IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アークレイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ホスホジエステラーゼ5阻害剤 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130240
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ホスホジエステラーゼ5阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/99 20060101AFI20240920BHJP
   A61K 36/78 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 36/734 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 36/87 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240920BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240920BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C12N9/99
A61K36/78
A61K36/734
A61K36/28
A61K36/87
A61P9/12
A61P13/00
A61P15/10
A61P21/00
A23L33/105
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039865
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松尾 直紀
(72)【発明者】
【氏名】高山 聖史
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 英司
(72)【発明者】
【氏名】瀧村 純一
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD61
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4B117LC04
4B117LG18
4B117LP01
4B117LP03
4C088AB26
4C088AB47
4C088AB51
4C088AB56
4C088AC02
4C088AC03
4C088AC04
4C088AC05
4C088BA08
4C088CA05
4C088CA11
4C088CA17
4C088MA07
4C088MA16
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA41
4C088MA43
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA42
4C088ZA81
4C088ZA94
4C088ZC20
(57)【要約】
【課題】一態様において、植物を原料とする新たなホスホジエステラーゼ5阻害剤の提供を目的とする。
【解決手段】
一態様として、植物の抽出物を含む、ホスホジエステラーゼ5阻害剤であって、前記植物は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物であるホスホジエステラーゼ5阻害剤に関する。また、その他の態様として、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物を有効成分として含む、排尿障害もしくはEDの予防又は改善のための、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品、又は医薬組成物に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の抽出物を含む、ホスホジエステラーゼ5阻害剤であって、
前記植物は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物である、ホスホジエステラーゼ5阻害剤。
【請求項2】
前記ドクダミ科ドクダミ属植物は、ドクダミ(Houttuynia Cordata)であり、
前記バラ科サンザシ属植物は、セイヨウサンザシ(Crataegus laevigata)であり、
前記キク科カマエメルム属植物は、ローマカミツレ(Chamaemelum nobile)であり、
前記ブドウ科ブドウ属植物は、ブドウ(Vitis vinifera)である、請求項1記載のホスホジエステラーゼ5阻害剤。
【請求項3】
前記抽出物は、水抽出物及び有機溶媒抽出物の少なくとも一方である、請求項1記載のホスホジエステラーゼ5阻害剤。
【請求項4】
前記抽出物の乾燥物を有効成分として含む、請求項1記載のホスホジエステラーゼ5阻害剤。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のホスホジエステラーゼ5阻害剤を含む、ホスホジエステラーゼ5を阻害するための、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品、又は医薬組成物。
【請求項6】
ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物を有効成分として含む、排尿障害の予防又は改善のための、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品、又は医薬組成物。
【請求項7】
ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物を有効成分として含む、EDの予防又は改善のための、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品、又は医薬組成物。
【請求項8】
ホスホジエステラーゼ5阻害剤の製造方法であって、
植物の抽出物を得る工程を含み、
前記植物は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物、及びブドウ科ブドウ属植物であり、
前記抽出物を得る工程は、上記植物を熱水抽出することを含む、製造方法。
【請求項9】
前記抽出物を得る工程は、ドクダミ科ドクダミ属植物の地上部の乾燥物、バラ科サンザシ属植物の果実の乾燥物、キク科カマエメルム属植物の頭状花の乾燥物、及びブドウ科ブドウ属植物の葉の乾燥物を熱水抽出することを含む、請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
前記熱水抽出により得られた抽出物を、乾燥することを含む、請求項8及び9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、ホスホジエステラーゼ5を阻害するための食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品又は医薬組成物、及びホスホジエステラーゼ5阻害剤の製造方法に関する。また、本開示は、ED若しくは排尿障害の予防又は改善のための、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品又は医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホジエステラーゼ(Phosphodiesterase、PDE)は、cAMP及びcGMP等のリン酸ジエステル結合を加水分解する酵素であり、シグナル伝達に重要な役割を担っている。ヒトを含む哺乳類においてPDEは、11種類のファミリーを形成しており、各ファミリーで発現部位や基質に特徴がある。現在、PDE5活性を阻害することにより、例えば、平滑筋弛緩に基づいた陰茎勃起機能不全症(ED)及び排尿障害等の改善又は治療することが試みられている。PDE5阻害用薬剤としては、例えば、シルデナフィルなどがある。日本をはじめとする多くの国で、シルデナフィル等のPDE5阻害薬を有効成分とする治療薬が認可されているが、これらの薬剤には、例えば、血圧低下によるめまい、頭痛、及びほてり等の副作用が知られている。また、市販されていないため、医師による処方および医師の指導の下に用法用量を厳守する必要がある。
【0003】
一方、植物を原料としたPDE5阻害剤の開発も行われている。例えば、アカショウマの抽出エキスを含むPDE5活性阻害剤(特許文献1)、バンジロウ属の植物の抽出物(特許文献2)、マンゴー、イワベンケイ、オトメアゼナ及びハイビスカスから選ばれる少なくとも1種を含有するPDE5A1活性阻害剤(特許文献3)がある。しかしながら、これらの効果は必ずしも十分であるとは言えず、新たな植物由来のPDE5阻害剤の開発が求められている。
【0004】
本出願人は、バラ科サンザシ属植物、ドクダミ科ドクダミ属植物、ブドウ科ブドウ属植物及び/又はキク科カマエメルム属植物の抽出物を含有する、メイラード阻害反応剤(特許文献4)、飲食品の風味改良剤(特許文献5)、デヒドロエピアンドロステロン産生促進剤(特許文献6)、酸化タンパク質分解酵素活性増強化剤(特許文献7)、カルボキシメチルアルギニン生成抑制剤、及びコラーゲン変性抑制剤(特許文献8)等を開発している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6981641号
【特許文献2】特開2019-034920号公報
【特許文献3】特開2021-042152号公報
【特許文献4】特開2005-035911号公報
【特許文献5】WO2008/133284
【特許文献6】特開2008-231031号公報
【特許文献7】WO2011/004733
【特許文献8】WO2011/004734
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、植物を原料とする新たなPDE5阻害剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一態様として、植物の抽出物を含む、ホスホジエステラーゼ5阻害剤であって、前記植物は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物であるホスホジエステラーゼ5阻害剤に関する。
【0008】
本開示は、その他の態様として、本開示のホスホジエステラーゼ5阻害剤を含む、ホスホジエステラーゼ5を阻害するための食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品又は医薬組成物に関する。
【0009】
本開示は、その他の態様として、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物を有効成分として含む、排尿障害の予防又は改善のための、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品又は医薬組成物に関する。
【0010】
本開示は、その他の態様として、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物を有効成分として含む、EDの予防又は改善のための、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品又は医薬組成物に関する。
【0011】
本開示は、その他の態様として、ホスホジエステラーゼ5阻害剤の製造方法であって、植物の抽出物を得る工程を含み、前記植物は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物、及びブドウ科ブドウ属植物であり、前記抽出物を得る工程は、上記植物を熱水抽出することを含む製造方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物を原料とする新たなPDE5阻害剤の提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例におけるPDE5阻害活性を測定した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の4種類の植物から抽出された植物抽出物が、PDE5活性を阻害できることを見出したことに基づく。
【0015】
[PDE5阻害剤]
本開示のPDE5阻害剤は、4種類の植物から抽出された植物抽出物を含む。すなわち、本開示のPDE5阻害剤は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物を含む。
【0016】
ドクダミ科ドクダミ属(Saururaceae Houttuynia)の植物としては、一又は複数の実施形態において、ドクダミ(Houttuynia cordata)等が挙げられる。抽出に使用する部位は、一又は複数の実施形態において、植物全体であってもよいし、地上部又は地下部であってもよく、好ましくは地上部である。地上部としては、一又は複数の実施形態において、花、花穂、果皮、果実、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、及び種子等が挙げられる。地下部としては、一又は複数の実施形態において、根茎、根皮、及び根等が挙げられる。
【0017】
バラ科サンザシ属(Rosaceae Crataegus)の植物としては、一又は複数の実施形態において、セイヨウサンザシ(Crataegus laevigata)、及びサンザシ(Crataegus cuneata)等が挙げられる。抽出に使用する部位は、一又は複数の実施形態において、植物全体であってもよいし、一又はそれ以上の部位であってもよい。抽出に使用する部位としては、一又は複数の実施形態において、花、花穂、果皮、果実、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、及び種子等が挙げられ、中でも果実が好ましい。
【0018】
キク科カマエメルム属(Compositae Chamaemelum)の植物としては、一又は複数の実施形態において、ローマカミツレ(Chamaemelum nobile)等が挙げられる。抽出に使用する部位は、一又は複数の実施形態において、植物全体であってもよいし、一又はそれ以上の部位であってもよい。抽出に使用する部位としては、一又は複数の実施形態において、花、花穂、花梗(花序軸)、果皮、果実、茎、葉、根茎、根皮、根、及び種子等が挙げられ、中でも頭状花(頭状花序)が好ましい。ローマカミツレは、Anthemis nobilisなどの学名が使用される場合もある。また、ローマカミツレは、ローマンカモミールと呼ばれる場合がある。
【0019】
ブドウ科ブドウ属(Vitaceae Vitis)の植物は、例えば、ブドウ(Vitis vinifera)、アメリカブドウ(Vitis labrusca)、アマヅル(Vitis saccharifera)、エビヅル(Vitis ficifolia)、サンカクヅル(Vitis flexuosa)、ヤマブドウ(Vitis coiguetiae)、及び欧米雑種ブドウ(Vitis labruscana)等が挙げられる。抽出に使用する部位は、一又は複数の実施形態において、植物全体であってもよいし、一又はそれ以上の部位であってもよい。抽出に使用する部位としては、一又は複数の実施形態において、花、花穂、果皮、果実、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、及び種子等が挙げられ、中でも葉が好ましい。
【0020】
本開示における植物の学名は、植物和名-学名インデックスYList又はWorld Flora Online(WFO)に基づく。
【0021】
本開示のPDE5阻害剤は、一又は複数の実施形態において、ドクダミ、セイヨウサンザシ、ローマカミツレ及びブドウの抽出物を含む。本開示のPDE5阻害剤は、一又は複数の実施形態において、ドクダミの地上部、セイヨウサンザシの果実、ローマカミツレの頭状花及びブドウの葉の抽出物を含む。
【0022】
本開示のPDE5阻害剤に含有される上記植物の抽出物の形態はPDE5阻害剤の形態に応じて適宜決定でき、一又は複数の実施形態において、液状、ペースト状及び粉末状等が挙げられる。本開示のPDE5阻害剤は、一又は複数の実施形態において、上記植物の抽出物の乾燥物を有効成分として含む。
【0023】
本開示のPDE5阻害剤は、一又は複数の実施形態において、上述の抽出部位又は植物体全体を用いて抽出することにより得ることができる。抽出方法としては、一又は複数の実施形態において、公知の抽出方法が使用でき、例えば、溶媒抽出法及び圧搾法等が挙げられる。
【0024】
本開示のPDE5阻害剤における植物の抽出物は、一又は複数の実施形態において、水抽出物及び有機溶媒抽出物等が挙げられる。本開示のPDE5阻害剤における植物の抽出物は、一又は複数の実施形態において、上記植物を熱水抽出することにより得られた熱水抽出物である。
【0025】
本開示のPDE5阻害剤に含有される植物の抽出物は、一又は複数の実施形態において、上記植物からそれぞれの抽出物を得た後、それらを混合して得られた抽出物であってもよいし、2以上の植物を混合して抽出物を得た後、それらを混合して得られた抽出物であってもよいし、4種類の植物すべてを混合して抽出することにより得られたものであってもよい。
【0026】
本開示のPDE5阻害剤におけるドクダミ科ドクダミ属植物の抽出物、バラ科サンザシ属植物の抽出物、キク科カマエメルム属植物の抽出物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物の配合比(乾燥重量比)は、一又は複数の実施形態において、等量(重量)であってもよいし、等量でなくてもよい。本開示のPDE5阻害剤におけるドクダミ科ドクダミ属植物の抽出物(A)、バラ科サンザシ属植物の抽出物(B)、キク科カマエメルム属植物の抽出物(C)及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物(D)の配合比(乾燥重量比、A:B:C:D)は、一又は複数の実施形態において、1:0.01~100:0.01~100:0.01~100等が挙げられ、好ましくは1:0.1~10:0.1~10:0.1~10、より好ましくは1:0.5~5:0.5~5:0.5~5等が挙げられる。
【0027】
本開示のPDE5阻害剤は、一又は複数の実施形態において、上記植物の抽出物からなるものでもよいし、当該抽出物によるPDE5阻害活性を阻害しない範囲で、任意のその他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、一又は複数の実施形態において、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤、吸収促進剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、界面活性剤、希釈剤、溶解剤、防腐剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、及び香料等が挙げられる。他の成分としては、一又は複数の実施形態において、水、界面活性剤、グリセリン、プロピレングリコール、アルコール、油脂類、糖、多糖類、ガム質、及び高分子化合物等が挙げられる。アルコールとしては、一又は複数の実施形態において、エタノール等が挙げられる。ガム質としては、一又は複数の実施形態において、アラビアガム等が挙げられる。高分子化合物としては、一又は複数の実施形態において、デキストリン等が挙げられる。本開示のPDE5阻害剤は、一又は複数の実施形態において、上記植物の抽出物以外のPDE5阻害活性を有する成分を含んでいてもよいし、他のPDE5阻害活性を有する成分を含んでいなくてもよい。
【0028】
本開示のPDE5阻害剤における上記植物の抽出物の含有量は、一又は複数の実施形態において、乾燥重量換算で、0.1重量%~100重量%である。含有量は、一又は複数の実施形態において、1重量%以上、2重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上又は70重量%以上である。また、含有量は、一又は複数の実施形態において、99.9重量%以下、99重量%以下、98重量%以下、97重量%以下、96重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、80重量%以下又は75重量%以下である。
【0029】
本開示のPDE5阻害剤の形態は、一又は複数の実施形態において、粉末、顆粒、錠剤、カプセル及び液体等が挙げられる。
【0030】
本開示のPDE5阻害剤の摂取量は、目的とする効果が奏される限り特に限定されず、対象者の年齢、症状、体重、適用形態及び使用目的等に応じて適宜設定することができる。一日当たりの摂取量としては、一又は複数の実施形態において、本開示のPDE5阻害剤に含有される植物抽出物の乾燥重量換算として、体重1kgあたり、0.001mg~100mgである。一日当たりの摂取量は、一又は複数の実施形態において、体重1kgあたり、0.001mg以上、0.01mg以上、0.1mg以上又は1mg以上である。一日当たりの摂取量は、一又は複数の実施形態において、体重1kgあたり、100mg以下、50mg以下、20mg以下、10mg以下又は5mg以下である。本開示のPDE5阻害剤の摂取は、一又は複数の実施形態において、1日当たり、1回の単回摂取であってもよいし、2回以上の複数回摂取であってもよい。
【0031】
本開示のPDE5阻害剤は、一又は複数の実施形態において、当該阻害剤を摂取することにより及び/又は生体に投与することにより、生体内におけるPDE5の活性を阻害することができる。PDE5は、cGMP(環状グアノシン一リン酸)のリン酸ジエステル結合を加水分解する酵素であって、海綿体、肺、心臓、血管及び内臓筋(内臓平滑筋)、並びに血小板等に発現している。PDE5の活性を阻害することにより、例えば、平滑筋細胞内のcGMP濃度の低下を抑制し、NOの産生量を増加させることができる。よって、PDE5の活性を阻害することにより、例えば、膀胱、尿道及び前立腺等の筋肉(平滑筋)を緩め、血管拡張作用を維持し、血流を改善することができる。したがって、本開示のPDE5阻害剤は、一又は複数の実施形態において、排尿障害、ED(勃起不全、性欲減退、及び勃起障害など)、肺動脈性肺高血圧症、筋弛緩及び収縮抑制等を予防又は改善するための用途のために用いることができる。
【0032】
本開示のPDE5阻害剤は、一又は複数の実施形態において、食品組成物、飲料組成物及び健康食品等の飲食品の原料、並びに化粧品、サプリメント、医薬部外品及び医薬組成物等の原料として使用できる。よって、本開示は、その他の態様として、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品及び医薬組成物に、ホスホジエステラーゼ5を阻害する機能を付与するための、並びに/又は、排尿障害、ED、筋弛緩及び収縮抑制等を予防若しくは改善する機能を付与するための、原料又は食品素材(食品原料)に関する。本開示の原料又は食品素材は、本開示のPDE5阻害剤、並びに/又は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物を有効成分として含む。
【0033】
健康食品とは、一般に健康に良いことを謳った食品全般のことをいい、一又は複数の実施形態において、国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従って食品の機能が表示されている特定保健用食品、栄養機能食品及び機能性表示食品等の保健機能食品等が挙げられる。
【0034】
本開示において「飲食品の原料」とは、加工食品、栄養補助食品及び健康食品等の食品並びに飲料品の製造に用いられる食品原料又は食品素材をいう。食品原料又は食品素材の形態は、一又は複数の実施形態において、水溶液、濃縮液及び乾燥物等が挙げられる。原料としての形態は、特に制限されず、一又は複数の実施形態において、固形、顆粒及び粉末等の乾燥物、ペースト、並びに液体等が挙げられる。
【0035】
本開示のPDE5阻害剤は、一又は複数の実施形態において、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品及び医薬組成物として使用できる。よって、本開示は、その他の態様として、本開示のPDE5阻害剤を含む若しくは本開示のPDE5阻害剤を有効成分として含有する、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品又は医薬組成物に関する。その他の態様として、本開示は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物を有効成分として含む、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品又は医薬組成物に関する。本開示の食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品又は医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、ホスホジエステラーゼ5を阻害するための用途のために用いることができる。本開示の食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品又は医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、排尿障害、ED、筋弛緩及び収縮抑制等を予防又は改善するための用途のために使用することができる。
【0036】
本開示の食品組成物、飲料組成物及び健康食品等の飲食品は、一又は複数の実施形態において、ヒト成人の場合、本開示のPDE阻害剤、又はドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物の1日あたりの摂取量が約10mg~約1000mgであることを目安として摂取することが挙げられる。1日あたりの目安の摂取量は、一又は複数の実施形態において、30mg以上又は50mg以上である。1日あたりの目安の摂取量は、一又は複数の実施形態において、900mg以下、800mg以下又は700mg以下である。本開示の飲食品は、一又は複数の実施形態において、食事と同時に摂取してもよいし、食前、食間又は食後に摂取してもよい。
【0037】
[PDE5阻害剤の製造方法]
本開示は、さらにその他の態様において、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物から抽出物を得ることを含む、PDE5阻害剤を製造する方法に関する。本開示のPDE5阻害剤の製造方法によれば、一又は複数の実施形態において、本開示のPDE5阻害剤を製造することができる。
【0038】
抽出物は、一又は複数の実施形態において、上記植物の特定の部位又は植物体全体を用いて抽出することにより得ることができる。抽出方法としては、一又は複数の実施形態において、公知の抽出方法が使用でき、例えば、溶媒抽出法及び圧搾法等が挙げられる。抽出物を得るために用いる原料(植物体)は、一又は複数の実施形態において、乾燥状態であってもよいし、植物体そのまま(乾燥前の生の植物体)であってもよい。
【0039】
抽出物を得るために用いる原料としては、一又は複数の実施形態において、ドクダミ科ドクダミ属植物の地上部の乾燥物、バラ科サンザシ属植物の果実の乾燥物、キク科カマエメルム属植物の頭状花の乾燥物、及びブドウ科ブドウ属植物の葉の乾燥物を使用することが好ましい。
【0040】
溶媒抽出法に用いる抽出溶媒としては、一又は複数の実施形態において、水性溶媒、及び有機溶媒等が挙げられる。水性溶媒としては、一又は複数の実施形態において、水等が挙げられる。有機溶媒としては、一又は複数の実施形態において、低級アルコール、多価アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ニトリル、芳香族化合物、及び塩化アルキル等が挙げられる。低級アルコールとしては、一又は複数の実施形態において、メタノール、エタノール及び無水エタノール等が挙げられる。多価アルコールとしては、一又は複数の実施形態において、プロピレングリコール及び1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。ケトンとしては、一又は複数の実施形態において、アセトン及びギ酸等が挙げられる。エステルとしては、一又は複数の実施形態において、酢酸エチル等が挙げられる。エーテルとしては、一又は複数の実施形態において、ジエチルエーテル及びジオキサン等が挙げられる。ニトリルとしては、一又は複数の実施形態において、アセトニトリル等が挙げられる。芳香族化合物としては、一又は複数の実施形態において、ベンゼン、トルエン及びキシレン等が挙げられる。塩化アルキルとしては、一又は複数の実施形態において、クロロホルム等が挙げられる。抽出溶媒は、一又は複数の実施形態において、1種類の溶媒であってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。抽出溶媒は、一又は複数の実施形態において、水性溶媒と前記有機溶媒との混合溶媒であってもよい。混合溶媒は、としては、一又は複数の実施形態において、エタノール水溶液等の低級アルコール水溶液等が挙げられる。混合溶媒における前記有機溶媒の割合は、としては、一又は複数の実施形態において、1体積%~99体積%である。
【0041】
本開示のPDE5阻害剤の製造方法は、一又は複数の実施形態において、溶媒抽出法により上記植物の抽出物を得ることを含み、必要に応じて、別々に抽出して得られた抽出物を混合することを含んでいてもよい。抽出に用いる原料は、一又は複数の実施形態において、浸漬前に、洗浄、乾燥及び粉砕等の処理を行ってもよい。
【0042】
抽出は、一又は複数の実施形態において、上記植物の抽出部位又は植物体全体(原料)を、抽出溶媒に浸漬することにより行うことができる。抽出は、一又は複数の実施形態において、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の各原料それぞれについて抽出処理を行ってもよいし、2種類以上の植物を混合して抽出処理を行ってもよいし、4種類すべての植物(原料)を混合して抽出処理を行ってもよい。4種類すべての植物(原料)を混合して抽出処理を行う場合の各原料の割合は、一又は複数の実施形態において、等量(重量)であってもよいし、等量でなくてもよい。ドクダミ科ドクダミ属植物(A’)、バラ科サンザシ属植物(B’)、キク科カマエメルム属植物(C’)及びブドウ科ブドウ属植物(D’)の配合比(乾燥重量比、A’:B’:C’:D’)は、一又は複数の実施形態において、1:0.01~100:0.01~100:0.01~100等が挙げられ、好ましくは1:0.1~10:0.1~10:0.1~10、より好ましくは1:0.5~5:0.5~5:0.5~5等が挙げられる。
【0043】
抽出に用いる原料と抽出溶媒との割合は、一又は複数の実施形態において、原料100g(乾燥重量)に対して、抽出溶媒1L~1000Lであり、好ましくは1L~100Lである。浸漬時間は、原料及び抽出溶媒の種類並びに量等に応じて適宜設定でき、特に限定されない一又は複数の実施形態において、原料100g(乾燥重量)を抽出溶媒10Lに浸漬する場合、浸漬時間は、0.5時間以上であり、好ましくは0.5時間~24時間である。
【0044】
抽出時の前記抽出溶媒の温度は、一又は複数の実施形態において、室温であってもよいし、室温以上又は室温以下であってもよい。抽出溶媒が水性溶媒の場合、抽出処理は、一又は複数の実施形態において、熱水抽出が好ましい。熱水抽出の場合の水性溶媒の温度は、一又は複数の実施形態において、30℃以上であり、好ましくは50℃~100℃又は70℃~90℃である。熱水抽出の処理時間は、原料の種類及び量、並びに水性溶媒の量等に応じて適宜設定でき、特に限定されない一又は複数の実施形態において、原料100g(乾燥重量)を水性溶媒10Lで熱水抽出する場合、抽出(浸漬)時間は、0.5時間以上であり、好ましくは0.5時間~24時間又は2時間~20時間である。
【0045】
上記抽出処理後に、得られた抽出物の精製処理等を行ってもよい。精製処理は、公知の方法が使用でき、一又は複数の実施形態において、蒸留処理、ろ過処理、クロマトグラフィー処理及び乾燥処理等挙げられる。
【0046】
[原料又は食品素材の製造方法]
本開示は、さらにその他の態様において、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品及び医薬組成物に、ホスホジエステラーゼ5を阻害する機能を付与するための、及び/又は、排尿障害、ED、筋弛緩並びに収縮抑制等を予防若しくは改善する機能を付与するための、原料又は食品素材(食品原料)を製造する方法であって、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物から抽出物を得ることを含む、製造方法に関する。本態様の製造方法における抽出物を得る工程は、本開示のPDE5阻害剤の製造方法と同様に行うことができる。
【0047】
[飲料組成物及び食品組成物等の製造方法]
本開示は、さらにその他の態様において、本開示のPDE5阻害剤、並びに/又はドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物から抽出物を含む、飲料組成物、食品組成物、健康食品、化粧品、サプリメント又は医薬部外品を製造する方法に関する。当該製造方法は、一又は複数の実施形態において、本開示のPDE5阻害剤、並びに/又はドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物から抽出物を、目的とする食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品又は医薬組成物に添加すること、及び/若しくは目的とする食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品又は医薬組成物の原料と混合することを含む。
【0048】
本開示は以下の限定されない一又は複数の実施形態に関しうる。
[1] 植物の抽出物を含む、ホスホジエステラーゼ5阻害剤であって、
前記植物は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属 植物及びブドウ科ブドウ属植物である、ホスホジエステラーゼ5阻害剤。
[2] 前記ドクダミ科ドクダミ属植物は、ドクダミ(Houttuynia Cordata)であり、
前記バラ科サンザシ属植物は、セイヨウサンザシ(Crataegus laevigata)であり、
前記キク科カマエメルム属植物は、ローマカミツレ(Chamaemelum nobile)であり、
前記ブドウ科ブドウ属植物は、ブドウ(Vitis vinifera)である、[1]記載のホスホジエステラーゼ5阻害剤。
[3] 前記抽出物は、水抽出物及び有機溶媒抽出物の少なくとも一方である、[1]又は[2]記載のホスホジエステラーゼ5阻害剤。
[4] 前記抽出物の乾燥物を有効成分として含む、[1]から[3]のいずれかに記載のホスホジエステラーゼ5阻害剤。
[5] [1]から[4]のいずれかに記載のホスホジエステラーゼ5阻害剤を含む、ホスホジエステラーゼ5を阻害するための、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品、又は医薬組成物。
[6] ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物を有効成分として含む、排尿障害の予防又は改善のための、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品、又は医薬組成物。
[7] ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物を有効成分として含む、EDの予防又は改善のための、食品組成物、飲料組成物、健康食品、化粧品、サプリメント、医薬部外品、又は医薬組成物。
[8] ホスホジエステラーゼ5阻害剤の製造方法であって、
植物の抽出物を得る工程を含み、
前記植物は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物、及びブドウ科ブドウ属植物であり、
前記抽出物を得る工程は、上記植物を熱水抽出することを含む製造方法。
[9] 前記熱水抽出により得られた抽出物を、乾燥することを含む[8]に記載の製造方法。
[10] 前記抽出物を得る工程は、ドクダミ科ドクダミ属植物の地上部の乾燥物、バラ科サンザシ属植物の果実の乾燥物、キク科カマエメルム属植物の頭状花の乾燥物、及びブドウ科ブドウ属植物の葉の乾燥物を、熱水抽出することを含む[8]又は[9]に記載の製造方法。
[11] 前記抽出物を得る工程は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物のそれぞれを熱水抽出すること、及び得られたドクダミ科ドクダミ属植物の抽出物、バラ科サンザシ属植物の抽出物、キク科カマエメルム属植物の抽出物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物を混合することを含む[8]から[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12] 前記抽出物を得る工程は、ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物、及びブドウ科ブドウ属植物からなる群から選択される2種類、3種類又は4種の植物を混合して、前記混合物を熱水で抽出することを含む[8]から[10]のいずれかに記載の製造方法。
[13] 前記混合は、ドクダミ科ドクダミ属植物の地上部の乾燥物、バラ科サンザシ属植物の果実の乾燥物、キク科カマエメルム属植物の頭状花の乾燥物、及びブドウ科ブドウ属植物の葉の乾燥物からなる群から選択される2種類、3種類又は4種類の乾燥物を混合することを含む[12]記載の製造方法。
[14] ホスホジエステラーゼ5阻害剤は、[1]から[4]のいずれかに記載のホスホジエステラーゼ5阻害剤である[8]から[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15] ドクダミ科ドクダミ属植物、バラ科サンザシ属植物、キク科カマエメルム属植物及びブドウ科ブドウ属植物の抽出物の、排尿障害若しくはEDの予防又は改善のための医薬組成物の製造における用途。
【0049】
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
【実施例0050】
[植物抽出物の調製例]
ドクダミ(Houttuynia Cordata)の地上部、セイヨウサンザシ(Crataegus laevigata)の果実、ローマカミツレ(Chamaemelum nobile)の頭状花及びブドウ(Vitis vinifera)の葉を乾燥させて粉砕した4種のハーブを混合した。乾燥混合物(100g)を約80℃の精製水(10L)に約5時間浸漬させた。次いで、ろ過して残渣を除去し、ろ液(約10kg)を回収した。回収したろ液を乾燥させて溶媒(精製水)を除去することによって粉末状の抽出物(20g)を得た。得られた抽出物をデキストリンと混合し、乾燥させることによって上記4種類のハーブの抽出物を含む粉末状の混合ハーブエキスを調製した。なお、抽出物とデキストリンとの混合は、抽出物(濃縮物)中の固形分に対するデキストリンの割合が4:6(抽出物:デキストリン)となるよう行った。
【0051】
[PDE5阻害活性の測定]
PDE5阻害活性の測定は、酵素としてPDE5A,GST-Tag(BPS Bioscience社製)を用い、PDE-Glo Phosphodiesterase assay kit(Promega社製)のプロトコルに従い行った。PDE5阻害活性の測定には混合ハーブエキスを用い、濃度別PDE5阻害活性を評価した。
【0052】
PDE阻害活性の評価は、混合ハーブエキスの終濃度が62.5μg/mL、125μg/mL、250μg/mL及び500μg/mLで行った。また、PDE5阻害薬であるシルデナフィルを陽性対照被験化合物として用いた。
【0053】
[測定手順]
1.検体(混合ハーブエキス)は、PDE-Glo Phosphodiesterase assay kitのPDE-Glo reaction buffer(5×)で終濃度の2倍濃度となるよう適宜調製した。
2.検体25μLを96ウェルプレートに加えた。
3.検体を加えたウェルにPDE5A溶液を12.5μL加えて1分間プレートミキサーで撹拌した。撹拌後、4分間、25℃でインキュベーションした。
4.インキュベーションしたウェルに、基質として2.5μM cGMP溶液を12.5μL加えて1分間プレートミキサーで撹拌した。撹拌後、90分間、25℃でインキュベーションした。
5.インキュベーションしたウェルに、PDE-Glo Phosphodiesterase assay kitのPDE-Glo termination bufferを12.5μL加えて1分間プレートミキサーで撹拌した。撹拌後、20分間、25℃でインキュベーションした。
6.インキュベーションしたウェルに、PDE-Glo Phosphodiesterase assay kitのDetection solutionを12.5μL加えて1分間プレートミキサーで撹拌した。撹拌後、20分間、25℃でインキュベーションした。
7.PDE-Glo Phosphodiesterase assay kitのKinase-Glo reagentを50μL加えて1分間プレートミキサーで撹拌した。撹拌後、10分間、25℃でインキュベーションした。
8.蛍光プレートリーダー(商品名:MTP-700CL、コロナ電気社製)を用いてLuminescence(RLU)を測定した。
9.陽性対照であるシルデナフィル(8.35ng/mL)を用いて、上記と同様の測定を行った。
10.陽性対照であるシルデナフィル(8.35ng/mL)での阻害率を100%として、検体の相対阻害率を求めた。その結果の一例を下記表1及び図1に示す。
【表1】
【0054】
上記表1及び図1に示すように、検体は、いずれの濃度においても、陽性対照であるシルデナフィルと同等のPDE5阻害活性を示した。特に、終濃度が125、250及び500μg/mLでは、陽性対照であるシルデナフィルとほぼ同じレベルのPDE5阻害活性を示した。
よって、ドクダミ(Houttuynia cordata)、セイヨウサンザシ(Crataegus laevigata)、ローマカミツレ(Chamaemelum nobile)及びブドウ(Vitis vinifera)の4種類のハーブの抽出物を含む組成物は、排尿障害及びED等の予防又は改善、並びに筋弛緩又は収縮の抑制に有効であることが示唆された。
図1