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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130302
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】活動量測定システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/22 20060101AFI20240920BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240920BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B5/22 100
A61B5/11 110
A61B5/11 120
A61B5/11 200
A61B5/0245 B
A61B5/0245 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039949
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 麻紀子
(72)【発明者】
【氏名】峯澤 聡司
(72)【発明者】
【氏名】黒川 悠文
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AB02
4C017AC40
4C017FF15
4C038VA04
4C038VA12
4C038VB35
4C038VC05
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】ウェアラブルセンサを常時装着していなくとも人の活動量を継続して測定可能である活動量測定システムを提供する。
【解決手段】活動量測定システムは、人が装着し、人の活動情報を検出するウェアラブルセンサと、建物内に設けられたカメラ、赤外線センサ、超音波センサ、ミリ波センサ及びドア開閉センサのうちの少なくとも1つを含む宅内センサと、宅内センサの検出結果に基づいて、人の活動情報を検出する活動情報検出部と、ウェアラブルセンサを人が装着しているか否かを判定する装着判定部と、ウェアラブルセンサを人が装着している場合、ウェアラブルセンサが検出した人の活動情報を用いて人の活動量を算出し、ウェアラブルセンサを人が装着していない場合、活動情報検出部が検出した人の活動情報を用いて人の活動量を算出する活動量算出部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が装着し、前記人の移動距離、移動速度及び心拍数のうちの少なくとも1つを含む活動情報を検出するウェアラブルセンサと、
建物内に設けられたカメラ、赤外線センサ、超音波センサ、ミリ波センサ及びドア開閉センサのうちの少なくとも1つを含む宅内センサと、
前記宅内センサの検出結果に基づいて、前記人の移動距離、移動速度及び心拍数のうちの少なくとも1つを含む活動情報を検出する活動情報検出部と、
前記ウェアラブルセンサを前記人が装着しているか否かを判定する装着判定部と、
前記ウェアラブルセンサを前記人が装着している場合、前記ウェアラブルセンサが検出した前記人の活動情報を用いて前記人の活動量を算出し、前記ウェアラブルセンサを前記人が装着していない場合、前記活動情報検出部が検出した前記人の活動情報を用いて前記人の活動量を算出する活動量算出部と、を備えた活動量測定システム。
【請求項2】
前記活動量算出部は、前記ウェアラブルセンサを前記人が装着している場合、前記ウェアラブルセンサが検出した前記人の活動情報と前記活動情報検出部が検出した前記人の活動情報とを用いて前記人の活動量を算出する請求項1に記載の活動量測定システム。
【請求項3】
前記活動情報検出部は、前記建物内にある電気機器の動作状況にさらに基づいて、前記人の活動情報を検出する請求項1又は請求項2に記載の活動量測定システム。
【請求項4】
前記活動情報検出部が検出した前記人の活動情報を、前記ウェアラブルセンサを前記人が装着しているときに前記ウェアラブルセンサが検出した前記人の活動情報と比較して補正パラメータを算出する活動情報補正部をさらに備え、
前記活動量算出部は、前記ウェアラブルセンサを前記人が装着していない場合、前記活動情報検出部が検出した前記人の活動情報を前記活動情報補正部が算出した補正パラメータを用いて補正したものを用いて前記人の活動量を算出する請求項1又は請求項2に記載の活動量測定システム。
【請求項5】
前記ウェアラブルセンサは、前記建物内における前記人の位置を検出可能であり、
前記建物内における前記人の位置に応じて、前記宅内センサの有効化及び無効化を制御するセンサ制御部をさらに備えた請求項1又は請求項2に記載の活動量測定システム。
【請求項6】
前記活動量算出部が算出した前記人の活動量に応じて、推奨活動内容を決定する推奨活動決定部をさらに備えた請求項1又は請求項2に記載の活動量測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、活動量測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウェアラブルセンサ端末によって検出された装着者の動きに基づき、装着者の活動量を算出するウェアラブルセンサシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-038839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるようなシステムにおいては、対象者がウェアラブルセンサを装着していないと活動量を測定することができない。特に、帰宅した対象者が自宅内でウェアラブルセンサを外してしまうと活動量を測定することができない。活動量を測定するためには、対象者は自宅内でも常にウェアラブルセンサを装着している必要がある。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、ウェアラブルセンサを常時装着していなくとも、人の活動量を継続して測定可能である活動量測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る活動量測定システムは、人が装着し、前記人の移動距離、移動速度及び心拍数のうちの少なくとも1つを含む活動情報を検出するウェアラブルセンサと、建物内に設けられたカメラ、赤外線センサ、超音波センサ、ミリ波センサ及びドア開閉センサのうちの少なくとも1つを含む宅内センサと、前記宅内センサの検出結果に基づいて、前記人の移動距離、移動速度及び心拍数のうちの少なくとも1つを含む活動情報を検出する活動情報検出部と、前記ウェアラブルセンサを前記人が装着しているか否かを判定する装着判定部と、前記ウェアラブルセンサを前記人が装着している場合、前記ウェアラブルセンサが検出した前記人の活動情報を用いて前記人の活動量を算出し、前記ウェアラブルセンサを前記人が装着していない場合、前記活動情報検出部が検出した前記人の活動情報を用いて前記人の活動量を算出する活動量算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る活動量測定システムによれば、ウェアラブルセンサを常時装着していなくとも、人の活動量を継続して測定可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る活動量測定システムが設けられた建物の構成を模式的に示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る活動量測定システムの構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る活動量測定システムの対象者の移動経路検出の一例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る活動量測定システムの変形例の構成を示すブロック図である。
図5】実施の形態1に係る活動量測定システムの変形例の構成を示すブロック図である。
図6】実施の形態1に係る活動量測定システムの変形例の構成を示すブロック図である。
図7】実施の形態1に係る活動量測定システムの変形例の動作例を説明する図である。
図8】実施の形態1に係る活動量測定システムの変形例の構成を示すブロック図である。
図9】実施の形態1に係る活動量測定システムの制御装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係る活動量測定システムを実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1から図9を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。図1は活動量測定システムが設けられた建物の構成を模式的に示す斜視図である。図2は活動量測定システムの構成を示すブロック図である。図3は活動量測定システムの対象者の移動経路検出の一例を示す図である。図4から図6のそれぞれは活動量測定システムの変形例の構成を示すブロック図である。図7は活動量測定システムの変形例の動作例を説明する図である。図8は活動量測定システムの変形例の構成を示すブロック図である。図9は活動量測定システムの制御装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。
【0011】
この実施の形態に係る活動量測定システムは、建物10内の人の活動量を測定するシステムである。図1は、この実施の形態に係る活動量測定システムが設置された建物10の例を模式的に示したものである。図示の例では、建物10内には、リビング11、ダイニング12、キッチン13、2つの洋室14、トイレ15、脱衣所16及び浴室17の各部屋が設けられている。また、図示の例では、リビング11、ダイニング12及びキッチン13の空間は一体になっている。建物10内には、玄関18及び廊下19も設けられている。図示の例では、廊下19は、玄関18からキッチン13にまで通じている。また、廊下19の中途部分は、2つの洋室14、トイレ15及び脱衣所16の各部屋に通じている。
【0012】
この実施の形態に係る活動量測定システムは、図2に示すように、ウェアラブルセンサ30、宅内センサ40及び制御装置100を備えている。ウェアラブルセンサ30は、活動量測定システムが活動量を測定する対象となる人(以下、対象者ともいう)が装着する。ウェアラブルセンサ30は、当該ウェアラブルセンサ30を装着した対象者の活動情報を検出する。ウェアラブルセンサ30が検出する対象者の活動情報には、当該対象者の移動距離、移動速度及び心拍数のうちの少なくとも1つが含まれている。ウェアラブルセンサ30は、例えば、スマートウォッチ、スマートリング、スマートグラス等であってもよい。
【0013】
宅内センサ40は、建物10内に設置された、カメラ41、赤外線センサ42、超音波センサ43、ミリ波センサ44及びドア開閉センサ45のうちの少なくとも1つを含んでいる。カメラ41は、建物10内の一定範囲内の可視画像を撮影する。赤外線センサ42は、建物10内の一定範囲内の表面温度を非接触で検出するセンサである。超音波センサ43は、超音波を射出し、対象物に反射して戻ってきた超音波を検出することで建物10内の一定範囲内における物体の有無、位置を検出するセンサである。ミリ波センサ44は、ミリ波を射出し、対象物に反射して戻ってきたミリ波を検出することで建物10内の一定範囲内における物体の有無、位置を検出するセンサである。超音波センサ43及びミリ波センサ44は、ドップラー効果を利用して、対象物の移動速度等を検出可能であってもよい。ドア開閉センサ45は、例えばマグネットスイッチ等を利用して、建物10のドア20の開閉を検出するセンサである。
【0014】
建物10内には家庭用電気機器が設置されていてもよい。図示の例では、家庭用電気機器として、テレビ51、空気調和装置52、冷蔵庫53、照明装置54等が建物10内に設置されている。テレビ51及び空気調和装置52は、リビング11に設置されている。冷蔵庫53は、キッチン13に設置されている。照明装置54は建物10内の廊下19及び玄関18を含む各部屋に設けられている。
【0015】
家庭用電気機器に設けられているセンサを、宅内センサ40として活用してもよい。例えば、赤外線センサ42及びミリ波センサ44は、空気調和装置52に設けられていてもよい。また、他に例えば、照明装置54に設けられている人感センサを、宅内センサ40の赤外線センサ42として用いてもよい。
【0016】
制御装置100は、ウェアラブルセンサ30及び宅内センサ40のそれぞれと通信可能に設けられている。制御装置100は、建物10内の家庭用電気機器のそれぞれとも通信可能に設けられていてもよい。制御装置100と、ウェアラブルセンサ30、宅内センサ40及び家庭用電気機器のそれぞれとの間の通信は無線方式であっても有線方式であってもよい。
【0017】
制御装置100は、活動情報検出部111、装着判定部112、活動量算出部113及び記憶部120を備えている。記憶部120は、宅内センサ40のそれぞれの設置位置に関する情報を記憶している。例えば、対象者を含む使用者は、図示しない端末装置を操作して、建物10の間取り及び宅内センサ40のそれぞれの設置位置に関する情報を入力する。端末装置は、制御装置100と通信可能な、例えば、スマートフォン、PC、タブレット端末、スマートスピーカー等である。端末装置に入力された情報は、端末装置から制御装置100に送信される。そして、記憶部120は、制御装置100が受信した情報を記憶する。制御装置100が通信可能な家庭用電気機器に自走式掃除機が含まれている場合、自走式掃除機がマッピングした間取り情報を取得して記憶部120に記憶してもよい。
【0018】
活動情報検出部111は、宅内センサ40の検出結果に基づいて、対象者の活動情報を検出する。活動情報検出部111が検出する対象者の活動情報には、当該対象者の移動距離、移動速度及び心拍数のうちの少なくとも1つが含まれている。
【0019】
次に、活動情報検出部111による対象者の活動情報の検出について、具体的に説明する。例えば、宅内センサ40としてミリ波センサ44を備えている場合、対象者の心臓の鼓動による胸部の動き等をミリ波センサ44により検出することで、対象者の心拍を非接触で検出できる。また、宅内センサ40としてドア開閉センサ45を備えている場合、活動情報検出部111は、ドア開閉センサ45がドア20の開閉を検知したときに、対象者の現在位置が当該ドア20の位置であることを特定できる。宅内センサ40として、カメラ41、赤外線センサ42、超音波センサ43又はミリ波センサ44を備えていれば、活動情報検出部111は、これらのセンサの検出結果から、対象者の現在位置を特定できる。活動情報検出部111は、対象者の現在位置の特定を継続することで、対象者の位置の時系列データを得ることができる。そして、活動情報検出部111は、このようにして得られた対象者の位置の時系列データから、当該対象者の移動距離、移動速度を検出する。
【0020】
具体的に例えば、ある時点Aでドア開閉センサ45が玄関18のドア20の開閉を検知し、その後の時点Bでリビング11の空気調和装置52に設けられた赤外線センサ42が対象者を検出した場合、時点Aから時点Bにかけて玄関18にいた対象者がリビング11に移動したことを活動情報検出部111が検出する。そして、活動情報検出部111は、記憶部120に記憶されている建物10の間取り情報及び宅内センサ40の設置位置情報を参照し、玄関18からリビング11までの移動経路の距離を、対象者の移動距離とする。また、この移動距離と時点Aから時点Bまでの経過時間とから、対象者の移動速度も求めることができる。
【0021】
装着判定部112は、ウェアラブルセンサ30を対象者が装着しているか否かを判定する。例えば、ウェアラブルセンサ30が対象者の心拍又は体温を測定する場合、ウェアラブルセンサ30が対象者の心拍又は体温を適切に測定していれば、装着判定部112は、ウェアラブルセンサ30を対象者が装着していると判定できる。一方、ウェアラブルセンサ30が対象者の心拍又は体温を適切に測定していなければ、装着判定部112は、ウェアラブルセンサ30を対象者が装着していないと判定できる。また、他に例えば、ウェアラブルセンサ30が充電中であれば、装着判定部112は、ウェアラブルセンサ30を対象者が装着していないと判定できる。
【0022】
活動量算出部113は、ウェアラブルセンサ30が検出した対象者の活動情報、及び、活動情報検出部111が検出した対象者の活動情報すなわち宅内センサ40の検出結果に基づいて得られた対象者の活動情報の一方又は両方を用いて、対象者の活動量を算出する。活動量算出部113は、例えば、METs(メッツ)、EX(エクササイズ)=METs(メッツ)×時間、及び、消費カロリーのうちの少なくとも1つを計算することで、対象者の活動量を算出する。
【0023】
この際、対象者のプロフィール情報、例えば、対象者の体重、身長、年齢、性別等を活動量の算出に用いてもよい。対象者のプロフィール情報は、例えば、前述した端末装置等を用いて事前に入力し、制御装置100の記憶部120に記憶しておく。あるいは、宅内センサ40としてカメラ41、赤外線センサ42を備えている場合、カメラ41により撮影された画像、赤外線センサ42により検出された熱画像から対象者の体格(身長等)を検出してプロフィール情報として用いてもよい。
【0024】
この実施の形態に係る活動量測定システムにおいては、活動量の算出に用いる活動情報は、装着判定部112の判定結果に応じて決定される。すなわち、装着判定部112の判定結果が、ウェアラブルセンサ30を対象者が装着しているというものである場合、活動量算出部113は、ウェアラブルセンサ30が検出した対象者の活動情報を用いて対象者の活動量を算出する。一方、装着判定部112の判定結果が、ウェアラブルセンサ30を対象者が装着していないというものである場合、活動量算出部113は、活動情報検出部111が検出した人の活動情報を用いて人の活動量を算出する。
【0025】
以上のように構成された活動量測定システムによれば、例えば自宅等の建物10内にいる対象者がウェアラブルセンサ30を外しても、宅内センサ40の検出結果を用いて活動量を算出できる。このため、ウェアラブルセンサ30を常時装着していなくとも、人の活動量を継続して測定可能である。
【0026】
活動情報検出部111は、建物10内にある電気機器の動作状況にさらに基づいて、人の活動情報を検出してもよい。例えば、活動情報検出部111は、電気機器が操作された場合、当該電気機器の設置位置が対象者の現在位置であると推定できる。これにより、活動情報検出部111は、電気機器の動作状況を用いて対象者の現在位置を特定できる。
【0027】
あるいは、建物10内にある電気機器に電気掃除機が含まれている場合、活動情報検出部111は、対象者の活動情報として、電気掃除機の吸込具(ヘッド)の移動距離、加速度、電気掃除機の運転時間等を検出してもよい。この場合、活動量算出部113は、電気掃除機の吸込具(ヘッド)の移動距離、加速度、電気掃除機の運転時間等に基づいて、電気掃除機を用いた掃除動作による対象者の活動量を算出する。
【0028】
さらに、建物10内にある電気機器に全自動洗濯機、洗濯乾燥機等が含まれている場合、活動情報検出部111は、対象者の活動情報として、洗濯機等に投入された洗濯物の量、運転コース等を検出してもよい。この場合、活動量算出部113は、洗濯機等に投入された洗濯物の量、運転コース等に基づいて、洗濯作業にかかる対象者の活動量を算出する。
【0029】
次に、図3を参照しながら、宅内センサ40の検出結果及び建物10内にある電気機器の動作状況に基づく、活動情報検出部111による対象者の移動経路検出の一例について説明する。図示の例では、対象者がまず玄関18のドア20を開閉したことをドア開閉センサ45が検出する。次に、対象者が玄関18から廊下19を進むと、照明装置54の人感センサ(赤外線センサ42)が、対象者の通過を検出する。続いて、対象者が廊下19からリビング11内に入ると、リビング11の空気調和装置52に設けられた赤外線センサ42がリビング11内の対象者を検出する。次に、対象者がキッチン13の冷蔵庫53の扉を開閉すると、活動情報検出部111は冷蔵庫53の扉の開閉状態に基づいて、対象者がキッチン13にいることを検出する。そして、対象者がキッチン13から脱衣所16に向かい、脱衣所16の図示しない照明を点灯させると、活動情報検出部111は、脱衣所16の照明の点灯状態に基づいて対象者が脱衣所16にいることを検出する。このようにして、活動情報検出部111は、対象者の移動経路が図3に示す矢印のようであったことを検出する。
【0030】
図2に示すように、制御装置100は、報知制御部114をさらに備えていてもよい。報知制御部114は、活動量算出部113の算出結果等を用いて、報知用情報を生成する。報知用情報には、例えば、活動量算出部113が算出した対象者の活動量に関する情報が含まれている。報知用情報に、ウェアラブルセンサ30が検出した対象者の活動情報、活動情報検出部111が検出した対象者の活動情報が含まれていてもよい。報知制御部114は、生成した報知用情報を、例えば前述した端末装置に送信し、端末装置のディスプレイ等に報知用情報を表示させる。端末装置は、受信した報知用情報をスピーカから音声により報知してもよい。また、報知制御部114は、生成した報知用情報を、テレビ51等の電気機器に送信してもよい。この場合、テレビ51は、受信した報知用情報を、ディスプレイに表示したり、スピーカから音声により報知したりしてもよい。なお、装着判定部112によりウェアラブルセンサ30を対象者が装着していないと判定された場合、報知制御部114は、対象者に対してウェアラブルセンサ30の装着を促す報知を端末装置、電気機器等に行わせてもよい。
【0031】
次に、この実施の形態に係る活動量測定システムの変形例について説明する。図4に示す変形例は、複数の対象者について個人を特定し、個人ごとに活動量を測定するものである。この変形例では、制御装置100は、個人特定部115をさらに備えている。個人特定部115は、例えば、ウェアラブルセンサ30の検出データを用いて対象者の個人を特定する。また、他に例えば、個人特定部115は、活動情報検出部111により検出された移動速度の特徴から個人を特定してもよい。さらに、個人特定部115は、カメラ41により撮影された画像、赤外線センサ42により検出された熱画像から対象者の体格(身長等)を検出し、検出した体格の特徴から個人を特定してもよい。そして、この変形例では、活動情報検出部111は特定した個人ごとに活動情報を検出し、活動量算出部113は特定した個人ごとに活動量を算出する。このような変形例によれば、複数の対象者が建物10内にいる場合に、複数の対象者の個人ごとに活動量を測定できる。
【0032】
図5に示す変形例は、活動情報検出部111が検出した活動情報すなわち宅内センサ40の検出結果から得られた活動情報を、ウェアラブルセンサ30で検出した活動情報を用いて補正するものである。この変形例では、同図に示すように、制御装置100は活動情報補正部116をさらに備えている。活動情報補正部116は、活動情報検出部111が検出した対象者の活動情報を、ウェアラブルセンサ30を対象者が装着しているときにウェアラブルセンサ30が検出した対象者の活動情報と比較して補正パラメータを算出する。補正パラメータは、活動情報検出部111が検出した対象者の活動情報を補正するための補正式に含まれるパラメータである。
【0033】
活動情報補正部116は、補正式を用いて活動情報検出部111が検出した対象者の活動情報を補正した結果が、対象者が装着したウェアラブルセンサ30が検出した活動情報により近くなるように、補正パラメータを算出する。活動情報補正部116が算出した補正パラメータは、例えば記憶部120に記憶される。補正式は、例えば、活動情報が移動距離の場合、活動情報検出部111が検出した移動距離に、補正パラメータを加算又は減算したものを補正後の移動距離とする。この場合、活動情報補正部116は、活動情報検出部111が検出した移動距離の平均値と、ウェアラブルセンサ30が検出した移動距離の平均値との差分を補正パラメータとする。
【0034】
この変形例では、活動量算出部113は、ウェアラブルセンサ30を対象者が装着していない場合、活動情報検出部111が検出した対象者の活動情報を補正式及び補正パラメータを用いて補正したものを用いて人の活動量を算出する。補正パラメータは、記憶部120に記憶されているもの、すなわち、活動情報補正部116が算出したものが用いられる。このようにすることで、宅内センサ40の検出結果を用いた活動量の算出精度をウェアラブルセンサ30の検出結果を用いた活動量の算出精度並みに引き上げることができる。よって、建物10内にいる対象者がウェアラブルセンサ30を装着しているか否かによらず、精度よく活動量を測定できる。
【0035】
図6に示す変形例は、ウェアラブルセンサ30により検出された対象者の位置に応じて、宅内センサ40の有効化及び無効化を制御するようにしたものである。この変形例では、制御装置100は、センサ制御部117をさらに備えている。センサ制御部117は、それぞれの宅内センサの有効化及び無効化を制御する。また、この変形例では、ウェアラブルセンサ30は、建物10内における対象者の位置を検出可能である。ウェアラブルセンサ30は、例えば、GPS(Global Positioning System)、あるいは、建物10内の無線通信用ルータとの通信状況等に基づいて、ウェアラブルセンサ30を装着した対象者の位置を検出する。
【0036】
そして、センサ制御部117は、ウェアラブルセンサ30により検出された建物10内における対象者の位置に応じて、それぞれの宅内センサ40の有効化及び無効化を制御する。より詳しくは、センサ制御部117は、ウェアラブルセンサ30により検出された対象者の位置から予め設定された一定範囲内にある宅内センサ40を有効化し、それ以外の宅内センサ40を無効化する。これにより、対象者が近くにいない宅内センサ40が無駄に検出動作を行うことを抑制しつつ、例えば前述した補正パラメータの算出に必要なデータを効率よく収集できる。
【0037】
また、活動量算出部113は、ウェアラブルセンサ30を対象者が装着している場合、ウェアラブルセンサ30が検出した対象者の活動情報と活動情報検出部111が検出した対象者の活動情報の両方を用いて当該対象者の活動量を算出してもよい。この場合、センサ制御部117により、ウェアラブルセンサ30により検出された対象者の位置から予め設定された一定範囲内にある宅内センサ40を有効化し、それ以外の宅内センサ40を無効化するとよい。このようにすることで、ウェアラブルセンサ30と宅内センサ40の両方の検出結果を用いて活動量の精度を向上できるとともに、対象者が近くにいない宅内センサ40が無駄に検出動作を行うことを抑制できる。
【0038】
また、図7に示すように、制御装置100は、ウェアラブルセンサ30が検出した対象者の位置に応じて、建物10内の電気機器の動作を制御してもよい。図7に示す例では、対象者がリビング11にいる。そこで、制御装置100は、リビング11及びダイニング12の照明、エアコン(空気調和装置52)及び床暖房を電源ONにする。一方、人がいない2つの洋室14の照明及びその他の機器については電源をOFFにする。
【0039】
図8に示す変形例は、対象者の活動量の測定結果に応じて、推奨する活動内容を提示するリコメンド機能をさらにそなえたものである。この変形例では、制御装置100は、推奨活動決定部118をさらに備えている。推奨活動決定部118は、活動量算出部113が算出した対象者の活動量に応じて、当該対象者について推奨活動内容を決定する。
【0040】
例えば、推奨活動決定部118は、記憶部120に記憶されている対象者のプロフィール情報に基づいて、目標活動量を算出する。あるいは、対象者が端末装置等を操作して所望の目標活動量を入力してもよい。そして、推奨活動決定部118は、目標活動量と活動量算出部113が算出した対象者の活動量の差とから、当該対象者に推奨する活動内容を決定する。推奨活動内容は、目標活動量を達成できるような運動(例えば、散歩、ジョギング、サイクリング、エクササイズ、ストレッチ等)であったり、家事作業(例えば、掃除、洗濯等)であったりしてよい。
【0041】
この変形例では、報知制御部114は、前述した報知用情報に推奨活動決定部118が決定した推奨活動内容を含めるようにするとよい。このようにすることで、目標活動量を達成するための推奨活動内容を、端末装置、電気機器等を用いて対象者に報知できる。推奨活動内容がエクササイズ、ストレッチ等である場合、推奨するエクササイズ、ストレッチ等のレクチャー動画を端末装置、テレビ51等で再生させてもよい。また、建物10内に複数の対象者がいる場合、推奨活動決定部118は、それぞれの対象者の活動量を比較し、それぞれの対象者が目標活動量を達成できるような家事作業の分担を提案してもよい。
【0042】
図9は、この実施の形態における制御装置100の機能を実現する構成の一例を示す図である。制御装置100の機能は、例えば、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサ101及びメモリ102を備えていてもよい。処理回路は、専用ハードウェア103であってもよい。処理回路の一部が専用ハードウェア103として形成され、かつ、当該処理回路はさらにプロセッサ101及びメモリ102を備えていてもよい。同図に示す例においては、処理回路の一部は専用ハードウェア103として形成されている。また、同図に示す例において、処理回路は、プロセッサ101及びメモリ102をさらに備えている。
【0043】
一部が少なくとも1つの専用ハードウェア103である処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路が少なくとも1つのプロセッサ101及び少なくとも1つのメモリ102を備える場合、制御装置100の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0044】
ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ102に格納される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ102には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又は磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
【0045】
このようにして、制御装置100の処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、制御装置100の各機能を実現することができる。制御装置100の処理回路が少なくともプロセッサ101及びメモリ102を備える場合、制御装置100においてメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行し、制御装置100のハードウェアとソフトウェアとが協働することによって、制御装置100が備える各部の機能が実現される。なお、活動量測定システムは、単一の制御装置100により動作が制御される構成に限定されるものではない。活動量測定システムは、複数の装置が連携することで動作を制御されてもよい。
【0046】
なお、本開示においては、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態を任意に組み合わせてもよい。以下に、本開示の諸態様の例を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
人が装着し、前記人の移動距離、移動速度及び心拍数のうちの少なくとも1つを含む活動情報を検出するウェアラブルセンサと、
建物内に設けられたカメラ、赤外線センサ、超音波センサ、ミリ波センサ及びドア開閉センサのうちの少なくとも1つを含む宅内センサと、
前記宅内センサの検出結果に基づいて、前記人の移動距離、移動速度及び心拍数のうちの少なくとも1つを含む活動情報を検出する活動情報検出部と、
前記ウェアラブルセンサを前記人が装着しているか否かを判定する装着判定部と、
前記ウェアラブルセンサを前記人が装着している場合、前記ウェアラブルセンサが検出した前記人の活動情報を用いて前記人の活動量を算出し、前記ウェアラブルセンサを前記人が装着していない場合、前記活動情報検出部が検出した前記人の活動情報を用いて前記人の活動量を算出する活動量算出部と、を備えた活動量測定システム。
(付記2)
前記活動量算出部は、前記ウェアラブルセンサを前記人が装着している場合、前記ウェアラブルセンサが検出した前記人の活動情報と前記活動情報検出部が検出した前記人の活動情報とを用いて前記人の活動量を算出する付記1に記載の活動量測定システム。
(付記3)
前記活動情報検出部は、前記建物内にある電気機器の動作状況にさらに基づいて、前記人の活動情報を検出する付記1又は付記2に記載の活動量測定システム。
(付記4)
前記活動情報検出部が検出した前記人の活動情報を、前記ウェアラブルセンサを前記人が装着しているときに前記ウェアラブルセンサが検出した前記人の活動情報と比較して補正パラメータを算出する活動情報補正部をさらに備え、
前記活動量算出部は、前記ウェアラブルセンサを前記人が装着していない場合、前記活動情報検出部が検出した前記人の活動情報を前記活動情報補正部が算出した補正パラメータを用いて補正したものを用いて前記人の活動量を算出する付記1から付記3のいずれか一項に記載の活動量測定システム。
(付記5)
前記ウェアラブルセンサは、前記建物内における前記人の位置を検出可能であり、
前記建物内における前記人の位置に応じて、前記宅内センサの有効化及び無効化を制御するセンサ制御部をさらに備えた付記1から付記4のいずれか一項に記載の活動量測定システム。
(付記6)
前記活動量算出部が算出した前記人の活動量に応じて、推奨活動内容を決定する推奨活動決定部をさらに備えた付記1から付記5のいずれか一項に記載の活動量測定システム。
【符号の説明】
【0047】
10 建物
11 リビング
12 ダイニング
13 キッチン
14 洋室
15 トイレ
16 脱衣所
17 浴室
18 玄関
19 廊下
20 ドア
30 ウェアラブルセンサ
40 宅内センサ
41 カメラ
42 赤外線センサ
43 超音波センサ
44 ミリ波センサ
45 ドア開閉センサ
51 テレビ
52 空気調和装置
53 冷蔵庫
54 照明装置
100 制御装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 専用ハードウェア
111 活動情報検出部
112 装着判定部
113 活動量算出部
114 報知制御部
115 個人特定部
116 活動情報補正部
117 センサ制御部
118 推奨活動決定部
120 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9