(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130262
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】位置計測装置、位置計測方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01B11/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039889
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】木下 崇
(72)【発明者】
【氏名】古川 達也
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA53
2F065BB03
2F065BB16
2F065DD04
2F065FF09
2F065GG04
2F065GG12
2F065HH04
2F065HH13
2F065JJ03
2F065JJ08
2F065JJ26
2F065PP03
2F065PP13
2F065PP22
(57)【要約】
【課題】対象物の計測の確実性を向上させることができる位置計測装置を提供する。
【解決手段】位置計測装置(100)は、出射部(133a)に対して入射部(133b)が第1方向側に位置する3Dセンサ(133)と、ステージ制御部(168)と、高さ計測部(164)と、を備え、前記ステージ制御部は、対象物(OB)を回転させることにより、(i)第1凹部(211)が、第1凸部(201)から第1方向の反対側に位置せず、かつ、第2凹部(212)が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置する第1状態と、(ii)前記第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置しない第2状態と、の間で切り替え、高さ計測部は、前記第1状態で、前記第1凹部の高さ分布を計測し、前記第2状態で前記第2凹部の高さ分布を計測する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射部に対して入射部が第1方向側に位置する測距センサと、
対象物を回転させる回転駆動部と、
前記回転駆動部を制御する回転制御部と、
前記測距センサの検知結果に基づき前記対象物の高さ分布を計測する計測部と、を備え、
前記回転制御部は、前記対象物を回転させることにより、(i)前記対象物の第1凸部に隣接する第1凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置せず、かつ、前記第1凸部に隣接する第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置する第1状態と、(ii)前記第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置しない第2状態と、の間で切り替え、
前記計測部は、前記第1状態で、前記第1凹部の高さ分布を計測し、前記第2状態で前記第2凹部の高さ分布を計測する、位置計測装置。
【請求項2】
前記第1凹部は、前記第1凸部と前記対象物の第2凸部との間に位置し、
前記第2凹部は、前記第1凸部と前記対象物の第3凸部との間に位置し、
前記第1凸部と前記第2凸部とが並ぶ方向と、前記第1凸部と前記第3凸部とが並ぶ方向とは互いに異なる、請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項3】
前記第2状態において、前記第2凹部は、前記第1凸部から第1方向側に位置しない、請求項2に記載の位置計測装置。
【請求項4】
前記測距センサを所定の方向に駆動するセンサ駆動部と、
前記センサ駆動部を制御する駆動軸制御部と、をさらに備え、
前記第1状態において、前記回転制御部は前記対象物を回転させ、その間、前記計測部は前記第1凹部の高さ分布を計測し、
前記第2状態において、前記駆動軸制御部は前記測距センサを移動させ、その間、前記計測部は、前記第2凹部の高さ分布を計測する、請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項5】
前記計測部は、前記第1凹部の高さ分布と、前記第2凹部の高さ分布とを合成し、前記対象物の高さ分布を生成する、請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項6】
前記出射部からの出射光の光軸と、前記回転駆動部の回転軸とは平行である、請求項1に記載の位置計測装置。
【請求項7】
出射部に対して入射部が第1方向側に位置する測距センサにより対象物の位置を計測するための位置計測方法であって、
前記対象物を回転させることにより、(i)前記対象物の第1凸部に隣接する第1凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置せず、かつ、前記第1凸部に隣接する第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置する第1状態と、(ii)前記第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置しない第2状態と、の間で切り替える切替ステップと、
前記第1状態で、前記第1凹部の高さ分布を計測する第1計測ステップと、
前記第2状態で、前記第2凹部の高さ分布を計測する第2計測ステップと、を含む、位置計測方法。
【請求項8】
請求項1に記載の位置計測装置としてコンピュータを機能させるための位置計測プログラムであって、前記回転制御部、および前記計測部としてコンピュータを機能させるための位置計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置計測装置および位置計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測距センサにより対象物の形状を計測する技術が知られている。特に、対象物を回転ステージに載置し、回転ステージを回転させることにより、対象物の表面全体の形状を測定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、測定アセンブリを3軸駆動し、測定対象の歯車ワークピースを回転させて、歯車ワークピースの表面形状を測定することが開示されている。特許文献2には、測定対象物の測定装置への干渉を考慮しつつ測定対象物を回転させて、測定対象物の立体形状を測定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-105847号公報
【特許文献2】特開2021-025918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測距センサから出射光が出射する出射部と測距センサに対象物からの反射光が入射する入射部とが異なる位置に設けられる場合、対象物の凸部の陰になる箇所を計測できない可能性がある。上述した特許文献1,2は、このような対象物の凸部の陰になる箇所を計測するための技術を開示しない。
【0005】
本発明の一態様は、対象物の計測の確実性を向上させる位置計測装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る位置計測装置は、出射部に対して入射部が第1方向側に位置する測距センサと、対象物を回転させる回転駆動部と、前記回転駆動部を制御する回転制御部と、前記測距センサの検知結果に基づき前記対象物の高さ分布を計測する計測部と、を備え、前記回転制御部は、前記対象物を回転させることにより、(i)前記対象物の第1凸部に隣接する第1凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置せず、かつ、前記第1凸部に隣接する第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置する第1状態と、(ii)前記第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置しない第2状態と、の間で切り替え、前記計測部は、前記第1状態で、前記第1凹部の高さ分布を計測し、前記第2状態で前記第2凹部の高さ分布を計測する。
【0007】
第1状態において、第1凸部に隣接する第2凹部は、第1凸部から第1方向の反対側に位置する。そのため、第1状態において、出射部から出射されたレーザ光の第2凹部からの反射光は、第1凸部に遮られ入射部まで到達しない。すなわち、第1状態において、第2凹部は、第1凸部の陰になる。したがって、第1状態での測距センサによる計測では、第2凹部の高さ分布を計測することができない。
【0008】
上記の構成によれば、回転制御部は、第2凹部が、第1凸部から第1方向の反対側に位置しない第2状態となるように、対象物を回転させる。そして、計測部は、第2状態で第2凹部の高さ分布を計測する。これにより、第1状態において第1凸部の陰になる第2凹部の高さ分布を、第2状態において計測することができる。したがって、第1状態および第2状態の対象物を計測することで、対象物の計測の確実性を向上させることができる。
【0009】
また、前記第1凹部は、前記第1凸部と前記対象物の第2凸部との間に位置し、前記第2凹部は、前記第1凸部と前記対象物の第3凸部との間に位置し、前記第1凸部と前記第2凸部とが並ぶ方向と、前記第1凸部と前記第3凸部とが並ぶ方向とは互いに異なってもよい。
【0010】
上記の構成によれば、第1凸部と第2凸部とが並ぶ方向と、第1凸部と第3凸部とが並ぶ方向とは互いに異なる。そのため、第1状態において第2凹部が第1凸部の陰になる場合、第1凹部は第1凸部の陰にならない。また、仮に第2状態において第1凹部が第1凸部の陰になる場合であっても、第2凹部は第1凸部の陰にならない。したがって、第1状態および第2状態の対象物を計測することで、対象物の高さ分布を網羅的に計測できる。
【0011】
また、前記第2状態において、前記第2凹部は、前記第1凸部から第1方向側に位置しなくてもよい。
【0012】
仮に、第2状態において第2凹部が第1凸部から第1方向側に位置する場合、第2凹部は、第2状態において第1凸部から第2凹部を挟んで第1方向側に位置する第3凸部の陰になる可能性がある。特に、第1凸部と第3凸部との間の幅が狭い場合、第2状態において、第2凹部は、第3凸部の陰になる可能性が高い。
【0013】
一方、上記の構成によれば、第1凸部と第3凸部との間の幅が狭い場合であっても、第2凹部は、第3凸部の陰にならない。そのため、対象物の計測の確実性を向上させることができる。
【0014】
また、前記測距センサを所定の方向に駆動するセンサ駆動部と、前記センサ駆動部を制御する駆動軸制御部と、をさらに備え、前記第1状態において、前記回転制御部は前記対象物を回転させ、その間、前記計測部は前記第1凹部の高さ分布を計測し、前記第2状態において、前記駆動軸制御部は前記測距センサを移動させ、その間、前記計測部は、前記第2凹部の高さ分布を計測してもよい。
【0015】
上記の構成によれば、位置計測装置は、第1状態において、対象物を回転させながら第1凹部の高さ分布を連続的に計測する。これにより、位置計測装置は、第1凹部211を含む対象物OB全体の高さ分布を速やかに計測できる。また、位置計測装置は、第2状態において、測距センサを移動させながら第2凹部の高さ分布を計測する。これにより、位置計測装置は、第2凹部を含む、第1状態において計測できなかった箇所を計測できる。
【0016】
また、前記計測部は、前記第1凹部の高さ分布と、前記第2凹部の高さ分布とを合成し、前記対象物の高さ分布を生成してもよい。
【0017】
また、前記出射部からの出射光の光軸と、前記回転駆動部の回転軸とは平行であってもよい。
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る位置計測方法は、出射部に対して入射部が第1方向側に位置する測距センサにより対象物の位置を計測するための位置計測方法であって、前記対象物を回転させることにより、(i)前記対象物の第1凸部に隣接する第1凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置せず、かつ、前記第1凸部に隣接する第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置する第1状態と、(ii)前記第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置しない第2状態と、の間で切り替える切替ステップと、前記第1状態で、前記第1凹部の高さ分布を計測する第1計測ステップと、前記第2状態で、前記第2凹部の高さ分布を計測する第2計測ステップと、を含む。
【0019】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る位置計測プログラムは、前記位置計測装置としてコンピュータを機能させるための位置計測プログラムであって、前記回転制御部、および前記計測部としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、対象物の計測の確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態の構成例に係る位置計測装置を表す図である。
【
図3】ステージ駆動部およびステージを表す図である。
【
図6】レーザ光の光路における凸部の陰になる箇所を説明する模式図である。
【
図7】第1状態および第2状態における対象物を示す図である。
【
図8】上記位置計測装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】位置計測装置による対象物の3次元画像の生成方法を示すフローチャートである。
【
図10】位置計測装置による対象物の高さ分布の計測方法を示すフローチャートである。
【
図12】実施例における第1凹部の高さ分布の計測結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一側面に係る実施形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0023】
〔実施形態1〕
§1 適用例
図6は、レーザ光の光路における凸部の陰になる箇所を説明する模式図である。
図7は、第1状態および第2状態における対象物OBを示す図である。
図6に示すように、位置計測装置100は、出射部133aに対して入射部133bが第1方向D1側に位置する3Dセンサ133(測距センサ)の検知結果に基づき、対象物OBの高さ分布を計測する。
【0024】
対象物OBは、第1凸部201を有する。ここで、対象物OBの第1凸部201に隣接する第1凹部211が、第1凸部201から第1方向D1の反対側に位置せず、かつ、第1凸部201に隣接する第2凹部212が、第1凸部201から第1方向D1の反対側に位置する状態を第1状態とする(
図7の符号7B)。また、第2凹部212が、第1凸部201から第1方向D1の反対側に位置しない状態を第2状態とする(
図7の符号7C)。
【0025】
このとき、第1状態において、第2凹部は、第1凸部の陰になる(
図6の符号6B)。したがって、第1状態での3Dセンサ133による計測では、第2凹部の高さ分布を計測することができない。
【0026】
そこで、位置計測装置100は、ステージ駆動部110(回転駆動部)を備え、ステージ駆動部110は、対象物OBを回転させることにより、対象物OBを第1状態と第2状態と間で切り替える(
図7の符号7A)。これにより、3Dセンサ133は、第1状態において第1凸部の陰になる第2凹部の高さ分布を、第2状態において計測することができる。
【0027】
§2 構成例
[ハードウェア構成]
(位置計測装置の概略構成)
図1は、本発明の実施形態の構成例に係る位置計測装置100を表す模式図である。位置計測装置100は、ステージ駆動部110、撮像ユニット駆動部120、撮像ユニット130、制御機構150を有する。位置計測装置100は、対象物OBの位置を計測するためのものであるが、計測した位置の差分として、対象物OBの寸法を計測できる。すなわち、位置計測装置100は、寸法計測装置としても機能する。
【0028】
図1において、X軸、Y軸、及び、Z軸の方向が矢印で表される。X軸、Y軸、及び、Z軸の方向は、それぞれ、所定の方向、第2の所定の方向、及び、第3の所定の方向の一例として把握することができる。
【0029】
図2は、ステージ駆動部110の詳細を表す図である。
図3は、ステージ駆動部110およびステージSTを表す図である。ステージSTは、搬送装置により位置計測装置100が計測可能な計測位置まで搬送された対象物OBを載置する。ステージ駆動部110は、ステージSTを昇降および回転させる駆動モータである。ステージ駆動部110は、対象物OBを、Z軸を中心として、回転させ、且つ、Z軸方向に移動(昇降)させる。
【0030】
図4は、撮像ユニット駆動部120の詳細を表す図である。撮像ユニット駆動部120は、X駆動軸121、Y駆動軸122、及び、Z駆動軸123(以下、「X駆動軸121等」と称する)を有し、撮像ユニット130をX軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向(以下、「X軸方向等」と称する)に駆動する。
【0031】
なお、
図4には、Y駆動軸122自体は、示されていない。
図1に示すように、撮像ユニット駆動部120は、一対のY駆動軸122を有する。これら一対のY駆動軸122は、連動して動作し、撮像ユニット130をY軸方向に駆動する。一対のY駆動軸122に替えて、1つのY駆動軸122を用いて、撮像ユニット130をY軸方向に駆動してもよい。
X駆動軸121等の駆動機構としては、例えば、リニアモータを用いることができる。X駆動軸121は、光学センサ(2D光学センサ131)を所定の方向に駆動する駆動軸として機能する。Y駆動軸122は、光学センサを第2の所定の方向(Y軸方向)に駆動する第2の駆動軸として機能する。Z駆動軸123は、光学センサを所定の第3の方向(Z軸方向)に駆動する第3の駆動軸として機能する。
【0032】
X駆動軸121等は、それぞれ、リニアスケール、及び、エンコーダを有し、X駆動軸121等上での撮像ユニット130(2D光学センサ131)の位置を把握できる。すなわち、エンコーダによって、リニアスケールを読み取ることによって、X軸方向等それぞれでの撮像ユニット130の位置を計測できる。リニアスケールとエンコーダの3つの組み合わせは、X軸方向等での撮像ユニット130(2D光学センサ131)の位置及び移動量を計測するリニアエンコーダを構成する。
【0033】
図5は、撮像ユニット130の詳細を表す図である。撮像ユニット130は、2D光学センサ131、同軸リング照明132、3Dセンサ133を有し、駆動軸(X駆動軸121)、第2の駆動軸(Y駆動軸122)、及び、第3の駆動軸(Z駆動軸123)上で駆動されるセンサヘッドとして機能する。
【0034】
2D光学センサ131は、対象物OBの画像を取得する2次元画像センサであり、対象物OBの位置を計測するための光学センサとして機能する。対象物OBの位置は、2D光学センサ131が取得した対象物OBの画像(例えば、撮像範囲)上での基準点(例えば、画像に表される点、円弧、又は、十字線の交点)に基づいて、計測することができる。すなわち、基準点での対象物OBの位置(ここでは、XY平面上での座標(X,Y))が計測される。
【0035】
この位置の計測は、X駆動軸121、及び、Y駆動軸122それぞれでのリニアスケールの読み取りによって行われる。撮像ユニット130(2D光学センサ131)を移動させ、位置を計測したい箇所に、画像(撮像範囲)の基準点を合わせ、X駆動軸121、及び、Y駆動軸122それぞれでのリニアスケールが読み取られる。この読み取り値がその箇所の計測された位置となる。いわば、X駆動軸121、及び、Y駆動軸122上での撮像ユニット130(2D光学センサ131)の移動量に基づき、対象物OBの位置を計測していることになる。
【0036】
同軸リング照明132は、対象物OBを照明し、2D光学センサ131での対象物OBの位置計測を容易とする。
【0037】
3Dセンサ133は、対象物OBの高さ分布を光切断法により測定する。3Dセンサ133は、3Dセンサ133の筐体内の発光素子(図示せず)から出射されるレーザ光である出射光L1を、Z軸負方向に向かって出射する。この出射光L1は、対象物OBの表面上で反射して、反射光L2として、3Dセンサ133の筐体内に入射される。この反射光L2は、3Dセンサ133の筐体内のレンズ(図示せず)を介し受光素子(図示せず)へ集光される。また、3Dセンサ133は、発光素子、及び、受光素子と接続される3Dセンサ制御部(図示せず)を有してもよい。3Dセンサ制御部は、例えば、TOF方式、又は、三角測量方式により、発光素子から対象物OBまでの距離を特定する。すなわち、3Dセンサ133は、対象物OBの3次元形状を光学的に測定するものであり、第3の所定の方向(Z軸方向)での対象物OBとの距離を計測する測距センサとして機能する。
【0038】
制御機構150は、制御部151、記憶部152を有する。制御部151は、例えば、プロセッサ(一例として、CPU)とプログラムの組み合わせから構成できる。記憶部152は、制御部151が使用する各種データを記憶する。
【0039】
(3Dセンサと対象物との位置関係について)
次に、
図6および
図7を参照して3Dセンサ133と対象物OBとの位置関係について説明する。
図6に示すように、3Dセンサ133は、出射部133aと、出射部133aに対して第1方向D1側(X軸の正方向側)に位置する入射部133bとを備える。
【0040】
出射部133aは、3Dセンサ133の筐体内の発光素子から出射されるレーザ光を3Dセンサ133の筐体から出射する。出射部133aから出射されるレーザ光である出射光L1は、(Z軸方向に延びる)光軸OAを中心に第1方向D1に直交する方向(Y軸方向)に広がる。この出射光L1の光路に対象物OBがあるときには、出射光L1は、対象物OBの表面上のY軸方向に延伸する直線部Lで反射する。
【0041】
入射部133bは、直線部Lで反射した反射光L2を3Dセンサ133の筐体内に入射する。入射部133bに入射した反射光L2は、3Dセンサ133の筐体内のレンズを介し受光素子へ集光される。
【0042】
3Dセンサ133は、発光素子および受光素子と接続される3Dセンサ制御部(図示せず)を有してもよい。3Dセンサ制御部は、例えばTOF方式または三角測量方式により、発光素子から直線部L上の(設定分解能で規定される)各点までの距離を特定する。3Dセンサ133は、このようにして計測した直線部L上の各点についての上記距離に関する情報を後述する制御部151の3Dデータ取得部163に提供する。
【0043】
なお、上述した3Dセンサ制御部は、制御部151に含まれていてもよい。すなわち、制御機構150が、3Dセンサ133の発光素子および受光素子から取得した情報に基づき、直線部L上の各点についての上記距離を特定してもよい。
【0044】
対象物OBは、搬送装置により位置計測装置100が計測可能な計測位置まで搬送される。計測位置の下方には、ステージ駆動部110によって駆動されるステージSTが設けられている。計測位置まで搬送された対象物OBは、ステージSTが上昇することにより、ステージSTに載置される。そして、ステージSTに載置された対象物OBは、ステージSTが回転することにより、計測位置において回転する。ステージ駆動部110の回転軸RA(すなわち、ステージSTが回転する回転軸)は、出射部133aからの出射光L1の光軸OAに平行である。
【0045】
対象物OBは、対象物OBの表面において上方(Z軸の正方向)に突出する第1凸部201を有する。また、対象物OBは、第1凸部201に隣接する凹部である、第1凹部211と、第2凹部212とを有する。ここで、XY平面上における、第1凸部201に対する第1凹部211が位置する方向および第1凸部201に対する第2凹部212が位置する方向は、対象物OBの回転によって変化する(
図7参照)。以下、第1凹部211が第1凸部201から第1方向D1の反対側(X軸の負方向側)に位置せず、かつ、第2凹部212が、第1凸部201から第1方向D1の反対側に位置するような状態を、対象物OBの第1状態とする。また、第2凹部212が、第1凸部201から第1方向D1の反対側に位置しない状態を、第2状態とする。
【0046】
図6および
図7に示す一例では、第1凹部211は、第1凸部201を中心に第2凹部212から半時計周りに90°だけずれた方向に位置する。そのため、第1状態において、第1凹部211は、第1凸部201からY軸の正方向側に位置する。
【0047】
対象物OBは、第2凸部202と、第3凸部203とを有してもよい。ここで、第1凹部211は、第1凸部201と第3凸部203との間に位置する。また、第2凹部212は、第1凸部201と第3凸部203との間に位置する。そして、第1凸部201と第2凸部202とが並ぶ方向と、第1凸部201と第3凸部203とが並ぶ方向とは互いに異なる。第1状態において、第1凸部201と第2凸部202とが並ぶ方向は、X軸方向ではない(
図6および
図7に示す一例では、Y軸方向である)。一方、第1状態において、第1凸部201と第3凸部203とが並ぶ方向は、X軸方向である。
【0048】
図6は、対象物OBが第1状態である場合を図示している。
図6の符号6Aは、第1状態である対象物OBの第1凹部211の高さ分布を測定する様子を示す。
図6の符号6Bは、第1状態である対象物OBの第2凹部212の高さ分布を測定する様子を示す。
【0049】
図6の符号6Aに示すように、第1状態で第1凹部211の高さ分布を計測する際、第1凹部211で反射する反射光L2は、第1凸部201に遮られることなく、入射部133bまで到達する。すなわち、第1凹部211は、第1状態で(レーザ光の光路における)第1凸部201の陰になる箇所ではない。したがって、第1状態において、3Dセンサ133により第1凹部211の高さ分布を測定可能である。
【0050】
一方、
図6の符号6Bに示すように、第1状態で第2凹部212の高さ分布を計測する際、第2凹部212で反射する反射光L2は、第1凸部201に遮られ、入射部133bまで到達しない可能性がある。すなわち、第2凹部212は、第1状態で第1凸部201の陰になり得る箇所である。特に、第2凹部212における第1凸部201に隣接する側の第1部位212aが第1凸部201の陰になる箇所である。したがって、第1状態において、3Dセンサ133により第2凹部212の高さ分布を測定できない可能性がある。
【0051】
以上のように、第1凸部201から第1方向D1の反対側に位置しない第1凹部211は、第1凸部201の陰にならないため、高さ分布を測定可能である。一方、第1凸部201から第1方向D1の反対側に位置する第2凹部212は、第1凸部201の陰になり得るため、高さ分布を測定できない可能性がある。
【0052】
図7の符号7Aは、対象物OBの上面図である。
図7の符号7Bは、第1状態における対象物OBの凸部を示す図である。
図7の符号7Cは、第2状態における対象物OBの凸部を示す図である。
図7の符号7Aに示すように、対象物OBは、例えば、上面に複数の凸部20を有する略環状部材である。複数の凸部20は、例えば、略環状部材である対象物OBの開口側に位置する複数の内側凸部と、外側に位置する複数の外側凸部とを含む。上述の第1凸部201および第3凸部203は内側凸部であり、上述の第2凸部202は外側凸部である。
【0053】
図7の符号7Bに示すように、第1凸部201、第2凸部202、および第3凸部203がXY平面上の第1位置Aに位置するとき、対象物OBは上述の第1状態となる。
図7の符号7Cに示すように、第1状態の対象物OBを回転させ、第1凸部201、第2凸部202、および第3凸部203をXY平面上の第1位置Aとは異なる第2位置Bに移動させると、対象物OBは上述の第2状態となる。
【0054】
上述したように、第2状態において、第2凹部212は、第1凸部201から第1方向D1の反対側(X軸の負方向側)に位置しない。そのため、第1状態での第1凹部211と同様に、第2状態での第2凹部212は、第1凸部201の陰にならない。したがって、第2状態において、3Dセンサ133により第2凹部212の高さ分布を測定可能である。
【0055】
図7に示す一例では、第2状態は、第1状態に対して、回転軸RAを中心に半時計周りに90°だけ対象物OBをずらした状態である。すなわち、第2位置Bは、回転軸RAを中心に半時計周りに90°だけ第1位置Aから移動した位置である。そのため、第2状態において、第1凹部211は、第1凸部201から第1方向D1の反対側(X軸の負方向側)に位置し、第2凹部212は、第1凸部201からY軸の負方向側に位置する。第1状態において、第1凹部211の高さ分布は計測可能であるため、第2状態において第1凹部211の高さ分布が計測可能である必要はない。すなわち、
図7に示すように、第2状態において、第1凹部211は、第1凸部201から第1方向D1の反対側に位置しても問題ない。
【0056】
以上のように、第1状態において第1凸部201の陰になる箇所(第2凹部212)については、第2状態において高さ分布を計測することができる。反対に、第2状態において第1凸部201の陰になる箇所(第1凹部211)については、第1状態において高さ分布を計測することができる。したがって、第1状態および第2状態の対象物OBを計測することで、対象物OBの計測の確実性を向上させることができる。
【0057】
なお、第2位置Bの第1位置Aに対する相対位置は、
図7に示したものに限定されない。例えば、第2位置Bは、回転軸RAを中心に半時計周りに180°だけ第1位置Aから移動した位置であってもよい。すなわち、第2状態において、第2凹部212は、第1凸部201から第1方向D1側(X軸の正方向側)に位置してもよい。第2状態において、第2凹部212の第1部位212aからの反射光は、第1凸部201に遮られることはない。しかしながら、第1凸部201と第3凸部203との間の幅が狭い場合、第2凹部212の第1部位212aからの反射光は、第3凸部203に遮られる可能性がある。したがって、第2状態において、第2凹部212は、第1凸部201から第1方向D1側に位置しないことが好ましい。このような構成によれば、第2凹部212は、第1凸部201と第3凸部203との間の幅が狭い場合であっても、第2状態において第3凸部203の陰にならない。そのため、対象物OBの計測の確実性を向上させることができる。
【0058】
[ソフトウェア構成]
次に、
図8を参照して位置計測装置100のソフトウェア構成の一例について説明する。
図8は、位置計測装置100の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、位置計測装置100は、撮像ユニット130と、撮像ユニット駆動部120(センサ駆動部)と、ステージ駆動部110と、制御機構150とを備える。撮像ユニット130、撮像ユニット駆動部120、およびステージ駆動部110については、
図1~
図5を参照して上述した通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0059】
制御機構150は、制御部151と、記憶部152とを備える。制御部151は、2Dデータ取得部161と、2D画像生成部162と、3Dデータ取得部163と、高さ計測部164と、3D画像生成部165と、出力部166と、駆動軸制御部167と、ステージ制御部168とを備える。
【0060】
2Dデータ取得部161は、複数の視野における対象物OBの2次元画像と、それぞれの視野における基準点とを、2D光学センサ131から取得する。また、2Dデータ取得部161は、それぞれの視野における、撮像ユニット130と対象物OBとの位置関係に関する情報を、後述する駆動軸制御部167から取得する。
【0061】
2D画像生成部162は、2Dデータ取得部161が取得した情報に基づき、対象物OB全体の2次元画像を生成する。
【0062】
3Dデータ取得部163は、複数の直線部L上の各点の距離に関する情報(3Dセンサ133の検知結果)を、3Dセンサ133から取得する。また、3Dデータ取得部163は、それぞれの直線部Lの測定における、撮像ユニット130と対象物OBとの位置関係に関する情報を、後述する駆動軸制御部167および/またはステージ制御部168から取得する。
【0063】
高さ計測部164(計測部)は、3Dデータ取得部163が取得した情報に基づき、対象物OB全体の高さ分布を計測する。ここで、高さ計測部164は、第1状態で、第1凹部211の高さ分布を計測し、第2状態で第2凹部212の高さ分布を計測する。高さ計測部164は、第1状態において計測した高さ分布と、第2状態において計測した高さ分布とを合成することにより、第1凹部211および第2凹部212を含む対象物OB全体の高さ分布を生成する。
【0064】
3D画像生成部165は、2D画像生成部162が生成した対象物OB全体の2次元画像と、高さ計測部164が生成した対象物OB全体の高さ分布とを組み合わせることにより、対象物OBの3次元画像を生成する。言い換えると、3D画像生成部165は、対象物OBの2次元画像の各点に高さ情報を付与する。
【0065】
出力部166は、3D画像生成部165が生成した対象物OBの3次元画像を、位置計測装置100の計測結果として出力する。なお、出力部166は、対象物OBの3次元画像に基づき生成した検査パラメータを、位置計測装置100の計測結果として出力してもよい。
【0066】
駆動軸制御部167は、撮像ユニット駆動部120による撮像ユニット130のモータ駆動を制御する。詳細には、駆動軸制御部167は、撮像ユニット130をX軸、Y軸、および/またはZ軸方向に駆動させて所定の座標に位置するように、撮像ユニット駆動部120を制御する。駆動軸制御部167は、2次元画像の撮像時および直線部Lの測距時に、撮像ユニット130の座標を2Dデータ取得部161および3Dデータ取得部163にそれぞれ提供する。
【0067】
ステージ制御部168(回転制御部)は、ステージ駆動部110によるステージSTの昇降および回転を制御する。詳細には、ステージ制御部168は、対象物OBが計測位置まで搬送されたとき、ステージSTを上昇させるように、ステージ駆動部110を制御する。これにより、対象物OBは、ステージSTに載置される。また、ステージ制御部168は、対象物OBを回転させることにより、対象物OBを第1状態と第2状態との間で切り替えるようにステージ駆動部110を制御する。ステージ制御部168は、直線部Lの測距時に、対象物OBの基準となる状態(例えば第1状態)からの回転角度を3Dデータ取得部163に提供する。
【0068】
§3 動作例
以下では、
図9および
図10を参照して、本実施形態に係る位置計測装置100の動作例について説明する。
【0069】
(処理全体の流れ)
図9は、位置計測装置100による対象物OBの3次元画像の生成方法を示すフローチャートである。まず、位置計測装置100による処理全体の流れについて、以下に説明する。
【0070】
まず、ステージ制御部168は、対象物OBが計測位置まで搬送されたとき、ステージSTを上昇させる。これにより、ステージ制御部168は、搬送された対象物OBをステージSTに載置させる(S1)。
【0071】
次に、駆動軸制御部167により撮像ユニット130を駆動させつつ、2D光学センサ131により対象物OBを撮像する。これにより、複数の視野における対象物OBの2次元画像が撮像される。2D画像生成部162は、複数の視野における対象物OBの2次元画像を合成し、対象物OBの2次元画像を生成する(S2)。
【0072】
次に、駆動軸制御部167により撮像ユニット130を駆動させつつ、および/または、ステージ制御部168によりステージSTを回転させつつ、3Dセンサ133により対象物OBをセンシングする。これにより、複数の直線部L上の各点の距離に関する情報が得られる。高さ計測部164は、複数の直線部L上の各点の距離に関する情報に基づき、対象物OBの高さ分布を計測する(S3)。
【0073】
次に、3D画像生成部165は、対象物OBの2次元画像の各点に高さ情報を付与する。これにより、3D画像生成部165は、対象物OBの3次元画像を生成する(S4)。
【0074】
(高さ分布の計測)
図10は、位置計測装置100による対象物OBの高さ分布の計測方法(位置計測方法)を示すフローチャートである。次に、
図9におけるS3の詳細について、以下に説明する。
【0075】
まず、駆動軸制御部167は、撮像ユニット130を、
図7に示す第1位置Aに移動させる(S11)。次に、ステージ制御部168は、ステージSTに載置される対象物OBを360°回転させる(S12)。この間、3Dセンサ133は、直線部Lの位置を移動させずにセンシングし続ける。
【0076】
ここで、直線部Lは、略環状部材である対象物OBの表面の幅より広く設定される。高さ計測部164は、ステージSTを360°回転させることにより、対象物OB全体の高さ分布を連続的に計測する。
【0077】
上述した通り、第1凸部201、第2凸部202、および第3凸部203が第1位置Aに位置するとき、対象物OBは、第1状態となる。したがって、S12において、高さ計測部164は、第1凹部211の高さ分布を計測する(第1計測ステップ)。
【0078】
次に、駆動軸制御部167は、撮像ユニット130を、
図7に示す第2位置Bに移動させる(S13)。次に、駆動軸制御部167は、直線部Lが第2位置Bにおいて対象物OBの表面を横断するように、撮像ユニット130(3Dセンサ133)をX軸の正方向に移動させる(S14)。この間、3Dセンサ133は、対象物OBをセンシングする。これにより、3Dセンサ133は、第2位置Bにおいて対象物OBの表面の一部を計測する。
【0079】
次に、第2位置Bにおける計測が完了したか否かを判定する(S15)。すなわち、第2位置Bにおける計測を対象物OB全体に対して行ったか否かを判定する。第2位置Bにおける計測が完了していない場合(S15のNO)、S16に進む。第2位置Bにおける計測が完了した場合(S15のYES)、S17に進む。
【0080】
S16では、ステージ制御部168が、ステージSTを所定の角度だけ回転させる。その後、再びS14の処理を行う。すなわち、第2位置Bにおける計測を対象物OB全体に対して行うまで、S16およびS14を繰り返す。高さ計測部164は、対象物OB全体の高さ分布を、対象物OBの表面を短冊状に分割して計測する。
【0081】
上述した通り、第1凸部201、第2凸部202、および第3凸部203が第2位置Bに位置するとき、対象物OBは、第2状態となる。したがって、S16において、ステージ制御部168は、対象物OBを回転させることにより、対象物OBを第1状態から第2状態に切り替える(切替ステップ)。そして、S14において、高さ計測部164は、第2凹部212の高さ分布を計測する(第2計測ステップ)。
【0082】
S17では、高さ計測部164が、第1位置Aにおける計測結果と、第2位置Bにおける計測結果とを合成する。これにより、高さ計測部164は、第1凹部211および第2凹部212を含む対象物OB全体の高さ分布を生成する。
【0083】
なお、第1位置Aおよび第2位置Bにおける計測方法は上述のものに限定されない。例えば、S14において、3Dセンサ133を移動させずに、対象物OBを360°回転させてもよい。この場合、S16では、3Dセンサ133を所定の距離だけX軸の正方向にずらす。
【0084】
(作用効果)
上記の構成によれば、ステージ制御部168は、S16において、第2凹部212が第2状態となるように対象物OBを回転させる。そして、高さ計測部164は、第2状態で第2凹部212の高さ分布を計測する。これにより、第1状態において第1凸部201の陰になる箇所(第2凹部212)については、第2状態において高さ分布を計測することができる。反対に、第2状態において第1凸部201の陰になる箇所(第1凹部211)については、第1状態において高さ分布を計測することができる。したがって、第1状態および第2状態の対象物OBを計測することで、対象物の計測の確実性を向上させることができる。
【0085】
また、第1位置Aにおいて、対象物OBを回転させながら第1凹部211の高さ分布を連続的に計測することにより、第1凹部211を含む対象物OB全体の高さ分布を速やかに計測できる。また、第2位置Bにおいて、3Dセンサ133を移動させながら第2凹部212の高さ分布を計測することにより、第2凹部212を含む、第1状態において計測できなかった箇所を計測できる。
【0086】
(実施例)
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0087】
図11は、実施例における対象物OBの斜視図である。
図12は、実施例における第1凹部211の高さ分布の計測方法を示す図である。本実施例では、
図11に示す対象物OBの高さ分布を上述の計測方法により計測した。
【0088】
図11に示すように、実施例における対象物OBは、第1凸部201、第2凸部202、および第3凸部203を有するモータステータである。ここで、第1凹部211は、第1凸部201と第3凸部203との間に位置する。また、第2凹部212は、第1凸部201と第3凸部203との間に位置する。
【0089】
図12に示すように、まず、3Dデータ取得部163から3Dプロファイルデータを取得した(
図12の符号12A)。次に、第1凸部201、第1凹部211、および第3凸部203に対応する3Dプロファイルデータを抽出した(
図12の符号12B)。次に、抽出した3Dプロファイルデータのノイズを除去し、第1凹部211のみの3Dプロファイルデータをさらに抽出した(
図12の符号12C)。次に、第1凹部211の高さ分布を計測した(
図12の符号12D)。
【0090】
(まとめ)
本発明の第1の側面に係る位置計測装置は、出射部に対して入射部が第1方向側に位置する測距センサと、対象物を回転させる回転駆動部と、前記回転駆動部を制御する回転制御部と、前記測距センサの検知結果に基づき前記対象物の高さ分布を計測する計測部と、を備え、前記回転制御部は、前記対象物を回転させることにより、(i)前記対象物の第1凸部に隣接する第1凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置せず、かつ、前記第1凸部に隣接する第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置する第1状態と、(ii)前記第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置しない第2状態と、の間で切り替え、前記計測部は、前記第1状態で、前記第1凹部の高さ分布を計測し、前記第2状態で前記第2凹部の高さ分布を計測する。
【0091】
本発明の第2の側面に係る位置計測装置は、第1の側面の位置計測装置において、前記第1凹部は、前記第1凸部と前記対象物の第2凸部との間に位置し、前記第2凹部は、前記第1凸部と前記対象物の第3凸部との間に位置し、前記第1凸部と前記第2凸部とが並ぶ方向と、前記第1凸部と前記第3凸部とが並ぶ方向とは互いに異なる。
【0092】
本発明の第3の側面に係る位置計測装置は、第2の側面の位置計測装置において、前記第2状態において、前記第2凹部は、前記第1凸部から第1方向側に位置しない。
【0093】
本発明の第4の側面に係る位置計測装置は、第1~第3の側面の何れかの位置計測装置において、前記測距センサを所定の方向に駆動するセンサ駆動部と、前記センサ駆動部を制御する駆動軸制御部と、をさらに備え、前記第1状態において、前記回転制御部は前記対象物を回転させ、その間、前記計測部は前記第1凹部の高さ分布を計測し、前記第2状態において、前記駆動軸制御部は前記測距センサを移動させ、その間、前記計測部は、前記第2凹部の高さ分布を計測する。
【0094】
本発明の第5の側面に係る位置計測装置は、第1~第4の側面の何れかの位置計測装置において、前記計測部は、前記第1凹部の高さ分布と、前記第2凹部の高さ分布とを合成し、前記対象物の高さ分布を生成する。
【0095】
本発明の第6の側面に係る位置計測装置は、第1~第5の側面の何れかの位置計測装置において、前記出射部からの出射光の光軸と、前記回転駆動部の回転軸とは平行である。
【0096】
本発明の第7の側面に係る位置計測方法は、出射部に対して入射部が第1方向側に位置する測距センサにより対象物の位置を計測するための位置計測方法であって、前記対象物を回転させることにより、(i)前記対象物の第1凸部に隣接する第1凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置せず、かつ、前記第1凸部に隣接する第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置する第1状態と、(ii)前記第2凹部が、前記第1凸部から第1方向の反対側に位置しない第2状態と、の間で切り替える切替ステップと、前記第1状態で、前記第1凹部の高さ分布を計測する第1計測ステップと、前記第2状態で、前記第2凹部の高さ分布を計測する第2計測ステップと、を含む。
【0097】
本発明の第8の側面に係る位置計測プログラムは、第1~第6の側面の何れかの位置計測装置としてコンピュータを機能させるための位置計測プログラムであって、前記回転制御部、および前記計測部としてコンピュータを機能させる。
【0098】
〔ソフトウェアによる実現例〕
位置計測装置100(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部151に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0099】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0100】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0101】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0102】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0103】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
100 位置計測装置
110 ステージ駆動部(回転駆動部)
120 撮像ユニット駆動部(センサ駆動部)
130 撮像ユニット
131 2D光学センサ
133 3Dセンサ(測距センサ)
133a 出射部
133b 入射部
164 計測部
167 駆動軸制御部
168 ステージ制御部(回転制御部)
OB 対象物
201 第1凸部
202 第2凸部
203 第3凸部
211 第1凹部
212 第2凹部