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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130228
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】センサシステム及びセンサ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01H35/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039850
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】谷末 光平
(72)【発明者】
【氏名】植村 公輔
(72)【発明者】
【氏名】飯田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 拓矢
【テーマコード(参考)】
5G055
【Fターム(参考)】
5G055AA15
5G055AB01
5G055AB02
5G055AD01
5G055AD04
5G055AE48
(57)【要約】
【課題】省電力状態への移行や通常稼働状態に復帰する際の操作を省くことができるセンサシステム及びセンサ装置を提供する。
【解決手段】センサシステム100は、計測光を対象物に向けて出力して得られる反射光又は透過光を用いて対象物を検出するセンサ装置1を複数連結するセンサシステム100であって、センサ装置1の各々は、計測光の出力状態を通常稼働状態と省電力状態とに切り替える制御部30をそれぞれ備え、制御部30の各々は、複数連結されているいずれかのセンサ装置1における対象物の検出をトリガにして、計測光の出力状態を省電力状態から通常稼働状態にそれぞれ切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測光を対象物に向けて出力して得られる反射光又は透過光を用いて対象物を検出するセンサ装置を複数連結するセンサシステムであって、
前記センサ装置の各々は、
前記計測光の出力状態を通常稼働状態と省電力状態とに切り替える制御部をそれぞれ備え、
前記制御部の各々は、前記複数連結されているいずれかの前記センサ装置における前記対象物の検出をトリガにして、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態にそれぞれ切り替える、
センサシステム。
【請求項2】
前記制御部の各々は、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態にそれぞれ切り替える際に、前記複数連結のうち上位に連結されている前記センサ装置における前記対象物の検出をトリガにする、
請求項1記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記制御部の各々は、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態にそれぞれ切り替える際に、検出しようとする前記対象物が搬送される方向を基準にして上流側に連結されている前記センサ装置における前記対象物の検出をトリガにする、
請求項1記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記制御部の各々は、前記複数連結されているいずれかの前記センサ装置で前記対象物が検出されている間に、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態にそれぞれ切り替える、
請求項1記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記複数連結されているいずれかの前記センサ装置における前記対象物の検出をトリガにして、その他の各前記センサ装置の前記制御部は、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態にそれぞれ切り替える、
請求項1記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記制御部の各々は、前記対象物が検出されないときに、前記計測光の出力状態を前記通常稼働状態から前記省電力状態にそれぞれ切り替える、
請求項1記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記制御部の各々は、前記対象物が検出されていないと判定してから所定時間が経過しても次の前記対象物が検出されないときに、前記計測光の出力状態を前記通常稼働状態から前記省電力状態にそれぞれ切り替える、
請求項1記載のセンサシステム。
【請求項8】
前記省電力状態における前記計測光の出力レベルは、前記通常稼働状態における前記計測光の出力レベルよりも低い値である、
請求項1記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記省電力状態における前記計測光の出力レベルは、前記対象物を検出することができる範囲内での下限値付近であるか、OFFである、
請求項1記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記制御部の各々は、前記通常稼働状態から前記省電力状態に切り替える際に、さらに、前記対象物の検出結果を表示する表示部への表示の一部又は全部を停止させ、前記センサ装置の機能の一部をスリープさせる、
請求項1記載のセンサシステム。
【請求項11】
計測光を対象物に向けて出力して得られる反射光又は透過光を用いて対象物を検出するセンサ装置を複数連結するセンサシステムに組み込み可能なセンサ装置であって、
前記計測光の出力状態を通常稼働状態と省電力状態とに切り替える制御部を備え、
前記制御部は、前記複数連結されているいずれかのセンサ装置での前記対象物の検出をトリガにして、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態に切り替える、
センサ装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態に切り替える際に、前記複数連結のうち上位に連結されている前記センサ装置における前記対象物の検出をトリガにする、
請求項11記載のセンサ装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態に切り替える際に、検出しようとする前記対象物が搬送される方向を基準にして上流側に連結されている前記センサ装置における前記対象物の検出をトリガにする、
請求項11記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサシステム及びセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、省電力表示モードを有するセンサ装置が開示されている。このセンサ装置は、通常表示モードの他に、表示器を全消灯状態にする第1の省電力表示モードと、センサが動作中か否か、又は正常に動作しているか否かの基本的な情報のみを視認性良く表示しながら、消費電力を大幅に低減することができる第2の省電力表示モードとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4018371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のセンサ装置では、上記三つの表示モードを、押し釦スイッチを押下することで、順番に切り替えることができるようになっている。したがって、省電力表示モードに移行させる際や通常表示モードに復帰させるたびに、押し釦スイッチを押下する必要があり、モードを切り替えるのに手間がかかる。
【0005】
このような事情に鑑み、本発明は、省電力状態への移行や通常稼働状態に復帰する際の操作を省くことができるセンサシステム及びセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るセンサシステムは、計測光を対象物に向けて出力して得られる反射光又は透過光を用いて対象物を検出するセンサ装置を複数連結するセンサシステムであって、センサ装置の各々は、計測光の出力状態を通常稼働状態と省電力状態とに切り替える制御部をそれぞれ備え、制御部の各々は、複数連結されているいずれかのセンサ装置における対象物の検出をトリガにして、計測光の出力状態を省電力状態から通常稼働状態にそれぞれ切り替える。
【0007】
この態様によれば、複数連結されているセンサ装置のうち、いずれかのセンサ装置で対象物が検出されたことをトリガにして、他のセンサ装置における計測光の出力状態を省電力状態から通常稼働状態に切り替えることができる。これにより、消費電力を抑えつつ、対象物を確実に検出することが可能となる。
【0008】
上述した態様において、制御部の各々は、計測光の出力状態を省電力状態から通常稼働状態にそれぞれ切り替える際に、複数連結のうち上位に連結されているセンサ装置における前記対象物の検出をトリガにしてもよいし、検出しようとする対象物が搬送される方向を基準にして上流側に連結されているセンサ装置における対象物の検出をトリガにしてもよい。
【0009】
上述した態様において、制御部の各々は、複数連結されているいずれかのセンサ装置で対象物が検出されている間に、計測光の出力状態を省電力状態から通常稼働状態にそれぞれ切り替えてもよい。
【0010】
この態様によれば、複数連結されているいずれかのセンサ装置で対象物が検出されていることをトリガにして、その他のセンサ装置における計測光の出力状態を省電力状態から通常稼働状態に切り替えることができる。
【0011】
上述した態様において、複数連結されているいずれかのセンサ装置における対象物の検出をトリガにして、その他の各センサ装置の制御部は、計測光の出力状態を省電力状態から通常稼働状態にそれぞれ切り替えてもよい。
【0012】
この態様によれば、複数連結されているいずれかのセンサ装置で対象物が検出されたことをトリガにして、その他の各センサ装置における計測光の出力状態を省電力状態から通常稼働状態にそれぞれ切り替えることができる。
【0013】
上述した態様において、制御部の各々は、対象物が検出されないときに、計測光の出力状態を通常稼働状態から省電力状態にそれぞれ切り替えてもよい。
【0014】
この態様によれば、各センサ装置において、対象物が検出されないことをトリガにして、計測光の出力状態を通常稼働状態から省電力状態に自動的に切り替えることができるため、消費電力を有効に抑えることが可能となる。
【0015】
上述した態様において、制御部の各々は、対象物が検出されていないと判定してから所定時間が経過しても次の対象物が検出されないときに、計測光の出力状態を通常稼働状態から省電力状態にそれぞれ切り替えてもよい。
【0016】
この態様によれば、対象物がしばらく搬送されてこない場合に、次の対象物が搬送されてくるまでの消費電力を削減することが可能となる。
【0017】
上述した態様において、省電力状態における計測光の出力レベルは、通常稼働状態における計測光の出力レベルよりも低い値であってもよく、さらに、対象物を検出することができる範囲内での下限値付近であるか、OFFであってもよい。
【0018】
この態様によれば、省電力状態に切り替えても、対象物を検出しつつ、消費電力を確実に抑えることが可能となる。
【0019】
上述した態様において、制御部の各々は、通常稼働状態から省電力状態に切り替える際に、さらに、対象物の検出結果を表示する表示部への表示の一部又は全部を停止させ、センサ装置の機能の一部をスリープさせてもよい。
【0020】
この態様によれば、省電力状態に切り替えることで、表示部やセンサ装置の機能の少なくとも一部を停止させることができるため、消費電力をさらに抑えることが可能となる。
【0021】
本発明の他の態様に係るセンサ装置は、計測光を対象物に向けて出力して得られる反射光又は透過光を用いて対象物を検出するセンサ装置を複数連結するセンサシステムに組み込み可能なセンサ装置であって、計測光の出力状態を通常稼働状態と省電力状態とに切り替える制御部を備え、制御部は、複数連結されているいずれかのセンサ装置での対象物の検出をトリガにして、計測光の出力状態を省電力状態から通常稼働状態に切り替える。
【0022】
この態様によれば、複数のセンサ装置を連結するセンサシステムに組み込まれたときに上位に連結されるセンサ装置において対象物が検出されたことをトリガにして、計測光の出力状態を省電力状態から通常稼働状態に切り替えることができる。これにより、消費電力を抑えつつ、対象物を確実に検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、省電力状態への移行や通常稼働状態に復帰する際の操作を省くことができるセンサシステム及びセンサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係るセンサシステムを構成するセンサ装置の概略構成を例示する図である。
図2】各センサ装置の稼働状態が切り替わる際の一例を示すタイミングチャートである。
図3】各センサ装置の稼働状態が切り替わる際の一例を示すタイミングチャートである。
図4】実施形態に係るセンサシステムの概念を説明するための模式図である。
図5】変形例における対象物である段ボールをセンサシステムとして連結された3台のセンサ装置で検出する状態を例示する模式図である。
図6】段ボールを検出したときの検出信号のOFF時間の頻度分布を例示するグラフである。
図7】変形例におけるセンサ装置を通常稼働状態から省電力状態に切り替える際のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。ただし、図面は模式的なものであり、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0026】
図1を参照して、実施形態に係るセンサシステムを構成するセンサ装置の概略構成について説明する。本実施形態では、例示的に、センサ装置1が光電センサである場合について説明する。ここで、光電センサは、例えば、対象物によって反射された光の受光量に基づいて対象物を検出する反射型と、対象物によって光が遮られることに基づいて対象物を検出する透過型とに分類することができる。以下の説明では、センサ装置1が反射型の光電センサである場合について説明する。
【0027】
また、本実施形態では、複数のセンサ装置1を連結させ、その連結させた複数のセンサ装置1を含むセンサシステム100として運用する態様について説明する。センサ装置1同士を連結させる手段として、例えば、センサ装置1同士を直接連結するコネクタや、ケーブル等の有線、無線通信等を適宜用いることができる。
【0028】
図1は、センサ装置1の概略構成を例示するブロック図である。
【0029】
図1に示すように、センサ装置1は、例えば、投光部10と、受光部20と、制御部30と、記憶部40と、表示部50と、入出力I/F(インターフェース)60と、操作部70と、投光回路81a、81bと、発光素子82a、82bと、受光回路83a、83bと、受光素子84a、84bと、を備える。投光部10、受光部20、制御部30、記憶部40、表示部50、入出力I/F60、操作部70、投光回路81a、81b、発光素子82a、82b、受光回路83a、83b、及び受光素子84a、84bは、筐体に収容される。
【0030】
センサ装置1の各部は、1つの筐体に収容される構成に限定されず、センサ装置1の各部が2つ以上に分けて収容されてもよい。
【0031】
投光部10は、対象物に向けて計測光を出力(投光)するように構成されている。投光部10は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子と、発光素子を駆動する駆動回路と、を含む。
【0032】
受光部20は、光を受けて受光量を得るように構成されている。受光部20は、例えば、PD(フォトダイオード)等の受光素子と、増幅回路と、A/D変換回路と、を含む。
【0033】
制御部30は、センサ装置1の各部の動作を制御するように構成されている。制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成される。具体的に、制御部30は、メモリを含んで構成される記憶部40に記憶されたプログラムに従って、投光部10及び受光部20の動作を制御しながら、受光部20から入力される受光量データに基づいて検出処理を実行する。検出処理の結果は、表示部50又は入出力I/F60を介して出力される。なお、制御部30の詳細については、後述する。
【0034】
記憶部40は、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。記憶部40は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バッファメモリ等のメモリを含んで構成される。具体的に、記憶部40は、制御部30が実行するプログラム、設定項目及び設定内容、並びに設定された値等のデータを記憶する。
【0035】
表示部50は、情報を表示するように構成されている。表示部50は、例えば、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Electro-Luminescence Display)等のディスプレイと、LED(Light Emitting Diode)等の表示灯とを含んで構成される。
【0036】
入出力I/F60は、他のセンサ装置1やコントローラ(制御装置)等を含む外部機器とのインターフェースとして構成されている。入出力I/F60は、例えば、外部機器との間でデータや信号をやり取りし、外部機器との通信を制御する機能を有する。
【0037】
操作部70は、情報を入力するように構成されている。操作部70は、例えば、ボタン、スイッチ、タッチパネル、キーボード等を含んで構成される。
【0038】
投光回路81a、81b、発光素子82a、82b、受光回路83a、83b、及び受光素子84a、84bは、左右に隣接するセンサ装置1との間で光通信するために利用される。発光素子82a、82bとして、例えば、LEDを用いることができ、受光素子84a、84bとして、例えば、PDを用いることができる。
【0039】
具体的に、センサ装置1の左右にある投光回路81a、81bを制御部30が制御して、左右の発光素子82a、82bから隣接するセンサ装置1に対して光を放出する。隣接するセンサ装置1に到来する光は、左右の受光素子84a、84bで受光され、受光回路83a、83bを介して制御部30に到来し、制御部30での処理に利用される。
【0040】
ここで、連結される複数のセンサ装置1には、それぞれ異なるチャネル番号が割り当てられている。センサ装置1は、左右に隣接するセンサ装置1と光通信する際に、自装置のチャネル番号の他に、後述する検出信号の変化状態やトリガ信号など含む情報を送信することができる。これにより、情報を受信した他のセンサ装置1は、例えば、どのセンサ装置1から、どのような信号が送信され、その装置で検出状態がどのように変化しているのかを認識することができる。
【0041】
制御部30は、機能的な要素として、例えば、検出部31と、切替部32と、を含む。
【0042】
検出部31は、受光部20が得る受光量と閾値とに基づいて、例えばワーク等の対象物を検出する。閾値は、対象物を検出していると判定できるときの受光量の範囲内に設定することが好ましい。
【0043】
検出部31は、検出結果として、「ON」又は「OFF」を表す検出信号を出力する。具体的に、検出部31は、受光量が閾値以上であるときに、対象物を検出していることを示す「ON」の検出信号を出力する。他方、検出部31は、受光量が閾値未満であるときに、対象物を検出していないことを示す「OFF」の検出信号を出力する。
【0044】
切替部32は、センサ装置1の稼働状態を省電力状態と通常稼働状態とに切り替える。省電力状態は、投光の強度(パワー)を弱めることにより、通常稼働状態よりも消費電力が低くなるように設定された稼働状態である。
【0045】
具体的に、切替部32は、検出部31による検出信号が対象物を検出していることを示す「ON」から対象物を検出していないことを示す「OFF」になったときに、投光の強度を、通常稼働状態であるハイレベルから省電力状態であるローレベルに切り替える。これにより、通常稼働状態のセンサ装置1における稼働状態を省電力状態に移行させることができる。
【0046】
他方、切替部32は、センサシステム100として連結された複数のセンサ装置1のうち、上位にあるセンサ装置1の動作をトリガにして、投光の強度を、省電力状態であるローレベルから通常稼働状態であるハイレベルに切り替える。これにより、省電力状態に移行していたセンサ装置1の稼働状態を通常稼働状態に復帰させることができる。
【0047】
ここで、本実施形態では、例示的に、連結される複数のセンサ装置1のうち、検出しようとする対象物が搬送される方向を基準にして上流側に連結されているセンサ装置1を上位のセンサ装置1として説明する。したがって、対象物が搬送される方向において最も上流側に連結されているセンサ装置1が最上位のセンサ装置1となり、最も下流側に連結されているセンサ装置1が最下位のセンサ装置1となる。
【0048】
なお、連結しているセンサ装置群のいずれか一方の端に位置するセンサ装置1を最上位のセンサ装置1としてもよい。この場合、他方の端に位置するセンサ装置1が最下位のセンサ装置1となる。また、チャネル番号が小さいセンサ装置1を上位のセンサ装置1としてもよい。この場合、チャネル番号が最も小さいセンサ装置1が最上位のセンサ装置1となり、チャネル番号が最も大きいセンサ装置1が最下位のセンサ装置1となる。連結されているセンサ装置1間で通信する際に、無線通信を利用してもよい。この場合、無線通信する際に、例えば、自装置のチャネル番号、宛先となるチャネル番号、後述する検出信号の変化状態やトリガ信号など含む情報を送信することが好ましい。
【0049】
このように、本実施形態に係るセンサ装置1は、複数連結されているいずれかの基準となるセンサ装置1における対象物の検出をトリガにして、他のセンサ装置1の稼働状態を切り替えることができる。
【0050】
トリガとなる上位のセンサ装置1の動作には、例えば、以下の(1)又は(2)のいずれかを含むことができる。
【0051】
(1)一つ上位に連結されているセンサ装置1の検出部31が、検出信号を「ON」から「OFF」にする動作
(2)最上位に連結されているセンサ装置1の検出部31が、検出信号を「OFF」から「ON」にする動作
なお、(1)及び(2)の詳細については、後述する。
【0052】
ここで、ローレベルの強度は、対象物を検出できる範囲内での下限値付近に設定することが好ましいが、下位のセンサ装置1の計測光の出力をOFF(強度ゼロ)にしてもよい。OFFにすることで、下位のセンサ装置1の投光を完全に消灯できるため、省電力の効果をさらに向上させることが可能となる。他方、ハイレベルの強度は、例えばフルパワーのように、S/N比を最大限に確保して対象物を確実に検出できる範囲内に設定することが好ましい。
【0053】
また、省電力状態は、投光の強度を弱めることのみによって実現することには限定されない。投光の強度を弱めることに加え、例えば、対象物の検出結果を表示する表示部50への表示の一部又は全部を停止することや、センサ装置1の機能の一部をスリープさせること等のように、消費電力を抑制可能な他の要件を適宜設定することができる。
【0054】
ここで、制御部30は、例えば、検出部31による検出状態や、切替部32による切替状態を、外部に適宜出力することができる。外部は、外部機器であってもよいし、外部の表示装置であってもよい。例示的に、制御部30は、省電力状態から通常稼働状態に切り替えられた後に、少なくとも、切替後の通常稼働状態における対象物の検出状態を外部に出力することが好ましい。
【0055】
例えば、省電力状態から通常稼働状態に切り替える時と、切替後の通常稼働状態時とでそれぞれ1回ずつ検出信号の状態を判定し、それぞれの判定結果に基づいて、センサ装置1の稼働状態がどのように遷移し、検出信号がどのような状態になっているのかを、外部に出力してもよい。
【0056】
図2及び図3を参照して、複数のセンサ装置1を含むセンサシステム100の動作の一例について説明する。
【0057】
図2は、上記(1)を採用したときに、各センサ装置1の稼働状態が切り替わる際の一例を示すタイミングチャートである。図3は、上記(2)を採用したときに、各センサ装置1の稼働状態が切り替わる際の一例を示すタイミングチャートである。
【0058】
図2及び図3では、説明の便宜のために、センサシステム100が3台のセンサ装置1を連結している場合について説明する。このセンサシステム100では、連結の上位側から、1台目のセンサ装置1、2台目のセンサ装置1、3台目のセンサ装置1の順に連結されている。タイミングチャートのスタート時は、1台目のセンサ装置1が通常稼働状態であり、2台目及び3台目のセンサ装置1が省電力状態になっている。
【0059】
まず、図2のタイミングチャートについて説明する。
図2の時間t1において、図2(A)(b)の1台目のセンサ装置1の検出部31による検出信号が、対象物を検出していることを示す「ON」になる。
【0060】
続いて、図2の時間t2において、図2(A)(b)の1台目のセンサ装置1の検出部31による検出信号が、対象物を検出していないことを示す「OFF」になる。このとき、図2(A)の1台目のセンサ装置1は、2台目のセンサ装置1にトリガ信号Saを送信するとともに、1台目のセンサ装置1の投光部10による投光の強度をハイレベルからローレベルに切り替える。これにより、図2(A)(a)の1台目のセンサ装置1の稼働状態が省電力状態に移行する。なお、時間t2から時間t3までは、投光の強度がハイレベルからローレベルに切り替わる移行期間となる。
【0061】
続いて、トリガ信号Saを受信した図2(B)の2台目のセンサ装置1の切替部32は、投光部10による投光の強度をローレベルからハイレベルに切り替える。これにより、図2(B)(a)の2台目のセンサ装置1の稼働状態が通常稼働状態に復帰する。なお、時間t2から時間t3までは、投光の強度がローレベルからハイレベルに切り替わる移行期間となる。
【0062】
続いて、図2の時間t4において、図2(B)(b)の2台目のセンサ装置1の検出部31による検出信号が、対象物を検出していないことを示す「OFF」になる。このとき、図2(B)の2台目のセンサ装置1は、3台目のセンサ装置1にトリガ信号Sbを送信するとともに、2台目のセンサ装置1の投光部10による投光の強度をハイレベルからローレベルに切り替える。これにより、図2(B)(a)の2台目のセンサ装置1の稼働状態が省電力状態に移行する。なお、時間t4から時間t5までは、投光の強度がハイレベルからローレベルに切り替わる移行期間となる。
【0063】
続いて、トリガ信号Sbを受信した図2(C)の3台目のセンサ装置1の切替部32は、投光部10による投光の強度をローレベルからハイレベルに切り替える。これにより、図2(C)(a)の3台目のセンサ装置1の稼働状態が通常稼働状態に復帰する。なお、時間t4から時間t5までは、投光の強度がローレベルからハイレベルに切り替わる移行期間となる。
【0064】
続いて、図2の時間t6において、図2(C)(b)の3台目のセンサ装置1の検出部31による検出信号が、対象物を検出していないことを示す「OFF」になる。このとき、図2(C)の3台目のセンサ装置1は、1台目のセンサ装置1にトリガ信号Scを送信するとともに、3台目のセンサ装置1の投光部10による投光の強度をハイレベルからローレベルに切り替える。これにより、図2(C)(a)の3台目のセンサ装置1の稼働状態が省電力状態に移行する。なお、時間t6から時間t7までは、投光の強度がハイレベルからローレベルに切り替わる移行期間となる。
【0065】
続いて、トリガ信号Scを受信した図2(A)の1台目のセンサ装置1の切替部32は、投光部10による投光の強度をローレベルからハイレベルに切り替える。これにより、図2(A)(a)の1台目のセンサ装置1の稼働状態が通常稼働状態に復帰する。なお、時間t6から時間t7までは、投光の強度がローレベルからハイレベルに切り替わる移行期間となる。
【0066】
これ以降は、上述した図2のタイミングチャートの各手順を先頭から繰り返し実行することになる。
【0067】
ここで、図2では、図2(A)(a)の1台目のセンサ装置1の稼働状態を、通常稼働状態と省電力状態とに切り替えているが、切り替えずに通常稼働状態のまま維持してもよい。
【0068】
また、図2では、一つ上位に連結されているセンサ装置1の検出部31による検出信号が「OFF」になったときに、トリガ信号Sa、Sb、Scを送信しているが、トリガ信号Sa、Sb、Scを送信するタイミングは、これに限定されない。例えば、一つ上位に連結されているセンサ装置1の検出部31による検出信号が「ON」になったときに、トリガ信号Sa、Sb、Scを送信してもよい。また、一つ上位に連結されているセンサ装置1の検出部31による検出信号が「ON」から「OFF」になるまでのいずれかのタイミングに、トリガ信号Sa、Sb、Scを送信してもよい。
【0069】
次に、図3のタイミングチャートについて説明する。
図3の時間t11において、図3(A)(b)の1台目のセンサ装置1の検出部31による検出信号が、対象物を検出していることを示す「ON」になる。このとき、図3(A)の1台目のセンサ装置1は、2台目のセンサ装置1にトリガ信号Saを送信する。
【0070】
そして、上記トリガ信号Saを受信した図3(B)の2台目のセンサ装置1は、3台目のセンサ装置1にトリガ信号Sbを送信するとともに、2台目のセンサ装置1の投光部10による投光の強度をローレベルからハイレベルに切り替える。
【0071】
さらに、上記トリガ信号Sbを受信した図3(C)の3台目のセンサ装置1は、3台目のセンサ装置1の投光部10による投光の強度をローレベルからハイレベルに切り替える。
【0072】
これらにより、図3(B)(a)の2台目のセンサ装置1の稼働状態及び図3(C)(a)の3台目のセンサ装置1の稼働状態が、それぞれ通常稼働状態に復帰し、連結している3台のセンサ装置1の全てが、通常稼働状態となる。なお、時間t11から時間t12までは、投光の強度がローレベルからハイレベルに切り替わる移行期間となる
【0073】
続いて、図3の時間t13において、図3(B)(b)の2台目のセンサ装置1の検出部31による検出信号が、対象物を検出していないことを示す「OFF」になる。このとき、図3(B)の2台目のセンサ装置1は、投光部10による投光の強度をハイレベルからローレベルに切り替える。これにより、図3(B)(a)の2台目のセンサ装置1の稼働状態が省電力状態に移行する。なお、時間t13から時間t14までは、投光の強度がハイレベルからローレベルに切り替わる移行期間となる。
【0074】
続いて、図3の時間t15において、図3(C)(b)の3台目のセンサ装置1の検出部31による検出信号が、対象物を検出していないことを示す「OFF」になる。このとき、図3(C)の3台目のセンサ装置1は、投光部10による投光の強度をハイレベルからローレベルに切り替える。これにより、図3(C)(a)の3台目のセンサ装置1の稼働状態が省電力状態に移行する。なお、時間t15から時間t16までは、投光の強度がハイレベルからローレベルに切り替わる移行期間となる。
【0075】
これ以降は、上述した図3のタイミングチャートの各手順を先頭から繰り返し実行することになる。
【0076】
ここで、図3では、1台目のセンサ装置1が2台目のセンサ装置1にトリガ信号Saを送信し、2台目のセンサ装置1が3台目のセンサ装置1にトリガ信号Sbを送信しているが、1台目のセンサ装置1が、2台目のセンサ装置1及び3台目のセンサ装置1のそれぞれにトリガ信号Saを送信してもよい。
【0077】
また、図3では、図3(A)(a)の1台目のセンサ装置1の稼働状態を、通常稼働状態のまま維持しているが、図3(A)(b)の1台目のセンサ装置1の検出部31による検出信号に基づいて、通常稼働状態と省電力状態とを切り替えてもよい。例えば、1台目のセンサ装置1の検出部31による検出信号が「OFF」になったときに、投光部10による投光の強度をハイレベルからローレベルに切り替え、稼働状態を省電力状態に移行させる。他方、1台目のセンサ装置1の検出部31による検出信号が「ON」になったときに、投光部10による投光の強度をローレベルからハイレベルに切り替え、稼働状態を通常稼働状態に復帰させる。
【0078】
図4は、実施形態に係るセンサシステム100の概念を説明するための模式図である。図4は、n台のセンサ装置1a~1nを連結させたセンサシステム100を例示する。同図では、例えばワーク等の対象物Oが、ベルトコンベアにより紙面の左側から右側に向けて搬送されている。このセンサシステム100では、連結の上位側(紙面の左側)から、センサ装置1a、センサ装置1b、センサ装置1c、センサ装置1d、…、センサ装置1nの順に連結されている。
【0079】
図2及び図3のタイミングチャートを用いて説明したように、n台のセンサ装置1a~1nのうち、下位のセンサ装置1は、上位のセンサ装置1の動作をトリガにして、投光の強度を、省電力状態であるローレベルから通常稼働状態であるハイレベルにそれぞれ切り替える。そして、通常稼働状態に復帰したセンサ装置1が対象物Oを検出し、その対象物Oが検出されなくなると、投光の強度を、通常稼働状態であるハイレベルから省電力状態であるローレベルに切り替える。
【0080】
このように、実施形態に係るセンサシステム100によれば、連結されている各センサ装置1において、対象物が検出されなくなったことをトリガにして、投光強度をハイレベルからローレベルに切り替えて通常稼働状態から省電力状態に移行させ、連結されている上位のセンサ装置1で対象物が検出されたことをトリガにして、下位のセンサ装置1における投光強度をローレベルからハイレベルに切り替えて省電力状態から通常稼働状態に復帰させることができる。
【0081】
これにより、実施形態に係るセンサシステム100によれば、省電力状態への移行や通常稼働状態に復帰する際の操作を省きつつ、消費電力を有効に抑え、対象物を確実に検出することが可能となる。
【0082】
また、省電力状態への移行や通常稼働状態に復帰する際の操作を省くことにより、移行や復帰のためのボタンや外部入力、通信手段などを省略することができるため、UIを簡易化することが可能となる。
【0083】
さらに、省電力状態への移行や通常稼働状態に復帰する際の操作を省くことにより、センサ装置1の後段側のI/O回路などを削減することができるため、後段システムの負荷や立ち上げ時の設計工数を軽減することが可能となる。
【0084】
加えて、センサシステム100からトリガを受けて稼働する、例えば、画像照明などの外部機器も、必要に応じて同様のタイミングで省電力状態や停止状態に切り替えることができるため、外部機器側の省電力化にも寄与することが可能となる。
【0085】
[変形例]
上述した実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。したがって、本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができる。
【0086】
例えば、上述した実施形態では、上位のセンサ装置1が、受光部20による受光量を用いて、投光の強度や検出信号を切り替えているが、投光の強度や検出信号の切り替えに用いる要素は、受光量に限定されない。受光量の他、受光位置情報や、計測演算値、波長強度などを用いて、稼働状態や検出信号を切り替えてもよい。具体的に、センサ装置1が変位センサである場合に、投光の強度は受光量を用いて切り替え、検出信号は受光位置を用いて切り替えることができる。
【0087】
また、上述した実施形態に係る切替部32は、検出部31による検出信号が「OFF」になったときに、投光部10による投光の強度をハイレベル(通常稼働状態)からローレベル(省電力状態)に切り替えているが、ハイレベルからローレベルに切り替えるタイミングはこれに限定されない。
【0088】
具体的に、切替部32は、対象物を検出する周期(時間)を超えても次の対象物が検出されないときに、投光部10による投光の強度をハイレベルからローレベルに切り替えてもよい。
【0089】
本変形例について、図5乃至図7を参照して説明する。図5は、本変形例における対象物である段ボールCa、Cb、Cc(以下において、「段ボールC」ともいう。)を、センサシステム100として連結された3台のセンサ装置1a、1b、1cで検出する状態を例示する模式図である。各段ボールCは、ベルトコンベアによって紙面の左側から右側に向けて搬送されている。各段ボールCが搬送される間隔は、各段ボールCをベルトコンベア上に置いたタイミングにより、多少ばらつきが生ずる。したがって、各センサ装置1a、1b、1cで各段ボールCa、Cb、Ccを検出する時間の間隔も多少ばらつくことになる。
【0090】
図6は、ベルトコンベアで搬送される一群の段ボールを検出するときに、検出部31による検出信号が「OFF」になってから「ON」になるまでのOFF時間の頻度分布を例示するグラフである。図6に例示するように、各段ボール間におけるOFF時間は時間t21をピークにして前後に多少ばらつきを示す分布となる。
【0091】
ところで、例えば、ベルトコンベアにより搬送される段ボール等を検出する場合、次の段ボール等がしばらく搬送されてこないこともある。このような場合、次の段ボール等が搬送されてくるまで、段ボールを検出する必要がないため、投光部10による投光の強度をハイレベル(通常稼働状態)からローレベル(省電力状態)に自動的に切り替えることが好ましい。
【0092】
具体的に、切替部32は、段ボールが検出されていないと判定してから次の段ボールが検出されるまでの時間(以下、「OFF時間」ともいう。)が、所定時間を経過した場合に、投光部10による投光の強度をハイレベルからローレベルに切り替えることが好ましい。
【0093】
上記の所定時間は、ベルトコンベアにより搬送される段ボールを検出する際に要する各段ボール間のOFF時間を勘案し、各OFF時間が分布する範囲の上限よりも少し長い時間にすることが好ましい。図6では、時間t21をピークとする分布範囲の上限よりも少し長い時間t22を所定時間に設定している。したがって、切替部32は、OFF時間が時間t22を経過した場合に、投光部10による投光の強度をハイレベルからローレベルに切り替える。他方、切替部32は、OFF時間が時間t22未満である場合に、投光部10による投光の強度をハイレベルのまま維持する。
【0094】
図7は、本変形例におけるセンサ装置1を通常稼働状態から省電力状態に切り替える際のタイミングチャートである。
【0095】
図7の時間t31までは、ベルトコンベアにより搬送される段ボールに対する検査が順次実行され、各OFF時間Tfa、Tfbは所定時間Tp未満になっている。したがって、センサ装置1の状態は通常稼働状態に維持される。
【0096】
その後、段ボールの搬送間隔が空いて、時間t32になると、時間t31から開始されたOFF時間Tfcが所定時間Tpに達する。これにより、投光部10による投光の強度がハイレベルからローレベルに切り替わり、通常稼働状態から移行状態を経て省電力状態に切り替わる。
【0097】
上述したように、変形例に係るセンサシステム100によれば、ベルトコンベアにより搬送される段ボールを検出しているときに、通常の間隔よりも長い間搬送されてこない場合に、次の段ボールが搬送されてくるまでの消費電力を削減することが可能となる。
【0098】
また、上述した実施形態のセンサ装置1において、稼働モードをさらに設けることとしてもよい。稼働モードとして、例えば、常時通常稼働モードと、適時省電力稼働モードと、を設けることができる。常時通常稼働モードは、通常稼働状態を常に維持する稼働モードであり、適時省電力稼働モードは、外部からのトリガに基づいて通常稼働状態と省電力稼働状態とを切り替える稼働モードである。ユーザは、例えば、操作部70を操作して、所望の稼働モードに設定することができる。
【0099】
例示的に、他のセンサ装置1に対してトリガを発するセンサ装置1を、常時通常稼働モードに設定し、トリガを受けて通常稼働状態に復帰するセンサ装置1を、適時省電力稼働モードに設定する。このように、一つのセンサ装置1を二つの異なる稼働モードで稼働させることが可能となるため、同じ種類のセンサ装置1を、異なる稼働モードで稼働する異なるセンサ装置1として使用することができる。
【0100】
また、上述した実施形態では、センサシステム100として連結された複数のセンサ装置1のうち、上位にあるセンサ装置1の動作をトリガにして、投光の強度を、省電力状態であるローレベルから通常稼働状態であるハイレベルに切り替えているが、これに限定されない。
【0101】
[付記]
本実施形態における態様は、以下のような開示を含む。
【0102】
(付記1)
計測光を対象物に向けて出力して得られる反射光又は透過光を用いて対象物を検出するセンサ装置(1)を複数連結するセンサシステム(100)であって、
前記センサ装置(1)の各々は、
前記計測光の出力状態を通常稼働状態と省電力状態とに切り替える制御部(30)をそれぞれ備え、
前記制御部(30)の各々は、複数連結されているいずれかの前記センサ装置(1)における前記対象物の検出をトリガにして、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態にそれぞれ切り替える、
センサシステム(100)。
【0103】
(付記2)
前記制御部(30)の各々は、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態にそれぞれ切り替える際に、前記複数連結のうち上位に連結されている前記センサ装置(1)における前記対象物の検出をトリガにする、
付記1記載のセンサシステム(100)。
【0104】
(付記3)
前記制御部(30)の各々は、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態にそれぞれ切り替える際に、検出しようとする前記対象物が搬送される方向を基準にして上流側に連結されている前記センサ装置(1)における前記対象物の検出をトリガにする、
付記1記載のセンサシステム(100)。
【0105】
(付記4)
前記制御部(30)の各々は、前記複数連結されているいずれかの前記センサ装置(1)で前記対象物が検出されている間に、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態にそれぞれ切り替える、
付記1から3のいずれかに記載のセンサシステム(100)。
【0106】
(付記5)
前記複数連結されているいずれかの前記センサ装置(1)における前記対象物の検出をトリガにして、その他の各前記センサ装置(1)の前記制御部(30)は、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態にそれぞれ切り替える、
付記1から4のいずれかに記載のセンサシステム(100)。
【0107】
(付記6)
前記制御部(30)の各々は、前記対象物が検出されないときに、前記計測光の出力状態を前記通常稼働状態から前記省電力状態にそれぞれ切り替える、
付記1から5のいずれかに記載のセンサシステム(100)。
【0108】
(付記7)
前記制御部(30)の各々は、前記対象物が検出されていないと判定してから所定時間が経過しても次の前記対象物が検出されないときに、前記計測光の出力状態を前記通常稼働状態から前記省電力状態にそれぞれ切り替える、
付記6記載のセンサシステム(100)。
【0109】
(付記8)
前記省電力状態における前記計測光の出力レベルは、前記通常稼働状態における前記計測光の出力レベルよりも低い値である、
付記1から7のいずれかに記載のセンサシステム(100)。
【0110】
(付記9)
前記省電力状態における前記計測光の出力レベルは、前記対象物を検出することができる範囲内での下限値付近であるか、OFFである、
付記8記載のセンサシステム(100)。
【0111】
(付記10)
前記制御部(30)の各々は、前記通常稼働状態から前記省電力状態に切り替える際に、さらに、前記対象物の検出結果を表示する表示部への表示の一部又は全部を停止させ、前記センサ装置(1)の機能の一部をスリープさせる、
付記6又は7記載のセンサシステム(100)。
【0112】
(付記11)
計測光を対象物に向けて出力して得られる反射光又は透過光を用いて対象物を検出するセンサ装置(1)を複数連結するセンサシステム(100)に組み込み可能なセンサ装置(1)であって、
前記計測光の出力状態を通常稼働状態と省電力状態とに切り替える制御部(30)を備え、
前記制御部(30)は、複数連結されているいずれかのセンサ装置(1)での前記対象物の検出をトリガにして、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態に切り替える、
センサ装置(1)。
【0113】
(付記12)
前記制御部(30)は、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態に切り替える際に、前記複数連結のうち上位に連結されている前記センサ装置(1)における前記対象物の検出をトリガにする、
付記11記載のセンサ装置(1)。
【0114】
(付記13)
前記制御部(30)は、前記計測光の出力状態を前記省電力状態から前記通常稼働状態に切り替える際に、検出しようとする前記対象物が搬送される方向を基準にして上流側に連結されている前記センサ装置(1)における前記対象物の検出をトリガにする、
付記11記載のセンサ装置(1)。
【符号の説明】
【0115】
1…センサ装置、10…投光部、20…受光部、30…制御部、31…検出部、32…切替部、40…記憶部、50…表示部、60…入出力I/F、70…操作部、100…センサシステム、C…段ボール、O…対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7