(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130250
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20240920BHJP
H01M 8/04228 20160101ALI20240920BHJP
H01M 8/04303 20160101ALI20240920BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20240920BHJP
H01M 8/04955 20160101ALI20240920BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240920BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02J3/46
H01M8/04228
H01M8/04303
H01M8/04537
H01M8/04955
H02J3/00 170
H02J3/38 170
H02J3/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039876
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小山 義彦
【テーマコード(参考)】
5G066
5H127
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066AA03
5G066AA04
5G066HA15
5G066HB07
5G066KA06
5G066KB03
5H127AA01
5H127AB03
5H127AB14
5H127AC19
5H127BA05
5H127DA11
5H127DB66
5H127DB70
5H127DC45
5H127DC49
(57)【要約】
【課題】複数の施設間での電力の融通を適切に行うことができるか否かを判定できる電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力供給システムであって、個別制御装置25は施設20の電力負荷装置23の負荷電力と融通電力との合計の電力を供給するように燃料電池装置22を動作させるように構成され、個別制御装置25は、燃料電池装置22の予定停止時間帯を予め決定し、予定停止時間帯に燃料電池装置22の発電運転を停止する発電停止制御を行うように構成され、全体制御装置10は、複数の施設20のそれぞれで個別制御装置25が決定した予定停止時間帯を参照して、将来の各時間帯について、その時間帯が予定停止時間帯になっていない燃料電池装置22により同時に発電可能な発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての施設20の負荷電力の合計よりも少ないか否かを検証する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を消費する電力負荷装置を有する複数の施設に電力を供給する電力供給システムであって、
システム全体を制御する全体制御装置を備え、
複数の前記施設の少なくとも一つには、燃料電池装置と、前記燃料電池装置を制御する個別制御装置とが設けられ、
前記全体制御装置は、前記電力負荷装置の負荷電力が前記燃料電池装置の発電可能電力を超えることで不足電力が生じる前記施設が存在し、且つ、前記負荷電力が前記発電可能電力に満たないことで余剰電力が生じる前記施設が存在する場合、前記余剰電力が生じる前記施設から前記不足電力が生じる前記施設へ電力が融通されるように、前記余剰電力が生じる前記施設に対して所定の融通電力を伝達するように構成され、
前記個別制御装置は、前記施設の前記電力負荷装置の前記負荷電力と前記融通電力との合計の電力を供給するように前記燃料電池装置を動作させるように構成され、
前記個別制御装置は、前記燃料電池装置の予定停止時間帯を予め決定し、前記予定停止時間帯に前記燃料電池装置の発電運転を停止する発電停止制御を行うように構成され、
前記全体制御装置は、複数の前記施設のそれぞれで前記個別制御装置が決定した前記予定停止時間帯を参照して、将来の各時間帯について、その時間帯が前記予定停止時間帯になっていない前記燃料電池装置により同時に発電可能な前記発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての前記施設の前記負荷電力の合計よりも少ないか否かを検証する検証処理を行うように構成される電力供給システム。
【請求項2】
前記全体制御装置は、前記検証処理において、将来の各時間帯について、その時間帯が前記予定停止時間帯になっていない前記燃料電池装置により同時に発電可能な前記発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての前記施設の前記負荷電力の合計よりも多い場合には、その時間帯に設定されている前記予定停止時間帯の全てを変更しない請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記全体制御装置は、前記検証処理において、将来の各時間帯について、その時間帯が前記予定停止時間帯になっていない前記燃料電池装置により同時に発電可能な前記発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての前記施設の前記負荷電力の合計よりも少ない場合には、その時間帯に設定されている少なくとも一つの前記燃料電池装置の前記予定停止時間帯を別の時間帯に変更させる請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項4】
変更後の前記燃料電池装置の前記予定停止時間帯は、前記燃料電池装置の連続発電期間が所定の上限運転期間に達しない時間帯に決定される請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
変更後の前記燃料電池装置の前記予定停止時間帯は、予測される全ての前記施設の前記負荷電力の合計が小さい時間帯を優先し、且つ、前記燃料電池装置の連続発電期間が所定の上限運転期間に達しない時間帯に決定される請求項3に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を消費する電力負荷装置を有する複数の施設に電力を供給する電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池装置などの分散型発電装置を用いた電力供給システムが普及している。分散型発電装置を備える施設では、その施設での負荷電力を、電力系統から供給される電力だけでなく、分散型発電装置の発電電力によって賄うこともできる。例えば、特許文献1(特許第4718133号公報)には、分散型発電装置として燃料電池装置を用いた電力供給システムが開示されている。
【0003】
特許文献1の電力供給システムでは、集合住宅に含まれる複数の住居のそれぞれに燃料電池が設けられ、それら複数の燃料電池が発電した電力が各住居の負荷に分配される。つまり、一つの住居に設置された燃料電池の発電電力が、他の住居に融通される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃料電池装置では、予め予定停止時間帯(例えば、予定停止日など)が決定され、その予定停止時間帯に発電運転を停止する発電停止制御が行われる場合がある。例えば、燃料電池装置は、都市ガスなどの炭化水素を含む原燃料ガスがガスメーターを経由して供給され、その原燃料ガスを改質処理することで生成される水素等を含む燃料ガスを用いて発電運転が行われる。但し、いわゆるマイコンメーター等のガスメーターは、原燃料ガスの通流量がゼロ又は少ないことを示す非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じないときには、警報作動する又は供給ガスの供給遮断を行うように構成されている。従って、ガスメーターが警報作動や供給遮断を行う事態を避けるために、燃料電池装置による原燃料ガスの消費、即ち、発電運転を意図的に一時停止することが行われる。例えば、燃料電池装置は、発電運転を開始した日から27日後の日を予定停止日に決定し、その予定停止日に発電運転を停止する発電停止制御が行われる。
【0006】
従って、特許文献1に記載の電力供給システムのように複数の住居間で電力を融通できるように物理的に構成されていたとしても、燃料電池装置が上述したような発電停止制御によって発電運転を停止している場合、その燃料電池装置は他の住居へ電力を融通することができなくなる。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の施設間での電力の融通を適切に行うことができるか否かを判定できる電力供給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る電力供給システムの特徴構成は、電力を消費する電力負荷装置を有する複数の施設に電力を供給する電力供給システムであって、
システム全体を制御する全体制御装置を備え、
複数の前記施設の少なくとも一つには、燃料電池装置と、前記燃料電池装置を制御する個別制御装置とが設けられ、
前記全体制御装置は、前記電力負荷装置の負荷電力が前記燃料電池装置の発電可能電力を超えることで不足電力が生じる前記施設が存在し、且つ、前記負荷電力が前記発電可能電力に満たないことで余剰電力が生じる前記施設が存在する場合、前記余剰電力が生じる前記施設から前記不足電力が生じる前記施設へ電力が融通されるように、前記余剰電力が生じる前記施設に対して所定の融通電力を伝達するように構成され、
前記個別制御装置は、前記施設の前記電力負荷装置の前記負荷電力と前記融通電力との合計の電力を供給するように前記燃料電池装置を動作させるように構成され、
前記個別制御装置は、前記燃料電池装置の予定停止時間帯を予め決定し、前記予定停止時間帯に前記燃料電池装置の発電運転を停止する発電停止制御を行うように構成され、
前記全体制御装置は、複数の前記施設のそれぞれで前記個別制御装置が決定した前記予定停止時間帯を参照して、将来の各時間帯について、その時間帯が前記予定停止時間帯になっていない前記燃料電池装置により同時に発電可能な前記発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての前記施設の前記負荷電力の合計よりも少ないか否かを検証する検証処理を行うように構成される点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、全体制御装置は、余剰電力が生じる施設から不足電力が生じる施設へ電力が融通されるように、余剰電力が生じる施設に対して所定の融通電力を伝達するように構成され、個別制御装置は、自身の施設の電力負荷装置の負荷電力と融通電力との合計の電力を供給するように燃料電池装置を動作させる。その結果、複数の施設全体で見れば、自身の施設及び施設同士で賄えない電力を小さくすることができる。
【0010】
尚、燃料電池装置で発電停止制御を行う場合、その分だけ複数の施設の燃料電池装置での発電可能電力の合計は小さくなる。そして、例えば特定の時間帯において、その時間帯が予定停止時間帯になっていない燃料電池装置により同時に発電可能な発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての施設の負荷電力の合計よりも少ない場合には、複数の施設の負荷電力の合計を複数の施設の燃料電池装置による発電電力で賄うことができないという問題が生じる。
ところが本特徴構成では、全体制御装置は、複数の施設のそれぞれで個別制御装置が決定した予定停止時間帯を参照して、将来の各時間帯について、その時間帯が予定停止時間帯になっていない燃料電池装置により同時に発電可能な発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての施設の負荷電力の合計よりも少ないか否かを検証する検証処理を行う。つまり、予定停止時間帯になっていない燃料電池装置により同時に発電可能な発電電力の合計により、それと同時に予測される全ての施設の負荷電力の合計を賄うことができるか否かを事前に検証できる。
従って、複数の施設間での電力の融通を適切に行うことができるか否かを判定できる電力供給システムを提供できる。
【0011】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記全体制御装置は、前記検証処理において、将来の各時間帯について、その時間帯が前記予定停止時間帯になっていない前記燃料電池装置により同時に発電可能な前記発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての前記施設の前記負荷電力の合計よりも多い場合には、その時間帯に設定されている前記予定停止時間帯の全てを変更しない点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、予定停止時間帯になっていない燃料電池装置により同時に発電可能な発電電力の合計により、それと同時に予測される全ての施設の負荷電力の合計を賄うことができる場合には、その予定停止時間帯を変更すること無しに各燃料電池装置の発電停止制御を行うことができる。
【0013】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記全体制御装置は、前記検証処理において、将来の各時間帯について、その時間帯が前記予定停止時間帯になっていない前記燃料電池装置により同時に発電可能な前記発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての前記施設の前記負荷電力の合計よりも少ない場合には、その時間帯に設定されている少なくとも一つの前記燃料電池装置の前記予定停止時間帯を別の時間帯に変更させる点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、予定停止時間帯になっていない燃料電池装置により同時に発電可能な発電電力の合計により、それと同時に予測される全ての施設の負荷電力の合計を賄うことができない場合には、少なくとも一つの燃料電池装置の予定停止時間帯を変更することができる。その結果、予定停止時間帯になっていない燃料電池装置により同時に発電可能な発電電力の合計により、それと同時に予測される全ての施設の負荷電力の合計を賄うことができるようになると期待される。
【0015】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、変更後の前記燃料電池装置の前記予定停止時間帯は、前記燃料電池装置の連続発電期間が所定の上限運転期間に達しない時間帯に決定される点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、特定の燃料電池装置の予定停止時間帯が変更されても、その燃料電池装置の連続発電期間が上限運転期間に達することを回避できる。
【0017】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、変更後の前記燃料電池装置の前記予定停止時間帯は、予測される全ての前記施設の前記負荷電力の合計が小さい時間帯を優先し、且つ、前記燃料電池装置の連続発電期間が所定の上限運転期間に達しない時間帯に決定される点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、特定の燃料電池装置の予定停止時間帯が変更されても、その燃料電池装置の連続発電期間が上限運転期間に達することを回避できる。また、変更後の予定停止時間帯では、予定停止時間帯になっていない燃料電池装置により同時に発電可能な発電電力の合計により、それと同時に予測される全ての施設の負荷電力の合計を賄うことができることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る電力供給システムについて説明する。
図1は、電力供給システムの構成を示す図である。図示するように、電力供給システムは、電力を消費する電力負荷装置23を有する複数の施設20に電力を供給するシステムである。各施設20は、受電設備2を介して電力系統1に接続されており、電力系統1から電力の供給を受けることができる。
図1には、3つの施設20A、20B、20C(20)を描いているが、施設20の数は適宜変更可能である。
【0021】
電力供給システムは、システム全体を制御する全体制御装置10を備える。また、複数の施設20の少なくとも一つには、燃料電池装置22と、燃料電池装置22を制御する個別制御装置25とが設けられる。図示する例では、全ての施設20に燃料電池装置22と個別制御装置25とを設けている。
【0022】
全体制御装置10は、情報通信回線4を介して施設20との間での情報通信を行う通信部11と、取り扱う情報を記憶する記憶部12と、情報処理を行う情報処理部13とを備える。
【0023】
施設20には、電力系統1に接続される電力線3が引き込まれる。電力線3には、燃料電池装置22と電力負荷装置23とが接続される。施設20には、情報通信回線4を介して全体制御装置10との間での情報通信を行う施設側通信部24と、取り扱う情報を記憶する施設側記憶部26と、個別制御装置25とが設けられる。
【0024】
燃料電池装置22にガスメーター21を経由して供給されるガスは、都市ガス等の炭化水素を含むガス又は水素ガスである。ガスメーター21を経由して供給されるガスが都市ガス等の炭化水素を含むガスである場合、燃料電池装置22が備える改質部(図示せず)でその原燃料ガスの改質処理が行われ、改質処理により生成される水素を含むガスを用いて燃料電池装置22での発電運転が行われる。或いは、ガスメーター21を経由して供給されるガスが水素ガスである場合、その水素ガスを用いて燃料電池装置22での発電運転が行われる。このように、燃料電池装置22が発電運転を行っている場合、燃料電池装置22にはガスメーター21を経由してガスが供給され、燃料電池装置22が発電運転を停止している場合、燃料電池装置22にはガスメーター21を経由してガスが供給されない。
【0025】
全体制御装置10は、複数の施設20のそれぞれから、燃料電池装置22の現在の発電電力及び発電可能電力、電力負荷装置23の現在の負荷電力、後述する予定停止時間帯、後述する過去の直近の発電運転の開始日時又は発電停止制御を終了した日時、などの情報を通信部11によって取得し、記憶部12に記憶する。その結果、全体制御装置10の情報処理部13は、各施設20で、電力負荷装置23の負荷電力が燃料電池装置22の発電可能電力を超えることで不足電力が生じているのか、負荷電力が発電可能電力に満たないことで余剰電力が生じているのか、といった判定を行うことができる。そして、全体制御装置10の情報処理部13は、不足電力が生じる施設20が存在し、且つ、余剰電力が生じる施設20が存在する場合、余剰電力が生じる施設20から不足電力が生じる施設20へ電力が融通されるように、余剰電力が生じる施設20に対して所定の融通電力を伝達する。
【0026】
各施設20では、例えば過去の1カ月分などの過去の負荷電力を、1日の中での負荷電力の推移が分かる状態で施設側記憶部26に記憶している。また、過去の負荷電力の情報には、その負荷電力が測定された日の、月日、曜日、天候などの情報も併せて記憶されている。その過去の負荷電力についての情報は施設側通信部24から全体制御装置10に送信されている。その結果、全体制御装置10の記憶部12にも、複数の施設20のそれぞれでの過去の負荷電力についての情報が記憶される。そして、全体制御装置10の情報処理部13は、過去の負荷電力についての情報を参照して、将来の各日の施設20の負荷電力を、1日の中での負荷電力の推移が分かる状態で予測できる。例えば、全体制御装置10の情報処理部13は、将来の各日での各施設20での負荷電力の推移を予測でき、その日に予測される全ての施設20の負荷電力の合計の推移を算出できる。
【0027】
個別制御装置25は、施設20の電力負荷装置23の負荷電力と融通電力との合計の電力を供給するように燃料電池装置22を動作させるように構成される。但し、個別制御装置25は、全体制御装置10から融通電力が伝達されていない場合には、電力負荷装置23の負荷電力を燃料電池装置22の発電電力で賄うように燃料電池装置22の動作を制御する。尚、電力負荷装置23の負荷電力を燃料電池装置22の発電電力で賄うように燃料電池装置22の動作を制御しても、負荷電力が燃料電池装置22の発電可能電力よりも大きい場合には、上述したような不足電力が発生する。そして、その不足電力は、他の施設20の融通電力及び電力系統1から供給される電力の少なくとも一方によって賄われる。
【0028】
ガスメーター21は、ガスの通流量がゼロ又は少ないことを示す非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間(例えば、過去30日間など)の間に設定回数生じないときには、警報作動する又は原燃料ガスの供給遮断を行うように構成されている。そして、ガスメーター21は、そのような非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間(例えば、過去30日間など)の間に設定回数生じていれば、異常なしと判定して、漏洩判定用期間の計時をゼロにリセットする。
【0029】
複数の施設20のそれぞれにおいて、個別制御装置25は、燃料電池装置22の予定停止時間帯を予め決定し、予定停止時間帯に燃料電池装置22の発電運転を停止する発電停止制御を行うように構成されている。つまり、個別制御装置25は、ガスメーター21が、非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じたと判定するように、燃料電池装置22での発電運転で消費されるガスの量についてはガスメーター21が非漏洩条件を満たすと判定する量にすることを予定停止時間帯に実施する。具体例を挙げると、個別制御装置25は、燃料電池装置22の発電停止制御を行った後に発電運転を再開した日から27日目の日の中の所定の時間帯を予定停止時間帯に決定できる。このように決定された予定停止時間帯についての情報は施設側記憶部26に記憶され、施設側通信部24を介して全体制御装置10に伝達される。
【0030】
予定停止時間帯の長さは適宜設定可能である。例えば、予定停止時間帯は24時間でも良い。その場合、燃料電池装置22の発電停止制御を行った後に発電運転を再開した日から27日目の日の全てが予定停止時間帯(即ち、予定停止日)になる。或いは、予定停止時間帯は例えば12時間などでもよい。
【0031】
全体制御装置10は、各施設20で決定された予定停止時間帯についての情報を受信して、記憶部12に記憶する。尚、数多くの燃料電池装置22の予定停止時間帯が重複した場合、その時間帯は複数の施設20の燃料電池装置22の発電可能電力の合計が小さくなる。そのため、施設20間で電力を融通できない可能性が高まる。
【0032】
そこで、本実施形態では、全体制御装置10は、複数の施設20のそれぞれで個別制御装置25が決定した予定停止時間帯を参照して、将来の各時間帯について、その時間帯が予定停止時間帯になっていない燃料電池装置22により同時に発電可能な発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての施設20の負荷電力の合計よりも少ないか否かを検証する検証処理を行う。
【0033】
例えば、予定停止時間帯が重複している燃料電池装置22の数が少ない場合、その予定停止時間帯での複数の施設20の燃料電池装置22の発電可能電力の合計は大きくなるため、十分な融通電力を確保できる可能性が高まる。そこで、全体制御装置10は、検証処理において、将来の各時間帯について、その時間帯が予定停止時間帯になっていない燃料電池装置22により同時に発電可能な発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての施設20の負荷電力の合計よりも多い場合には、その時間帯に設定されている予定停止時間帯の全てを変更しない。その結果、各施設20では、個別制御装置25が決定した予定停止時間帯に、燃料電池装置22の発電停止制御が行われる。
【0034】
それに対して、例えば、予定停止時間帯が重複している燃料電池装置22の数が多い場合、その予定停止時間帯での複数の施設20の燃料電池装置22の発電可能電力の合計は小さくなるため、十分な融通電力を確保できない可能性が高まる。そこで、全体制御装置10は、検証処理において、将来の各時間帯について、その時間帯が予定停止時間帯になっていない燃料電池装置22により同時に発電可能な発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての施設20の負荷電力の合計よりも少ない場合には、その時間帯に設定されている少なくとも一つの燃料電池装置22の予定停止時間帯を別の時間帯に変更させる。
【0035】
以上のように、本実施形態の電力供給システムでは、全体制御装置10は、複数の施設20のそれぞれで個別制御装置25が決定した予定停止時間帯を参照して、将来の各時間帯について、その時間帯が予定停止時間帯になっていない燃料電池装置22により同時に発電可能な発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての施設20の負荷電力の合計よりも少ないか否かを検証する検証処理を行う。つまり、予定停止時間帯になっていない燃料電池装置22により同時に発電可能な発電電力の合計により、それと同時に予測される全ての施設20の負荷電力の合計を賄うことができるか否かを事前に検証できる。
【0036】
変更後の燃料電池装置22の予定停止時間帯は、全体制御装置10が決定して各施設20に伝達し、各施設20の個別制御装置25がその伝達された予定停止時間帯を新たな予定停止時間帯として決定てもよいし、予定停止時間帯の変更指示を受けた施設20で個別制御装置25が自ら決定してもよい。
【0037】
変更後の燃料電池装置22の予定停止時間帯を全体制御装置10が決定する場合、全体制御装置10は、その時点での連続発電期間が最も長い燃料電池装置22、即ち、過去の直近の発電運転の開始日時又は発電停止制御を終了した日時が最も遠い燃料電池装置22から順に、予定停止時間帯を変更する。例えば、全体制御装置10は、変更後の燃料電池装置22の予定停止時間帯を、その燃料電池装置22の連続発電期間が所定の上限運転期間に達しない時間帯(例えば現在の予定停止日の前日など)に決定する。その結果、特定の燃料電池装置22の予定停止時間帯が変更されても、その燃料電池装置22の連続発電期間が上限運転期間に達することを回避できる。
【0038】
或いは、全体制御装置10は、変更後の燃料電池装置22の予定停止時間帯を、予測される全ての施設20の負荷電力の合計が小さい時間帯を優先し、且つ、燃料電池装置22の連続発電期間が所定の上限運転期間に達しない時間帯(例えば現在の予定停止日の前日など)に決定する。その結果、特定の燃料電池装置22の予定停止時間帯が変更されても、その燃料電池装置22の連続発電期間が上限運転期間に達することを回避できる。また、変更後の予定停止時間帯では、予定停止時間帯になっていない燃料電池装置22により同時に発電可能な発電電力の合計により、それと同時に予測される全ての施設20の負荷電力の合計を賄うことができることが期待される。
【0039】
また、全体制御装置10は、上述した検証処理を設定タイミングで繰り返し実行する。そのため、何れかの施設20の燃料電池装置22の予定停止時間帯が変更されたとしても、全体制御装置10は、その変更後の燃料電池装置22の予定停止時間帯を含む複数の施設のそれぞれの予定停止時間帯を参照して、上述した検証処理を行う。
【0040】
<別実施形態>
上記実施形態では、電力供給システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0041】
上記実施形態では、全体制御装置10は、将来の各時間帯について、その時間帯が予定停止時間帯になっていない燃料電池装置22により同時に発電可能な発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての施設20の負荷電力の合計よりも少ないか否かを検証する検証処理を行う例を説明したが、その検証処理の内容を変更してもよい。例えば、全体制御装置10は、複数の施設20のそれぞれで個別制御装置25が決定した予定停止時間帯を参照して、将来の各時間帯について、その時間帯が予定停止時間帯になっている(即ち、予定停止時間帯が重複している)燃料電池装置22の数が所定数以上であるか否かを検証する検証処理を行ってもよい。ここで、予定停止時間帯が重複している燃料電池装置22の数が多いということは、燃料電池装置22により同時に発電可能な発電可能電力の合計が少ないことを意味する。つまり、予定停止時間帯になっている燃料電池装置22の数が所定数以上であるか否かを検証するということは、予定停止時間帯になっていない燃料電池装置22により同時に発電可能な発電可能電力の合計が、それと同時に予測される全ての施設20の負荷電力の合計よりも少ないか否かを検証することと同じ趣旨である。
【0042】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、複数の施設間での電力の融通を適切に行うことができるか否かを判定できる電力供給システムに利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 電力系統
2 受電設備
3 電力線
4 情報通信回線
10 全体制御装置
11 通信部
12 記憶部
13 情報処理部
20(20A、20B、20C) 施設
21 ガスメーター
22 燃料電池装置
23 電力負荷装置
24 施設側通信部
25 個別制御装置
26 施設側記憶部