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特開2024-130261位置計測装置、位置計測方法、及び、位置計測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130261
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】位置計測装置、位置計測方法、及び、位置計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01B11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039888
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】木下 崇
(72)【発明者】
【氏名】古川 達也
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA06
2F065AA21
2F065BB27
2F065FF04
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065MM23
2F065QQ23
(57)【要約】
【課題】センサを移動させるガイドの撓み等に起因する位置計測の誤差の低減を図る。
【解決手段】位置計測装置(10)は、対象物(OB)の位置を計測するための位置計測装置であって、対象物の位置を計測するための光学センサ(11)と、光学センサを所定の方向に駆動する駆動軸(12)と、光学センサ及び駆動軸を制御する制御部(13)と、を備え、制御部は、光学センサによって、対象物の位置を計測する計測処理(S11)と、計測時における、光学センサの駆動軸上の位置に基づいて、計測された対象物の位置を補正する補正処理(S12)と、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の位置を計測するための位置計測装置であって、
前記対象物の位置を計測するための光学センサと、
前記光学センサを所定の方向に駆動する駆動軸と、
前記光学センサ及び前記駆動軸を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記光学センサによって、前記対象物の位置を計測する計測処理と、
前記計測時における、前記光学センサの前記駆動軸上の位置に基づいて、前記計測された前記対象物の位置を補正する補正処理と、を実行する、位置計測装置。
【請求項2】
前記光学センサは、前記対象物の画像を取得する2次元画像センサであり、
前記対象物の位置は、前記画像上での基準点に基づいて、計測される、請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項3】
前記光学センサの前記駆動軸上での位置と、計測された位置の補正量との対応関係を表すテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記補正処理において、前記テーブルに基づいて、前記計測された対象物の位置を補正する、請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項4】
前記制御部は、
異なる複数の基準位置に配置される複数のパターンの各々を、前記駆動軸上の異なる複数の位置において、前記光学センサによって計測する基準計測処理と、
前記複数の基準位置と、前記光学センサの前記駆動軸上の複数の位置と、に基づいて、前記テーブルを較正する較正処理を実行する、請求項3に記載の位置計測装置。
【請求項5】
前記光学センサを前記所定の方向と異なる第2の所定の方向に駆動する第2の駆動軸、を備え、
前記制御部は、前記補正処理において、前記光学センサの、前記駆動軸上、及び、前記第2の駆動軸上での位置に基づいて、前記計測された前記対象物の位置を補正する、請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項6】
前記光学センサを前記所定の方向、及び、前記第2の所定の方向の何れとも異なる第3の所定の方向に駆動する第3の駆動軸、を備え、
前記制御部は、前記補正処理において、前記光学センサの、前記駆動軸、及び、前記第2の駆動軸上の位置に基づいて、前記計測された前記対象物の位置を補正する、請求項5に記載の位置計測装置。
【請求項7】
前記光学センサ、及び、測距センサを有し、前記駆動軸、前記第2の駆動軸、及び、前記第3の駆動軸上で駆動されるセンサヘッド、を備え、
前記光学センサは、前記対象物の画像を取得する2次元画像センサであり、
前記測距センサは、前記第3の所定の方向での前記対象物との距離を計測し、
前記制御部は、
前記測距センサによって、前記対象物との距離を計測する距離計測処理と、
前記距離計測時における、前記光学センサの、前記駆動軸、及び、前記第2の駆動軸上での位置に基づいて、前記計測された前記対象物との距離を補正する距離補正処理と、を実行する、請求項6に記載の位置計測装置。
【請求項8】
前記光学センサの、前記駆動軸、及び、前記第2の駆動軸上での位置と、計測された位置の補正量との対応関係を表すテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記テーブル及び所定のオフセット量に基づいて、前記計測された前記対象物との距離を補正する、請求項7に記載の位置計測装置。
【請求項9】
対象物の位置を計測するための位置計測方法であって、
所定の駆動軸上に配置される光学センサによって、対象物の位置を計測する計測処理と、
前記計測時における、前記光学センサの前記所定の駆動軸上の位置に基づいて、前記計測された前記対象物の位置を補正する補正処理と、
を含む、位置計測方法。
【請求項10】
請求項1に記載の制御部としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、前記計測処理、及び、前記補正処理を実行させるための、位置計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置計測装置、位置計測方法、及び、位置計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
対象物の位置、寸法等を計測する位置計測装置が用いられている(特許文献1参照)。位置計測装置は、ガイドに沿って光学センサを移動させて、対象物を撮像することによって対象物の位置を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-28611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガイドが撓んだりすると、光学センサによる、位置の計測結果に誤差が生じる。
【0005】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、センサを移動させるガイドの撓み等に起因する位置計測の誤差の低減を図った位置計測装置、位置計測方法、及び、位置計測プログラムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0007】
すなわち、本発明の一側面に係る位置計測装置は、対象物の位置を計測するための位置計測装置であって、前記対象物の位置を計測するための光学センサと、前記光学センサを所定の方向に駆動する駆動軸と、前記光学センサ及び前記駆動軸を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記光学センサによって、前記対象物の位置を計測する計測処理と、前記計測時における、前記光学センサの前記駆動軸上の位置に基づいて、前記計測された前記対象物の位置を補正する補正処理と、を実行する。
【0008】
上記構成では、計測時における、光学センサの駆動軸上の位置に基づいて、計測された対象物の位置を補正する。この結果、駆動軸の撓み等に起因する位置計測の誤差の低減を図ることができる。
【0009】
上記一側面に係る位置計測装置において、前記光学センサは、前記対象物の画像を取得する2次元画像センサであり、前記対象物の位置は、前記画像上での基準点に基づいて、計測されてもよい。画像上での基準点を用いることで、対象物の位置の測定精度が向上する。
【0010】
上記一側面に係る位置計測装置において、前記光学センサの前記駆動軸上での位置と、計測された位置の補正量との対応関係を表すテーブルを記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記補正処理において、前記テーブルに基づいて、前記計測された対象物の位置を補正してもよい。テーブルに基づいて、対象物の位置を補正できる。
【0011】
上記一側面に係る位置計測装置において、前記制御部は、異なる複数の基準位置に配置される複数のパターンの各々を、前記駆動軸上の異なる複数の位置において、前記光学センサによって計測する基準計測処理と、前記複数の基準位置と、前記光学センサの前記駆動軸上の複数の位置と、に基づいて、前記テーブルを較正する較正処理を実行してもよい。複数の基準位置と、光学センサの駆動軸上の複数の位置と、に基づいて、テーブルを較正することによって、テーブルに基づく対象物の位置補正の精度を向上できる。
【0012】
上記一側面に係る位置計測装置において、前記光学センサを前記所定の方向と異なる第2の所定の方向に駆動する第2の駆動軸、を備え、前記制御部は、前記補正処理において、前記光学センサの、前記駆動軸上、及び、前記第2の駆動軸上での位置に基づいて、前記計測された前記対象物の位置を補正してもよい。光学センサが、所定の方向、及び、第2の所定の方向に移動する場合において、対象物の位置補正の精度を向上できる。
【0013】
上記一側面に係る位置計測装置において、前記光学センサを前記所定の方向、及び、前記第2の所定の方向の何れとも異なる第3の所定の方向に駆動する第3の駆動軸、を備え、前記制御部は、前記補正処理において、前記光学センサの、前記駆動軸、及び、前記第2の駆動軸上の位置に基づいて、前記計測された前記対象物の位置を補正してもよい。光学センサが、所定の方向、第2の所定の方向、及び、第3の所定の方向に移動する場合において、対象物の位置補正の精度を向上できる。
【0014】
上記一側面に係る位置計測装置において、前記光学センサ、及び、測距センサを有し、前記駆動軸、前記第2の駆動軸、及び、前記第3の駆動軸上で駆動されるセンサヘッド、を備え、前記光学センサは、前記対象物の画像を取得する2次元画像センサであり、前記測距センサは、前記第3の所定の方向での前記対象物との距離を計測し、前記制御部は、前記測距センサによって、前記対象物との距離を計測する距離計測処理と、前記距離計測時における、前記光学センサの、前記駆動軸、及び、前記第2の駆動軸上での位置に基づいて、前記計測された前記対象物との距離を補正する距離補正処理と、を実行してもよい。
【0015】
上記一側面に係る位置計測装置において、前記光学センサの、前記駆動軸、及び、前記第2の駆動軸上での位置と、計測された距離の補正量との対応関係を表すテーブルを記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記テーブル及び所定のオフセット量に基づいて、前記計測された前記対象物との距離を補正してもよい。
【0016】
本発明の一側面に係る位置計測方法は、対象物の位置を計測するための位置計測方法であって、所定の駆動軸上に配置される光学センサによって、対象物の位置を計測する計測処理と、前記計測時における、前記光学センサの前記所定の駆動軸上の位置に基づいて、前記計測された前記対象物との位置を補正する補正処理と、を含む。
【0017】
上記構成では、計測時における、光学センサの駆動軸上の位置に基づいて、計測された対象物の位置を補正する。この結果、駆動軸の撓み等に起因する位置計測の誤差の低減を図ることができる。
【0018】
本発明の一側面に係る位置計測プログラムは、上記一側面に係る位置計測装置の制御部としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、前記計測処理、及び、前記補正処理を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、センサを移動させるガイドの撓み等に起因する位置計測の誤差の低減を図った位置計測装置、位置計測方法、及び、位置計測プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態の適用例に係る位置計測装置を表す模式図である。
図2】本発明の実施形態の適用例に係る位置計測方法の手順を表すフロー図である。
図3】本発明の実施形態の構成例に係る位置計測装置を表す図である。
図4】ステージ駆動部の詳細を表す図である。
図5】撮像ユニット駆動部の詳細を表す図である。
図6】撮像ユニットの詳細を表す図である。
図7】撮像ユニットと対象物の位置関係を表す模式図である。
図8】撮像ユニットをZ軸正方向から見た状態を表す模式図である。
図9】テーブルの一例を表す模式図である。
図10】本発明の実施形態の構成例に係る位置計測方法の手順の一例を表すフロー図である。
図11】本発明の実施形態の構成例に係る較正方法の手順の一例を表すフロー図である。
図12】テーブルの較正に用いる較正用治具の一例を表す図である。
図13】テーブルの較正に用いる較正用治具の一例を表す図である。
図14】テーブルの較正に用いる較正用治具の一例をZ軸正方向から見た状態を表す模式図である。
図15】2D光学センサの画像の一例を表す模式図である。
図16】2D光学センサの移動前後での画像の一例を表す模式図である。
図17】位置較正の手法の一例を表す模式図である。
図18】テーブルの較正に用いる較正用治具の一例をZ軸正方向から見た状態を表す模式図である。
図19】Z方向での較正手法の一例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0022】
§1 適用例
図1を用いて、本発明が適用される場面の一例について説明する。図1は、本発明の実施形態の適用例に係る位置計測装置10を表す模式図である。
【0023】
位置計測装置10は、対象物OBの位置を計測するためのものであり、光学センサ11、駆動軸12、及び、制御部13を備える。光学センサ11は、光学的な計測によって、対象物OBの位置を計測するためのものである。駆動軸12は、光学センサ11を所定の方向(例えば、鉛直方向と交わる方向)に駆動する。制御部13は、光学センサ11及び駆動軸12を制御する。制御部13は、後述の位置計測方法S10を実行する。なお、位置計測装置10は、計測した位置の差分として、対象物OBの寸法を計測できる。すなわち、位置計測装置10は、寸法計測装置としても機能する。
【0024】
図2は、本発明の実施形態の適用例に係る位置計測方法S10の手順を表すフロー図である。図2に示すように、位置計測方法S10は、計測処理(S11)及び補正処理(S12)を含む。
【0025】
すなわち、制御部13は、光学センサ11によって、対象物OBの位置を計測する計測処理(S11)、及び、この計測時における、光学センサ11の駆動軸12上の位置に基づいて、計測された対象物OBの位置を補正する補正処理(S12)を実行する。
【0026】
以上のように、本実施形態では、光学センサ11によって、対象物OBの位置を計測したときにおける、光学センサ11の駆動軸12上の位置に基づいて、計測された対象物OBの位置を補正する。この結果、駆動軸12が撓んだ状態であっても、計測された対象物OBの位置を補正することで、対象物OBの位置の精度を確保することができる。
【0027】
§2 構成例
[ハードウェア構成]
図3は、本発明の実施形態の構成例に係る位置計測装置100を表す模式図である。位置計測装置100は、ステージ駆動部110、撮像ユニット駆動部120、撮像ユニット130、制御機構150を有する。位置計測装置100は、対象物OBの位置を計測するためのものであるが、計測した位置の差分として、対象物OBの寸法を計測できる。すなわち、位置計測装置100は、寸法計測装置としても機能する。
【0028】
図3において、X軸、Y軸、及び、Z軸の方向が矢印で表される。X軸、Y軸、及び、Z軸の方向は、それぞれ、所定の方向、第2の所定の方向、及び、第3の所定の方向の一例として把握することができる。
【0029】
図4は、ステージ駆動部110の詳細を表す図である。ステージ駆動部110は、ステージST(結局は、ステージST上に載置される対象物OB)を昇降および回転させる駆動モータである。ステージ駆動部110は、対象物OBを、Z軸を中心として、回転させ、且つ、Z軸方向に移動(昇降)させる。
【0030】
図5は、撮像ユニット駆動部120の詳細を表す図である。撮像ユニット駆動部120は、X駆動軸121、Y駆動軸122、及び、Z駆動軸123(以下、「X駆動軸121等」と称する)を有し、撮像ユニット130をX軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向(以下、「X軸方向等」と称する)に駆動する。
【0031】
なお、図5には、Y駆動軸122自体は、示されていない。図3に示すように、撮像ユニット駆動部120は、一対のY駆動軸122を有する。これら一対のY駆動軸122は、連動して動作し、撮像ユニット130をY軸方向に駆動する。一対のY駆動軸122に替えて、1つのY駆動軸122を用いて、撮像ユニット130をY軸方向に駆動してもよい。
【0032】
X駆動軸121等の駆動機構としては、例えば、リニアモータを用いることができる。X駆動軸121は、光学センサ(2D光学センサ131)を所定の方向に駆動する駆動軸として機能する。Y駆動軸122は、光学センサを第2の所定の方向(Y軸方向)に駆動する第2の駆動軸として機能する。Z駆動軸123は、光学センサを所定の第3の方向(Z軸方向)に駆動する第3の駆動軸として機能する。
【0033】
X駆動軸121等は、それぞれ、リニアスケール、及び、エンコーダを有し、X駆動軸121等上での撮像ユニット130(2D光学センサ131)の位置を把握できる。すなわち、エンコーダによって、リニアスケールを読み取ることによって、X軸方向等それぞれでの撮像ユニット130の位置を計測できる。リニアスケールとエンコーダの3つの組み合わせは、X軸方向等での撮像ユニット130(2D光学センサ131)の位置及び移動量を計測するリニアエンコーダを構成する。
【0034】
図6は、撮像ユニット130の詳細を表す図である。撮像ユニット130は、2D光学センサ131、同軸リング照明132、3Dセンサ133を有し、駆動軸(X駆動軸121)、第2の駆動軸(Y駆動軸122)、及び、第3の駆動軸(Z駆動軸123)上で駆動されるセンサヘッドとして機能する。
【0035】
2D光学センサ131は、対象物OBの画像を取得する2次元画像センサであり、対象物OBの位置を計測するための光学センサとして機能する。対象物OBの位置は、2D光学センサ131が取得した対象物OBの画像(例えば、撮像範囲)上での基準点(例えば、画像に表される点、円弧、又は、十字線の交点)に基づいて、計測することができる。すなわち、基準点での対象物OBの位置(ここでは、XY平面上での座標(X,Y))が計測される。
【0036】
この位置の計測は、X駆動軸121、及び、Y駆動軸122それぞれでのリニアスケールの読み取りによって行われる。撮像ユニット130(2D光学センサ131)を移動させ、位置を計測したい箇所に、画像(撮像範囲)の基準点を合わせ、X駆動軸121、及び、Y駆動軸122それぞれでのリニアスケールが読み取られる。この読み取り値がその箇所の計測された位置となる。いわば、X駆動軸121、及び、Y駆動軸122上での撮像ユニット130(2D光学センサ131)の移動量に基づき、対象物OBの位置を計測していることになる。
【0037】
同軸リング照明132は、対象物OBを照明し、2D光学センサ131での対象物OBの位置計測を容易とする。
【0038】
3Dセンサ133は、対象物OBの高さ分布を光切断法により測定する。3Dセンサ133は、3Dセンサ133の筐体内の発光素子(図示せず)から出射されるレーザ光である出射光L1を、Z軸負方向に向かって出射する。この出射光L1は、対象物OBの表面上で反射して、反射光L2として、3Dセンサ133の筐体内に入射される。この反射光L2は、3Dセンサ133の筐体内のレンズ(図示せず)を介し受光素子(図示せず)へ集光される。また、3Dセンサ133は、発光素子、及び、受光素子と接続される3Dセンサ制御部(図示せず)を有してもよい。3Dセンサ制御部は、例えば、TOF方式、又は、三角測量方式により、発光素子から対象物OBまでの距離を特定する。すなわち、3Dセンサ133は、対象物OBの3次元形状を光学的に測定するものであり、第3の所定の方向(Z軸方向)での対象物OBとの距離を計測する測距センサとして機能する。
【0039】
制御機構150は、制御部151、記憶部152を有する。制御部151は、例えば、プロセッサ(一例として、CPU)とプログラムの組み合わせから構成できる。記憶部152は、補正テーブルTを記憶する。なお、この詳細は後述する。
【0040】
ここで、X駆動軸121、及び、Y駆動軸122の少なくとも一方が撓むと、2D光学センサ131が傾き、計測された位置と、実際の位置との間に不一致が生じる(計測誤差の発生)。本実施形態に係る位置計測装置100は、このようなX駆動軸121、及び、Y駆動軸122の少なくとも一方の撓みに起因する位置の計測結果を補正し、計測誤差の低減を図ることができる。以下、この詳細を後述する。
【0041】
図7は、撮像ユニット130と対象物OBの位置関係を表す模式図である。図7に示すように、対象物OBは、撮像ユニット130のZ軸負方向に配置される。撮像ユニット130全体、結局は、2D光学センサ131の光軸(撮像方向)Eは、Z軸に対して、若干(角度θ)傾いている。この結果、2D光学センサ131は、対象物OB上の本来の位置P0からずれた位置Pθを基準として、対象物OBの画像を取得することになる。この基準点(光軸)のずれは、対象物OBの位置の測定誤差の要因となる。補正テーブルTを用いることで、この測定誤差を低減できる。
【0042】
図8は、撮像ユニット130をZ軸正方向から見た状態を表す模式図である。図8に示すように、2D光学センサ131の周囲に、3Dセンサ133が配置される。すなわち、2D光学センサ131の撮像範囲Wの近くに、3Dセンサ133の検出エリアSPが配置される。3Dセンサ133は、2D光学センサ131が取得する画像を基準として、対象物OBとの距離を計測する。この結果、2D光学センサ131の傾きは、3Dセンサ133による、対象物OBとの距離の計測結果の誤差要因となる。但し、3Dセンサ133の検出エリアSPは、2D光学センサ131に対して定まっているため、3Dセンサ133の計測結果は、2D光学センサ131の位置計測の結果を補正し、オフセット値(2D光学センサ131に対する3Dセンサ133の検出エリアの相対的な位置)を加算することで、補正することができる。
【0043】
補正テーブルTは、2D光学センサ131(光学センサ)の位置計測結果を補正するためのものであり、例えば、X駆動軸121(駆動軸)上での位置と、計測された対象物OBの位置の補正量との対応関係を表す補正テーブルT(1)である。補正テーブルTは、2D光学センサ131(光学センサ)の、X駆動軸121(駆動軸)、及び、Y駆動軸122(第2の駆動軸)上での位置と、計測された位置の補正量との対応関係を表す補正テーブルT(2)であってもよい。補正テーブルTは、2D光学センサ131(光学センサ)の、X駆動軸121(駆動軸)、Y駆動軸122(第2の駆動軸)、及び、Z駆動軸123(第3の駆動軸)上での位置と、計測された位置の補正量との対応関係を表す補正テーブルT(3)であってもよい。
【0044】
図9は、補正テーブルTの一例を表す図である。ここでは、補正テーブルTは、補正テーブルT(2)としている。図9に示すように、この補正テーブルTは、X軸方向及びY軸方向での位置の計測結果(X,Y)と、位置の補正量(ΔX,ΔY)との対応関係を表す。例えば、座標(X,Y)が(2,2)の場合、X軸方向、Y軸方向での補正量ΔX、ΔYは、それぞれ、0.7、0.4となる。
【0045】
(位置計測方法S20)
図10は、本発明の実施形態の構成例に係る位置計測方法の手順の一例を表すフロー図である。図10に示すように、位置計測方法S20は、計測処理(S21)及び補正処理(S22)を含む。位置計測装置100(結局は、制御部151)は、計測処理(S21)及び補正処理(S22)を実行する。
【0046】
(1)計測処理(S21)
制御部151は、2D光学センサ131によって、対象物OBの位置を計測する(S21)。
【0047】
より具体的には、(a1)撮像ユニット130(2D光学センサ131)は、X駆動軸121(駆動軸)上を駆動され、制御部151は、2D光学センサ131によって、対象物OBの位置を計測することができる。また、(b1)撮像ユニット130(2D光学センサ131)は、X駆動軸121、及び、Y駆動軸122(駆動軸及び第2の駆動軸)上を駆動され、制御部151は、2D光学センサ131によって、対象物OBの位置を計測してもよい。さらに、(c1)撮像ユニット130(2D光学センサ131)は、X駆動軸121、Y駆動軸122、及び、Z駆動軸123(駆動軸、第2の駆動軸、及び、第3の駆動軸)上を駆動され、制御部151は、2D光学センサ131によって、対象物OBの位置を計測してもよい。
【0048】
この(a1)~(c1)において、制御部151は、3Dセンサ133によって、対象物OBとの距離を計測してもよい。
【0049】
(2)補正処理(S22)
制御部151は、2D光学センサ131による計測時における、2D光学センサ131の位置に基づいて、計測された対象物OBの位置を補正する(S12)。
【0050】
より具体的には、(a1)に対応して、(a2)制御部151は、計測時における、2D光学センサ131のX駆動軸121上の位置に基づいて、計測された対象物OBの位置を補正することができる。また、(b1)に対応して、(b2)制御部151は、計測時における、2D光学センサ131のX駆動軸121、及び、Y駆動軸122上の位置に基づいて、計測された対象物OBの位置を補正してもよい。さらに、(c1)に対応して、(c2)制御部151は、計測時における、2D光学センサ131のX駆動軸121、Y駆動軸122、及び、Z駆動軸123上の位置に基づいて、計測された対象物OBの位置を補正してもよい。
【0051】
計測処理(a1)~(c1)において、3Dセンサ133によって、対象物OBとの距離を計測した場合、制御部151は、距離計測時における、3Dセンサ133の位置に基づいて、計測された対象物OBとの距離を補正することができる(距離補正処理)。すなわち、(a2)~(c2)において、計測時を「距離計測時」とすればよい。
【0052】
この補正処理において、制御部151は、補正テーブルTに基づいて、計測された対象物OBの位置を補正することができる。すなわち、(a2)~(c2)において、制御部151は、補正テーブルT(1)~T(3)をそれぞれ、用いて、計測された対象物OBの位置を補正することができる。なお、計測処理(a1)~(c1)において、3Dセンサ133によって、対象物OBとの距離を計測した場合、制御部151は、補正テーブルT(1)~T(3)及び所定のオフセット量を用いて、計測された対象物OBとの距離を補正することができる。
【0053】
既述のように、撮像ユニット130(センサヘッド)は、XY座標上の互いに異なる位置に配置される、2D光学センサ131(2D画像センサ)と、3Dセンサ133(測距(深さ)センサ)とを備える。この結果、対象物OBの1つの同じ測定位置に対する、2D光学センサ131及び3Dセンサ133について、異なる補正が必要となる。既述のように、オフセット値を用いることで、センサ間でのXY座標の相違に起因する測定誤差を低減することができる。
【0054】
ここで、3Dセンサ133の光軸の向きが2D光学センサ131の光軸の向きと異なる可能性を考慮すると、補正テーブルTに、2D光学センサ131での補正量ΔX,ΔYに計測されたX、Y、及び、Z方向での位置に対する3Dセンサ133の補正量ΔX,ΔY,及び、ΔZを持たせることも考えられる。すなわち、補正テーブルTは,例えば、2D光学センサ131の、X駆動軸121(駆動軸)、Y駆動軸122(第2の駆動軸)、及び、Z駆動軸123(第3の駆動軸)上での位置と、3Dセンサ133によって計測された距離の補正量との対応関係を表してもよい。
【0055】
以下、図9に示す補正テーブルT(補正テーブルT(2))を用いる補正処理をより具体的に説明する、すなわち、制御部151は、X軸方向及びY軸方向での位置の計測結果(X,Y)と、位置の補正量(ΔX,ΔY)との対応関係を表す補正テーブルT(2)に基づいて、計測された対象物OBの位置を補正する。
【0056】
補正テーブルT(2)を用いて、計測された位置(座標(XM,YM))を補正して、補正された位置(座標(XA,YA))を求めることを考える。この場合、次の式(1)を用いて、位置を補正することができる。
XA=XM+ΔX(XM,YM)
YA=YM+ΔY(XM,YM) …式(1)
ΔX(XM,YM):測定位置(XM,YM)におけるX軸方向での位置の補正量
ΔY(XM,YM):測定位置(XM,YM)におけるY軸方向での位置の補正量
【0057】
図9のように、座標(X,Y)が離散的な場合、補正量を線形補完してもよい。例えば、計測値(XM、YM)が、補正テーブルTの(X1、Y1)と(X2、Y2)間にあったとする。この場合、次の式(2)を用いて、計測された位置(座標(XM,YM))を補正することができる。
XA=XM+ΔX1+(ΔX2-ΔX1)*(XM-X1)/(X2-X1)
YA=YM+ΔY1+(ΔY2-ΔY1)*(YM-Y1)/(Y2-Y1)
……式(2)
ΔX1:位置(X1,Y1)におけるX軸方向での位置の補正量
ΔY1:位置(X1,Y1)におけるY軸方向での位置の補正量
ΔX2:位置(X2,Y2)におけるX軸方向での位置の補正量
ΔY2:位置(X2,Y2)におけるY軸方向での位置の補正量
【0058】
ここでは、補正テーブルT上での2つの位置、すなわち、座標(X1,Y1)、(X2,Y2)を用いて、線形補完を行う例を示している。これに対して、3つ以上の座標での補正量ΔX、ΔYを用いて、補正の精度を向上してもよい。例えば、計測値(XM、YM)が、補正テーブルTの4つの座標(X1、Y1)、(X1、Y2)、(X2、Y1)、(X2、Y2)の間にある場合、4組の補正量ΔXij、ΔYij(i、j:整数1または2)を用いて、補正の精度を向上できる。なお、ΔXij、ΔYijは、位置が座標(Xi,Yj)のときの補正量ΔX、ΔYを意味する。
【0059】
以上のように、補正テーブルTを用いて、2D光学センサ131による位置計測結果および3Dセンサによる距離計測結果を補正し、誤差の低減を図ることができる。
【0060】
(補正テーブルTの較正)
図11は、本発明の実施形態の構成例に係る較正方法S30の手順の一例を表すフロー図である。以下、補正テーブルTの較正方法S30につき説明する。補正テーブルTの較正方法S30は、基準計測処理(ステップS31)、及び、較正処理(ステップS32)を含む。
【0061】
(1)基準計測処理(ステップS31)
制御部151は、異なる複数の基準位置に配置される複数のパターンの各々を、駆動軸上の異なる複数の位置において、2D光学センサ131(光学センサ)によって計測する(ステップS31)。
【0062】
このとき、異なる複数の基準位置に配置される複数のパターンを有する較正用治具Jを用い、2D光学センサ131を移動させて、複数のパターンの位置を計測する。この基準位置は、(1)X軸、Y軸、及び、Z軸方向の何れかでの位置、(2)XY2軸方向での位置、及び、(3)XYZ3軸方向での位置の何れでもよい。
【0063】
図12は、補正テーブルTの較正に用いる較正用治具J1の一例を表す図である。図13は、テーブルの較正に用いる較正用治具J2の一例を表す図である。図14は、補正テーブルTの較正に用いる較正用治具J3の一例をZ軸正方向から見た状態を表す模式図である。
【0064】
図12の較正用治具J1は、全体として、平板形状であり、X軸方向に並ぶホールHx1、Y軸方向に並ぶホールHy1を有する。ホールHx1、Hy1は、細長い平板Px1、Py1上に形成される。ホールHx1、Hy1は、それぞれ、較正用治具J1上の基準位置に配置され、異なる複数の基準位置に配置される複数のパターンとして機能する。
【0065】
較正用治具J1は、X軸方向に並び高さの異なる突起Dx1を有する。突起Dx1は、基準高さを有し、3Dセンサ133によるZ軸方向の位置の較正に用いることができる。
【0066】
図13の較正用治具J2は、全体として、平板形状であり、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ並ぶホールHx2及びホールHy2を有する。すなわち、X軸方向に並ぶホールHx2の列、Y軸方向に並ぶホールHy2の列を観念することができる。ホールHy2の列は、細長い平板Dx2上に形成される。ホールHx2、ホールHy2は、較正用治具J2上の基準位置に形成され、異なる複数の基準位置に配置される複数のパターンとして機能する。
【0067】
図14の較正用治具J3は、全体として、平板形状であり、X軸方向及びY軸方向に並ぶドットDTを有する。ドットDTは、較正用治具J3上の基準位置に形成され、異なる複数の基準位置に配置される複数のパターンとして機能する。以下、図14に基づき、基準計測処理の説明を続ける。
【0068】
制御部151は、較正用治具J上の複数のパターン(ドットDT)各々の位置を、駆動軸上の異なる複数の位置において、2D光学センサ131(光学センサ)によって計測する。ここでは、一例として、較正用治具J3を用いて、2D光学センサ131をX駆動軸121、及び、Y駆動軸122上で駆動させ、X軸方向、及び、Y軸方向の少なくとも一方での位置が異なる、複数の位置において、ドットDTの画像を取得する。なお、2D光学センサ131の1つの撮像範囲(1つの画像)は、測定対象となる1つの対象物OB、及び、較正用治具Jの複数のパターンを含む領域、より小さい。
【0069】
このとき、較正用治具Jは、X軸方向、Y軸方向に対して、アライメントされていることが好ましい。すなわち、較正用治具J上のパターン(例えば、ドットDT)が、X軸方向、Y軸方向に沿って並んでいることが好ましい。これにより、X軸方向、Y軸方向での補正量の取得が容易となる。
【0070】
較正用治具J上の面A0をドットDTごとの領域Wに区分して考える。領域Wは、例えば、2D光学センサ131の撮像領域に対応させることが好ましい。但し、2D光学センサ131の撮像領域内に、複数のドットDTが含まれてもよい。以下では、判り易さのために、領域Wが2D光学センサ131の撮像領域であるとして説明する。
【0071】
図15は、2D光学センサ131の画像の一例を表す模式図である。ドットDTは、撮像領域Wの基準点Cから(ΔX,ΔY)離れた基準位置(一例として、座標(Xs,Ys))に配置されている。
【0072】
図16は、2D光学センサ131の移動前後での画像の一例を表す模式図である。ここでは、ドットDT1に撮像範囲Wの基準点C1を合わせた状態から、2D光学センサ131をX軸方向に移動させた場合を表す。このとき、2D光学センサ131の移動量をドットDTの間隔L(例えば、100mm)と等しくした。画像上での基準点Cの移動量の把握を容易とするためである。
【0073】
この2D光学センサ131の移動量は、X駆動軸121のリニアスケール上での読み取り値の変化量であり、対象物OB上での移動量とは必ずしも一致しない。既述のように、2D光学センサ131の傾きによって、対象物OBの画像に対して、撮像範囲Wの基準点Cにずれが生じる。そして、この傾きが一定でないことから、X駆動軸121上での2D光学センサ131の移動量と、対象物OB上での基準点Cの移動量との間に差異が生じる。
【0074】
図16に示すように、2D光学センサ131を距離MD(=100mm)移動させて、ドットDT1に合わせた基準点Cを(ドットDT1からの距離L=100mmの)ドットDT2まで移動しても、移動後の基準点C2は、ドットDT2に達していない。すなわち、計測された移動量は、対象物OB上での移動量からのズレ(誤差)を有する。
【0075】
移動前の基準点の座標を(0,0)であるとすると、移動後の基準点C2の読み取り上の座標は(100,0)となる。そして、ドットDT2は、移動後の撮像範囲の基準点C2に対して、ΔX=0.5mm、ΔY=0.5mmずれている。そして、計測された(読み取り上の)DT2の座標は(100.5mm、0.5mm)となる。すなわち、2D光学センサ131を移動させて、基準位置に配置された複数のパターンの位置を計測する(リニアスケールを読み取る)ことによって、計測された位置と、対象物OB上での位置(真の位置、ここでは、基準位置)との対応関係を求めることができる。
【0076】
(2)較正処理(ステップS32)
制御部151は、複数の基準位置と、光学センサ(2D光学センサ131)の駆動軸(ここでは、X駆動軸121,及び、Y駆動軸122)上の複数の位置と、に基づいて、補正テーブルTを較正する(ステップS32)。基準位置に配置された複数のパターンの計測位置と、基準位置との対応関係を用いて、補正テーブルTを作成することができる。
【0077】
例えば、基準位置のパターンの計測された位置が座標(XM,YM)であり、基準位置が座標(XT,YT)であったとする。この場合、補正量ΔX、ΔYは次の式(3)に基づいて算出できる。
ΔX(XM,YM)=XT-XM
ΔY(XM,YM)=YT-YM …式(3)
ΔX(XM,YM):測定位置(XM,YM)におけるX軸方向での位置の補正量
ΔY(XM,YM):測定位置(XM,YM)におけるY軸方向での位置の補正量
【0078】
ここで、計測された座標(XM,YM)は、区切りの良い数値ではなく、そのままでは、テーブルT上の計測値としては、用い難い。また、計測値と補正値の組み合わせを適宜に増やした方がよいこともある。このように、適宜の計測値に対する補正を容易とするために、次に示すように、補正値を補完することが考えられる。
【0079】
図17は、位置較正の手法の一例を表す模式図である。図17に示すように、隣接する複数のドットDTの画像を取得する。このとき、ドットDTの位置(基準位置)は、判っているので、別個の領域W1~W4のドットDT1~DT4の画像を用いて、領域W1~W4の範囲内、及び、領域W1~W4の間の領域での補正値を算出できる。例えば、W2、W4の間(基準点C2、C4の間)に撮像範囲の基準点C5を配置したときに、基準点C2、C4での補正値に基づいて、基準点C5での補正値を算出できる。この算出は、例えば、式(2)に示したような、線形補完を用いることができる。
【0080】
以上のように、基準位置に配置される複数のパターンの計測値と基準値(基準位置)を補完することができる。すなわち、計測値と補正値の新たな組み合わせを適宜に生成して、補正テーブルTに用いることができる。
【0081】
(Z軸方向での較正)
以上は、X軸、及び、Y軸方向での補正値の取得を説明している。以下、Z軸方向での補正値の取得(Z軸方向での較正)につき説明する。
【0082】
図18は、補正テーブルTの較正に用いる較正用治具の一例をZ軸正方向から見た状態を表す模式図である。図18に示す較正用治具は、複数のドットDTがX軸方向、及び、Y軸方向に並んで配置される。ここで、領域R外のドットDTは、領域R外のドットDTの基準高さに対して、Δh1だけ高い。
【0083】
図19は、Z方向での較正手法の一例を表す模式図である。高さの異なるドットDT1、DT2の位置(XY座標上での位置、及び、Z座標上での高さ)を2D光学センサ131及び3Dセンサ133によって計測する。
【0084】
ここで、ドットDT1、DT2の位置(X方向、Y方向、及び、Z方向での基準座標)は、既知であるとする。既述のように、X方向、及び、Y方向での補正値は、複数のドットの位置(X-Y座標)を計測することで求めることができる。
【0085】
既述のように、3Dセンサ133は、2D光学センサ131とは異なった位置に配置されるため、2D光学センサ131での計測時と3Dセンサ133での計測時において、撮像ユニット130(結局は、2D光学センサ131)の位置は一般に一致しない。しかし、2D光学センサ131での計測に基づいて、3Dセンサ133での計測時の2D光学センサ131の位置を特定し、オフセット量(2D光学センサ131に対する3Dセンサ133の相対的な位置)を加算することで、3Dセンサ133の正確な位置を把握することができる。
【0086】
すなわち、例えば、X軸方向及びY軸方向での計測位置に対する、X軸、Y軸、及び、Z軸方向での補正量を求めることができる。すなわち、光学センサの、X駆動軸121、及び、Y駆動軸122上での位置と、計測された位置の補正量(例えば、X軸、Y軸、及び、Z軸方向での補正量)との対応関係を表す補正テーブルTを作成することができる。
【0087】
以上のように、本実施形態によれば、計測時における、光学センサの駆動軸上の位置に基づいて、計測された対象物の位置を補正する。この結果、駆動軸の撓み等に起因する位置計測の誤差の低減を図ることができる。
【0088】
(まとめ)
(1)本発明の第1の側面に係る位置計測装置は、対象物の位置を計測するための位置計測装置であって、前記対象物の位置を計測するための光学センサと、前記光学センサを所定の方向に駆動する駆動軸と、前記光学センサ及び前記駆動軸を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記光学センサによって、前記対象物の位置を計測する計測処理と、前記計測時における、前記光学センサの前記駆動軸上の位置に基づいて、前記計測された前記対象物の位置を補正する補正処理と、を実行する。
【0089】
(2)本発明の第2の側面に係る位置計測装置は、第1の側面の位置計測装置において、前記光学センサは、前記対象物の画像を取得する2次元画像センサであり、前記対象物の位置は、前記画像上での基準点に基づいて、計測されてもよい。画像上での基準点を用いることで、対象物の位置の測定精度が向上する。
【0090】
(3)本発明の第3の側面に係る位置計測装置は、第1又は第2の側面の位置計測装置において、前記光学センサの前記駆動軸上での位置と、計測された位置の補正量との対応関係を表すテーブルを記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記補正処理において、前記テーブルに基づいて、前記計測された対象物の位置を補正する。
【0091】
(4)本発明の第4の側面に係る位置計測装置は、第3の側面の位置計測装置において、前記制御部は、異なる複数の基準位置に配置される複数のパターンの各々を、前記駆動軸上の異なる複数の位置において、前記光学センサによって計測する基準計測処理と、前記複数の基準位置と、前記光学センサの前記駆動軸上の複数の位置と、に基づいて、前記テーブルを較正する較正処理を実行する。
【0092】
(5)本発明の第5の側面に係る位置計測装置は、第1~第4の側面の何れかの位置計測装置において、前記光学センサを前記所定の方向と異なる第2の所定の方向に駆動する第2の駆動軸、を備え、前記制御部は、前記補正処理において、前記光学センサの、前記駆動軸上、及び、前記第2の駆動軸上での位置に基づいて、前記計測された前記対象物の位置を補正する。
【0093】
(6)本発明の第6の側面様に係る位置計測装置は、第5の側面の位置計測装置において、前記光学センサを前記所定の方向、及び、前記第2の所定の方向の何れとも異なる第3の所定の方向に駆動する第3の駆動軸、を備え、前記制御部は、前記補正処理において、前記光学センサの、前記駆動軸、及び、前記第2の駆動軸上の位置に基づいて、前記計測された前記対象物の位置を補正する。
【0094】
(7)本発明の第7の側面に係る位置計測装置は、第6の側面の位置計測装置において、前記光学センサ、及び、測距センサを有し、前記駆動軸、前記第2の駆動軸、及び、前記第3の駆動軸上で駆動されるセンサヘッド、を備え、前記光学センサは、前記対象物の画像を取得する2次元画像センサであり、前記測距センサは、前記第3の所定の方向での前記対象物との距離を計測し、前記制御部は、前記測距センサによって、前記対象物との距離を計測する距離計測処理と、前記距離計測時における、前記光学センサの、前記駆動軸、及び、前記第2の駆動軸上での位置に基づいて、前記計測された前記対象物との距離を補正する距離補正処理と、を実行する。
【0095】
(8)本発明の第8の側面に係る位置計測装置は、第7の側面の位置計測装置において、前記光学センサの、前記駆動軸、及び、前記第2の駆動軸上での位置と、計測された位置の補正量との対応関係を表すテーブルを記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記テーブル及び所定のオフセット量に基づいて、前記計測された前記対象物との距離を補正する。
【0096】
(9)本発明の第9の側面に係る位置計測プログラムは、第1~第7の側面の何れかの位置計測装置の制御部としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、前記計測処理、及び、前記補正処理を実行させる。
【0097】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御機構150(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部151に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0098】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えば、プロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0099】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0100】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0101】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
10 位置計測装置
11 光学センサ
12 駆動軸
13 制御部
100 位置計測装置
110 ステージ駆動部
120 撮像ユニット駆動部
121 X駆動軸
122 Y駆動軸
123 Z駆動軸
130 撮像ユニット
131 2D光学センサ
132 同軸リング照明
133 3Dセンサ
150 制御機構
151 制御部
152 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19