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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130280
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】オペアンプ回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H03F3/45 220
H03F3/45 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039917
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】乗松 宏紀
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA47
5J500AC54
5J500AF07
5J500AF13
5J500AF17
5J500AH10
5J500AH25
5J500AH29
5J500AK02
5J500AK05
5J500AK46
5J500AK47
5J500AM08
5J500AM13
5J500AM17
5J500AM21
5J500AT01
5J500AT02
5J500AT03
5J500DN12
5J500DN22
5J500DN23
5J500DP01
5J500DP03
(57)【要約】
【課題】回路電流の増大を抑えつつ、安定性を改善したオペアンプを提供する。
【解決手段】出力段130には、容量性の負荷CLが接続される。レプリカ140は、出力段130と同じ入力信号Vによって制御されるが、負荷CLとは接続されない。フィードバック回路150は、出力段130から出力される本出力信号VOUTとレプリカ140から出力されるダミー出力信号VDUMMYとを受け、それらの誤差に応じたフィードバック信号VFBを利得段120に供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動入力段と、
利得段と、
負荷と接続されるべき出力段と、
前記負荷と接続されない前記出力段のレプリカと、
前記出力段から出力される本出力信号と前記レプリカから出力されるダミー出力信号とを受け、それらの誤差に応じたフィードバック信号を前記利得段に供給するフィードバック回路と、
を備える、オペアンプ回路。
【請求項2】
前記利得段は、折り返しカスコード回路であり、前記フィードバック信号は、前記利得段のバイアス電圧として供給される、請求項1に記載のオペアンプ回路。
【請求項3】
前記出力段は、第1ハイサイドトランジスタおよび第1ローサイドトランジスタを含むAB級であり、
前記レプリカは、ゲートが前記第1ハイサイドトランジスタのゲートと接続された第2ハイサイドトランジスタと、ゲートが前記第1ローサイドトランジスタのゲートと接続された第2ローサイドトランジスタと、を含む、請求項1または2に記載のオペアンプ回路。
【請求項4】
前記出力段と前記レプリカは、同一の静的利得を有する、請求項1または2に記載のオペアンプ回路。
【請求項5】
前記出力段と前記レプリカは、対応するトランジスタ同士が同一サイズを有する、請求項1または2に記載のオペアンプ回路。
【請求項6】
前記フィードバック回路は、
前記本出力信号の低周波成分を除去する第1ハイパスフィルタと、
前記ダミー出力信号の低周波成分を除去する第2ハイパスフィルタと、
前記第1ハイパスフィルタの出力と前記第2ハイパスフィルタの出力を受ける差動アンプと、
を含む、請求項1または2に記載のオペアンプ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オペアンプ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの入力電圧の差を増幅するために、オペアンプ(差動増幅器)が利用される。オペアンプの安定性を表す指標として、ゲイン余裕と位相余裕がある。
【0003】
一般的なオペアンプの構成では、出力負荷容量が大きくなるにつれて位相余裕が低下し、発振安定性が低下する。具体的な負荷容量が1000pFを超えると、位相余裕は30°を下回る場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7001468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示はかかる状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、回路電流の増大を抑えつつ、安定性を改善したオペアンプの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様はオペアンプ回路に関する。オペアンプ回路は、差動入力段と、利得段と、負荷と接続されるべき出力段と、負荷と接続されない出力段のレプリカと、出力段から出力される本出力信号とレプリカから出力されるダミー出力信号とを受け、それらの誤差に応じたフィードバック信号を利得段に供給するフィードバック回路と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示のある態様によれば、回路電流の増大を抑えつつ、安定性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るオペアンプのブロック図である。
図2図2は、オペアンプ回路の位相余裕を示す図である。
図3図3は、オペアンプ回路のゲイン特性を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るオペアンプ回路の回路図である。
図5図5は、図4のオペアンプ回路の一実施例を示す回路図である。
図6図6は、図4のオペアンプ回路の一実施例を示す回路図である。
図7図7は、図4のオペアンプ回路の一実施例を示す回路図である。
図8図8は、図4のオペアンプ回路の一実施例を示す回路図である。
図9図9は、変形例1に係るオペアンプ回路の回路図である。
図10図10は、変形例2に係るオペアンプ回路の回路図である。
図11図11は、変形例3に係るオペアンプ回路の回路図である。
図12図12は、変形例4に係るオペアンプ回路の回路図である。
図13図13は、変形例5に係るオペアンプ回路の回路図である。
図14図14は、変形例6に係るオペアンプ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0011】
一実施形態に係るオペアンプ回路は、差動入力段と、利得段と、負荷と接続されるべき出力段と、負荷と接続されない出力段のレプリカと、出力段から出力される本出力信号とレプリカから出力されるダミー出力信号とを受け、それらの誤差に応じたフィードバック信号を利得段に供給するフィードバック回路と、を備える。
【0012】
大きな負荷容量は位相遅れをもたらすポールを生成する。これにより出力段における本出力の減衰量が大きくなり、本出力とダミー出力のミスマッチが大きくなる。上記構成によれば、負荷容量が大きい場合に、ミスマッチが小さくなるように利得段にフィードバックをかけることにより、新たなゼロ点を追加することができ、ポールの位相遅れをキャンセルすることができ、回路の安定性を改善できる。この手法は、バイアス電流を常に大きくする必要がないため、消費電力の増加が抑えられている。また負荷容量が小さく、本出力とダミー出力のミスマッチが小さい場合にはフィードバック回路は、利得段に影響を与えない。
【0013】
一実施形態において、利得段は、折り返しカスコード回路であり、フィードバック信号は、利得段のバイアス電圧として供給されてもよい。
【0014】
一実施形態において、出力段は、第1ハイサイドトランジスタおよび第1ローサイドトランジスタを含むAB級であり、レプリカは、ゲートが第1ハイサイドトランジスタのゲートと接続された第2ハイサイドトランジスタと、ゲートが第1ローサイドトランジスタのゲートと接続された第2ローサイドトランジスタと、を含んでもよい。
【0015】
一実施形態において、出力段とレプリカは、対応するトランジスタ同士が同一サイズを有してもよい。これにより、ミスマッチを高い精度で検出できる。
【0016】
一実施形態において、レプリカのトランジスタサイズと出力段のトランジスタサイズは異なっていてもよい。この場合、出力段とレプリカは、同一の静的利得を有していればよい。たとえばレプリカのトランジスタサイズを、出力段のトランジスタサイズより小さくしてもよく、その場合、回路面積を小さくできる。
【0017】
一実施形態において、フィードバック回路は、本出力信号の低周波成分を除去する第1ハイパスフィルタと、ダミー出力信号の低周波成分を除去する第2ハイパスフィルタと、第1ハイパスフィルタの出力と第2ハイパスフィルタの出力を受ける差動アンプと、を含んでもよい。
【0018】
(実施形態)
以下、本開示を、好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明あるいは開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明あるいは開示の本質的なものであるとは限らない。
【0019】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続された場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続された場合も含む。
【0020】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続された場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続された場合も含む。
【0021】
図1は、実施形態に係るオペアンプ100のブロック図である。オペアンプ100は、差動入力段110、利得段120、出力段130、レプリカ140、フィードバック回路150を備える。オペアンプ回路100は、反転入力端子INN(-)、非反転入力端子INP(+)および出力端子OUTを備える。出力端子OUTには、容量性の負荷CLが接続されうる。
【0022】
差動入力段110は、テイル電流源112および差動対114を含む。後述するように、図1では、差動対114は、PMOSトランジスタであるが、本開示はそれに限定されず、差動対114は、NMOSトランジスタであってもよいし、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの差動対を備えるレイルトゥレイルの構成であってもよいし、
【0023】
利得段120は、差動入力段110の出力信号を増幅する。出力段130は、利得段120の出力信号Vを受け、出力端子OUTに本出力信号VOUTを発生する。
【0024】
レプリカ140は、出力段130と同じ構成を有しており、利得段120の出力信号Vに応じたダミー出力信号VDUMMYを発生する。出力段130の出力ノードには、容量性負荷CLが接続されうるのに対して、レプリカ140の出力ノードは、容量性負荷CLから分離されている。
【0025】
レプリカ140と出力段130は、対応するトランジスタ同士が同一サイズ(ゲート幅/ゲート長:W/L)を有するように設計することが好ましい。これにより、レプリカ140と出力段130は、同じ静的利得を有することとなり、ミスマッチを高い精度で検出できる。
【0026】
ただし、レプリカ140のトランジスタサイズと出力段130のトランジスタサイズは異なっていてもよい。サイズが異なっていても、レプリカ130を出力段140と実質的に同一の静的利得を有するように設計することにより、ミスマッチを高い精度で検出できる。たとえばレプリカ140のトランジスタサイズを、出力段130のトランジスタサイズより小さくしてもよく、レプリカ140を追加したことによる回路面積のオーバーヘッドを小さくできる。
【0027】
フィードバック回路150は、本出力信号VOUTおよびダミー出力信号VDUMMYを受ける。フィードバック回路150は、本出力信号VOUTとダミー出力信号VDUMMYの誤差(ミスマッチ)に応じたフィードバック信号SFBを、利得段120に供給する。フィードバック信号SFBが利得段120に作用することにより、利得段120の出力信号Vは、ミスマッチがゼロに近づくように変化する。
【0028】
以上がオペアンプ100の構成である。続いてオペアンプ回路100の動作を説明する。
【0029】
図2は、オペアンプ回路100の位相余裕を示す図である。横軸は負荷容量CLを、縦軸は位相余裕を示す。図1のオペアンプ回路100によれば、負荷容量CLが1000pFあるいはそれより大きくなっても、30°より大きな位相余裕を保つことができ、安定性を改善できる。
【0030】
図3は、オペアンプ回路100のゲイン特性を示す図である。横軸は周波数を、縦軸はゲインを示す。図3には、負荷容量CLが小さいとき(たとえば0pF)と、負荷容量CLが大きいとき(たとえば1000pF)の、ゲイン特性が示される。
【0031】
負荷容量CLが小さいときは、本出力信号VOUTとダミー出力信号VDUMMYの誤差(ミスマッチ)はゼロであるから、フィードバック回路150は利得段120の動作に影響を与えない。つまり、負荷容量CLが小さい場合に、GBW(ゲイン帯域幅積)を延ばすような不安定なフィードバックは発生しない。
【0032】
これに対して、負荷容量CLが大きくなると、フィードバック回路150は、本出力信号VOUTとダミー出力信号VDUMMYのミスマッチが小さくなるように、利得段120にフィードバックをかける。その結果、新たなゼロ点が追加されることとなり、ポールの位相遅れをキャンセルすることができる。
【0033】
本開示は、図1のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、方法に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本開示の範囲を狭めるためではなく、本開示や本発明の本質や動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や実施例を説明する。
【0034】
(実施形態)
図4は、実施形態に係るオペアンプ回路100Aの回路図である。オペアンプ回路100Aはレイル-トゥ-レイルの折り返しカスコード型である。
【0035】
差動入力段110Aは、Nチャンネルの差動対114Nおよびテイル電流源112Nと、Pチャンネルの差動対114Pおよびテイル電流源112Pと、を備える。
【0036】
利得段120Aは、フォールデッドカスコード回路であり、PMOSトランジスタMP11~MP16、MN11~MN15を含む。トランジスタMP11,MP12のゲートには、バイアス電圧P_bias_Rが供給される。トランジスタMP13,MP14のゲートには、バイアス電圧P_bias_Cが供給される。トランジスタMP15のゲートには、バイアス電圧P_bias_Jが供給される。トランジスタMN13,MN14のゲートには、バイアス電圧N_bias_Cが供給される。トランジスタMN11,MN12のゲートは、トランジスタMN13のドレインと接続される。
【0037】
出力段130Aは、PチャンネルのハイサイドトランジスタMP21、NチャンネルのローサイドトランジスタMN21、位相補償回路132,134を備える。
【0038】
レプリカ140Aは、PチャンネルのハイサイドトランジスタMP31、NチャンネルのローサイドトランジスタMN31を備える。ハイサイドトランジスタMP31のゲートは、出力段130AのハイサイドトランジスタMP21のゲートと接続され、共通のゲート信号VGPを受ける。
【0039】
フィードバック回路150は、差動アンプ152を含むことができる。差動アンプ152は、本出力信号VOUTとダミー出力信号VDUMMYの誤差を増幅する。差動アンプ152の出力は、利得段120Aに供給され、利得段120の出力であるゲート信号VGP,VGNを変化させる。なお図4の回路図は、フィードバック回路150Aの出力が、利得段120の出力ノードと直接接続されることを示しているのではなく、フィードバック回路150Aの出力が、利得段120の出力信号に変化を与えることを示している。具体的には、フィードバック回路150Aは、利得段120Aのバイアス電圧の少なくとも一つを、フィードバック信号に応じて変化させてもよい。
【0040】
図5は、図4のオペアンプ回路100Aの一実施例(100Aa)を示す回路図である。この実施例では、フィードバック回路150Aaは、利得段120AのトランジスタMN13,MN14のゲートに供給されるバイアス電圧N_bias_Cを変化させる。
【0041】
フィードバック回路150Aaは、差動アンプ152、第1ハイパスフィルタ154、第2ハイパスフィルタ156、バイアス回路158Aaを含む。
【0042】
バイアス回路158Aaは、PチャンネルトランジスタMP41~MP44、NチャンネルトランジスタMN41,MN42を含む。トランジスタMP41,MP42のゲートには、バイアス電圧P_bias_Rが印加され、トランジスタMP43,MP44のゲートには、バイアス電圧P_bias_Cが印加される。
【0043】
トランジスタMN41のゲートに発生する電圧N_bias_C+が、フィードバック信号としてトランジスタMN13のゲートに供給される。またトランジスタMN42のゲートに発生する電圧N_bias_C-が、フィードバック信号としてトランジスタMN14のゲートに供給される。
【0044】
図6は、図4のオペアンプ回路100Aの一実施例(100Ab)を示す回路図である。この実施例では、フィードバック回路150Abは、利得段120AのトランジスタMP13,MP14のゲートに供給されるバイアス電圧N_bias_Cを変化させる。
【0045】
バイアス回路158Abの構成は、図5のフィードバック回路150AaのPチャンネルとNチャンネルを置換して天地を反転した構成である。
【0046】
図7は、図4のオペアンプ回路100Aの一実施例(100Ac)を示す回路図である。この実施例では、フィードバック回路150Acは、利得段120AのトランジスタMN15のゲートに供給されるバイアス電圧N_bias_Jを変化させる。
【0047】
バイアス回路158Acの構成は、図5のバイアス回路158Aaと基本的には同じであるが、トランジスタMN41のゲートドレイン間が接続されている点が異なる。
【0048】
図8は、図4のオペアンプ回路100Aの一実施例(100Ad)を示す回路図である。この実施例では、フィードバック回路150Adは、利得段120AのトランジスタMP16のゲートに供給されるバイアス電圧P_bias_Jを変化させる。
【0049】
バイアス回路158Adの構成は、図7のバイアス回路158AcのPチャンネルとNチャンネルを入れ替えて天地を反転したものであり、トランジスタMP41のゲート電圧がトランジスタMP16のゲートにフィードバックされる。
【0050】
オペアンプ回路100の構成は、上述したそれに限定されず、さまざまな変形例が存在する。以下、オペアンプ回路100の変形例を説明する。
【0051】
実施形態では、レイル-トゥ-レイル型のオペアンプを説明したが本開示はそれに限定されない。
【0052】
差動入力段110の変形例
(変形例1)
図9は、変形例1に係るオペアンプ回路100Bの回路図である。図4のオペアンプ回路100Aはオペアンプ回路100Bの差動入力段110Bは、Pチャンネルの差動入力を有する。
【0053】
利得段120B、出力段130B、レプリカ140B、フィードバック回路150Bについては、図4の利得段120A、利得段120A、出力段130A、レプリカ140A、フィードバック回路150Aと同様である。
【0054】
(変形例2)
図10は、変形例2に係るオペアンプ回路100Cの回路図である。オペアンプ回路100Cの差動入力段110Cは、Nチャンネルの差動入力を有する。
【0055】
利得段120B、出力段130B、レプリカ140B、フィードバック回路150Bについては、図4の利得段120A、利得段120A、出力段130A、レプリカ140A、フィードバック回路150Aと同様である。
【0056】
利得段120の変形例
利得段120の変形例には以下のようなものがある。
【0057】
(変形例3)
図11は、変形例3に係るオペアンプ回路100Dの回路図である。利得段120Dは、トランジスタMP11、MP12のゲートが、トランジスタMP13のドレインと接続され、トランジスタMN11、MN12のゲートにバイアス電圧N_bias_Rが供給されている。
【0058】
差動入力段110D、出力段130D、レプリカ140D、フィードバック回路150Dについては、図4の利得段120A、利得段120A、出力段130A、レプリカ140A、フィードバック回路150Aと同様である。
【0059】
(変形例4)
図12は、変形例4に係るオペアンプ回路100Eの回路図である。変形例4では、利得段120Eの構成が、変形例3と異なっている。具体的には、利得段120Eは、トランジスタMP11、MP12のゲートに、バイアス電圧P_bias_Rが供給されている。
【0060】
差動入力段110E、出力段130E、レプリカ140E、フィードバック回路150Eについては、図4の利得段120A、利得段120A、出力段130A、レプリカ140A、フィードバック回路150Aと同様である。
【0061】
さらに言えば、利得段120の構成は、フォールデッドカスコード回路に限定されるものではなく、その他の形式の利得段にも本開示は適用可能である。
【0062】
・出力段130の変形例
【0063】
(変形例5)
図13は、変形例5に係るオペアンプ回路100Fの回路図である。変形例5では、出力段130Eの位相補償回路の接続態様が、実施例1~5と異なっている。具体的には、出力段130Eの位相補償回路136,138は、差動入力段110Fの出力と接続されている。
【0064】
(変形例6)
図14は、変形例6に係るオペアンプ回路100Gの回路図である。変形例6では、出力段130Fは、実施例1~5の位相補償回路132,134と、変形例5の位相補償回路136,138の両方を備えている。
【0065】
出力段130として、ハイサイドがPMOSトランジスタ、ローサイドがNMOSトランジスタを備えるAB級について説明したが、本開示はそれに限定されない。たとえばハイサイドがNMOSトランジスタ、ローサイドがPMOSトランジスタであってもよい。あるいは、ハイサイド、ローサイドの両方がNMOSトランジスタであってもよい。
【0066】
また出力段130はAB級に限定されず、A級の出力段にも本開示は適用可能である。
【0067】
実施形態および変形例で説明した構成は、任意に組み合わせることが可能である。
【0068】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにさまざまな変形例が存在すること、またそうした変形例も本開示に含まれ、また本発明の範囲を構成しうることは当業者に理解されるところである。
【0069】
(付記)
本明細書には以下の技術が開示される。
【0070】
(項目1)
差動入力段と、
利得段と、
負荷と接続されるべき出力段と、
前記負荷と接続されない前記出力段のレプリカと、
前記出力段から出力される本出力信号と前記レプリカから出力されるダミー出力信号とを受け、それらの誤差に応じたフィードバック信号を前記利得段に供給するフィードバック回路と、
を備える、オペアンプ回路。
【0071】
(項目2)
前記利得段は、折り返しカスコード型であり、前記フィードバック信号は、前記利得段のバイアス電圧として供給される、項目1に記載のオペアンプ回路。
【0072】
(項目3)
前記出力段は、第1ハイサイドトランジスタおよび第1ローサイドトランジスタを含むAB級であり、
前記レプリカは、ゲートが前記第1ハイサイドトランジスタのゲートと接続された第2ハイサイドトランジスタと、ゲートが前記第1ローサイドトランジスタのゲートと接続された第2ローサイドトランジスタと、を含む、項目1または2に記載のオペアンプ回路。
【0073】
(項目4)
前記出力段と前記レプリカは、同一の静的利得を有する、項目1から3のいずれかに記載のオペアンプ回路。
【0074】
(項目5)
前記出力段と前記レプリカは、対応するトランジスタ同士が同一サイズを有する、項目1から3のいずれかに記載のオペアンプ回路。
【0075】
(項目6)
前記フィードバック回路は、
前記本出力信号の低周波成分を除去する第1ハイパスフィルタと、
前記ダミー出力信号の低周波成分を除去する第2ハイパスフィルタと、
前記第1ハイパスフィルタの出力と前記第2ハイパスフィルタの出力を受ける差動アンプと、
を含む、項目1から5のいずれかに記載のオペアンプ回路。
【符号の説明】
【0076】
100 オペアンプ回路
110 差動入力段
112 テイル電流源
114 差動対
120 利得段
130 出力段
140 レプリカ
150 フィードバック回路
152 差動アンプ
154 第1ハイパスフィルタ
156 第2ハイパスフィルタ
158 バイアス回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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図14