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特開2024-130209日よけ装置の自動制御システム及び日よけ装置の自動制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130209
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】日よけ装置の自動制御システム及び日よけ装置の自動制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   E04F 10/02 20060101AFI20240920BHJP
   E04H 15/58 20060101ALI20240920BHJP
   A45B 17/00 20060101ALI20240920BHJP
   E04F 10/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E04F10/02
E04H15/58 Z
A45B17/00 Z
E04F10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039819
(22)【出願日】2023-03-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 下記の日付および場所にて、タカノ株式会社が、特許出願の発明品であるパラソル(製品名:ステラ サンフラワー)を公開した。 1.2023年2月6日、「第51回 国際ホテル・レストラン・ショー」にて会場搬入時に公開した。 2.2023年2月7日から10日、「第51回 国際ホテル・レストラン・ショー」会場にて実物展示及び製品紹介冊子の配布およびポスターカタログの掲載によって公開した。 3.2023年2月7日、https://www.takano-net.co.jp/exterior/information_exhibit/detail/?dbid=1140のアドレスで公開されているタカノ株式会社のウェブサイトにて公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】織田 五三
(72)【発明者】
【氏名】久保田 耕平
【テーマコード(参考)】
2E105
2E141
【Fターム(参考)】
2E105AA01
2E105AA06
2E105BB05
2E105BB06
2E105CC03
2E105DD02
2E105DD04
2E105DD14
2E105DD23
2E105EE01
2E105EE11
2E105EE22
2E105EE32
2E105FF02
2E105FF14
2E105FF22
2E105FF32
2E141AA09
(57)【要約】
【課題】時間の経過によって太陽の位置が変化しても、任意の設定位置に日影が形成されるように、自動で日よけ部材の移動を行うことができる日よけ装置の自動制御システムを提供する。
【解決手段】日よけ部材20と、日よけ部材20を平面内で移動させる駆動部16と、制御部30と、日よけ部材20の設置個所の緯度経度と、日よけ部材20の高さHと、日陰にしたい個所の日よけ部材20の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離x1,y1と、が記憶されている記憶部54と、を具備し、制御部30は、日よけ部材20の設置個所の緯度経度及び現在時刻に基づいて太陽位置を算出し、日よけ部材20が、太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と交差する位置になるように、日よけ部材20の高さHと、日陰にしたい個所の日よけ部材20の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離x1、y1とに基づいて駆動部16の駆動距離又は駆動角度を算出して駆動部16へ制御信号として出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
日よけのための日よけ部材と、
前記日よけ部材の位置を平面内で移動させる駆動部と、
現在時刻を検出可能であるとともに、前記駆動部を制御する制御部と、
少なくとも前記日よけ部材の設置個所の緯度経度と、前記日よけ部材の高さと、日陰にしたい個所の前記日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離と、が記憶されている記憶部と、を具備し、
前記制御部は、
前記記憶部内の日よけ部材の設置個所の緯度経度及び検出した現在時刻に基づいて太陽位置を算出し、
前記日よけ部材が、太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と交差する位置になるように、日よけ部材の高さと、日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離とに基づいて前記駆動部の駆動距離又は駆動角度を算出して前記駆動部へ制御信号として出力することを特徴とする日よけ装置の自動制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記日よけ部材及び前記駆動部と同一筐体内に設置された制御信号出力部と、
前記制御信号出力部に対してデータ通信可能な携帯端末と、を有しており、
前記携帯端末は、
少なくとも前記日よけ部材の設置個所の緯度経度と、日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離と、を入力可能な入力部と、
入力された前記日よけ部材の設置個所の緯度経度と、日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離と、を前記制御信号出力部に送信するための送信部と、を有しており、
前記制御信号出力部は、
現在時刻を検出可能であるとともに、
前記日よけ部材の高さが予め入力されて記憶されているとともに、前記携帯端末から送信されてきた前記日よけ部材の設置個所の緯度経度及び日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離を記憶する前記記憶部を有し、
前記記憶部内の前記日よけ部材の設置個所の緯度経度及び検出した現在時刻に基づいて太陽位置を算出し、前記日よけ部材が、太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と交差する位置になるように、前記記憶部に記憶されている日よけ部材の高さと、日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離とに基づいて前記駆動部の駆動距離又は駆動角度を算出することを特徴とする請求項1記載の日よけ装置の自動制御システム。
【請求項3】
前記記憶部には、日陰にしたい個所に設置された屋外家具の高さが予め入力されて記憶されており、
前記制御部は、
前記屋外家具の表面を日陰にしたい個所として、前記駆動部を駆動させる制御信号を出力することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の日よけ装置の自動制御システム。
【請求項4】
前記日よけ部材は、前記駆動部によって軸線方向を中心に回転駆動する支柱に取り付けられたパラソルの傘部であって、
前記制御部は、
前記記憶部内の緯度経度及び検出した現在時刻に基づいて太陽位置を算出し、
太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と、傘部の高さに該当する平面が交差する交点を算出し、
前記支柱の軸線を原点とし、前記原点から前記交点までの水平面内での角度を算出し、
前記原点から前記交点までの水平面内での角度と同じ角度で前記支柱を回転させるように前記駆動部を駆動させる制御信号を出力することを特徴とする請求項1記載の日よけ装置の自動制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、
太陽位置として、前記支柱の軸線を原点として太陽高度(仰角)と太陽方位角を算出し、
太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と、傘部の高さに該当する平面が交差する交点の算出、及び前記支柱の軸線を原点とし前記原点から前記交点までの水平面内での角度の算出は、以下の式1~式5に基づいて実行することを特徴とする請求項4記載の日よけ装置の自動制御システム。
(式1)
太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線距離をrとすると、
r=傘部の高さ-(屋外家具の高さ/tan(太陽高度(仰角))。
(式2)
前記交点の東西方向の距離をxとすると、
x=r×sin(太陽方位角)+日陰にしたい個所の東西方向の距離。
(式3)
前記交点の南北方向の距離をyとすると、
y=r×cos(太陽方位角)+日陰にしたい個所の南北方向の距離。
(式4)
前記原点から前記交点までの水平面内での角度をθとすると、
θ=atan2(x、y)。
【請求項6】
前記制御部は、日よけ部材が移動不可のエリアを設定可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の日よけ装置の自動制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記駆動部が動作する時間範囲を設定可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の日よけ装置の自動制御システム。
【請求項8】
日よけのための日よけ部材と、前記日よけ部材の位置を平面内で移動させる駆動部と、現在時刻を検出可能であるとともに、前記駆動部を制御する制御部と、少なくとも前記日よけ部材の設置個所の緯度経度、前記日よけ部材の高さ、日陰にしたい個所の前記日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離が記憶されている記憶部と、を具備する日よけ装置において日陰にしたい個所を常に日陰となるように前記日よけ部材を駆動制御するプログラムであって、
前記記憶部内の日よけ部材の設置個所の緯度経度及び検出した現在時刻に基づいて太陽位置を算出する機能と、
前記日よけ部材が、太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と交差する位置になるように、日よけ部材の高さと、日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離とに基づいて前記駆動部の駆動距離又は駆動角度を算出して前記駆動部へ制御信号として出力する機能と、を前記制御部に実行させることを特徴とする日よけ装置の自動制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日よけ装置の日よけ部材の動きを自動的に制御するシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、レストラン、ホテル等の商業施設や住宅におけるテラスやガーデン等に設置される日よけ装置としてパラソルが知られている(特許文献1:特許第6795943号公報)。
【0003】
また、4本の支柱に平面視矩形状のルーフユニットを設け、ルーフユニットに折り畳み式の日よけシートを設け、気温、照度、雨量等の気象情報を取得し、気象状況に応じて日よけシートを開閉するオーニングが知られている(特許文献2:特開2022-145336号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6795943号公報
【特許文献2】特開2022-145336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている従来のパラソルは、傘部を支持する支柱を移動させることができるため、時間の経過によって太陽の位置が変化しても、パラソル全体を移動させることなく支柱及び傘部を移動させることによって、日陰(傘部の影となる領域)が一定の位置に形成されるようにすることが可能であった。
【0006】
一方、従来のパラソルは、太陽の位置が変化して日陰が移動した場合には、管理者がその状況を見ながら、日陰の位置が適切になるように手動で支柱及び傘部の移動を行う必要があった。そのため、こまめな状況確認が必要で作業効率が悪く、また手動での移動は手間と時間を要するという課題があった。
【0007】
また特許文献2に開示されているオーニングは気象状況に応じて開閉する仕組みになっているが、太陽の位置が変化して日陰が移動した場合に対応することができず、日陰を一定の位置に形成させるためには、管理者がその状況を見ながら、日よけシートを移動させる必要があった。そのため、こまめな状況確認が必要で作業効率が悪く、手間と時間を要するという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、時間の経過によって太陽の位置が変化しても、任意の設定位置に日影が形成されるように、自動で日よけ部材の移動を行うことができる日よけ装置の自動制御システム及び自動制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる日よけ装置の自動制御システムによれば、日よけのための日よけ部材と、前記日よけ部材の位置を平面内で移動させる駆動部と、現在時刻を検出可能であるとともに、前記駆動部を制御する制御部と、少なくとも前記日よけ部材の設置個所の緯度経度と、前記日よけ部材の高さと、日陰にしたい個所の前記日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離と、が記憶されている記憶部と、を具備し、前記制御部は、前記記憶部内の日よけ部材の設置個所の緯度経度及び検出した現在時刻に基づいて太陽位置を算出し、前記日よけ部材が、太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と交差する位置になるように、日よけ部材の高さと、日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離とに基づいて前記駆動部の駆動距離又は駆動角度を算出して前記駆動部へ制御信号として出力することを特徴としている。
この構成を採用することによって、時間の経過によって太陽の位置が変化しても日陰にしたい個所が日陰になるように、自動的に日よけ部材を移動させることができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記日よけ部材及び前記駆動部と同一筐体内に設置された制御信号出力部と、前記制御信号出力部に対してデータ通信可能な携帯端末と、を有しており、前記携帯端末は、少なくとも前記日よけ部材の設置個所の緯度経度と、日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離と、を入力可能な入力部と、入力された前記日よけ部材の設置個所の緯度経度と、日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離と、を前記制御信号出力部に送信するための送信部と、を有しており、前記制御信号出力部は、現在時刻を検出可能であるとともに、前記日よけ部材の高さが予め入力されて記憶されているとともに、前記携帯端末から送信されてきた前記日よけ部材の設置個所の緯度経度及び日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離を記憶する前記記憶部を有し、前記記憶部内の前記日よけ部材の設置個所の緯度経度及び検出した現在時刻に基づいて太陽位置を算出し、前記日よけ部材が、太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と交差する位置になるように、前記記憶部に記憶されている日よけ部材の高さと、日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離とに基づいて前記駆動部の駆動距離又は駆動角度を算出することを特徴としてもよい。
この構成によれば、日よけ部材を操作しようとする管理者は、自身が所持する携帯端末によって手元で日よけ部材の自動制御の設定ができるため、管理者の作業効率を大幅に改善できる。
【0011】
また、前記記憶部には、日陰にしたい個所に設置された屋外家具の高さが記憶されており、前記制御部は、前記屋外家具の表面を日陰にしたい個所として、前記駆動部を駆動させる制御信号を出力することを特徴としてもよい。
この構成によれば、屋外家具(テーブル等)の表面を日陰にしたい場合においても日よけ部材を手動で移動させることなく、日陰にしたい屋外家具(テーブル等)の表面を日陰にすることが確実に自動的に実行できる。
【0012】
また、前記日よけ部材は、前記駆動部によって軸線方向を中心に回転駆動する支柱に取り付けられたパラソルの傘部であって、前記制御部は、前記記憶部内の緯度経度及び検出した現在時刻に基づいて太陽位置を算出し、太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と、傘部の高さに該当する平面が交差する交点を算出し、前記支柱の軸線を原点とし、前記原点から前記交点までの水平面内での角度を算出し、前記原点から前記交点までの水平面内での角度と同じ角度で前記支柱を回転させるように前記駆動部を駆動させる制御信号を出力することを特徴としてもよい。
この構成によれば、時間の経過によって太陽の位置が変化しても、手動によりパラソルを移動させることなく自動で日陰にしたい個所を日陰にすることができる。
【0013】
また、前記制御部は、太陽位置として、前記支柱の軸線を原点として太陽高度(仰角)と太陽方位角を算出し、太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と、傘部の高さに該当する平面が交差する交点の算出、及び前記支柱の軸線を原点とし前記原点から前記交点までの水平面内での角度の算出は、以下の式1~式5に基づいて実行する。
(式1)
太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線距離をrとすると、
r=傘部の高さ-(テーブルの高さ/tan(太陽高度(仰角))。
(式2)
前記交点の東西方向の距離をxとすると、
x=r×sin(太陽方位角)+日陰にしたい個所の東西方向の距離。
(式3)
前記交点の南北方向の距離をyとすると、
y=r×cos(太陽方位角)+日陰にしたい個所の南北方向の距離。
(式4)
前記原点から前記交点までの水平面内での角度をθとすると、
θ=atan2(x、y)。
【0014】
また、前記制御部は、日よけ部材が移動不可のエリアを予め設定可能に設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、日よけ装置の設置場所によっては建築物の壁が邪魔になって日よけ部材が移動できない場合もあるため、予め移動不可のエリアを設定することで日よけ部材の破損等の防止を図ることができる。
【0015】
また、前記制御部は、前記駆動部が動作する時間範囲を設定可能に設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、太陽が出ていない時間帯や、早朝や夕方など日差しが弱い時間帯において、無駄に日よけ部材を動作させることがない。
【0016】
本発明にかかる日よけ装置の自動制御プログラムによれば、日よけのための日よけ部材と、前記日よけ部材の位置を平面内で移動させる駆動部と、現在時刻を検出可能であるとともに、前記駆動部を制御する制御部と、少なくとも前記日よけ部材の設置個所の緯度経度、前記日よけ部材の高さ、日陰にしたい個所の前記日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離が記憶されている記憶部と、を具備する日よけ装置において日陰にしたい個所を常に日陰となるように前記日よけ部材を駆動制御するプログラムであって、前記記憶部内の日よけ部材の設置個所の緯度経度及び検出した現在時刻に基づいて太陽位置を算出する機能と、前記日よけ部材が、太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と交差する位置になるように、日よけ部材の高さと、日陰にしたい個所の日よけ部材の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離とに基づいて前記駆動部の駆動距離又は駆動角度を算出して前記駆動部へ制御信号として出力する機能と、を前記制御部に実行させることを特徴としている。
この構成を採用することによって、時間の経過によって太陽の位置が変化しても日陰にしたい個所が日陰になるように、自動的に日よけ部材を移動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、時間の経過によって太陽の位置が変化しても、任意の設定位置に日影が形成されるように、自動で日よけ部材の移動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態のパラソルによる太陽の自動追尾の概要を示す説明図である。
図2】パラソルの外観構成を示す斜視図である。
図3】パラソルの外観構成を示す側面図である。
図4】パラソルの外観構成を示す平面図である。
図5】パラソルの支柱を回転駆動させるための構成のブロック図である。
図6】太陽位置算出の説明図である。
図7】太陽線と傘部の高さの平面とが交差する交点(x、y)を算出するための側面からの説明図である。
図8】太陽線と傘部の高さの平面とが交差する交点(x、y)を算出するための平面からの説明図である。
図9】携帯端末及びマイコンボードの内部構成のブロック図である。
図10】携帯端末の表示画面の例を示す説明図である。
図11】携帯端末の設定画面の例を示す説明図である。
図12】自動制御プログラムの動作を説明するフローチャートである。
図13】第2実施形態のオーニングの外観構成を示す側面図である。
図14】オーニングの外観構成を示す平面図である。
図15】日よけシートを開閉するための構成のブロック図である。
図16】太陽線と日よけシートが交差する交点(x、y)を算出するための側面からの説明図である。
図17】太陽線と日よけシートが交差する交点(x、y)を算出するための平面からの説明図である。
図18】第2実施形態の携帯端末及びマイコンボードの内部構成のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の日よけ装置の自動制御システムとして、日よけ装置がパラソルである場合の実施形態について説明する。
まずパラソルによる太陽の自動追尾の概要について図1に基づいて説明する。
図1(a)~(c)に示すように、パラソル10の傘部20によって生じる日陰Sの位置は、時間経過に基づく太陽位置の変化によって変わってくる。そこで、本実施形態では、パラソル10の傘部20による日陰Sが、屋外家具の一例としてのテーブルTに常に自動的に位置するよう、パラソル10の支柱12を回転させて対応している。
【0020】
図2図4にパラソルの外観構成を示し、パラソルの構成について説明する。
パラソル10は、開閉式(展開・折り畳み可能な構成)の日よけ部材としての傘部20を備えており、傘部20が展開された状態で主として日よけ作用をなす装置である。このようなパラソル10は、一例としてレストラン、ホテル等の商業施設や住宅におけるテラスやガーデン等において使用される。
なお、傘部20は固定式(折り畳み不可能な構成)としてもよい。また、日よけ専用ではなく、例えば防水性を有する傘部20とする等、必要な構成を備えることによって、雨よけ用を兼ねることも可能である。
【0021】
パラソル10は、台座11と、台座11の上に立設された支柱12と、を備えており、支柱12の上部に傘部20が取り付けられる。
支柱12は、略上下方向に沿って立設される下部支柱12Aと、下部支柱12Aの上部から斜め上方へ延設される上部支柱12Bとを備え、全体として屈曲形状に形成されている。
この支柱12に対して傘部20は、上部支柱12Bの先端部から吊り下げ支持された状態で固定されている。
なお、台座11には、転倒を防止するために所定重量のウエイト(図示せず)が内部に配設されている。
【0022】
傘部20は、平面視の中心位置から放射状に複数本(一例として、8本としているが、これに限定されるものではない)が配設される展開・折り畳み可能な骨部20Aと、当該骨部20Aに固定される(張設される)布もしくは樹脂製のシート部20Bとを備えて構成されている。
【0023】
図5に、支柱12を上下方向を軸線として回転駆動させるための構成及び制御系のブロック図について示す。
支柱12の下端部にはギア14が設けられている。この支柱12のギア14と、駆動用のモータ16の駆動軸に設けられたギア15との間でチェーン18が掛け渡されている。モータ16が回転駆動すると、チェーン18が駆動力を支柱12のギア14に伝達し、支柱12が上下方向の軸線Aを中心に回転する。
なお、モータ16の駆動力を支柱12に伝達するのはチェーン18に限定するものではなく、ベルトや複数のギアの組み合わせであってもよい。
【0024】
モータ16は、制御部30からの制御信号によって駆動する。制御部30は、制御信号出力部31と、携帯端末40とを含む。
制御信号出力部31は、モータ16へ供給する電圧や電流を制御してモータ16の回転を制御するモータドライバ32と、モータドライバ32を制御するマイコンボード34とを含む。
また、携帯端末40とマイコンボード34との間はWi-Fi(登録商標)等の無線通信によりデータ通信可能に接続されている。
携帯端末40としては、スマートフォン、タブレットPC、ノートPCなどを採用することができる。
【0025】
また、支柱12の回転角を検出するエンコーダ19が設けられている。エンコーダ19は磁気式であっても光学式であってもよい。エンコーダ19によって検出された支柱12の回転角はマイコンボード34に入力される。
【0026】
マイコンボード34とモータドライバ32にはACアダプタ36が接続されており、マイコンボード34とモータドライバ32の動作に必要な電力が供給されている。
一例としてACアダプタ36は、商用電源AC100VをDC24Vに変換しているが、特にこのような構成に限定するものではなく、ACアダプタ36の代わりに充電可能なバッテリー(図示せず)を搭載してもよい。
【0027】
上述してきた支柱12を回転させるための構成である、チェーン18、モータ16、モータドライバ32、マイコンボード34、ACアダプタ36は台座11内に配置されている。
【0028】
次に、パラソル10の傘部20が、時間経過によっても常に所定の場所に日陰Sを形成するように、傘部20の移動を制御する原理について説明する。
まず、太陽位置として太陽高度(仰角。以下同じ)と太陽方位角の算出について説明する。
図6に示すように、観測点O(本実施形態では、傘部20の設置個所である支柱12の軸線中心。以下同じ。)における太陽の仰角hが太陽高度であり、また、観測点Oと太陽を結ぶ直線の地表面への投射線と正南方向とのなす角が太陽方位角αである。
太陽高度hは、観測点Oの緯度、太陽赤緯、時角(観測地点の経度と現在時刻に基づいて算出される)に基づいて既知の算出式によって算出される。
太陽方位角αは、太陽高度、観測点Oの緯度、太陽赤緯、時角に基づいて既知の算出式によって算出される。
【0029】
図7図8に示すように、日陰にしたい個所は傘部20の設置個所から北側に設定する。
また、傘部20の設置個所から日陰にしたい個所の東西方向の距離x1及び南北方向の距離y1と、日陰にしたい個所をテーブルTとした場合のテーブルTの地表面からの高さtを算出しておく。傘部20の地表面からの高さHは一定であり、予め判明しているものである。
なお、日陰にしたい個所は傘部20の設置個所から真北に設定することが好ましく、この場合には東西方向の距離x1=0となる。
【0030】
太陽位置と日陰にしたい個所(ここではテーブルTの表面(高さt)としている)を結ぶ直線を、以下では太陽線と称する。
そして、太陽線と傘部20の高さの平面とが交差する交点(x、y)を算出する。この交点(x、y)に傘部20が位置するように、傘部20を駆動制御することにより、日陰にしたい個所を常に日陰となるように制御できる。
なお、交点は地表面を平面視して南北方向をy軸、東西方向をx軸として、支柱12の軸線を原点としたxy座標で表現する。この原点は、上述した観測点Oと同じ個所である。
【0031】
太陽線と傘部20の高さの平面とが交差する交点(x、y)に、傘部20を位置させるための傘部20の回転角度は以下のように算出する。
まず、交点を以下のような式に基づいて算出する。
太陽線距離をrとすると、rは以下の式1で算出される。
r=H-(t/tanh)・・・式1
交点のx座標は、以下の式2で算出される。
x=r×sinα+x1・・・式2
交点のy座標は、以下の式3で算出される。
y=r×cosα+y1・・・式3
原点から交点(x、y)までの水平面内での角度θは、以下の式4で算出される。
θ=atan2(x、y)・・・式4
【0032】
このようにして、原点から交点までの水平面内の角度θが算出されるため、傘部20の支柱12を式4で算出されたθだけ回転させることで、日陰にしたい個所を日陰にすることができる。
なお、日陰にしたい個所をテーブルTではなく地表にしたい場合には、式1においてt=0とすることで算出可能である。
【0033】
続いて、上述した原理に基づいた実際の制御システムの構成について説明する。
図9に携帯端末40及びマイコンボード34の内部構成のブロック図を示す。
ここで携帯端末40は、一例としてスマートフォンとする。携帯端末40は、LCD等の表示部42と入力部44とを備えているが、表示部42がタッチパネル方式である場合には表示部42が入力部44を兼用している。
携帯端末40は無線通信部46を有しており、Wi-Fi(登録商標)や通信キャリアとの無線通信が可能である。
【0034】
また、携帯端末40は、携帯端末全体の動作制御を実行する携帯端末制御部48と、ROMやRAM等の記憶部49とを有している。携帯端末制御部48はCPU等から構成される。
記憶部49には自動制御設定プログラムP1が記憶されている。自動制御設定プログラムP1は、いわゆるアプリケーションソフトウェアとして携帯端末40にインストールされている。
【0035】
マイコンボード34は、CPU等のマイコンボード制御部52と、ROMやRAM等の記憶部54と、携帯端末40と無線通信するための無線通信部50と、時計55と、を有している。
記憶部54には自動制御プログラムP2と、傘部20の地表面からの高さ(H)が記憶されている。傘部20の高さは一定であり、予め判明しているものであるため、本システム出荷時には傘部20の高さ(H)は記憶させておく。
記憶部54には、さらに太陽高度と太陽方位角の算出に必要な太陽赤緯データが予め記憶されている。太陽赤緯とは、天の赤道面を0度とし北極方向を正として定めた天球上の角度である。
【0036】
自動制御プログラムP2は、時計55が計時する現在時刻と、携帯端末40から送信されてきた傘部20の設置個所の緯度経度とに基づいて太陽位置を算出する機能と、傘部20が、太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と交差する位置になるように、傘部20の高さ(H)と、携帯端末40から送信されてきた日陰にしたい個所の傘部20の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離とに基づいてモータ16の駆動角度を算出する機能と、算出した駆動角度をモータ16が駆動するように制御信号をモータドライバ32へ出力する機能と、を有している。
【0037】
次に、携帯端末40の表示部42に表示される表示画面の例を図10に基づいて説明する。
この表示画面は、管理者が携帯端末40を操作して自動制御設定プログラムP1を起動した時に表示される。
表示画面では、動作モード変更ボタン60が表示される。管理者は動作モード変更ボタン60をタッチすることにより、自動的に傘部20の移動を制御する自動モードと、手動で傘部20を移動させる手動モードへの切換が可能である。この切換は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に制御信号を出力することにより実行される。
【0038】
表示画面には、左回転ボタン62、中央(北)ボタン64、右回転ボタン66が表示され、管理者は手動モードを選択した場合においてこれらの各ボタンをタッチすることで傘部20がそれぞれの方向に移動するように制御することができる。左回転ボタン62、中央(北)ボタン64、右回転ボタン66の下方には、停止ボタン68が表示されており、管理者は停止ボタン68をタッチすることで傘部20の動作を停止させることができる。これらの制御は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に制御信号を出力することにより実行される。
【0039】
また、停止ボタン68の下方には、傘部20の現在の角度、状態、CPU温度、緯度・経度、日時、テーブルTの位置、テーブルTの高さ、傘部20の回転制御角度、開始/終了時間、が表示される。これらの情報は、後述する設定モードにおいて設定される。
【0040】
状態の表示個所に隣接して異常リセットボタン70が表示されている。管理者は異常状態が解消されたと判断したときには、異常リセットボタン70をタッチすることにより異常状態をリセットすることができる。
状態の表示個所の下方には、情報読込ボタン72が表示されている。管理者は情報読込ボタン72をタッチすることでマイコンボード34に記憶されている情報を読み込んで表示部42に表示させることができる。
これらの制御は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に制御信号を出力することにより実行される。
【0041】
表示画面の最下部には設定ボタン74が表示されている。管理者が設定ボタン74をタッチすることにより、携帯端末制御部48は設定モードに移行し、図11に示すような設定画面を表示部42に表示させる。
【0042】
以下、図11に基づいて携帯端末40の設定画面の例について説明する。
設定画面の左上には戻るボタン76が表示されている。管理者が戻るボタン76をタッチすることにより、図10に示した表示画面に戻ることができる。
【0043】
設定画面の上部には、左回転ボタン62、中央(北)ボタン64、右回転ボタン66、停止ボタン68が表示されているが、これらのボタンの機能は上述した通りであり、説明は省略する。
【0044】
角度表示の右側には、指定角度へ回転ボタン78が表示されている。管理者が指定角度へ回転ボタン78をタッチすることにより、携帯端末制御部48は指定角度の入力ウインドウ(図示せず)を表示させ、管理者の入力を促す。
入力ウインドウに入力された回転角度は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に出力される。
【0045】
指定角度へ回転ボタン78の下方には、北(0度)にセットボタン80が表示されている。管理者が北(0度)にセットボタン80をタッチすることにより、携帯端末制御部48は無線通信部46を介してマイコンボード34に制御信号を出力し、マイコンボード34が傘部20の向きを北(0度)に向くように制御する。
なお、本実施形態における角度表示としては、北を0度、東を90度、南を180度、西を270度とし、北から時計回りに正の角度となる左手系北基準を採用しているが、特にこの角度表示に限定するものではない。
【0046】
北(0度)にセットボタン80の下方には、異常リセットボタン70が表示されているが、このボタンの機能は上述した通りであり、説明は省略する。
【0047】
異常リセットボタン70の下方には、起動時動作変更ボタン82が表示されている。管理者が起動時動作変更ボタン82をタッチすることにより、携帯端末制御部48は、自動制御設定プログラムP1の起動時に自動モードになっているか、手動モードになっているかを選択することができる。
【0048】
起動時動作変更ボタン82の下方には、北緯設定ボタン84が表示されている。管理者が北緯設定ボタン84をタッチすることにより、携帯端末制御部48は支柱12の北緯の入力ウインドウ(図示せず)を表示させ、管理者の入力を促す。
入力ウインドウに入力された北緯は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に出力される。
【0049】
北緯設定ボタン84の下方には、東経設定ボタン86が表示されている。管理者が東経設定ボタン86をタッチすることにより、携帯端末制御部48は支柱12の東経の入力ウインドウ(図示せず)を表示させ、管理者の入力を促す。
入力ウインドウに入力された東経は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に出力される。
【0050】
東経設定ボタン86の下方には、日時設定ボタン88が表示されている。自動制御設定プログラムP1では、マイコンボード34における日時が表示されているが、管理者が日時設定ボタン88をタッチすることにより、携帯端末制御部48は携帯端末40の日時を、無線通信部46を介してマイコンボード34に出力する。
【0051】
日時設定ボタン88の下方には、テーブル東西位置設定ボタン90が表示されている。管理者がテーブル東西位置設定ボタン90をタッチすることにより、携帯端末制御部48はテーブルTの支柱12からの東西位置(x1)の入力ウインドウ(図示せず)を表示させ、管理者の入力を促す。なお、本実施形態では支柱12を原点とし東側をプラス(+)、西側をマイナス(-)とする。
入力ウインドウに入力されたテーブルTの支柱12からの東西位置(x1)は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に出力される。
【0052】
テーブル東西位置設定ボタン90の下方には、テーブル南北位置設定ボタン92が表示されている。管理者がテーブル南北位置設定ボタン92をタッチすることにより、携帯端末制御部48はテーブルTの支柱12からの南北位置(y1)の入力ウインドウ(図示せず)を表示させ、管理者の入力を促す。なお、本実施形態では支柱12を原点とし北側をプラス(+)、南側をマイナス(-)とする。
入力ウインドウに入力されたテーブルTの支柱12からの南北位置(y1)は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に出力される。
【0053】
テーブル南北位置設定ボタン92の下方には、テーブル高さ設定ボタン94が表示されている。管理者がテーブル高さ設定ボタン94をタッチすることにより、携帯端末制御部48はテーブルTの高さ(t)の入力ウインドウ(図示せず)を表示させ、管理者の入力を促す。
入力ウインドウに入力されたテーブルTの高さ(t)は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に出力される。
【0054】
テーブル高さ設定ボタン94の下方には、回転制限(東)設定ボタン96が表示されている。管理者が回転制限(東)設定ボタン96をタッチすることにより、携帯端末制御部48は回転制限(東)の入力ウインドウ(図示せず)を表示させ、管理者の入力を促す。ここでは、北を0度とした左手系北基準に基づく方位角を入力するようにしており、例えば傘部20の動作を東(90度)から開始させたい場合は、90度を入力する。
入力ウインドウに入力された方位角は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に出力される。
【0055】
回転制限(東)設定ボタン96の下方には、回転制限(西)設定ボタン98が表示されている。管理者が回転制限(西)設定ボタン98をタッチすることにより、携帯端末制御部48は回転制限(西)の入力ウインドウ(図示せず)を表示させ、管理者の入力を促す。ここでは、回転制限(東)設定ボタンと同省に北を0度とした左手系北基準に基づく方位角を入力するようにしており、例えば傘部20の動作を西(270度)で終了させたい場合は、270度を入力する。
入力ウインドウに入力された方位角は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に出力される。
【0056】
回転制限(西)設定ボタン98の下方には、開始時間設定ボタン100が表示されている。管理者が開始時間設定ボタン100をタッチすることにより、携帯端末制御部48は開始時間の入力ウインドウ(図示せず)を表示させ、管理者の入力を促す。
入力ウインドウに入力された開始時間は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に出力される。
【0057】
開始時間設定ボタン100の下方には、終了時間設定ボタン102が表示されている。管理者が終了時間設定ボタン102をタッチすることにより、携帯端末制御部48は開始時間の入力ウインドウ(図示せず)を表示させ、管理者の入力を促す。
入力ウインドウに入力された終了時間は、携帯端末制御部48が無線通信部46を介してマイコンボード34に出力される。
【0058】
上述してきたような携帯端末40の設定画面において入力された各データは、マイコンボード34において受信して記憶部54に記憶し、これらのデータに基づいてマイコンボード制御部52が実行する自動制御プログラムP2により、図6図8に示したような原理に基づいて日陰にしたい個所を常に日陰にするように支柱12を回転させる太陽自動追尾の自動制御を実行する。
【0059】
続いて、図12に示すフローチャートに基づいて、自動モードにおける自動制御プログラムP2の制御動作を説明する。
自動制御プログラムP2は、携帯端末40から送信された開始時間になったときに(ステップS100)、太陽自動追尾を開始する(ステップS104)。
なお、自動制御プログラムP2は、後述するように開始時間外のときは、傘部20は北0度の位置に停止している(ステップS108)。
【0060】
太陽自動追尾のステップS104の具体的内容を以下に説明する。
まず自動制御プログラムP2は、現在時刻と携帯端末40から送信された東経とから時角を算出する。
そして、自動制御プログラムP2は、携帯端末40から送信された北緯と、予め記憶部54に記憶されている太陽赤緯と、先に算出した時角とから太陽高度(仰角)hを算出する。
次に自動制御プログラムP2は、算出した太陽高度hと、携帯端末40から送信された北緯と、予め記憶部54に記憶されている太陽赤緯と、先に算出した時角とから太陽方位角αを算出する。
【0061】
次に自動制御プログラムP2は、太陽高度h及び太陽方位角αとからなる太陽位置と日陰にしたい高さtのテーブルTの表面とを結ぶ直線を、太陽線とし、太陽線距離rを、r=H-(t/tanh)・・・式1より算出する。ここで、Hは予め記憶部54に記憶されている傘部20の高さである。
【0062】
次に自動制御プログラムP2は、太陽線と傘部20の高さの平面とが交差する交点(x、y)のうちのx座標を、x=r×sinα+x1・・・式2より算出する。ここでx1は、携帯端末40から送信されたテーブルTの支柱12からのx方向の距離である。
【0063】
次に自動制御プログラムP2は、太陽線と傘部20の高さの平面とが交差する交点(x、y)のうちのy座標を、y=r×cosα+y1・・・式3より算出する。ここでy1は、携帯端末40から送信されたテーブルTの支柱12からのy方向の距離である。
【0064】
次に自動制御プログラムP2は、支柱12の中心から交点(x、y)までの水平面内での角度θを、θ=atan2(x、y)・・・式4より算出する。
自動制御プログラムP2は、ここで算出された角度θだけ傘部20を回転させるようにモータドライバ32に制御信号を出力する。
以上が太陽自動追尾のステップS104の具体的内容である。
【0065】
自動制御プログラムP2は、携帯端末40から送信された終了時間になったときに(ステップS106)、太陽自動追尾を終了し、傘部20を北0度の位置に回転させて停止する(ステップS108)。
【0066】
(第2実施形態)
次に、本発明の日よけ装置の自動制御システムとして、日よけ装置がパーゴラタイプのオーニングである場合の実施形態について説明する。
図13及び図14に本実施形態のオーニングの外観構成を示す。
本実施形態のオーニング120は、ホテルやレストランの庭や屋上、あるいは公園や高速道路の野外、その他の施設に設置するものとしている。
【0067】
また本実施形態のオーニング120は、平面視矩形状であって各辺が東西南北を向き、日よけシート122は折り畳まれた状態で南側に位置し、日よけシート122は北方向に伸長する方向に配置されているものとする。
オーニング120は、平面視矩形状のルーフユニット124と、ルーフユニット124の4つの角部に設けられてルーフユニット124を支持する4本の支柱126と、ルーフユニット124に張られる折り畳み式の日よけシート122と、日よけシート122を開閉させる(広げたり折り畳んだりする)開閉機構127と、を具備している。
【0068】
ルーフユニット124は、南北方向に一対の前後桁フレーム124A,124Aと、124Aと東西方向に一対の左右桁フレーム124B,124Bとを有する平面視矩形枠状のフレーム構造であり、4つの角部がそれぞれ支柱126によって支持されるフレームユニットである。
【0069】
日よけシート122は、複数のシート支持フレーム128によって支持されている。
具体的には、日よけシート122は、南北方向に並べられて配設される複数のシート部材130を有し、複数のシート部材130は、南北方向に並べられて配設される複数のシート支持フレーム128同士の各間に張られる。すなわち、日よけシート122は、複数のシート部材130が複数のシート支持フレーム128を介して連接しているものとして構成される。
【0070】
複数のシート支持フレーム128の長手方向両端は、東西方向に一対の左右桁フレーム124B,124Bによって南北方向に移動可能に支持されている。
日よけシート122の伸長方向の先端部にはシート支持フレーム128を前後方向に移動させるための牽引フレーム132が設けられ、日よけシート122の東西方向中央には伸長方向に延びるロープ134が配設されている。牽引フレーム132はロープ134に接続されている。
【0071】
本実施形態では、ロープ134は、一方の方向に牽引されて回転されることにより日よけシート122を開き、それとは反対の他方の方向に回転されることにより日よけシート122を閉じる。尚、ロープ134は、開閉機構127に連結されており、開閉機構127の動作により牽引される。
【0072】
ルーフユニット124は、4本の支柱126により、水平に支持される。本実施形態では、各支柱126の下端には、錘136が設けられているが、このような構成に限定するものではない。
【0073】
また、各シート支持フレーム128同士の間に張られるシート部材130の材質は、可撓性を有すると共に雨よけ及び日よけシートとして必要とされる強度を備えるものであれば、特定の種類に限定されるものではない。
【0074】
図15に開閉機構及び制御系のブロック図を示す。
開閉機構127は、本実施形態では南側の桁フレーム124Aに固定して設けられ、モータ138と、モータ138の駆動力によりロープ134を牽引する牽引機構140と、モータ138の回転を制御する制御部142とを有している。
制御部142は、制御信号出力部144と、携帯端末145とを含んでおり、制御信号出力部144は、モータ138へ供給する電圧や電流を制御してモータ138の回転を制御するモータドライバ146と、モータドライバ146を制御するマイコンボード148とを含む。
また、携帯端末145とマイコンボード148との間はWi-Fi(登録商標)等の無線通信によりデータ通信可能に接続されている。
携帯端末145としては、スマートフォン、タブレットPC、ノートPCなどを採用することができる。
【0075】
マイコンボード148とモータドライバ146にはACアダプタ150が接続されており、マイコンボード148とモータドライバ146の動作に必要な電力が供給されている。
一例としてACアダプタ150は、商用電源AC100VをDC24Vに変換しているが、特にこのような構成に限定するものではなく、ACアダプタ150の代わりに充電可能なバッテリー(図示せず)を搭載してもよい。
【0076】
牽引機構140は、モータ138の駆動力によって日よけシート122を開くためにロープ134を一方の方向に牽引する回転をしたり、日よけシート122を閉じるためにロープ134を他方の方向に牽引する回転をしたりする。
【0077】
次に、日よけシート122が、時間経過によっても常に所定の場所に日陰を形成するように、日よけシート122の移動を制御する原理について説明する。
まず、太陽位置として太陽高度と太陽方位角の算出については第1実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0078】
図16図17に示すように、日陰にしたい個所は最南端の桁フレーム124Aよりも北側に設定する。
また、傘部20の設置個所から日陰にしたい個所の東西方向の距離x1及び南北方向の距離y1と、日陰にしたい個所をテーブルTとした場合のテーブルTの地表面からの高さtを算出しておく。日よけシート122の高さHは一定であり、予め判明しているものである。
日よけシート122の設置個所としての原点は、最南端の桁フレーム124Aの東西方向中心とし、日陰にしたい個所はこの原点から真北に設定することが好ましく、この場合には東西方向の距離x1=0となる。
【0079】
太陽位置と日陰にしたい個所(ここではテーブルTの表面(高さt)としている)を結ぶ直線を、以下では太陽線と称する。
そして、太陽線と傘部20の高さの平面とが交差する交点(x、y)を算出する。この交点(x、y)に日よけシート122が位置するように、日よけシート122を駆動制御することにより、日陰にしたい個所を常に日陰となるように制御できる。
なお、交点は地表面を平面視して南北方向をy軸、東西方向をx軸として、原点を中心としたxy座標で表現する。
【0080】
太陽線と日よけシート122の高さの平面とが交差する交点(x、y)は以下のように算出する。
太陽線距離をrとすると、rは以下の式1で算出される。
r=H-(t/tanh)・・・式1
交点のx座標は、以下の式2で算出される。
x=r×sinα+x1・・・式2
交点のy座標は、以下の式3で算出される。
y=r×cosα+y1・・・式3
【0081】
日よけシート122はy軸方向にしか移動しないため、交点のy座標まで日よけシート122を移動させることにより、日陰にしたい個所(ここではテーブルTの表面(高さt)が日陰となる。
【0082】
続いて、上述した原理に基づいた実際の制御システムの構成について説明する。
図18に携帯端末145及びマイコンボード148の内部構成のブロック図を示す。
ここで携帯端末145は、一例としてスマートフォンとする。携帯端末145は、LCD等の表示部152と入力部154とを備えているが、表示部152がタッチパネル方式である場合には表示部152が入力部154を兼用している。
携帯端末145は無線通信部156を有しており、Wi-Fi(登録商標)や通信キャリアとの無線通信が可能である。
【0083】
また、携帯端末145は、携帯端末全体の動作制御を実行する携帯端末制御部158と、ROMやRAM等の記憶部159とを有している。携帯端末制御部158はCPU等から構成される。
記憶部159には自動制御設定プログラムP1が記憶されている。自動制御設定プログラムP1は、いわゆるアプリケーションソフトウェアとして携帯端末145にインストールされている。
【0084】
マイコンボード148は、CPU等のマイコンボード制御部160と、ROMやRAM等の記憶部162と、携帯端末145と無線通信するための無線通信部164と、時計166と、を有している。
記憶部162には自動制御プログラムP2と、日よけシート122の地表面からの高さ(H)が記憶されている。日よけシート122の高さは一定であり、予め判明しているものであるため、本システム出荷時には日よけシート122の高さ(H)は記憶させておく。
記憶部162には、さらに太陽高度と太陽方位角の算出に必要な太陽赤緯データが予め記憶されている。太陽赤緯とは、天の赤道面を0度とし北極方向を正として定めた天球上の角度である。
【0085】
自動制御プログラムP2は、時計166が計時する現在時刻と、携帯端末145から送信されてきた日よけシート122の設置個所の緯度経度とに基づいて太陽位置を算出する機能と、日よけシート122が、太陽位置と日陰にしたい個所とを結ぶ直線と交差する位置になるように、日よけシート122の高さ(H)と、携帯端末145から送信されてきた日陰にしたい個所の日よけシート122の設置個所からの東西方向及び南北方向の距離とに基づいて、日よけシート122を距離yだけ移動させるためのモータ138の駆動角度を算出する機能と、算出した駆動角度をモータ138が駆動するように制御信号をモータドライバ146へ出力する機能と、を有している。
【0086】
本実施形態では携帯端末145の表示部152に表示される表示画面及び設定画面の例、並びに自動制御プログラムP2のフローチャートは省略する。
本実施形態では日よけシート122はy軸方向にしか移動させないため、指定角度への回転、北0度への設定、回転制限(東)設定、回転制限(西)設定が無いことが第1実施形態との相違点である。ただし、本実施形態では北方向への移動制限を設けてもよい。
【0087】
なお、本実施形態では、日よけシート122を移動させるために、ロープ134をモータ138が駆動する牽引機構140で牽引して行う例について説明した。しかし、日よけシート122の移動は、電動アクチュエータ等の直動装置によって行ってもよい。
【0088】
本実施形態のオーニングはパーゴラタイプに限定するものではなく、日よけシートを開閉機構によって開閉可能なものであれば、他の構成のオーニングであっても適用可能である。
【0089】
上述してきた各実施形態によれば、太陽位置の変化に追従して、日陰にしたい個所を自動的に常に日陰にするために傘部20を回転させるか、または日よけシート122を移動させていくことで、こまめな状況確認が不要で作業効率よく日陰にしたい個所を自動的に常に日陰にすることができる。
【符号の説明】
【0090】
10 パラソル
11 台座
12 支柱
12A 下部支柱
12B 上部支柱
14 ギア
15 ギア
16 モータ
18 チェーン
19 エンコーダ
20 傘部
20A 骨部
20B シート部
30 制御部
31 制御信号出力部
32 モータドライバ
34 マイコンボード
36 ACアダプタ
40 携帯端末
42 表示部
44 入力部
46 無線通信部
48 携帯端末制御部
49 記憶部
50 無線通信部
52 マイコンボード制御部
54 記憶部
55 時計
60 動作モード変更ボタン
62 左回転ボタン
64 中央(北)ボタン
66 右回転ボタン
68 停止ボタン
70 異常リセットボタン
72 情報読込ボタン
74 設定ボタン
76 戻るボタン
78 回転ボタン
80 北(0度)にセットボタン
82 起動時動作変更ボタン
84 北緯設定ボタン
86 東経設定ボタン
88 日時設定ボタン
90 テーブル東西位置設定ボタン
92 テーブル南北位置設定ボタン
94 テーブル高さ設定ボタン
96 回転制限(東)設定ボタン
98 回転制限(西)設定ボタン
100 開始時間設定ボタン
102 終了時間設定ボタン
120 オーニング
122 日よけシート
124 ルーフユニット
124A、124B 桁フレーム
126 支柱
127 開閉機構
128 シート支持フレーム
130 シート部材
132 牽引フレーム
134 ロープ
136 錘
138 モータ
140 牽引機構
142 制御部
144 制御信号出力部
145 携帯端末
146 モータドライバ
148 マイコンボード
150 ACアダプタ
152 表示部
154 入力部
156 無線通信部
158 携帯端末制御部
159 記憶部
160 マイコンボード制御部
162 記憶部
164 無線通信部
166 時計
P1 自動制御設定プログラム
P2 自動制御プログラム
S 日陰
T テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
図18