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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130274
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】移載装置及び移載方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240920BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B65G47/90 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039907
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 史典
(72)【発明者】
【氏名】浜田 佳明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 裕介
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS22
3C707DS03
3C707ES10
3C707FS01
3C707FT02
3C707KS03
3C707KT01
3C707KT04
3C707LV06
3C707LV22
3C707NS26
3F072AA11
3F072GA05
3F072GA10
3F072GD01
3F072KA01
3F072KD01
3F072KD10
3F072KD23
(57)【要約】
【課題】搬送経路の対象物に負荷をかけずにピックアップできる移載装置及び移載方法を提供する。
【解決手段】実施形態による移載装置は、閉状態と開状態とで切り替え可能に構成された複数の保持部材44と、複数の保持部材44の間に配され、当接部45cにて対象物2を先端方向に押圧するとともに対象物2から受ける力によって後退可能に構成された押さえ部材45と、を備え、搬送経路A1に対して接離可能に構成される保持ハンド41、保持ハンド41を移動可能に支持する移動装置42と、移動装置及び保持ハンドの動作を制御する制御部61と、を備え、保持ハンド41が自由状態において、当接部45cは、保持部材44の先端より後退した位置、若しくは、保持部材44の先端と同じ高さに配される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路において搬送される対象物を、搬送経路上の第1位置から移載先の第2位置に移載する移載装置であって、
前記対象物を把持する閉状態と前記対象物を解放する開状態とで切り替え可能に構成された複数の保持部材と、複数の前記保持部材の間に配され、当接部にて前記対象物を先端方向に押圧するとともに前記対象物から受ける力によって後退可能に構成された押さえ部材と、を備え、前記搬送経路に対して接離可能に構成される保持ハンドと、
前記保持ハンドを移動可能に支持する移動装置と、
前記移動装置及び前記保持ハンドの動作を制御する制御部と、を備え、
前記保持部材が前記対象物を解放する開状態かつ前記保持ハンドが前記対象物を保持していない状態において、前記押さえ部材の前記当接部は、前記保持部材の先端より後退した位置、若しくは、前記保持部材の先端と同じ高さに配される、移載装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記保持ハンドを、前記第1位置における前記対象物の搬送移動と同方向に移動させながら前記搬送経路に近接させて前記搬送経路上の前記対象物を保持させ、前記対象物を保持した前記保持ハンドを、前記第1位置における前記搬送移動と同方向に移動させながら前記搬送経路から離間させる、請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記制御部は、少なくとも前記保持の直前及び直後において、前記近接及び離間の方向の動作と前記搬送移動の同方向の移動を同時に行い、前記第1位置における前記対象物の前記搬送移動と同じ速度で前記保持ハンドを移動させる、請求項1に記載の移載装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記保持ハンドを前記搬送移動と同方向に移動させながら前記搬送経路から離間させた後、前記保持ハンドを前記第2位置に向けて移動させ、前記第2位置の直上において前記第2位置に近接させて前記保持ハンドの保持を解除する解放処理を行い、
前記押さえ部材は、押さえ方向に復元する復元性を有し、前記保持ハンドが前記搬送経路へ近接して前記対象物を保持する際に、前記対象物を前記搬送経路に向けて押し付け、
前記押さえ部材は、前記保持ハンドが前記対象物を解放した際には前記対象物の解放に追従して押さえ方向に突出することで、前記対象物の前記第2位置から離れる移動を規制する、
請求項1に記載の移載装置。
【請求項5】
前記移動装置は、前記保持ハンドを、1軸に沿う進退動作及び少なくとも2軸以上の回動動作可能に支持する、請求項1記載の移載装置。
【請求項6】
対象物を把持する閉状態と前記対象物を解放する開状態とで切り替え可能に構成された保持部材と、当接部において前記対象物を押圧するとともに前記対象物から受ける力によって前記対象物から退避する方向に移動可能に構成された押さえ部材と、を備える、保持ハンドを有し、
前記保持部材が前記対象物を解放する開状態かつ前記保持ハンドが前記対象物を保持していない状態において、前記押さえ部材の前記当接部は、前記保持部材の先端より後退した位置、若しくは、前記保持部材の先端と同じ高さに配され、
搬送経路において搬送される前記対象物を、搬送経路上の第1位置から移載先の第2位置に移載する移載装置。
【請求項7】
搬送経路において搬送される対象物を、搬送経路上の第1位置から移載先の第2位置に移載する移載方法であって、
前記対象物を把持する閉状態と前記対象物を解放する開状態とで切り替え可能に構成された複数の保持部材と、複数の前記保持部材の間に配され、当接部にて前記対象物を先端方向に押圧するとともに前記対象物から受ける力によって後退可能に構成された押さえ部材と、を備え、前記搬送経路に対して接離可能に構成される保持ハンドを、前記第1位置における搬送移動と同方向に移動させながら前記搬送経路に近接して前記搬送経路上の前記対象物を保持させ、前記保持ハンドを前記第2位置に向けて移動させ、前記第2位置の直上において前記第2位置に近接させて前記保持ハンドの保持を解除する、移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物などの対象物を移載する、移載装置及び移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や果実といった農作物は耕地から収穫された後、集出荷場に集約され、卸売り、小売り各店舗まで配送されることで消費者の元に届けられる。この流通過程において集出荷場では、農作物に対し、洗浄、検査、選果等の作業が行われている。農作物は、任意の個体数に整列された後、洗浄や検査、選果といった作業を受け、包装容器内に移設され梱包される。一般的に、この様な作業は人力にて行われているが、一定の処理能力、品質確保、少人化を図るため、これら一連の作業を、農作物をコンベア等で搬送しつつ行う装置化が検討されている。農作物の中には、脆弱な性状や、複雑な形状や、不安定な形状を有する種類がある。例えば、内部が空洞で容易に変形するピーマンやししとう等、表層に複数の突起を有するゴーヤ、きゅうり、わさび等、薄柔な外皮を持つ桃、葉鞘が可食部となるみょうが、果実の柔毛が商品価値を左右するオクラ等である。これらは外皮や葉鞘の最外層や柔毛が商品価値の一部であるとともに、不定形な形状であるため、加傷されやすく、また傷によって消費価値を損じてしまう。このため、搬送される対象物を無傷で移載する技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-185502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は搬送される対象物への負荷をかけずに移載することができる移載装置及び移載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一形態にかかる移載装置は、搬送経路において搬送される対象物を、搬送経路上の第1位置から移載先の第2位置に移載する移載装置であって、前記対象物を把持する閉状態と前記対象物を解放する開状態とで切り替え可能に構成された複数の保持部材と、複数の前記保持部材の間に配され、当接部にて前記対象物を先端方向に押圧するとともに前記対象物から受ける力によって後退可能に構成された押さえ部材と、を備え、前記搬送経路に対して接離可能に構成される保持ハンドと、前記保持ハンドを移動可能に支持する移動装置と、前記移動装置及び前記保持ハンドの動作を制御する制御部と、を備え、前記保持ハンドが前記対象物を保持していない状態において、前記押さえ部材の前記当接部は、前記保持部材の先端より後退した位置、若しくは、前記保持部材の先端と同じ高さに配される、移載装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば搬送される対象物への負荷をかけずに移載することができる移載装置及び移載方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施形態にかかる移載装置を含む梱包装置の平面図および側面図である。
図2図2は、同梱包装置の移載装置の保持ハンドの側面図である。
図3図3は、同保持ハンドの正面図の一例である。
図4図4は、同保持ハンドの正面図の他の例である。
図5図5は、同保持ハンドの保持状態を示す正面図である。
図6図6は、同梱包装置における移載装置の他の構成例を概略的に示す側面図である。
図7A図7Aは、同梱包装置における移載装置の配置位置の他の例を概略的に示す平面図である。
図7B図7Bは、同梱包装置における移載装置の配置位置の他の例を概略的に示す平面図である。
図8図8は、同保持ハンドの動作を示す説明図である。
図9図9は、同保持ハンドの動作を示す説明図である。
図10図10は、同保持ハンドの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態にかかる農作物の移載装置及び移載方法について、図1乃至図10を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態にかかる移載装置を含む梱包装置1の平面図および側面図である。
図中矢印X,Y,Zは互いに直交する3方向を示している。各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0009】
梱包装置1は、搬送経路A1上にある野菜などの対象物2を、容器3に移載し、梱包する装置である。梱包装置1は、対象物2を搬送経路A1に沿って搬送する搬送装置20と、対象物2を保持して容器3に配置する移載装置40と、検出装置50と、各部の動作を制御する制御装置60と、を備える。
【0010】
本実施形態において、対象物2は例えば野菜や果物などの脆弱な性状または複雑な形状や不安定な形状を有する農作物である。本実施形態では脆弱な性状または複雑な形状や不安定な形状を有する農作物の一例としてきゅうりを対象物2とした例を示す。
【0011】
容器3は、例えば対象物2が載置される載置部3aを有する箱である。例えば容器3は、上側が開口し、上方から対象物2が移載された後に、上方からカバーや蓋が被せられる。容器3の載置部3aには、対象物2の移載先となる第2位置P2が設定される。
【0012】
搬送装置20は、搬送経路A1に沿って対象物2を搬送可能に構成される。搬送装置20は、例えばベルトコンベヤ式の搬送機構部である。搬送装置20は、所定の搬送経路A1に沿って設置されたガイド部材25と、ガイド部材25に支持され搬送経路にわたって配置された搬送ベルト26と、搬送ベルト26の裏側に設けられ搬送ベルト26を送る複数の搬送ローラと、搬送ローラを回転駆動する駆動源となるモータと、を備える。なお、この搬送装置20は搬送ベルト26上に配された対象物2を搬送経路A1に沿って送る。搬送経路A1は一例として図中Y方向に沿って配設される。
たとえば搬送装置20において、搬送経路A1上の所定箇所に、対象物2の位置や状態を検出するための位置センサや画像センサを有する検出装置50が設けられている。また、搬送経路A1上において検出装置50の二次側には、ピックアップ位置となる第1位置P1が配され、搬送経路A1の第1位置P1よりも下流側には、保持完了位置である第3位置P3が設定される。なお搬送経路A1の検出装置50よりも一次側には、移載前の搬入処理や選別処理などを行う前処理エリア70が設けられている。搬送経路A1の一次側は他の搬送経路に接続されていてもよい。
【0013】
搬送装置20は、搬送ローラの回転に伴う搬送ベルト26の送り移動により、搬送ベルト26上に載置された対象物2を、横臥状態のまま搬送経路A1に沿って案内し、搬送する。
なお、搬送経路A1は適宜設定可能であり、湾曲または屈曲、あるいは傾斜していてもよい。
【0014】
移載装置40は、対象物2を挟持可能かつ解放可能に構成された保持ハンド41と、保持ハンド41を支持するとともに移動させるハンド移動機構としての移載アーム42と、を備える。保持ハンド41は、容器3の開口から内部まで挿入可能な大きさであって、移載アーム42により保持ハンド41を載置部3aに近接する位置まで移動させることができる。
【0015】
図2は、移載装置40の保持ハンド41の側面図である。図3は、保持ハンド41の正面図の一例である。図4は、保持ハンド41の正面図の他の例である。図5は、保持ハンド41の保持状態を示す正面図である。
保持ハンド41は、ベース部43と、ベース部43から下方に延出する保持部材44及び押さえ部材45と、を備える。一例として、保持ハンド41は、互いに対向配置されるとともにその間に対象物2を保持可能な複数の保持部材44と、複数の保持部材44の間に配される押さえ部材45と、を備える。保持ハンド41は対象物2を保持及び解放可能であるとともに搬送経路A1に対して接離可能に構成される。保持部材44は対象物2を挟む両側部にそれぞれ配される。本実施形態においては対象物2を挟む両側部にそれぞれ2つずつ、合計4つの保持部材44がベース部43に支持されている。
なお、図2では、押さえ部材45の位置を表示するために、紙面に向かって手前に配置された保持部材44の先端部の記載を省略している。
【0016】
保持部材44は柔軟性を有するとともに弾性変形可能なエラストマー樹脂材、シリコンゴム等の緩衝材料で形成される。保持部材44は、内部にエア流路44aを有し、膨張可能に構成される。各保持部材44は、複数箇所において屈曲変形可能に構成された指状部材を備える。例えば保持部材44は、互いに向い合う対向面に配されるブレード部44bと、ブレード部44bとは反対側の外側面に配され伸縮変形可能な蛇腹状の伸縮部44cと、を有する。エア流路44aは、駆動機構としてのエア供給機構45dに接続され、内部の空気量が調節可能に構成されている。例えばエア供給機構45dは、制御部61に接続され、制御部61の制御によって、保持部材44へ空気を供給することで、保持部材44を湾曲変形させ、保持ハンド41を開閉駆動する。
【0017】
保持部材44はブレード部44bと伸縮部44cとで伸縮の挙動が異なり、空気量の増減によって、外側の伸縮部44cが内側のブレード部44bよりも大きく伸長する。またブレード部44bは、対向面側に、ブレード部44bを内側に湾曲変形しやすくする変形許容溝が形成される。各保持部材44,44は、内部のエア流路44aへのエアの供給状態に応じて伸縮部44cが伸縮することで、湾曲変形可能に構成されている。例えば、保持部材44は、エア供給により内部の空気量が増えると、伸縮部44cが伸長するとともに、ブレード部44bの先端が内方に向かって変位するように、湾曲変形する。
【0018】
保持部材44は、長手方向が搬送経路A1に沿って配される対象物2の短手方向の両側部にそれぞれ2つずつ配置され、互いに対向する複数の保持部材44間の隙間に対象物2を挟むように、対向配置される。すなわち、2組の保持部材44は搬送方向と直交する方向に対向し、搬送方向に沿って延出する隙間が形成される。
複数の保持部材44は、先端部が互いに近接することで対象物2を把持する閉状態と、先端部が互いに離間することで対象物2を解放する開状態とで、切替可能に構成される。すなわち保持部材44は駆動機構としてのエア供給機構45dに駆動されて能動的に動作する能動マニピュレータとなる。
【0019】
なお、各保持部材44はベース部43に対して着脱可能に構成されていてもよい。例えば対象物の形状等の特性に応じて、保持部材44が交換可能である。例えば保持部材44のサイズや形状、あるいは数を変更することで、対象物2の形状に合わせた構成とすることができる。
【0020】
押さえ部材45は、対向配置される複数の保持部材44の間に配される。押さえ部材45は保持ハンド41のベース部43から下方に延出するとともにベース部43に対して進退動可能に支持される軸部45aと、軸部45aの先端に設けられる頭部45bと、を備える。軸部45aは上下方向に進退動作可能にベース部43に支持される。軸部45aは、上方への外力の印加により上方へ移動し、外力の印加が解除されると初期位置へ復元する。例えば軸部45aは重力によって先端方向に突出する自由状態に戻る復元性を有する。したがって、押さえ部材45は、下方端部(当接部)45cにて対象物2を所定の押さえ力で先端方向に押圧するとともに、対象物2から受ける力によって後退すなわち退避可能に構成される。すなわち、押さえ部材45は保持部材44の動作に伴う対象物の挙動を受けて受動的に動作する受動マニピュレータである。
【0021】
例えば頭部45bはエラストマー樹脂などの柔軟性を有するとともに弾性変形可能な緩衝体で構成される。押さえ部材45は、対象物を保持していない自由状態において、保持部材44の先端部よりも下方に突出していない。すなわち、対象物2を保持していない自由状態において、押さえ部材45の当接部45cは、保持部材44の先端部と同位置(同じ高さ)であるか(図3)、若しくは、保持部材44の先端部よりも上方に位置して(後退して)いる(図4)。後者の場合、押さえ部材45の当接部45cと保持部材44の先端部とのZ方向における距離dは、搬送ベルト26上に配された対象物2のZ方向の幅よりも短くなるように設定される。
【0022】
押さえ部材45は、押さえ部材45の自重による所定の押さえ力で、対象物2を先端側に押圧することになる。この押さえ力は、保持部材44による保持力よりも小さく構成されている。例えば、押さえ力は、保持部材44を閉じる動作によって対象物2を把持する際に、対象物2に当接して押されることで、押さえ部材45が後退する程度の力に構成されている。すなわち、押さえ部材45は、対象物2が保持部材44によって掬い上げられる時に、対象物2を反対に押しつけたり、傷つけたりせずに、対象物2の姿勢を安定させる程度の力を付与する。なお、押さえ部材45は復元性を有し押さえ力を補助するばねなどの付勢部材をさらに備えていてもよい。
【0023】
保持ハンド41は移動装置としての移載アーム42に支持され、移動可能及び回転可能に構成される。
移載アーム42は、例えば搬送経路A1に隣接して配置された基端部から上方及び平面方向において搬送経路を跨いで延出し、保持ハンド41の例えばベース部43を移動可能かつ回転可能に、支持する。具体例として、移載アーム42は、支柱部46と、第1の回動アーム47と、第2の回動アーム48と、回転機構部49と、昇降機構部51とを備える。
【0024】
支柱部46は、例えば搬送経路A1の側部または搬送経路A1の終点位置に隣接する基端位置から上方に立設され、第1の回動アーム47をZ方向の回転軸周りに回転可能に支持する。なお、移載アーム42は、例えば図6に示すように、支柱部46が天井に接続され、第1の回動アーム47を支持する構造でもよい。
【0025】
第1の回動アーム47は支柱部46の上端部に接続され、支柱部46の延出方向であるZ軸に直交して延出するアーム部47aと、アーム部47aを回動させる回転モータ等の駆動源47bと、を備える。アーム部47aの先端に、第2の回動アーム48が連結される。
【0026】
第2の回動アーム48は第1の回動アーム47のアーム部47aの先端に接続され、Z軸に直交して延出するアーム部48aと、アーム部48aを回動させる回転モータ等の駆動源48bと、を備える。アーム部48aの先端に、回転機構部49及び昇降機構部51を介して、保持ハンド41のベース部43が連結される。
【0027】
例えば回動アーム47,48の、回動方向及び回動量は、検出装置50で検出された情報に基づいて決定される。すなわち、移載時に、検出された対象物2の位置に応じて算出された補正条件で回動量を調整することで、個々の対象物に適した位置に移動させることができる。
【0028】
回転機構部49は、第2の回動アーム48の先端部に設けられ、保持ハンド41のベース部43をZ方向に沿う回動軸を中心として回転可能に支持する。回転機構部49の回動動作は制御部によって制御される。例えば回動の方向及び回転量は、搬送経路A1において検出装置50で検出された情報に基づいて決定される。すなわち、回転機構部49は、移載時に、検出された対象物2の向きに応じて算出された補正条件でベース部43を回転させることで、保持ハンド41を個々の対象物2の姿勢に合わせて向きに補正する。保持ハンド41の対象物2に合わせた向きの一例は、例えば対象物2の両側部を挟める位置に2組の保持部材44が配置される姿勢である。
【0029】
昇降機構部51は、保持ハンド41のベース部43を、第2の回動アーム48の先端部に対して、Z方向に移動可能に支持する。昇降機構部51、直線運動可能なシリンダ機構を備え、Z方向に移動可能な昇降軸を有する。昇降機構部51は、昇降軸の下端部にベース部43を支持することで、保持ハンド41を昇降可能に支持する。
【0030】
昇降機構部51の昇降動作は制御部によって制御される。例えば昇降動作のストロークは、検出装置50で検出された情報に基づいて決定される。すなわち、昇降機構部51は、移載時に、検出された対象物2の位置に応じて算出された補正条件で保持ハンド41を昇降させる。
【0031】
以上のように構成された移載アーム42は、搬送経路A1に隣接する基部から、複数のアームのストロークによって定まる所定の可動面及び可動範囲において、保持ハンド41を任意の位置に位置付けることが可能であるとともに、保持ハンド41の昇降移動及び回転移動が可能に構成される。
【0032】
例えば、移載アーム42は、制御部の制御によって駆動されることで、保持ハンド41を第1位置における搬送移動と同方向に移動させながら、搬送経路A1に近接させる。また、移載アーム42は、保持ハンド41が閉状態となり対象物2を保持するまでの間も、保持ハンド41を第1位置P1における搬送移動と同方向に移動させる。また、移載アーム42は、保持ハンド41を、第1位置P1における搬送移動と同方向に移動させながら、搬送経路A1から離間させる。
【0033】
検出装置50は、例えば画像センサを備える撮像装置や照明装置を備える。検出装置50は、制御部61に接続され、搬送経路A1上の対象物を上から撮像して、画像情報を取得するとともに、取得した画像情報を制御部61に送る。
【0034】
制御装置60は、各装置20,40の各駆動機構や各種センサに接続される。制御装置60は、識別情報などに基づき演算・判定などのデータ処理を行い、各部の動作を制御する制御部(データ処理部)61と、各種情報を記憶する記憶部と、を備える。制御部61は、例えば少なくとも一つのプロセッサを含む処理回路を有し、記憶部に記憶されたオペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラムを実行することにより梱包装置1の各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0035】
例えば制御部61は、搬送装置20を駆動し、対象物2を搬送経路A1に沿って搬送する搬送処理を実行させる。また、制御部61は、所定のタイミングで検出装置50の撮像装置を駆動することにより、対象物2を撮像して画像を取得する。また、制御部61は、検出装置50の撮像装置にて撮像した画像や各種センサSによる検出データに基づき、搬送経路A1上の対象物2の位置や状態を検出する。
【0036】
また、制御部61は、移載装置40を駆動することにより、保持ハンド41の移動及び開閉動作を行わせ、対象物2を第1位置P1からピックアップし、第2位置P2に移動させ、第2位置P2において解放する、移載処理を行う。
なお、梱包装置1において、移載装置40の配置位置は上記に限定されるものではない。図7Aおよび図7Bは、梱包装置1における移載装置の配置位置の他の例を概略的に示す平面図である。
例えば図7Aに示すように、移載アーム42が、平面図における搬送経路A1の延長線上に配置された基端部から上方及び平面方向において延出するように、移載装置40が配置されていてもよい。また、図7Bに示すように、移載装置40は、搬送経路A1を跨ぐように配置された支持台上の基端部から延出した移載アーム42を備えていてもよい。これらの場合には、移載装置40の両脇に容器3が配置され、移載装置40は搬送経路A1上でピックアップした対象物2を、いずれかの容器3に振り分けて移載する。
【0037】
次に、本実施形態に係る梱包処理について説明する。
図8乃至図10は、梱包装置1の動作を示す説明図である。図8はピックアップ処理、図9は移動、図10は解放処理を、それぞれ示している。なお、図8においては、移動経路と保持ハンド41の保持動作を説明しやすくするために、保持ハンド41と対象物2の姿勢を90度回転した姿勢として示している。
梱包装置1による梱包処理は、搬送装置20により対象物2を送る搬送処理と、検出装置により対象物2の姿勢等の状態を検出する検出処理と、対象物2を保持して移載する移載処理と、を備える。
【0038】
なお、本実施形態においては複数のきゅうりを、箱状の容器3の載置部3aに並べて配置する。
本実施形態においては、一例として、移載処理は、保持ハンド41を搬送方向に移動しながら搬送経路A1に近接させて対象物2を保持して引き上げるピックアップ処理と、保持ハンド41を第2位置P2に移動させる移動処理と、保持ハンド41を解放する解放処理と、を備える。なお、一例としてピックアップ処理と、移動処理と、解放処理に分けて3段階で説明するが、個々の処理の条件は適宜変更可能である。例えば、ピックアップ処理におけるZ方向及びY方向の動作と、移動処理におけるX方向の動作とを、一連の移動動作として、同時に行ってもよい。
【0039】
これらの複数の処理は制御部61によって制御され、個々の対象物2に対して、搬入、搬送、検出、保持、移動、解放、の一連の処理が順次行われる。
【0040】
容器3は、事前に、移載装置40に対し搬送方向の上流側と下流側とのそれぞれに配置されている。なお、図示しない容器搬送装置により、容器3が所定の位置に配されるように容器供給処理が行われてもよい。
まず、前工程として、搬送経路A1の上流側において、複数の対象物2を一本ずつ搬送経路に搬入する対象物搬入処理が行われる。例えば本実施形態において、搬送経路A1上において対象物2であるきゅうりは、長手方向が搬送面に沿って横臥した状態で搬送される。
【0041】
制御部61は、対象物2の搬送処理として、所定の時間間隔で搬送ベルト26の送り運動及び停止を行う。対象物2はベルトの運転により下流側に送られるなお、きゅうりの長手方向は、搬送方向に対して傾斜していることもあり、この場合には制御部61は移載処理と同時に姿勢を揃える補正処理を行う。
【0042】
制御部61は、対象物2がピックアップ位置である第1位置P1よりも上流側の検査位置を通過する際に、検出装置50を駆動し、対象物2を撮像し、個々の対象物2の姿勢等の状態を検出する。そして、制御部61は、搬送経路A1上の対象物2の画像から、対象物2の姿勢条件を検出し、移載処理における保持ハンド41の動作条件を算出する。例えば、動作条件として、保持の際の保持ハンド41の向きや、第2位置P2への移動中に回転させる補正量等である。なお、制御部61は、この対象物2の検出画像に基づいて、対象物2の商品価値に関わる各種項目の判定等をあわせて行ってもよい。
【0043】
移載処理として、制御部61は、算出された動作条件にて移載装置40を駆動し、ピックアップ処理、移動処理、解放処理、を順番に行う。まず、ピックアップ処理として、待機位置にある保持ハンド41を、第1位置P1の上方の準備位置P0に移動する。なお準備位置P0は例えば第1位置P1よりも搬送経路A1の上流側にずれた位置の直上など、後の近接移動を行うことで、第1位置P1に到達できる所定の位置に設定される。保持ハンド41は、搬送経路A1の第1位置P1に対象物2が搬送される前の所定のタイミングで、第1位置P1に向けて接離方向となるZ方向の下降動作と搬送方向の移動動作とを組み合わせた湾曲経路にて移動する。その際、対象物2及び保持ハンド41先端部の保持部材44が第1位置P1に到達するタイミングで保持部材44を閉状態に切替える。また制御部61は保持部材44が開状態から閉状態となり対象物2を把持するまでの間も、保持ハンド41を搬送経路A1と同速で同方向に移動する。例えば保持ハンド41により対象物2の保持が完了する保持完了位置P3は、搬送方向の二次側にある。そして、制御部61は、保持ハンド41を、対象物2を保持した状態で第1位置P1よりも二次側の保持完了位置P3から、上昇動作と搬送方向の移動動作とを組み合わせた経路で移動して、引き上げ位置P4まで、引き上げる。
【0044】
これら一連のピックアップ処理において、移載アーム42は、昇降機構部51によるZ方向の昇降動作と、回動アーム47,48の回動による搬送移動と同じ方向及び同じ速度での移動とを、同時に行うことで、搬送経路A1の側面(Y方向)方向から見た保持ハンド41の移動軌跡は、搬送経路A1に対して上側が開口するように弓状に湾曲した鍋底形状を描く軌跡となる。そして、この湾曲形状の移動経路の最下点において保持ハンド41が閉じられて対象物2を保持する間も、搬送経路A1と同方向及び同速度で移動する。
【0045】
対象物2が開状態にある複数の保持部材44の間に配置された状態から、閉状態に変形すると、例えば伸縮部44cが伸長することで、先端部が内側に向かって移動し互いに近接するように湾曲する、閉状態となる。対象物2が搬送経路A1の搬送面に横臥状態で置かれている時に、搬送経路A1の搬送面との間に形成される両側部の隙間に、複数の保持部材44の先端が入り込むことで、対象物2を把持する。例えば対象物2の把持として、複数の保持部材44により対象物2を把持する他、1つあるいは複数の保持部材44により対象物2を掬い上げ、押さえ部材45と保持部材44とで対象物2を把持してもよい。
【0046】
このとき押さえ部材45の当接部45cが、保持部材44の先端と高さ方向(Z方向)において同水準位置であること、もしくは、保持部材44の先端より後退しかつ後退幅dが対象物2のZ方向における断面高さより短いことは、きゅうりの様にある程度の剛性や可撓性および質量を有した果菜を把持する際に有利に作用する。つまり、押さえ部材45が保持部材44の先端よりも後退していることで、ピックアップ時に、保持部材44が把持対象物2に近接することができ、把持対象物2と搬送ベルト26との隙間に容易に侵入することができる。このことにより、保持部材44により把持対象物2を容易にすくい上げることが可能となる。その結果、保持部材44は、搬送ベルト26と共に移動している把持対象物2を、短時間で安定的にすくい上げることができる。
【0047】
なお、ここで対象物2はきゅうりに限定されるものではないが、保持部材44により安定的に把持される対象物2は、所定の重さ以上であることが望ましい。例えば、対象物2として20g以上の果菜であれば保持ハンド41により短時間で安定的にすくい上げることができる。20g未満の果菜を対象物2とした場合、保持部材44により対象物2を把持する際に、保持部材44が把持対象物2と搬送ベルト26との隙間に侵入し、対象物2をすくい上げると、保持部材44により把持対象物2を跳ね上げて対象物2が不安定となる可能性がある為である。
【0048】
これに対し、約100gのきゅうりを対象物2とした場合、この程度の重量を有する対象物2は搬送ベルト26上で安定的に搬送され、保持部材44が対象物2と搬送ベルト26との隙間に容易に侵入できる。更に、保持部材44が対象物2の下部に入り込む際に、押さえ部材45の当接部45cが対象物2に接触して押さえ部材45が上部から対象物2を抑えつける動作を行うため、対象物2を跳ね上げて把持しそこなうことが防止できる。
【0049】
なお、押さえ部材45の押さえ力は、保持部材44による保持力よりも弱く、対象物2に押されることによって後退可能であることから、対象物を傷つけることがない。この為、先に例として挙げたきゅうり以外にも、ピーマンの様に中空構造を持ち一定の力に対し弾性変形するような(復元力を有する様な)果菜を対象物2とした場合であっても、保持ハンド41により短時間で安定的にすくい上げることができる。保持部材44により必要以上の把持力が加えられることがなく、対象物2が加傷される懸念が無い為である。
【0050】
以上により、保持ハンド41が、複数の保持部材44と押さえ部材45とで対象物2を把持した保持状態となる。さらに保持ハンド41は、搬送方向の動作と同期しながら、移載アーム42を駆動することで、保持ハンド41をZ方向上方向に引き上げる。
【0051】
ここまでの動作において、対象物2に加えられる応力は、押さえ部材45の移動により逃がすことができ、対象物2が加傷されることは無い。以上によりピックアップ動作が完了する。
【0052】
続いて、移動処理として、制御部61は、引き上げ位置P4から、保持ハンド41をX方向あるいはX方向及びZ方向に移動し、容器3の載置部3aに配される第2位置P2の直上に移動する。載置部3aにおける第2位置P2は、対象物2を容器3内に順次並べて配する位置に応じて、載置部3aにおいて順次移動するように設定される。なお、移動処理においては解放位置の条件に応じて、X方向の移動のみ、あるいはX方向の移動に加えZ方向の移動を行ってもよく、さらにY方向の移動を組み合わせてもよい。
【0053】
保持ハンド41による対象物2移載処理中も、搬送ベルト26は継続して次のピックアップ対象となる対象物2の運搬を継続している。この為、移動処理は可能な限り高速で行う必要があるが、本実施形態の移載装置40では保持ハンド41による高速移動処理動作において対象物2は脱落することなく安定的に移載される。つまり、移載処理中は、複数の保持部材44に加え押さえ部材45により、好適な力で対象物2が保持されているためである。
【0054】
このとき、制御部61は画像から検出した対象物2の初期姿勢に応じた条件で、保持ハンド41を移動及び回動させることで、個々の対象物2の向きや位置を補正してもよい。例えば、対象物2の長手方向が搬送方向に対して傾斜した初期姿勢であるとき、制御部61は移載処理と同時に、保持ハンド41に対する対象物2の姿勢を揃えるように、保持ハンド41を移動および回転させる補正処理を行う。
【0055】
続いて、制御部61は、容器3の底面に近接する様に保持ハンド41を移動させる(図3におけるZ方向の移動)。解放処理において、複数の保持部材44は対象物2を把持する閉状態から、駆動機構であるエア供給機構45dによってエア流路44a内の空気量を減少させ、伸縮部44cが縮み、先端部が外側に向かって移動し、互いに離間する開状態に変形することで、対象物2を解放する。
【0056】
解放処理に伴い対象物2は落下するが、容器3の載置部3aに保持ハンド41自体が近接しているため、対象物2に対し落下時の衝撃は小さく抑えることが出来る。また、保持部材44が載置部3aに近接した状態であるため、対象物2が底面に着地する際の衝撃による位置ずれを抑止することが可能である。また、自由状態における押さえ部材45の当接部45cのZ方向における位置が、保持部材44の先端と一致、若しくは、保持部材44の先端よりも後退した位置に設定されている為、対象物2の解放時に対象物2を必要以上の力で載置部3aに押し付けることなく、載置部3a上で対象物2を安定させることができる。
【0057】
また、制御部61は、容器3への箱詰め動作の初期と後期とで、容器3内における対象物2の向きを変える補正動作等を行ってもよい。具体的には、制御部61は、例えば箱詰めの初期において対象物2の長軸が搬送方向に対し垂直となるように容器3内に配し、箱詰めの後期において、対象物2のサイズや重量分布に応じて、対象物2の長軸が搬送方向に対し平行となるように容器3内に配する等の補正動作を行ってもよい。
以上により移載動作が完了する。
【0058】
制御部61は、対象物2の移載動作の終了後、再び移載アーム42を準備位置P0に移動させる。そして、所定のタイミングで対象物2の保持、移動、解放処理を繰り返すことで、搬送処理と並行して、移載処理を順次行う。
【0059】
本実施形態にかかる移載装置40及び移載方法によれば、搬送経路A1上から、対象物2に負荷をかけずに、対象物2をピックアップすることができる。すなわち、搬送による慣性力を逃がしながら、ピックアップ処理を行える。すなわち、上記実施形態において、保持ハンド41は、搬送経路A1に接離するピックアップ処理の際、Y方向においては対象物2の搬送移動と同期して移動することにより、搬送によって対象物2にY方向に加わる慣性力を逃がし、過剰な応力が加わることを防止できる。したがって、ピックアップ処理のために搬送を停止させて間欠動作をさせる必要が無く、処理効率を向上できる。また、昇降による接離動作に搬送移動と同様の移動を加えるだけであるため、特別な機構を必要とせず、単純な装置構成で実現可能である。
【0060】
また、上記実施形態においては把持及び解放を切替える保持部材44と、後退可能な押さえ部材45とによって、保持ハンド41が対象物2を保持するため、対象物2にかかる過剰な力を吸収できる。すなわち、保持ハンド41の押さえ部材45は、対象物をZ方向に仮固定しつつ、対象物2の力をうけて後退可能に構成されているため、対象物への過剰な応力を逃がしながら姿勢を安定させることができる。よって把持力を調整する為の複雑なフィードバック機構を用いることなく、適度な保持力を実現できる。したがって、例えば、本実施形態の移載装置40により、複雑な形状や、保持力により容易に変形する性質を有する農作物を安定的に、無傷で移載することが可能である。例えば、表皮に無数の突起を有するきゅうり、中空構造を有するピーマン等であっても、本実施形態の移載装置40によれば消費価値を損じることなく移載することが可能である。
【0061】
また、対象物2が容器3へ放出される際には、保持部材44は、第2位置P2の直上において載置部3aに近接した位置にあるため、対象物2の予期せぬ移動やバウンドが防止され、移載精度を向上できる。これは、保持ハンド41の自由状態において、押さえ部材45の当接部45cと保持部材44の先端とがZ方向において同じ位置、もしくは当接部45cが保持部材44の先端よりも後退しているためである。つまり、保持ハンド41の自由状態において当接部45cが上記位置にあることで、対象物2を解放する際、対象物2を載置部3aに対し必要以上の力で付勢することなく解放可能であって、対象物2の移動を抑制できる。例えば図10に示すように、対象物2が容器3へ放出される際、保持部材44の先端が瞬間的に載置部3aに近接することで、対象物2が保持部材44および押さえ部材45から解放された後にも保持部材44により対象物2の移動が制限され、保持部材44により対象物2の移動を抑制できる。
【0062】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態において保持ハンド41は対象物を挟持する複数の保持部材と、受動マニピュレータとなる押さえ部材とで保持する構成を示したが、これに限られるものではない。例えば保持部材と、能動マニピュレータとで、対象物を挟持する構成としてもよい。
【0063】
上記実施形態においては、保持の直前及び直後に搬送経路A1対して保持ハンド41を近接させるピックアップ処理の間、搬送移動と同期した移動を行い、その後のX方向の移動処理においては同期した移動を伴わない例を示したが、これに限られるものではない。例えば第2位置P2に移動するまで、搬送移動と並行した移動を併用してもよい。また、移動処理において、X方向の移動に加えZ方向の移動、すなわち第2位置P2の直上への下降処理を行ってもよい。
【0064】
また、対象物2はきゅうりに限られない。例えば他に、表面に突起を有するゴーヤ、把持位置により断面径の異なる茄子、把持により容易に変形するピーマン、薄柔な外皮を持つ桃、葉鞘が可食部となるみょうが、果実の柔毛が商品価値を左右するオクラ、花弁その他の農産物に適用できる。
【0065】
なお、移載アーム42の構成は上述の2軸の回動アームに限らず、3軸以上の移動機構によって3軸方向以上の移動が可能に構成されていてもよい。
【0066】
その他、搬送速度を演算する為のエンコーダー装置、対象物を自動で洗浄する装置、対象物の投入を自動化する為のホッパーや整列装置、撮像装置で判定された不良品を受理する為の装置等が設けられていてもよい。
【0067】
また、各部の具体的構成や材質等は上記実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。
【0068】
この他、上記実施形態に例示された各構成要素を削除してもよく、各構成要素の形状、構造等を変更してもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…梱包装置、2…対象物、3…容器、3a…載置部、20…搬送装置、25…ガイド部材、26…搬送ベルト、40…移載装置、41…保持ハンド、42…移載アーム(移動装置)、43…ベース部、44…保持部材、44a…エア流路、44b…ブレード部、44c…伸縮部、45…押さえ部材、45a…軸部、45b…頭部、45c…当接部、45d…エア供給機構、46…支柱部、47…回動アーム、47a…アーム部、47b…駆動源、48…回動アーム、48a…アーム部、48b…駆動源、49…回転機構部、50…検出装置、51…昇降機構部、60…制御装置、61…制御部、70…前処理エリア、A1…搬送経路、P0…準備位置(待機位置)、P1…ピックアップ位置(第1位置)、P2…第2位置、P3…保持完了位置、P4…引き上げ位置(退避位置)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10