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特開2024-130305情報処理装置、生産計画作成方法及び生産計画作成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130305
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、生産計画作成方法及び生産計画作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240920BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240920BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039955
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】林崎 浩典
(72)【発明者】
【氏名】原 朱里
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA05
3C100AA16
3C100AA18
3C100BB03
3C100BB13
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】RE最大化を支援する生産計画の作成を実現することを課題とする。
【解決手段】情報処理装置10は、クリーンエネルギーの予測供給量を受け付ける第1受付部と、エネルギーの予測使用量を受け付ける第2受付部と、クリーンエネルギーの予測供給量およびエネルギーの予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行するシミュレーション部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンエネルギーの予測供給量を受け付ける第1受付部と、
エネルギーの予測使用量を受け付ける第2受付部と、
クリーンエネルギーの前記予測供給量およびエネルギーの前記予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに前記製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行するシミュレーション部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記シミュレーション部は、前記予測供給量および前記予測使用量の間の差分または割合を含む目的関数を最大化または最小化することにより、前記生産計画を最適化する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
クリーンエネルギーの前記予測供給量の割当先の優先度の設定を受け付ける第3受付部をさらに有し、
前記シミュレーション部は、クリーンエネルギーの前記予測供給量と、前記シミュレーションの結果として得られた生産計画に含まれる前記割当先の前記予測使用量とを比較して、前記優先度に基づいて前記割当先へのクリーンエネルギーの割当量を決定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
発電後に非化石エネルギーの電気から分離された環境価値の売買を取引する電力取引システムに、前記割当量が前記予測使用量に比べて不足する不足分の環境価値を購入するリクエストを発行するリクエスト部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1受付部は、クリーンエネルギーの種類ごとに前記予測供給量を受け付け、
前記第3受付部は、前記種類ごと及び時間帯ごとに前記優先度の設定を受け付け、
前記シミュレーション部は、前記種類ごと及び前記時間帯ごとに前記割当量を決定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
クリーンエネルギーの予測供給量を受け付け、
エネルギーの予測使用量を受け付け、
クリーンエネルギーの前記予測供給量およびエネルギーの前記予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに前記製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする生産計画作成方法。
【請求項7】
クリーンエネルギーの予測供給量を受け付け、
エネルギーの予測使用量を受け付け、
クリーンエネルギーの前記予測供給量およびエネルギーの前記予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに前記製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする生産計画作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、生産計画作成方法及び生産計画作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ、いわゆるRE100(Renewable Energy 100%)の注目度が高まっている。
【0003】
RE最大化を実現する側面から、企業などの組織では、組織の使用電力の全てをクリーンエネルギーに由来する電力で供給したり、あるいはクリーンエネルギーの発電後に電気から分離された属性価値を購入したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-151174号公報
【特許文献2】特開2022-92898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、製品の生産計画は、製造ラインや製造装置などの設備、製品の種類や数量、納期などの注文を含む製造オーダ、在庫数などに基づいて作成されるので、効率や納期が優先される結果、RE最大化が後回しにされた生産計画が作成される場合がある。
【0006】
本発明は、RE最大化を支援する生産計画の作成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面にかかる情報処理装置は、クリーンエネルギーの予測供給量を受け付ける第1受付部と、エネルギーの予測使用量を受け付ける第2受付部と、クリーンエネルギーの前記予測供給量およびエネルギーの前記予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに前記製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行するシミュレーション部と、を有する。
【0008】
本発明の一側面にかかる生産計画作成方法では、クリーンエネルギーの予測供給量を受け付け、エネルギーの予測使用量を受け付け、クリーンエネルギーの前記予測供給量およびエネルギーの前記予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに前記製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行する、処理をコンピュータが実行する。
【0009】
本発明の一側面にかかる生産計画作成プログラムは、クリーンエネルギーの予測供給量を受け付け、エネルギーの予測使用量を受け付け、クリーンエネルギーの前記予測供給量およびエネルギーの前記予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに前記製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態によれば、RE最大化を支援する生産計画の作成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、生産計画作成システムの構成例を示す図である。
図2図2は、データ受付処理の手順を示すフローチャートである。
図3図3は、電力供給システムを示す模式図である。
図4図4は、証書の購入例を示す模式図である。
図5図5は、シミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。
図6図6は、RE度合い算出処理の手順を示すフローチャートである。
図7図7は、RE度合い算出処理の手順を示すフローチャートである。
図8図8は、生産計画の一例を示す図である。
図9図9は、製造過程情報の一例を示す図である。
図10図10は、ユーザ端末の表示例を示す図である。
図11図11は、ユーザ端末の表示例を示す図である。
図12図12は、リクエスト発行処理の手順を示すフローチャートである。
図13図13は、リクエスト生成処理の手順を示すフローチャートである。
図14図14は、ハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本願に係る情報処理装置、生産計画作成方法及び生産計画作成プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載)について説明する。各実施形態には、例や側面を示すに過ぎず、このような例示により数値や機能の範囲、利用シーンなどは限定されない。そして、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適応的に組み合わせることが可能である。
【実施例0013】
<全体構成>
まず、本実施形態にかかる生産計画作成システム1の全体構成について説明する。図1は、生産計画作成システム1の構成例を示す図である。図1に示す生産計画作成システム1は、プラント等の生産設備における製品の生産計画を作成する生産計画作成機能を提供するものである。
【0014】
このような生産計画作成機能の一環として、RE最大化を支援する生産計画の作成を実現する点において既存の従来技術とは区別される。ここで言う「RE最大化」とは、再生可能エネルギーに由来する電力の供給を特定の目標値まで最大化することを指し、必ずしも上限値である100%に限らず、80%や90%などが目標値としてされてもよい。
【0015】
以下、本実施形態に記載する「エネルギー」には、クリーンエネルギーおよび非クリーンエネルギーが含まれてよい。このうち、「クリーンエネルギー」は、グリーンエネルギーとも呼ばれ、例えば、いわゆる再生可能エネルギーを含んでよい。また、「非クリーンエネルギー」は、クリーンエネルギーでないエネルギーを指し、例えば、化石エネルギーを含んでよい。以下、クリーンエネルギーの一例として、再生可能エネルギーを挙げ、この再生可能エネルギーを指して「再エネ」、あるいは「RE」と記載する場合がある。
【0016】
図1に示すように、生産計画作成システム1には、生産管理システム3と、電力取引システム5と、各種デバイス7と、情報処理装置10と、ユーザ端末30とが含まれ得る。これら生産管理システム3、電力取引システム5、各種デバイス7およびユーザ端末30と、情報処理装置10との間は、任意のネットワークNWを介して通信可能に接続され得る。なお、ネットワークNWは、有線や無線を問わず、インターネット技術、工業用通信規格、あるいはIoT(Internet of Things)向けの省電力無線通信規格などの任意の技術により実現されてよい。
【0017】
生産管理システム3は、プラント等の生産設備で行われる生産に関する業務を一括で管理するシステムである。また、電力取引システム5は、グリーン電力証書やJクレジット、非化石証書などの環境価値を取引するシステムである。なお、電力取引システムについては、図4を用いて後述する。
【0018】
各種デバイス7は、情報処理装置10に接続され得る各種のデバイスである。例えば、各種デバイス7には、上記の生産計画作成機能の提供を受けるユーザが有する需要設備における電力使用量を測定するスマートメータなどが含まれてよい。このような需要設備には、製造工場の設備である製造ライン、製造ラインに含まれる製造装置などの生産設備が含まれてよい他、オフィスの設備などが含まれることを妨げない。
【0019】
情報処理装置10は、上記の生産計画作成機能を提供するコンピュータの一例である。例えば、情報処理装置10は、上記の生産計画作成機能をオンプレミスに提供するサーバとして実現されてよい。この他、情報処理装置10は、PaaS(Platform as a Service)型、あるいはSaaS(Software as a Service)型のアプリケーションとして実現することで、上記の生産計画作成機能をクラウドサービスとして提供することもできる。
【0020】
ユーザ端末30は、上記の生産計画作成機能の提供を受けるユーザにより使用される端末装置である。ここで言う「ユーザ」は、一例として、企業等の組織のみならず、組織の関係者などが含まれてよい。例えば、ユーザ端末30は、パーソナルコンピュータを始め、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末などの任意のコンピュータにより実現されてよい。
【0021】
<情報処理装置10の構成>
次に、本実施形態に係る情報処理装置10の機能構成例について説明する。図1には、情報処理装置10が有する生産計画作成機能に関連するブロックが模式化されている。図1に示すように、情報処理装置10は、通信制御部11と、記憶部13と、制御部15とを有する。なお、図1には、上記の生産計画作成機能に関連する機能部が抜粋して示されているに過ぎず、図示以外の機能部が情報処理装置10に備わることとしてもよい。
【0022】
通信制御部11は、生産管理システム3や電力取引システム5、各種デバイス7、ユーザ端末30などの他の装置との間の通信を制御する機能部である。例えば、通信制御部11は、ネットワークインタフェイスカードにより実現され得る。
【0023】
記憶部13は、各種のデータを記憶する機能部である。例えば、記憶部13は、情報処理装置10の内部、外部または補助のストレージにより実現される。例えば、記憶部13は、予測供給量13A、設定情報13B、予測使用量13Cおよび生産諸元情報13Dなどのデータを記憶する。なお、予測供給量13A、設定情報13B、予測使用量13Cおよび生産諸元情報13Dなどのデータの説明は、参照、生成または登録が実行される場面で併せて説明することとする。
【0024】
制御部15は、情報処理装置10の全体制御を行う機能部である。例えば、制御部15は、ハードウェアプロセッサにより実現され得る。図1に示すように、制御部15は、受付部15Aと、シミュレーション部15Bと、出力部15Cと、リクエスト部15Dとを有する。なお、制御部15は、ハードワイヤードロジックなどにより実現されてもよい。
【0025】
受付部15Aは、各種の情報を受け付ける処理部である。受付部15Aは、第1受付部、第2受付部および第3受付部の一例に対応する。一実施形態として、受付部15Aは、生産管理システム3、電力取引システム5、各種デバイス7、あるいはユーザ端末30を介して、予測供給量、設定情報、予測使用量および生産諸元情報などのデータを受け付ける。
【0026】
図2は、データ受付処理の手順を示すフローチャートである。図2に示すように、生産管理システム3、電力取引システム5、各種デバイス7、あるいはユーザ端末30は、予測供給量、設定情報、予測使用量および生産諸元情報などのデータを送信する(ステップS101)。
【0027】
このようにデータが送信されると、受付部15Aは、ネットワークNWを介して、予測供給量、設定情報、予測使用量および生産諸元情報などのデータを受け付ける(ステップS102)。
【0028】
そして、受付部15Aは、予測供給量、設定情報、予測使用量および生産諸元情報などのデータを予測供給量13A、設定情報13B、予測使用量13Cおよび生産諸元情報13Dとして記憶部13へ登録する(ステップS103)。なお、予測供給量13A、設定情報13B、予測使用量13Cおよび生産諸元情報13Dは、リレーショナルデータベースを始め、任意のデータ形式で記憶部13に格納されてよい。
【0029】
1つの側面として、受付部15Aは、生産計画で製品の製造が定められた製造予定時点における電力トラッキングを実現する側面から、上記のステップS102においてユーザが発電家から供給されるエネルギーの時間帯別の予測供給量を受け付けることができる。
【0030】
ここで言う「電力トラッキング」とは、ある需要家が消費する電気が、特定の発電源に由来することを証明することを指す。ただし、電力系統(送配電網)を流れる電気は、発電源の由来に関して物理的には識別不可能と見なし、電力系統を流れる電気の物理的な識別・追跡は行わない。
【0031】
トラッキングの基本的な考え方は、同一電力系統に接続される電源の発電量と需要家施設の消費量が等しく(電力の同時同量)、かつ当該電源から発電された電気が他で消費されていないと確認できるときに、特定の電源由来の電気が、特定の需要家によって消費されたと見なされて成立する。
【0032】
ここで、発電家から需要家へのエネルギーの供給は、次に挙げる形態で実施され得る。ここに記載する「発電家」は、クリーンエネルギーや化石エネルギーを含む電力を発生させる発電設備を有する供給者の一例に対応する。また、「需要家」とは、電力の供給を受けて消費する需要設備を有する消費者の一例に対応する。これら発電家および需要家は、個人や法人などの事業者であってよく、また、地方や国などの公共団体であってもよい。1つ目として、事前に特定の需要家と特定の発電源の組合せが定義されている場合が挙げられる。図3は、電力供給システムを示す模式図である。図3に示すように、電力供給システムは、発電部門、送配電部門および小売部門に分類され得る。例えば、発電部門には、化石エネルギーを使用する発電源である火力発電の他、太陽光発電や風力発電、水力発電などといった再生可能エネルギーを使用する発電源が含まれる。さらに、送電部門には、発電所から需要家へつながる送配電用ネットワークが形成される。送配電用ネットワークには、発電所から送電用変電所、例えば超高圧変電所や一次変電所、二次変電所などを接続する送電線、配電用変電所から一般の需要家までを接続する配電線などが含まれ得る。さらに、小売部門には、特別高圧の電力の供給を受ける大規模工場や大規模ビルなどの需要家と、高圧の電力の供給を受ける中規模工場などの需要家と、低圧の電力の供給を受ける一般の需要家とが含まれ得る。
【0033】
例えば、上記の電力供給システムにおける同時同量の例を挙げれば、ある太陽光発電が1kWhを発電し、同じときにこの太陽光発電の会社と契約しているユーザが1kWhを消費したとしたら、「この1kWh分は太陽光発電の電気」とみなされる。太陽光発電に限らず、どのような発電源の種類の電力会社と契約しても、電力の供給には同じ送配電線が使用されるので、電力会社(供給側)と使う側(需要側)を一致させることで、同時同量が成立する。
【0034】
このような電力供給システムでは、発電事業者および需要家の間の契約に基づいて電力が供給される。このため、受付部15Aは、一例として、ユーザ端末30から発電事業者およびユーザ組織の間の契約情報を受け付けることにより、各々の契約情報に定義された電力量をユーザ組織に対するエネルギーの予測供給量として取得できる。ここで言う「予測供給量」は、一例として、同時同量で標準とされる間隔、例えば30分間としたときの平均発電電力であってよい。このように契約情報ごとに予測供給量を取得することで、発電事業者が有する発電源のエネルギーの種類ごとに時間帯別の予測供給量を取得できる。例えば、化石エネルギーや再生可能エネルギーといった分類に限らず、再生可能エネルギーの中でも太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマスなどの種類ごとに予測供給量を取得できる。なお、契約情報のからの自動抽出に限らず、GUI(Graphical User Interface)を介してユーザ組織に対するエネルギーの予測供給量を入力させることとしてもよい。
【0035】
2つ目として、発電後に非化石エネルギーの電気から分離された属性価値を表象する証書が発行され、証書購入を通じて初めて決定する場合が挙げられる。例えば、属性価値として代表的なものは環境価値である。環境価値には、「グリーン電力証書」、「Jクレジット」や「非化石証書」などが含まれ得る。このうち、グリーン電力証書は、再生可能エネルギーの電気の価値を「電気そのものの価値」と「環境価値」に分けて、「環境価値」が証書化されたものである。
【0036】
図4は、証書の購入例を示す模式図である。図4に示すように、非化石証書の入札時には、需要家における電力使用量から非化石証書の購入量(オフセット)が算出される。例えば、オフセットの例として、RE100に不足する分の電力量に対応する購入量が挙げられる。このように購入量が決定されると、需要家などの購入サイドでは、1コマ(30分)あたり50kWhを最低取引単位とし、1日分の48コマから需要家が購入を希望するコマの枠と購入量とを指定する入札が電力取引システム5に行われる。一方、発電事業者aや発電事業者bなどの販売サイドにおいても、発電事業者が販売を希望するコマの枠と販売量とを指定する入札が電力取引システム5に行われる。このような入札の下、電力取引システム5が「売り」と「買い」の入札をマッチングして約定価格や約定量を決定することにより取引が実施される結果、非化石証書が調達される。なお、ここでは、需要家が電力取引システム5へ入札する例を挙げたが、需要家の環境価値の管理を代行する代行者が電力取引システム5へ入札することができるのは言うまでもない。
【0037】
例えば、上記の証書購入における同時同量の例を挙げれば、ある工場Aで太陽光発電を取り付けて自家消費したとする。このとき、工場Aでは「二酸化炭素を排出しない」という環境価値は不要という場合は、この環境価値を「グリーン電力証書」として販売できる。この証書を別の工場Bが買った場合、工場Bで再エネを使い、二酸化炭素排出を削減したことになる。
【0038】
このような証書購入の場合、電力取引システム5を介して非化石証書が調達される。このため、受付部15Aは、電力取引システム5から非化石証書の購入量を受け付ける。例えば、電力取引システム5は、当該非化石証書の購入量をユーザ組織に対する再生可能エネルギーの予測供給量として取得できる。なお、ここでも当然のことながら、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーの種類ごとに予測供給量を取得できるのは言うまでもない。
【0039】
他の側面として、受付部15Aは、上記のステップS102においてユーザ端末30からユーザの設定情報を受け付けることができる。
【0040】
例えば、設定情報には、各発電家のエネルギーの種別、CO2排出係数、再エネ係数などの設定が含まれてよい。このうち、「CO2排出係数」は、1kWhの電気を供給するためにどのくらいのCO2を排出しているのかを示す指標である。例えば、CO2排出係数(kg-CO2/kWh)は、CO2排出量÷販売電力量により算出される。また、「再エネ係数」は、発電家のエネルギーがクリーンエネルギーに対応する度合いを示す指標である。例えば、再エネ係数は、0~1の数値範囲に正規化された値であってよい。この場合、再エネ係数が1に近づくにつれて完全にクリーンなエネルギーに近づく一方で、再エネ係数が0に近づくにつれて純化石エネルギーに近づく。このような再エネ係数は、一括または時間帯ごとに設定できる。
【0041】
さらに、設定情報には、電力トラッキングにおけるエネルギーの割当先の優先度の設定が含まれてよい。ここで言う「割当先」には、製品、製造プロセス、製造ライン、あるいは製造工場などの任意の単位でまとめられた需要設備が含まれてよい。このように製造に関する対象に限定されず、オフィス等に含まれる需要設備が含まれることを妨げない。例えば、割当先として製造ラインA~Zを例に挙げると、製造ラインA~Zのうち優先する製造ラインから昇順または降順に優先度が設定される。この他、設定情報には、ユーザ組織が有する施設間の優先度の設定が含まれてもよい。例えば、優先度1:工場A、優先度2:工場B、優先度3:オフィスなどを設定できる。この場合、工場A>工場B>オフィスという優先度にしたがって各電力が割り当てられる。さらに、設定情報には、割当先に割り当てる発電家または発電家のエネルギーの種類の優先度の設定が含まれてよい。例えば、優先度1:風力、優先度2:太陽光、優先度3:化石などを設定できる。この場合、風力>太陽光>化石という優先度にしたがって各電力が割り当てられる。なお、割当先、施設およびエネルギー種類などの優先度は、一括または時間帯ごとに設定できる。
【0042】
この他、設定情報には、同時同量間隔の設定が含まれてよい。例えば、同時同量間隔には、標準である30分の他、任意の間隔、例えば15分間、60分間などを設定することができる。また、設定情報には、後述のシミュレーション部15Bにより実行されるシミュレーションの対象とする製品の設定などが含まれてよい。さらに、設定情報には、生産管理システム3への入力、例えば生産計画の入力などの許可または禁止などの設定が含まれてよい。さらに、設定情報には、電力取引システム5への自動取引の許可または禁止などの設定が含まれてよい。これら同時同量間隔、対象製品、生産管理システム3の入力、電力取引システム5への自動取引などの設定は、一例として、ユーザ端末30を介して受け付けることができる。
【0043】
更なる側面として、受付部15Aは、上記のステップS102において各種デバイス7からユーザ組織のエネルギーの時間帯別の使用量を受け付けることができる。例えば、受付部15Aは、各種デバイス7の一例として、ユーザ組織が有する需要設備に接続されたスマートメータごとに当該スマートメータにより測定された電力の使用量を受け付けることができる。一般に、スマートメータでは、同時同量間隔の標準とされる30分間隔の消費電力の平均値、いわゆる30分デマンド値が検針される。このとき、スマートメータの検針対象は、ユーザ組織が有する設備における任意の単位、例えば製品、製造プロセス、あるいは製造ラインを実現する機器の他、工場全体などの単位であってよい。なお、ここでは、スマートメータからエネルギーの使用量を受け付ける例を挙げたが、ユーザ端末30からエネルギーの使用量の入力をGUIなどを介して受け付けることとしてもよい。この場合、受付部15Aは、所定の期間、例えば1日分や1週間分などのエネルギーの使用量を一括で入力させることとしてもよい。
【0044】
このように受け付けられた使用量の実測値に基づいて、受付部15Aは、エネルギーの時間帯別の使用量を予測することができる。このような使用量の予測は、一例として、ニューラルネットワークやサポートベクタマシン、勾配ブースティングなどの機械学習モデルにより実現されてよい。
【0045】
例えば、機械学習モデルは、過去の履歴として得られる使用量の実測値のデータ列を入力として将来の予測使用量または予測使用量のデータ列を出力する。このような機械学習モデルを訓練する訓練データは、過去所定期間の使用量の実測値のデータ列を含む使用履歴データから生成することができる。例えば、使用履歴データは、機械学習モデルの入力サイズに対応する期間のセグメントと、当該セグメントに後続する正解ラベルのセグメントとに交互に区分される。このようなセグメンテーションにより、使用履歴データから訓練データおよびその正解ラベルを含むデータセットが得られる。例えば、訓練フェイズでは、訓練データを機械学習モデルの説明変数とし、ラベルを機械学習モデルの目的変数とし、任意の機械学習のアルゴリズム、例えばディープラーニングなどにしたがって機械学習モデルを訓練できる。これにより、訓練済みの機械学習モデルが得られる。予測フェイズでは、最新の使用量の実測値が受け付けられた時点から機械学習モデルの入力サイズに対応する期間を遡って得られる使用量の実測値のデータ列が訓練済みの機械学習モデルへ入力される。これにより、訓練済みの機械学習モデルは、最新の使用量の実測値が取得された現時点から特定の時間後の予測使用量または予測使用量のデータ列を出力する。
【0046】
なお、ここでは、使用量の実測値を取得した上で当該使用量の実測値から予測使用量を予測する例を挙げたが、ユーザ端末30、あるいは図示しない使用量の予測装置などからエネルギーの時間帯別の予測使用量を受け付けることもできる。また、受付部15Aは、上記の機械学習モデルと同様の機械学習モデルを用いて、使用量の実測値から予測使用量を予測するのと同様に、供給量の実測値から予測供給量を予測することもできる。
【0047】
他の側面として、受付部15Aは、上記のステップS102において生産管理システムから生産諸元情報を受け付けることができる。ここで言う「生産諸元情報」とは、生産計画の作成に用いる諸元の情報を指す。例えば、生産諸元情報には、生産予定の製品およびその納期をコンピュータに識別させる側面から、ユーザ組織の取引先からの注文、例えば製品の種類や数量、納期などを含む製造オーダが含まれてよい。さらに、生産諸元情報には、生産予定の製品の製造方法をコンピュータに識別させる側面から、次のような製造マスタが含まれてよい。例えば、製造マスタには、製品または製造プロセスごとに製造ライン単位または製造ラインに含まれる製造装置単位の作業の所要時間が対応付けられた情報が含まれる他、現場の作業員やオペレータなどの人員のシフトが設定された稼働カレンダが含まれてよい。この他、生産諸元情報には、オプションとして、生産予定の製品の数量をコンピュータに識別させる側面から、製品ごとの在庫数が含まれてよく、また、製造に使用した部品や素材の再エネ比率、CO2排出量が含まれてよい。なお、ここでは、生産管理システム3から生産諸元情報を受け付ける例を挙げたが、ユーザ端末30から生産諸元情報をGUIなどを介して受け付けることとしてもよい。この場合、受付部15Aは、所定の期間、例えば1日分や1週間分、1か月などの生産諸元情報を一括で入力させることとしてもよい。
【0048】
シミュレーション部15Bは、クリーンエネルギーの時間帯別の予測供給量およびエネルギーの時間帯別の予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに当該製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行する処理部である。
【0049】
図5は、シミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。図5に示すように、シミュレーション部15Bは、記憶部13に記憶された予測供給量13A、予測使用量13Cおよび生産諸元情報13Dを取得する(ステップS201)。
【0050】
そして、シミュレーション部15Bは、シミュレーションの目的などの指定を受け付ける(ステップS202)。例えば、目的の例として、特定製品のRE最大化や特定取引先のRE最大化、特定時間帯の製品のRE最大化などが挙げられる。
【0051】
このとき、ステップS202で特定製品のRE最大化が目的として指定された場合(ステップS203Yes)、シミュレーション部15Bは、当該目的に対応する目的関数、変数および制約条件を取得する(ステップS204)。
【0052】
また、ステップS202で特定取引先のRE最大化が目的として指定された場合(ステップS203NoかつステップS205Yes)、シミュレーション部15Bは、当該目的に対応する目的関数、変数および制約条件を取得する(ステップS206)。
【0053】
また、ステップS202で特定時間帯の製品のRE最大化が目的として指定された場合(ステップS203NoかつステップS205No)、シミュレーション部15Bは、当該目的に対応する目的関数、変数および制約条件を取得する(ステップS207)。
【0054】
これらステップS204、ステップS206またはステップS207のいずれかの処理で目的関数、変数及び制約条件が取得される。その上で、シミュレーション部15Bは、目的関数を最大化または最小化する生産計画の最適化問題を解析するシミュレーションを実行する(ステップS208)。
【0055】
ここで、生産計画の最適化問題を解析するアルゴリズムとして、線形計画法を用いる例を挙げる。この場合、生産諸元情報に含まれる製造オーダに基づいて生産予定の製品が変数として設定される。また、生産諸元情報に含まれる製造マスタに基づいて製造ラインまたは製造装置などが変数として設定される。この他、さらに、変数を操作可能な範囲を制約する制約条件として、生産諸元情報に含まれる製造オーダまたは製造マスタの稼働カレンダに基づいて納期遵守で製造が完了し、シフト変更なしで稼働が可能である範囲が一次不等式などで定式化される。さらに、目的ごとに当該目的に対応する目的関数が変数を用いて定式化される。例えば、目的関数の例として、損失関数を用いる場合を例に挙げる。このとき、特定製品のRE最大化を目的とする損失関数を設定する場合、特定製品のRE度合い、例えば予測使用量および予測供給量の差分が大きくなるにしたがって損失が大きくなる損失関数が上記の変数を用いて定式化される。ここでは、予測使用量および予測供給量の比の一例として、予測使用量および予測供給量の差分を用いる例を挙げたが、予測使用量および予測供給量の割合を用いてもよい。なお、上記の特定製品のRE最大化以外の目的に対応する損失関数を設定する場合についても、同様のロジックで損失関数を設定できる。
【0056】
これら損失関数および制約条件の定式化の下、制約条件を満たし、かつ損失関数を最小化する変数の組合せが算出される。このように算出された変数の組合せにより、生産予定の製品ごとに当該製品の製造時間帯が定義された生産計画が定まる。なお、ここでは、目的関数の例として損失関数を例に挙げたが、変数を用いて定式化されたスコア関数を最大化することにより変数の組合せを算出することとしてもよい。また、生産計画の最適化問題には、上記の線形計画法に限らず、任意の解析アルゴリズムを適用できる。
【0057】
このようなシミュレーションによれば、ユーザにより指定される目的に応じて当該目的に対応する製品のRE最大化を支援する生産計画の作成を実現できる。
【0058】
その後、シミュレーション部15Bは、ステップS208の結果として得られた生産計画のうち所定の条件を満たす生産計画、例えば損失が閾値以下である生産計画の数Lに対応する回数の分、ステップS209の処理を反復するループ処理1を実行する。
【0059】
すなわち、シミュレーション部15Bは、l番目の生産計画と、ステップS201で取得された予測供給量および予測使用量とに基づいてl番目の生産計画で生産される製品のRE度合いを算出するRE度合い算出処理を実行する(ステップS209)。
【0060】
このようなループ処理1が反復されることにより、L個の生産計画ごとに製品別のRE度合いが算出されることになる。
【0061】
続いて、シミュレーション部15Bは、RE度合いが上位所定数に該当する生産計画をユーザ端末30の表示部などに出力する(ステップS210)。そして、シミュレーションの終了OKの確認操作が受け付けられるまで(ステップS211No)、上記のステップS202から上記のステップS210までの処理を反復する。
【0062】
その後、シミュレーションの終了OKの確認操作が受け付けられた場合(ステップS211Yes)、シミュレーション部15Bは、RE度合いが上位所定数に該当する生産計画のうち1つの生産計画を選択し(ステップS212)、処理を終了する。
【0063】
なお、ステップS212では、RE度合いが最高である生産計画を自動的に選択することとしてもよいし、また、ユーザ端末30からGUIなどを介して選択をマニュアルで受け付けることとしてもよい。
【0064】
次に、図6および図7を用いて、図5のステップS209に示すRE度合い算出処理の詳細について説明する。図6および図7は、RE度合い算出処理の手順を示すフローチャートである。図6に示すように、シミュレーション部15Bは、記憶部13に記憶された予測供給量13A、設定情報13B、予測使用量13Cを取得する(ステップS301)。
【0065】
続いて、シミュレーション部15Bは、設定情報13Bに設定された同時同量間隔と、予測供給量13Aおよび予測使用量13Cの間隔とを一致させる前処理を実行する(ステップS302)。
【0066】
例えば、予測供給量13Aおよび予測使用量13Cの間隔が30分間であり、同時同量間隔の設定が1時間であるとしたとき、ペアとなる2つの予測供給量を合算するとともにペアとなる2つの予測使用量を合算する。また、予測供給量13Aおよび予測使用量13Cの測定間隔が30分間であり、同時同量間隔の設定が15分間であるとしたとき、30分間の予測供給量および30分間の予測使用量の各々を同時同量間隔の比率、例えば2で除算することで、15分間の予測供給量および15分間の予測使用量を算出する。
【0067】
そして、シミュレーション部15Bは、クリーンエネルギーの割り当てが未処理である時間帯の枠数Kに対応する回数の分、下記のステップS303から下記のステップS311までの処理を反復するループ処理1を実行する。
【0068】
すなわち、シミュレーション部15Bは、設定情報13Bに設定された発電家の優先度に基づいてクリーンエネルギーの割当元である発電家の選択順序を決定する(ステップS303)。例えば、発電家の優先度として、優先度1:発電家A、優先度2:発電家C、優先度3:発電家Bといった優先度が設定されている場合、選択順序は、発電家A、発電家C、発電家Bと決定される。なお、ここでは、発電家の選択順序が発電家の優先度に基づいて決定される例を挙げたが、発電家のエネルギーの種類の優先度に基づいて発電家の選択順序が決定されてもよい。
【0069】
その上で、シミュレーション部15Bは、M個の発電家の選択が終了するまで、あるいはN個の割当先の選択が終了するまで、下記のステップS304から下記のステップS311までの処理を反復するループ処理2およびループ処理3を実行する。なお、ここで言う「割当先」は、製品、製造プロセス、製造ライン、あるいは製造プロセスまたは製造ラインに含まれる製造装置であってよい。
【0070】
すなわち、シミュレーション部15Bは、選択中の割当先nの予測使用量が「0」よりも大きいか否かを判定する(ステップS304)。このとき、割当先nの予測使用量が「0」よりも大きくない場合(ステップS304No)、割当先nのエネルギーの割り当てが終了していることが判明する。この場合、ステップS305からステップS309までの処理をスキップし、割当先のループカウンタnをインクリメントして次の割当先を選択する。このような割当先の選択順序も設定情報13Bに設定された割当先の優先度により定まる。
【0071】
一方、割当先nの予測使用量が「0」よりも大きい場合(ステップS304Yes)、割当先nのエネルギーの割り当てが終了していないことが判明する。この場合、シミュレーション部15Bは、選択中の発電家mの予測供給量が「0」よりも大きいか否かをさらに判定する(ステップS305)。
【0072】
そして、発電家mの予測供給量が「0」よりも大きくない場合(ステップS305No)、発電家mには割当先nに割り当てる電力が残っていないことが判明する。この場合、ステップS306からステップS311までの処理をスキップし、発電家のループカウンタmをインクリメントして次の発電家を選択する。
【0073】
また、発電家mの予測供給量が「0」よりも大きい場合(ステップS305Yes)、発電家mには割当先nに電力を割り当てる余地があることが判明する。この場合、シミュレーション部15Bは、割当先nの予測使用量と、発電家mの予測供給量とを比較する(ステップS306)。
【0074】
ここで、割当先nの予測使用量が発電家mの予測供給量未満である場合(ステップS307No)、発電家mの残りの予測供給量で割当先nへの電力の割り当てを終了できることが判明する。この場合、シミュレーション部15Bは、割当先nの予測使用量を「0」に更新し(ステップS308)、発電家mの予測供給量から割当先nの予測使用量を減算することにより発電家mの予測供給量を最新に更新する(ステップS309)。その後、割当先のループカウンタnをインクリメントして次の割当先を選択する。
【0075】
このようなループ処理3が反復されることにより、優先度が高い割当先から順に優先度が高い発電家、あるいは優先度が高い種別のエネルギーが割り当てられることになる。
【0076】
また、割当先nの予測使用量が発電家mの予測供給量以上である場合(ステップS307Yes)、発電家mの残りの予測供給量の全てを割当先nに割り当てても割当先nへの電力の割り当てが終了しないことが判明する。この場合、シミュレーション部15Bは、割当先nの予測使用量から発電家mの予測供給量を減算することにより割当先nの予測使用量を最新に更新し(ステップS310)、発電家mの予測供給量を「0」に更新する(ステップS311)。その後、発電家のループカウンタmをインクリメントして次の発電家を選択する。
【0077】
このようなループ処理2が反復されることにより、優先度が高い発電家、あるいは優先度が高いエネルギーの種別から順に優先度が高い割当先へエネルギーが割り当てられることになる。
【0078】
さらに、ループ処理1が反復されることにより、クリーンエネルギーの割り当てが未処理である時間帯ごとに優先度が高い割当先から順に優先度が高い発電家、あるいは優先度が高い種別のエネルギーが割り当てられるとともに、優先度が高い発電家、あるいは優先度が高いエネルギーの種別から順に優先度が高い割当先へエネルギーが割り当てられる。
【0079】
なお、図6に示すフローチャートでは、目標とする再エネ比率をRE100とし、割当先nの全予測使用量と1対1に対応する電力量のクリーンエネルギーを割当先に割り当てる例を挙げたがこれに限定されない。例えば、目標とする再エネ比率は、RE100未満の任意の目標値、例えばRE90やRE80であってもよい。
【0080】
その後、図7に示すように、シミュレーション部15Bは、l番目の生産計画と、l番目の生産計画に対応する割当結果とを取得する(ステップS312)。
【0081】
そして、シミュレーション部15Bは、l番目の生産計画に含まれる製品の個体数Pに対応する回数の分、下記のステップS313から下記のステップS315までの処理を反復するループ処理4を実行する。
【0082】
すなわち、シミュレーション部15Bは、l番目の生産計画のうち選択中の製品pの製造時間帯を参照して、割当結果のうち製品pの製造時間帯が重複する時間帯の割当結果を抽出する(ステップS313)。
【0083】
そして、シミュレーション部15Bは、製品pの製造時間帯に対応する時間帯の枠数Tに対応する回数の分、下記のステップS314の処理を反復するループ処理5を実行する。さらに、ループ処理5には、選択中の時間帯tで稼働する製品pの製造ラインまたは製造装置の個数Kの分、下記のステップS314の処理を反復するループ処理6が含まれる。すなわち、シミュレーション部15Bは、選択中の時間帯tのうち製品pの製造時間帯が重複する期間、すなわち製品pの製造ラインkの実稼働時間または製造装置kの実稼働時間に基づいて時間帯tにおける製品pの製造ラインkの稼働割合または時間帯tにおける製品pの製造装置kの稼働割合を算出する(ステップS314)。例えば、稼働割合は、時間帯tの実稼働時間を単位時間あたりの実稼働時間に正規化することにより算出できる。計算例を挙げれば、時間帯tの枠のサイズを30分間とし、単位時間を1時間とし、実稼働時間が10分間であるとしたとき、1時間あたりの実稼働時間は、10分×(60分/30分)の計算により「20分」と求まるので、この「20分」を単位時間で除算する計算により稼働割合が「1/3」と求まる。
【0084】
このようなループ処理6が反復されることにより、選択中の時間帯tにおける製品pの製造ラインkまたは製造装置kごとに稼働割合が算出されることになる。さらに、ループ処理5が反復されることにより、製品pの製造時間帯が重複する時間帯tごとに製品pの製造ラインkの稼働割合または製品pの製造装置kの稼働割合が算出されることになる。
【0085】
その後、シミュレーション部15Bは、製品pのRE度合いを演算する(ステップS315)。例えば、RE度合いの例として再エネ比率が演算される場合、シミュレーション部15Bは、下記の式(1)にしたがって製品pの再エネ比率を演算できる。ここで、下記の式(1)における「時間帯tの製造ラインkまたは製造装置kのRE度合い」は、下記の式(2)にしたがって演算できる。なお、下記の式(1)および下記の式(2)における「i」は、製造ラインkまたは製造装置kに割り当てられた発電家の数を指す。
【0086】
再エネ比率=Σ(時間帯tの製造ラインkまたは製造装置kのRE度合い×稼働割合)/Σ(稼働割合)・・・(1)
時間帯tの製造ラインkまたは製造装置kのRE度合い=Σ(割当量it×割当電力の再エネ指数i)/Σ予測使用量kt・・・(2)
【0087】
また、RE度合いの例としてCO2排出量が演算される場合、シミュレーション部15Bは、下記の式(3)にしたがって製品pのCO2排出量を演算できる。ここで、下記の式(3)における「時間帯tの製造ラインkまたは製造装置kのCO2排出量」は、下記の式(4)にしたがって演算できる。
【0088】
CO2排出量=Σ(時間帯tの製造ラインkまたは製造装置kのCO2排出量×稼働割合)+Σ(製造ラインkまたは製造装置kで使用された素材のCO2排出量)・・・(3)
時間帯tの製造ラインkまたは製造装置kのCO2排出量=Σ(割当量it×割当電力のCO2排出係数i)・・・(4)
【0089】
このようなループ処理4が反復されることにより、P個の製品ごとにRE度合い、例えば再エネ比率やCO2排出量などが算出されることになる。なお、図7には、製品単位でRE度合いが演算される例を挙げたが、製品の部分を製造プロセス、製造ライン、あるいは製造工場に置き換えることで、製造プロセス単位、製造ライン単位、あるいは製造工場単位でRE度合いを演算できる。
【0090】
このように製品単位または製造プロセス単位で演算されたRE度合いの演算結果は、記憶部13に保存することができる。ここで、RE度合いの演算結果は、必ずしもリレーショナルデータベースなどに保存されずともかまわない。例えば、RE度合いの演算結果の記録先をブロックチェーンネットワークとすることもできる。
【0091】
ブロックチェーンは、P2P(Peer to Peer)ネットワークを構成する複数のノードが同一のデータベースを保持する分散型台帳技術の1つである。ブロックチェーンでは、P2Pネットワーク上のトランザクション群がブロックとしてまとめて処理され、ハッシュ関数によって各ブロックがリンクされている。ブロックチェーンにおいて記録されたブロックのデータは、後続のすべてのブロックを変更しない限り遡及的に変更することはできず、ブロックチェーンを用いた台帳管理のプラットフォームは改変に対する安全性が高い。
【0092】
このようなブロックチェーンネットワークを形成するノード間で用いられるコンセンサスアルゴリズムには、PoW(Proof of Work)、あるいはPoS(Proof of Stake)などの任意の方式を用いることができる。
【0093】
ブロックチェーンでは、トランザクションデータに秘密鍵を用いた電子署名が付与されることにより、なりすましが防止される。なお、トランザクションデータの暗号化には、必ずしも公開鍵暗号方式を用いずともよい。例えば、AES(Advanced Encryption Standard)、SHA(Secure Hash Algorithm)、RSA(Rivest-Shamir-Adleman cryptosystem)、ECC(Elliptic Curve Cryptography)などの任意の暗号化アルゴリズムを用いることができる。
【0094】
また、各トランザクションのデータは、公開されると共にブロックチェーンネットワーク全体で共有される。なお、P2Pデータベースの種類によっては、P2Pネットワーク全体で必ずしも同一の記録を保持せずともよい。
【0095】
このようなブロックチェーンネットワークを形成するノード間で用いられるコンセンサスアルゴリズムには、PoW(Proof of Work)、あるいはPoS(Proof of Stake)などの任意の方式を用いることができる。
【0096】
このようにRE度合いの演算結果をブロックチェーンネットワークに記録する場合、シミュレーション部15Bは、1つの時間帯の枠のRE度合いの演算結果に対応するトランザクションデータを生成し、当該トランザクションデータの登録を要求するリクエストをブロックチェーンネットワークに送信することにより、RE度合いの演算結果をブロックチェーンに記録させることができる。
【0097】
ここで、図5に示すステップS212で選択された生産計画の一例を挙げる。図8は、生産計画の一例を示す図である。図8には、2023年1月23日の生産計画が示されているが、1月23日以外にもその前後の日付の生産計画が含まれてもよい。さらに、図8には、2023年1月23日の生産計画の例として、製品A1および製品B1の2つの製品が抜粋して示されているが、当然のことながら他の製品が含まれることを妨げない。図8に示すように、生産計画では、生産予定の製品ごとに当該製品の製造時間帯が計画されている。同図に示す例で言えば、製造時間帯は、製品A1および製品B1の各々に含まれる製造プロセスに対応する工程ごとに開始時間および作業所要時間により定義されている。なお、生産計画には、製品、製造プロセス、生産設備および製造時間帯以外の他の情報、図8に示す例で言えば製品の取引先への納期が含まれてもよい。
【0098】
図9は、製造過程情報の一例を示す図である。図9には、図8に示す生産計画から製造過程情報が例示されている。図9に示すように、製造過程情報においても、生産予定の製品ごとに当該製品の製造時間帯が示されている。同図に示す例で言えば、製造時間帯は、製品A1および製品B1の各々に含まれる製造プロセスに対応する工程ごとに開始時間および終了時間により定義されている。
【0099】
図1の説明に戻り、出力部15Cは、各種の情報を出力する処理部である。1つの側面として、出力部15Cは、シミュレーション部15Bによるシミュレーション結果として得られた生産計画ごとに当該生産計画に含まれる製品別のRE度合いをユーザ端末30を含む任意の出力先に出力することができる。なお、ここで言う出力先には、ユーザ組織のコンピュータで実行されるアプリケーションやサービスの他、ユーザ組織以外の第三者、例えば製品の取引先のコンピュータやコンピュータで実行されるアプリケーションやサービスが含まれてよい。
【0100】
図10および図11は、ユーザ端末30の表示例を示す図である。図10および図11には、図5に示すステップS210でユーザ端末30に表示されるGUI画面が示されている。さらに、図10および図11には、生産予定の製品のうち図5に示すステップS202で特定製品として指定された製品の例として、製品「ウェハ1」が示されている。さらに、図10および図11には、生産予定の製品「ウェハ1」の製造時間帯の候補として、RE度合いが上位2つに該当する2つの生産計画のうち一方の生産計画に対応する製造スケジュール1および他方の生産計画に対応する製造スケジュール2が示されている。
【0101】
図10および図11のうち、図10には、生産予定の製品「ウェハ1」の製造プロセスの中にRE100を達成しない製造プロセスが含まれない例が示されている。このような表示によれば、ユーザ組織の生産計画の担当者や責任者は、製造スケジュール1および製造スケジュール2のいずれを採用しても、生産予定の製品「ウェハ1」のRE100を達成することを把握できる。
【0102】
一方、図11には、生産予定の製品「ウェハ1」の製造プロセスの中にRE100を達成しない製造プロセスが含まれる例が示されている。このような表示によれば、ユーザ組織の生産計画の担当者や責任者は、製造スケジュール1および他方の生産計画に対応する製造スケジュール2のいずれを採用しても、生産予定の製品「ウェハ1」のRE100を達成することが困難であることを把握できる。同図の例で言えば、製造スケジュール1では、2022年11月2日の14時15分00秒に開始が予定される装置5における加工でクリーンエネルギーの電力が不足することを把握できる。さらに、製造スケジュール2では、2022年11月2日の16時40分00秒に開始が予定される装置1における加工でクリーンエネルギーの電力が不足することを把握できる。加えて、製造スケジュール1の装置5における加工では、クリーンエネルギーの不足分が3kWであることをさらに把握できるとともに、製造スケジュール2の装置1における加工では、クリーンエネルギーの不足分が3kWであることをさらに把握できる。
【0103】
このようにクリーンエネルギーの不足分を把握できる技術的意義は大きい。なぜなら、生産計画の作成時において製品の製造予定時点のクリーンエネルギーの需要および供給のギャップを把握できるからである。これにより、クリーンエネルギーの供給が不足する事態を事前に察知したり、あるいは化石エネルギーに比べて高価なクリーンエネルギーを最小限度で購入したりすることができる。
【0104】
図1の説明に戻り、リクエスト部15Dは、生産管理システム3や電力取引システム5などの他のシステムにリクエストを発行する処理部である。このようなリクエストの発行は、設定情報13Bで生産管理システム3への入力を許可する設定が行われている場合、あるいは設定情報13Bで電力取引システム5への自動取引を許可する設定が行われている場合、自動的に実行できる。一方、設定情報13Bで生産管理システム3への入力や電力取引システム5への自動取引が禁止されている場合でも、ユーザ端末30から図11に示すGUI画面などを介してリクエストの発行を許可するGUI部品の操作を受け付けた場合、リクエストを発行できる。
【0105】
図12は、リクエスト発行処理の手順を示すフローチャートである。図12に示すように、リクエスト部15Dは、シミュレーション部15Bによるシミュレーション結果を習得する(ステップS501)。
【0106】
そして、リクエスト部15Dは、ステップS501で取得されたシミュレーション結果に基づいて生産管理システム3や電力取引システム5などの他のシステムへのリクエストを生成し(ステップS502)、生成されたリクエストを他のシステムへ送信する。
【0107】
一例として、生産管理システム3へのリクエストを例に挙げれば、ステップS212で選択された生産計画を登録するリクエスト、あるいは図10図11に示すGUI部品を介して指定を受け付けた生産計画を登録するリクエストが生成される。他の一例として、電力取引システム5へのリクエストを例に挙げれば、図11に示すGUI部品を介して指定を受け付けたクリーンエネルギーの不足分の非化石証書を購入するリクエストが生成される。なお、電力取引システム5に発行されるリクエストの生成方法については、図13を用いて後述する。
【0108】
一方、生産管理システム3や電力取引システム5などの他のシステムは、リクエスト部15Dにより送信されたリクエストを受け付け(ステップS503)、当該リクエストに対応する処理を実行する(ステップS504)。
【0109】
図13は、リクエスト生成処理の手順を示すフローチャートである。図13には、図12に示すステップS502で実行される処理のうち電力取引システム5に発行されるリクエストを生成する処理の手順が示されている。
【0110】
図13に示すように、リクエスト部15Dは、同時同量間隔の設定により区分された時間帯のうち、RE目標値、例えばRE100を達成しない特定製品の製造時間帯または特定製品の製造プロセスのうちクリーンエネルギーの供給が不足する製造プロセスの実行が予定される区間と重複する同時同量間隔の時間帯を特定する(ステップS601)。なお、ステップS601では、リクエスト部15Dが自動的に選択することとしてもよいし、また、ユーザ端末30からGUIを介して選択をマニュアルで受け付けることとしてもよい。
【0111】
そして、リクエスト部15Dは、ステップS601で選択された時間帯で不足するクリーンエネルギーの供給先を選択する(ステップS602)。例えば、リクエスト部15Dは、設定情報13Bで最高の優先度が設定されたクリーンエネルギーの種類を自動的に選択してもよいし、ユーザ端末30からGUIを介してクリーンエネルギーの種類の選択を受け付けてもよい。
【0112】
続いて、リクエスト部15Dは、ステップS601で特定された時間帯におけるクリーンエネルギーの不足量を特定する(ステップS603)。
【0113】
その後、リクエスト部15Dは、電力取引システム5が取引単位として受け付けるコマのうちステップS601で特定された時間帯に対応するコマの指定、ステップS602で選択されたクリーンエネルギーの種類の指定、並びに、ステップS603で特定されたクリーンエネルギーの不足分に対応する環境価値の購入量の指定を含む取引リクエストを生成する(ステップS604)。
【0114】
このように生成された取引リクエストを電力取引システム5へ送信することにより、クリーンエネルギーの不足分に対応する購入量の環境価値を希望のクリーンエネルギーの種類で入札することが可能になる。これにより、クリーンエネルギーの供給が不足する場合でも、環境価値の購入を通じて特定製品のRE最大化が達成される。このため、ユーザ企業は事業運営に再エネ導入を推進していることが証明できる。また、脱炭素化などの社会的目標への対応をプロモートすることで、企業の価値向上にもつながる。
【0115】
<効果の一側面>
上述してきたように、本実施形態にかかる情報処理装置10は、クリーンエネルギーの時間帯別の予測供給量およびエネルギーの時間帯別の予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに当該製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行する。したがって、本実施形態にかかる情報処理装置10によれば、製品のRE最大化を支援する生産計画の作成を実現できる。
【0116】
<数値等>
上記実施形態で説明した事項、例えばエネルギーの種類や発電家の数、さらには、シミュレーションの表示例やRE度合いの表示例などの具体例などは、一例であり、変更することができる。また、実施形態で説明したフローチャートも、矛盾のない範囲内で処理の順序を変更することができる。
【0117】
<システム>
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、受付部15A、シミュレーション部15B、出力部15Cおよびリクエスト部15Dのうちいずれか1つ以上の機能部は、別々の装置で構成されていてもよい。
【0118】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散および統合して構成することができる。なお、各構成は、物理的な構成であってもよい。
【0119】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0120】
<ハードウェア>
次に、実施形態で説明したコンピュータのハードウェア構成例を説明する。図14は、ハードウェア構成例を示す図である。図14に示すように、情報処理装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、図14に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0121】
通信装置10aは、ネットワークインタフェイスカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、図1に示す機能を動作させるプログラムやDBなどを記憶する。
【0122】
プロセッサ10dは、図1に示された処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、図1等で説明した機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、情報処理装置10が有する処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、受付部15A、シミュレーション部15B、出力部15Cおよびリクエスト部15D等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、受付部15A、シミュレーション部15B、出力部15Cおよびリクエスト部15D等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0123】
このように、情報処理装置10は、プログラムを読み出して実行することで生産計画作成方法を実行する情報処理装置として動作する。また、情報処理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、情報処理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0124】
上記のプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、上記のプログラムは、任意の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。例えば、記録媒体は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などにより実現され得る。
【0125】
<その他>
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0126】
(1)クリーンエネルギーの予測供給量を受け付ける第1受付部と、
エネルギーの予測使用量を受け付ける第2受付部と、
クリーンエネルギーの前記予測供給量およびエネルギーの前記予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに前記製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行するシミュレーション部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【0127】
(2)前記シミュレーション部は、前記予測供給量および前記予測使用量の間の差分または割合を含む目的関数を最大化または最小化することにより、前記生産計画を最適化する、
ことを特徴とする(1)に記載の情報処理装置。
【0128】
(3)クリーンエネルギーの前記予測供給量の割当先の優先度の設定を受け付ける第3受付部をさらに有し、
前記シミュレーション部は、クリーンエネルギーの前記予測供給量と、前記シミュレーションの結果として得られた生産計画に含まれる前記割当先の前記予測使用量とを比較して、前記優先度に基づいて前記割当先へのクリーンエネルギーの割当量を決定する、
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の情報処理装置。
【0129】
(4)発電後に非化石エネルギーの電気から分離された環境価値の売買を取引する電力取引システムに、前記割当量が前記予測使用量に比べて不足する不足分の環境価値を購入するリクエストを発行するリクエスト部をさらに有する、
ことを特徴とする(3)に記載の情報処理装置。
【0130】
(5)前記第1受付部は、クリーンエネルギーの種類ごとに前記予測供給量を受け付け、
前記第3受付部は、前記種類ごと及び時間帯ごとに前記優先度の設定を受け付け、
前記シミュレーション部は、前記種類ごと及び前記時間帯ごとに前記割当量を決定する、
ことを特徴とする(3)または(4)に記載の情報処理装置。
【0131】
(6)クリーンエネルギーの予測供給量を受け付け、
エネルギーの予測使用量を受け付け、
クリーンエネルギーの前記予測供給量およびエネルギーの前記予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに前記製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする生産計画作成方法。
【0132】
(7)クリーンエネルギーの予測供給量を受け付け、
エネルギーの予測使用量を受け付け、
クリーンエネルギーの前記予測供給量およびエネルギーの前記予測使用量に基づいて、生産予定の製品ごとに前記製品の製造時間帯が計画された生産計画を最適化するシミュレーションを実行する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする生産計画作成プログラム。
【符号の説明】
【0133】
1 生産計画作成システム
3 生産管理システム
5 電力取引システム
7 各種デバイス
10 情報処理装置
11 通信制御部
13 記憶部
13A 予測供給量
13B 設定情報
13C 予測使用量
13D 生産諸元情報
15 制御部
15A 受付部
15B シミュレーション部
15C 出力部
15D リクエスト部
30 ユーザ端末
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