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  • 特開-回路基板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130241
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/11 20060101AFI20240920BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H05K1/11 H
H05K1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039866
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】木田 政宏
【テーマコード(参考)】
5E317
5E338
【Fターム(参考)】
5E317AA25
5E317AA26
5E317GG20
5E338AA02
5E338BB13
5E338BB17
5E338CD13
5E338EE11
5E338EE22
(57)【要約】
【課題】配線に含まれる複数のVIAホールの面積を小さくすることができ、VIAホールが含まれる差動ペア配線の性能低下を防止することができる回路基板を提供すること。
【解決手段】回路基板100は、配線層間で基板110を貫通する複数のVIAホール120を含んでいる。一対となる2つのVIAホール120のそれぞれは、基板110上の配線層に平行な断面が円弧形状を有し、基板110の内部において、所定の隙間200を介して対向している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層間で基板を貫通する複数のVIAホールを含む回路基板であって、
一対となる2つの前記VIAホールのそれぞれは、前記基板上の前記配線層に平行な断面が円弧形状を有し、前記基板の内部において、所定の隙間を介して対向していることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
2つの前記VIAホールのそれぞれは、前記円弧形状の端部が互いに対向していることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
2つの前記VIAホールのそれぞれは、前記基板内において前記隙間を挟んで対称形状を有することを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
2つの前記VIAホールは、前記円弧形状の中心間の距離が、前記円弧形状の直径以下であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項5】
2つの前記VIAホールは、対となる差動ペア配線のそれぞれの一部として用いられることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の配線層間を接続するVIAホールを有する回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の配線層間を接続する場合、VIAホールを介してこれらの間の接続を行うようにした回路基板が知られている。例えば、特許文献1には、基板の表裏を導通させる複数のスルーホールを有し、スルーホール内面の銅メッキ層の厚みを異ならせた2種類以上のスルーホールが含まれるプリント配線板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-243293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配線基板にICやコネクタなどが実装されている場合には、これらから延びる配線数が多くなるため、これらの配線を複数の配線層間で接続しようとすると、VIAホールの数が多くなり、これら複数のVIAホールを用いることによる面積の増大が顕著になるという問題があった。例えば、各VIAホールには、各層で配線が接続されるランドが形成され、これらのランドの外径はVIAホールの内径よりも大きいため、これらのランドを配線数分隣接配置するためには面積の拡大は避けられない。また、差動ペア配線をVIAホールを介して接続する場合には、各配線層内の配線ペアに比べて、対となるVIAホール間の間隔が離れてしまうため、VIAホールを含む配線のインピーダンスが同じにならず、差動ペア配線としての性能が低下する。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、配線に含まれる複数のVIAホールの面積を小さくすることができ、VIAホールが含まれる差動ペア配線の性能低下を防止することができる回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の回路基板は、配線層間で基板を貫通する複数のVIAホールを含む回路基板であって、一対となる2つのVIAホールのそれぞれは、基板上の配線層に平行な断面が円弧形状を有し、基板の内部において、所定の隙間を介して対向している。
【0007】
断面を円弧形状として隙間を介して配置することにより、2つのVIAホールを接近した位置に形成することができるため、基板上の配線に含まれる複数のVIAホールの面積を小さくすることができる。
【0008】
また、上述した2つのVIAホールのそれぞれは、円弧形状の端部が互いに対向していることが望ましい。特に、上述した2つのVIAホールのそれぞれは、基板内において隙間を挟んで対称形状を有することが望ましい。隣接する2つのVIAホールを対向させたり、対称形状とすることにより、インピーダンス等の電気特性を近づけることが可能となる。
【0009】
また、上述した2つのVIAホールは、円弧形状の中心間の距離が、円弧形状の直径以下であることが望ましい。このような限定を加えることにより、2つのVIAホールを合わせた面積を確実に小さくすることができる。
【0010】
また、上述した2つのVIAホールは、対となる差動ペア配線のそれぞれの一部として用いられることが望ましい。上述した対となるVIAホールを用いることにより、差動ペア配線のインピーダンスのばらつきを抑えることができるため、VIAホールを通したことによる差動ペア配線の性能低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の回路基板の構成を示す平面図である。
図2】回路基板に含まれる一対の2個のVIAホールを含むその周辺の詳細を示す平面図である。
図3】一方のVIAホールの詳細形状を示す斜視図である。
図4】一対の2個のVIAホールの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した一実施形態の回路基板について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、一実施形態の回路基板の構成を示す平面図である。図1に示す構成は回路基板に含まれるVIAホールに着目したものであって、他の実装部品は図示が省略されている。図1(A)には回路基板の表面が、図1(B)には回路基板の裏面がそれぞれ示されている。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の回路基板100は、基板110を貫通する複数のVIA(バイア、ビア)ホール120と、VIAホール120の一方端(基板110の表面側)のランド130から延びる配線パターン132と、VIAホール120の他方端(基板110の裏面側)のランド140から延びる配線パターン142とを含んでいる。複数のVIAホール120は、隣接配置された2個が対となっている。また、ランド130、140から延びる配線パターン132、142は、基板110に実装された他の部品や基板110の端部に設けられたエッジ・コネクタ(図示せず)などに接続されている。
【0015】
図2は、回路基板100に含まれる一対の2個のVIAホール120を含むその周辺の詳細を示す平面図である。図2(A)には回路基板100の表面側が、図2(B)には回路基板100の裏面側がそれぞれ示されている。
【0016】
一対を構成する2個のVIAホール120A、120Bのそれぞれは、基板110上の配線層(ランド130A、130Bから延びる配線パターン132A、132Bやランド140A、140Bから延びる配線パターン142A、142B)に平行な断面が円弧形状を有している。これらのVIAホール120A、120Bは、基板110の表面から裏面に向けて貫通する所定の隙間200を挟んで、対称形状であって、断面の円弧形状の端部同士が互いに対向している。
【0017】
図3は、一方のVIAホール120Bの詳細形状を示す斜視図である。図3に示すように、VIAホール120Bは、基板110(図示せず)の表面に沿った断面が円弧形状であって、円筒をその中心軸を含む平面でほぼ半分にした形状を有している。そして、基板110の表面側の端部には半円形状のランド130Bが、基板110の裏面側の端部には半円状のランド140Bがそれぞれ設けられている。表面側のランド130Bには配線パターン132Bが接続されている。また、裏面側のランド140Bには配線パターン142Bが接続されている。
【0018】
図4は、一対の2個のVIAホール120A、120Bの製造方法を示す図である。
【0019】
最初に、2個のVIAホール120A’、120B’をその両端のランド130A’、130B’、140A’、140B’や配線パターン132A’132B’、142A’、142B’とともに形成する(図4(A))。VIAホール120A’、120B’のそれぞれの直径をdとしたときに、2つのVIAホール120A’、120B’の中心間の距離は、例えばdと同じあるいはd以下に設定されている。このような位置関係となっているため、従来の手法で形成される円筒状の2つのVIAホール120A’、120B’やランド130A’等は一部が重複し、電気的に接続した状態となっている。
【0020】
このようにして表面側に形成される2つの配線パターン132A’132B’は、差動ペア配線の一部を構成するものであって、一定の間隔を維持している。同様に、裏面側に形成される2つの配線パターン142A’142B’は、差動ペア配線の一部を構成するものであって、一定の間隔を維持している。
【0021】
次に、2つのVIAホール120A’、120B’の中央部分に、VIAホール120A’、ランド130A’、140A’とVIAホール120B’、ランド130B’、140B’とが互いに電気的に分離するように隙間200を形成する。例えば、0.3mm幅の隙間200が形成される。なお、この隙間200は、空間のままであってもいいが、絶縁体を充填するようにしてもよい。このようにして、隙間200を挟んで、電気的に絶縁された2つのVIAホール120A、120Bやランド130A、130B、140A、140Bが完成する(図4(B))。
【0022】
このように、本実施形態の回路基板100では、2つのVIAホール120(120A、120B)の断面を円弧形状として、隙間200を介して配置しており、2つのVIAホール120を接近した位置に形成することができるため、基板110上の配線に含まれる複数のVIAホール120やランド130、140を含めた面積を小さくすることができる。
【0023】
また、2つのVIAホール120(120A、120B)のそれぞれは、円弧形状の断面の端部が互いに対向し、特に、基板110内部において隙間200を挟んで対称形状を有している。隣接する2つのVIAホール120を対向させたり、対称形状とすることにより、2つのVIAホール120を含む2つの配線のインピーダンス等の電気特性を近づけることが可能となる。
【0024】
また、2つVIAホール120(120A、120B)は、円弧形状の中心間の距離を、円弧形状の直径d以下としており、このような限定を加えることにより、2つのVIAホール120を合わせた面積を確実に小さくすることができる。
【0025】
また、2つのVIAホール120(120A、120B)を、対となる差動ペア配線のそれぞれの一部として用いることにより、差動ペア配線のインピーダンスのばらつきを抑えることができるため、VIAホール120を通したことによる差動ペア配線の性能低下を防止することができる。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、基板110を貫通するようにVIAホール120が形成されている場合について示したが、基板110内部に形成されて階層が異なる2つの導電層間にVIAホールを形成する場合や、表面あるいは裏面と中間の導電層の間にVIAホールを形成する場合についても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
上述したように、本発明によれば、2つのVIAホールの断面を円弧形状として隙間を介して配置することにより、2つのVIAホールを接近した位置に形成することができるため、基板上の配線に含まれる複数のVIAホールの面積を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0028】
100 回路基板
110 基板
120 VIAホール
130、140 ランド
132、142 配線パターン
200 隙間
図1
図2
図3
図4