(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130299
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体パッケージ用ソケット
(51)【国際特許分類】
H01R 33/76 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01R33/76 503C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039946
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000177690
【氏名又は名称】山一電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 侑香
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝己
【テーマコード(参考)】
5E024
【Fターム(参考)】
5E024CA09
(57)【要約】
【課題】押圧部材が任意に昇降可能であり、半導体パッケージ未挿入時において、ソケット蓋部を閉じた場合でも押圧部材とコンタクトピンとの接触を回避した半導体パッケージ用ソケットを提供する。
【解決手段】半導体パッケージ用ソケットであって、ソケット蓋部が、ソケット本体部に対して、閉位置に配置される場合において、操作部材が、蓋部本体に対して、第1の位置にある際は、凸部は、ガイド孔の第1端部に位置するとともに、押圧部材の押圧面は、ソケット本体部の底面から第1の距離に配置され、前記操作部材が、蓋部本体に対して、第2の位置にある際は、凸部は、ガイド孔の第2端部に位置するとともに、押圧部材の押圧面は、ソケット本体部の底面から第1の距離より小さい第2の距離に配置される、ことを特徴とする半導体パッケージ用ソケットを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の半導体パッケージが着脱自在に収容される収容部を有するソケット本体部と、
前記ソケット本体部の一側端部に回動自在に軸支され、当該回動によって、前記ソケット本体部に対して、開位置および閉位置に配置されるソケット蓋部と、
を有する半導体パッケージ用ソケットであって、
前記ソケット蓋部は、
蓋部本体と、前記蓋部本体に対して、第1の位置と第2の位置との間を移動可能に支持される操作部材と、前記半導体パッケージを押圧する押圧部材とを有し、
前記操作部材は、第1端部と、第2端部と、前記第1端部および前記第2端部の間に形成された傾斜部と、からなる一対のガイド孔を有し、
前記押圧部材は、前記一対のガイド孔に摺動可能に受容される一対の凸部を有し、
前記ソケット蓋部が、前記ソケット本体部に対して、閉位置に配置される場合において、
前記操作部材が、前記蓋部本体に対して、前記第1の位置にある際は、前記凸部は、前記ガイド孔の第1端部に位置するとともに、前記押圧部材の押圧面は、前記ソケット本体部の底面から第1の距離に配置され、
前記操作部材が、前記蓋部本体に対して、前記第2の位置にある際は、前記凸部は、前記ガイド孔の第2端部に位置するとともに、前記押圧部材の前記押圧面は、前記ソケット本体部の底面から前記第1の距離より小さい第2の距離に配置される、
ことを特徴とする半導体パッケージ用ソケット。
【請求項2】
前記一対の凸部は、前記一対のガイド孔に回動可能に支持される、請求項1に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【請求項3】
前記一対の凸部を貫通する軸は、前記ソケット本体部と前記ソケット蓋部とを軸支する軸と平行である請求項1に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【請求項4】
前記一対の凸部は、1本の軸からなる請求項1に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【請求項5】
前記ソケット蓋部が前記閉位置にあるときに、前記ソケット蓋部を前記ソケット本体部にロックするラッチをさらに備える、請求項1に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【請求項6】
前記ラッチは、前記ソケット蓋部に回動可能に軸支され、前記第2の位置にある前記操作部材の一部が、前記ラッチのロックを解除する方向への回動を妨げる、請求項5に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【請求項7】
前記操作部材は把持部を有し、前記第2の位置にある前記操作部材の前記把持部が、前記ラッチに対して、前記ソケット本体部の底面と反対に位置する、請求項6に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【請求項8】
前記蓋部本体は、前記軸支された側面とは異なる一対の側面に少なくとも一部が前記ソケット本体部の底面に平行な少なくとも一対の操作移動路を有し、
前記操作部材は、前記操作移動路に沿って前記第1の位置と前記第2の位置を移動可能に連結され、
前記操作部材は、前記一対の側面と相対する一対の側面部をさらに有し、
前記一対の側面部と前記蓋部本体とが前記一対の操作移動路を通って前記一対の側面部に固定された支持部材を介して連結され、
前記第2の位置にある前記操作部材の前記支持部材が、前記ラッチのロックを解除する方向への回動を妨げる、請求項5に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【請求項9】
前記蓋部本体は、前記軸支された側面とは異なる一対の側面に少なくとも一部が前記ソケット本体部の底面に平行な少なくとも一対の操作移動路を有し、
前記操作部材は、前記操作移動路に沿って前記第1の位置と前記第2の位置を移動可能に連結され、
る、請求項1に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【請求項10】
前記操作部材は、前記一対の側面と相対する一対の側面部をさらに有し、
前記一対の側面部と前記蓋部本体とが前記一対の操作移動路を通って前記一対の側面部に固定された支持部材を介して連結される、請求項9に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【請求項11】
前記操作移動路の両端は、前記ソケット本体部の底面に平行な部分よりも前記ソケット本体部の底面に近い位置にある、請求項9に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【請求項12】
前記一対の側面部は、前記一対のガイド孔をそれぞれ有する、請求項10に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【請求項13】
前記蓋部本体の一対の側面は前記ソケット本体部の底面に垂直な方向に延在する開口部を有し、前記一対の凸部は前記開口部を通り、前記ガイド孔内を摺動するとともに前記開口部内を移動する、請求項12に記載の半導体パッケージ用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ用ソケットに関し、詳細にはクラムシェル型ソケットの蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージの試験等を行う際に、半導体パッケージを着脱可能に保持して外部の測定器に電気的に接続させる電気部品用ソケットが用いられている。このうち、いわゆるクラムシェルタイプのものは、半導体パッケージを収容する収容部が設けられたソケット本体と、当該ソケット本体の一側端部に回動可能に軸支され、閉じた状態で収容部に収容された半導体パッケージを押圧して固定するソケット蓋部とを備える。
【0003】
従来、このようなクラムシェル型ソケットは、ソケット蓋部が閉まることで収容部内の半導体パッケージを押圧する押圧部材を有する。また、押圧部材は付勢部材を有し、半導体パッケージがコンタクトピンに接触するよう付勢力を受ける構造となっている(例えば、特許文献1等参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このように蓋部の閉鎖とともに押圧部材が下降する構造では、半導体パッケージ未挿入時において、押圧部材とコンタクトピンとが接触し、コンタクトピンを破損するおそれがある。
【0006】
また、軸支されたソケット蓋部の閉鎖動作にともない挟持された半導体パッケージが押圧されるため、押圧される半導体パッケージに偏荷重がかかる可能性がある。
【0007】
これらを鑑み、本発明は、押圧部材が任意に昇降可能であり、半導体パッケージ未挿入時において、ソケット蓋部を閉じた場合でも押圧部材とコンタクトピンとの接触を回避した半導体パッケージ用ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る一実施態様の半導体パッケージ用ソケットは、外部の半導体パッケージが着脱自在に収容される収容部を有するソケット本体部と、
前記ソケット本体部の一側端部に回動自在に軸支され、当該回動によって、前記ソケット本体部に対して、開位置および閉位置に配置されるソケット蓋部と、
を有し、
前記ソケット蓋部は、
蓋部本体と、前記蓋部本体に対して、第1の位置と第2の位置との間を移動可能に支持される操作部材と、前記半導体パッケージを押圧する押圧部材とを有し、
前記操作部材は、第1端部と、第2端部と、前記第1端部および前記第2端部の間に形成された傾斜部と、からなる一対のガイド孔を有し、
前記押圧部材は、前記一対のガイド孔に摺動可能に受容される一対の凸部を有し、
前記ソケット蓋部が、前記ソケット本体部に対して、閉位置に配置される場合において、
前記操作部材が、前記蓋部本体に対して、前記第1の位置にある際は、前記凸部は、前記ガイド孔の第1端部に位置するとともに、前記押圧部材の押圧面は、前記ソケット本体部の底面から第1の距離に配置され、
前記操作部材が、前記蓋部本体に対して、前記第2の位置にある際は、前記凸部は、前記ガイド孔の第2端部に位置するとともに、前記押圧部材の前記押圧面は、前記ソケット本体部の底面から前記第1の距離より小さい第2の距離に配置される、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、本発明は、押圧部材が任意に昇降可能であり、半導体パッケージ未挿入時において、ソケット蓋部を閉じた場合でも押圧部材とコンタクトピンとの接触を回避した半導体パッケージ用ソケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)本発明の第1の実施形態に係るソケット1000において、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第1の位置にあるソケット1000の斜視図である。(b)(a)のソケット1000の上面図である。(c)(a)のソケット1000の側面図である。(d)ソケット蓋部100が開位置にあるソケット1000の斜視図である。
【
図2】(a)本発明の第1の実施形態に係るソケット1000において、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第2の位置にあるソケット1000の斜視図である。(b)(a)のソケット1000の上面図である。(c)(a)のソケット1000の側面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るソケット蓋部100の分解図である。
【
図4】(a)配線基板400に実装されたソケット1000を、
図1(b)におけるIVa-IVa線に沿って切断した断面図である。(b)配線基板400に実装されたソケット1000に外部の半導体パッケージ500が載置された状態において、
図2(b)におけるIVb-IVb線に沿って切断した断面図である。
【
図5】(a)配線基板400に実装されたソケット1000において、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第1の位置にあり、ソケット1000の収容部240に外部の半導体パッケージ500が載置された際の拡大断面図である。(b)配線基板400に実装されたソケット1000において、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第2の位置にあって、ソケット1000の収容部に載置された半導体パッケージ500が押圧された際の拡大断面図である。
【
図6】(a)本発明の第2の実施形態に係るソケット2000において、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第2の位置にあるソケット2000の斜視図である。(b)(a)のソケット2000の上面図である。(c)本発明の第2の実施形態に係るソケット2000において、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第1の位置にあるソケット2000の側面図である。(d)本発明の第2の実施形態に係るソケット2000において、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第2の位置にあるソケット2000の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明はこれらに限られない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1(a)は本発明の第1の実施形態に係るソケット1000において、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第1の位置にある状態の斜視図である。
図1(b)は
図1(a)のソケット1000の上面図であり、
図1(c)は
図1(a)のソケット1000の側面図である。
図1(d)本発明の第1の実施形態に係るソケット1000のソケット蓋部100が開位置にある状態の斜視図である。
【0013】
図1(a)に示されるように、ソケット1000は、半導体パッケージ500を収容する収容部240を有するソケット本体部200と、ソケット本体部200の一側端部に回動自在に軸支され、ソケット本体部200に対して閉位置および開位置に配置されるソケット蓋部100とを有する。ソケット蓋部100は、さらに蓋部本体50と、蓋部本体50に対して、第1の位置と第2の位置との間を移動可能に支持される操作部材10と、半導体パッケージ500を押圧する押圧部材30とを有する。
【0014】
図2(a)はソケット1000において、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第2の位置にある状態の斜視図である。
図2(b)は
図2(a)のソケット1000の上面図であり、
図2(c)は
図2(a)のソケット1000の側面図である。
【0015】
詳細は後述するが、本実施形態においては、操作部材10が第1の位置から第2の位置へ移動することにより、押圧部材30がソケット本体部200の底面260に向かって移動して、半導体パッケージ500を押圧する。そのため、ソケット蓋部100が閉位置にある場合でも押圧部材30とコンタクトピン250とが接触することを回避した半導体パッケージ用ソケットを提供することができる。以下、ソケット1000の各構成を順に説明する。
【0016】
(ソケット蓋部)
ソケット蓋部100は、ソケット本体部200の一側端部に回転自在に軸支され、ソケット本体部200に対して、ソケット本体部200の収容部240を覆う閉位置と開放する開位置との間で動作する。ソケット蓋部100は、蓋部本体50と、操作部材10と、押圧部材30とを有する。
図3はソケット蓋部100の分解図である。
【0017】
蓋部本体50は、後述する操作部材10と押圧部材30とラッチ70とを支持する部材である。蓋部本体50は、ソケット蓋部100がソケット本体部200に軸支される連結部52と、連結部52が形成された側面とは異なる一対の側面54を有し、それらにより三方が囲まれ、押圧部材30が垂直方向に移動可能な開口55を有する。
【0018】
蓋部本体50は、一対の側面54に、少なくとも一部がソケット本体部200の底面260に平行に延在する、少なくとも一対の操作移動路56を有する。操作移動路56は、例えば、一対の側面54を貫通する孔であり、ソケット本体部200の底面260に平行な部分を有する。操作移動路56の両端は、ソケット本体部200の底面260に平行な部分よりもソケット本体部200の底面260に近い位置にあってもよい。平行な部分よりもソケット本体部200の底面側に窪みを設けることで、操作部材10の支持部材16がその窪みに収まり、不必要に操作部材10が動くことを防止する。
【0019】
操作移動路56は好ましくは一対の側面54の長手方向端部に隣接する位置に形成される。操作移動路56は好ましくは複数形成される。
【0020】
一対の側面54は、ソケット本体部の本体部200の底面260に垂直な方向に延在する開口部58をさらに有してもよい。開口部58の延在方向の長さは、後述する押圧部材30の移動を妨げるものでなければ任意の長さを有することができる。
【0021】
操作部材10は、把持部12と、把持部12を挟持し、把持部12の長手方向から垂直方向に延在する一対の側面部14とを有する。把持部12および一対の側面部14は一体化した部材であってもよく、また別々の部材をビス等で一体化させたものであってもよい。一対の側面部14は、略L字型を有してもよい。一対の側面部14は蓋部本体50の一対の側面54と相対する。
【0022】
本発明の一実施形態において、操作部材10はさらに支持部材16を有する。支持部材16は、操作移動路56を通って側面部14とともに蓋部本体50の側面54を挟持し、操作部材10が操作移動路56に沿って第1の位置と第2の位置との間を移動可能となるように、側面部14と連結する。
【0023】
支持部材16は操作移動路56に支持され、操作部材10の移動経路を確立するものであればよい。例えば、操作移動路56に沿って移動することのできる突出部であってもよく、好ましくは一対の操作移動路56のそれぞれに貫通する共通の軸である。
【0024】
さらに、一対の側面部14は、ソケット本体部200の底面260に平行な方向に延在し、第1端部と、第2端部と、当該第1端部および第2端部の間に形成された傾斜部と、からなる一対のガイド孔15を有する。ガイド孔15は、押圧部材30と相対するように配置される。ガイド孔15は、好ましくは、側面部14の長手方向中央に配置される。
【0025】
押圧部材30は、操作部材10が第1の位置から第2の位置へ移動することにより、ソケット本体部200の底面260に向かって移動し、収容部240に設置された半導体パッケージ500を押圧する部材である。
【0026】
押圧部材30は、押圧面32と、押圧面32を挟持する一対の側面34とを有し、側面34は凸部35を有する。凸部35はガイド孔15に回動可能に支持され、操作部材10が操作移動路56を移動する際にガイド孔15内を摺動する。凸部35は、ガイド孔15を移動することのできる突出部であればよく、好ましくは一対のガイド孔のそれぞれに貫通する共通の軸である。凸部35は、好ましくは側面34の中央部に配置される。
【0027】
押圧部材30と側面部14は、蓋部本体50の側面54を挟持してもよい。その場合、凸部35は、側面54に形成された開口部58を通って、ガイド孔15に到達する。その結果、凸部35は、ガイド孔15内の移動に伴い、開口部58を往復する。
【0028】
後述するように、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第1の位置にある場合には、凸部35はガイド孔15の第1端部に位置し、押圧部材30は、押圧面32がソケット本体部200の底面260から第1の距離d1にあるように配置される(
図4(a)および
図5(a)参照。)。第1の距離d1は、コンタクトピン250の最大の長軸長さL1と半導体パッケージ500の取付け高さAとの合計よりも大きいことが好ましい。
【0029】
また、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第2の位置にある場合には、凸部35はガイド孔15の第2端部に位置し、押圧部材30は、押圧面32がソケット本体部200の底面260から第2の距離d2にあるように配置される(
図4(b)および
図5(b)参照。)。本実施形態において、第2の距離d2は、第1の距離d1よりも小さい。第2の距離d2は、押圧時のコンタクトピン250の長軸長さL2と半導体パッケージの取付け高さAとの合計である。また、コンタクトピンのストローク量や半導体パッケージの厚さにより、第2の距離d2は、コンタクトピン250の最大長軸長L1よりも小さい場合があるが、半導体パッケージがない状態で押圧部材が下がっても押圧部材とコンタクトピンが当たらないという点で、第2の距離d2はコンタクトピン250の最大長軸長さL1よりも大きいことが好ましい。
【0030】
本実施形態のソケット蓋部100は、さらにラッチ70を有してもよい。ラッチ70は軸部75において軸73によって蓋部本体50に軸支され、ソケット蓋部100が閉じられた際に、ソケット本体部200と係合し、ロックする部材である。ラッチ70により、ソケット蓋部100の不用意な開放を回避することができる。
【0031】
(ソケット本体部)
ソケット本体部200は、収容部240が設けられた枠体230と、収容部240の下部に位置し、コンタクトピン250を収容する貫通孔が設けられたコンタクト収容部270と、コンタクトピン250と、ソケット蓋部100と連結する軸210とを有する。ソケット1000は、ソケット本体部200の底面260を介して検査用配線基板400に実装される(
図4および
図5参照)。
【0032】
ソケット本体部200の底面260にはコンタクトピンを収容する貫通孔を設けたコンタクト収容部270が設けられ、その貫通孔にコンタクトピン250が配設される。コンタクトピン250は、収容部240に載置される半導体パッケージ500の端子と電気的接続を行うとともに、配線基板400との電気的接続を行う。コンタクトピン250は半導体パッケージ500の電気端子の構成に応じ、複数配設される。
【0033】
(ソケットの組立)
上述のように形成されたソケット蓋部100とソケット本体部200は、ソケット蓋部100の連結部52とソケット本体部200の枠体230とを通る軸210を介して回動自在に軸支される(
図1(d)参照)。操作部材10の側面部14、蓋部本体50の側面54、および押圧部材30の側面34は、それぞれ軸210の方向と垂直方向に延在する。その結果、操作部材10の把持部12は軸210の方向と平行となる。また、ガイド孔15が側面部14に設けられているため、凸部35を貫通し、押圧部材30を支持する軸は軸210に平行となる。
【0034】
このように、本実施形態では、押圧部材30を支持する軸が軸210と平行であり、押圧部材30は、凸部35を軸に回動することができるため、押圧部材30がソケット本体部200の底面260に向かって移動する際に、押圧面32が半導体パッケージ500に対して水平に荷重を与えることができる。その結果、半導体パッケージ500への偏荷重による半導体パッケージ500の破損や、コンタクトピン250に対する横ずれを防止することができる。
【0035】
(ソケットの押圧機構)
これまで説明したように、本実施形態のソケット1000は、ソケット蓋部100がソケット本体部200に対して閉位置に配置された場合において、操作部材10が蓋部本体50に対して第1の位置から第2の位置へ移動することにより、押圧部材30がソケット本体部200の底面260に向かって移動することができる。
【0036】
図4(a)は、配線基板400に実装され、ソケット蓋部100がソケット本体部200に対して閉位置であり、操作部材10が蓋部本体50に対して第1の位置にあって、半導体パッケージ500が未挿入であるソケット1000の断面図を示す。第1の位置において、支持部材16は操作移動路56の軸210側端部に配置されている。第1の位置では、凸部35はガイド孔15の第1端部に位置し、押圧部材30はソケット本体部200の底面260と第1の距離d1を有する位置に配置され、
図4(a)で見られるように、押圧部材30の押圧面32はコンタクトピン250の先端部から離れた状態に位置する。
【0037】
図4(b)は、配線基板400に実装されたソケット1000の収容部240に半導体パッケージ500を載置し、ソケット蓋部100がソケット本体部200に対して閉位置に配置された場合において、操作部材10を蓋部本体50に対して第2の位置に移動させたソケット1000の断面図である。
【0038】
操作部材10が第1の位置から第2の位置に移動する際、支持部材16は、操作移動路56を軸210から離れる方向に移動する。それに伴い、押圧部材30の凸部35は、押圧面32がソケット本体部200の底面260に平行であるように回動しながら、ガイド孔15内の傾斜部の第1端部から第2端部に移動する。その結果、凸部35が支持されるガイド孔15の位置がソケット本体部200の底面260に近づくにつれ、押圧部材30がソケット本体部200の底面260に近づくこととなる。操作部材10が第2の位置に移動すると、押圧部材30はソケット本体部200の底面260と第2の距離d2を有する位置に配置され、収容部240に載置された半導体パッケージ500を押圧することとなる。押圧された半導体パッケージ500は、コンタクトピン250と接触し、この状態で半導体パッケージ500の検査が行われる。本実施形態では、押圧部材30が半導体パッケージ500に対して均一に荷重をかけることができるため、半導体パッケージ500とコンタクトピン250との電気的接続を向上させることができる。さらに、本実施形態ではコンタクトピン250に均一に荷重がかかるため、半導体パッケージの端子へのコンタクトピンの接触痕を均一かつ最小化する事ができる。
【0039】
凸部35のガイド孔15に係る部位とガイド孔15の内側との間の隙間は、コンタクトピンの最大長軸長さL1とコンタクトピンの押圧時の長軸長さL2との差分よりも小さいことが好ましく、凸部35が摺動できる程度に開いていることがより好ましい。隙間が小さい方が、押圧部材30を確実に押し下げることができる。
【0040】
このように、本実施形態では、操作部材10を第1の位置から第2の位置に移動させることにより、カム機構を介して、押圧部材30を半導体パッケージ500に対して水平に押圧することができ、ソケット蓋部100を閉じた場合でも押圧部材30とコンタクトピン250との接触を回避した半導体パッケージ用ソケットを提供することができる。
【0041】
また、本実施形態の押圧機構には、ばね等の付勢部材や分銅や金属ボール等を利用しておらず、ソケット1000に必要な部品数を少なくすることができ、ソケット組立時の工数や費用の低下をもたらすことができる。その結果、飛躍的な生産性向上につながることとなる。
【0042】
さらに、
図4(b)に見られるように、本実施形態では、第2の位置に移動した操作部材10において、把持部12がラッチ70を覆うように移動する。また支持部材16は、ラッチ70のロックを解除する方向への回動を阻止することができる。そのため、本実施形態は、検査時、すなわち、ソケット蓋部100を閉じた状態で、操作部材10を第2の位置に移動させることにより、ラッチ70の開閉操作を防止することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態で説明したソケット1000と基本的に同じ構成を有する半導体パッケージ用ソケットの構成であるが、ソケット蓋部100が、ソケット本体部200と相対する面と反対の面にヒートシンク300を有する点で、第1の実施形態とは異なる形態である。
【0044】
図6(a)は本発明の第2の実施形態に係るソケット2000において、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第2の位置にある状態の斜視図である。
図6(b)は
図6(a)のソケット2000の上面図である。
図6(c)は、本発明の第2の実施形態に係るソケット2000において、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第1の位置にある状態の側面図であり、
図6(d)は、ソケット蓋部100が閉位置にあり、操作部材10が第2の位置にある状態の側面図である。
【0045】
ヒートシンク300は放熱フィン320を有し、検査時に半導体パッケージに生ずる発熱を伝導させて放熱する。本実施形態において、ヒートシンク300は、ソケット蓋部100に取り付けられる接触部310と、接触部310からの熱を放熱する放熱フィン320とを有する。ヒートシンク300は、さらにヒータ(不図示)やセンサ(不図示)を有してもよい。
【0046】
図1(b)に示すように、第1の実施形態のソケット1000のソケット蓋部100の上面には、押圧部材30の昇降に関わる付勢部材や、ビス、ナットやスペーサなどの部品が存在しない。そのため、ソケット2000では、昇降に関わる部品等を避けることなく、ヒートシンク300や、半導体パッケージの検査に必要な配線等を取り付けることが可能である。
【0047】
このように、本実施形態では、押圧部材30とヒートシンク300の接触面積を増加させることができるため、放熱性能向上を図る事ができる。また、ヒートシンク300をシンプルな形状にできるため部品コスト、生産コストの低減を実現できる。さらに、ソケット蓋部100に不要な付勢部材等の部品が存在しないため、配線の自由度が高く、ソケット2000の設計自由度を高くすることができる。
【0048】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0049】
また、上述の各実施の形態および変形例の一つもしくは複数を、適宜組合せてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 操作部材
12 把持部
14 側面部
15 ガイド孔
16 支持部材
30 押圧部材
32 押圧面
34 側面
35 凸部
50 蓋部本体
52 連結部
54 側面
55 開口
56 操作移動路
58 開口部
70 ラッチ
73 軸
75 軸部
100 ソケット蓋部
200 ソケット本体部
210 軸
230 枠体
240 収容部
250 コンタクトピン
260 ソケット本体部底面
270 コンタクト収容部
300 ヒートシンク
310 接触部
320 放熱フィン
400 配線基板
1000 ソケット
2000 ソケット
d1 第1の距離
d2 第2の距離
A 取付け高さ
L1 コンタクトピンの最大長軸長さ
L2 コンタクトピンの押圧時の長軸長さ