲み、前記周壁41bの頂部412が前記基台3に密着することを特徴とする。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの加工に伴って生じる切粉を排出するための排出口を有する基台と、
底壁及び該底壁の周縁部から突出した周壁を有する箱状をなし、前記排出口を通して排出した切粉を受け止める切粉受けと
を備える工作機械において、
前記切粉受けが前記基台に取り付けられた場合、
前記周壁は前記排出口を囲み、
前記周壁の頂部は前記基台に密着することを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記基台の下部に空間が設けてあり、
前記排出口は前記空間に向けて開口し、
前記切粉受けが前記基台に取り付けられた場合、前記切粉受けは前記空間にて前記排出口の下側に位置し、
前記切粉受けの前記周壁の少なくとも前記頂部は弾性体製であり、前記排出口の周縁部に全周にわたって下側から弾性により密着することを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記基台の少なくとも一部は導電性を有し、
前記切粉受けの少なくとも一部は導電性を有し、
前記切粉受けが前記基台に取り付けられた場合に前記切粉受けの前記一部を前記基台の前記一部に電気的に接続する導通部材を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記基台の前記一部は、前記切粉受けを所定位置に案内するための導電性案内具を有し、
前記導通部材は、前記導電性案内具に沿って転動可能又は摺動可能に、且つ、前記切粉受けの前記一部に電気的に接続するようにして、前記切粉受けに設けてあり、
前記切粉受けが前記所定位置にある場合、前記周壁は前記排出口を囲み、前記周壁の前記頂部は前記基台に密着し、前記導電性案内具は前記導通部材に接触することを特徴とする請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記基台は、前記切粉受けを所定位置に案内するための案内部材を有し、
該案内部材に沿って転動可能又は摺動可能な被案内部材が前記切粉受けに設けてあり、
前記切粉受けが前記所定位置にある場合、前記周壁は前記排出口を囲み、前記周壁の前記頂部は前記排出口の周縁部に全周にわたって下側から弾性により密着することを特徴とする請求項2に記載の工作機械。
【請求項6】
前記切粉受けは前記基台を載置した床面に沿って転動可能な車輪を有し、
前記切粉受けは前記床面に沿って前記空間に挿入可能であり、
前記切粉受けが前記所定位置にある場合、前記車輪は前記床面から離隔することを特徴とする請求項5に記載の工作機械。
【請求項7】
前記案内部材は、
前記基台を載置した床面に沿う一方向に延び、前記切粉受けが前記所定位置に到達するまで前記被案内部材が転動又は摺動するガイドレールと、
該ガイドレールの端部に設けてあり、前記切粉受けが前記所定位置に到達した場合に前記被案内部材を受け止めるストッパと
を有し、
前記基台は、二つの前記案内部材を一つずつ支持する二つの支持部を有し、
前記空間の前記一方向の両側夫々は開放してあり、
二つの前記案内部材及び二つの前記支持部は、二つの前記ストッパが前記一方向の一側に向く場合でも他側に向く場合でも二つの前記案内部材を二つの前記支持部に取り付け可能な構成であることを特徴とする請求項5に記載の工作機械。
【請求項8】
前記案内部材は、
前記基台を載置した床面に沿う一方向に延び、前記切粉受けが前記所定位置に到達するまで前記被案内部材が転動又は摺動する上向きの案内面を備えるガイドレールと、
該ガイドレールよりも上側に位置するようにして前記ガイドレールの端部に設けてあり、上向きに開口する凹状のストッパと
を有し、
前記切粉受けには第一の前記被案内部材及び第二の前記被案内部材が前記一方向に並び、
第一の前記被案内部材は、第二の前記被案内部材よりも前記頂部の近くに位置しており、
前記切粉受けが前記所定位置にある場合、第一の前記被案内部材は前記ストッパに嵌まり込んでおり、第二の前記被案内部材は前記案内面に接していることを特徴とする請求項5に記載の工作機械。
【請求項9】
切粉を受け止める切粉受けにおいて、
底壁及び該底壁の周縁部から突出した周壁を有する箱状をなし、
前記周壁の少なくとも頂部が弾性体製であることを特徴とする切粉受け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械及び切粉受けに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は工作機械の切粉受けを開示している。特許文献1に記載の工作機械は排出口を有する。切粉受けは工作機械の下部に設けた空間にて排出口の下方に位置する。工作機械はワークの加工時に切粉が生じる。切粉はワークの加工時に用いる切削液と共に、排出口を通して切粉受けに溜まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-87979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の切粉受けに溜まった切粉は、切削液で濡れているので飛散しにくい。しかしながら、工作機械が切削液を用いずにワークを加工する場合、切粉は乾いているので、例えば風によって微細な切粉が切粉受けから切粉受けの外部へ飛散する虞がある。
【0005】
本開示の目的は、切粉受けから切粉受けの外部へ切粉が飛散することを防止できる工作機械及び切粉受けを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る工作機械は、ワークの加工に伴って生じる切粉を排出するための排出口を有する基台と、底壁及び該底壁の周縁部から突出した周壁を有する箱状をなし、前記排出口を通して排出した切粉を受け止める切粉受けとを備える工作機械において、前記切粉受けが前記基台に取り付けられた場合、前記周壁は前記排出口を囲み、前記周壁の頂部は前記基台に密着することを特徴とする。
【0007】
本開示にあっては、基台が排出口を有する。工作機械はワークを加工し、ワークの加工に伴って生じる切粉を、排出口を通して切粉受けに排出する。
切粉受けは箱状をなし、底壁及び周壁を有する。周壁は底壁の周縁部から突出している。切粉受けが基台に取り付けられた場合、切粉受けの周壁は排出口を囲み、切粉受けの周壁の頂部は基台に密着する。切粉受けは、排出口を通して排出した切粉を受け止める。切粉受けの内側で切粉が舞い上がったとしても、切粉受けと基台との間に隙間がないので、切粉受けから工作機械の外部へ切粉が飛散することを防止できる。
【0008】
本開示に係る工作機械は、前記基台の下部に空間が設けてあり、前記排出口は前記空間に向けて開口し、前記切粉受けが前記基台に取り付けられた場合、前記切粉受けは前記空間にて前記排出口の下側に位置し、前記切粉受けの前記周壁の少なくとも前記頂部は弾性体製であり、前記排出口の周縁部に全周にわたって下側から弾性により密着することを特徴とする。
【0009】
本開示にあっては、基台の排出口が、基台の下部に設けてある空間(以下、下部空間という)に向けて開口している。
切粉受けは下部空間にて排出口の下側に位置する。切粉受けの周壁の頂部は弾性体製であり、基台の排出口の周縁部に、全周にわたって下側から弾性により密着する。故に、切粉受けから切粉受けの外部へ切粉が飛散することを、簡易な構成で確実に防止できる。
切粉受けは、少なくとも周壁の頂部が弾性体製であればよいので、切粉受けの設計の自由度は高い。
【0010】
本開示に係る工作機械は、前記基台の少なくとも一部は導電性を有し、前記切粉受けの少なくとも一部は導電性を有し、前記切粉受けが前記基台に取り付けられた場合に前記切粉受けの前記一部を前記基台の前記一部に電気的に接続する導通部材を更に備えることを特徴とする。
【0011】
本開示にあっては、基台及び切粉受け夫々の少なくとも一部が導電性を有する。以下では導電性を有する部分を導電性部分という。導通部材は、切粉受けの導電性部分を基台の導電性部分に電気的に接続する。
切粉が導電性を有する場合、基台の導電性部分がアースしてあれば、切粉受けが受け止めた切粉を、切粉受けの導電性部分、導通部材、及び基台の導電性部分を介してアースできる。故に、例えば静電気により切粉が帯電したとしても、切粉から除電できる。
【0012】
本開示に係る工作機械は、前記基台の前記一部は、前記切粉受けを所定位置に案内するための導電性案内具を有し、前記導通部材は、前記導電性案内具に沿って転動可能又は摺動可能に、且つ、前記切粉受けの前記一部に電気的に接続するようにして、前記切粉受けに設けてあり、前記切粉受けが前記所定位置にある場合、前記周壁は前記排出口を囲み、前記周壁の前記頂部は前記基台に密着し、前記導電性案内具は前記導通部材に接触することを特徴とする。
【0013】
本開示にあっては、基台の導電性部分が導電性案内具を有する。導通部材は切粉受けに設けてあり、切粉受けの導電性部分に電気的に接続しており、導電性案内具に沿って転動可能又は摺動可能である。
導通部材が導電性案内具に沿って転動又は摺動することにより、導電性案内具は切粉受けを所定位置に案内できる。切粉受けが所定位置にある場合、切粉受けの周壁は基台の排出口を囲み、切粉受けの周壁の頂部は基台に密着する。以上の結果、切粉受けを基台に、簡単に取り付けできる。
【0014】
切粉受けが所定位置にある場合、導電性案内具は導通部材に接触する。故に、基台に切粉受けを取り付ければ、切粉受けの導通部材及び基台の導電性案内具を介して、切粉受けの導電性部分を基台の導電性部分に電気的に接続できる。従って、導通部材の配置を基台への切粉受けの取り付けとは別に行なう必要がない。
導通部材は切粉受けの導電性部分を基台の導電性部分に電気的に接続する部材と導電性案内具に沿って転動又は摺動する部材とを兼ねる。故に部品点数を削減できる。
【0015】
本開示に係る工作機械は、前記基台は、前記切粉受けを所定位置に案内するための案内部材を有し、該案内部材に沿って転動可能又は摺動可能な被案内部材が前記切粉受けに設けてあり、前記切粉受けが前記所定位置にある場合、前記周壁は前記排出口を囲み、前記周壁の前記頂部は前記排出口の周縁部に全周にわたって下側から弾性により密着することを特徴とする。
【0016】
本開示にあっては、基台が案内部材を有する。切粉受けには被案内部材が設けてあり、案内部材に沿って転動可能又は摺動可能である。
被案内部材が案内部材に沿って転動又は摺動することにより、案内部材は切粉受けを所定位置に案内できる。切粉受けが所定位置にある場合、切粉受けの周壁は基台の排出口を囲み、切粉受けの周壁の頂部は排出口の周縁部に全周にわたって下側から弾性により密着する。以上の結果、切粉受けを基台に、簡単に取り付けできる。
【0017】
本開示に係る工作機械は、前記切粉受けは前記基台を載置した床面に沿って転動可能な車輪を有し、前記切粉受けは前記床面に沿って前記空間に挿入可能であり、前記切粉受けが前記所定位置にある場合、前記車輪は前記床面から離隔することを特徴とする。
【0018】
本開示にあっては、切粉受けが車輪を有し、基台を載置した床面に沿って車輪が転動することにより、切粉受けを下部空間に対し容易に挿入できる。
切粉受けが所定位置にある場合、車輪が床面から離隔するので、床面の凹凸又は傾斜等の悪影響を受けることなく、切粉受けの周壁の頂部が排出口の周縁部に密着できる。
【0019】
本開示に係る工作機械は、前記案内部材は、前記基台を載置した床面に沿う一方向に延び、前記切粉受けが前記所定位置に到達するまで前記被案内部材が転動又は摺動するガイドレールと、該ガイドレールの端部に設けてあり、前記切粉受けが前記所定位置に到達した場合に前記被案内部材を受け止めるストッパとを有し、前記基台は、二つの前記案内部材を一つずつ支持する二つの支持部を有し、前記空間の前記一方向の両側夫々は開放してあり、二つの前記案内部材及び二つの前記支持部は、二つの前記ストッパが前記一方向の一側に向く場合でも他側に向く場合でも二つの前記案内部材を二つの前記支持部に取り付け可能な構成であることを特徴とする。
【0020】
本開示にあっては、案内部材がガイドレール及びストッパを有する。ガイドレールは、基台を載置した床面に沿う一方向に延びる。ストッパはガイドレールの端部に設けてある。
下部空間の一方向の両側夫々は開放してある。
切粉受けが所定位置に到達するまで被案内部材がガイドレールに沿って転動又は摺動し、所定位置に到達した切粉受けの被案内部材をストッパが受け止めることにより、案内部材は切粉受けを所定位置に案内できる。
被案内部材をストッパが受け止めるときの衝撃を感知又は検出することにより、切粉受けが所定位置に到達したか否かを容易に判断できる。
【0021】
基台は二つの支持部を有し、二つの支持部は二つの案内部材を一つずつ支持する。二つの案内部材及び二つの支持部は、二つのストッパが一方向の一側に向く場合でも一方向の他側に向く場合でも、二つの案内部材を二つの支持部に取り付け可能な構成である。故に、二つの支持部に二つの案内部材を取り付ける際、二つのストッパが一方向の一側に向くようにすることも、二つのストッパが一方向の他側に向くようにすることもできる。ストッパが一方向の一側(又は他側)に向く場合、切粉受けを一方向の他側(又は一側)からガイドレールに近づける必要がある。従って、二つの支持部に二つの案内部材を取り付ける際、例えば使用者の利便性に応じて、案内部材の向き(延いては切粉受けを案内部材に近づける方向)を決定できる。
【0022】
本開示に係る工作機械は、前記案内部材は、前記基台を載置した床面に沿う一方向に延び、前記切粉受けが前記所定位置に到達するまで前記被案内部材が転動又は摺動する上向きの案内面を備えるガイドレールと、該ガイドレールよりも上側に位置するようにして前記ガイドレールの端部に設けてあり、上向きに開口する凹状のストッパとを有し、前記切粉受けには第一の前記被案内部材及び第二の前記被案内部材が前記一方向に並び、第一の前記被案内部材は、第二の前記被案内部材よりも前記頂部の近くに位置しており、前記切粉受けが前記所定位置にある場合、第一の前記被案内部材は前記ストッパに嵌まり込んでおり、第二の前記被案内部材は前記案内面に接していることを特徴とする。
【0023】
本開示にあっては、案内部材がガイドレール及びストッパを有する。ガイドレールは上向きの案内面を備え、基台を載置した床面に沿う一方向に延びる。ストッパは上向きに開口する凹状をなし、ガイドレールよりも上側に位置するようにして、ガイドレールの一方向の一端部に設けてある。
切粉受けが所定位置に到達するまで被案内部材がガイドレールの案内面に沿って転動又は摺動し、所定位置に到達した切粉受けの被案内部材がストッパに嵌まり込むことにより、案内部材は切粉受けを所定位置に案内できる。
被案内部材がストッパに嵌まり込むときの衝撃を感知又は検出することにより、切粉受けが所定位置に到達したか否かを容易に判断できる。
【0024】
切粉受けには第一の被案内部材及び第二の被案内部材が一方向に並ぶ。第一の被案内部材は、第二の被案内部材よりも切粉受けの周壁の頂部の近くに位置している。故に、第一の被案内部材がガイドレールの案内面に沿って摺動又は転動している間、第一の被案内部材は、第一の被案内部材がストッパに嵌まり込んでいる場合(即ち切粉受けが所定位置にある場合)よりも下側に位置する。従って、切粉受けの周壁の頂部の、少なくとも第一の被案内部材に近い部分が基台に密着することはない。以上の結果、小さい力で切粉受けを下部空間に挿入できる。
【0025】
切粉受けが所定位置にある場合、第一の被案内部材はストッパに嵌まり込んでおり、第二の被案内部材は案内面に接している。つまり、切粉受けを基台に取り付ける際、二つの被案内部材の内、第一の被案内部材が先に案内面に接触する。
【0026】
本開示に係る切粉受けは、切粉を受け止める切粉受けにおいて、底壁及び該底壁の周縁部から突出した周壁を有する箱状をなし、前記周壁の少なくとも頂部が弾性体製であることを特徴とする。
【0027】
本開示にあっては、箱状の切粉受けの周壁の少なくとも頂部が弾性体製なので、本開示に係る切粉受けで本開示に係る工作機械を構成する場合に好適である。何故ならば、切粉受けの周壁の頂部が基台に弾性により密着することにより、切粉受けの周壁の頂部と基台との密着性が向上するからである。
【発明の効果】
【0028】
本開示の工作機械及び切粉受けによれば、切粉受けから切粉受けの外部へ切粉が飛散することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施の形態に係る工作機械の部分正面図である。
図2図1におけるII-II線による断面図である。
図3】基台の斜視図である。
図4】工作機械を前方右上側から見た斜視図である。
図5】工作機械を前方右下側から見た斜視図である。
図6図2に示す工作機械の一部拡大図である。
図7】案内部材の斜視図である。
図8】案内部材の側面図である。
図9】切粉受けの斜視図である。
図10】切粉受けの側面図である。
図11】切粉受けを基台の本体に取り付けた状態を説明するための模式図である。
図12】切粉受けの本体への取り付けを説明するための模式図である。
図13】切粉受けの本体への取り付けを説明するための模式図である。
図14】切粉受けの本体への取り付けを説明するための模式図である。
図15】切粉受けの本体への取り付けを説明するための模式図である。
図16】切粉受けの本体への取り付けを説明するための模式図である。
図17】切粉受けの本体への取り付けを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、図において矢符で示す上下、前後、及び左右を使用する。
【0031】
図1は実施の形態に係る工作機械の部分正面図である。
図中1は工作機械であり、工作機械1は例えば工場の床面2に設置してある。床面2は前後左右に延びる。工作機械1は基台3及び切粉受け4を備える。基台3は本体31及び複数の脚部32を備える。
図2図1におけるII-II線による断面図である。
図3は基台3の斜視図である。
図4は工作機械1を前方右上側から見た斜視図である。
図5は工作機械1を前方右下側から見た斜視図である。
【0032】
図1図5に示す如く基台3の本体31は直方体状をなし、前後左右上下方向の内の前後方向に最も長く、上下方向に最も短い。基台3の少なくとも本体31は導電性を有し、例えば金属製である。工作機械1を設置する作業者は、工作機械1を不図示の電源ケーブルに接続する際に、基台3の導電性部分である本体31をアースする。
本体31の上側には不図示のワークを加工するための加工領域がある。工作機械1はカバー30を備え、カバー30は加工領域を前後左右から覆う。工作機械1は加工領域にて切削液を用いずにワークを加工する。ワークの加工に伴い、切粉が生じる。なお、工作機械1は微量の切削液を用いてワークを加工してもよい。
【0033】
図2及び図3に示す如く本体31は下面の中央部に排出口33を備える。排出口33は前後に長い矩形状をなす。図2に示す如く排出口33は本体31を上面から下面にわたって貫通する貫通孔331の下側の開口である。貫通孔331の内周面は、貫通孔331の上側の開口よりも排出口33の方が狭くなるようにして、本体31の下面に対して傾斜している。
【0034】
図6図2に示す工作機械1の一部拡大図であり、図2にて二点鎖線で示す円で囲んだ部分を示している。図2図6に示す如く本体31は凸条部34及び凹条部35を備える。凸条部34及び凹条部35夫々は矩形環状をなし、凸条部34が凹条部35よりも内側に位置するようにして、本体31の下面における排出口33の周縁部に、排出口33に同軸に設けてある。凸条部34は矩形断面を有し、本体31の下面から下向きに突出している。凸条部34の内周面は貫通孔331の内周面に連続しており、本体31の下面に垂直である。凹条部35は本体31の下面に設けられた溝であり、矩形断面を有する。
【0035】
図1及び図2に示す如く各脚部32は保持部321、軸部322、及び台323を備える。本体31の下面の四隅に四つの保持部321が設けてある(図3参照)。保持部321は本体31の下面から下向きに突出している。軸部322は上下に延びる。台323は一面が上向きの円盤状をなし、上面の中央部には軸部322の下端部が挿し込まれる穴が設けてある。各保持部321は、少なくとも軸部322の下端部が保持部321から下向きに突出するようにして、軸部322を保持する。脚部32は、台323を床面2に配置し、台323が軸部322を受け止め、保持部321が軸部322を保持することにより、構成してある。
【0036】
基台3の下部には空間が設けてある。基台3の下部に設けてある空間(下部空間)は、本体31の下面と床面2と四つの脚部32とが囲む空間であり、前後方向の両側及び左右方向の両側夫々が開放してある。排出口33は基台3の下部空間に向けて開口している。
【0037】
図1及び図3に示す如く本体31は下面に二つの支持部36を備える。二つの支持部36は本体31の下面の左右両側部に一つずつあり、図3に示す如く凹条部35が囲む範囲の外側に位置している。各支持部36は二つの凸部361を備える。二つの凸部361は前後に並んでいる。各凸部361は本体31の下面から下向きに突出しており、下端面に前後二つのネジ穴を備える。凸部361は導電性を有し、本体31に電気的に接続している。
【0038】
図1に示す如く基台3は二つの案内部材5(導電性案内具)を備える。案内部材5は導電性を有し、例えば金属製である。案内部材5は一方向に細長い。二つの支持部36は各案内部材5の長手方向が前後に向くようにして二つの案内部材5を支持する。二つの支持部36及び二つの支持部36が支持した二つの案内部材5は左右対称である。支持部36が支持した案内部材5は、基台3の下部空間における左右の脚部32よりも左右方向の中心寄りの位置にある。案内部材5が基台3の下部空間から前後に突出することはない(後述の図11参照)。支持部36が支持した案内部材5は、支持部36を介して本体31に電気的に接続している。
【0039】
図7は案内部材5の斜視図である。図8は案内部材5の側面図である。
各案内部材5はガイドレール51,52及びストッパ53を備える。以下では、支持部36が案内部材5を支持している場合の案内部材5の前後左右を用いて案内部材5を説明する。図7に示す案内部材5は、左側の案内部材5を前方右上側から見たものである。図8に示す案内部材5は、左側の案内部材5を右側から見たものである。ガイドレール51,52及びストッパ53は前側から後側へこの順に並んでいる。
【0040】
ガイドレール51,52夫々は帯板状をなし、前後に延びる。ガイドレール51の後端部にガイドレール52の前端部が隣接しており、ガイドレール52の後端部にストッパ53が隣接している。
ガイドレール51の一面は、前端が後端よりも下側になるようにして傾斜した上向きの案内面である。ガイドレール52の一面は、本体31の下面に平行な上向きの案内面である。ガイドレール52の案内面はガイドレール51の案内面に隣接している。
【0041】
ストッパ53は導入部531、受止部532、及び阻止部533を備える。導入部531、受止部532、及び阻止部533は前側から後側へこの順に並んでいる。
導入部531は帯板状をなし、前後に延びる。導入部531の一面は、前端が後端よりも下側になるようにして傾斜した上向きの案内面である。導入部531の案内面はガイドレール52の案内面に隣接している。
【0042】
受止部532は上向きに開口する凹状をなす。具体的には受止部532は、一面を上向きにして前後に延びる帯板が長手方向の中途で折れ曲がったようなV字状の板である。受止部532の内面は導入部531の案内面に隣接している。受止部532の内面の最底部の位置はガイドレール52の案内面の位置よりも高い。
阻止部533は帯板状をなし、両面が前後に向くようにして上下に延びる。阻止部533の前面は受止部532の内面に隣接している。
【0043】
各案内部材5は側板54及び二つの装着片55を備える。
側板54は、両面が左右に向くようにして前後に延びる。左側の案内部材5の場合、側板54はガイドレール51,52及びストッパ53の左縁から立ち上がっており、右側の案内部材5の場合、側板54はガイドレール51,52及びストッパ53の右縁から立ち上がっている。
【0044】
二つの装着片55は前後に並んでいる。各装着片55は矩形状をなし、両面が上下に向き、前後二つの貫通孔を備える。装着片55は側板54の上縁からガイドレール51,52及びストッパ53に離反する向きに突出している。左側の案内部材5の場合、装着片55は側板54の上縁から左向きに突出しており、右側の案内部材5の場合、装着片55は側板54の上縁から右向きに突出している。
装着片55の前後二つの貫通孔は支持部36の凸部361の前後二つのネジ穴と上下に隣り合う。装着片55の貫通孔を上向きに貫通した不図示のネジが凸部361のネジ穴に螺合することにより、案内部材5は支持部36に取り付けてある(図1参照)。
【0045】
図9は切粉受け4の斜視図である。図10は切粉受け4の側面図である。
図1図9、及び図10に示す如く切粉受け4は容器41及び四つの車輪42を備える。
容器41は矩形箱状をなす。図9及び図10に示す如く容器41の天面は開放してある。図9に示す如く容器41は底壁41a及び周壁41bを備える(図2及び図6参照)。
底壁41aは一方向に長い矩形状をなす。底壁41aは導電性を有し、例えば金属板である。底壁41aの両面は上下に向く。
【0046】
底壁41aの上面の周縁部から周壁41bが上向きに突出している。周壁41bは基部411及び頂部412を有する(図6及び図10参照)。基部411は底壁41aの周縁部に連なる。基部411は導電性を有し、例えば底壁41aの周縁部に一体の金属板である。頂部412は基部411の上縁部に連なる。頂部412は弾性体製であり、例えば基部411の内面に固定した合成ゴム板である。
以下では、底壁41aと周壁41bの基部411とをまとめて容器41の導電性部分という。また、底壁41aの長辺に沿う方向(及び短辺に沿う方向)が前後(及び左右)に向くものとして説明する。
【0047】
図1図2図9、及び図10に示す如く切粉受け4は前端部に取っ手43を備える。取っ手43は、例えば周壁41bの基部411の前面から前向きに突出している。
容器41の底壁41aの下面の四隅から下向きに四つの車輪支持部421が一つずつ突出している。四つの車輪支持部421の先端部は四つの車輪42を一つずつ支持している。各車輪42は、車輪支持部421が有する左右方向の回転軸を中心に回転可能である。
切粉受け4が床面2に載置してある場合、使用者が切粉受け4を手で押すか、又は取っ手43を持って切粉受け4を引くことにより、車輪42が床面2に沿って転動し、切粉受け4が前方向又は後方向に走行する。切粉受け4は床面2に沿って基台3の下部空間に挿入可能である。
【0048】
図1及び図9に示す如く容器41の左右両側部から左右方向の外向きに四つの部材支持部441が突出している。部材支持部441は導電性を有し、先端部で被案内部材44(導通部材)を支持している。図9に示す如く部材支持部441は基部411に固定してあり、例えば金属製である。
【0049】
図1図9、及び図10に示す如く切粉受け4は四つの被案内部材44を左右対称に備える。各被案内部材44は導電性を有し、例えば金属製である。本実施の形態の被案内部材44はローラであり、左右方向の回転軸を中心に回転可能である。部材支持部441は被案内部材44を容器41の導電性部分に電気的に接続している。
四つの被案内部材44の内、二つは周壁41bの左側にて前後に並んでおり、残りの二つは周壁41bの右側にて前後に並んでいる。前後に並ぶ二つの被案内部材44の内、後側の被案内部材44(第一の被案内部材)は前側の被案内部材44(第二の被案内部材)よりも周壁41bの頂部412の近くに位置している。
【0050】
図11は切粉受け4を基台3の本体31に取り付けた状態を説明するための模式図である。基台3は簡略化して示してあり、脚部32の保持部321及び軸部322、並びに案内部材5の側板54及び装着片55等の図示は省略してある。ここで、切粉受け4を基台3に取り付けることとは、切粉受け4を所定位置に配することを意味する。
図1図2、及び図11に示す如く切粉受け4は基台3に取り付けてある。所定位置における切粉受け4は基台3の下部空間にて排出口33の下側に位置し、容器41の周壁41bが排出口33を囲んでいる。四つの車輪42は何れも床面2から上方に離隔している。
【0051】
図2及び図11に示す如く周壁41bの頂部412は、排出口33の周縁部に全周にわたって下側から弾性により密着(いわゆる「弾接」)することにより、基台3に密着している。本実施の形態では、頂部412が凹条部35に嵌まり込み、凹条部35の内面に弾性により密着している(図6参照)。
図11に示す如く前側の被案内部材44はガイドレール52の案内面に接している。後側の被案内部材44はストッパ53の受止部532に嵌まり込んでいる。被案内部材44が案内部材5に接触しているので、切粉受け4の導電性部分は、被案内部材44及び案内部材5を介して、基台3の導電性部分に電気的に接続している。
【0052】
図12図17は切粉受け4の本体31への取り付けを説明するための模式図である。
切粉受け4の左側の被案内部材44は左側の案内部材5の案内面に転動可能であり、右側の被案内部材44は右側の案内部材5の案内面に転動可能である。被案内部材44が案内部材5の案内面に沿って転動することにより、案内部材5は切粉受け4を所定位置に案内する。
【0053】
使用者は、床面2に載置してある切粉受け4を手で押し、切粉受け4の後端部がガイドレール51に向くようにして、図12に示す如く切粉受け4を基台3の下部空間に前側から挿入する。切粉受け4の左右の被案内部材44は左右のガイドレール51に前側から近づく。
【0054】
使用者が切粉受け4を後向きに押し続けることにより、後側の被案内部材44は前側の被案内部材44よりも先にガイドレール51の案内面に載る。後側の被案内部材44はガイドレール51の案内面に沿って転動する。ガイドレール51の案内面に対する後側の被案内部材44の転動により、切粉受け4の後部が後ろ斜め上方向に移動する。
次に、図13に示す如く後側の被案内部材44はガイドレール52の案内面に沿って転動する。遅くとも後側の被案内部材44がガイドレール52の案内面に載るまでに、後側の車輪42は床面2から離隔する。
【0055】
後側の被案内部材44がガイドレール52の案内面上にあり、前側の被案内部材44がまだ案内部材5に接触していない場合、切粉受け4は、後部が前部よりも上側になるようにして傾斜する。各被案内部材44の上下方向の位置は、切粉受け4が所定位置にある場合よりも低く、周壁41bの頂部412が本体31の下面に密着することはない。故に容器41と本体31との摩擦は小さく、使用者は小さい力で切粉受け4を押せる。
【0056】
使用者が切粉受け4を後向きに更に押し続けることにより、図14に示す如く前側の被案内部材44がガイドレール51の案内面に載る。前側の被案内部材44はガイドレール51の案内面に沿って転動する。ガイドレール51の案内面に対する前側の被案内部材44の転動により、切粉受け4の前部が後ろ斜め上方向に移動する。
次に、図15に示す如く前側の被案内部材44がガイドレール52の案内面に沿って転動する。遅くとも前側の被案内部材44がガイドレール52の案内面に載るまでに、前側の車輪42が床面2から離隔する。
【0057】
前後両方の被案内部材44がガイドレール52の案内面上にある場合、切粉受け4は、前部が後部よりも上側になるようにして傾斜する。後側の被案内部材44の上下方向の位置は、切粉受け4が所定位置にある場合よりも低いので、周壁41bの頂部412が全周にわたって本体31の下面に密着することはない。故に容器41と本体31との摩擦は比較的小さく、使用者は比較的小さい力で切粉受け4を押せる。
【0058】
使用者が切粉受け4を後向きに押し続けることにより、図16に示す如く後側の被案内部材44が導入部531の案内面に沿って転動する。導入部531の案内面に対する後側の被案内部材44の転動により、切粉受け4の後部が後ろ斜め上方向に移動する。このとき、周壁41bの頂部412は全周にわたって本体31の下面に密着するので、容器41と本体31との摩擦は大きく、使用者は大きな力で切粉受け4を押す必要がある。図17に示す如く後側の被案内部材44が導入部531と受止部532との境界部分を乗り越える場合に、容器41と本体31との摩擦は最も大きく、使用者は最も大きな力で切粉受け4を押す必要がある。
【0059】
導入部531と受止部532との境界部分を乗り越えた後側の被案内部材44が、図11に示す如く受止部532に嵌まり込むことにより、切粉受け4は所定位置に到達する。前側の被案内部材44が受止部532に嵌まり込むときの衝撃が使用者の手に伝わることにより、使用者は切粉受け4が所定位置に到達したことを容易に認識できる。
【0060】
受止部532は後側の被案内部材44を受け止める。仮に、後側の被案内部材44の勢いが強すぎて受止部532から更に後側へ転動しようしたとしても、阻止部533が被案内部材44の受止部532から前側への脱落を阻止する。
左右二つの案内部材5夫々にはガイドレール51からストッパ53にわたって側板54が設けてあるので、被案内部材44が案内部材5から左右方向に脱落することを阻止できる。
以上の結果、切粉受け4を本体31に、簡単に取り付けできる。
【0061】
切粉受け4を本体31から取り外す場合、使用者は取っ手43を持って切粉受け4を前側に引く。切粉受け4は、基台3の下部空間に後向きに進入して案内部材5の案内により所定位置に到達した手順と逆の手順で、案内部材5の案内により所定位置から離脱し、基台3の下部空間から前向きに退出する。
以上の結果、切粉受け4を本体31から簡単に取り外せる。使用者は、取り外した切粉受け4の容器41が収容している切粉を適宜に処分する。
【0062】
以上のような工作機械1を用いた場合、加工領域におけるワークの加工に伴って生じた切粉は、例えば自重によって貫通孔331及び排出口33を通過し、切粉受け4に落下する。切粉受け4の容器41は、落ちてきた切粉を受け止める。
切粉受け4が収容している切粉が乾いている場合、例えば風により、又は切粉よりも重い異物(ワーク又は工具等)の切粉受け4への落下の衝撃により、切粉が舞い上がりやすい。しかしながら、周壁41bの頂部412が本体31に密着しており、容器41と本体31との間には隙間がない。故に、切粉受け4が収容している切粉が舞い上がったとしても、切粉受け4から工作機械1の外部(例えば床面2)へ切粉が飛散することを防止できる。
【0063】
周壁41bの頂部412が排出口33の周縁部に下側から弾性により密着する構成は簡易であり、且つ、切粉の飛散を確実に防止できる。
少なくとも周壁41bの頂部412が弾性体製であり、且つ、容器41の少なくとも一部が導電性を有していればよいので、切粉受け4の設計の自由度は高い。例えば容器41は、金属製の箱体の天面開口の周縁部に環状の合成ゴム材を固定した構成でもよい。又は容器41の全部が導電性を有する弾性体製でもよい。
切粉受け4と本体31との密着の実現は弾性体の弾力によるものに限らない。例えば本体31が鉄製であり、周壁41bの頂部412が磁化されていれば、磁力により、周壁41bの頂部412が本体31の下面に密着できる。
【0064】
本実施の形態では周壁41bの頂部412が凹条部35に嵌まり込んでいるので、何らかの不具合により周壁41bの頂部412と凹条部35の内面との間に僅かな隙間が生じたとしても、この隙間を切粉が通過する可能性は小さい。
液体(例えば切削液)が貫通孔331の内周面に垂れた場合、液体は貫通孔331の内周面及び凸条部34の内周面を伝って切粉受け4に落下する。貫通孔331の内周面を伝い落ちた液体が凸条部34及び凹条部35を越えて本体31の下面に濡れ拡がる可能性は小さいので、本体31の下面から工作機械1の外部(例えば床面2)へ液体が滴下することを防止できる。
【0065】
切粉が導電性を有する場合、切粉受け4が受け止めた切粉を、容器41の導電性部分、被案内部材44、案内部材5、及び基台3の本体31を介してアースできる。故に、例えば静電気により切粉が帯電したとしても、切粉から除電できる。
【0066】
車輪42が床面2に沿って転動することにより、基台3の下部空間に対して切粉受け4を容易に挿脱できる。切粉受け4が所定位置にある場合、車輪42が床面2から離隔するので、床面2の凹凸又は傾斜等の悪影響を受けることなく、周壁41bの頂部412が排出口33の周縁部に密着できる。
被案内部材44が案内部材5に沿って転動することにより、案内部材5は切粉受け4を所定位置に案内できる。切粉受け4が所定位置にある場合、周壁41bは本体31の排出口33を囲み、周壁41bの頂部412は本体31に密着する。以上の結果、切粉受け4を基台3に、簡単に取り付けできる。
【0067】
切粉受け4が所定位置にある場合、案内部材5は被案内部材44に接触する。故に、基台3に切粉受け4を取り付ければ、切粉受け4の被案内部材44及び基台3の案内部材5を介して、切粉受け4の導電性部分を基台3の導電性部分に電気的に接続できる。従って、被案内部材44の配置を基台3への切粉受け4の取り付けとは別に行なう必要がない。
被案内部材44は切粉受け4の導電性部分を基台3の導電性部分に電気的に接続する部材と案内部材5に沿って転動する部材とを兼ねる。故に部品点数を削減できる。
【0068】
二つの支持部36及び二つの案内部材5は、本実施の形態の如く各案内部材5のストッパ53が後側を向く場合でも、逆に各案内部材5のストッパ53が前側を向く場合でも、二つの案内部材5を二つの支持部36に取り付け可能な構成である。
【0069】
ここで、左側の案内部材5を第一の案内部材5といい、右側の案内部材5を第二の案内部材5という。
本実施の形態では、二つの案内部材5を二つの支持部36に取り付ける作業者は、各案内部材5のガイドレール51(及びストッパ53)をガイドレール52の前側(及び後側)に向ける。作業者は、第一の案内部材5を左側の支持部36に取り付け、第二の案内部材5を右側の支持部36に取り付ける。この場合、切粉受け4は基台3の前側から後向きに基台3に接近して基台3の下部空間に進入する。
【0070】
しかしながら、作業者は、各案内部材5のガイドレール51(及びストッパ53)をガイドレール52の後側(及び前側)に向けることもできる。作業者は、第一の案内部材5を右側の支持部36に取り付け、第二の案内部材5を左側の支持部36に取り付ける。この場合、切粉受け4は基台3の後側から前向きに基台3に接近して基台3の下部空間に進入する。
以上の結果、二つの支持部36に二つの案内部材5を取り付ける際、例えば使用者の利便性に応じて、案内部材5の向き(延いては切粉受け4を基台3の下部空間に挿入する方向)を決定できる。
【0071】
なお、切粉受け4の被案内部材44又は部材支持部441は非導電性を有してもよい。被案内部材44又は部材支持部441が非導電性を有する場合、容器41の導電性部分と基台3の本体31とを電気的に接続する部材(例えば導線)が容器41の導電性部分と本体31との間に介在すればよい。
被案内部材44は案内部材5に摺動可能な構成でもよく、例えば部材支持部441に固定してある円柱又は球体でもよい。
切粉受け4が所定位置にある場合に車輪42が床面2に接している構成でもよい。
切粉受け4は案内部材5による案内に依らず所定位置に配されてもよい。
【0072】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。更に、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 工作機械
2 床面
3 基台
33 排出口
36 支持部
4 切粉受け
41a 底壁
41b 周壁
412 頂部
42 車輪
421 車輪支持部
44 被案内部材(導通部材)
5 案内部材(導電性案内具)
51,52 ガイドレール
53 ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17