(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130213
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電気設備の固定台
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240920BHJP
H02B 3/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H05K5/02 E
H02B3/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039827
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】517436084
【氏名又は名称】匠堂合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094570
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼野 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】北村 卓造
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB64
4E360AC01
4E360EA05
4E360EA22
4E360EB03
4E360ED02
4E360GA52
4E360GA53
4E360GB99
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設置が容易であり、より容易にかつ短時間に行う事ができ、電気設備の着脱が容易な電気設備の固定台を提供する。
【解決手段】固定台1は、少なくとも上側に平面を有する土台部材2と、土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材3と、少なくともスペーサー部材の幅方向にスペースを空けつつスペーサー部材を覆うか又はスペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくともスペーサー部材を覆う、カバー部材4と、土台部材の上側平面から略垂直方向に突出し、カバー部材を貫通して外部に露出した固定部材5と、を含む。土台部材及びカバー部材とに、それぞれ穴及び穴41が空けられており、平面方向から見た土台部材2の穴の中心とカバー部材4の穴41の中心とが重なっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上側に平面を有する土台部材と、
前記土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材と、
スペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材を覆うカバー部材と、
前記土台部材の上側平面から略垂直方向に突出し、前記カバー部材を貫通して外部に露出した固定部材と、
を含む電気設備の固定台。
【請求項2】
少なくとも上側に平面を有する土台部材と、
前記土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材と、
スペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材を覆うカバー部材と、を含み
前記土台部材とカバー部材とにそれぞれ穴が空けられており、平面方向から見た前記土台部材の穴の中心と前記カバー部材の穴の中心とが重なっている、
電気設備の固定台。
【請求項3】
前記土台部材が、その上面に溝部及び前記溝部の上端付近から溝の中心方向に突出した掛止部を含み、前記固定部材が前記掛止部により掛止されている、請求項1に記載の固定台。
【請求項4】
前記土台部材が平面方向から見た際に長さを有する形状であって、少なくとも2本並列されており、
前記スペーサー部材が、平面方向から見た際に長さを有する形状であって、前記少なくとも2本の土台部材の上に掛け渡されて設置されている、請求項1又は2に記載の固定台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気設備の固定台の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
充電器や変電機等の電気設備を屋外に設置する場合がある。特に近年、電気自動車(以下「EV」)の普及に伴い、EVの充電器が屋外に設置される機会が増えている。このような充電器等の電気設備を屋外に設置する場合には、土台を設置してその上に電気設備を固定する方法が一般的に採用されている。例えば、特許文献1は、筐体の底面に着脱可能な底面カバーを前記筐体から取り外した状態において、前記底面カバーの固定部に合わせた位置に、前記筐体を下方から支持すべき複数の支持部材のそれぞれを配置するステップと、配置した前記複数の支持部材のそれぞれに前記固定部を取り付けるステップと、前記複数の支持部材のそれぞれに前記固定部を取り付けた前記底面カバーに、前記筐体の底面を取り付けるステップと、を備えることを特徴とする固定方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の固定方法は、電気設備を設置する現場において、支持部材の位置決めや固定部の取り付け等の複雑な工程が必要である。また、前記固定方法により電気設備を固定した場合、電気設備に接続される電線等のケーブル類はむき出しであり、野生生物等の被害に遭う場合も少なくない。さらに、前記のような被害を軽減しようとした場合、ケーブル等を地中に埋設することが一般的に行われるが、このようなケーブル埋設工事は機器を用いた大規模な土木工事が必要となり、電気設備の設置工事をより困難なものとしていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者が鋭意検討を重ねた結果、特定構造の固定台により上記課題が解決できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明は、
[1]少なくとも上側に平面を有する土台部材と、
前記土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材と、
スペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材を覆うカバー部材と、
前記土台部材の上側平面から略垂直方向に突出し、前記カバー部材を貫通して外部に露出した固定部材と、
を含む電気設備の固定台、
[2]少なくとも上側に平面を有する土台部材と、
前記土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材と、
スペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材を覆うカバー部材と、を含み
前記土台部材とカバー部材とにそれぞれ穴が空けられており、平面方向から見た前記土台部材の穴の中心と前記カバー部材の穴の中心とが重なっている、
電気設備の固定台、
[3]前記土台部材が、その上面に溝部及び前記溝部の上端付近から溝の中心方向に突出した掛止部を含み、前記固定部材が前記掛止部により掛止されている、[1]に記載の固定台、並びに
[4]前記土台部材が平面方向から見た際に長さを有する形状であって、少なくとも2本並列されており、
前記スペーサー部材が、平面方向から見た際に長さを有する形状であって、前記少なくとも2本の土台部材の上に掛け渡されて設置されている、[1]又は[2]に記載の固定台、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電気設備の固定台は、工場等で組み立てた後現場に輸送して設置をする事が可能であるためその設置が容易である。また、設置に当たりケーブル埋設工事等の大規模な土木工事の必要が無いため、電気設備の設置工事がより容易にかつ短時間に行う事ができる。さらに、本発明の固定台はその構造が複雑でないため、電気設備の着脱が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(A)本発明の固定台の斜視図、(B)(A)におけるA-B断面図及び(C)(A)におけるC-D断面図である。
【
図2】(A)土台部材の一形態例の正面図、(B)(A)の土台部材の側面図、(C)(A)の土台部材の平面図、(D)(A)とは別の形態例の正面図、(E)(D)の土台部材の側面図及び(F)(D)の土台部材の平面図である。
【
図3】(A)溝部及び掛止部を含む土台部材の斜視図、(B)(A)の土台部材の正面図及び(C)(A)の土台部材の平面図である。
【
図4】(A)スペーサー部材の一形態例の斜視図、(B)(A)のスペーサー部材の正面図、(C)(A)とは別のスペーサー部材の形態例の斜視図、(D)(C)のスペーサー部材の正面図、(E)さらに別のスペーサー部材の形態例の斜視図及び(F)(E)のスペーサー部材の正面図である。
【
図5】(A)
図1とは別の形態の固定台の斜視図、(B)(A)におけるE-F断面図及び(C)(A)におけるG-H断面図である。
【
図6】(A)
図1及び5とは別の形態の固定台の斜視図、(B)(A)におけるI-J断面図及び(C)(A)におけるK-L断面図である。
【
図7】(A)
図1、5及び6とは別の形態の固定台の斜視図、(B)(A)におけるM-N断面図及び(C)(A)におけるO-P断面図である。
【
図8】本発明の固定台を用いて電気設備を固定した場合の斜視図である。
【
図9】(A)
図1の固定台を用いて電気設備を固定した場合の
図8におけるQ-R断面図及び(B)
図7の固定台を用いて電気設備を固定した場合の
図8におけるQ-R断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態及び態様に限定されず、本発明の技術的範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。また、文中における「上下」、「前後」及び「左右」は、各図面に記載の方向を意味する。
【0009】
本発明の電気設備の固定台(以下、単に「固定台」とする)の具体的な形態例が
図1に示されている。
図1の固定台1は、少なくとも上側に平面を有する土台部材2と、前記土台部材2の上側平面上に設置されたスペーサー部材3と、スペーサー部材3の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材3を覆うカバー部材4と、前記土台部材2の上側平面から略垂直方向に突出し、前記カバー部材4を貫通して外部に露出した固定部材5と、を含んでいる。また、本発明の固定台1のさらなる形態が
図7に示されている。
図7の固定台1は、少なくとも上側に平面を有する土台部材2と、前記土台部材2の上側平面上に設置されたスペーサー部材3と、スペーサー部材3の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材3を覆うカバー部材4と、を含み、前記土台部材2及びカバー部材4とにそれぞれ穴23及び穴41が空けられており、平面方向から見た前記土台部材2の穴23の中心と前記カバー部材4の穴41の中心とが重なっている。以下に構成毎に詳細に説明する。
【0010】
1.土台部材2
土台部材2は、少なくとも上側に平面を有する部材である。土台部材2は、後述するスペーサー部材3を支える土台であると共に、固定台1に固定される電気設備のケーブルが地面に直接接触することがないように支持するための土台である。また、土台部材2は、必要に応じて後述するカバー部材4を固定する基礎となる部材である。土台部材2は、電気設備を設置する箇所の地形等に応じて適宜形状を調整できる。例えば、
図2(A)~(C)に示すように土台部材2の平面形状を長方形にした上で、電気設備の設置箇所が平地である場合には、土台部材2の下側を平坦な面として良い。また、電気設備の設置箇所が傾斜を有している場合には、例えば、
図2(D)~(E)に示すように左右方向及び/又は前後方向に傾斜を持たせても良い。また、設置箇所に細かい凹凸がある場合には、土台部材2の下面に細かい凹凸を設けても良い(図示せず)。また、土台部材2の平面方向から見た形状も、三角形、長方形を含む四角形、五角形及び六角形等の多角形や楕円を含む円形であっても良い。また、土台部材2を平面方向から見た形状が、前後又は左右の方向に長さを有する形状、例えば、長方形や楕円であっても良い。なお、土台部材2の上側は、後述するようにスペーサー部材3を設置できるだけの平面を有している事を条件として、突起や凹凸を有してもよい(図示せず)。
【0011】
土台部材2の材質は、設置対象となる電気設備及び後述するスペーサー部材3の質量に耐えられることを条件として特に制限はされない。このような材質の例として、例えば、鉄、鉄鋼及びアルミ等の金属素材、ガラス素材、コンクリート素材、アクリル等の樹脂素材及び木材等があげられる。この中でも、設置箇所の湿度等環境からの影響を受けにくく、比較的加工が容易であることから、コンクリート素材を使用することがより好ましい。
【0012】
また、本発明で使用する土台部材2として、その上面に溝部21及び前記溝部21の上端付近から溝の中心方向に突出した掛止部22を含むものであっても良い。
図3に溝部21及び掛止部22を含む土台部材2の形態例が示されている。
図3(A)~(C)に示すように、土台部材2の左右方向略中央に、前後方向に伸びる溝部21が設けられている。また、溝部21の左右の上端付近から、溝部21の左右方向略中央に向かって掛止部22が突出している。前記溝部21及び掛止部22は、後述するように、固定部材5を土台部材2に固定する際に使用される。前記のような掛止部22は、後述するようにナット等を用いて固定部材5を固定することができる形状であればその形状に特に制限を受けない。また、土台部材2を製造後切削等によって溝部21及び掛止部22を形成しても良いし、土台部材2を成形する際に溝部21及び掛止部22を形成するように成形する型を使用しても良い。溝部21を平面方向から見た形状は、
図3に示すように直線状であっても良いし、折れ曲がった線状であっても良い。また、溝部21を正面方向から見た形状も、
図3に示すような四角形をはじめとした多角形であっても良いし、半円形状であっても良い。なお、溝部21及び掛止部22を有する土台部材2は、前記の通り固定部材5を固定する際に使用しても良いし、後述するようにスペーサー部材3を固定する際に使用しても良い。
【0013】
2.スペーサー部材3
スペーサー部材3は、前記土台部材2の上側平面に設置される部材である。スペーサー部材3を土台部材2上に設置することにより、土台部材2と後述するカバー部材4との間にスペースが確保される。スペーサー部材3は、固定台1に設置される電気設備の質量に耐えられる事を条件として、適宜その材質を選択可能である。このような材質として、例えば、鉄、鉄鋼及びアルミ等の金属素材、ガラス素材、コンクリート素材、アクリル等の樹脂素材及び木材等があげられる。その形状についても、固定台1に設置される電気設備の質量に耐えられる事及び後述するように電気設備のケーブル等を配置するスペースが確保できることを条件として、その材質に応じて適宜調整可能である。スペーサー部材3の具体的な形状として、例えば、
図4(A)及び(B)に示すように、長さを有する棒状の部材であっても良い。また、
図4(C)及び(D)に示すように、平面形状が楕円形である厚さを有する板状であっても良い。さらに、正面方向から見た形状が「工」の字や「コ」の字に見えるようなより多くのスペースを確保できる形状である、長さを有する棒状の部材であっても良い(
図4(E)及び(F)においては「工」の字)。
【0014】
3.カバー部材4
カバー部材4は、スペーサー部材3の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材3を覆う部材である。カバー部材4の素材は、固定台1に設置される電気設備の質量に耐えられる事を条件として、適宜その材質を選択可能である。このような材質として、例えば、鉄、鉄鋼及びアルミ等の金属素材、ガラス素材、コンクリート素材、アクリル等の樹脂素材及び木材等があげられる。カバー部材4の形状は、少なくともスペーサー部材3を覆うことができる形状である事を条件として、特に制限を受けない。例えば、平面方向から見た形状が、三角形、四角形、五角形及び六角形等の多角形又は楕円を含む円形である板状の部材であっても良い。カバー部材4には、後述するように固定部材5を通すための穴41を空けておく。また、カバー部材4には、必要に応じて、固定台1に固定される電気設備のケーブル等を通すための穴41’を空けることができる。穴41及び41’は、あらかじめ空けておくこともできるし、後述するようにカバー部材4を固定台1に固定した後に空けることもできる。また、カバー部材4の少なくとも表面に凹凸の加工を施すことにより、電気設備を固定台1に固定する際に作業者が脚を滑らせる等のアクシデントの可能性を抑えることができる。
【0015】
4.固定部材5
固定部材5は、前記土台部材2の上側平面から略垂直方向に突出し、前記カバー部材4を貫通して外部に露出する部材である。ここで「略垂直方向」とは、カバー部材4を貫通した固定部材5によって電気設備を固定できる程度の角度を意味する。したがって、土台部材2の平面と固定部材5の軸方向の角度が直角である場合が含まれることはもちろんのこと、固定部材5によって電気設備を固定できる程度の垂直以外の角度も含まれる。固定部材5は、後述するように固定台1に固定される電気設備を固定するための部材である。このような部材の具体例として、例えば、ボルトのようなネジ締結するための部材、例えばボルトや、ピン留めするための部材等が挙げられる。このような固定部材5の材質としては、固定台1に設置される電気設備が動かないように支えることができる事を条件として、適宜その材質を選択可能である。このような材質として、例えば、鉄、鉄鋼及びアルミ等の金属素材、ガラス素材、コンクリート素材及びアクリル等の樹脂素材等があげられる。
【0016】
5.固定台1の具体的形態例1
図1に固定台1の具体的形態例1が示されている。
図1の固定台1は、コンクリート製で上下面が平面である土台部材2の上面に、鉄鋼製のH鋼であるスペーサー部材3が2本平行して設置されている。前記スペーサー部材3は、留め具31(
図1においてはボルト)により、土台部材2に固定されている。土台部材2には、軸部51及び頭部52からなる固定部材5(
図1においてはボルト)が、頭部52を下側にして埋め込まれている。固定部材5の軸部51は、土台部材2の上側平面から当該平面の方向に対して略垂直方向に伸びている。前記土台部材2及びスペーサー部材3は、カバー部材4により取り囲まれており、スペーサー部材3の周囲にスペースが確保されている。なお
図1においては、カバー部材4によって土台部材2ごとスペーサー部材3が取り囲まれているが、カバー部材4を用いてスペーサー部材3のみを取り囲んでもよい。この場合においては、カバー部材4とスペーサー部材3との間に、後述するように固定台1に固定される電気設備の電線等のケーブルを通すことができる程度のスペースが確保されることが好ましい。より好ましくは、前記の通り、カバー部材4が土台部材2ごとスペーサー部材3を取り囲むことがより好ましい。このようにする事で、固定台1の凹凸を少なくし、固定台1の全体の強度をより高めると共に、作業者が設置作業時に躓く等のアクシデントを避けることができる。
【0017】
図1におけるカバー部材4は、その平面形状が四角形である鉄鋼製の縞鋼板を溶接して底部を有しない箱の形状とし、土台部材2及びスペーサー部材3の上からかぶせるように設置される。カバー部材4は、留め具42(
図1においてはボルト)によって土台部材2の側面に固定されている。なお、カバー部材4を固定する必要が無いときには、前記留め具42は使用されない。固定部材5は、カバー部材4に空けられた穴41から外側に突き出ている。カバー部材4の内側面と固定部材5の軸部51とが接する箇所に位置するように、軸部51にナット53が留められている。前記のようなナット53を設けることにより穴41付近のカバー部材4の強度を向上させ、固定台1に電気設備を固定した際に電気設備の質量に対する耐久性をより向上できる。また、固定台1の上面にフックを設ける事で、ロープ等を用いて固定台1を移動させやすくしても良い。具体的には、スペーサー部材3とカバー部材4を貫通する穴を開けて、フックをボルト止めしても良い(図示せず)。
【0018】
6.固定台1の具体的形態例2
固定台1のさらなる具体的な形態例が
図5に示されている。
図5において、
図1と同じ番号が振られている部分については、特に説明が無い限り
図1における説明と同様である。
図5の形態例においては、コンクリート製の土台部材2が平面方向から見た際に長さを有する形状であって、少なくとも2本(
図5においては3本)並列されている。スペーサー部材3は、鉄鋼製であり、平面方向から見た際に長さを有する形状(
図5においてはH鋼)であって、前記土台部材2の長さ方向に対して垂直方向に掛け渡されて設置されている(
図5においては2本)。このような形態とすることにより、固定台1の質量をより軽くし、固定台1を設置する際の作業者の負担をより軽減できる。なお、
図5において3本の土台部材2が平行に設置されているが、これら土台部材2は必ずしも平行に設置される必要はなく、その位置関係は設置される箇所等に応じて適宜調整可能である。また、
図5においてスペーサー部材3が土台部材2に対して垂直方向に掛け渡されているが、この角度についても必ずしも垂直である必要はなく、その角度は設置される箇所等に応じて適宜調整可能である。
【0019】
7.固定台1の具体的形態例3
固定台1のさらなる具体的な形態例が
図6に示されている。
図6において、
図1及び5と同じ番号が振られている部分については、特に説明が無い限り
図1及び
図5における説明と同様である。
図6の形態例においては、固定部材5を固定する土台部材2として、溝部21及び掛止部22を有する土台部材2が使用されている(
図3(C)に示す真ん中の土台部材2)。固定部材5(
図6においてはボルト)は、その頭部52が溝部21内に納められ、掛止部22により掛止される。頭部52の反対側からナット54を用いてネジ締結することにより頭部52とナット54とで掛止部22を挟み込み、溝部21の所望の位置で固定部材5を土台部材2に固定できる。前記のような土台部材2を使用することにより、電気設備を設置する場所の状況に応じて、現場で固定部材5の位置を適宜調整できる。なお、現場で固定部材5の位置を調整する場合には、固定部材5の位置を決めた後、カバー部材4における固定部材5の位置に対応する箇所に現場で穴41を空けることができる。また、
図6においてはスペーサー部材3が、留め具31を用いて溝部21及び掛止部22の無い土台部材2に固定されているが、スペーサー部材3を溝部21及び掛止部22を含む土台部材2に固定しても良い。この場合には、例えば、スペーサー部材3の所定の箇所に穴を開け、留め具31の頭部を掛止部22に引っかけて、軸部を前記スペーサー部材3の穴に通してボルト止めをすることで固定可能である。
【0020】
8.固定台1の具体的形態例4
固定台1のさらなる具体的な形態例が
図7に示されている。
図7において、
図1、5及び6と同じ番号が振られている部分については、特に説明が無い限り
図1、5及び6における説明と同様である。
図7の形態例においては、固定部材5が備えられる代わりに、土台部材2に穴23が空けられている。穴23の上端部付近に、固定部材固定部24(
図7の例においてはナット)が埋め込まれている。前記土台部材2の穴23の中心と、前記カバー部材4に空けられた穴41の中心とは、線αにおいて重なっている(
図7(B)及び(C)参照)。
図7の形態例においては、現場で固定部材5(例えばボルト)を、穴41を介して穴23に挿し込み、固定部材固定部24(
図7の場合にはナット)を用いて固定(
図7の場合はネジ締結)できる。
【0021】
9.固定台1を用いた電気設備の固定
図8及び9に、本発明の固定台1を用いて電気設備EEを固定した具体例を示している。電気設備EEの筐体HOの底部に穴が空けられており、当該穴にカバー部材4から突き出た固定部材5の軸部51が挿し込まれ、ナット55によりネジ締結されている(
図8及び9(A)参照)。電気設備EEの設置場所においては、例えば、電気設備EEの筐体HO底部を取り外し、前記底部をナット55によりネジ締結をすることにより固定台1に固定した後、筐体HOを組み直すことで電気設備EEを固定台1に固定できる。また、固定台1にさらに穴41’、41’を空けて、電気設備EEのケーブルCAを固定台1の内部を通してさらに外部に送出することができる。本発明の固定台1の内部においては、少なくともスペーサー部材3の周囲にカバー部材4により囲われたスペースが確保されており、当該スペースにケーブルCAを通すことができる。ケーブルCAは、カバー部材4により囲われており、さらに土台部材2上を通すことができるため、埋設工事の必要が無く、動物等による被害を最小限に食い止めることができる。電気設備EEを取り外すときには、前記設置時の作業と逆の作業をすることで容易に取り外すことができる。本発明の固定台1は、その構造が複雑でないため、電気設備の着脱が容易である。
【0022】
図9(B)は、
図7の固定台1を使用して電気設備EEを固定した場合の形態を示している。
図9(B)の例においては、
図9(A)の場合と同様に筐体HOの底部を取り外して、前記HOの底部に空けられた穴、カバー部材4の穴41を介して土台部材2に空けられた穴23の上部に埋め込まれた固定部材固定部24(
図9(B)においてはナット)に対して、固定部材5(
図9(B)においてはボルト)を用いてネジ締結することで、筐体HOの底部を固定台1に固定する。筐体HOの底部を固定台1に固定した後、筐体HOを組み直す点は
図9(A)の場合と同様である。
【0023】
現場にて設置する電気設備が複数である(例えば、EVの充電器、配電機及び変電機を同一の箇所に設置する)場合、固定台1の平面方向の面積を大きくしかつ使用する固定部材5の数を増やすことで、一つの固定台1にこれら複数の電気設備を固定することもできる。このように大きな面積の固定台1に複数の電気設備を固定することにより、個々の電気設備をケーブルで接続する場合に、当該ケーブルを同一の固定台1の内部空間を通して接続できるため、ケーブルの埋設工事を行う必要がなくなる。また、個別の電気設備ごとに固定台1を準備して、それぞれの電気設備を個別の固定台1に固定することもできる。この場合、それぞれの固定台1を近接させることにより、それぞれの電気設備を接続するケーブルが外部に露出する頻度を極力減らすことができる。また、電気設備を設置しない状態の固定台1を、ケーブル等を通すための配管の代わりとして使用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の固定台はあらかじめ工場等で組み立てた上で現場に輸送して設置できるだけでなく、その構造が複雑でないため電気設備の着脱が容易であるため、電気設備を設置する現場における作業量を大幅に削減でき、電気設備を必要とする産業、例えばEVの普及に大きく貢献することができる。
【符号の説明】
【0025】
1:固定台
2:土台部材、21:溝部、22:掛止部、23:穴、24:固定部材固定部
3:スペーサー部材、31:留め具
4:カバー部材 、41:穴、41’:穴、42:留め具
5:固定部材、51:軸部、52:頭部、53~55:ナット
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上側に平面を有する土台部材と、
前記土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材と、
スペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材を覆うカバー部材と、
前記土台部材の上側平面から略垂直方向に突出し、前記カバー部材を貫通して外部に露出した固定部材と、
を含む電気設備の固定台において、
当該スペースが当該電気設備のケーブルを配置するスペースであることを特徴とする固定台。
【請求項2】
前記電気設備の固定台において、電気設備が複数であることを特徴とする請求項1記載の固定台。
【請求項3】
前記電気設備の固定台において、電気設備が電気自動車の充電設備である請求項1又は請求項2記載の固定台。
【請求項4】
少なくとも上側に平面を有する土台部材と、
前記土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材と、
スペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材を覆うカバー部材と、を含み
前記土台部材とカバー部材とにそれぞれ穴が空けられており、平面方向から見た前記土台部材の穴の中心と前記カバー部材の穴の中心とが重なっている、
請求項1から3のいずれかに記載の電気設備の固定台。
【請求項5】
前記土台部材が、その上面に溝部及び前記溝部の上端付近から溝の中心方向に突出した掛止部を含み、前記固定部材が前記掛止部により掛止されている、請求項1から4のいずれかに記載の固定台。
【請求項6】
前記土台部材が平面方向から見た際に長さを有する形状であって、少なくとも2本並列されており、
前記スペーサー部材が、平面方向から見た際に長さを有する形状であって、前記少なくとも2本の土台部材の上に掛け渡されて設置されている、請求項1から5のいずれかに記載の固定台。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明者が鋭意検討を重ねた結果、特定構造の固定台により上記課題が解決できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明は、
[1]少なくとも上側に平面を有する土台部材と、
前記土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材と、
スペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材を覆うカバー部材と、
前記土台部材の上側平面から略垂直方向に突出し、前記カバー部材を貫通して外部に露出した固定部材と、
を含む電気設備の固定台において、
当該スペースが当該電気設備のケーブルを配置するスペースであることを特徴とする固定台、
[2]前記電気設備の固定台において、電気設備が複数であることを特徴とする[1]に記載の固定台、
[3]前記電気設備の固定台において、電気設備が電気自動車の充電設備である[1]又は[2]記載の固定台、
[4]少なくとも上側に平面を有する土台部材と、
前記土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材と、
スペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材を覆うカバー部材と、を含み
前記土台部材とカバー部材とにそれぞれ穴が空けられており、平面方向から見た前記土台部材の穴の中心と前記カバー部材の穴の中心とが重なっている、
[1]から[3]のいずれかに記載の電気設備の固定台、
[5]前記土台部材が、その上面に溝部及び前記溝部の上端付近から溝の中心方向に突出した掛止部を含み、前記固定部材が前記掛止部により掛止されている、[1]から[4]のいずれかに記載の固定台、並びに
[6]前記土台部材が平面方向から見た際に長さを有する形状であって、少なくとも2本並列されており、
前記スペーサー部材が、平面方向から見た際に長さを有する形状であって、前記少なくとも2本の土台部材の上に掛け渡されて設置されている、[1]から[5]のいずれかに記載の固定台、
に関する。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上側に平面を有する土台部材と、
前記土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材と、
スペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材を覆うカバー部材と、
前記土台部材の上側平面から略垂直方向に突出し、前記カバー部材を貫通して外部に露出した固定部材と、
を含む電気設備の固定台において、
当該スペースが当該電気設備のケーブルを配置するスペースであることを特徴とする固定台。
【請求項2】
前記電気設備の固定台において、電気設備が複数であることを特徴とする請求項1記載の固定台。
【請求項3】
前記電気設備の固定台において、電気設備が電気自動車の充電設備である請求項1又は請求項2記載の固定台。
【請求項4】
少なくとも上側に平面を有する土台部材と、
前記土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材と、
スペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材を覆うカバー部材と、を含み
前記土台部材とカバー部材とにそれぞれ穴が空けられており、平面方向から見た前記土台部材の穴の中心と前記カバー部材の穴の中心とが重なっている、
請求項1又は請求項2記載の電気設備の固定台。
【請求項5】
少なくとも上側に平面を有する土台部材と、
前記土台部材の上側平面上に設置されたスペーサー部材と、
スペーサー部材の周囲にスペースを空けつつ少なくとも前記スペーサー部材を覆うカバー部材と、を含み
前記土台部材とカバー部材とにそれぞれ穴が空けられており、平面方向から見た前記土台部材の穴の中心と前記カバー部材の穴の中心とが重なっている、
請求項3記載の電気設備の固定台。
【請求項6】
前記土台部材が、その上面に溝部及び前記溝部の上端付近から溝の中心方向に突出した掛止部を含み、前記固定部材が前記掛止部により掛止されている、請求項1又は2に記載の固定台。
【請求項7】
前記土台部材が、その上面に溝部及び前記溝部の上端付近から溝の中心方向に突出した掛止部を含み、前記固定部材が前記掛止部により掛止されている、請求項3に記載の固定台。
【請求項8】
前記土台部材が、その上面に溝部及び前記溝部の上端付近から溝の中心方向に突出した掛止部を含み、前記固定部材が前記掛止部により掛止されている、請求項4に記載の固定台。
【請求項9】
前記土台部材が平面方向から見た際に長さを有する形状であって、少なくとも2本並列されており、
前記スペーサー部材が、平面方向から見た際に長さを有する形状であって、前記少なくとも2本の土台部材の上に掛け渡されて設置されている、請求項1又は2に記載の固定台。
【請求項10】
前記土台部材が平面方向から見た際に長さを有する形状であって、少なくとも2本並列されており、
前記スペーサー部材が、平面方向から見た際に長さを有する形状であって、前記少なくとも2本の土台部材の上に掛け渡されて設置されている、請求項3に記載の固定台。
【請求項11】
前記土台部材が平面方向から見た際に長さを有する形状であって、少なくとも2本並列されており、
前記スペーサー部材が、平面方向から見た際に長さを有する形状であって、前記少なくとも2本の土台部材の上に掛け渡されて設置されている、請求項4に記載の固定台。
【請求項12】
前記土台部材が平面方向から見た際に長さを有する形状であって、少なくとも2本並列されており、
前記スペーサー部材が、平面方向から見た際に長さを有する形状であって、前記少なくとも2本の土台部材の上に掛け渡されて設置されている、請求項6に記載の固定台。
【請求項13】
前記土台部材が平面方向から見た際に長さを有する形状であって、少なくとも2本並列されており、
前記スペーサー部材が、平面方向から見た際に長さを有する形状であって、前記少なくとも2本の土台部材の上に掛け渡されて設置されている、請求項7に記載の固定台。
【請求項14】
前記土台部材が平面方向から見た際に長さを有する形状であって、少なくとも2本並列されており、
前記スペーサー部材が、平面方向から見た際に長さを有する形状であって、前記少なくとも2本の土台部材の上に掛け渡されて設置されている、請求項8に記載の固定台。
【請求項15】
土台部材とスペーサー部材とカバー部材と固定部材を有する電気設備の固定台において、
当該土台部材の上側にスペーサー部材を有し、
当該スペーサー部材の上側にカバー部材を有し、
当該カバー部材の上側に電気設備を有し、
当該固定部材により電気設備が固定されていて、
当該土台部材の上とスペーサー部材の横とカバー部材の下にスペースがあり、
当該スペースに当該電気設備のケーブルが配置されていることを特徴とする固定台。
【請求項16】
前記固定部材が前記土台部材の上方向から前記カバー部材を貫通して前記電気設備を固定していることを特徴とする請求項15記載の固定台。
【請求項17】
前記固定部材が前記電気設備を支えていることを特徴とする請求項15又は16記載の固定台。
【請求項18】
前記ケーブルが地面に接せずに配置されたことを特徴とする請求項15又は16記載の固定台。
【請求項19】
前記ケーブルが前記スペースに水平方法に配置されたことを特徴とする請求項15又は16記載の固定台。
【請求項20】
電気設備の固定台において、電気設備が複数であることを特徴とする請求項15又は16記載の固定台。
【請求項21】
複数台の電気設備を接続するケーブルが前記スペースを通して接続されていることを特徴とする請求項20記載の固定台。
【請求項22】
前記電気設備が電気自動車の充電設備である請求項15又は16記載の固定台。
【請求項23】
前記電気設備のケーブルの埋設工事が必要ないことを特徴とする請求項1、2、15、16のいずれかに記載の固定台の設置方法。