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特開2024-130281読み取り制御装置、読み取り装置、および読み取り制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130281
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】読み取り制御装置、読み取り装置、および読み取り制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240920BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20240920BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20240920BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240920BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240920BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/10
G03B27/62
G03G21/00 510
G03G21/14
G03G21/00 502
G03G15/00 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039918
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】井久保 達基
【テーマコード(参考)】
2H012
2H270
5C072
【Fターム(参考)】
2H012CA11
2H012CB11
2H012CB12
2H270LB21
2H270LB26
2H270LD02
2H270LD03
2H270LD10
2H270LD15
2H270MC09
2H270MC78
2H270RA01
2H270RA14
2H270RA22
2H270RC10
2H270RC11
2H270RC13
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC06
5C072AA01
5C072BA05
5C072CA02
5C072DA02
5C072DA04
5C072DA25
5C072EA05
5C072LA02
5C072LA07
5C072LA08
5C072MA01
5C072RA04
(57)【要約】
【課題】この発明は原稿読み取りの際の原稿のずれを迅速に判定することを目的とする。
【解決手段】制御装置1は、読み取り対象3の画像を読み取る画像読み取り部4と、開位置と閉位置との間で移動可能に支持されたカバー板5の位置を中間位置と閉位置とで検出するカバー板検出部6と、該カバー板検出部6が検出した前記カバー板5の位置と、前記画像読み取り部4が読み取った画像とから前記読み取り対象3の位置ずれを判定する位置ずれ判定部7と、判定結果に基づいて前記画像読み取り部4が読み取った画像を補正する位置ずれ補正部8とを備え、位置ずれ補正部8は、中間位置にあるタイミングと閉位置にあるタイミングとで読み取ったデータの一部から読み取り対象3の被読み取り面2上の位置ずれを補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被読み取り面に載せられた読み取り対象の画像を読み取る画像読み取り部と、
該被読み取り面から離れた開位置と該被読み取り面全体を覆って接触した閉位置との間で移動可能に支持されたカバー板の位置を、前記開位置と閉位置から僅かに離れた位置との間の中間位置と、前記閉位置とで検出するカバー板検出部と、
該カバー板検出部が検出した前記カバー板の位置と、前記画像読み取り部が読み取った画像とから前記読み取り対象の位置ずれを判定する位置ずれ判定部と、
該判定部の判定結果に基づいて前記画像読み取り部が読み取った画像を補正する位置ずれ補正部と、
を備え、
前記位置ずれ補正部は、前記中間位置にあるタイミングと前記閉位置にあるタイミングとのそれぞれで前記画像読み取り部が読み取ったデータから前記読み取り対象の前記被読み取り面上の位置ずれを補正する、
読み取り制御装置。
【請求項2】
前記位置ずれ補正部は、前記中間位置で読み取ったデータと、前記閉位置で読み取ったデータとの差分から前記読み取り対象の位置ずれを補正する、
請求項1に記載の読み取り制御装置。
【請求項3】
前記位置ずれ補正部は、前記画像読み取り部が前記被読み取り面に沿う第1の方向への走査によって読み取ったデータによって前記読み取り対象の位置を補正する、
請求項1に記載の読み取り制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1の方向への走査によって得られたデータによって該第1の方向への読み取りデータを補正する、
請求項3に記載の読み取り制御装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の読み取り制御装置と、
読み取り対象が載せられる被読み取り面と、
該被読み取り面から離れた位置と該被読み取り面を覆う位置との間で移動可能なカバー板と、
を備える読み取り装置。
【請求項6】
前記カバー板は、前記読み取り対象の画像を走査する第1の方向と直交する方向を向く軸を中心として、前記被読み取り面を覆う位置と該被読み取り面から離れた位置との間を回動する、
請求項5に記載の読み取り装置。
【請求項7】
読み取り対象を被読み取り面に載せる工程と、
被読み取り面に載せられた読み取り対象の画像を読み取る工程と、
前記被読み取り面に載せられた読み取り対象をカバー板によって覆う工程と、
該カバー板の位置を検出する工程と、
読み取られた画像と前記カバー板の位置の検出結果とから前記読み取り対象の位置ずれを判定する工程と、
判定された位置ずれに基づいて前記画像を補正する工程と、
を有し、
前記カバー板が中間位置にあるタイミングと閉位置にあるタイミングとのそれぞれで読み取った画像データから前記読み取り対象の前記被読み取り面上の位置を補正する、
読み取り制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取り制御装置、読み取り装置、および読み取り制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データの印刷と、印刷原稿等の読み取りとの機能を備え、プリンタ、複写機、ファクシミリ等として利用される複合機に関連する技術として、特許文献1~3が知られている。
前記複合機にあっては、利用者がプラテンガラス上に原稿を設置し、プラテンカバーを閉じて画像を読み取る動作に先だって、原稿サイズを光学センサ等によって検出する動作が行われる。このプラテンカバーを閉じる操作の際、プラテンガラス上の原稿の位置がずることがあり、この位置ずれによって、原稿サイズの誤検出が発生する可能性がある。
また誤検出が発生した場合、実際とは異なる範囲の画像を読み取ってしまい、利用者が意図しないサイズの画像データや印刷物が出力されることになり、利用者からの必要以上の修理対応要求や苦情の要因となることがある。
【0003】
特許文献1は、原稿サイズの検知結果と、原稿押圧板(プラテンカバー)の開状態と閉状態とにおけるイメージセンサによる読み取り画像の比較結果とから読み取り不良を判定する技術に関する。
特許文献2は、プラテンカバーを閉じる際に複数回取り込んだ画像データから外乱光の影響や原稿の縁の濃度の影響を補正して原稿サイズを正確に検出する技術に関する。
特許文献3は、プラテンガラス上に斜めに置かれた原稿から読み取られたデータを正しい向きに補正する技術に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-135856号公報
【特許文献2】特開2010-219667号公報
【特許文献3】特開2011-101137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にあっては、ラテンガラス下に複数の光学センサ等を配置し、これら複数の光学センサ等の検出結果を所定の論理式に基づいて、例えば、黒から白への検出データの変化の場合に、原稿がないまたは原稿が動いた原稿ありと判定し、それ以外の変化は原稿があるものと判定している。したがって、一のポイントで原稿が動いたと判定されても、他のポイント、とくに主走査方向最後部のポイントで原稿ありと判定されれば、その個所を原稿端と判定することから、原稿のずれを確実に判定することができるとは限らない。
また特許文献2にあっては、外乱光や原稿の縁の光学特性への対策を目的としていることから、プラテンガラスの開閉に伴う原稿の移動への対策に直ちに適用することができるものではない。
また特許文献3にあっては、プラテンガラス上に原稿が斜めに置かれた場合に補正して印刷する技術に関するもので、読み取った画像データの全部を比較処理することから、プラテンガラス上に原稿を置いてプラテンカバーを閉め、読み取りを開始するまでの限られた時間に迅速に位置ずれを補正することができるものではない。
【0006】
この発明は、読み取り対象の位置ずれを短時間で判定することができる読み取り装置、その制御装置、読み取り制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明にかかる読み取り制御装置は、被読み取り面に載せられた読み取り対象の画像を読み取る画像読み取り部と、該被読み取り面から離れた開位置と該被読み取り面全体を覆って接触した閉位置との間で移動可能に支持されたカバー板の位置を、前記開位置と閉位置から僅かに離れた位置との間の中間位置と、前記閉位置とで検出するカバー板検出部と、該カバー板検出部が検出した前記カバー板の位置と、前記画像読み取り部が読み取った画像とから前記読み取り対象の位置ずれを判定する位置ずれ判定部と、該判定部の判定結果に基づいて前記画像読み取り部が読み取った画像を補正する位置ずれ補正部とを備え、前記位置ずれ補正部は、前記中間位置にあるタイミングと前記閉位置にあるタイミングとのそれぞれで前記画像読み取り部が読み取ったデータの一部から前記読み取り対象の前記被読み取り面上の位置ずれを補正することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる読み取り制御方法は、読み取り対象を被読み取り面に載せる工程と、被読み取り面に載せられた読み取り対象の画像を読み取る工程と、前記被読み取り面に載せられた読み取り対象をカバー板によって覆う工程と、該カバー板の位置を検出する工程と、読み取られた画像と前記カバー板の位置の検出結果とから前記読み取り対象の位置ずれを判定する工程と、判定された位置ずれに基づいて前記画像を補正する工程とを有し、前記カバー板が中間位置にあるタイミングと閉位置にあるタイミングとのそれぞれで読み取った画像データから前記読み取り対象の前記被読み取り面上の位置を補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば読み取り対象のずれを迅速に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る読み取り制御装置の最小構成例のブロック図である。
図2】本発明の一実施形態の側面図である。
図3】本発明の一実施形態の斜視図である。
図4】一実施形態の読み取り制御装置のフローチャートである。
図5】一実施形態の読み取り制御装置の取得データの波形の一例を示すグラフである。
図6】一実施形態の読み取り制御装置の取得データの波形の他の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る最小構成について図1を参照して説明する。
この読み取り制御装置1は、被読み取り面2に載せられた読み取り対象3の画像を読み取る画像読み取り部4と、前記被読み取り面2から離れた開位置と該被読み取り面全体を覆って接触した閉位置との間で移動可能に支持されたカバー板5の位置を、前記開位置と閉位置から僅かに離れた位置との間の中間位置と、前記閉位置とで検出するカバー板検出部6と、該カバー板検出部6が検出した前記カバー板5の位置と、前記画像読み取り部4が読み取った画像とから前記読み取り対象3の位置ずれを判定する位置ずれ判定部7と、該位置ずれ判定部7の判定結果に基づいて前記画像読み取り部4が読み取った画像を補正する位置ずれ補正部8とを備え、前記位置ずれ補正部8は、前記中間位置にあるタイミングと前記閉位置にあるタイミングとのそれぞれで前記画像読み取り部4が読み取ったデータの一部から前記読み取り対象3の前記被読み取り面2上の位置ずれを補正することを特徴とする。
【0012】
上記構成により、前記被読み取り面2に載せられた読み取り対象3の画像を読み取り部4が読み取るに際し、前記カバー板検出部6により、前記カバー板5が開位置から閉位置へ移動する途中のいずれかのタイミングと、前記カバー板5が読み取り対象3の上に被せられたタイミングとを検出することができる。このようにして検出されたタイミングで読み取られた画像を比較することにより、前記位置ずれ判定部7が読み取り対象3のずれを判定し、判定したずれ量に応じて位置ずれを補正することができる。
このような制御装置1の動作により、読み取り対象3を被読み取り面2に載せる工程と、被読み取り面2に載せられた読み取り対象3の画像を読み取る工程と、前記被読み取り面に載せられた読み取り対象3をカバー板5によって覆う工程と、該カバー板4の位置を検出する工程と、読み取られた画像と前記カバー板5の位置の検出結果とから前記読み取り対象3の位置ずれを判定する工程と、判定された位置ずれに基づいて前記画像を補正する工程とが実行され、前記カバー板5が中間位置にあるタイミングと閉位置にあるタイミングとのそれぞれで読み取った画像データから前記読み取り対象3の前記被読み取り面上の位置を補正する。
【0013】
上記最小構成例にかかる読み取り制御装置を備えた読み取り装置の一実施形態にについて、図2図6を参照して説明する。
図2図3に示す通り、読み取り装置の本体10の上面は、読み取り対象としての原稿3が載せられるプラテンガラス11を備え、該プラテンガラス11は、透明なガラス板等により構成されている。また前記プラテンガラス11の周囲11aに相当する前記本体10の上面は、プラテンガラス11より僅かに上方位置にあって、段差となっている。
また前記本体10には、前記プラテンガラス11を覆い原稿3を押圧するプラテンカバー12が水平な軸13を中心として回動自在に支持されている。又前記プラテンカバー12の下面には、前記プラテンガラス11と略一致する平面形状を持ち、所定の厚さを持った柔軟なシート状に構成された押圧板14が設けられている。該押圧板14は、例えば弾性変形容易なスポンジの薄板の表面(プラテンガラス11へ向く面)に白色等の可視光線の反射率が高い色の接触シートを貼り付けた構造を有し、前記プラテンカバー12を閉じた状態で前記原稿3とプラテンカバー12との間で僅かに変形してこれらの間の隙間を埋めることにより、原稿3の表面への外光を遮っている。
【0014】
前記本体10には、前記プラテンカバー12の開閉状態を検知する開閉検出部15が設けられている。この開閉検出部15は、前記プラテンガラス11と共通の平面である前記本体10の上面から、ばね等により上方へ付勢されて突出する検知片16を備える。また、第一角度センサ17、第二角度センサ18は、前記検知片16の作動方向(図2の上下方向)へ位置をずらして二個所に配置されている。これら第一、第二角度センサ17、18は、いずれも、光源から水平に出射した光線が前記検知片16の下方への移動に伴って遮蔽され、あるいは光線が透過することによる受光部の光検知の有無により検知片16の下方への移動位置(すなわち、前記プラテンカバー12の開閉位置)を検出している。
【0015】
前記プラテンガラス11の下方には、画像読み取り部20が設けられ、該画像読み取り部20は、光源21から前記プラテンガラス11上の原稿3へ照射されて反射した光線を検出する。なお該画像読み取り部20は、例えば、複数の受光素子を図2の上下方向(主走査方向)へ並べたラインセンサであって、該ラインセンサを前記光源21とともに図2の左右方向(副走査方向)へ移動させながら前記主走査方向への読み取りを繰り返すことにより、前記原稿3が存在する全部の領域にわたって、前記原稿3で反射した光線を読み取る。
また前記プラテンガラス11の下方には、該プラテンガラス11上に置かれた原稿3の副走査方向への長さを検出する副走査センサ22が設けられている。該副走査センサ22は、例えば、前記プラテンガラス11上に置かれた原稿3の有無による透過光または反射光の検出レベルの変化によって、前記原稿3の副走査方向への長さを検出する。なお一実施形態にあっては、前記プラテンカバー12の軸13を中心とする開閉操作に伴って発生する気流の影響による原稿3の位置ずれを補正する目的から、前記軸13と直交する方向を主走査方向としている。
【0016】
前記画像読み取り部20が読み取った画像は、前記開閉検出部15に検出された前記プラテンカバー12の開閉状態についての検出信号とともに、位置ずれ判定部23、位置ずれ補正部24、サイズ判定部25に入力され、これらの判定結果に基づいて読み取り画像の補正が行われる。またこれら位置ずれ判定部23、位置ずれ補正部24、サイズ判定部25、および、装置全体を制御する制御部(図示略)が行う入力データの処理については、一実施形態の動作とともに、図4のフローチャートを参照してより具体的に説明する。
【0017】
ステップSP301
利用者がプラテンガラス11上に読み取り対象となる印刷物等の原稿3を置き、プラテンガラス11の周囲11aの角(例えば、図3の左上の角)に原稿3の角を押し当てて位置合わせした後、前記プラテンカバー12を閉じる(図2の時計回りに回動させながら下げる)と、該プラテンカバー12とともに前記押圧板14がプラテンガラス11へ向けて接近して行く。この操作の途中で、前記プラテンカバー12の一部が前記検知片16の先端に接触すると、前記検知片16が押し下げられ、該検知片16の下端が前記第一角度センサ17の検出光を遮光することによってオンとなる。この第一角度センサ17のオンによって、前記プラテンカバー12が所定角度まで下げられたことが検出されるのを待って次のステップSP302へ進む。
ステップSP302
前記第一角度センサ17がオンとなってプラテンカバー12が所定の角度まで閉じられると、前記光源21を点灯する。
【0018】
ステップSP304
前記プラテンカバー12がさらに閉じられると、前記検知片16がさらに押し下げられて前記第一角度センサ17が遮光状態に維持されるが、利用者が作業を中止してプラテンカバー12を元にもどす(開く)操作をすると、前記検知片16がばねの付勢等によって上昇することによって前記第一角度センサ17が透過光を検出する状態となってオフとなり、ステップSP303へ進んで光源21を消灯した後、前記ステップSP301へ戻って前記プラテンカバー12を下げる操作を待つ。すなわちプラテンカバー12を開け、第一角度センサ17がオフになる場合、どのステップにあっても、読み取りをリセットしてスタートへ戻る。前記第一角度センサ17のオンが維持されたことを条件として次のステップSP305へ進む。
ステップSP305
利用者が前記プラテンカバー12を閉じる操作を継続すると、前記ステップSP304の判断の対象である第一角度センサ17がオンのまま維持され、所定位置(例えば副走査方向の原点)で待機していた前記画像読み取り部20が主走査方向へ1ライン分のスキャンを行い、前記プラテンガラス11上の原稿3からの反射光を1ライン分読み取る。このデータをオープンデータとして前記位置ずれ判定部23が記憶する。
ステップSP306
利用者が前記プラテンカバー12をさらに閉じると、前記検知片16がさらに下がって前記第二角度センサ18の検出光を遮断してオンになり、このオンへの切り替えを条件に次のステップSP307へ進む。また、利用者が作業を中止してプラテンカバー12を元に戻す(開く)操作をすると、前記第二角度センサ18がオフの状態のままであるので、ステップSP308に進んで前記第二角度センサ18がオフになったことを条件に前記ステップSP303へ進み、光源21を消灯して、ステップSP301に戻り、次の作業開始へ待機する。すなわちプラテンカバー12を開け、第一角度センサ17がオフになる場合、どのステップにあっても、読み取りをリセットしてスタートへ戻る。
【0019】
ステップSP307
前記ステップSP305と同様に、前記画像読み取り部20が主走査方向へ1ライン分のスキャンをおこなう、前記プラテンガラス11上の読み取り対象からの反射光を1ライン分読み取る。ここで、前記プラテンカバー12を閉じる操作に伴って発生する気流の影響等によって前記原稿3の位置がずれていた場合には、前記ステップSP305とは異なるパターンの信号が読み取られる。このデータをクローズデータとして前記位置ずれ判定部23が記憶する。
【0020】
ステップSP309
前記位置ずれ判定部23は、前記ステップSP305で読み取った信号とステップSP307で読み取った信号とを比較して所定以上の差を検出することにより、前記プラテンカバー12を閉じる操作の途中で前記プラテンガラス11上の原稿3にずれが生じたと判断し、位置ずれが生じたと判断した場合には、次のステップSP310へ進み、位置ずれがないと判断した場合には、次のステップSP310をバイパスしてステップSP311へ進む。
ステップSP310
前記位置ずれ判定部23により判定された位置ずれ量に応じ、前記位置ずれ補正部24が位置ずれ量に応じて、前記ステップ310で読み取られた画像データを補正する。
ステップSP311
前記サイズ判定部25が、前記画像読み取り部20が読み取った画像データと、前記副走査センサ22の検出データとから、原稿のサイズを判定する。
以下、原稿3の位置ずれに基づく原稿サイズの判定を終了し、前記画像読み取り部20を副走査方向へ移動させながら、主走査方向への読み取りを繰り返すことによって読み取り対象である原稿3の全体からの画像の読み取りを行う。
【0021】
前記位置ずれ判定部23、位置ずれ補正部24が前記ステップSP309、310で行う処理の詳細について、図5、6を参照して説明する。
図5、6は、前記ステップSP305読み取られた画像データ(オープンデータ)と、ステップSP307で読み取られた画像データ(クローズデータ)と、これらを読み取りの際のRGBデータからグレースケールに変換して差分を取った差分データとのレベルを、主走査方向(図3における読み取り範囲の上端を起点として下端へ向かう方向)を横軸として表現したもので、図5は、位置ずれがある場合、図6は位置ずれがない場合を示している。
前記プラテンカバー12を下げる操作に伴って原稿3にずれを生じることなくオープンデータとクローズデータとが得られた場合、図5に示すように、オープンデータとクローズドデータとの相違は、差分データとして、前記プラテンガラス11からプラテンカバー12が離れていて外光の影響を受けることによる差と、原稿3の下端の検出(下端より下では、原稿3が存在しないことから、白色の押圧板14の反射光が検出される)による差とが生じる。すなわち、図5にあっては、原稿3の下端に到達することにより前記押圧板14の反射光を検出したことが、差分データに出現するエッジ(閾値を超える差分データの出力)から判定することができる。なお、図5におけるyとyとの間のオープンデータとクローズデータとに出現する矩形の出力は、原稿3の反射特性によって生じたものの一例である。
【0022】
これに対して、前記プラテンカバー12を下げる操作に伴って原稿3にずれを生じた場合に得られるオープンデータとクローズデータとは、図6に示すように、主走査方向への原稿3のずれに起因して、オープンデータとクローズドデータとで原稿3の上端の検出がyとy’とのようにずれる(下方へずれるため、クローズデータにおける本来の上端の検出が遅れる)現象が差分データにおいてy’から立ち上がる二番目のエッジとして検出される。すなわち、読み取られたラインデータがハイレベルとなる位置が、例えば、yとy’とのようなずれを生じることから、オープンデータが外光の影響を受けることによる差より大きな差分データがエッジとして検出される。
なお、差分データに発生するいずれのエッジを位置ずれの判定に採用するかは、上記の例における二番目のエッジに限定されるものではなく、例えば、第一角度センサ17による検出後所定時間経過した後の最初のエッジを採用するなど、原稿3のずれに起因してオープンデータとクローズデータとに有意な差が生じることが期待される他のタイミングで検出されるエッジを用いても良い。
【0023】
すなわち、前記位置ずれ判定部23は、クローズデータのy’におけるエッジ(閾値を超えるレベル)の検出以前に差分データのyにおけるエッジの検出があった場合(差分データの二番目のエッジがy’で検出された場合に)に、オープンデータにおけるエッジのyとクローズデータにおけるエッジのy’との差を位置ずれ量として採用し、検出された位置ずれ量(y’-y)に応じてクローズデータをy軸方向(主走査方向への位置)へ沿ってマイナス方向(図示例では上方)へずらす補正を行った後、さらに、位置ずれを補正したクローズデータとオープンデータの差分を再度取り、両者の一致を条件として主走査方向への検出データとして採用することにより、原稿3の主走査方向への寸法からサイズを判定することができる。
【0024】
このように、利用者が前記プラテンガラス11上に原稿3を設置して、プラテンカバー12を閉じる際に原稿3の位置ずれが起きた場合、原稿サイズ誤検出が発生する可能性があるが、一実施形態にあっては、原稿3の位置ずれが起きた場合でも正しい原稿サイズを検出することが可能である。
また、原稿3の下端部を、主走査方向の最後のエッジ位置として判定する場合、外乱光対策の実装が必要になるが、オープンデータとクローズデータとの差分を利用することにより、格別な対策を行うことなく、外乱光による影響を排除することができる。
【0025】
(変形実施形態)
上記一実施形態の動作において、ステップSP310において「原稿3の位置ずれ有り」と判定された場合、原稿3をスキャンしあるいはコピーする際に読取られた画像データは、利用者の意図に反して位置がずれているため、当然に出力も位置がずれた状態となる。
この不具合を回避するため、ステップSP310において「原稿3の位置ずれ有り」と判定された場合、原稿サイズ検出にのみ補正をかけるのではなく、その後の原稿全体の画像読み取りデータに対しても、原稿サイズ検出と同様に主走査方向への読み取りデータに主走査方向へシフトさせる位置ずれ補正をかけることによって、本来利用者が期待する出力画像を得ることが可能になる。
また、前記ステップSP310において「原稿3の位置ずれ有り」と判定された場合、操作画面などのユーザーインタフェース入出力部に原稿位置ずれ発生のアラームを表示あるいは音声出力させることによって、利用者が原稿の位置をただしく修正する働きかけをすることも可能である。
【0026】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、画像読み取り機能を有する複写機や複合機等が備える読み取り制御装置、読み取り装置、および読み取り制御方法に利用することができる。

【符号の説明】
【0028】
1 制御装置
2 被読み取り面
3 読み取り対象(原稿)
4 画像読み取り部
5 カバー板
6 カバー板検出部
7 位置ずれ判定部
8 位置ずれ補正部
10 本体
11 プラテンガラス
12 プラテンカバー
13 軸
14 押圧板
15 開閉検出部
16 検知片
17 第一角度センサ
18 第二角度センサ
20 画像読み取り部
21 光源
22 副走査センサ
23 位置ずれ判定部
24 位置ずれ補正部
25 サイズ判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6