(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130288
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】スタッカークレーン式自動倉庫
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B65G1/04 541
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039929
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 秀生
(72)【発明者】
【氏名】古橋 正得
(72)【発明者】
【氏名】窪田 博司
(72)【発明者】
【氏名】小原 生光
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022HH13
3F022JJ09
3F022MM15
3F022MM35
(57)【要約】
【課題】入出庫の効率を向上することができるスタッカークレーン式自動倉庫を提供する。
【解決手段】作業順序演算部32は、初期値として仮定した作業順序について、データベースを参照することで、当該作業順序においてスタッカークレーン13が移動する経路の移動時間を把握することができる。これによって、作業順序演算部32は、仮定した作業順序の総時間を評価することができる。作業順序演算部32は、次に仮定した作業順序についての評価を行い、評価結果が良くなれば、更に作業順序を仮定することで、更に搬送効率を向上できる。このように、作業順序演算部32は、評価結果が収束して、それ以上評価が改善しなくなるまで作業順序の仮定を繰り返すことで、移動時間の総時間を低減できるような評価の高い作業順序を探索することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管される物品の保管位置が区画された保管棚と、
前記保管位置に対して前記物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
作業タスクを取得する作業タスク取得部と、
前記作業タスクに基づき、前記搬送部の作業順序を演算する作業順序演算部と、
物品の搬送に関わる前記搬送部の移動時間を含むデータベースと、を備え、
前記作業タスク取得部は、前記作業タスクを取得し、
前記作業順序演算部は、
前記作業タスクに基づいて、初期値としての前記搬送部の作業順序を仮定し、
前記データベースを参照することで、仮定した前記作業順序の総時間を評価し、
前記作業順序の仮定を評価結果が収束するまで繰り返し行い、
繰り返しの仮定によって取得された前記作業順序に基づいて、前記搬送部の動作経路を決定する、スタッカークレーン式自動倉庫。
【請求項2】
前記データベースは、前記保管棚における任意の二点間の前記搬送部の移動時間を含む、請求項1に記載のスタッカークレーン式自動倉庫。
【請求項3】
前記作業順序演算部は、繰り返しの作業情報を仮定するときにおいて、入庫動作の後は出庫動作を、または出庫動作の後は入庫動作を優先的に仮定する、請求項1又は2に記載のスタッカークレーン式自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッカークレーン式自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタッカークレーンを用いて物品を保管棚に保管するスタッカークレーン式自動倉庫として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このスタッカークレーン式自動倉庫は、スタカークレーンの動作経路の候補を複数選定し、それぞれの候補を評価することによって、動作経路を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のようなスタッカークレーン式自動倉庫よりも、入出庫の効率を向上することが求められていた。
【0005】
従って、本発明は、入出庫の効率を向上することができるスタッカークレーン式自動倉庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るスタッカークレーン式自動倉庫は、保管される物品の保管位置が区画された保管棚と、保管位置に対して物品を搬送する搬送部と、搬送部を制御する制御部と、を備え、制御部は、作業タスクを取得する作業タスク取得部と、作業タスクに基づき、搬送部の作業順序を演算する作業順序演算部と、物品の搬送に関わる搬送部の移動時間を含むデータベースと、を備え、作業タスク取得部は、作業タスクを取得し、作業順序演算部は、作業タスクに基づいて、初期値としての搬送部の作業順序を仮定し、データベースを参照することで、仮定した作業順序の総時間を評価し、作業順序の仮定を評価結果が収束するまで繰り返し行い、繰り返しの仮定によって取得された作業順序に基づいて、搬送部の動作経路を決定する。
【0007】
制御部の作業タスク取得部は、作業タスクを取得し、作業順序演算部は、作業タスクに基づいて、初期値としての搬送部の作業順序を仮定する。まず、作業順序演算部は、初期値として仮定した作業順序について、データベースを参照することで、当該作業順序において搬送部が移動する経路の移動時間を把握することができる。これによって、作業順序演算部は、仮定した作業順序の総時間を評価することができる。作業順序演算部は、次に仮定した作業順序についての評価を行い、評価結果が良くなれば、更に次の作業順序を仮定してゆくことで、搬送効率を向上できる。このように、作業順序演算部は、評価結果が収束して、それ以上評価が改善しなくなるまで作業順序の仮定を繰り返すことで、移動時間の総時間を低減できるような評価の高い作業順序を探索することができる。以上より、搬送効率を向上することができる。
【0008】
データベースは、保管棚における任意の二点間の搬送部の移動時間を含んでよい。子の場合、作業順序演算部は、仮定した作業順序の中で、二点間の移動経路を設定すれば、データベースを照会することで、設定した移動経路の移動時間を速やかに取得することができる。これより、作業順序演算部は、仮定した作業順序を容易に評価することができる。
【0009】
作業順序演算部は、繰り返しの作業情報を仮定するときにおいて、入庫動作の後は出庫動作を、または出庫動作の後は入庫動作を優先的に仮定してよい。入庫動作の後は搬送部は保管棚側において空になるため、そのまま他の保管位置へ移動して物品の出庫動作を行うことで、効率よく出庫動作を行うことができる。出庫動作の後は搬送部は入出庫位置側において空になるため、そのまま入庫用の物品を移載して、入庫動作を行うことで、効率よく入庫動作を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入出庫の効率を向上することができるスタッカークレーン式自動倉庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るスタッカークレーン式自動倉庫を示す概略平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るスタッカークレーン式自動倉庫を示す概略側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るスタッカークレーン式自動倉庫を示すブロック図である。
【
図5】制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【
図6】学習装置の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るスタッカークレーン式自動倉庫10を示す概略平面図である。
図2は、スタッカークレーン式自動倉庫10を示す概略側面図である。
図1に示すように、スタッカークレーン式自動倉庫10は、保管棚11と、レール12と、スタッカークレーン13(搬送部)と、制御部100と、を備える。なお、以降の説明においては、スタッカークレーン13が物品Wを水平方向に平行に搬送する方向を「走行方向D1」と称し、物品Wを鉛直方向に搬送する方向を「昇降方向D2」と称し、走行方向D1及び昇降方向D2と直交する方向を「横方向D3」と称する場合がある。
【0014】
保管棚11は、保管される物品Wの保管位置16が区画された棚である。保管棚11は、走行方向D1に沿って複数の保管位置16が配列されると共に、昇降方向D2に沿って複数の保管位置16が配列される。保管位置16には、スタッカークレーン13で搬送された物品Wが保管される。また、保管棚11は、走行方向D1の一端側における一階層に入出庫台14を備える。入出庫台14は、入庫の対象となる物品Wをスタッカークレーン13の受け渡し位置まで搬送すると共に、スタッカークレーン13で受け渡し位置へ設置された出庫の対象となる物品Wを搬送する。入出庫台14は、物品Wを走行方向D1へ搬送するコンベアを有する。
【0015】
一対の保管棚11が、一台のスタッカークレーン13を横方向D3の両側から挟むように互いに離間した状態で設けられる(
図2参照)。レール12は、一対の保管棚11の間の一階層に設けられる。レール12は、スタッカークレーン13を走行方向D1へ案内する部材であり、走行方向D1に延びるように設けられる。
【0016】
スタッカークレーン13は、保管棚11の各保管位置16に対して物品Wを搬送する装置である。スタッカークレーン13は、走行装置21と、昇降装置22と、を備える。走行装置21は、レール12に沿って走行方向D1へ走行動作する装置である。走行装置21は、昇降装置22を保持した状態で、走行方向D1へ走行する。走行装置21は、昇降装置22のガイド機構も備えている。従って、走行装置21は、保管棚11の最上階の高さまで延びている。昇降装置22は、物品Wを載置させた状態で昇降方向D2へ昇降移動する装置である。昇降装置22は、昇降装置22は、横方向D3へ物品Wを移動させる機構も有している。従って、昇降装置22は、所望の保管位置16へ移動したら、載置している物品Wを横方向D3へ移動させ、保管位置16へ入れる。あるいは、昇降装置22は、保管位置16に保管されている物品Wを取り出す。一対の保管棚11、レール12、スタッカークレーン13、及び制御部100の組は、横方向D3に複数組配列される(
図1参照)。なお、本実施形態ではスタッカークレーン13の横方向D3の両側に保管棚11が設けられているが、理解を容易とするため以降の説明では、一方の保管棚11に対してのみ入出庫を行うものとする。
【0017】
次に、
図3を参照して、制御部100の構成について説明する。制御部100は、スタッカークレーン13を制御する装置である。制御部100は、作業タスク取得部31と、作業順序演算部32と、データベース33と、を備える。
【0018】
作業タスク取得部31は、スタッカークレーン式自動倉庫10が実行する作業タスクを取得する。作業タスクは、入庫情報及び出庫情報を含む。入庫情報は、保管棚11に対して何の物品Wを入庫するかを示す情報である。出庫情報は、保管棚11に保管されている物品Wのうち何の物品Wを出庫するかを示す情報である。
【0019】
作業順序演算部32は、作業タスク取得部31で取得した作業タスクに基づき、スタッカークレーン13の作業順序を演算する。作業順序演算部32は、作業タスクに基づいて、初期値としてのスタッカークレーン13の作業順序を仮定する。作業順序演算部32は、データベース33を参照することで、仮定した作業順序の総時間を評価する。そして、作業順序演算部32は、評価結果が収束するまで作業順序の仮定を繰り返す。作業順序演算部32は、繰り返しの仮定によって取得された作業順序に基づいて、スタッカークレーン13の動作経路を決定する。作業順序演算部32は、決定した動作経路をスタッカークレーン13に出力する。これにより、スタッカークレーン13は、決定した動作経路に従って入出庫の作業を行う。
【0020】
作業順序の繰り返しの仮定において、次の作業順序の探索方法として、遺伝的アルゴリズム(GA:Genetic Algorithm)、焼きなまし法(SA:Simulated Annealing)、MaxSATなど、組合せ最適化問題を解くための公知の探索方法を用いてよい。
【0021】
データベース33は、物品Wの搬送に関わるスタッカークレーン13の移動時間を含んでいる。データベース33は、保管棚11における任意の二点間のスタッカークレーン13の移動時間を含む。例えば、保管棚11の任意の保管位置16の位置情報Pを「xij」とする。ただし、iは一階からカウントした昇降方向D2の番号を示し、最大nと表される。jは、入出庫台14からカウントした走行方向D1の番号を示し、最大mと表される。入出庫台14の位置情報Pは「x00」と表される。データベース33は、保管棚11におけるある保管位置16(位置情報P1)から他の保管位置16(位置情報P2)へ移動するときのスタッカークレーン13の移動時間を含む。データベース33は、あらゆる組合わせの二つの保管位置16についての移動情報を含む。また、データベース33は、入出庫台14(位置情報P1)から、保管棚11におけるある保管位置16(位置情報P2)へ移動するときのスタッカークレーン13の移動時間を含む。これらの移動時間の情報を記憶装置に記憶させることによって、データベース33の作成が行われる。
【0022】
次に、
図4及び
図5を参照して、スタッカークレーン式自動倉庫10の動作の一例について説明する。
図4は、スタッカークレーン式自動倉庫10の動作のための事前準備の処理内容を示す工程図である。
図5は、スタッカークレーン式自動倉庫10のスタッカークレーン13の動作経路を決定するための制御処理を示すフローチャートである。
【0023】
図4に示すように、保管棚11における任意の二点間のスタッカークレーン13の移動時間を計測する(ステップS10)。ここでは、実際にスタッカークレーン13を運転して、移動時間を実測する。また、保管棚11におけるあらゆる組み合わせの二点間についての移動時間の計測を行う。次に、ステップS10で計測された移動時間を用いて、データベース33の作成を行う(ステップS20)。
【0024】
次に、
図5に示す処理について説明する。当該処理は、日ごとに処理されてもよく、バッチ処理がなされてもよい。
図5に示すように、作業タスク取得部31は、保管棚11内に保管されている物品Wの配置に関する物品配置情報を取得する(ステップS30)。物品配置情報は、各保管位置16の位置情報Pと、当該保管位置16に物品Wが保管されているか否か、及び保管されている場合の物品Wの種類と、が含まれる。次に、作業タスク取得部31は、上位のシステムから、作業タスクを取得する(ステップS40)。
【0025】
作業順序演算部32は、ステップS40で取得した作業タスクに基づいて、初期値としてのスタッカークレーン13の作業順序を仮定する(ステップS50)。ここで、初期値として仮定したスタッカークレーン13の作業順序Xの一例を
図6及び
図7を参照して説明する。
図7に示すように、入出庫台14の位置を「位置情報P=位置A」とする。また、「位置情報P=位置B」の物品Wb、及び「位置情報P=位置E」の物品Weを出庫するものとする。また、物品Wa1,Wa2を入庫するものとする。初期値の仮定においては、「位置E」の一段上の保管位置16を物品Wa1を保管する「位置情報P=位置C」とする。また、「位置E」の二段上の保管位置16を物品Wa2を保管する「位置情報P=位置D」とする。
図6は、スタッカークレーン13の作業順序における各工程における作業内容を示す表である。なお、「作業順序X」の欄では、スタッカークレーン13に物品Wが搭載されていない状態を白抜きの四角形で示し、搭載されている状態を黒塗りの四角形で示す。
【0026】
まず、
図6及び
図7に示す仮定した作業順序Xにおいては、スタッカークレーン13は、空の状態で位置Aから位置Bへ経路LX1を移動し、位置Bから物品Wbを取り出す(工程1~3)。スタッカークレーン13は、位置Bから位置Aへ経路LX2を移動し、位置Aにて物品Wbを移載する(工程4~5)。スタッカークレーン13は、位置Aにて物品Wa1を移載し、位置Aから位置Cへ経路LX3を移動し、位置Bへ物品Wa1を棚入れする(工程6~8)。スタッカークレーン13は、空の状態で位置Cから位置Aへ経路LX4を移動する(工程9)。スタッカークレーン13は、位置Aにて物品Wa2を移載し、位置Aから位置Dへ経路LX5を移動し、位置Dへ物品Wa2を棚入れする(工程10~12)。スタッカークレーン13は、空の状態で位置Dから位置Eへ経路LX6を移動し、位置Eにて物品Weを取り出す(工程13~14)。スタッカークレーン13は、位置Eから位置Aへ経路LX7を移動し、位置Aにて物品Weを移載する(工程15~16)。
【0027】
次に、作業順序演算部32は、データベース33を参照することで、ステップS50で仮定した作業順序Xの総時間を評価する。作業順序Xでは、経路LX1~LX7を移動しているので、作業順序演算部32は、経路LX1~LX7をデータベース33と照会し、対応する移動時間を取得すると共に、取得した移動時間の総時間を評価する(ステップS60)。作業順序演算部32は、評価結果が収束したか否かを判定する(ステップS70)。一回目の仮定では、評価結果が収束しないため、「NO」と判定し、作業順序演算部32は、次の作業順序の仮定を行う(ステップS80)。このように、作業順序演算部32は、評価結果が収束するまで、作業順序の仮定を繰り返す。
【0028】
次に仮定したスタッカークレーン13の作業順序Yの一例を
図8及び
図9を参照して説明する。
図9に示すように、次の仮定においては、「位置E」の一段上の保管位置16を物品Wa1を保管する「位置情報P=位置C」とする。また、「位置B」の二段上の保管位置16を物品Wa2を保管する「位置情報P=位置D」とする。
図8は、スタッカークレーン13の作業順序における各工程における作業内容を示す表である。
【0029】
まず、
図8及び
図9に示す作業順序Yにおいては、スタッカークレーン13は、位置Aで物品Wa1を移載し、位置Aから位置Cへ経路LY1を移動し、位置Cへ物品Wa1を棚入れする(工程1~4)。スタッカークレーン13は、位置Cから位置Eへ経路LY2を移動し、位置Eにて物品Weを取り出す(工程5~6)。スタッカークレーン13は、位置Eから位置Aへ経路LY3を移動し、位置Aにて物品Weを移載する(工程7~8)。スタッカークレーン13は、位置Aにて物品Wa2を移載し、位置Aから位置Dへ経路LY4を移動し、位置Dへ物品Wa2を棚入れする(工程9~11)。スタッカークレーン13は、空の状態で位置Dから位置Bへ経路LY5を移動し、位置Bにて物品Wbを取り出す(工程12~13)。スタッカークレーン13は、位置Bから位置Aへ経路LX6を移動し、位置Aにて物品Wbを移載する(工程14~15)。
【0030】
作業順序演算部32は、新たに仮定した作業順序にて総時間の評価を行う(ステップS60)。新たに仮定した作業順序Yでは、工程数が作業順序Xから一つ減るため、合計の移動時間も減るため、評価が高くなる。作業順序演算部32は、評価結果の変化がなくなり、収束したと判定したら(ステップS70:YES)、当該作業順序を動作経路として決定する(ステップS90)。なお、評価結果が収束しているか否かの判定基準として、例えば新たに仮定した作業順序での合計の移動時間(すなわち総時間)の低下量(変化量)が予め定めた時間低下量を下回ることを判定するとよい。あるいは、仮定した作業順序で繰り返し総時間を計算し、所定時間変化量を下回る作業順序の仮定が複数回連続したことを認識し、所定時間変化量を下回る作業順序の中から最も総時間が少ないものを動作経路として決定してもよい。
【0031】
作業順序演算部32は、繰り返しの作業情報を仮定するときにおいて、入庫動作の後は出庫動作を、または出庫動作の後は入庫動作を優先的に仮定する事が好ましい。例えば、作業順序Yでは、工程1~4で入庫を行ったあと、工程5~8で出庫を行っている。工程5~8の出庫の後の工程9~11で入庫を行っている。また、作業順序演算部32は、保管棚11から取り出す物品Wの保管位置16が複数ある場合、直前に物品Wを置く近くの保管位置16を選択することが好ましい。例えば、作業順序Yでは、位置Cに物品Wa1を置いた後に、最寄りの位置Eから物品Weを取り出している。
【0032】
次に、本実施形態に係るスタッカークレーン式自動倉庫10の作用・効果について説明する。
【0033】
制御部100の作業タスク取得部31は、作業タスクを取得し、作業順序演算部32は、作業タスクに基づいて、初期値としてのスタッカークレーン13の作業順序を仮定する。まず、作業順序演算部32は、初期値として仮定した作業順序について、データベースを参照することで、当該作業順序においてスタッカークレーン13が移動する経路の移動時間を把握することができる。これによって、作業順序演算部32は、仮定した作業順序の総時間を評価することができる。作業順序演算部32は、次に仮定した作業順序についての評価を行い、評価結果が良くなれば、更に作業順序を仮定することで、更に搬送効率を向上できる。このように、作業順序演算部32は、評価結果が収束して、それ以上評価が改善しなくなるまで作業順序の仮定を繰り返すことで、移動時間の総時間を低減できるような評価の高い作業順序を探索することができる。以上より、搬送効率を向上することができる。
【0034】
なお、本実施形態に係るスタッカークレーン式自動倉庫10は、既存の自動倉庫に制御方法を採用することで適用可能である。夜間に休止やバッチ処理など、日稼働時間がある場合、日稼働時間中に物品Wの配置を変更し、次の稼働時にスループットが高くすることが可能である。日稼働時の物品Wの配置変更自身にも本発明のアルゴリズムを適応することが可能である。
【0035】
データベース33は、保管棚11における任意の二点間のスタッカークレーン13の移動時間を含んでよい。子の場合、作業順序演算部32は、仮定した作業順序の中で、二点間の移動経路を設定すれば、データベース33を照会することで、設定した移動経路の移動時間を速やかに取得することができる。これより、作業順序演算部32は、仮定した作業順序を容易に評価することができる。
【0036】
作業順序演算部32は、繰り返しの作業情報を仮定するときにおいて、入庫動作の後は出庫動作を、または出庫動作の後は入庫動作を優先的に仮定してよい。入庫動作の後はスタッカークレーン13は保管棚11側において空になるため、そのまま他の保管位置16へ移動して物品Wの出庫動作を行うことで、効率よく出庫動作を行うことができる。出庫動作の後はスタッカークレーン13は入出庫台14側において空になるため、そのまま入庫用の物品Wを移載して、入庫動作を行うことで、効率よく入庫動作を行うことができる。
【0037】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0038】
例えば、
図10に示すようなスタッカークレーン13を採用してもよい。
図10(a)に示すように、一つの保管棚11に対して、独立した複数のスタッカークレーン13を設けてよい。
図10(b)に示すように、二つの搭載場所を有する昇降装置22を採用してよい。
図10(c)に示すように、走行装置21は一体であり、複数の昇降装置22が独立して動くものであってよい。
図10(d)に示すように、二列の保管棚11A,11Bをならべ、スタッカークレーン13は、両者に対して作業順序を仮定してよい。経路がより複雑になるため、本発明の効果がより顕著となる。
【符号の説明】
【0039】
10…スタッカークレーン式自動倉庫、11…保管棚、13…スタッカークレーン(搬送部)、16…保管位置、31…作業タスク取得部、32…作業順序演算部32、33…データベース、100…制御部。