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特開2024-130270口腔洗浄装置用ノズルおよび口腔洗浄装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130270
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】口腔洗浄装置用ノズルおよび口腔洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/02 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61C17/02 B
A61C17/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039901
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】二之宮 侑樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 弘幹
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真一
(72)【発明者】
【氏名】篠田 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】藤井 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】国田 智裕
(57)【要約】
【課題】口腔内の洗浄効果をより向上させることが可能な口腔洗浄装置用ノズルおよび口腔洗浄装置を得る。
【解決手段】口腔洗浄装置用ノズル4は、流入口P1aと吐出口P1bとを有する流路P1が形成されたノズルハウジング40を備えている。そして、この口腔洗浄装置用ノズル4は、流入口P1aから流路P1内に導入されて圧力が1MPa以上4MPa以下となるようにした流体が、0.19N以上0.38N以下の吐出荷重で吐出口P1bから吐出されるように構成されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口と吐出口とを有する流路が形成されたノズルハウジングを備える口腔洗浄装置用ノズルであって、
前記流入口から前記流路内に導入されて圧力が1MPa以上4MPa以下となるようにした流体が、0.19N以上0.38N以下の吐出荷重で前記吐出口から吐出されるように構成されている、
口腔洗浄装置用ノズル。
【請求項2】
前記流路は、第1流路と、前記第1流路の下流側に連設されて前記第1流路よりも流路断面積が小さい第1縮小流路と、前記第1縮小流路の下流側に連設されて前記第1縮小流路よりも流路断面積が大きい拡大流路と、前記拡大流路の下流側に連設されて前記拡大流路よりも流路断面積が小さい第2縮小流路と、
を備える、
請求項1に記載の口腔洗浄装置用ノズル。
【請求項3】
前記ノズルハウジングは、内部に前記第1流路が形成される第1流路構成部と、内部に前記第1縮小流路が形成される第2流路構成部と、内部に前記拡大流路が形成される第3流路構成部と、を備えており、
前記第2流路構成部は、前記第1流路構成部および前記第3流路構成部のうち少なくともいずれか一方の流路構成部と一体に形成されている、
請求項2に記載の口腔洗浄装置用ノズル。
【請求項4】
前記第2流路構成部は、前記第1流路構成部および前記第3流路構成部のうち少なくともいずれか一方の流路構成部と同一の素材で形成されている、
請求項3に記載の口腔洗浄装置用ノズル。
【請求項5】
前記第2縮小流路は、下流側が幅広となるテーパ状をしており、テーパ角度が0度以上5度以下である、
請求項2に記載の口腔洗浄装置用ノズル。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の口腔洗浄装置用ノズルと、
前記口腔洗浄装置用ノズルが着脱可能に取り付けられる把持部と、
を備える、
口腔洗浄装置。
【請求項7】
液体が貯留される貯液タンクと、
前記貯液タンク内に貯留された液体を吸入して前記口腔洗浄装置用ノズルに送出するポンプと、
前記ポンプを駆動させるポンプ駆動機構と、
を備え、
前記ポンプは、一方向に往復直線運動するピストンを有し、
前記ポンプ駆動機構により前記ピストンを往復直線運動させることで、前記ポンプに液体が吸入される吸入工程と前記ポンプから液体が送出される送出工程とが交互に行われるようになっており、
前記吸入工程にかかる時間と前記送出工程にかかる時間とが異なるように前記ピストンを一往復させることが可能である、
請求項6に記載の口腔洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔洗浄装置用ノズルおよび口腔洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔洗浄装置用ノズルとしては、以下の特許文献1に開示されているように、流入口および流出口を含む流路が設けられた流路構成部を備えるものが知られている。この特許文献1では、流路構成部が、第1流路を含む第1構成部と、第1構成部の下流側に設けられ、第1流路よりも狭い第2流路を含む第2構成部と、を備えている。また、流路構成部は、第2構成部の下流側に設けられ、第2流路よりも広い第3流路を含む第3構成部と、第3構成部の下流側に設けられ、第4流路を含む第4構成部と、を備えている。
【0003】
そして、第4流路には、流路を狭める縮小部が形成されており、この縮小部の下流側が、縮小部側から流出口側に向かうにつれて広くなるように形成されている。こうすることで、洗浄液にキャビテーションが発生するようにし、口腔内の洗浄効果を高めることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-126283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、上記従来の技術でも、口腔内の洗浄効果を高めることが可能であるが、口腔内の洗浄効果をより高められるようにするのが好ましい。
【0006】
そこで、本開示は、口腔内の洗浄効果をより向上させることが可能な口腔洗浄装置用ノズルおよび口腔洗浄装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様にかかる口腔洗浄装置用ノズルは、流入口と吐出口とを有する流路が形成されたノズルハウジングを備えるものであって、前記流入口から前記流路内に導入されて圧力が1MPa以上4MPa以下となるようにした流体が、0.19N以上0.38N以下の吐出荷重で前記吐出口から吐出されるように構成されている。
【0008】
本開示の一態様にかかる口腔洗浄装置は、上述した口腔洗浄装置用ノズルと、前記口腔洗浄装置用ノズルが着脱可能に取り付けられる把持部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、口腔内の洗浄効果をより向上させることが可能な口腔洗浄装置用ノズルおよび口腔洗浄装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態にかかる口腔洗浄装置の一例を模式的に示す図である。
図2】実施の形態にかかる口腔洗浄装置のポンプおよびポンプ駆動機構を模式的に示す図である。
図3】実施の形態にかかる口腔洗浄装置のピストン付きのポンプ駆動機構を一方向から見た斜視図である。
図4】実施の形態にかかる口腔洗浄装置のピストン付きのポンプ駆動機構を他方向から見た斜視図である。
図5】実施の形態にかかる口腔洗浄装置のピストン付きのポンプ駆動機構を示す側面図である。
図6】実施の形態にかかる口腔洗浄装置のピストン付きのポンプ駆動機構を示す平面図である。
図7図6のA-A断面図である。
図8】送出工程にかかる時間を吸入工程にかかる時間よりも短くした場合におけるピストン変位量および液体の送出量を通常のポンプと比較した図である。
図9】アシスト機構を設けた場合におけるモータの電流値とアシスト機構を設けていない場合におけるモータの電流値を比較した図である。
図10】実施の形態にかかるノズルの一例を示す側面図である。
図11】実施の形態にかかるノズルの一例を示す図であって、流路軸に沿った面で切断した縦断面図である。
図12】実施の形態にかかるノズルの一例が備える第1縮小流路や拡大流路の配置関係を説明する図である。
図13】ノズルの内部の圧力を測定する方法の一例を模式的に示す図である。
図14】実施の形態にかかるノズルおよび比較例にかかるノズルのノズル内部の圧力と吐出水量の荷重との関係を示すグラフである。
図15】実施の形態にかかるノズルおよび比較例にかかるノズルの先端から汚れ面までの距離と汚れ除去量との関係を示すグラフである。
図16】実施の形態にかかるノズルおよび比較例にかかるノズルの吐出流量と汚れ除去量との関係を示すグラフである。
図17】実施の形態にかかるノズルの一例を示す図であって、流路軸に直交する面で切断した横断面図である。
図18】ノズルの製造方法の一例を示す図であって、第1成形部材と第2成形部材とを準備した状態を示す横断面図である。
図19】ノズルの製造方法の一例を示す図であって、第1成形部材と第2成形部材とを互いに重ね合わせた状態を示す横断面図である。
図20】ノズルの製造方法の一例を示す図であって、金型を用いて、互いに重ね合わせた第1成形部材と第2成形部材とで形成される流入空間に接合部材を形成した状態を示す横断面図である。
図21】実施の形態にかかるノズルの一例を示す図であって、第1縮小流路が存在する部位を流路軸に直交する面で切断した横断面図である。
図22】実施の形態にかかるノズルの第1変形例を示す図であって、流路軸に直交する面で切断した横断面図である。
図23】実施の形態にかかるノズルの第2変形例を示す図であって、流路軸に直交する面で切断した横断面図である。
図24】ノズルの製造方法の一例により製造することが可能なノズルの一例を模式的に示した図である。
図25】ノズルの製造方法の一例により製造することが可能なノズルの外観形状や流路形状の一例を模式的に示した図である。
図26】ノズルの製造方法の一例により製造することが可能なノズルの外観形状や流路形状の他の例を模式的に示した図である。
図27】ノズルの製造方法の一例により製造することが可能なノズルの外観や流路の断面形状の一例を模式的に示した図である。
図28】ノズルの製造方法の一例により製造することが可能なノズルの外観や流路の断面形状の他の例を模式的に示した図である。
図29】実施の形態の第1変形例にかかる口腔洗浄装置を一方向から見た斜視図である。
図30】実施の形態の第1変形例にかかる口腔洗浄装置を他方向から見た斜視図である。
図31】実施の形態の第1変形例にかかる把持部およびノズルを示す斜視図である。
図32】実施の形態の第2変形例にかかる口腔洗浄装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。たとえば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0012】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
また、以下の実施の形態では、ノズルの先端部を上側にしつつステム部の延在方向を上下方向に一致させた状態で、口腔洗浄装置の上下方向を規定して説明する。また、吐出部から液体が吐出される方向を前側と規定して説明する。
【0014】
(実施の形態)
以下では、実施の形態にかかる口腔洗浄装置用ノズルおよび口腔洗浄装置について説明する。
【0015】
本実施の形態にかかる口腔洗浄装置100は、図1に示すように、貯液タンク(貯液部)2と、装置本体3と、ノズル4と、を備えている。
【0016】
貯液タンク2は、上方に開口して下端側が閉塞された有底の筒状に形成されており、この貯液タンク2の内部には、液体を貯留することが可能な貯留部2aが形成されている。なお、貯留部2aに貯留される液体としては、水を用いることができるが、水に限られるものではなく様々な液体を用いることができる。例えば、洗浄剤が水に混入された洗浄液などを用いることが可能である。
【0017】
さらに、本実施の形態では、貯液タンク2が装置本体3に着脱可能に装着されており、装置本体3から分離させた状態で貯液タンク2を洗浄することができるようになっている。こうすることで、貯液タンク2をより清潔に保つことができるようにしている。このような貯液タンク2は、例えば、食洗機で洗浄できるようにポリプロピレン樹脂などで形成することができる。
【0018】
本実施の形態では、貯液タンク2は、上下に開口した略筒状の筒状体21と、筒状体21の下側開口を閉塞する底壁22と、を備えている。なお、貯液タンク2の側部(筒状体21)には、貯留部2a内に液体を注入することが可能な給液孔(図示せず)が形成されており、この給液孔が給液蓋211によって閉塞されるようにしている。こうすることで、貯液タンク2を装置本体3に装着した状態で、貯液タンク2内の貯留部2aに液体を供給することができるようにしている。
【0019】
一方、装置本体3は、外郭を構成するハウジング(ケース)31を備えている。このハウジング31は、上下方向に細長い略筒状をしており、このハウジング31の筒内には、後述するポンプ33等の主要な構成要素が収容されている。また、ハウジング31は、長手方向の略中央部がくびれており、口腔洗浄装置100の使用時に使用者が手で握りやすい形状をしている。したがって、本実施の形態では、ハウジング31の長手方向の略中央部のくびれた部分が、使用者等が手で把持することが可能なグリップ部(把持部)10となっている。
【0020】
本実施の形態では、ハウジング31は、天壁311と、天壁311の外周縁から下方に延設される略筒状の周壁312と、周壁312の下端に連設される底壁313と、を備えている。
【0021】
天壁311にはノズル装着部3111が形成されており、このノズル装着部3111に、中空の長尺状に形成されて、液体を先端から吐出(噴出)させることが可能なノズル4が着脱可能に装着されている。
【0022】
また、周壁312には、ノズル4をハウジング31(装置本体3)から取り外すことができるボタン(図示せず)や、口腔洗浄装置100を起動、或いは停止させる(電源のオン・オフを切り替える)電源スイッチ(図示せず)が設けられている。
【0023】
さらに、本実施の形態では、周壁312の下部には、内側に窪んだ凹部3121が形成されており、この凹部3121に貯液タンク2が着脱可能に装着されるようになっている。
【0024】
そして、凹部3121に貯液タンク2を装着した状態で、貯液タンク2の底壁22の底面221とハウジング31の底壁313の底面3131とが略面一の平坦面となるようにしている。こうすることで、口腔洗浄装置100の非使用時に、ノズル4を上にした姿勢で口腔洗浄装置100を静置できるようにしている。
【0025】
また、ハウジング31(装置本体3)の内部には、貯液タンク2内に貯留された液体をノズル4に供給するための液体流路32が形成されている。
【0026】
液体流路32は、本実施の形態では、液体流路32の上流側に配置される吸入路321と、液体流路32の下流側に配置される送出路322と、を備えており、この吸入路321と送出路322とがポンプ33を介して接続されている。このように、本実施の形態では、液体流路32の途中にポンプ33が配置されている。このようなポンプ33としては、例えば、ピストンポンプ式のポンプを用いることが可能である。ただし、ポンプの方式については、特に限定されるものではなく、様々なタイプのポンプを用いることが可能である。
【0027】
ここで、本実施の形態では、吸入路321は、パイプ等の中空の管3211により画成されており、この管3211は、周壁312を貫通して先端(上流端)が凹部3121に臨むように形成されている。そして、凹部3121に臨む管3211の先端(上流端)には、可撓性を有するチューブ5Aが取り付けられており、このチューブ5Aを介して貯液タンク2内に貯留された液体が液体流路32内に供給されるようにしている。このように、可撓性を有するチューブ5Aを用いることで、貯液タンク2の装置本体3への着脱をスムーズに行えるようにしている。
【0028】
また、送出路322も、パイプ等の中空の管3221により画成されており、この管3221は、天壁311を貫通して上方に開口するように形成されており、管3221の先端(下流端)がノズル4に連通するようになっている。
【0029】
このように、本実施の形態では、液体流路32は、一端がノズル装着部3111の内側空間に連通するとともに、他端が凹部3121に臨むようにした状態でハウジング31内(装置本体3内)に設けられている。そして、凹部3121に臨む他端にチューブ5Aが取り付けられている。こうすることで、チューブ5Aを介して導入された貯液タンク2内の液体が、液体流路32を通過してノズル4に供給されるようにしている。
【0030】
なお、本実施の形態では、チューブ5Aは、管3211の先端(上流端)に一体的に取り付けられており、貯液タンク2を装置本体3に装着した状態で、貯液タンク2の貯留部2a内に配置されるようになっている。そして、貯留部2aに貯留された液体が、このチューブ5Aを介してハウジング31内(装置本体3内)に導入されるようになっている。
【0031】
また、図2に示すように、ハウジング31(装置本体3)の内部には、ポンプ駆動機構34が配置されている。そして、このポンプ駆動機構34によりポンプ33を作動させることで、貯留部2a内の液体をチューブ5Aで吸い上げて、液体流路32を通過させてノズル4の先端から吐出(噴出)させるようにしている。
【0032】
このように、本実施の形態にかかる口腔洗浄装置100は、ポンプ33とポンプ33を駆動させるポンプ駆動機構34とを備え、ポンプ33を駆動することで液体が吐出される装置となっている。
【0033】
また、本実施の形態では、ポンプ33は、吸入路321および送出路322が連通するポンプ室333と、ポンプ室333の下端に連通するように形成されるシリンダ332と、シリンダ332内に配置されるピストン331と、を備えている。
【0034】
なお、ポンプ室333と吸入路321との間には、吸入弁(図示せず)が設けられており、ポンプ室333と送出路322との間には、吐出弁(図示せず)が設けられている。
【0035】
ピストン331は、ポンプ駆動機構34に連結されており、ポンプ駆動機構34によって、シリンダ332内で上下方向(一方向)に往復直線運動するようになっている。そして、シリンダ332内でピストン331が上下方向に往復直線運動することで、ポンプ室333の容積が変化するようになっている。
【0036】
具体的には、ピストン331がシリンダ332内で下方に移動すると、ポンプ室333の容積が大きくなり、貯液タンク2内の液体がチューブ5Aと吸入路321とを介してポンプ室333に流入されることになる。その後、ポンプ室333内に液体が流入された状態で、ピストン331がシリンダ332内で上方に移動すると、ポンプ室333の容積が小さくなり、ポンプ室333内の液体が送出路322を介してノズル4に供給されることになる。そして、ノズル4に供給された液体がノズル4の先端から外部に吐出(噴出)されることになる。
【0037】
このように、本実施の形態では、ピストン331がシリンダ332内で下方に移動することで、液体をポンプ室333内に吸入する吸入工程が行われ、上方に移動することで、ポンプ室333から液体を外部(ノズル4)に送出させる送出工程が行われるようになっている。すなわち、ピストン331が上死点と下死点との間で往復直線運動することで、吸入工程と送出工程とが交互に行われるようになっている。したがって、ピストン331が上死点から上下方向に一往復した際には吸入工程と送出工程が一回ずつ行われることになる。
【0038】
このような構成とすることで、装置本体3に装着されたノズル4の先端から液体が間欠的に吐出されるようにしている。
【0039】
そして、本実施の形態では、ポンプ駆動機構34は、図2図7に示すように、モータ341を備えており、このモータ341を駆動させることで、ピストン331がシリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようにしている。
【0040】
具体的には、ポンプ駆動機構34は、モータ341と、モータ341の回転運動を往復直線運動に変換する変換機構344と、を有している。そして、この変換機構344にピストン331が連設されており、ピストン331がシリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようにしている。なお、モータ341は、装置本体3の内部に収納された電池(充電池や乾電池等)からの電力や外部電力等の供給によって駆動されるようになっている。
【0041】
さらに、本実施の形態では、ポンプ駆動機構34は、モータ341の回転速度を減速させる減速機構342と、減速機構342により減速させた回転運動を変換機構344に伝達する伝達機構343と、を備えている。したがって、本実施の形態では、減速機構342によってモータ341の回転速度(回転数)を所定の回転速度(回転数)となるように減速させた状態で、変換機構344によって往復直線運動に変換させている。
【0042】
このとき、減速機構342による減速の割合等を調整すれば、ピストン331が一往復する際にかかる時間(一回の吸入工程および一回の送出工程が行われる時間)が所望の時間となるように設定することができる。なお、口腔洗浄装置100の使い勝手等を考慮すると、ピストン脈動数(ピストン331の往復回数/分)は、500rpm~3000rpmとするのが好ましい。したがって、ピストン331が一往復する際にかかる時間(一回の吸入工程および一回の送出工程が行われる時間)、すなわち、ポンプ33の1サイクルに要する時間は、0.02秒~0.12秒とするのが好ましい。
【0043】
本実施の形態では、図3図7に示すように、減速機構342は、モータ341のモータ軸3411に取り付けられ、モータ軸3411の回転に連動して回転するピニオンギア3421と、ピニオンギア3421と噛合する減速ギア3422と、を備えている。さらに、減速機構342は、減速ギア3422を支持し、減速ギア3422の回転に連動して回転する第1の出力軸3423を備えている。そして、ピニオンギア3421と減速ギア3422のギア比を所定の値に設定することで、モータ341の回転速度(回転数)が所定の回転速度(回転数)となるように減速させている。
【0044】
そして、第1の出力軸3423に伝達機構343が接続されている。具体的には、伝達機構343は、第1の出力軸3423に取り付けられて、第1の出力軸3423の回転に連動して回転する第1の伝達ギア3431を備えている。また、伝達機構343は、第1の伝達ギア3431と噛合する第2の伝達ギア3432を備えている。さらに、伝達機構343は、第2の伝達ギア3432を支持し、第2の伝達ギア3432の回転に連動して回転する第2の出力軸3433を備えている。そして、第2の出力軸3433を介して、減速機構342により減速されたモータ341の回転を変換機構344に伝達されるようにしている。
【0045】
この変換機構344は、第2の出力軸3433に取り付けられて、第2の出力軸3433の回転に連動して回転する第1のギア3441を備えている。また、変換機構344は、第1のギア3441と噛合する第2のギア3442を備えている。さらに、変換機構344は、第2のギア3442を支持し、第2のギア3442の回転に連動して回転する第3の出力軸3443を備えている。
【0046】
また、変換機構344は、第3の出力軸3443に取り付けられて、第3の出力軸3443の回転に連動して回転するカム3444と、カム3444により上下方向に往復直線運動するロッド3446と、を備えている。カム3444は、モータ341の回転を軸方向の操作力に変換する部材であり、本実施の形態では、ネジ3445により第2のギア3442に固定されている。そして、このカム3444で変換された軸方向の操作力によって、ロッド3446が装置本体3の上下方向に沿って往復直線運動するようにしている。なお、図2に示すように、ロッド3446を第2のギア3442に直接(カムを介さずに)取り付ける構成とすることも可能である。
【0047】
そして、このロッド3446の先端(上端)にピストン331が連結軸34461によって取り付けられている。こうすることで、ピストン331がシリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようにしている。
【0048】
ここで、本実施の形態では、ポンプ駆動機構34が、ピストン331の移動を補助するアシスト機構346を備えるようにしている。
【0049】
このアシスト機構346は、ばね受け3461と、ばね受け3461の両端に固定された一対の軸3463と、一対の軸3463に軸方向に沿ってスライド可能に取り付けられたスライダ3464と、を備えている。このとき、一対の軸3463には一対のコイルばね(付勢部材)3462がそれぞれ取り付けられており、スライダ3464は、この一対のコイルばね(付勢部材)3462によって上方に付勢されている。このように、本実施の形態では、アシスト機構346が、ピストン331を上方(一方向)に付勢するコイルばね(付勢部材)3462を備えている。
【0050】
そして、スライダ3464の押圧部34641をシリンダ332の下端に当接させて、一対のコイルばね(付勢部材)3462の弾性復元力によってシリンダ332が上方に付勢されるようにしている。なお、付勢部材は、弾性変形することが可能な部材であればよく、コイルばね等のばねだけでなく、ゴム等の部材を用いることも可能である。
【0051】
なお、ポンプ駆動機構34は、上述した構成に限られるものではなく、様々な構成とすることが可能である。例えば、減速ギア3422と第1の伝達ギア3431とを一体化させることも可能であるし、第2の伝達ギア3432と第1のギア3441とを一体化させることも可能である。また、第2のギア3442とカム3444とを一体化させることも可能である。
【0052】
また、ピストン331の移動を補助するアシスト機構346を備えていないポンプ駆動機構34とすることも可能である。
【0053】
ここで、本実施の形態では、より効率的に口腔内の洗浄を行うことができるようにしている。
【0054】
具体的には、ポンプ駆動機構34が送出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせる変速機構345を備えるようにしている。そして、送出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも短くなるようにピストン331を一往復させるようにしている。
【0055】
本実施の形態では、非円形ギアを用いた変速機構345とすることで、送出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせるようにしている。すなわち、本実施の形態では、変速機構345が非円形ギアを有するようにしている。具体的には、互いに噛合する第1のギア3441および第2のギア3442を非円形ギアとしている。この非円形ギアは、金属材料で形成することも可能であるし、樹脂材料を用いて形成することも可能である。
【0056】
さらに、本実施の形態では、非円形ギアとして楕円ギアを用いており、変速機構345が非円形ギアとしての楕円ギアを有するようにしている。具体的には、互いに噛合する第1のギア3441を楕円ギア3451とし、第2のギア3442を楕円ギア3452としている。
【0057】
そして、楕円ギア3451,3452の扁平率、出力軸(第2の出力軸3433や第3の出力軸3443)が取り付けられる位置、楕円ギア3451と楕円ギア3452のギア比等を適宜設定することで、送出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比が、1:X(X>1)となるようにしている。このとき、口腔内の洗浄効果等を考慮すると、送り比範囲を1.5~5.0とするのが好ましい。すなわち、送出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比を1:Xとすると、1.5以上5.0以下となるようにXの値を設定するのが好ましい。
【0058】
このように、本実施の形態では、ポンプ駆動機構34が、送出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせる変速機構345を備えている。そして、変速機構345が非円形ギア(第1のギア3441および第2のギア3442)を有している。なお、変速機構345が非円形ギアを1つのみ有するようにしてもよいし、3つ以上有するようにしてもよい。
【0059】
さらに、本実施の形態では、変速機構345が非円形ギアとしての楕円ギア3451,3452を有しており、変速機構345が2個の楕円ギア3451,3452で構成されている。なお、楕円ギアを1つのみ有するようにしてもよいし、3つ以上有するようにしてもよい。
【0060】
また、非円形ギアは、楕円ギアに限られるものではなく、非円形の様々なギアを用いることができる。例えば、頂点部分を丸めた多角形状のギアとすることも可能であるし、凹状に湾曲した部位を有する形状のギアとすることも可能である。
【0061】
また、本実施の形態では、一対の楕円ギアを用いて送出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比を変えているだけなので、ポンプ33の1サイクルに要する時間は、通常のポンプ33の場合(円形のギアを用いた場合)と同一となっている。
【0062】
このような構成をしたポンプ駆動機構34によりポンプ33を駆動させると、送出工程時のピストン331の移動速さ(移動速度の絶対値)を速くして、吸入工程時のピストン331の移動速さ(移動速度の絶対値)を遅くすることができるようになる。すなわち、送出工程にかかる時間を吸入工程にかかる時間よりも短くすることができるようになる。
【0063】
その結果、図8に示すように、送出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比が1:1となる通常のポンプよりも最大送出量Dを大きくすることができるようになる。ここで、本実施の形態では、送出工程の瞬間における送出量の最大値を最大送出量Dとしている。すなわち、送出工程にかかる時間を限りなくゼロに近い所定の微小時間で均等に分割し、各区間で送出される送出流量のうちの最大の送出流量を最大送出量Dとしている。したがって、送出工程が行われる際の各瞬間における送出量が図8に示すようなグラフを描く場合、そのグラフの最も上方に位置する点の送出量の値が最大送出量Dとなる。
【0064】
なお、本実施の形態では、送出工程における液体の総送出量は、どちらも同一の量になっている。このとき、口腔内の洗浄効率や口腔洗浄装置100の使い勝手等を考慮すると、装置の送出工程における液体の総送出量は、50ml/min~450ml/minとするのが好ましい。
【0065】
このように、本実施の形態にかかるポンプ駆動機構34を搭載した口腔洗浄装置100を用いると、洗浄に使われない無駄な液体の吐出を極力少なくし、より効率的に口腔内の洗浄を行うことができるようになる。また、ピストン331の1往復時に送出される液体の総送出量が同じ場合であっても、最大送出量Dを大きくすることができる。そのため、口腔洗浄装置100から吐出される液体の吐出圧が高くなり、口腔内をより効率的に洗浄することが可能となる。
【0066】
ここで、本実施の形態では、上述したように、送出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも短くなっている。そのため、本実施の形態にかかるアシスト機構346は、送出工程および吸入工程のうち、ピストンを一往復させた際にかかる時間が短い方の工程である送出工程が行われるときにピストン331の移動を補助するようになっている。
【0067】
こうすれば、ピストン331の移動速さが大きくなってモータ341の負荷が大きくなる送出工程が行われるときに、ピストン331の移動が補助されるため、モータ341の負荷を低減させることができるようになる。ただし、アシスト機構346を用いると、時間が短い方の工程でのモータ341の負荷は減少するが、時間が長い方の工程でのモータ341の負荷が増加してしまう。
【0068】
そこで、このようなアシスト機構346を用いる場合、アシスト機構346によるピストン331の移動を補助するタイミングや、アシスト機構346により補助する力を適宜設定するのが好ましい。こうすれば、図9に示すように、アシスト機構346を用いた場合(図9の実線)のほうが、アシスト機構346を用いない場合(図9の破線)よりも、モータ341の電流値(モータ341にかかる負荷)を小さくする(負荷を低減させる)ことができるようになる。なお、アシスト比率は、10~60の範囲で設定するのが好ましい。すなわち、アシスト機構346により補助する力は、モータ出力の10%~60%とするのが好ましい。
【0069】
なお、送出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比が1:1となるピストンポンプ式のポンプを用いることも可能である。
【0070】
また、ノズル4は、流入口P1aと吐出口P1bとを有する流路P1が形成されたノズルハウジング40を備えている。このノズルハウジング40は、下端に流入口P1aが形成されて、グリップ部10に着脱可能に装着される接続部41と、接続部41の上端に連設されて、先端(上端)に吐出口P1bが形成されたハウジング本体42と、を備えている。なお、本実施の形態では、ノズルハウジング40は、長手軸(流路P1の流路軸C1)に直交する平面で切断した際の断面形状がほぼ円形となるように形成されている。
【0071】
ハウジング本体42は、接続部41をノズル装着部3111に挿入して嵌合させた状態で、グリップ部10(ハウジング31)から露出する部分で、このハウジング本体42は、上下方向に細長いステム部421を備えている。また、ハウジング本体42は、ステム部421の上端に連設されて、ステム部421の延在方向(上下方向)と交差する方向に湾曲した湾曲部422と、湾曲部422の先端に連設された先端部423と、を備えている。このように、本実施の形態では、ノズルハウジング40(ノズル4)は、先端が屈曲した形状をしている。
【0072】
本実施の形態では、このような形状をしたノズル4をグリップ部10(ハウジング31)に装着し、屈曲した先端部423を口腔内に挿入してポンプ33を駆動させることで、貯液タンク2内の流体が液体流路32を介して流路P1に供給されるようにしている。そして、流路P1に供給された流体が、流路P1内を通って、先端部423の先端に形成された吐出口P1bから外部に吐出(噴出)されるようにしている。このように、吐出口P1bから流体を外部に吐出(噴出)させて、例えば、口腔内の歯や歯茎に当てるようにすることで、口腔内の洗浄が行えるようにしている。
【0073】
なお、口腔内に吐出(噴射)される流体としては、水を用いることができるが、水に限られるものではなく様々な液体等を用いることができる。例えば、洗浄剤が水に混入された洗浄液などを用いることが可能である。
【0074】
また、本実施の形態にかかる口腔洗浄装置100では、上述したように、流体を連続して吐出口P1bから吐出させる構成とはせずに、流体が間欠的に吐出口P1bから吐出されるような構成としている。このときの脈動数は、例えば、8.3Hz~50Hz、より好ましくは、10Hz~30Hzとすることができる。
【0075】
ここで、本実施の形態では、口腔内の洗浄効果をより向上させることができるようにしている。具体的には、流入口P1aから流路P1内に導入されて圧力が1MPa以上4MPa以下となるようにした流体(水などの液体や空気などの気体)が、0.19N以上0.38N以下の吐出荷重で吐出口P1bから吐出されるようにノズル4を構成している。
【0076】
すなわち、図14に示すように、従来のノズルを用いた場合と比べて、流路P1内に導入される圧力は大きくなるが、吐出口P1bから吐出される流体の吐出荷重は小さくなるようにしている。この図14は、本実施の形態にかかるノズル4および比較例にかかるノズル(従来のノズル)のノズル内部の圧力と吐出水量の荷重との関係を示すグラフである。また、従来のノズルとしては、上述した先行技術文献に開示のノズルを用いている。
【0077】
この図14では、一点鎖線の四角で示した領域が従来のノズルを用いた場合のノズル内部の圧力と吐出水量の荷重の範囲になっており、実線の四角で示した領域が本実施の形態にかかるノズル4を用いた場合のノズル内部の圧力と吐出水量の荷重の範囲になっている。
【0078】
そして、この図14から、本実施の形態にかかるノズル4を用いた場合の方が、従来のノズルを用いた場合よりも、流路P1内に導入される圧力は大きくなり、吐出口P1bから吐出される流体の吐出荷重は小さくなることが理解される。また、実線および破線のグラフより、ノズル内部の圧力を同じ大きさとした場合には、本実施の形態にかかるノズル4を用いた場合の方が、従来のノズルを用いた場合よりも、吐出口P1bから吐出される流体の吐出荷重は小さくなることが理解される。
【0079】
本実施の形態では、ノズル内部の圧力は、図13に示すように、流路P1の上流側に圧力計4A1を接続治具4A2により固定し、この圧力計4A1により流体の圧力を計測することで得ている。このとき、圧力計4A1により計測された圧力の最大値をノズル内部の圧力としている。一方、吐出口P1bから吐出される流体の吐出荷重は、ノズル先端から1mm~1cm離した位置にロードセルを設置し、このロードセルの面に流体を当てることで計測している。そして、このときに計測された最大の荷重を、吐出口P1bから吐出される流体の吐出荷重としている。
【0080】
そして、ノズル4と従来のノズルを用いた場合のそれぞれで、どれくらいの量の汚れを除去することができるのかを実験により求めた。具体的には、ノズルの先端から汚れ面までの距離を変えて、ノズル4と従来のノズルを用いた場合のそれぞれにおける汚れの除去量を求めた。なお、本実施の形態では、代用汚れ(口腔内の汚れを模したもの)を付着させた板にノズルから吐出させた流体を5秒間当てた状態を撮影し、撮影した画像を二値化処理により数値化し、この数値化した画像から得られた数値を汚れ除去量としている。
【0081】
図15には、それぞれのノズルを用い、ノズルの先端から汚れ面までの距離を1mm、5mm、10mm、15mmとした際の汚れ除去量の計算結果を示している。この図15では、黒い四角をつないだ折れ線が、従来のノズルを用いた場合におけるノズルの先端から汚れ面までの距離と汚れ除去量との関係を示すグラフとなっている。そして、黒い丸をつないだ折れ線がノズル4を用いた場合におけるノズルの先端から汚れ面までの距離と汚れ除去量との関係を示すグラフとなっている。
【0082】
この図15のグラフから、ノズルの先端から汚れ面までの距離に関わらず、本実施の形態にかかるノズル4を用いた場合の方が、従来のノズルを用いた場合よりも汚れ除去量が多くなることが理解される。
【0083】
また、本実施の形態にかかるノズル4を用いた場合、1分間に吐出される流体の流量は、約70mL~150mLとなる。一方、従来のノズルを用いた場合、1分間に吐出される流体の流量は、約150mL~250mLとなる。
【0084】
したがって、1分間に吐出される流体の流量と汚れ除去量との関係を示すと、図16に示すような図となる。図16では、一点鎖線の四角で示した領域が従来のノズルを用いた場合の流量と汚れ除去量の範囲となっており、実線の四角で示した領域が本実施の形態にかかるノズル4を用いた場合の流量と汚れ除去量の範囲になっている。
【0085】
そして、この図16から、本実施の形態にかかるノズル4を用いた場合の方が、従来のノズルを用いた場合よりも、少ない流量で多くの汚れを除去できることが理解される。
【0086】
このように、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ノズル内部の流体の圧力を1MPa以上4MPa以下となるようにしつつ、0.19N以上0.38N以下の吐出荷重で吐出されるようにすれば、少ない流量で多くの汚れを除去できることを見出した。
【0087】
そして、このような知見から、内部で1MPa以上4MPa以下となった流体の圧力を損失させる構成をノズル4に設けるようにし、優しい水流かつ少ない水量で流体を吐出させるようにすることで、口腔内の洗浄効果をより向上させることができるようにした。
【0088】
具体的には、図11および図12に示すように、流路P1が、接続流路P11に連設されて、接続流路P11から流体が導入される導入流路(第1流路)P12を備えるようにしている。また、流路P1が、導入流路(第1流路)P12の下流側に連設されて導入流路(第1流路)P12よりも流路断面積が小さい縮小流路としての第1縮小流路(第1縮径流路:オリフィス部)P13を備えるようにしている。さらに、流路P1が、第1縮小流路P13の下流側に連設されて第1縮小流路P13よりも流路断面積が大きい拡大流路(拡径流路:圧縮室)P14と、拡大流路P14の下流側に連設されて拡大流路P14よりも流路断面積が小さい縮小流路としての第2縮小流路(第2縮径流路:吐出流路)P15と、を備えるようにしている。ここで、本実施の形態では、流路軸C1に直交する平面で各部位を切断した際に形成される流路断面の面積のことを、それぞれ、導入流路(第1流路)P12の流路断面積、第1縮小流路P13の流路断面積、拡大流路P14の流路断面積、第2縮小流路P15の流路断面積としている。
【0089】
なお、本実施の形態では、第1縮小流路P13は、流路P1の途中に設けられて液体を噴流させることが可能な小さな穴となっており、この第1縮小流路P13を通過する前の液体と通過した後の液体との間に圧力差を生じさせるオリフィス部としての機能を有する部位となっている。また、拡大流路P14は、内部に供給された流体(液体や気体)を圧縮させる圧縮室としての機能を有する部位となっている。そして、第2縮小流路P15は、吐出口P1bに連通されており、液体を吐出口P1bから吐出させる吐出流路としての機能を有する部位となっている。このように、本実施の形態では、縮小流路(オリフィス部)が、流路P1の導入流路(第1流路)P12の下流側に連設されて導入流路(第1流路)P12よりも流路断面積が小さい第1縮小流路P13と、第1縮小流路P13よりも下流側に位置する第2縮小流路P15と、を備えている。そして、第1縮小流路P13と第2縮小流路P15とが、第1縮小流路P13および第2縮小流路P15よりも流路断面積が大きい拡大流路P14を介して連設されている。
【0090】
そして、このような構成とすることで、より効率よくノズル4の内部の圧力を損失させて、流体(水などの液体や空気などの気体)を、より確実に0.19N以上0.38N以下の吐出荷重で吐出口P1bから吐出させることができるようにしている。
【0091】
また、流路P1の途中に第1縮小流路P13を設けることで、流路P1内に引き込まれた気体(例えば、空気等)を、第1縮小流路P13から拡大流路P14に導入する際に拡散させることができるようにしている。こうすることで、液体と気体とをより効率よく加圧溶解させたり混合させたりすることができるようにし、液滴や微細気泡(数百μm程度の気泡)、キャビテーション気泡の生成を増加させることができるようにしている。
【0092】
このように、液滴や微細気泡、キャビテーション気泡の生成を増加させるようにすれば、吐出口P1bから吐出させた流体を歯面などの洗浄面に当てた際に生じる剪断力や圧力変動、振動などを増加させることが可能になる。すなわち、歯面などに付着した汚れをはがす力をより大きくすることが可能になる。その結果、洗浄力が増加して口腔内の洗浄効果をより向上させることが可能になる。
【0093】
本実施の形態では、接続流路P11は、接続部41の内壁面411によって画成された流路であり、この接続流路P11の上流端が流入口P1aになっている。
【0094】
また、本実施の形態では、ハウジング本体42は、接続部41の上流側に連設されて、内部に導入流路(第1流路)P12が形成された第1流路構成部424を備えている。また、ハウジング本体42は、第1流路構成部424の上流側に連設されて、内部に第1縮小流路P13が形成される第2流路構成部425を備えている。さらに、ハウジング本体42は、第2流路構成部425の上流側に連設されて、内部に拡大流路P14が形成される第3流路構成部426を備えている。そして、ハウジング本体42は、第3流路構成部426の上流側に連設されて、内部に第2縮小流路P15が形成される第4流路構成部427を備えている。
【0095】
ここで、導入流路(第1流路)P12は、第1流路構成部424の第1内壁面4241によって画成された流路であり、第1内壁面4241の上流側の端部が接続部41の内壁面411の下流側の端部に連設されている。さらに、本実施の形態では、第1内壁面4241の途中には、下流に向かうにつれて内側に傾斜する上流側傾斜面42411が形成されており、導入流路(第1流路)P12は、上流側よりも下流側の方が、流路断面積が小さくなるように形成されている。すなわち、導入流路(第1流路)P12は、上流側の大径流路と、下流側の小径流路と、大径流路と小径流路を接続する縮径流路と、を有する形状をしている。なお、本実施の形態では、流路P1は、流路軸C1に直交する平面で切断した際の断面形状がほぼ円形となるように形成されており、導入流路(第1流路)P12の小径流路の径d1は、約2.9mmとなっている。
【0096】
また、第1縮小流路P13は、第2流路構成部425の第2内壁面4251によって画成された流路であり、第2内壁面4251の上流側の端部が第1内壁面4241の下流側の端部に連設されている。本実施の形態では、第1内壁面4241の下流側の端部が、下流に向かうにつれて内側に傾斜する下流側傾斜面42412となっている。こうすることで、流路断面積を徐々に小さくさせながら(徐々に縮径させながら)導入流路(第1流路)P12が第1縮小流路P13に連通されるようにしている。なお、下流側傾斜面42412の替わりに湾曲面とすることも可能である。このとき、下流側傾斜面42412や湾曲面は、滑らかに連続した状態で第2内壁面4251の上流側の端部に連設されるようにするのが好ましい。
【0097】
また、本実施の形態では、第1縮小流路P13は、上流側から下流側までほぼ同じ流路断面積(ほぼ同径)となるように形成されている。本実施の形態では、この第1縮小流路P13の径d2は、約1.0mmとなっている。なお、第1縮小流路P13と導入流路(第1流路)P12の小径流路との開口面積比は、1:1.5~3となるようにするのが好ましい。
【0098】
また、ノズルハウジング40の流路軸C1に沿った全体の長さLは、約90mm~約120mmとするのが好ましい。そして、本実施の形態では、全体の長さLを約90mm~約120mmの範囲とした状態で、第2流路構成部425の流路軸C1に沿った長さL2を約3.0mmとしている。
【0099】
拡大流路P14は、第3流路構成部426の第3内壁面4261によって画成された流路であり、第3内壁面4261の上流側の端部が第2内壁面4251の下流側の端部に連設されている。本実施の形態では、第3内壁面4261の上流側の端部が、流路軸C1の垂直な上流側垂直面42611となっている。本実施の形態では、この拡大流路P14の径d3は、約2.9mmとなっている。また、全体の長さLを約90mm~約120mmの範囲とした状態で、第3流路構成部426の流路軸C1に沿った長さL3を約7.5mmとしている。
【0100】
第2縮小流路P15は、第4流路構成部427の第4内壁面4271によって画成された流路であり、第2縮小流路P15の下流端が吐出口P1bとなっている。そして、第4内壁面4271の上流側の端部が第3内壁面4261の下流側の端部に連設されている。本実施の形態では、第3内壁面4261の下流側の端部が、流路軸C1の垂直な下流側垂直面42612となっている。本実施の形態では、この第2縮小流路P15の上流側の端部の径d4は、約0.38mmとなっている。なお、第2縮小流路P15の上流側の端部の開口面積は、約0.03mm~約0.196mmの範囲となるようにするのが好ましい。そして、導入流路(第1流路)P12の小径流路の径d1と第2縮小流路P15の上流側の端部の径d4との比を約0.05~約0.25となるようにするのが好ましい。さらに、第2縮小流路P15の上流側の端部と導入流路(第1流路)P12の小径流路との開口面積比が、1:1~15となるようにするのが好ましい。こうすれば、ノズル4の内部の圧力を損失させて、流体(水などの液体や空気などの気体)を、0.19N以上0.38N以下の吐出荷重で吐出口P1bから吐出させることができるようになる。
【0101】
また、本実施の形態では、全体の長さLを約90mm~約120mmの範囲とした状態で、第4流路構成部427の流路軸C1に沿った長さL4を約8.5mmとしている。
【0102】
ここで、本実施の形態では、接続流路P11、導入流路(第1流路)P12および第1縮小流路P13が一直線上に並ぶように形成されている。すなわち、流路P1は、接続流路P11の上流端から第1縮小流路P13の下流端までの部位においては、一直線上に形成されている。このように、本実施の形態では、ステム部421に導入流路(第1流路)P12および第1縮小流路P13が形成されるようにしている。
【0103】
また、本実施の形態では、拡大流路P14は、上流側から下流側にかけて湾曲するように形成されており、湾曲部422に、この拡大流路P14が形成されるようにしている。
【0104】
そして、第2縮小流路P15は、導入流路(第1流路)P12および第1縮小流路P13が延在する方向と交差する直線に沿うように形成されており、先端部423に、この第2縮小流路P15が形成されるようにしている。
【0105】
さらに、本実施の形態では、第2縮小流路P15の形状を、下流側が幅広となるテーパ状となるようにしている。こうすることで、拡大流路P14で圧縮されて第2縮小流路P15に導入された流体を、第2縮小流路P15を画成する壁面(第4内壁面4271)に沿わせながら吐出口P1bから吐出させることができるようにしている。すなわち、流体がテーパ部分に沿って流れるようにし、第2縮小流路P15内に、より広がりのある流れが形成されるようにしている。具体的には、コアンダー効果が起こることで、流体が壁面に沿うような動きをするように振動し、吐出時の流速を維持しつつ洗浄面積が広くなるようにしている。
【0106】
また、流体を第4内壁面4271から剥離させないようにすれば、微細気泡の生成量をより増大させることができるようになる。
【0107】
ただし、第2縮小流路P15のテーパ角度θが大きくなりすぎると、第2縮小流路P15を画成する壁面(第4内壁面4271)に沿わせながら吐出口P1bから吐出させることができなくなってしまう。このような場合、吐出口P1bの中心部分だけから吐出されてしまい、芯のある流体が歯面などの洗浄面に当たってしまうことになる。こうすると、狭い範囲にしか当てられずに洗浄効率が低下してしまったり、面圧が高くなって使用時の官能評価が低くなってしまったりする。
【0108】
そのため、適切なノズルテーパ角を設定することで、テーパに水が沿い、洗浄を維持し、洗浄面積を広くすることができるようにするのが好ましい。
【0109】
そこで、本実施の形態では、第2縮小流路P15のテーパ角度θが0度以上5度以下となるようにしている。具体的には、第2縮小流路P15を画成する壁面(第4内壁面4271)のテーパ角度θが3度となるようにしている。こうすることで、より確実に、第2縮小流路P15を画成する壁面(第4内壁面4271)に沿わせながら吐出口P1bから吐出させることができるようにしている。こうすれば、吐出口P1bの中心部分だけから吐出されてしまい、芯のある流体が歯面などの洗浄面に当たってしまうことをより確実に抑制することが可能になる。その結果、狭い範囲にしか当てられずに洗浄効率が低下してしまったり、面圧が高くなって使用時の官能評価が低くなってしまったりすることをより確実に抑制することが可能になる。
【0110】
このように、本実施の形態では、第2縮小流路P15の形状を、下流側が幅広で、テーパ角度θが0度以上5度以下となるテーパ状とすることで、洗浄力(汚れ除去効率)を維持した状態で、歯面などの洗浄面のより広い範囲に流体を当てることができるようにしている。すなわち、洗浄力(汚れ除去効率)の高い流体をより広い範囲に当てることができるようにしている。こうすれば、口腔内の洗浄を、より効果的かつ効率的に行うことができるようになる。
【0111】
なお、本実施の形態では、第2縮小流路P15のテーパ角度θが0度となる場合も含まれるようにしている。この場合、第2縮小流路P15は、上流側から下流側にかけて同一の断面形状となって、上流側から下流側までのいずれの部位における流路断面積(横断面積)も同じ値(同じ径)となる。具体的には、第4流路構成部427の互いに対向する第1断面線42711と第2断面線42712とが平行に延在することになる。ここで、第1断面線42711および第2断面線42712とは、第4流路構成部427を流路軸C1に沿った平面(切断面)で第4流路構成部427を切断した場合に、この接断面と第4内壁面4271との交線のことである。
【0112】
このように、本実施の形態では、テーパ角度θが0度となる第2縮小流路P15も、下流側が幅広となるテーパ状に含まれるようにしている。
【0113】
さらに、本実施の形態では、樹脂(例えば、非晶性樹脂やポリプロピレン等)を用いてノズルハウジング40を形成している。このように、本実施の形態では、第2流路構成部425が、第1流路構成部424および第3流路構成部426のうち少なくともいずれか一方の流路構成部と同一の素材で形成されるようにしている。
【0114】
こうすれば、第2流路構成部425と第1流路構成部424との連結部や第2流路構成部425と第3流路構成部426との連結部(隣り合う内壁面の連結部)に意図せぬ段差や隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能になる。その結果、無駄な圧損の発生をより確実に抑制することが可能になって、洗浄力が低下してしまうことを極力抑制することができるようになる。
【0115】
また、ノズルハウジング40は、樹脂を用いて一体に形成されている。したがって、本実施の形態では、第2流路構成部425は、第1流路構成部424および第3流路構成部426のうち少なくともいずれか一方の流路構成部と一体に形成されていることになる。
【0116】
こうすれば、流路P1内に別部品を挿入することで第1縮小流路P13を形成する必要がなくなるため、第1縮小流路P13を有するノズル4をより容易に得ることが可能になる。また、別部品を用いて第1縮小流路P13を形成した場合には、流路P1内に微細な隙間が形成されてしまい、無駄な圧損が生じてしまい、洗浄力が低下してしまうおそれがある。しかしながら、第2流路構成部425を第1流路構成部424や第3流路構成部426と一体に形成するようにすれば、流路P1内に微細な隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能になって、無駄な圧損の発生をより確実に抑制することが可能になる。その結果、洗浄力が低下してしまうことを極力抑制することができるようになる。
【0117】
また、別部品を用いて第1縮小流路P13を形成する際に、金属製の部品を用いた場合、内部を流れる流体によって錆や腐食が生じてしまうおそれがあり、洗浄剤を用いた場合には、酸化被膜などで発生する黒い液が吐出口P1bから吐出されてしまうおそれもある。これに対して、本実施の形態のように、第1縮小流路P13(第2流路構成部425)を樹脂で形成した場合、内部を流れる流体によって錆や腐食が生じてしまうことが抑制されることになる。また、耐薬性を有する樹脂を用いてノズルハウジング40を形成するようにすれば、黒い液が吐出口P1bから吐出されてしまうことを抑制することもでき、外観品位が損なわれてしまうことを抑制することも可能になる。
【0118】
また、第1縮小流路P13を金属ではなく樹脂を用いて形成すれば、ノズル4の軽量化を図ることができる上、製造コストを低減させることができるようになる。
【0119】
また、樹脂を用いてノズルハウジング40を形成するようにすれば、形状の自由度や工法の自由度を向上させることができるようになる。また、着色も樹脂の方が比較的容易であるため、様々なデザインに対応させることができるようになる。
【0120】
さらに、樹脂成型でノズルハウジング40を製造すると寸法精度が出やすくなるという利点もある。
【0121】
また、第2流路構成部425を第1流路構成部424および第3流路構成部426のうち少なくともいずれか一方の流路構成部と一体に形成するようにすれば、ノズルハウジング40の強度をより向上させることが可能になる。その結果、流体を1MPa以上4MPa以下の高い圧力で流入口P1aから流路P1内に導入するようにした場合であっても、ノズルハウジング40の変形や破損をより確実に抑制することができるようになる。
【0122】
特に、別部品を用いて第1縮小流路P13を形成した場合のように、第1縮小流路P13が流体によって移動してしまうことが抑制されるため、ノズルハウジング40の強度をより向上させることが可能になる。
【0123】
以上説明したように、本実施の形態では、樹脂(同一の素材)を用いてノズルハウジング40を一体に形成している。
【0124】
そして、このノズルハウジング40の内部に流路P1が形成されている。そして、本実施の形態では、内部の圧力と吐出荷重を上述した関係となるようにするために、ノズルハウジング40の内部に形成される流路P1が複雑な形状となるようにしている。
【0125】
このように、複雑な流路形状を有するノズルハウジング40を製造する際には、より容易に製造できるようにするのが好ましい。
【0126】
そこで、本実施の形態では、複雑な流路形状を有するノズルハウジング40の構成をより容易に製造することができるような構成となるようにしている。
【0127】
具体的には、図18に示すように、ノズルハウジング40が、流路P1の一部を構成する第1凹部512が形成された第1成形部材5と、流路P1の一部を構成する第2凹部612が形成され、第1成形部材5に接合される第2成形部材6と、を備えるようにしている。そして、第1成形部材5と第2成形部材6との接合面81が流路P1の流路軸C1に沿って延在するようにしている。
【0128】
このように、第1成形部材5と第2成形部材6とを接合して流路P1を形成しつつ、接合面81を流路P1の流路軸C1に沿わせるようにすれば、第1成形部材5と第2成形部材6とを重ね合わせて接合することで、ノズルハウジング40の内部に流路P1を形成することが可能になる。そのため、複雑な流路形状を有するノズルハウジング40をより容易に得ることが可能になる。
【0129】
本実施の形態では、第1成形部材5は、半円状の第1壁部51を備えており、この半円状の第1壁部51の直径部分に半円状の第1凹部512が形成されている。そして、半円状の第1凹部512を画成する湾曲面に連設された面が、第1当接面511となっている。
【0130】
同様に、第2成形部材6は、半円状の第2壁部61を備えており、この半円状の第2壁部61の直径部分に半円状の第2凹部612が形成されている。そして、半円状の第2凹部612を画成する湾曲面に連設された面が、第2当接面611となっている。
【0131】
このように、本実施の形態では、第1成形部材5には第1当接面511が形成されており、第2成形部材6には、第1当接面511に当接する第2当接面611が形成されている。
【0132】
さらに、本実施の形態では、第1当接面511の中央部には、第1位置決め部5111としての凹部が形成されている。そして、第2当接面611の中央部には、第1位置決め部5111に係合して第1成形部材5と第2成形部材6との位置決めがなされる第1位置決め部5111としての突部が形成されている。
【0133】
こうすることで、第1成形部材5と第2成形部材6とを接合させて接合面81を形成する際に第1成形部材5と第2成形部材6とが位置ずれしてしまうことをより確実に抑制できるようにしている。
【0134】
さらに、本実施形態では、第1壁部51における第1当接面511の外側に第1切り欠き部5112が形成されており、第2壁部61における第2当接面611の外側に第2切り欠き部6112が形成されている。
【0135】
こうすることで、第1凹部512と第2凹部612とを対向させた状態で、第1位置決め部5111と第2位置決め部6111とを係合させつつ第1当接面511と第2当接面611とを当接させた際に、2次流路としての流入空間7が形成されるようにしている。
【0136】
そして、この流入空間7に樹脂を流入して固定することで接合部材8を形成している。こうすることで、流路P1の流路軸C1に沿って延在する接合面81が形成されるようにしている。
【0137】
このとき、本実施の形態では、第1成形部材5と第2成形部材6とを熱溶着により接合している。すなわち、第1成形部材5と第2成形部材6との接合面81が熱溶着部82となるようにしている。こうすることで、振動溶着により接合面81を形成した場合よりも接合強度を向上させることができるようにし、ノズルハウジング40の強度をより向上させることができるようにしている。
【0138】
なお、第1成形部材5と第2成形部材6とを熱溶着により接合させる必要はなく、第1成形部材5と第2成形部材6とは、振動溶着等様々な方法で接合させることが可能である。
【0139】
そして、このような構成をしたノズルハウジング40は、例えば、下記の方法で形成することができる。
【0140】
まず、図18に示すように、第1成形部材5および第2成形部材6を形成する。第1成形部材5および第2成形部材6は、例えば、金型に樹脂を流し込んで成形した樹脂成形品とすることができる。
【0141】
次に、図19に示すように、第1凹部512と第2凹部612とを対向させた状態で、第1位置決め部5111と第2位置決め部6111とを係合させつつ第1当接面511と第2当接面611とを当接させる。こうすることで、第1切り欠き部5112と第2切り欠き部6112により流入空間7が形成されることになる。
【0142】
そして、図20に示すように、第1金型91と第2金型92を用いて、第1金型91に形成された樹脂ゲート93から流入空間7に樹脂を流し込んで固定させる。なお、樹脂ゲート93は、第2金型92に形成されていてもよいし、第1金型91および第2金型92の両方に形成されていてもよい。そして、樹脂が劣化しない程度に高温とした状態で流し込むようにすることで、第1成形部材5と第2成形部材6とが接合部材8によってより確実に熱溶着されるようにしている。
【0143】
こうすることで、流路P1の流路軸C1に沿って延在するように第1成形部材5と第2成形部材6との接合面81が形成されて、ノズルハウジング40が形成されることになる。
【0144】
なお、本実施の形態では、流入空間7の奥側に向けて樹脂が注入されるようにしている。このとき、保圧をかけやすくするために、流入空間7の形状を、幅を狭くしつつ深さを深くした形状となるようにしている。具体的には、流入空間7の深さ(図17における幅方向の長さ)d5が約1.27mm、流入空間7の幅(図17における上下方向の長さ)W1が約1.0mmとなるようにしている。なお、本実施の形態では、第1当接面511および第2当接面611の幅(図17における幅方向の長さ)が約0.9mmとなるようにしており、第1位置決め部5111および第2位置決め部6111の幅(図17における幅方向の長さ)が約0.3mmとなるようにしている。そして、第1位置決め部5111および第2位置決め部6111の高さおよび深さ(図17における上下方向の長さ)も約0.3mmとなるようにしている。
【0145】
また、本実施の形態のように熱溶着により第1成形部材5と第2成形部材6とを接合させる場合には、ノズルハウジング40を、外径断面積が1.5cm以下の樹脂成形品となるようにしつつ、ノズルハウジング40の外径に対する流入空間7の幅W1の割合が0.25~0.5となるようにするのが好ましい。
【0146】
また、接合部材8を形成する際に用いられる樹脂としては、非晶性樹脂やポリプロピレン等を用いるのが好ましい。さらに、メルトマスフローレイト(MFR)が7以上の樹脂を用いるようにするのが好ましい。
【0147】
ここで、本実施の形態では、第1成形部材5と第2成形部材6とを接合部材8によって接合させた際に形成される流路P1が第1縮小流路P13を有するようにしている。
【0148】
具体的には、第1成形部材5および第2成形部材6のうち少なくともいずれか一方の凹部内に突部を設けることで、流路断面積が小さな第1縮小流路P13が形成されるようにしている。
【0149】
本実施の形態では、第1凹部512内に、第1突部513を形成することで、流路断面積が小さな第1縮小流路P13が形成されるようにしている。さらに、本実施の形態では、図21に示すように、第1突部513に貫通孔が形成されており、この貫通孔が第1縮小流路P13となるようにしている。
【0150】
このように、上記の方法でノズルハウジング40を形成するようにすれば、より容易に複雑な形状をした流路P1が内部に形成されたノズルハウジング40を製造することができるようになる。
【0151】
なお、本実施の形態では、ノズルハウジング40は、接続部41よりも下流側のハウジング本体42の先端側が2つに分割されるようにしている。このとき、少なくともハウジング本体42の根元側(接続部41側)は分割されないようにするのが好ましい。具体的には、図10に示すように、先端部423から第1縮小流路P13が形成される部位までが2つに分割されるようにしている。
【0152】
また、図22に示すように、ノズルハウジング40が厚肉部40aと薄肉部40bとを備えるようにすることも可能である。このとき、厚肉部40aに接合面81が形成されるようにすれば、流路P1の流路軸C1に沿って延在する接合面81による接合面積をより広くすることが可能になるため、第1成形部材5と第2成形部材6とをより確実に接合させることが可能になる。
【0153】
図22では、流入空間7が厚肉部40aに形成されるようにしている。こうすれば、流入空間7の深さd5をより確実に確保することができるため、保圧をかけやすくなって、より確実に第1成形部材5と第2成形部材6とを接合部材8によって接合させることができるようになる。
【0154】
また、図23に示すように、流路P1の流路断面形状が一方向に細長い形状となるようにすることで、ノズルハウジング40が厚肉部40aと薄肉部40bとを備えるようにすることも可能である。
【0155】
図23では、流路P1の流路断面形状を、長軸aと短軸bとを有する楕円状となるようにしたものを例示している。そして、深さ方向が短軸bに沿うように流入空間7を厚肉部40aに形成している。
【0156】
こうすれば、ノズルハウジング40の外観を大型化させることなく、流入空間7の深さd5をより確実に確保することができるようになる。
【0157】
ただし、管路断面が非円形の場合、管路摩擦は周長に比例して大きくなる。したがって、管路による圧力損失は、管路断面の(周径/流路断面積)に比例することになる。そのため、長軸aと短軸bとの比(a/b)は、1~2となるようにするのが好ましい。図23では、長軸aを約3.4mmとし、短軸bを約2.5mmとしている。
【0158】
また、図24に示すように、第1凹部512内に、第1突部513を形成しつつ、第2凹部612内に、第2突部613を形成するようにしてもよい。こうすれば、ノズルハウジング40の外観形状を複雑にすることなく、流路P1の形状を複雑な形状とすることができるようになる。
【0159】
また、ノズルハウジング40の外観や流路P1の形状は、図25に示すように、湾曲させた形状とすることも可能であるし、図26に示すように、90度に屈曲させた形状となるようにすることも可能である。このように、ノズルハウジング40の外観や流路P1の形状は、様々な形状とすることが可能である。
【0160】
そして、ノズルハウジング40の横断面形状や流路P1の流路断面形状は、図27に示すように、円弧と直線を組み合わせた形状とすることも可能であるし、図28に示すように、四角形状となるようにすることも可能である。
【0161】
このノズルハウジング40の横断面形状や流路P1の流路断面形状も、様々な形状とすることが可能であり、例えば、三角形状や5角形以上の多角形状とすることが可能である。
【0162】
また、複数個の吐出口P1bや第1縮小流路P13を有するノズル4とすることも可能である。
【0163】
なお、口腔洗浄装置100の構成は、上記実施の形態で示した構成に限られるものではなく、様々な構成とすることが可能である。
【0164】
例えば、図29図31に示す口腔洗浄装置100とすることが可能である。図29図31に示す口腔洗浄装置100は、ハウジング(ケース)31を有する装置本体3と、使用者等が手で把持することが可能なグリップ部(把持部)10と、グリップ部10に取り付けられるノズル(口腔洗浄装置用ノズル)4と、を備えている。この口腔洗浄装置100も、ノズル4の吐出口P1bから水などの流体(液体)を吐出(噴出)させて、口腔内の歯や歯茎などに液流を当てることで、口腔内の洗浄を行う装置である。
【0165】
装置本体3は、上述したハウジング(ケース)31と、液体を貯留することが可能な貯液タンク(貯液部)2と、を備えており、略直方体状をしている。このハウジング(ケース)31および貯液タンク2は、合成樹脂等の材料を用いて形成することができるが、これに限らず様々な材料を用いて形成することが可能である。
【0166】
また、ハウジング(ケース)31の内部には、ポンプ33が内蔵されており、貯液タンク2とホース34Aとがポンプ33を介して接続されている。このポンプ33は、液体流路32に配置されており、貯液タンク2内に貯留された液体を吸入してノズル4から吐出させる機能を有するものである。したがって、図29図31に示す口腔洗浄装置100では、貯液タンク2に貯留されている液体が、ポンプ33を介してホース34Aに供給されるようになっている。図29図31に示す口腔洗浄装置100においても、上記実施の形態で示したポンプ33が用いられている。また、図29図31に示す口腔洗浄装置100においても、上記実施の形態で示したポンプ駆動機構34が用いられている。このとき、アシスト機構346を備えるポンプ駆動機構34を用いることも可能であるし、アシスト機構346を備えていないポンプ駆動機構34を用いることも可能である。ただし、ポンプの方式については、特に限定されるものではなく、上記実施の形態と同様に、様々なタイプのポンプを用いることが可能である。
【0167】
なお、装置本体3が貯液タンク2を備えている必要はなく、例えば、水道水等の液体を外部から直接的に引き込むようにすることも可能である。
【0168】
また、図29図31に示す口腔洗浄装置100では、ハウジング(ケース)31には、口腔洗浄装置100(装置本体3)が使用されていないときに、グリップ部10を保持するグリップ保持部31aと、ホース34Aを巻き付けて保持するホース保持部31bと、が設けられている。さらに、ハウジング(ケース)31の内部には、ポンプ33等の動作を制御する制御部としての制御基板などが設置されている。
【0169】
また、ハウジング(ケース)31には、配線35Aおよび電源コード36Aが接続されており、電源コード36Aを介して外部からポンプ33等を動作させるための電源が供給されるようにしている。
【0170】
さらに、ハウジング(ケース)31には、図30に示すように、電源のオン・オフを切り替える電源スイッチ37Aおよびノズル4から吐出(噴出)される液体の液圧を切り替える液圧切替スイッチ38aA,38bAが設けられている。したがって、図29図31に示す口腔洗浄装置100では、電源スイッチ37Aを操作して電源をオンにした状態で、液圧切替スイッチ38aA,38bAを操作することで、所望の液圧で液体をノズル4から吐出(噴出)させることができるようになっている。
【0171】
グリップ部10は、図29に示すように、ホース34Aを介して装置本体3のハウジング(ケース)31に接続されている。そして、このグリップ部10は、図31に示すように、外郭を構成するハウジング11を備えている。このハウジング11は、例えば、絶縁性を有する合成樹脂材料を用いて形成することができ、複数の分割体を継ぎ合わせることで形成されている。そして、分割体を継ぎ合わせて形成したハウジング11の内部には空洞が形成されており、この空洞内には各種電気部品が収容されている。
【0172】
さらに、グリップ部10は、一部が表面側に露出する操作スイッチ10aを備えており、使用者等がグリップ部10を把持した状態で操作スイッチ10aを操作することで、液体の噴出のオン・オフなどを切り替えることができるようになっている。
【0173】
また、グリップ部10のハウジング11には、上方に開口するようにノズル装着部111が形成されており、ノズル装着部111に接続部41を挿入して嵌合することで、ノズルハウジング40(ノズル4)がグリップ部10に着脱可能に装着されるようになっている。そして、ノズルハウジング40(ノズル4)をグリップ部10に装着した際には、ハウジング11内に形成されてホース34Aに連通する流路(図示せず)にノズルハウジング40内の流路P1が連通されるようにしている。このとき、ノズル4は、例えばパッキン等によってシールされた状態でノズル装着部111に挿入されるようにするのが好ましい。
【0174】
このような口腔洗浄装置100としても上記実施の形態で示した口腔洗浄装置100とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0175】
また、図32に示す口腔洗浄装置100とすることが可能である。図32に示す口腔洗浄装置100は、貯液タンク2と、装置本体3と、ノズル4と、を備えている。
【0176】
貯液タンク2は、上方に開口して下端側が閉塞された有底の筒状に形成されており、この貯液タンク2の内部には、液体を貯留することが可能な貯留部2aが形成されている。なお、貯留部2aに貯留される液体としては、水を用いることができるが、水に限られるものではなく様々な液体を用いることができる。例えば、洗浄剤が水に混入された洗浄液などを用いることが可能である。
【0177】
さらに、貯液タンク2には、装置本体3が、上下方向(装置本体3の長手方向)にスライドできるようにした状態で支持されている。このとき、装置本体3は、少なくとも下端側が貯留部2a内に配置されるようにした状態で貯液タンク2にスライド可能に支持されている。
【0178】
そして、装置本体3を貯液タンク2の下側にスライドさせて貯液タンク2内に装置本体3が収納されるようにすることで、口腔洗浄装置100を使用しないときに、よりコンパクトな状態で保管することができるようにしている。また、装置本体3を貯液タンク2の上側にスライドさせて装置本体3が貯液タンク2の上部に引き出されるようにすることで、貯液タンク2の貯留部2aにより多くの液体を供給できるようにしている。そして、装置本体3を貯液タンク2の上部に引き出した状態で、ノズル4を装置本体3に取り付け、貯液タンク2の貯留部2aに液体を供給することで、口腔洗浄装置100を使用できるようにしている。したがって、図32に示す口腔洗浄装置100では、装置本体3や貯液タンク2が、使用者等が手で把持することが可能なグリップ部(把持部)10となっている。
【0179】
このように、図32に示す口腔洗浄装置100は、装置本体3が、貯液タンク2に収納される収納状態と貯液タンク2から引き出された引出状態との間で貯液タンク2にスライド可能に支持される貯液タンク伸縮式の口腔洗浄装置となっている。すなわち、口腔洗浄装置100は、使用しないときには、ノズル4を装置本体3から取り外し、装置本体3を貯液タンク2に押し込んで貯液タンク2内に収納させることができるようになっている。そして、装置本体3を貯液タンク2から引き出して、装置本体3にノズル4を取り付けることで、口腔洗浄装置100を使用することができるようになっている。
【0180】
このとき、装置本体3が貯液タンク2に着脱可能に支持されるようにするのが好ましい。すなわち、装置本体3を上方に引っ張ることで、装置本体3を貯液タンク2から取り外したり、装置本体3の下端部を貯液タンク2内に挿入した状態で、装置本体3を下方に押し下げることで、装置本体3を貯液タンク2に取り付けたりできるようにするのが好ましい。こうすれば、貯液タンク2と装置本体3とを分離した状態で洗浄することが可能になるため、貯液タンク2や装置本体3をより清潔に保つことができるようになる。
【0181】
また、貯液タンク2は、食洗機で洗浄できるようにポリプロピレン樹脂などで形成されており、デザイン性を高めるために透明または半透明の容器状に形成されている。さらに、貯液タンク2は、装置本体3を相対的に回転させることができるように、水平断面形状が真円で形成されている。
【0182】
この貯液タンク2は、上下に開口した略円筒状の筒状体21と、筒状体21の下側開口を閉塞する底壁22と、を備えている。なお、貯液タンク2の側部(筒状体21)には、貯留部2a内に液体を注入することが可能な給液孔(図示せず)が形成されており、この給液孔が給液蓋(図示せず)によって閉塞されるようにしている。こうすることで、貯液タンク2を横にした状態であっても、貯液タンク2内の貯留部2aに液体を供給することができるようにしている。
【0183】
一方、装置本体3は、外郭を構成するハウジング31を備えており、このハウジング31は、上下方向の両端側がそれぞれ閉塞された筒状に形成されている。さらに、ハウジング31(装置本体3)も、貯液タンク2に対して相対的に回転させることができるように、断面形状が真円で形成されている。
【0184】
したがって、図32に示す口腔洗浄装置100では、ハウジング31は、略円板状の天壁311と、天壁311の外周縁から下方に延設される略円筒状の周壁312と、周壁312の下側の開口を塞ぐように設けられる略円板状の底壁313と、を備えている。
【0185】
この天壁311には、中空の長尺状に形成されて、液体を先端から吐出(噴出)させることが可能なノズル4を着脱可能に装着するノズル装着部3111が形成されている。
【0186】
また、周壁312には、ノズル4をハウジング31(装置本体3)から取り外すことができるボタン(図示せず)や、口腔洗浄装置100を起動、或いは停止させる(電源のオン・オフを切り替える)電源スイッチ(図示せず)が設けられている。
【0187】
そして、底壁313には、チューブ5Aが取り付けられるチューブ取付部3132が形成されている。
【0188】
なお、図32に示す口腔洗浄装置100では、チューブ5Aは、チューブ取付部3132に一体的に取り付けられており、装置本体3を貯液タンク2にスライド可能に取り付けた際に、貯液タンク2の貯留部2a内に配置されるようになっている。そして、貯留部2aに貯留された液体が、このチューブ5Aを介してハウジング31内(装置本体3内)に導入されるようになっている。
【0189】
また、チューブ5Aの周囲には、チューブ5Aの長さ方向に延びる姿勢を保持するコイルバネ6Aが配置されている。このようなコイルバネ6Aをチューブ5Aの周囲に配置することで、貯液タンク2に装置本体3を収納するときに、チューブ5Aを屈曲することなく、巻き回すことができるようにし、チューブ5Aをきれいに貯液タンク2内に収納できるようにしている。さらに、コイルバネ6Aをチューブ5Aの周囲に配置することで、貯液タンク2から装置本体3を引き出すときに、チューブ5Aを巻き回された状態からきれいに伸ばすことができるようにしている。
【0190】
また、ハウジング31(装置本体3)の内部には、チューブ5Aを介して導入された液体を通過させてノズル4に供給することが可能な液体流路32が形成されている。図32に示す口腔洗浄装置100では、液体流路32は、一端がノズル装着部3111の内側空間に連通するとともに、他端がチューブ取付部3132の内側空間に連通するようにハウジング31内(装置本体3内)に設けられている。こうすることで、チューブ5Aを介して導入された液体が、液体流路32を通過してノズル4に供給されるようにしている。
【0191】
また、液体流路32は、液体流路32の上流側に配置される吸入路321と、液体流路32の下流側に配置される送出路322と、を備えており、この吸入路321と送出路322とがポンプ33を介して接続されている。なお、ポンプ室333と吸入路321との間には、吸入弁(図示せず)が設けられており、ポンプ室333と送出路322との間には、吐出弁(図示せず)が設けられている。
【0192】
また、ハウジング31(装置本体3)の内部には、ポンプ駆動機構34が配置されている。そして、このポンプ駆動機構34によりポンプ33を作動させることで、貯留部2a内の液体をチューブ5Aで吸い上げて、液体流路32を通過させてノズル4の先端から吐出(噴出)させるようにしている。
【0193】
このように、図32に示す口腔洗浄装置100は、ポンプ33とポンプ33を駆動させるポンプ駆動機構34とを備え、ポンプ33を駆動することで液体が吐出される装置となっている。
【0194】
また、図32に示す口腔洗浄装置100では、ポンプ33は、吸入路321および送出路322が連通するポンプ室333と、ポンプ室333の下端に連通するように形成されるシリンダ332と、シリンダ332内に配置されるピストン331と、を備えている。
【0195】
ピストン331は、ポンプ駆動機構34に連結されており、ポンプ駆動機構34によって、シリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようになっている。そして、シリンダ332内でピストン331が上下方向に往復直線運動することで、ポンプ室333の容積が変化するようになっている。
【0196】
具体的には、ピストン331がシリンダ332内で下方に移動すると、ポンプ室333の容積が大きくなり、貯液タンク2内の液体がチューブ5Aと吸入路321とを介してポンプ室333に流入されることになる。その後、ポンプ室333内に液体が流入された状態で、ピストン331がシリンダ332内で上方に移動すると、ポンプ室333の容積が小さくなり、ポンプ室333内の液体が送出路322を介してノズル4に供給されることになる。そして、ノズル4に供給された液体がノズル4の先端から外部に吐出(噴出)されることになる。
【0197】
このように、図32に示す口腔洗浄装置100では、ピストン331がシリンダ332内で下方に移動することで、液体をポンプ室333内に吸入する吸入工程が行われ、上方に移動することで、ポンプ室333から液体を外部に送出させる送出工程が行われるようになっている。すなわち、ピストン331が上死点と下死点との間で往復直線運動することで、吸入工程と送出工程とが交互に行われるようになっている。したがって、ピストン331が上死点から上下方向に一往復した際には吸入工程と送出工程が一回ずつ行われることになる。
【0198】
このような構成とすることで、装置本体3に装着されたノズル4の先端から液体が間欠的に吐出されるようにしている。
【0199】
そして、ポンプ駆動機構34は、モータ341を備えており、このモータ341を駆動させることで、ピストン331がシリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようにしている。
【0200】
具体的には、ポンプ駆動機構34は、モータ341と、モータ341の回転運動を往復直線運動に変換する変換機構344と、を有している。そして、この変換機構344にピストン331が連設されており、ピストン331がシリンダ332内で上下方向に往復直線運動するようにしている。なお、モータ341は、装置本体3の内部に収納された電池(充電池や乾電池等)からの電力や外部電力等の供給によって駆動されるようになっている。
【0201】
さらに、図32に示す口腔洗浄装置100では、ポンプ駆動機構34は、モータ341の回転速度を減速させる減速機構342と、減速機構342により減速させた回転運動を変換機構344に伝達する伝達機構343と、を備えている。したがって、図32に示す口腔洗浄装置100では、減速機構342によってモータ341の回転速度(回転数)を所定の回転速度(回転数)となるように減速させた状態で、変換機構344によって往復直線運動に変換させている。
【0202】
そして、図32に示す口腔洗浄装置100においても、より効率的に口腔内の洗浄を行うことができるようにしている。
【0203】
具体的には、ポンプ駆動機構34が送出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせる変速機構345を備えるようにしている。そして、送出工程にかかる時間が吸入工程にかかる時間よりも短くなるようにピストン331を一往復させるようにしている。
【0204】
図32に示す口腔洗浄装置100においても、ポンプ駆動機構34が、送出工程が行われる際のピストン331の移動速さと吸入工程が行われる際のピストン331の移動速さとを異ならせる変速機構345を備えている。そして、変速機構345が非円形ギアとしての楕円ギア3451,3452を有しており、変速機構345が2個の楕円ギア3451,3452で構成されている。
【0205】
さらに、図32に示す口腔洗浄装置100においても、ポンプ駆動機構34が、ピストン331の移動を補助するアシスト機構346を備えるようにしている。
【0206】
このような口腔洗浄装置100としても上記実施の形態およびその変形例で示した口腔洗浄装置100とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0207】
なお、図32に示す口腔洗浄装置100では、上記実施の形態で示したポンプ駆動機構34と同様のもの(アシスト機構346を備えるポンプ駆動機構34)を例示したが、アシスト機構346を備えていないポンプ駆動機構34とすることも可能である。また、ポンプの方式については、特に限定されるものではなく、上記実施の形態と同様に、様々なタイプのポンプを用いることが可能である。
【0208】
また、図32では、装置本体3を貯液タンク2に対して相対的に回転させることで装置本体3を引出状態とするタンク伸縮式の口腔洗浄装置100を例示したが、このような構成に限られるものではなく、例えば、装置本体3をスライド方向に引っ張ることで装置本体3を引出状態とするタンク伸縮式の口腔洗浄装置とすることが可能である。
【0209】
[作用・効果]
以下では、上記実施の形態およびその変形例で示した口腔洗浄装置用ノズルおよび口腔洗浄装置の特徴的構成およびそれにより得られる効果を説明する。
【0210】
(技術1)上記実施の形態およびその変形例で示したノズル(口腔洗浄装置用ノズル)4は、流入口P1aと吐出口P1bとを有する流路P1が形成されたノズルハウジング40を備えている。
【0211】
そして、このノズル4は、流入口P1aから流路P1内に導入されて圧力が1MPa以上4MPa以下となるようにした流体(水などの液体や空気などの気体)が、0.19N以上0.38N以下の吐出荷重で吐出口P1bから吐出されるように構成されている。
【0212】
このような構成をしたノズル4を用いれば、汚れ除去効果をより向上させることが可能になるため、口腔内の洗浄効果をより向上させることが可能になる。
【0213】
このように、上記実施の形態およびその変形例によれば、口腔内の洗浄効果をより向上させることが可能なノズル(口腔洗浄装置用ノズル)4を得ることができる。
【0214】
(技術2)また、上記(技術1)において、流路P1は、導入流路(第1流路)P12と、導入流路(第1流路)P12の下流側に連設されて導入流路(第1流路)P12よりも流路断面積が小さい第1縮小流路(オリフィス部)P13と、を備えていてもよい。また、流路P1は、第1縮小流路P13の下流側に連設されて第1縮小流路P13よりも流路断面積が大きい拡大流路(圧縮室)P14と、拡大流路P14の下流側に連設されて拡大流路P14よりも流路断面積が小さい第2縮小流路(吐出流路)P15と、を備えていてもよい。
【0215】
こうすれば、より効率よく圧力を損失させて、流体(水などの液体や空気などの気体)を、より確実に0.19N以上0.38N以下の吐出荷重で吐出口P1bから吐出させることができるようになる。
【0216】
また、流路P1の途中に第1縮小流路を設けるようにすれば、流路P1内に引き込まれた空気等の気体を拡散させることが可能になる。こうすれば、液体と気体とをより効率よく加圧溶解させたり混合させたりすることが可能になって、液滴や微細気泡、キャビテーション気泡の生成を増加させることが可能になる。その結果、吐出口P1bから吐出させた流体を歯面などの洗浄面に当てた際に生じる剪断力や圧力変動、振動などを増加させることが可能になる。すなわち、歯面などに付着した汚れをはがす力をより大きくすることが可能になる。その結果、洗浄力が増加して口腔内の洗浄効果をより向上させることが可能になる。
【0217】
(技術3)また、上記(技術2)において、ノズルハウジング40は、内部に導入流路(第1流路)P12が形成される第1流路構成部424と、内部に第1縮小流路P13が形成される第2流路構成部425と、を備えていてもよい。さらに、ノズルハウジング40は、内部に拡大流路P14が形成される第3流路構成部426を備えていてもよい。そして、第2流路構成部425は、第1流路構成部424および第3流路構成部426のうち少なくともいずれか一方の流路構成部と一体に形成されていてもよい。
【0218】
こうすれば、流路P1内に別部品を挿入することで第1縮小流路P13を形成する必要がなくなるため、第1縮小流路P13を有するノズル4をより容易に得ることが可能になる。また、別部品を用いて第1縮小流路P13を形成した場合には、流路P1内に微細な隙間が形成されてしまい、無駄な圧損が生じてしまい、洗浄力が低下してしまうおそれがある。しかしながら、第2流路構成部425を第1流路構成部424や第3流路構成部426と一体に形成するようにすれば、流路P1内に微細な隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能になって、無駄な圧損の発生をより確実に抑制することが可能になる。その結果、洗浄力が低下してしまうことを極力抑制することができるようになる。
【0219】
また、第2流路構成部425を第1流路構成部424および第3流路構成部426のうち少なくともいずれか一方の流路構成部と一体に形成するようにすれば、ノズルハウジング40の強度をより向上させることが可能になる。その結果、流体を1MPa以上4MPa以下の高い圧力で流入口P1aから流路P1内に導入するようにした場合であっても、ノズルハウジング40の変形や破損をより確実に抑制することができるようになる。
【0220】
(技術4)また、上記(技術3)において、第2流路構成部425は、第1流路構成部424および第3流路構成部426のうち少なくともいずれか一方の流路構成部と同一の素材で形成されていてもよい。
【0221】
こうすれば、第2流路構成部425と第1流路構成部424や第3流路構成部426との連結部に意図せぬ段差や隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能になって、無駄な圧損の発生をより確実に抑制することが可能になる。その結果、洗浄力が低下してしまうことを極力抑制することができるようになる。
【0222】
(技術5)また、上記(技術2)から(技術4)のうちのいずれかの技術において、第2縮小流路P15は、下流側が幅広となるテーパ状をしており、テーパ角度θが0度以上5度以下となるようにしてもよい。
【0223】
こうすれば、拡大流路P14で圧縮されて第2縮小流路P15に導入された流体を、第2縮小流路P15を画成する壁面に沿わせながら吐出口P1bから吐出させることができるようになる。こうすれば、吐出口P1bの中心部分だけから吐出されてしまい、芯のある流体が歯面などの洗浄面に当たってしまうことをより確実に抑制することが可能になる。その結果、狭い範囲にしか当てられずに洗浄効率が低下してしまったり、面圧が高くなって使用時の官能評価が低くなってしまったりすることをより確実に抑制することが可能になる。
【0224】
このように、第2縮小流路P15の形状を、下流側が幅広で、テーパ角度θが0度以上5度以下となるテーパ状とすれば、洗浄力(汚れ除去効率)を維持した状態で、歯面などの洗浄面のより広い範囲に流体を当てることができるようになる。すなわち、洗浄力(汚れ除去効率)の高い流体をより広い範囲に当てることができるようになる。そのため、口腔内の洗浄を、より効果的かつ効率的に行うことができるようになる。
【0225】
(技術6)上記実施の形態およびその変形例で示した口腔洗浄装置100は、上記(技術1)から(技術5)のうちのいずれかの技術に示したノズル(口腔洗浄装置用ノズル)4と、ノズル(口腔洗浄装置用ノズル)4が取り付けられるグリップ部(把持部)10と、を備えている。
【0226】
こうすれば、口腔内の洗浄効果をより向上させることが可能な口腔洗浄装置100を得ることができる。具体的には、上記(技術1)から(技術5)のうちのいずれかの技術に示した作用、効果を奏することが可能な口腔洗浄装置100を得ることができる。
【0227】
(技術7)また、上記(技術6)において、口腔洗浄装置100が、液体が貯留される貯液タンク2と、貯液タンク2内に貯留された液体を吸入してノズル4に送出するポンプ33と、ポンプ33を駆動させるポンプ駆動機構34と、を備えていてもよい。そして、ポンプ33が、一方向に往復直線運動するピストン331を有していてもよい。
【0228】
また、ポンプ33が、ポンプ駆動機構34によりピストン331を往復直線運動させることで、ポンプ33に液体が吸入される吸入工程とポンプ33から液体が送出される送出工程とが交互に行われるようになっていてもよい。そして、吸入工程にかかる時間と送出工程にかかる時間とが異なるようにピストン331を一往復させることが可能となるようにしていてもよい。
【0229】
こうすれば、送出工程にかかる時間と吸入工程にかかる時間との比が1:1となる場合とは異なった水流で液体を吐出することが可能になる。その結果、より効率的に口腔内の洗浄を行う等ができるようになる。
【0230】
[その他]
以上、本開示にかかる口腔洗浄装置用ノズルおよび口腔洗浄装置の内容を説明したが、上述の実施の形態およびその変形例は、本開示における技術を例示するためのものである。したがって、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0231】
例えば、上記実施の形態およびその変形例で説明した構成を適宜組み合わせた口腔洗浄装置用ノズルや口腔洗浄装置とすることが可能である。
【0232】
また、上記実施の形態およびその変形例では、グリップ部(把持部)10に貯液タンク(貯液部)2が形成されており、グリップ部(把持部)10の内部に充電池等の電力供給手段が内蔵されており、外部電源を用いずに使用することが可能な口腔洗浄装置を例示している。しかしながら、口腔洗浄装置の構成はこのような構成に限られるものではなく、様々な構成とすることが可能である。
【0233】
例えば、電源コード36Aを介して外部からポンプ33等を動作させるための電源が供給されるようにした口腔洗浄装置100とすることも可能である。
【0234】
また、上記実施の形態およびその変形例で説明した口腔洗浄装置100以外の構成をした口腔洗浄装置に上述した構成を適用させることも可能である。
【0235】
また、ノズルハウジングや把持部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0236】
以上のように、本開示にかかる口腔洗浄装置用ノズルおよび口腔洗浄装置は、口腔内の洗浄効果をより向上させることが可能になるので、家庭用および業務用をはじめとする各種の口腔洗浄装置用ノズルおよび口腔洗浄装置に利用できる。
【符号の説明】
【0237】
100 口腔洗浄装置
10 グリップ部(把持部)
2 貯液タンク
32 液体流路
33 ポンプ
331 ピストン
34 ポンプ駆動機構
4 ノズル(口腔洗浄装置用ノズル)
40 ノズルハウジング
424 第1流路構成部
425 第2流路構成部
426 第3流路構成部
P1 流路
P1a 流入口
P1b 吐出口
P12 導入流路(第1流路)
P13 第1縮小流路
P14 拡大流路
P15 第2縮小流路
θ テーパ角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
図19
図20
図21
図22
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図32