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  • 特開-チューブ容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013028
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/12 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
B65D35/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114926
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 彩子
(72)【発明者】
【氏名】本庄 美香
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA16
3E065BA18
3E065BA25
3E065BA34
3E065BB03
3E065CA09
3E065DA04
3E065DB05
3E065DC01
3E065DD05
3E065EA01
3E065FA04
3E065GA10
3E065HA01
3E065HA04
3E065HA10
(57)【要約】
【課題】胴部とスパウトの溶着時に外観不良が発生しにくいチューブ容器を提供する。
【解決手段】筒形状を有する筒部と、筒部の一方端に接続されるフランジ部とを有するスパウトと、一方端が閉塞され、他方端から所定範囲の部分がフランジ部にシールされた胴部とを備え、フランジ部は、筒部の一方端に接続され、筒部との接続部から外方に広がる第1環状部と、第1環状部の外周縁に接続され、第1環状部との接続部から外方に広がる第2環状部と、第1環状部から外方側に突出し、第2環状部との間に所定の隙間を形成する環状のリブ6とを有し、胴部の他方端が第2環状部とリブ6との間の隙間に収容された状態で、胴部の他方端から所定範囲が第2環状部にシールされている、チューブ容器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状を有する筒部と、前記筒部の一方端に接続されるフランジ部とを有するスパウトと、
一方端が閉塞され、他方端から所定範囲の部分が前記フランジ部にシールされた胴部とを備え、
前記フランジ部は、
前記筒部の前記一方端に接続され、前記筒部との接続部から外方に広がる第1環状部と、
前記第1環状部の外周縁に接続され、前記第1環状部との接続部から外方に広がる第2環状部と、
前記第1環状部から外方側に突出し、前記第2環状部との間に所定の隙間を形成する環状のリブ6とを有し、
前記胴部の前記他方端が前記第2環状部と前記リブ6との間の前記隙間に収容された状態で、前記胴部の前記他方端から所定範囲が前記第2環状部にシールされている、チューブ容器。
【請求項2】
前記リブ6の突出量が、0.6~0.85mmである、請求項1に記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウトと胴部とが溶着されたチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化粧品、食品等の包装材として、樹脂を主体とした材料からなるチューブ容器が広く用いられている。例えば、特許文献1には、内容物を抽出する注出ユニットと、注出ユニットに溶着され、内容物を収容する胴部とから構成されるチューブ容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-142995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3は、従来技術に係るチューブ容器の概略正面図である。チューブ容器は、スパウト101と胴部102とから構成されており、胴部102を構成するシートの最内層であるシーラント層とスパウト101のフランジ部103の外面とが溶着されている。スパウト101は、図3に示すようなプリーツ状に折り込まれた胴部102の端部に溶着される。そのため、溶着時に胴部102のシーラント層及びフランジ部103の樹脂の一部が胴部102の端部からはみ出し、外観が損なわれる場合があった。
【0005】
それ故に、本発明は、胴部とスパウトの溶着時に外観不良が発生しにくいチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るチューブ容器は、筒形状を有する筒部と、筒部の一方端に接続されるフランジ部とを有するスパウトと、一方端が閉塞され、他方端から所定範囲の部分がフランジ部にシールされた胴部とを備え、フランジ部は、筒部の一方端に接続され、筒部との接続部から外方に広がる第1環状部と、第1環状部の外周縁に接続され、第1環状部との接続部から外方に広がる第2環状部と、第1環状部から外方側に突出し、第2環状部との間に所定の隙間を形成する環状のリブ6とを有し、胴部の他方端が第2環状部とリブ6との間の隙間に収容された状態で、胴部の他方端から所定範囲が第2環状部にシールされている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、胴部とスパウトの溶着時に外観不良が発生しにくいチューブ容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るチューブ容器のスパウト周辺の概略断面図
図2】溶着前のスパウトの概略断面図
図3】従来技術に係るチューブ容器の概略構成を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態に係るチューブ容器は、スパウト1と胴部とを備える。図1は、実施形態に係るチューブ容器のスパウト周辺の概略断面図であり、図2は、溶着前のスパウトの概略断面図である。
【0010】
(胴部11)
胴部11は、内容物を収容するための部材であり、略平行な対向する一対の端縁を有するシートを筒状として形成される。シートの両端を貼り合わせる方法としてはシートの両端を突き合わせた突付け部をシートの内面からテープ材でシールする突付けテープ貼りや、シートの内面と外面とをシートの内面からテープ材で貼り合わせる封筒テープ貼り、シートの一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分の内面同士を合掌状に突き合わせて溶着させる合掌貼りが用いられる。胴部11の一方の端部はシールされて閉塞されており、胴部11の他方の端部には、後述するフランジ部3の第2環状部5の外面9にシールされている。胴部11とフランジ部3との溶着部には、胴部11を構成するシートが折り畳まれてなるプリーツが複数形成される。プリーツの内側には開口12が形成されており、当該開口12に、チューブ容器の内側から後述するスパウト1の筒部2を挿通させた状態で、胴部11とスパウト1を溶着する。胴部11は、ガスバリア層などの他の層を適宜含んでもよい。胴部11の長さは、例えば、50~250mmとすることができる。
【0011】
(スパウト)
本発明の実施形態に係るスパウト1は、チューブ容器の胴部11に収容された内容物を外部に注出するための部材であり、筒状の筒部2とフランジ部3とを備える。
【0012】
筒部2は、胴部11に収容された内容物を取り出す際の注出口となる円筒状の部材である。筒部2は、図1に示すように外周面にネジを備えて、キャップを螺合により取り付けるようにしてもよい
【0013】
フランジ部3は、筒部2の一方の端部10a(図1における下端)に接続され、第1環状部4、第2環状部5、及びリブ6を備える。
【0014】
第1環状部4は、筒部2との接続部から外方(筒部2の軸方向と直交する方向)に広がるように設けられている。第2環状部5は、第2環状部5に設けられた円環状の壁部7を介して第1環状部4の外周縁に接続され、第1環状部4との接続部から外方(筒部2の軸方向と直交する方向)に広がるように設けられている。第1環状部4と第2環状部5とが壁部7を介して接続されることにより、第1環状部4と第2環状部5との間に段差が形成される。フランジ部3(第1環状部4および第2環状部5)は、本実施形態のように円環状に形成されてもよいし、胴部11を接合することができる限り、フランジ部3の形状は限定されず、楕円形、長円形、トラック形、多角形等であっても良い。本実施形態では、第1環状部4及び第2環状部5が、筒部2の軸方向と直交する方向に延びるように形成されているが、筒部2側に向かって形が狭まるテーパー状であっても良い。
【0015】
第2環状部5の外面9(筒部2の端部10b側の面)には、円環状の凸部8が設けられている(図2)。凸部8は、超音波溶着を行う際に、超音波振動を集中させて安定した溶着を可能にするための部材である。凸部8は、第2環状部5の筒部2側の面に、第2環状部5の外縁と同心円状に形成される。一例として、凸部8は、略台形または三角形の断面形状を有する。スパウト1のフランジ部3に胴部11を溶着する際、凸部8が最初に溶融し、溶融した樹脂が胴部11の内面とフランジ部3との間に広がる。この結果、凸部8が溶融した樹脂を介して、胴部11の内面とフランジ部3の外面9とを面で溶着することができる。
【0016】
リブ6は、第1環状部4の外周縁から外方側に突出するように設けられる環状の部材である。リブ6と第2環状部5との間には所定の隙間が形成される。そのため、溶着時に溶融した胴部11のシーラント層及びスパウト1の樹脂が胴部11の端面からはみ出してしまっても、リブ6によって隠すことができ、チューブ容器の美観が損なわれるのを抑制することができる(図2)。リブ6の第1環状部4の外周縁からの突出量(壁部7から筒部2の軸方向と直交する方向への突出量)は、0.6~0.85mmであることが好ましい。突出量が0.85mm以下であれば、スパウト1と胴部11との溶着時にリブ6が邪魔にならず、溶着がしやすい。また、0.6mm以上であれば、溶着時に胴部11の端面からはみ出した樹脂を十分に隠すことができる。
【0017】
スパウト1は、熱可塑性樹脂により成型されてもよいし、熱可塑性樹脂と樹脂以外のフィラーを含む材料により成型されてもよい。スパウト1の材料に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド及びシクロポリオレフィンのいずれか1種、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。フィラーとしては、タルク、カオリン、紙粉及びセルロース繊維のいずれか1種、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。スパウト1の材料として、熱可塑性樹脂と、樹脂以外のフィラーの混合物を用いることにより、成型性や胴部11のシート材との熱溶着性を維持しつつ、樹脂の使用量を低減することが可能となる。スパウト1の成型方法は特に限定されないが、射出成形、真空成形・熱板圧空成型等のサーモフォーミング、コンプレッション成型等の既存の成型方法を利用可能である。
【0018】
(溶着)
スパウト1の筒部2を、胴部11の内側から、胴部11端部に形成された開口12に挿通させて、第2環状部5の上面に設けられた凸部8を胴部11のシーラント層に接触させる。このとき、平面視において、胴部11の端面とリブ6の端部とが略一致する。この状態において、溶着用のシール金型を胴部11の外側から押し当てる。溶着時において、リブ6はシール金型の内側に位置している。また、溶着時には胴部11の端面とリブ6とが接触する場合があるため、リブ6は胴部11の端面から外力を加えられても破損しない程度の強度を有する必要がある。
【0019】
シール金型は円環状をしており、平面視において凸部8を覆う必要がある。シール金型のサイズは、例えば、外径がφ32.5mm(半径16.25mm)、内径がφ27mm(半径13.5mm)とすることができる。シール金型は、例えば超音波などのエネルギーが供給されることで発熱し、これにより、胴部11のシーラント層と、スパウト1の凸部8とを溶融させ、胴部11とスパウト1とを溶着することができる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態に係るチューブ容器は、スパウト1のフランジ部3において第1環状部4と第2環状部5との間に段差が形成されており、さらに第1環状部4の外周縁にはリブ6が形成されている。これにより、溶着時に溶融した樹脂が胴部11の端部から露出して外観が損なわれてしまうのを抑制できる。
【0021】
また、リブ6の突出量が0.6~0.85mmであるため、溶着時にスパウト1と胴部11との溶着時にリブ6が邪魔にならず、また、溶着時に胴部11の端面からはみ出した樹脂を十分に隠すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明に係るチューブ容器は、医薬品化粧品、食品等の包装材として利用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 スパウト
2 筒部
3 フランジ部
4 第1環状部
5 第2環状部
6 リブ
10a 端部
10b 端部
図1
図2
図3