(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130287
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】安全管理装置、安全管理システム、安全管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240920BHJP
G06T 17/05 20110101ALI20240920BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06T17/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039928
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】河野 研二
(72)【発明者】
【氏名】青木 教之
(72)【発明者】
【氏名】高岡 真則
(72)【発明者】
【氏名】上野 悟己
(72)【発明者】
【氏名】安達 ゆり
【テーマコード(参考)】
5B050
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA17
5B050DA07
5B050DA10
5B050EA19
5B050EA28
5B050FA02
5B050FA14
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】時々刻々と変化する環境において、多様な危険性を適切に判定することに貢献する。
【解決手段】安全管理装置は、作業現場でセンサにより収集した現場データが送信される毎に、当該現場データから3次元マップを生成する3次元マップ生成部と、前記3次元マップに監視対象のモデルデータを対応づけ、合成3次元マップを生成するデータリンク部と、前記合成3次元マップを解析し、前記作業現場内の危険エリアを特定する危険エリア管理部と、特定した前記危険エリアを識別可能にして前記合成3次元マップを表示する結果出力部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場でセンサにより収集した現場データが送信される毎に、当該現場データから3次元マップを生成する3次元マップ生成部と、
前記3次元マップに監視対象のモデルデータを対応づけ、合成3次元マップを生成するデータリンク部と、
前記合成3次元マップを解析し、前記作業現場内の危険エリアを特定する危険エリア管理部と、
特定した前記危険エリアを識別可能にして前記合成3次元マップを表示する結果出力部と、を備える安全管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の安全管理装置であって、
前記データリンク部は、前記3次元マップをオブジェクト単位の領域に分割し、前記モデルデータを対応づける安全管理装置。
【請求項3】
請求項2記載の安全管理装置であって、
前記危険エリア管理部は、予め定めた危険判定条件に基づいて前記合成3次元マップの前記領域それぞれについて前記危険エリアであるかを判別し、
前記モデルデータには、それぞれ、前記危険判定条件が属性情報として設定され、
前記危険エリア管理部は、前記合成3次元マップにおいて、前記モデルデータが対応付けられている前記領域については、当該モデルデータの属性情報に基づいて、前記危険エリアであるかを判別する、安全管理装置。
【請求項4】
請求項1記載の安全管理装置であって、
前記作業現場内の現場作業員の位置を特定し、前記危険エリア内である場合、アラート情報を送信する安全管理部をさらに備える、安全管理装置。
【請求項5】
請求項1記載の安全管理装置であって、
前記モデルデータを生成するモデルデータ生成部および前記モデルデータの属性情報を登録する属性登録部の少なくとも一方をさらに備える、安全管理装置。
【請求項6】
請求項2記載の安全管理装置であって、
前記危険エリア管理部は、前記モデルデータと前記3次元マップとを比較し、予め定めた判定基準に従って異常ありと判定した前記領域を、さらに、前記危険エリアと特定し、
前記結果出力部は、前記異常ありと判定した前記領域に対応する前記モデルデータに対応づけられた当該モデルデータの属性情報をさらに表示する、安全管理装置。
【請求項7】
3次元センサで点群データを収集し、センシングデバイスでセンサデータを収集する現場データ収集装置と、
請求項1記載の安全管理装置と、を備える安全管理システム。
【請求項8】
コンピュータによって実行される安全管理方法であって、
作業現場でセンサにより収集した現場データが送信される毎に、当該現場データから3次元マップを生成し、
前記3次元マップに監視対象のモデルデータを対応づけ、合成3次元マップを生成し、
前記合成3次元マップを解析し、前記作業現場内の危険エリアを特定し、
特定した前記危険エリアを識別可能にして前記合成3次元マップを表示する、安全管理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
作業現場でセンサにより収集した現場データが送信される毎に、当該現場データから3次元マップを生成する手順と、
前記3次元マップに監視対象のモデルデータを対応づけ、合成3次元マップを生成する手順と、
前記合成3次元マップを解析し、前記作業現場内の危険エリアを特定する手順と、
特定した前記危険エリアを識別可能にして前記合成3次元マップを表示する手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全管理装置、安全管理システム、安全管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、作業現場を撮影し、異常の有無を判定したり、作業員に危険が及ぶ可能性を判別したりする技術がある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-77837号公報
【特許文献2】国際公開第2020/262601号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。
【0005】
特許文献1に開示の技術によれば、3次元(以下、3D)センサで取得した点群データ(3D点群データ)から画像データベースを作成する。そして、各種センサで現場を撮影したデータと画像データベースとを照合して、設備の位置を特定したり、設備の異常を検知したりする。
【0006】
しかし、3D点群データの取得には、時間がかかる。特に、作業現場等のように、対象物や状況が刻々と変化する環境では、常に最新の3D点群データを取得する必要があり、データ収集だけでも、膨大な時間が必要となる。また、3Dセンサの配置位置によっては、点群データが取得できない領域が発生する。全ての領域の点群データを取得するためには、多数の3Dセンサの配置が必要である。
【0007】
特許文献2に開示の技術は、カメラは作業者が装着する。したがって、撮影範囲が限定される。
【0008】
また、作業現場のような場所では、多種多様な設備、車両が存在する。したがって、その危険性も危険とされる範囲も多種多様であり、変化も大きい。特許文献1、2に開示の技術では、このような状況には対応していない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、時々刻々と変化する環境において、多様な危険性を適切に判定することに貢献する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の視点によれば、
作業現場でセンサにより収集した現場データが送信される毎に、当該現場データから3次元マップを生成する3次元マップ生成部と、
前記3次元マップに監視対象のモデルデータを対応づけ、合成3次元マップを生成するデータリンク部と、
前記合成3次元マップを解析し、前記作業現場内の危険エリアを特定する危険エリア管理部と、
特定した前記危険エリアを識別可能にして前記合成3次元マップを表示する結果出力部と、を備える安全管理装置が提供される。
【0011】
本発明の第二の視点によれば、
3次元センサで点群データを収集し、センシングデバイスでセンサデータを収集する現場データ収集装置と、
前述の安全管理装置と、を備える安全管理システムが提供される。
【0012】
本発明の第三の視点によれば、
コンピュータによって実行される安全管理方法であって、
作業現場でセンサにより収集した現場データが送信される毎に、当該現場データから3次元マップを生成し、
前記3次元マップに監視対象のモデルデータを対応づけ、合成3次元マップを生成し、
前記合成3次元マップを解析し、前記作業現場内の危険エリアを特定し、
特定した前記危険エリアを識別可能にして前記合成3次元マップを表示する、安全管理方法が提供される。
【0013】
本発明の第四の視点によれば、
コンピュータに、
作業現場でセンサにより収集した現場データが送信される毎に、当該現場データから3次元マップを生成する手順と、
前記3次元マップに監視対象のモデルデータを対応づけ、合成3次元マップを生成する手順と、
前記合成3次元マップを解析し、前記作業現場内の危険エリアを特定する手順と、
特定した前記危険エリアを識別可能にして前記合成3次元マップを表示する手順とを実行させるためのプログラムが提供される。
【0014】
なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の各視点によれば、時々刻々と変化する環境において、多様な危険性を適切に判定することに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)および(b)は、本発明の実施形態の概要を説明するための説明図である。
【
図2】本発明の実施形態の安全管理システム301の各構成装置の機能ブロックの一例である。
【
図3】(a)~(e)は、本発明の実施形態の、それぞれ、現場データの一例を、モデルデータの属性情報に登録される項目の一例を、領域テーブルに登録される項目の一例を、危険エリアテーブルに登録される項目の一例を、作業員テーブルが管理する項目の一例を、説明するための説明図である。
【
図4】本発明の実施形態の危険通知処理のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態の合成3Dマップ生成処理のフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態の危険エリア設定処理のフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態の安全管理装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態と呼ぶ。)の概要について図面を参照して説明する。なお、図面の参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向および単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。
【0018】
また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポートやインタフェースがあるが図示を省略する。また、以下の説明において、「Aおよび/またはB」は、AまたはB、もしくは、AおよびBという意味で用いる。
【0019】
本発明の実施形態の説明に先立ち、概要を説明する。本発明の安全管理システム301のシステム概要を
図1に示す。安全管理システム301は、3次元センサ(以下、3Dセンサ)で取得した3次元点群データ(以下、3D点群データ)、各種センシングデバイスで取得したセンシングデータ、モデルデータを合成し、合成結果から自動的に危険エリアを設定して、アラートを通知するシステムである。
【0020】
図1(a)は、本実施形態の安全管理システム301が適用される一例としての作業現場100を説明するための図である。作業現場100には、例えば、現場作業員110と、建機120~122と、資材130と、設備160とが存在する。また、本実施形態の作業現場100には、3Dセンサおよび各種センシングデバイス等(以下、両者を合わせてセンサ140と呼ぶ。)が配置される。
【0021】
センサ140のうち、3Dセンサは、作業現場100に設置され、作業現場100の点群データを取得する。3Dセンサは、必ずしも作業現場100を網羅するように設置する必要はない。作業現場100の必要な領域の点群データが収集できればよく、その設置位置は、作業現場100外であってもよい。3Dセンサは、例えば、3D-LiDAR(Light Detection And Ranging)、ToFカメラ(Time of Flight)、ステレオカメラ、3Dスキャナ等で実現される。
【0022】
センサ140のうち、センシングデバイスは、主に画像データを取得するデバイスであり、一例として赤外線カメラやハイパースペクトルカメラ等が挙げられる。しかしながら、センシングデバイスは、他のデバイスを用いてもよく、これに限らない。例えば、赤外線カメラでは、撮影範囲の温度情報を得ることができる。
【0023】
センサ140は、作業現場100に固定的に設置されるだけでなく、本実施形態では、例えば、現場作業員110が所持する。また、センサ140は、作業現場100に一台ないし複数台、設置されてもよい。
【0024】
センサ140は、作業現場100をリアルタイムに撮影(センシング)し、現場データを取得する。現場データは、例えば、作業現場100の外部に配置されるサーバ(安全管理装置)に転送され、内部のソフトウェアによってレジストレーションされ、
図1(b)に示すように、デジタル空間200に3次元マップ(以下、3Dマップ)として表示される。デジタル空間200に表示されるデータは、3Dセンサで取得した3D点群データと、センシングデバイスで取得した各種センシングデータとである。
【0025】
デジタル空間200には、
図1(b)に示すように、現場データの他、施工の成果物のイメージを3Dモデルで作成したデータ(以下、モデルデータ220)が表示される。モデルデータ220には、それぞれ固有の属性情報が付与される。付与される属性情報の一例として、設備名、設置位置、設置日時、現在の温度、許容温度範囲(温度の閾値)などが挙げられる。属性情報はこれに限定されない。属性情報は、モデルデータ220の表示の近傍に、属性表示230として表示してもよい。
【0026】
また、本実施形態では、3次元座標情報(3D点群データ)とセンシングデータとモデルデータとに基づいて、危険エリア210(後述の211~215)を特定し、対応する領域を、危険エリアと設定する。
【0027】
危険エリア210の一例として、建機の周囲215、空中に存在する物体の直下211、陥没箇所の周囲212、高温の場所213、発熱している資材130の周囲214が挙げられる。危険エリア210の例は、これに限らない。設定した危険エリア210はデジタル空間200上に表示することができる。この時、発熱している資材130に対応付けられたモデルデータ220がある場合は、そのモデルデータ220の属性表示230をさらに表示してもよい。
【0028】
また、本実施形態では、各現場作業員110が所持する3Dセンサから取得した3D点群データを解析し、各現場作業員110の位置を特定する。現場作業員110が危険エリア210に存在している場合は、アラートを当該現場作業員110に対して通知する。アラートは、対象の現場作業員110だけでなく、デジタル空間200上にテキストデータ等により、アラート表示240として表示してもよい。
【0029】
[機能ブロック]
以下、図面を参照しつつ、これを実現する本発明の第一実施形態を説明する。
図2は、本実施形態の安全管理システム301の全体構成の一例である。本図に示すように、本実施形態の安全管理システム301は、センサ140と、現場データ収集装置400と、安全管理装置300と、を備える。
【0030】
[センサ]
センサ140は、上述のように3Dセンサおよび各種センシングデバイスを備える。
【0031】
3Dセンサは、作業現場100に設置または現場作業員110に所持され、作業現場100の3D点群データを取得する。取得した3D点群データは、例えば、リアルタイムで、現場データ収集装置400に送信される。なお、3D点群データの各点は、例えば、3次元の座標(x、y、z)で表現されるデータである。3D点群データは、これらの座標(x、y、z)の集合体である。このとき、3Dセンサの位置を原点とした座標系を用いてもよい。また、3Dセンサが作業現場100に固定されている場合は、予め作業現場100に設定した座標系を用いてもよいし、緯度経度及び高度を座標系に用いてもよい。本実施形態では、3Dセンサは、所定の時間間隔で3D点群データを収集し、収集時刻を付して、現場データ収集装置400に送信する。3Dセンサが複数用いられる場合は、各3Dセンサを識別する識別情報も併せて送信される。
【0032】
3Dセンサには、例えば、ToF(Time of Flight)カメラ、ステレオカメラ、3次元-LIDAR(Laser Imaging Detection And Ranging)、デプスセンサ、測距センサ、距離カメラ等を用いることができる。3Dセンサは、様々な出力形式のセンサ装置に変更することが可能である。3Dセンサは、GPS(Global Positioning System)等の測位部を備えてもよい。この場合、3Dセンサは、3D点群データに位置情報を関連付けて現場データ収集装置400に送信する。
【0033】
センシングデバイスは、作業現場100内の各種の環境情報を収集する。例えば、温度センサ、湿度センサ、高度センサ等であり、具体的には、上述の赤外線カメラやハイパースペクトルカメラ等である。センシングデバイスは、所定の時間間隔で、センシングデータを収集し、収集時刻を付して、現場データ収集装置400に送信する。また、各センシングデバイスは、自装置を識別する識別情報も、センシングデータに付して現場データ収集装置400に送信する。
【0034】
[現場データ収集装置]
現場データ収集装置400は、センサ140(3Dセンサおよび各種センシングデバイス)が取得した各種データを現場データとして収集して、安全管理装置300に送信する。現場データ収集装置400は、現場データ収集部410と現場データ送信部420とを備える。
【0035】
現場データ収集部410は、センサ140から点群データや各種データを現場データとして収集する。センサ140は、それぞれ、予め定めた時間間隔で、現場データを取得し、現場データ収集部410へ送信する。
【0036】
現場データ送信部420は、収集した現場データを安全管理装置300に送信する。現場データ送信部420は、所定の時間間隔で、各センサ140から送信された現場データを、安全管理装置300に送信する。現場データ送信部420が送信する現場データ430の一例を、
図3(a)に示す。本図に示すように、送信日時431、データ種別432等の属性情報を付して、現場データ430のデータ値433を送信する。
【0037】
データ種別432は、例えば、どのセンサ140で取得したデータかを示す情報である。データ種別として、上記、各3Dセンサおよび各センシングデバイスの識別情報を用いてもよい。
【0038】
[安全管理装置]
安全管理装置300は、複数の現場データ430とモデルデータとをデジタル空間200上で合成して合成3Dマップを生成し、当該マップ上で危険エリア210の設定と現場作業員110の位置特定とを行い、注意喚起を促す。安全管理装置300は、3次元マップ作成部(3Dマップ作成部)310と、モデルデータ生成部320と、データリンク部330と、危険エリア管理部340と、安全管理部350と、結果出力部360とを備える。
【0039】
3Dマップ作成部310は、現場データ収集装置400から送信された作業現場100の現場データ430を取得して3Dマップを生成し、デジタル空間200に登録する。3Dマップ作成部310は、現場データ取得部311と、位置特定部312と、現場データ登録部313とを備える。
【0040】
現場データ取得部311は、現場データ収集装置400から送信された現場データ430を取得する。本実施形態では、現場データ430は、所定の時間間隔で送信される。したがって、現場データ取得部311も、所定の時間間隔で、現場データ430を取得する。
【0041】
位置特定部312は、取得した現場データ430の情報から、撮影位置を特定する。なお、ここで特定する撮影位置は、当該現場データ430を取得したセンサ140の、作業現場100内の位置である。例えば、現場作業員110が所持するカメラ等で撮影した場合、現場作業員110の位置である。撮影位置特定手法は、後述する。
【0042】
現場データ登録部313は、位置特定部312で特定した撮影位置を元に、現場データ430をデジタル空間200の3Dマップに追加する。現場データ登録部313は、上記位置特定部312で特定した、各センサ140の位置と、点群データや距離データ等の現場データ430の値とに基づき、各現場データ430のデジタル空間200内での位置を特定し、追加することにより、3Dマップを生成する。なお、デジタル空間200は、作業現場100に対応づけて生成される。3Dマップ生成手法の詳細は後述する。
【0043】
モデルデータ生成部320は、3Dデータであるモデルデータを生成し、デジタル空間200に追加する。モデルデータは、例えば、状態の監視対象について作成される。具体的には、施工の成果物、資材等である。本実施形態のモデルデータ生成部320は、モデルデータ作成部321と、属性登録部322と、モデルデータ登録部323と、を備える。
【0044】
モデルデータ作成部321は、モデルデータを3Dデータとして作成する。モデルデータは、ユーザにより、例えば、CADや3Dモデリングのソフトウェア等を用いて作成される。その他、3Dセンサで取得した点群データからモデルデータを作成してもよい。モデルデータの作成手法は、これらに限定されない。
【0045】
属性登録部322は、作成したモデルデータに対して属性情報を登録する。登録する属性情報の内容は任意に設定できる。例えば、上述のように、設備名、設置位置、設置日時、現在の温度、危険判定条件(本実施形態では、例えば、温度の閾値)などである。
【0046】
登録されるモデルデータの属性情報325の項目例を
図3(b)に示す。モデルデータには、それぞれ、一意に特定するためのモデルNoが付与される。属性情報325は、これらのモデルNo.325a毎に、属性データ325bが登録され、例えば、安全管理装置300の記憶装置等に保持される。属性情報325は、例えば、安全管理装置300が備える入力手段等を介して、ユーザが登録する。
【0047】
モデルデータ登録部323は、作成したモデルデータをデジタル空間200の3Dマップに追加する。モデルデータは、例えば、属性情報325の設置位置に基づいて、デジタル空間200に追加される。設置位置の情報が、実空間の位置情報である場合は、モデルデータ登録部323は、3Dマップ上の位置に変換し、3Dマップに追加し、合成3Dマップを生成する。
【0048】
データリンク部330は、デジタル空間200に登録された現場データ430とモデルデータとをリンクさせる(対応づける)。データリンク部330は、現場データ分割部331とリンク部332とを備える。
【0049】
現場データ分割部331は、デジタル空間200に登録された現場データ(3Dマップ)430をオブジェクト毎に分割する。現場データ分割部331は、作業現場100の現場データ430からオブジェクト(例えば、堆積物、建物、道路、地面、樹木、植栽等)を抽出する。
【0050】
具体的には、まず、点群データを含む現場データ430を、オブジェクト毎に分割する。分割は、例えば、既存のクラスタリング等の手法を用いて実施される。クラスタリングは、データ間の類似度に基づいてデータをグループ分けする手法である。
【0051】
具体的には、例えば、予め閾値Pthを設定し、起点となる点から半径Pthまでの領域に存在する点を同一グループとする。この処理を、同一グループに属する全ての点に対して行い、同一グループに属する新しい点が発見されなくなった時に、このグループを1つのクラスタとして分離する。分割手法は、この手法に限定されない。例えば、ディープラーニングによりオブジェクトを検出し、分割してもよい。なお、現場データ430を分割し、オブジェクトを特定する手法は、これに限らない。
【0052】
また、現場データ分割部331は、各オブジェクトに分割した現場データ(分割現場データ)に対し、オブジェクトの種類を判定(仮定)し、付与する。種類の判定は、分割現場データの形状や輝度情報等に基づいて行う。付与する種類は、例えば、「堆積物」、「建造物」、「道路」、「樹木」、「地面」等である。これらは、予め、作業現場に存在し得るものを、リスト化して保持し、その中から選択してもよい。
【0053】
リンク部332は、現場データ分割部331でオブジェクト毎に分割し、種類を特定した各分割現場データとデジタル空間200に登録されているモデルデータとを対応付け、領域テーブルを生成する。リンク部332は、各分割現場データに対し、合致するモデルデータの有無を判別し、有り、と判別した場合、対応づける。この処理は、逆に、登録されている各モデルデータに対し、合致するオブジェクト(分割現場データ)の有無を判別し、有りと判別した場合、対応付けてもよい。
【0054】
リンク部332により生成される領域テーブル335の項目例を、
図3(c)に示す。本実施形態では、領域No.335aと、領域(座標)335bと、オブジェクト種類335cと、モデルNo.335dと、危険判定条件335eと、を備える。
【0055】
領域No.335aは、各領域を一意に特定する識別情報である。また、領域(座標)335bは、分割現場データの、3Dマップ上の領域であり、例えば、範囲を示す座標値が登録される。オブジェクト種類335cは、判定された当該領域のオブジェクトの種類が登録される。モデルNo.335dには、当該領域に対応するモデルデータがある場合、当該モデルデータを特定する情報であるモデルNo.325aが登録される。危険判定条件335eは、当該領域が危険エリアであると判定される判定条件が登録される。
【0056】
危険判定条件335eは、例えば、モデルデータが対応付けられている場合は、モデルデータの属性データ325bから抽出される。それ以外の場合は、例えば、オブジェクト種類に応じて予め定められた判定条件が登録される。オブジェクト種類に応じて予め定められた判定条件は、安全管理装置300に予め記憶される。例えば、温度条件であれば、オブジェクト種類毎に、予め設定された許容範囲が登録される。また、例えば、上述のように、建機の周囲(建機を中心とした所定範囲)215、空中に存在する物体の直下211、陥没箇所の周囲212等が登録されてもよい。
【0057】
なお、危険判定条件335eは、同じ判定対象(温度、湿度等)に対し、オブジェクト種類335cに応じて異なる判定条件を設定してもよい。例えば、温度閾値の場合、オブジェクト種類335cに応じて異なる温度閾値を設ける。具体的には、種別が人と特定されたオブジェクトについては、温度閾値を37℃とし、建物と特定されたオブジェクトについては、火災発生と認定される程度の温度を温度閾値とする。
【0058】
また、オブジェクト種類335cに応じて、異なる判定対象を設定してもよい。例えば、オブジェクト種類335cが、人や設備であれば、温度を、オブジェクトが路面であれば、湿度を、それぞれ判定対象として、その判定条件を登録する。
【0059】
危険エリア管理部340は、デジタル空間200に登録された合成3Dマップに対して危険エリアを設定する。危険エリア管理部340は、危険エリア判定部341と、危険エリア登録部342と、設備特定部343と、を備える。
【0060】
危険エリア判定部341は、高温の場所213や発熱している資材130の周囲214を、危険エリアと判定する。上述のように、建機の周囲215、空中に存在する物体の直下211、陥没箇所の周囲212等を抽出し、危険エリアと判定してもよい。
【0061】
危険エリア判定部341は、デジタル空間200に登録された合成3Dマップにおいて、各センシングデバイスからのセンシングデータ等から、危険エリアを自動判定する。危険エリア判定部341は、例えば、センシングデータの値が、予め定めた閾値を超えた場合に、危険エリアと判定する。
【0062】
本実施形態では、危険エリア判定部341は、例えば、リンク部332が生成した領域テーブル335の危険判定条件335eを用いて判定する。具体的には、領域テーブル335の各領域について、センシングデータの値が、危険判定条件335eの許容範囲内であるか否かを判定する。例えば、危険判定条件335eに許容温度範囲が設定されている領域335bについて、温度センサからのセンシングデータの値が、許容温度範囲を越えている場合、危険エリアと判定する。そして、判定結果は、危険エリアテーブル345に登録する。
【0063】
また、危険エリア判定部341は、例えば、建機120を検出し、建機120を中心に予め設定した距離以内を上述の建機の周囲215とし、危険エリアと判定してもよい。建機120は、例えば、現場データ分割部331が判定した結果を用いて検出してもよい。具体的には、クラスタリングした点群データの、例えば、サイズ(H(高さ)W(幅)D(奥行))により、当該点群データのオブジェクトが建機120であるか否かを判別してもよい。また、特定の反射強度を持つ2次元マーカ等を建機120に貼付し、点群データから反射強度を元に2次元マーカを検出し、建機120を検出してもよい。なお、建機120にGPS等を付帯させ、位置情報を元に点群データから建機を検出してもよい。
【0064】
また、危険エリア判定部341は、空中に存在する物体(オブジェクト)を検出し、その直下の領域を、空中に存在する物体の直下211とし、危険エリアと判定してもよい。この場合、例えば、危険エリア判定部341は、現場データ分割部331が、RANSAC(RANdom SAmple Consensus)等の手法により点群データから検出した床面(地面)を用いて空中に存在する物体を検出する。例えば、現場データ分割部331がクラスタリングによって検出したオブジェクトのうち、地面から離れているオブジェクトを空中に存在する物体と判定する。そして、空中に存在する物体に対応する地面上の領域を、空中に存在する物体の直下211とする。
【0065】
また、危険エリア判定部341は、陥没箇所を特定し、その周囲の領域を、陥没箇所の周囲212とし、危険エリアと判定してもよい。この場合、例えば、危険エリア判定部341は、現場データ分割部331が、上記手法で点群データから検出した床面(地面)を用いて陥没箇所を検出する。例えば、現場データ分割部331がクラスタリングによって検出したオブジェクトのうち、地面より鉛直方向の下側に位置するオブジェクトを陥没領域と判定する。そして、陥没領域を中心に予め設定した距離以内を、陥没箇所の周囲212とする。
【0066】
危険エリアテーブル345に登録される項目の一例を、
図3(d)に示す。本図に示すように、危険エリアテーブル345は、領域No.345a毎に、危険であるか否かを示す危険フラグ345bが設定される。すなわち、危険エリア判定部341が、危険エリアと判定した領域について、危険フラグ345bが設定される。なお、危険エリア判定部341は、危険の判定を、現場データ(センシングデータ)430が送信される毎に行う。危険エリアテーブル345には、判定の基となったセンシングデータの送信日時431が時刻345cとして付与される。
【0067】
なお、本実施形態では、領域テーブル335に従って危険性を判定するため、合成3Dマップ上の、モデルデータに対応づけられた領域については、モデルデータの属性情報325に基づいて危険性の有無が判定される。例えば、堆積物については、モデルデータでコークス等、堆積物の種別が特定されている場合は、その発火温度程度が温度閾値と設定される。
【0068】
危険エリア登録部342は、危険エリア判定部341が危険と判定したエリアをデジタル空間200に登録する。すなわち、危険エリアテーブル345を登録する。
【0069】
設備特定部343は、危険エリアの判定要因となった設備をモデルデータから参照し、特定する。本実施形態では、領域No.345aに対応づけて、領域テーブル335に登録されているモデルNo.335dを特定し、当該モデルNO.に対応づけて、属性情報325に登録されている属性データ325bを抽出する。
【0070】
なお、危険エリア管理部340による危険エリア管理は、上記手法に限定されない。例えば、領域テーブル335に登録されている領域について、それぞれ、モデルデータとリンク済みであるかを判別し、リンク済みである場合、モデルデータの属性データ325bに基づき、危険エリアであるかを判別する。そして、危険エリアと判別した場合、さらに属性データ325bから表示すべき情報を取得し、デジタル空間200に登録する。一方、リンク済みでない場合、予め定めた作業現場全体の判定条件に基づき、危険エリアであるかを判別し、判別結果をデジタル空間200に登録する。
【0071】
安全管理部350は、作業現場100で作業する現場作業員110が危険エリアに存在しているかを管理する。安全管理部350は、トレース部351と、危険判定部352とを備える。
【0072】
トレース部351は、位置特定部312で特定した位置情報を元に、現場作業員110の現在位置をリアルタイムでトレースする。上述のように、現場作業員110が所持しているセンサ140の位置情報が、現場作業員110の現在位置である。
【0073】
例えば、本実施形態の安全管理装置300では、現場作業員110毎に、当該現場作業員110が所持するセンサの識別情報を対応づけて作業員テーブル355に管理する。作業員テーブル355が管理する項目例を
図3(e)に示す。本図に示すように、作業員テーブル355は、現場作業員110を特定する作業員ID355aに対応づけて、所持しているセンサの識別情報を登録する所持センサ情報355bと、現場作業員110の連絡先を登録する連絡先355cと、を備える。連絡先355cは、例えば、当該現場作業員110が所持するスマートフォンの電話番号やアドレス等が登録される。
【0074】
トレース部351は、作業員テーブル355に基づいて、現場作業員110の現在位置を特定する。
【0075】
危険判定部352は、リアルタイムでトレースする現場作業員110の現在位置と、デジタル空間200に登録された危険エリア(危険エリアテーブル345)とを照合し、現場作業員110が危険エリア210に存在しているかを判定する。現場作業員110が危険エリア210に存在している場合、危険と判定する。危険判定部352は、危険と判定した場合、当該現場作業員110の作業員ID355aを、アラート通知設定としてデジタル空間200に登録する。
【0076】
結果出力部360は、デジタル空間200上に、登録された合成3Dマップと、危険エリア登録部342で登録した危険エリアと、設備特定部343で特定した設備情報とを表示する。また、アラート通知設定がなされている場合、危険判定部352が危険と判定して登録した現場作業員110にアラートを通知する。
【0077】
なお、アラートは、例えば、現場作業員110のスマートフォン等の端末に、予め定めたアラート情報を送信することにより通知されてもよい。結果出力部360は、作業員テーブル355を参照し、送信アドレスを取得する。また、アラート通知は、デジタル空間200の3Dマップ上の、危険エリアに、現場作業員110が存在していることを意味するアラート表示を行ってもよい。各アラート通知の手法は、これに限定されない。
【0078】
[撮影位置特定]
位置特定部312による撮影位置特定手法について説明する。位置特定部312は、3D点群データの撮影位置(3Dマップ上の3D点群データを取得した位置)を解析(特定)する。撮影位置の解析方法として、例えば、3D点群データに基づいて、3D点群データに含まれる2つの基準物体(作業現場上の位置情報が既知の物体)を用いる手法がある。本手法は、2つの基準物体(例えば、柱aと柱b)間の距離および方向を算出し、一方の基準物体(例えば、柱a)に対する撮影位置の距離および方向を求める。
【0079】
また、位置特定部312は、3D点群データに撮影位置の位置情報や方位情報が関連付けられている場合には、当該位置情報や当該方位情報を用いて3D点群データの撮影位置を特定してもよい。位置特定部312は、例えば、現場作業員Aが基準物体を視認できていない場合、基準物体を視認できて既に撮影位置を特定できている別の現場作業員Bが現場作業員Aを撮影することにより、現場作業員Aの撮影位置を特定するようにしてもよい。
【0080】
ここで、基準物体について、作業現場100に必然的に存在する所定の物体(例えば、柱a、柱b)を基準物体とすることができるが、基準球を使用してもよい。任意の物体に貼り付けた所定のマーカ(位置合わせマーカ)を基準物体としてもよい。所定のマーカとして、例えば、AR(Augmented Reality)マーカ、QR(Quick Response)コード、特定の反射強度を持つ素材のシール等を用いることができる。
【0081】
[3Dマップ生成]
現場データ登録部313による本実施形態の3Dマップ生成手法について説明する。現場データ登録部313は、物体や地形の3D点群データを蓄積した3Dマップをデジタル空間200に作成する。現場データ登録部313は、上述のように、現場データ取得部311が取得した3D点群データを用いて3Dマップを作成する。
【0082】
現場データ登録部313は、3D点群データが複数ある場合、複数の3D点群データを合成して1つの3Dマップを作成する。現場データ登録部313は、3D点群データが3Dマップにおける未作成の位置の点群データを含む場合、3D点群データを3Dマップに追加する。現場データ登録部313は、3D点群データが3Dマップにおける作成済みの位置の3D点群データを含む場合、3D点群データに基づいて3Dマップを更新する。
【0083】
現場データ登録部313は、3D点群データに撮影時刻情報が関連付けられている場合には、各3D点群データの撮影時刻情報を付与して3Dマップを作成してもよく、3Dマップ内で時系列の乖離がある箇所を管理者に通知してもよい。現場データ登録部313は、3D点群データに他の現場データ430である高度情報、温度情報等が関連付けられている場合は、高度情報や温度情報等を3Dマップに付与してもよい。現場データ登録部313は、作成された3Dマップを、安全管理装置300において保存する。本実施形態では、例えば、デジタル空間200に保存する。そして、危険エリア管理部340、安全管理部350等、他の機能部は、このデジタル空間200にアクセスする。
【0084】
なお、オクルージョン等により欠損が生じている箇所に対して、過去に収集した3D点群データを該当箇所に適用して欠損を補間してもよい。例えば、危険エリアと判定した領域に対して、オクルージョン等によって欠損が生じた場合、対象の領域は危険エリアから除外されてしまう。これを防ぐために、データの欠損がオクルージョン等による一時的なものであると判断した場合、直前に取得したデータを欠損箇所に補間する事で、危険エリアの状態を保持するようなシステムとしてもよい。
【0085】
[危険報知処理]
次に、本実施形態の安全管理装置300による、危険通知処理の流れを説明する。
図4は、本実施形態の危険通知処理の処理フローである。本処理は、安全管理装置300のユーザの開始指示によって開始される。
【0086】
まず、モデルデータ生成部320は、ユーザが作成した施工の成果物をイメージしたモデルデータ220を受け付け、デジタル空間200に登録する(ステップS1101)。ここで、モデルデータに付す属性情報も併せて登録する。
【0087】
その後、3Dマップ作成部310は、所定の時間間隔で、現場データ収集装置400から現場データ430を取得する(ステップS1102)。
【0088】
3Dマップ作成部310は、現場データ430を取得すると、現場データ収集装置400から取得した複数の現場データ430を合成した3Dマップを生成し(ステップS1103)、デジタル空間200に登録する。具体的な合成方法については後述する。
【0089】
危険エリア管理部340は、デジタル空間200に、新たに合成3Dマップが登録されると、当該登録された合成3Dマップ上の危険エリアを特定し、デジタル空間200に設定する(ステップS1104)。上述のように、危険エリア管理部340は、危険エリアテーブル345を生成する。具体的な判定方法については後述する。
【0090】
安全管理部350は、危険エリア管理部340が、危険エリアを新たに設定すると、現場データ430の情報に基づき、作業現場100に存在する現場作業員110の位置情報を特定し、危険エリアに存在しているかを判定する(ステップS1105)。
【0091】
そして、安全管理部350は、危険エリア内に現場作業員110が存在していると判別した場合、アラート通知処理をデジタル空間200に登録する(ステップS1106)。
【0092】
結果出力部360は、結果を出力する(ステップS1107)。本実施形態では、結果出力部360は、デジタル空間200に登録されている合成3Dマップに、危険エリアを重畳して安全管理装置300の表示装置に表示するとともに、アラート通知設定された現場作業員110に通知する。
【0093】
その後、安全管理装置300は、危険通知処理の終了指示を受け付けたかを判別し(ステップS1108)、受け付けていなければ、ステップS1102へ戻り、処理を繰り返す。一方、終了指示を受け付けた場合は、処理を終了する。
【0094】
以上により、デジタル空間200に表示されているデータがリアルタイムに更新され、リアルタイムに現場作業員110にアラートが通知される。
【0095】
[3Dマップ生成処理]
次に、上記ステップS1103の合成3Dマップ生成処理の流れを説明する。
図5は、本実施形態の3Dマップ作成部310による3Dマップ作成処理の処理フローである。
【0096】
位置特定部312は、センサ140(3Dセンサおよび各種センシングデバイス)で取得した現場データ430等から、現場データ430を取得した位置を特定する(ステップS1201)。ここでは、位置特定部312は、例えば、上述したように、基準球や位置合わせマーカのように位置合わせの基準となる物体を撮影して位置を特定する。
【0097】
現場データ登録部313は、特定した位置情報に基づいて、取得した現場データ430をデジタル空間200に登録し(ステップS1202)、3Dマップとする。登録する現場データ430は、3Dセンサで取得した点群データと、各種センシングデバイスで取得したセンサデータである。デジタル空間200にデータを登録する際は、例えば、これらのデータを合成して登録する。具体的な合成方法としては、例えば、センシングデバイスで取得したセンサデータが画像データの場合、点群データの各点に対して当該画像データのRGB値を合成する、点群データをポリゴンメッシュ化し、表面に当該画像データを重畳する、等の方法が挙げられる。しかし、合成方法はこれに限らない。
【0098】
現場データ分割部331は、デジタル空間200に登録された現場データ430を、オブジェクト毎に分割する(ステップS1203)。ここでは、3Dマップをオブジェクト単位に分割し、分割した各領域のオブジェクトを特定する。
【0099】
リンク部332は、オブジェクト毎に分割した点群データに対して、予めデジタル空間200に登録されているモデルデータとの紐づけ処理(データリンク処理)を行い(ステップS1204)、領域テーブル335を生成し、処理を終了する。オブジェクト毎に分割したデータのうち、モデルデータに対応するものが無い場合は、紐づけ処理を行わない。
【0100】
[危険エリア設定処理]
次に、上記ステップS1104の危険エリア設定処理の流れを説明する。
図6は、危険エリア設定処理の処理フローである。ここでは、危険の判定を、温度により行う場合を例にあげて説明する。すなわち、現場データ430のうち、温度センサにより取得されて送信されたデータを用いて判定する。温度センサは、例えば、赤外線カメラを用いる。設備および空間の温度上昇を検知して危険エリアを設定する例を用いて説明する。
【0101】
なお、危険と判定する温度閾値(許容温度範囲)は、予めオブジェクトの種類に応じて登録されているものとする。また、モデルデータに対応付けられたオブジェクトについては、モデルデータの属性として登録される。いずれも、領域No.335aに対応づけて、領域テーブル335に登録される。ここでは、許容する温度の閾値(温度閾値)が登録されているものとする。
【0102】
ここで、各領域について、1から連番で領域No.335aが付与されているものとする。全領域数をN(Nは、1以上の整数)、nはカウンタとする。
【0103】
危険エリア判定部341は、カウンタnを初期化する(n=1)(ステップS1301)。
【0104】
危険エリア判定部341は、領域テーブル335を参照し、領域No.335aがnの危険判定条件を取得する(ステップS1302)。
【0105】
危険エリア判定部341は、当該領域のセンシングデータの値が、危険判定条件の許容範囲内であるかを判別する(ステップS1303)。ここでは、温度データの値が、温度閾値以内であるかを判別する。
【0106】
温度閾値範囲外であれば、当該領域を危険エリアと判別する。そして、危険エリア判定部341は、危険エリアテーブル345の、当該領域No.345aの危険フラグ345bを設定する(ステップS1304)。
【0107】
そして、カウンタの判定処理を行い(ステップS1305)、全領域の処理を終えた場合、処理を終了する。なお、ステップS1303で、温度閾値範囲内である場合は、そのままステップS1305へ移行する。また、ステップS1305で全ての領域の処理を終えていない場合は、カウンタを1、インクリメントし(S1306)、ステップS1302へ移行し、次の領域の処理を行う。
【0108】
[ハードウェア構成]
次に、本実施形態の安全管理装置300のハードウェア構成について説明する。本実施形態の安全管理装置300は、いわゆる、汎用の情報処理装置(コンピュータ)により実現可能である。
【0109】
本実施形態の安全管理装置300は、
図7に示すように、例えば、内部バスにより相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)391と、主記憶装置(メモリ)392と、補助記憶装置393と、通信I/F394と、拡張I/F395と、を備える。
【0110】
CPU391は、例えば、補助記憶装置393に記憶されたプログラムを主記憶装置392にロードして実行することにより、上記各機能を実現するとともに安全管理装置300全体を統括的に制御する。なお、CPU391の代わりにMPU(Micro Processing Unit)等の1以上のプロセッサを用いてもよい。
【0111】
主記憶装置392は、RAM(Random Access Memory)等のメモリである。主記憶装置392は、安全管理装置300が実行するプログラム等を、CPU391が処理する際のワーク領域である。
【0112】
補助記憶装置393は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。補助記憶装置393は、情報交換装置が実行する各種プログラムを記憶する。なお、補助記憶装置393は、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性メモリカード、DVD等の記憶媒体を備えてもよい。
【0113】
なお、補助記憶装置393に記憶されたプログラムは、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)に記録されたプログラム製品として提供することができる。補助記憶装置393は、非一時的なコンピュータ可読記録媒体に記録された各種プログラムを中長期的に記憶することに利用することが可能である。
【0114】
通信I/F394は、有線または無線による信号、データの送受信を行う。また、通信I/F394として、例えば、NIC(Network Interface Card)等を備えてもよい。本実施形態では、例えば、現場データ収集装置400は、この通信I/F394を介して接続されてもよい。
【0115】
拡張I/F395は、表示装置、入力装置等を接続するインタフェースである。表示装置は、例えば、液晶モニタ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。
【0116】
本実施形態の安全管理装置300の上記各機能は、それぞれ、補助記憶装置393に記憶されたプログラムを、CPU391が、主記憶装置392にロードして実行することにより実現される。
【0117】
また、安全管理装置300が管理する情報は、補助記憶装置393に構築されてもよい。また、処理の途中に生成されるデータは、主記憶装置392または補助記憶装置393に記憶される。
【0118】
なお、安全管理装置300のハードウェア構成は、これに限定されない。図示しないハードウェアを含んでもよい。
【0119】
また、本実施形態の安全管理装置300の上記各機能を実現するプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【0120】
また、現場データ収集装置400は、少なくとも、CPU等の演算装置と、メモリ等の記憶装置と、通信インタフェースと、を備える。上記各機能は、安全管理装置300同様、記憶装置に格納されたプログラムを、演算装置がそのワーク領域にロードして実行することにより実現される。また、各種の情報(データ)は、記憶装置に格納される。
【0121】
以上説明したように、本実施形態の安全管理システム301は、3Dセンサおよび各種センシングデバイスを用いて、作業現場100の状態をリアルタイムで監視する。すなわち、本実施形態によれば、所定の時間間隔で収集した3D点群データに基づいて、作業現場の3Dマップを生成する。このとき、監視対象については、モデルデータを生成し、モデルデータ毎に状態判定基準を属性情報として設定する。そして、センシングデバイスからセンシングデータを受信する毎に、作業現場の安全性を判定し、危険エリアを特定し、出力する。
【0122】
このため、本実施形態では、リアルタイムで、作業現場100の危険性を判別できる。また、監視対象については、モデルデータを生成して判断するため、詳細に、多様な危険性をそれぞれの基準で判定できる。したがって、作業現場100のように、状況が刻々と変化する環境においても、領域に応じて多様な危険性を適切に判定できる。
【0123】
また、本実施形態によれば、現場作業員110の位置を特定し、現場作業員110に危険がおよぶ可能性がある場合、当該現場作業員110に直接アラートを通知する。したがって、現場作業員110にアラートが伝わる可能性が高まる。
【0124】
本実施形態によれば、モデルデータを用いるため、3D点群データが収集できない物体であっても、危険性を判定できる。また、モデルデータを用いたり、欠損部分を補間したりすることにより、必ずしも全体の点群データを収集する必要がない。
【0125】
したがって、本実施形態によれば、簡易な構成で、危険なエリアを高精度に特定でき、現場作業員に通知できる。
【0126】
<変形例1>
なお、本実施形態では、所定の時間間隔で、センサ140からの現場データ430を取得する。これを、安全管理装置300に蓄積することで、さらに、以下のような活用ができる。
【0127】
まず、現場作業員110の行動をトレースした情報を蓄積することで、作業状況の確認や行動のフィードバックに活用できる。また、デジタル空間200の合成3Dマップを時系列に蓄積することで、作業の進捗管理に活用できる。さらに、赤外線カメラ等のセンシングデバイスで設備の異常を監視するとともに、当該データを蓄積することで、施工時だけでなく運用時の設備の保守、点検にも活用できる。また、センシングデータとして現場作業員110の生体情報を取得すれば、他のセンシングデータ等とともに蓄積し、将来予測を行い、事故を未然に防ぐことができる。また、赤外線カメラを使用する事で作業員の体温や作業現場の温度を計測できるため、熱中症などの事故を未然に防ぐ事ができる。
【0128】
<変形例2>
また、本実施形態では、モデルデータについて、属性情報に基づいて、対応する領域の危険性を、詳細に判定している。しかしながら、モデルデータの利用はこれに限定されない。例えば、施工の成果物であるモデルデータと、3D点群データから生成した3Dマップによる作業現場100の現状とを比較し、作業の進捗情報を管理してもよい。このとき、作業の進捗に応じたメッセージを出力してもよい。
【0129】
例えば、同じ施工対象物のモデルデータであっても、日時に応じて、異なる形状のモデルデータを用意してもよい。例えば、モデルデータの属性情報325の属性データ325bの設置日時に、使用期間を登録する。そして、処理対象の現場データ430の送信日時431に応じて、使用するモデルデータを変更する。
【0130】
この場合、危険報知処理において、ステップS1102の現場データ取得の後、当該現場データ430の送信日時431が使用期間に含まれるモデルデータを抽出し、ステップS1103で合成3Dマップを生成する。
【0131】
<変形例3>
上記実施形態では、センシングデバイスとして赤外線カメラを用いる場合を例にあげて説明している。しかし、センシングデバイスは、これに限定されない。例えば、赤外線カメラに代えて、または、赤外線カメラとともに、ハイパースペクトルカメラを使用してもよい。
【0132】
ハイパースペクトルカメラを用いることにより、センシングデータに基づき、路面の凍結や地面のぬかるみ、配管の水漏れ等の事象を把握することができる。これらの事象が発生しているエリアを危険エリアとして設定してもよい。
【0133】
複数種のセンシングデバイスを用いる場合、センシングデータ(現場データ430)には、いずれの種類のセンシングデバイスからのデータであるかを示す種別情報が付加される。
【0134】
<変形例4>
上記実施形態では、作業現場100に固定的に設置される以外のセンサ140は、現場作業員110が保持している。しかし、これに限定されない。例えば、ドローンや、路面を走行する移動体ロボットにセンサを設置してもよい。この場合、送信元の種別を特定する情報(例えば、データ種別432)を、センサ140からの送信データに付加する。
【0135】
例えば、安全管理部350は、現場作業員110の位置をトレースする際、現場作業員110が所持しているセンサ140からの現場データ430のみ処理する。
【0136】
また、センサの種類によって、配置を決定してもよい。例えば、3Dセンサは現場作業員110に付帯させ、各種センシングデバイスは作業現場100に固定設置し、それぞれの取得データに対して位置特定を行い、合成してもよい。
【0137】
<変形例5>
位置情報の特定について、基準球や位置合わせマーカに代えて、デジタル空間200に登録済みのモデルデータの形状と取得データとをマッチングさせて位置を特定してもよい。また、デジタル空間200に登録済みの合成データと取得データとをマッチングさせて位置を特定してもよい。また、現場作業員110にGPS等を所持させて、その情報に基づいて位置を特定してもよい。また、作業現場100やドローン等の移動体ロボット150に設置した3Dセンサのデータから位置を特定してもよい。
【0138】
<変形例6>
現場作業員110の位置情報のトレースについて、現場を走行する移動体ロボットに各種センサを付帯させて巡回を行い、その行動をトレースしてもよい。
【0139】
<変形例7>
危険エリアのアラートについて、3Dマップ上の表示、作業員のスマートフォン等への通知の他、作業現場100に予め設置されたパトランプや警報でアラートを行ってもよい。
【0140】
アラートの通知について、特定の現場作業員110は危険エリアに存在してもアラートを通知しないようにしてもよい。現場作業員110の特定は、取得データを元に個人を特定して判断してもよいし、個人を特定せずとも服装などから危険エリアへの侵入可否を判断してもよい。個人を特定して判断する場合、例えば、現場作業員110の個人情報をデータベース上で管理し、保有資格の有無などの情報を元に危険エリアへの侵入可否を判断してもよい。
【0141】
アラートの通知について、対象の現場作業員110に対してだけでなく、その周囲にいる作業員を含んだグループに対してアラートを通知してもよい。また、危険エリア以外にいる現場作業員110も含め、作業現場100にいる全ての現場作業員110に対し、アラートを通知するよう構成してもよい。さらに、作業現場100内の建機等の車両が通信設備を搭載している場合、車両等にアラートを通知してもよい。また、アラートの通知先として、遠隔地の事業所や警察など外部に通知を行ってもよい。
【0142】
<変形例8>
上記実施形態では、モデルデータ生成部320を備え、安全管理装置300内でモデルデータを生成しているが、これに限定されない。例えば、生成済みのモデルデータを外部のシステムから取得してもよい。また、モデルデータの属性情報も同様に外部のシステムで設定し、そこから取得してもよい。また、本システムを複数の企業が同時に使用する場合、各企業が作成したモデルデータを相互に利用できるようにしてもよい。
【0143】
<変形例9>
また、属性情報の設定について、モデルデータだけでなく、デジタル空間200の3Dマップ上の各空間に対して属性情報を設定してもよい。例えば、デジタル空間200の3Dマップ内の特定の領域に対してガス濃度の属性(許容範囲閾値)を設定する。そして、ガス濃度をセンシングするデバイスを用いてガス濃度を検出する。このとき、ガス濃度の属性を設定されている領域のみ、ガス濃度を算出してもよい。また、3Dマップ上の全領域について、ガス濃度を算出し、ガス濃度の属性が設定されている領域の値のみを抽出してもよい。
【0144】
そして、属性にガス濃度が設定されている領域について、当該ガス濃度が予め定めた許容範囲閾値を超えているか否かを判別し、超えている場合、当該領域を危険エリアとする。
【0145】
<変形例10>
危険エリアの設定について、危険か危険でないかの2者択一に限定されない。例えば、複数のレベルを設定してもよい。これは、閾値で設定する。具体的には、注意喚起を行うレベルの閾値、危険エリアとして設定するレベルの閾値、等である。この場合、アラート表示を変えてもよい。アラート表示の色を変えてもよい。
【0146】
<変形例11>
危険判定条件は、危険種別ごとに、複数種の判定条件が登録されていてもよい。危険エリアテーブル345には、種別ごとに危険か否かのフラグを設定するように構成してもよい。
【0147】
<変形例12>
本安全管理システム301は、建設業界に限らず、林業など他の業界で適用してもよい。
【0148】
なお、上述の説明で用いたフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。例えば、各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0149】
また、安全管理装置300の補助記憶装置393等に記憶されたプログラムは、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)に記録されたプログラム製品として提供することができる。これらは、非一時的なコンピュータ可読記録媒体に記録された各種プログラムを中長期的に記憶することに利用することが可能である。
【0150】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0151】
上記の実施形態および変形例の一部又は全部は、以下に付記する形態のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
作業現場でセンサにより収集した現場データが送信される毎に、当該現場データから3次元マップを生成する3次元マップ生成部と、
前記3次元マップに監視対象のモデルデータを対応づけ、合成3次元マップを生成するデータリンク部と、
前記合成3次元マップを解析し、前記作業現場内の危険エリアを特定する危険エリア管理部と、
特定した前記危険エリアを識別可能にして前記合成3次元マップを表示する結果出力部と、を備える安全管理装置。
(付記2)
付記1記載の安全管理装置において、
前記データリンク部は、前記3次元マップをオブジェクト単位の領域に分割し、前記モデルデータを対応づけることが望ましい。
(付記3)
付記2記載の安全管理装置において、
前記危険エリア管理部は、予め定めた危険判定条件に基づいて前記合成3次元マップの前記領域それぞれについて前記危険エリアであるかを判別し、
前記モデルデータには、それぞれ、前記危険判定条件が属性情報として設定され、
前記危険エリア管理部は、前記合成3次元マップにおいて、前記モデルデータが対応付けられている前記領域については、当該モデルデータの属性情報に基づいて、前記危険エリアであるかを判別することが望ましい。
(付記4)
付記1から3いずれかに記載の安全管理装置において、
前記作業現場内の現場作業員の位置を特定し、前記危険エリア内である場合、アラート情報を送信する安全管理部をさらに備えることが望ましい。
(付記5)
付記1から4いずれかに記載の安全管理装置において、
前記モデルデータを生成するモデルデータ生成部および前記モデルデータの属性情報を登録する属性登録部の少なくとも一方をさらに備えることが望ましい。
(付記6)
付記2記載の安全管理装置において、
前記危険エリア管理部は、前記モデルデータと前記3次元マップとを比較し、予め定めた判定基準に従って異常ありと判定した前記領域を、さらに、前記危険エリアと特定し、
前記結果出力部は、前記異常ありと判定した前記領域に対応する前記モデルデータに対応づけられた当該モデルデータの属性情報をさらに表示することが望ましい。
(付記7)
3次元センサで点群データを収集し、センシングデバイスでセンサデータを収集する現場データ収集装置と、
付記1から6いずれかに記載の安全管理装置と、を備える安全管理システム。
(付記8)
コンピュータによって実行される安全管理方法であって、
作業現場でセンサにより収集した現場データが送信される毎に、当該現場データから3次元マップを生成し、
前記3次元マップに監視対象のモデルデータを対応づけ、合成3次元マップを生成し、
前記合成3次元マップを解析し、前記作業現場内の危険エリアを特定し、
特定した前記危険エリアを識別可能にして前記合成3次元マップを表示する、安全管理方法。
(付記9)
コンピュータに、
作業現場でセンサにより収集した現場データが送信される毎に、当該現場データから3次元マップを生成する手順と、
前記3次元マップに監視対象のモデルデータを対応づけ、合成3次元マップを生成する手順と、
前記合成3次元マップを解析し、前記作業現場内の危険エリアを特定する手順と、
特定した前記危険エリアを識別可能にして前記合成3次元マップを表示する手順とを実行させるためのプログラム。
なお、付記8、9の各形態は、付記1の形態と同様に付記2-6の形態に展開することが可能である。
【0152】
なお、上記の特許文献等の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0153】
100:作業現場、110:現場作業員、120:建機、121:建機、122:建機、130:資材、140:センサ、150:移動体ロボット、160:設備、
200:デジタル空間、210:危険エリア、211:空中に存在する物体の直下、212:陥没箇所の周囲、213:高温の場所、214:発熱している資材の周囲、215:建機の周囲、220:モデルデータ、230:属性表示、240:アラート表示、
300:安全管理装置、301:安全管理システム、310:3Dマップ作成部、311:現場データ取得部、312:位置特定部、313:現場データ登録部、320:モデルデータ生成部、321:モデルデータ作成部、322:属性登録部、323:モデルデータ登録部、325:属性情報、325a:モデルNo.、325b:属性データ、330:データリンク部、331:現場データ分割部、332:リンク部、335:領域テーブル、335a:領域No.、335b:領域(座標)、335c:オブジェクト種類、335d:モデルNo.、335e:危険判定条件、340:危険エリア管理部、341:危険エリア判定部、342:危険エリア登録部、343:設備特定部、345:危険エリアテーブル、345a:領域No.、345b:危険フラグ、345c:時刻、350:安全管理部、351:トレース部、352:危険判定部、355:作業員テーブル、355a:作業員ID、355b:所持センサ情報、355c:連絡先、360:結果出力部、391:CPU、392:主記憶装置、393:補助記憶装置、394:通信I/F、395:拡張I/F、
400:現場データ収集装置、410:現場データ収集部、420:現場データ送信部、430:現場データ、431:送信日時、432:データ種別、433:データ値