(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130210
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】パラソル
(51)【国際特許分類】
A45B 17/00 20060101AFI20240920BHJP
A45B 25/08 20060101ALI20240920BHJP
E04H 15/28 20060101ALI20240920BHJP
E04H 15/44 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A45B17/00 Z
A45B25/08 B
E04H15/28
E04H15/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039820
(22)【出願日】2023-03-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 下記の日付および場所にて、タカノ株式会社が、特許出願の発明品であるパラソル(製品名:センターポールパラソル『ノバ』)を公開した。 1.2023年2月6日、「第51回 国際ホテル・レストラン・ショー」にて会場搬入時に公開した。 2.2023年2月7日から10日、「第51回 国際ホテル・レストラン・ショー」会場にて、実物展示及び製品紹介冊子の配布およびポスターカタログの掲載によって公開した。 3.2023年2月7日、下記2つのアドレスで公開されているタカノ株式会社のウェブサイトにて公開した。 URLその1 : https://www.takano-net.co.jp/exterior/product/dev/nova/ URLその2 : https://www.takano-net.co.jp/exterior/information_exhibit/detail/?dbid=1140 4.2023年2月7日、タカノ株式会社により発行されたメールマガジンにて、下記のアドレスで公開されているタカノ株式会社のウェブサイトへのリンクを公開した。 URL:https://www.takano-net.co.jp/exterior/product/dev/nova/
(71)【出願人】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋屋 隆雄
【テーマコード(参考)】
2E141
3B104
【Fターム(参考)】
2E141AA09
2E141BB04
2E141CC04
2E141DD12
2E141DD24
2E141DD25
2E141DD27
2E141EE28
2E141FF02
3B104AA11
3B104QA01
3B104QA02
3B104QB02
(57)【要約】
【課題】背が低い操作者であっても、確実に展開操作や折り畳み操作を行うことが可能なパラソルを提供する。
【解決手段】支柱10と、支柱10の頂部を中心とする所要範囲を覆う生地22と、生地22を支えるように放射状に配置された親骨23と、親骨23の支柱側端部23Aを連結して集合させると共に支柱10の所要高さ位置に取り付けられた親骨用ろくろ25と、親骨23の放射方向における中間位置において親骨23を支持する受骨24と、受骨24の支柱側端部24Aを連結して集合させると共に支柱10に沿って移動可能な受骨用ろくろ26と、を有し、受骨用ろくろ26には操作レバー29が連結されており、操作レバー29は、支柱10と平行にした状態と支柱10の外周面に対し径外方向に起立させた状態との間で回動可能であることを特徴とするパラソル1である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、前記支柱の頂部を中心とする所要範囲を覆う生地と、前記生地を支えるように放射状に配置された親骨と、前記親骨の支柱側端部を連結して集合させると共に前記支柱の所要高さ位置に取り付けられた親骨用ろくろと、前記親骨の放射方向における中間位置において前記親骨を支持する受骨と、前記受骨の支柱側端部を連結して集合させると共に前記支柱に沿って移動可能な受骨用ろくろと、を有するパラソルにおいて、
前記受骨用ろくろには操作レバーが連結されており、
前記操作レバーは、前記支柱と平行な状態と前記支柱の外周面に対し径外方向に起立した状態との間で回動可能であることを特徴とするパラソル。
【請求項2】
前記操作レバーは把持部を有しており、
前記把持部には前記支柱の外周面に対し径方向に押圧することで弾性変形し、前記支柱の外周面に嵌合する円弧状部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のパラソル。
【請求項3】
前記支柱には、前記生地を展開させた状態における前記受骨用ろくろの高さ位置に位置合わせして第1係合穴が配設されていると共に、前記生地を折り畳んだ状態における前記受骨用ろくろの高さ位置に位置合わせして第2係合穴が配設されており、
前記操作レバーには前記第1係合穴および前記第2係合穴にそれぞれ進入する係合ピンが設けられていることを特徴とする請求項1記載のパラソル。
【請求項4】
前記係合ピンを前記第1係合穴に係合させた状態における前記受骨の前記支柱側端部の高さ位置が、前記受骨の露先側端部の高さ位置よりも上側位置であることを特徴とする請求項3記載のパラソル。
【請求項5】
前記親骨の一部が前記生地の上面に対して起立する方向に揺動可動な可動骨に形成され、
前記可動骨の少なくとも一部には前記生地が取り付けられており、
前記可動骨と前記可動骨に取り付けられた前記生地とにより、風が吹きつけられたときに浮揚しあるいは翻ることにより前記風を受け流す可動ベンチレーション部が構成されていることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか一項記載のパラソル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日よけに用いられるパラソルに関する。
【背景技術】
【0002】
レストラン、ホテル等の商業施設や住宅におけるテラスやガーデン等に設置されて、日よけに用いられるパラソルとして特許文献1(特許第6795943号公報)に開示されているような構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6795943号公報(請求項1、明細書段落0020~0021、
図1~
図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に例示されているパラソルにおいては、パラソルの展開および折り畳みを行う際は、いわゆる下ろくろに相当する受骨用ろくろを掴みながら支柱に沿って受骨用ろくろを上下動させる操作が行われる。このとき、パラソルを展開および折り畳みするためには、支柱の所要高さ位置に受骨用ろくろを上昇させる操作や、支柱の所定高さ位置にある受骨ろくろを下降させる操作を行う必要があり、背が低い操作者によっては受骨用ろくろに手が届かず、受骨用ろくろを操作するためには脚立等の足場を準備しなければならないといった課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、背が低い操作者であっても、脚立等の足場を準備せずとも確実に展開操作や折り畳み操作を行うことが可能なパラソルの提供を目的とする。
【0006】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0007】
すなわち、本発明は、支柱と、前記支柱の頂部を中心とする所要範囲を覆う生地と、前記生地を支えるように放射状に配置された親骨と、前記親骨の支柱側端部を連結して集合させると共に前記支柱の所要高さ位置に取り付けられた親骨用ろくろと、前記親骨の放射方向における中間位置において前記親骨を支持する受骨と、前記受骨の支柱側端部を連結して集合させると共に前記支柱に沿って移動可能な受骨用ろくろと、を有するパラソルにおいて、前記受骨用ろくろには操作レバーが連結されており、前記操作レバーは、前記支柱と平行な状態と前記支柱の外周面に対し径外方向に起立した状態との間で回動可能であることを特徴とするパラソルである。
【0008】
これによれば、背が低い操作者であっても、脚立等の足場を準備せずとも確実にパラソルの展開や折り畳みを行うことができる。
【0009】
また、前記操作レバーは把持部を有しており、前記把持部には前記支柱の外周面に対し径方向に押圧することで弾性変形し、前記支柱の外周面に嵌合する円弧状部が形成されていることが好ましい。
【0010】
これにより、操作レバーを使用しない際には、円弧状部を支柱に押圧するだけで支柱に嵌合させることで操作レバーを固定することができる。
【0011】
また、前記支柱には、前記生地を展開させた状態における前記受骨用ろくろの高さ位置に位置合わせして第1係合穴が配設されていると共に、前記生地を折り畳んだ状態における前記受骨用ろくろの高さ位置に位置合わせして第2係合穴が配設されており、前記操作レバーには前記第1係合穴および前記第2係合穴にそれぞれ進入する係合ピンが設けられていることが好ましい。
【0012】
これにより、操作レバーに設けられた係合ピンが支柱の係合穴に係合することで、パラソルの展開状態および折り畳み状態をそれぞれ維持することができる。
【0013】
また、前記係合ピンを前記第1係合穴に係合させた状態における前記受骨の前記支柱側端部の高さ位置が、前記受骨の露先側端部の高さ位置よりも上側位置であることが好ましい。
【0014】
これにより、パラソルを展開した状態からパラソルが折り畳まれようとする力が作用した場合であっても、パラソルの生地の張力により、親骨と受骨が折り畳まれようとする動作が規制され、パラソルの展開状態がより維持されやすくなる。
【0015】
また、前記親骨の一部が前記生地の上面に対して起立する方向に揺動可動な可動骨に形成され、前記可動骨の少なくとも一部には前記生地が取り付けられており、前記可動骨と前記可動骨に取り付けられた前記生地とにより、風が吹きつけられたときに浮揚しあるいは翻ることにより前記風を受け流す可動ベンチレーション部が構成されていることが好ましい。
【0016】
これにより、パラソルに強風が吹いた際には、可動ベンチレーション部で風を受け流すことができ、パラソルの転倒が防止され、安全に使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、背が低い操作者であっても、脚立等の足場を準備せずとも確実にパラソルの展開や折り畳みを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態におけるパラソルを展開した状態を示す正面図および右側面図である。
【
図2】第1実施形態におけるパラソルを展開した状態を示す平面図と下方からの斜視図である。
【
図3】第1実施形態におけるパラソルの可動ベンチレーション部が作動した状態の一例を示す正面図および右側面図である。
【
図4】第1実施形態におけるパラソルを展開した状態において、生地を省略した正面図である。
【
図5】第1実施形態におけるパラソルを展開し、かつ、操作レバーを回動させた状態における下方からの斜視図である。
【
図6】操作レバーの把持部側における要部斜視図である。
【
図7】第2実施形態におけるパラソルを展開した状態を示す下方からの斜視図である。
【
図8】第2実施形態におけるパラソルを折り畳み状態から展開するまでの操作状態を示す説明図である。
【
図9】第2実施形態におけるパラソルを折り畳み状態から展開するまでの操作状態を示す説明図である。
【
図10】第2実施形態におけるパラソルを折り畳み状態から展開するまでの操作状態を示す説明図である。
【
図11】第2実施形態におけるパラソルを折り畳み状態から展開するまでの操作状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、装置の構造材料としては、特に明示しない限り一般的な構造材料(金属、樹脂、木材等)が用いられるものとする。
【0020】
(第1実施形態)
図1および
図2に示すように本実施形態におけるパラソル1は、支柱10の頂部に取り付けられた開閉式(すなわち、展開・折り畳み可能な構成)の傘部20を備えており、傘部20が展開された状態で主として日よけ作用をなす装置である。具体的には、レストラン、ホテル等の商業施設や住宅におけるテラスやガーデン等において使用されるものを例示することができる。また、本発明にかかるパラソル1は、日よけ専用ではなく、例えば防水性を有する傘部20(後述の生地22)とする等、必要な構成を備えることによって、雨よけ用を兼ねることも可能である。
【0021】
本実施形態において、パラソル1は、台座30の上に立設される支柱10と、支柱10の頂部に取付けられた傘部20と、を備えている。支柱10は、パラソル1の設置面Gに対して直交方向(鉛直方向)に立設されている。ここで、設置面Gに対する直交方向とは、パラソル1の設置面Gに対する直交する状態を含んだ所要角度範囲を含むものとし、厳密な直交方向に限定されるものではない。この支柱10の上端部に傘部20の平面中心部分が支持された状態で公知の手法で固定されている。また、支柱10と支柱10を保持する台座30は公知の手法により取り付けられており、台座30は、パラソル1の転倒を防止するため所定重量を有している。ここでは、鋼板により製造された台座30を採用しているが、ケースの内部にウエイト(いずれも図示はせず)を収容した台座30に代表される公知の態様を採用することもできる。
【0022】
また、本実施形態における傘部20は、平面視の中心から放射状に配設され、展開・折り畳み可能な骨部21と、骨部21に固定される(張設される)布もしくは樹脂製の生地22と、を備えて構成されている。また、本実施形態における骨部21は、親骨23、受骨24、親骨用ろくろ25、受骨用ろくろ26およびヒンジ部27を有している。生地22は、支柱10の頂部を中心とする所要範囲を覆うようにして骨部21の一部を構成する親骨23の複数箇所に固定されている。
【0023】
親骨23は、支柱10から支柱10の径外方向に向けて放射状に複数本(ここでは6本としているが、6本に限定されるものではない)配設されている。親骨23の支柱側端部23Aは、親骨用ろくろ25に回動可能に集合された状態で連結されており、この親骨用ろくろ25は、支柱10の所要高さ位置に取り付けられている。また、親骨23の露先側端部23Bから支柱10に向かった所要長さ位置にはヒンジ部27が配設されており、親骨23におけるヒンジ部27よりも露先側の部分が可動骨23Cとなっている。
【0024】
可動骨23Cと生地22との重複範囲(生地22の露先側所要範囲)は、少なくとも可動骨23Cの一部(ここでは可動骨23Cの両端部(ヒンジ部27との連結側端部と露先側端部))が縫製等の公知の手法により固定されている。このように、生地22の露先側所要範囲と可動骨23Cとを固定した部分によって可動ベンチレーション部28が形成されている。可動ベンチレーション部28は、
図3に示すように、ヒンジ部27を回動の中心として支柱10側の生地22の上面からはね上がる(浮揚または翻る)ように回動可能(揺動可動)である。なお、
図3では、可動ベンチレーション部28の一部範囲(傘部20の周方向における一部)が跳ね上がった状態を示しているが、突風の状態によっては可動ベンチレーション部28の全体(傘部20の全周)が跳ね上がることもある。
【0025】
また、ヒンジ部27を介して受骨24の露先側端部24Bが親骨23に対して回動可能に連結されている。また、受骨24の支柱側端部24Aは、受骨用ろくろ26に回動可能に集合された状態で連結されている。このように受骨用ろくろ26とヒンジ部27にそれぞれ回動可能に取り付けられた受骨24が親骨23の放射方向における中間位置において親骨23を支持している。受骨用ろくろ26は、支柱10に沿ってスライド可能(昇降可能)に配設されている。受骨用ろくろ26は、受骨24の支柱側端部24Aの高さ位置が露先側端部24Bの高さ位置よりも上側位置になるまで支柱10に沿ってスライド可能に設けられている。
【0026】
本実施形態においては、受骨24の露先側端部24Bと支柱側端部24Aの高さ位置を同じ高さ位置にすることで生地22に作用する張力が最大になるように設定されている。したがって、支柱側端部24Aの高さ位置を生地22に作用する張力が最大になる高さ位置よりも上側にすると、生地22に作用する張力が低下するようになっている。このため、
図4に示すように、支柱側端部24Aの高さ位置が露先側端部24Bの高さ位置よりも上側になるまで受骨用ろくろ26を支柱10に沿って上昇させれば、傘部20が自重で折り畳み状態に戻ろうとしても、生地22の張力によって対抗させることができる。
【0027】
また本実施形態における受骨用ろくろ26には、
図5に示すように、操作レバー29の第1端部29Aが回動可能に連結されている。操作レバー29は、受骨用ろくろ26から設置面Gに向けて支柱10と平行にした状態と、支柱10の外周面(受骨用ろくろ26の外周面)に対し径外方向に起立した状態との間で回動可能(水平軸周りに回動可能)である。本実施形態における操作レバー29の長さは30cmであるが、操作レバー29の長さは特に限定されるものではない。操作者は、操作レバー29を受骨用ろくろ26に対して適宜回動させた状態で保持し、受骨用ろくろ26を支柱10に沿って昇降させることで、操作者の背が低い場合であっても、脚立等を用いずに傘部20の展開操作および折り畳み操作を行うことができる。
【0028】
また、
図6に示すように、操作レバー29の第2端部29Bには、把持部29Cが設けられている。把持部29Cには、支柱10の外周面に径方向に押圧して弾性変形させることによって支柱10の外周面に嵌合可能な円弧状部29Dと、支柱10の外周面に形成された第1係合穴12と第2係合穴14にそれぞれ進入する円柱状の係合ピン29Eが形成されている。係合ピン29Eは、円弧状部29Dの平面視中央部分に形成されている。係合ピン29Eを第1係合穴12に進入させた状態で円弧状部29Dを支柱10の外周面に嵌合させて操作レバー29を支柱10に固定することで、傘部20を折り畳んだ状態を維持することができる。
【0029】
同様に、係合ピン29Eを第2係合穴14に進入させた状態で円弧状部29Dを支柱10の外周面に嵌合させて操作レバー29を支柱10に固定することで、傘部20を展開した状態を維持することができる。これにより、短時間であれば、傘部20を折り畳んだ状態にした際に、露先部分にベルトを周回させて固定する処理を省略することができる点で好都合である。また、傘部20を展開した状態においては、生地22の張力による折り畳み状態への移行阻止効果と合わせて傘部20の展開状態を維持することができる点において好都合である。
【0030】
さらに、本実施形態におけるパラソル1は、強風時に可動ベンチレーション部28が傘部20の上面から起立した状態になることで風を逃がして転倒を防止している。一方、可動ベンチレーション部28が傘部20の上面から起立すると生地22による張力(傘部20が閉じる(パラソル1を折り畳む)方向の力への抗力)が弱まり傘部20を開いた状態が維持できなくなってしまう作用が生じる。これに対し本実施形態におけるパラソル1は、操作レバー29に設けられた係合ピン29Eが第2係合穴14に係合している(差し込まれている)ので、可動ベンチレーション部28が跳ね上がり、生地22による張力が低下した状態であっても傘部20が閉じてしまうことはない。
【0031】
(第2実施形態)
本実施形態におけるパラソル1は、
図7に示すように、生地22の外周縁には、可動骨23Cの露先側先端部の位置に位置合わせして底面側にポケット部22Aが形成されている点が特徴的である。このようなポケット部22Aを有する形態を採用することで、可動骨23Cの露先側先端部をポケット部22Aに差し込むだけで親骨23の露先側端部23Bを生地22に固定することができ、容易に可動ベンチレーション部28を形成することができる。このような形態を採用することで、縫製等による製造に比較してパラソル1の組立コストや生地22の張替えコストの低減が期待できる。
【0032】
図8~
図11は、本実施形態におけるパラソル1の展開時の操作状態を示す説明図である。操作者は、折り畳み状態のパラソル1を展開する際には、
図8に示すように、支柱10の第1係合穴12の位置で嵌合していた操作レバー29を支柱10の外周面に対して所要角度で起立するよう水平軸周りに回動させた操作レバー29を保持する。次に操作者は、
図9に示すように、操作レバー29に連結されている受骨用ろくろ26を支柱10に沿って上昇させ、傘部20を徐々に展開させる。そして、傘部20を展開するための受骨用ろくろ26を持ち上げる力が最大値をわずかに超えた支柱10の高さ位置(境界高さ位置)まで受骨用ろくろ26を上昇させる。すると、生地22の張力により、受骨用ろくろ26は、境界高さ位置からさらに上昇した後に生地22の張力、傘部20作用する重力および支柱10と受骨用ろくろ26との摩擦力が釣り合う支柱10の所定高さ位置で落ち着くことになる。
【0033】
このときの状態が
図10に示す状態である。このように、受骨用ろくろ26が支柱10の所要高さ位置まで移動させると、操作者が操作レバー29を離しても傘部20は、受骨24の露先側端部24Bと支柱側端部24Aの高さ位置が同じ高さ位置(境界高さ位置と同じ高さ位置である)まで下降する。しかし、生地22の張力により傘部20が完全に折り畳まれてしまうことはない。そして、
図11に示すように、支柱10の第2係合穴14に操作レバー29の係合ピン29Eを進入させるようにして円弧状部29Dを弾性変形させた状態で支柱10の外周面に嵌合させれば、より確実に傘部20の展開状態を維持することができる。
【0034】
このように本発明にかかるパラソル1によれば、背が低い操作者であっても、受骨用ろくろ26に対して水平軸周りに回動可能に連結された操作レバー29を用いることにより、脚立等を用いずに確実に傘部20の展開操作および折り畳み操作をすることができる。従来は背が低い操作者がパラソル1の傘部20の展開操作および折り畳み操作をする場合には、受骨ろくろ26に操作者の手が届くように脚立等の足場が必要になるといった課題があったが、この課題を解決することができる。
【0035】
以上、本発明にかかるパラソル1について実施形態に基づいて説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、以上の実施形態においては、傘部20に生地22の外周縁側所要範囲を可動骨23Cに固定してなる可動ベンチレーション部28が設けられた形態を例示しているが、可動ベンチレーション部28の構成を省略したパラソル1の形態を採用することができる。
【0036】
また、以上の実施形態においては、操作レバー29の自由端部である第2端部29Bに把持部29Cが形成され、把持部29Cに円弧状部29Dおよび係合ピン29Eが形成された形態を例示しているが、この形態に限定されるものではない。把持部29Cそのものや、円弧状部29Dまたは係合ピン29Eの配設は省略することもできる。そして係合ピン29Eは把持部29Cの円弧状部29Dに形成された形態だけでなく、係合ピン29Eをチェーン等の紐状体により操作レバー29に付帯させた形態を採用することもできる。
【0037】
また、以上の実施形態においては、支柱10に第1係合穴12と第2係合穴14を配設した形態が例示されているが、第1係合穴12と第2係合穴14は少なくとも一方の配設を省略することもできる。そして、第1係合穴12と第2係合穴14の両方の配設が省略された支柱10を採用した場合、係合ピン29Eの配設も省略される。
【0038】
さらに、本発明は、明細書中に記載されているすべての変形例を適宜組み合わされた形態を採用することももちろん可能である。
【符号の説明】
【0039】
1:パラソル
10:支柱
12:第1係合穴,14:第2係合穴
20:傘部
21:骨部,22:生地,22A:ポケット部,
23:親骨,23A:支柱側端部,23B:露先側端部,23C:可動骨,
24:受骨,24A:支柱側端部,24B:露先側端部,
25:親骨用ろくろ,26:受骨用ろくろ,27:ヒンジ部,
28:可動ベンチレーション部,29:操作レバー,29A:第1端部,
29B:第2端部,29C:把持部,29D:円弧状部,29E:係合ピン
30:台座
G:設置面