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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013031
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240124BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20240124BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240124BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20240124BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
H05K1/02 T
G02B6/12 301
G02B6/42
G02B6/125
G02B6/125 311
G02B6/122 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114930
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國枝 雅敏
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
5E338
【Fターム(参考)】
2H137AA01
2H137AB09
2H137AB12
2H137BA32
2H137BA35
2H137BA38
2H137BA45
2H137BA52
2H137BA53
2H137BA55
2H137BA59
2H137BB02
2H137BB03
2H137BB12
2H137BB26
2H137BB32
2H137BB33
2H137BC51
2H137CC01
2H137EA03
2H137EA05
2H137EA06
2H147AA01
2H147AB04
2H147AB05
2H147BA10
2H147BB02
2H147BB03
2H147BD01
2H147BD05
2H147BE15
2H147BE17
2H147BG01
2H147CA01
2H147CA13
2H147CB01
2H147CB03
2H147CB05
2H147CC12
2H147CD10
2H147CD12
2H147DA09
2H147EA09C
2H147EA10C
2H147EA13A
2H147EA13B
2H147EA13C
2H147EA14A
2H147EA14B
2H147EA14C
2H147EA17A
2H147EA17B
2H147EA19A
2H147EA19B
2H147EA20A
2H147EA20B
2H147FA15
2H147FC09
2H147FD03
5E338AA03
5E338BB75
5E338BB80
5E338EE32
(57)【要約】
【課題】配線基板の設計自由度の向上。
【解決手段】実施形態の配線基板100は、回路基板200と、光を伝えるコア部5及びコア部5を囲むクラッド部52を含んでいて回路基板200の上に置かれている光導波路50と、を含んでいる。配線基板100は、第1部品実装領域A1及び第2部品実装領域A2を有し、光導波路50は、第1の光導波路5a及び第2の光導波路5bを含み、且つ、コネクタ部材Cと組み合わされてコネクタ部材Cとの間で光の受け渡しを行う光結合部50xを有しており、第1の光導波路5aは、第1部品実装領域A1への実装部品との間で光の受け渡しを行う第1入出光部50aを有し、且つ、光結合部50xの一部を含んでおり、第2の光導波路5bは、第2部品実装領域A2への実装部品との間で光の受け渡しを行う第2入出光部50bを有し、且つ、光結合部50xの一部を含んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層及び導体層を含む回路基板と、
光を伝えるコア部及び前記コア部を囲むクラッド部を含んでいて前記回路基板の上に置かれている光導波路と、
を含む配線基板であって、
前記配線基板は第1部品実装領域及び第2部品実装領域を有し、
前記光導波路は、
第1の光導波路及び第2の光導波路を含み、且つ、
コネクタ部材と組み合わされて前記コネクタ部材との間で光の受け渡しを行う光結合部を有しており、前記第1の光導波路は、前記第1部品実装領域への実装部品との間で光の受け渡しを行う第1入出光部を有し、且つ、前記光結合部の一部を含んでおり、
前記第2の光導波路は、前記第2部品実装領域への実装部品との間で光の受け渡しを行う第2入出光部を有し、且つ、前記光結合部の一部を含んでいる。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1の光導波路は複数の前記コア部を含み、前記第2の光導波路は複数の前記コア部を含んでいる。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、
前記第1の光導波路を構成するコア部及び前記第2の光導波路を構成するコア部は、前記光結合部において所定の第1方向に沿って並ぶように並置されており、
前記第1の光導波路を構成するコア部の少なくとも1つは、前記第1方向と略直交する第2方向に沿って直線的に延びている。
【請求項4】
請求項3記載の配線基板であって、前記第2の光導波路の中心線は前記第2方向に対して10°以上の角度を為す部分を含んでいる。
【請求項5】
請求項3記載の配線基板であって、前記第2の光導波路を構成するコア部は、弧を描きながら曲がる部分を含んでいる。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、さらに、前記第1部品実装領域を間に挟んで前記第2部品実装領域と並んでいる第3部品実装領域を有し、
前記光導波路は、さらに、前記第3部品実装領域への実装部品との間で光の受け渡しを行う第3入出光部を有し、且つ、前記光結合部の一部を含んでいる第3の光導波路を含んでいる。
【請求項7】
請求項6記載の配線基板であって、前記第1の光導波路、前記第2の光導波路、及び前記第3の光導波路は、全体として、前記光結合部から、前記第1入出光部、前記第2入出光部、及び前記第3入出光部が位置する領域に向かって放射状に延びている。
【請求項8】
請求項6記載の配線基板であって、前記光導波路は、さらに、前記第2部品実装領域と前記第3部品実装領域との間に延びている、サブ光導波路を含んでいる。
【請求項9】
請求項8記載の配線基板であって、前記サブ光導波路を構成するコア部は前記第1の光導波路を構成するコア部と交わっている。
【請求項10】
請求項1記載の配線基板であって、
前記第1入出光部における前記コア部の厚さ及び前記第2入出光部における前記コア部の厚さは、前記光結合部における前記コア部の厚さよりも小さく、
前記第1入出光部における前記コア部の幅及び前記第2入出光部における前記コア部の幅は、前記光結合部における前記コア部の幅よりも小さい。
【請求項11】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1入出光部及び前記第2入出光部において、前記コア部の側面が前記クラッド部に覆われずに露出している。
【請求項12】
請求項11記載の配線基板であって、
前記第1入出光部は平面視で前記第1部品実装領域と重なっており、前記第2入出光部は、平面視で前記第2部品実装領域と重なっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、導波路を含む基板と、基板に実装された集積回路及びフォトニックエンジンと、導波路に結合されたオプティカルカップリングと、を含むマイクロエレクトロニックパッケージ構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0188448号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のマイクロエレクトロニックパッケージ構造の基板には、オプティカルカップリングと1つのフォトニックエンジンとの間に光路を提供する導波路だけが設けられている。フォトニックエンジンのような光電素子を含む部品を複数含むような、光信号及び電気信号の両方の伝送部を含む複雑な回路の実現が困難であり、光学部品の配置の自由度も低いと考えられる。光信号の伝送部を含む回路の複雑化や、それと共に求められる光学部品の配置に関する高い設計自由度に十分に対応できないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、絶縁層及び導体層を含む回路基板と、光を伝えるコア部及び前記コア部を囲むクラッド部を含んでいて前記回路基板の上に置かれている光導波路と、を含んでいる。そして、前記配線基板は第1部品実装領域及び第2部品実装領域を有し、前記光導波路は、第1の光導波路及び第2の光導波路を含み、且つ、コネクタ部材と組み合わされて前記コネクタ部材との間で光の受け渡しを行う光結合部を有しており、前記第1の光導波路は、前記第1部品実装領域への実装部品との間で光の受け渡しを行う第1入出光部を有し、且つ、前記光結合部の一部を含んでおり、前記第2の光導波路は、前記第2部品実装領域への実装部品との間で光の受け渡しを行う第2入出光部を有し、且つ、前記光結合部の一部を含んでいる。
【0006】
本発明の実施形態によれば、光信号の伝送部と電気信号の伝送部とを含んでいる配線基板において、より複雑な回路の実現が容易になることや、光学部品の配置の自由度が向上することがあると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
図2図1の配線基板の平面視での一例を示す平面図。
図3図1のIII部を拡大して示す断面図。
図4】一実施形態の配線基板における光導波路の一例の平面図。
図5図4の例の光導波路のV-V線での断面図。
図6A】一実施形態の配線基板における光導波路の他の例の平面図。
図6B】一実施形態の配線基板における光導波路のさらに他の例の平面図。
図7図1のIII部の変形例を拡大して示す断面図。
図8】実施形態の配線基板における光導波路と部品との組み合わせ形態の他の例を示す断面図。
図9A】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図9B】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図9C】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図9D】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図9E】実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
図10A】実施形態に係る光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
図10B】実施形態に係る光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
図10C】実施形態に係る光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
図10D】実施形態に係る光導波路の製造工程の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。図1は一実施形態の配線基板の一例である配線基板100を示す断面図であり、図2は、平面視での図1の配線基板100の一例を示している(図1図2のI-I線での断面図である)。なお、「平面視」は、実施形態の配線基板をその厚さ方向に沿う視線で見ることを意味している。図2に一点鎖線で描かれている円B内には、図2のII部の拡大図が示されている。図3には、図1のIII部の拡大図が示されている。配線基板100は本実施形態の配線基板の一例に過ぎない。実施形態の配線基板の積層構造、並びに導体層及び絶縁層それぞれの数は、図1の配線基板100の積層構造、並びに配線基板100に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。また、以下の説明で参照される各図面では、開示される実施形態が理解され易いように特定の部分が拡大して描かれていることがあり、大きさや長さについて各構成要素がそれぞれの間の正確な比率で描かれていない場合がある。
【0009】
図1に示されるように、配線基板100は、回路基板200と、回路基板200の上に置かれている光導波路50とを含んでいる。回路基板200は絶縁層及び導体層を含んでいる。具体的には、図1の例の回路基板200は、コア基板3と、コア基板3の第1面3a上に順に積層されている絶縁層21及び導体層11、並びに、第2面3b上に順に積層されている絶縁層22及び導体層12を含んでいる。絶縁層21及び絶縁層22それぞれには、自身を挟む導体層同士を接続するビア導体20が形成されている。コア基板3は、絶縁層32と、絶縁層32の両面に形成されている導体層31とを含んでいる。絶縁層32には、絶縁層32を貫通して両側の導体層31同士を接続するスルーホール導体33が設けられている。筒状のスルーホール導体33の内部は、例えばエポキシ樹脂のような絶縁性樹脂や金属粒子を含む導電性樹脂で形成される充填体34で充填されている。
【0010】
なお、実施形態の説明では、配線基板100の厚さ方向において絶縁層32から遠い側は、「上側」もしくは「上方」、又は単に「上」とも称され、絶縁層32に近い側は、「下側」もしくは「下方」、又は単に「下」とも称される。さらに、配線基板100の各構成要素において、絶縁層32と反対側を向く表面は「上面」とも称され、絶縁層32側を向く表面は「下面」とも称される。配線基板100の厚さ方向は「Z方向」とも称される。
【0011】
回路基板200は、さらに、コア基板3の第1面3a側及び第2面3b側それぞれに形成されているソルダーレジスト23を含んでいる。ソルダーレジスト23は、絶縁層21及び導体層11それぞれを部分的に覆うか、絶縁層22及び導体層12それぞれを部分的に覆っている。ソルダーレジスト23は、例えば、感光性を有するエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などで形成されている。
【0012】
回路基板200は、さらに、導体層11の上に形成されている導体ポスト13、14を含んでいる。導体ポスト13、14の表面上には、例えば、すず系はんだや金系はんだなどを用いて接続層15が形成されている。導体ポスト13、14は、導体層11から絶縁層21と反対方向に向かって延びる、例えば柱状の形状を有する導電体である。導体ポスト13には、外部の部品Ea1(第1部品)が接続され、導体ポスト14には外部の部品Ebが接続される。そのため、配線基板100は、配線基板100の使用時に部品Ea1が配置される部品実装領域A1(第1部品実装領域)を有している。部品実装領域A1において、部品Ea1は、接続層15及び導体ポスト13を介して導体層11と接続されると共に、光導波路50と光学的に結合される。
【0013】
図1には示されていないが、配線基板100は、さらに、図2に示されるように、配線基板100の使用時に外部の部品Ea2(第2部品)が配置される部品実装領域A2(第2部品実装領域)を有している。部品実装領域A2において、部品Ea2は、接続層15及び導体ポスト13と同様に回路基板200に備えられる接続手段を介して導体層11と接続されると共に、光導波路50と光学的に結合される。
【0014】
配線基板100の使用時に部品実装領域A1及びA2にそれぞれ配置される部品Ea1及び部品Ea2は、光電変換機能を有する受光素子及び/又は発光素子などの光電素子を含む光学部品である。図1図3の例の部品Ea1は、電極E1a、及び、受光又は発光部E1bを備えている。受光又は発光部E1bは、部品Ea1の側方及び下方を向く受光又は発光面E1c(図3参照)を有している。図示されていないが、部品Ea2も、電極E1a、及び受光又は発光部E1bとそれぞれ同様の、電極、及び光の受発光部を備え得る。電極E1a及び受光又は発光部E1bは、部品Ea1における配線基板100側に向けられる面に備えられている。すなわち、図1図3の例において部品Ea1及び部品Ea2は、所謂フェイスダウン実装(フリップチップ実装)される。なお、配線基板100は、図6A及び図6Bを参照して後述されるように、部品実装領域A3(第3部品実装領域)を有していてもよく、光学部品が実装される任意の数の部品実装領域を有し得る。
【0015】
部品Ea1、Ea2としては、フォトダイオードなどの受光素子、並びに、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、レーザーダイオード(LD)、及び、垂直共振型面発光レーザー(VCSEL)などの発光素子が例示される。部品Ea1が発光素子である場合、部品Ea1は、電極E1aに入力される電気信号に基づく光を生成し、発光部として機能する受光又は発光部E1bから光を出射する。また、部品Ea1が受光素子である場合、受光部として機能する受光又は発光部E1bに入光する光に基づく電気信号が生成されて電極E1aから出力される。部品Ea2も、部品Ea1と同様に、発光素子である場合には、入力される電気信号に応じた光を出射し、受光素子である場合には、入光する光に応じた電気信号を出力する。
【0016】
一方、部品Ebは、例えば、部品Ea1、Ea2を発光させる電気信号の生成、及び/又は、部品Ea1、Ea2で生成された電気信号の処理などを行う半導体装置などの電子部品であり得る。部品Ebとしては、半導体装置、例えば、汎用オペアンプ、ドライバIC、マイコン、プログラマブルロジックデバイス(PLD)などが例示される。
【0017】
絶縁層21、22、及び絶縁層32は、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などの熱硬化性の絶縁性樹脂を用いて形成され得る。絶縁層21、22、及び絶縁層32は、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン(PTFE)樹脂、ポリエステル(PE)樹脂、及び変性ポリイミド(MPI)樹脂のような熱可塑性の絶縁性樹脂を用いて形成されていてもよい。各絶縁層は、回路基板200内の導体層同士の間に絶縁性を提供し得る任意の材料で形成され得る。図示されていないが、各絶縁層は、ガラス繊維やアラミド繊維などで形成される芯材(補強材)を含んでいてもよく、シリカ(SiO2)、アルミナ、又はムライトなどの微粒子からなる無機フィラーを含んでいてもよい。
【0018】
導体層11、12、及び導体層31、スルーホール導体33、ビア導体20、並びに、導体ポスト13、14は、銅又はニッケルなどの適切な導電性を有する任意の金属を用いて形成され得る。これら各導電体は、図1では簡略化されて一層で描かれているが、2以上の膜体を含む多層構造を有し得る。例えば、導体層11、12は、無電解めっき膜、及び電解めっき膜を含む2層構造を有し得る。導体ポスト13、14は、例えば、無電解めっき及び/又は電解めっきによって析出されるめっき金属によって形成されている。
【0019】
導体層11、12、及び、導体層31は、それぞれ、任意の導体パターンを含み得る。図1の例では、導体層11は導体パッド11a、11bを含んでいる。導体パッド11a上には導体ポスト13が形成されており、部品Ea1の電極E1aは、導体ポスト13を介して導体パッド11aに電気的に接続される。同様に、導体パッド11b上には導体ポスト14が形成されており、部品Ebの電極E2aは、導体ポスト14を介して導体パッド11bに電気的に接続される。
【0020】
光導波路50は、光を伝えるコア部5及びクラッド部52を含んでいる。図2に示されるように、配線基板100が含む光導波路50は、それぞれが光を伝える2以上の(すなわち複数の)コア部5を含んでいる。そして光導波路50は、コア部5及びクラッド部52をそれぞれ含む第1の光導波路5a及び第2の光導波路5bを含んでいる。図2の例において第1の光導波路5a及び第2の光導波路5bは、それぞれ、複数のコア部5を含んでいる。しかし、第1の光導波路5a及び第2の光導波路5bそれぞれが含むコア部5の数は特定の数に限定されず、各光導波路は任意の数のコア部5を含み得る。
【0021】
各コア部5は、各コア部5の延長方向(すなわち、各コア部5内での光の伝播方向)と交差する方向に沿って並ぶように並置されている。クラッド部52は、各コア部5の周囲に設けられている。クラッド部52は、光の伝播方向と直交する任意の方向においてコア部5を挟み込んでいる。従って、クラッド部52は、光の伝播方向と直交する平面において、各コア部5を囲んでいる。
【0022】
第1の光導波路5aの一端は部品実装領域A1に位置している。第1の光導波路5aは、部品実装領域A1に配置される実装部品(図1図3の例において部品Ea1)との間で光の受け渡しを行う第1入出光部50aを有している。第1の光導波路5aは、他端において、後述される光結合部50xの一部である第1光結合部50x1を含んでいる。
【0023】
第2の光導波路5bの一端は部品実装領域A2に位置している。第2の光導波路5bは、部品実装領域A2に配置される実装部品(図2の例において部品Ea2)との間で光の受け渡しを行う第2入出光部50bを有している。第2の光導波路5bは、他端において、後述される光結合部50xの一部である第2光結合部50x2を含んでいる。
【0024】
第1の光導波路5aを構成するコア部5は、コア部5の延長方向の2つの端部(第1端部5α1、及び第1端部5α1の反対側の端部である第2端部5β1)を有している。第1の光導波路5aのコア部5を伝播する光は、第1端部5α1又は第2端部5β1におけるコア部5の露出面からコア部5内に入光し、第1端部5α1又は第2端部5β1におけるコア部5の露出面から出光する。
【0025】
第2の光導波路5bを構成するコア部5は、コア部5の延長方向の2つの端部(第1端部5α2、及び第1端部5α2の反対側の端部である第2端部5β2)を有している。第2の光導波路5bのコア部5を伝播する光は、第1端部5α2又は第2端部5β2におけるコア部5の露出面からコア部5内に入光し、第1端部5α2又は第2端部5β2におけるコア部5の露出面から出光する。
【0026】
図1及び図2の例の光導波路50では、各コア部5の第1端部5α1、5α2は、矩形の平面形状を有する光導波路50の対向する2辺の一方の近傍に位置しており、第2端部5β1、5β2は、その対向する2辺の他方の近傍に位置している。
【0027】
コア部5の第2端部5β1、5β2側の端面は、図1及び図2に示されるように、配線基板100の使用時に光導波路50と接続される光ファイバFと対向して光学的に結合するように位置づけられる。例えば図1に示されるように、コネクタ部材Cを用いて光ファイバFと光導波路50とが連結される。図1及び図2の例においてコネクタ部材Cは、光ファイバFと光導波路50とを光学的に結合させる光コネクタである。図1及び図2の例では、光導波路50におけるコア部5の第2端部5β1、5β2側の端部が、回路基板200の外側に突出している。そのため、光導波路50へのコネクタ部材Cの取り付けが容易であり、コア部5の第2端部5β1、5β2側の端面と光ファイバFとの光学的な結合が容易であると考えられる。
【0028】
このように光導波路50は、光コネクタや光ファイバアレイのような形態のコネクタ部材Cと組み合わされて、コネクタ部材Cとの間で光の受け渡しを行う領域である光結合部50xを有している。光結合部50xは、前述したように、第1の光導波路5aが含んでいる第1光結合部50x1、及び第2の光導波路5bが含んでいる第2光結合部50x2によって構成されている。光導波路50では、第1光結合部50x1及び第2光結合部50x2それぞれにおいてコネクタ部材Cとの間で光の受け渡しが行われる。第1の光導波路5aは、部品実装領域A1及び第1入出光部50aと、光結合部50xとの間に延びている。第2の光導波路5bは、部品実装領域A2及び第2入出光部50bと、光結合部50xとの間に延びている。
【0029】
なお、「コネクタ部材」は、例えば図1などの例のように、配線基板上にある部品によって発光若しくは受光される光を伝播させる光導波路(内部光接続体)と、配線基板の外部に配置される光ファイバ等のような外部光接続体とにおいて、この2つの光接続体間に光路を提供する光コネクタ、光ファイバアレイ及び光カプラのような中継用又は連結用の光部材であり得る。また「コネクタ部材」は、光ファイバFのように、所定の長さを有する光路の一端から他端まで光を伝播させる外部光接続体だけであってもよい。従って図1などの例において光ファイバFが光コネクタなどを介さずに直接光導波路50と連結されている場合は、光ファイバFが光結合部50xと光の受け渡しを行うコネクタ部材Cとなり得る。
【0030】
光結合部50xは、コネクタ部材Cと組み合わされる。「コネクタ部材」は、それ自体は単体であるが、多心の光コネクタや光ファイバアレイのように、任意の複数の光路を有し得る。しかし、コネクタ部材Cでは、そのような任意の複数の光路が、樹脂で一体化されたり、結束されたりして、外形的に単体物として扱えるように形作られている。光導波路50の各コア部5は、光結合部50xにおいて、クラッド部52に覆われない露出部(図1及び図2の例では、各コア部5の第2端部5β1、5β2側の端面)を有している。光結合部50xでは、コネクタ部材Cからの光が各コア部5の露出部を通って入光し、各コア部5の露出部から、コネクタ部材Cに光が出光する。
【0031】
一方、コア部5の第1端部5α1、5α2は、図1図3の例では平面視で部品実装領域A1又は部品実装領域A2と重なっている。図2の円B内、及び図3に示されるように、第1端部5α1において、第1の光導波路5aのコア部5は、配線基板100の使用時に、部品Ea1の受光又は発光部E1bと対向するように位置づけられる。図示されていないが、第2の光導波路5bのコア部5は、配線基板100の使用時に、部品Ea2の受発光部と対向するように位置づけられる。部品Ea1、Ea2は、コア部5を伝播する光を発するか、コア部5を伝播する光をコア部5から受け取る、具体的には、図3に示されるように、コア部5の表面51aと部品Ea1の受光又は発光面E1cとが対向して光学的に結合(アディアバティック結合)するように光導波路50が位置づけられる。なお、光学的な結合は、アディアバティック結合に限定されず、ミラーを有する導波路等の形態であってもよい。
【0032】
このように光導波路50は、部品Ea1との間で光の受け渡しを行う領域である第1入出光部50a(図2及び図3参照)を有し、さらに、部品Ea2との間で光の受け渡しを行う領域である第2入出光部50b(図2参照)とを有している。図2及び図3の例では、第1入出光部50aは平面視で部品実装領域A1と重なっており、第2入出光部50bは、平面視で部品実装領域A2と重なっている。第1入出光部50aでは、第1の光導波路5aのコア部5の露出部と、部品Ea1の受光又は発光部E1bとが対向する。そして、前述したように、部品Ea1からの光がコア部5に入光し、コア部5から部品Ea1に光が出光する。同様に、第2入出光部50bでは、第2の光導波路5bのコア部5の露出部と、部品Ea2における受光又は発光部E1bのような受発光部とが対向する。そして、部品Ea2からの光がコア部5に入光し、コア部5から部品Ea2に光が出光する。
【0033】
図1図3の例では、クラッド部52におけるコア部5の上側を覆っている部分は、コア部5の第1端部5α1、5α2側の光導波路50の外縁まで形成されていない。そのため各コア部5の第1端部5α1、5α2では、図3に示されるように、コア部5内の光の伝播方向(X方向)に沿うコア部5の側面であって回路基板200と反対側を向く表面51aが、クラッド部52に覆われずに露出している。すなわち、第1端部5α1、5α2が部品実装領域A1又は部品実装領域A2と重なっている図1図3の例では、各コア部5の表面51aは第1入出光部50a及び第2入出光部50bにおいて、クラッド部52に覆われずに露出している。
【0034】
第1の光導波路5aの各コア部5の表面51aがクラッド部52を介さずに部品Ea1の受光又は発光面E1cと対向しているため、効率の高い結合が実現されると考えられる。部品Ea2と対向する第2の光導波路5bのコア部5と、部品Ea2の図示されない受発光部との間でも、効率の高い光学的結合が得られると考えられる。なお、第1入出光部50a及び第2入出光部50bにおいて、各コア部5の表面51aだけでなく、回路基板200側の表面を除く各コア部5の全体が、クラッド部52に覆われずに露出していてもよい。
【0035】
光ファイバFを伝播してきた光は、光結合部50xから光導波路50に入光し、各コア部5内を伝播して第1入出光部50a又は第2入出光部50bから、部品Ea1、Ea2内に入光する。その光は各部品内で電気信号に変換されて電極E1aから出力される。出力された電気信号は、導体層11を介して部品Ebに入力されて処理される。一方、部品Ebから出力された電気信号は、電極E1aを介して部品Ea1、Ea2内に入力されて光に変換される。その光は、受光又は発光部E1bから出光して第1入出光部50a又は第2入出光部50bから光導波路50に入光し、各コア部5内を伝播して光結合部50xから光ファイバFへと出光する。
【0036】
図1図3の例では、配線基板100は、さらに、支持板6を備えており、光導波路50は支持板6上に配置されている。支持板6によって光導波路50に剛性が付与される。図1図3の例では、光導波路50を備えた支持板6が回路基板200の表面上に配置されている。光導波路50は、支持板6上で形成されて、支持板6と共に、回路基板200に固定されてもよく、支持板6と別個に形成されて、支持板6に例えば任意の接着剤(図示せず)で固定されていてもよい。光導波路50は任意の手段で支持板6に固定され得る。支持板6も、接着剤などの任意の手段で回路基板200に固定され得る。
【0037】
支持板6は、好ましくは、光導波路50よりも高い剛性を有する材料で形成される。支持板6は、さらに、光導波路50の熱膨張率よりも低い熱膨張率を有する材料で形成されてもよい。温度変化による、光導波路50と光ファイバF及び/又は部品Ea1、Ea2との光結合効率の低下が抑制されると考えられる。支持板6の材料としては、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、及び石英ガラスなどのガラス類、タングステン、チタン、及びモリブデンなどの各種金属、並びに、アルミナ、窒化ケイ素、及び酸化ケイ素などの各種セラミックス、などが例示される。
【0038】
このように光導波路50が支持板6に支持されているため、コア部5の第1端部5a1、5α2が、部品Ea1、Ea2の受発光部と十分な効率で結合し得る位置に容易に位置付けられる。また、第2端部5β1、5β2が、光ファイバFと十分な効率で結合し得る位置に容易に位置付けられる。そのため、光導波路50自体の剛性が低くても、光導波路50と部品Ea1、Ea2並びに光ファイバFとが、十分な効率で光学的に結合されると考えられる。特に、支持板6におけるコア部5の第2端部5β1、5β2側の端部は、光導波路50と共に回路基板200の外側に突出して光導波路50の突出部分を支持している。そのため、各コア部5の第2端部5β1、5β2側の端面と光ファイバFとを容易且つ高い効率で光学的に結合させることができると考えられる。
【0039】
図4及び図5を参照して、光導波路50がさらに説明される。図4は、本実施形態の配線基板における光導波路50の一例の平面図であり、図5は、図4の光導波路50のV-V線における断面図である。なお、図4では、理解が容易なように、各コア部5の外縁はクラッド部52に覆われている部分も含めて実線で示されている。また、先に参照した図2では、各コア部5が、簡略化されて1本の破線で示されていたが、図4では、各コア部5が、その第1端部5α1、5α2から第2端部5β1、5β2まで、例示的な大きさの幅で描かれている。
【0040】
前述されたように、実施形態において光導波路50は、第1の光導波路5a及び第2の光導波路5bを含み、コネクタ部材Cと光の交換を行う光結合部50xを有している。第1の光導波路5aは、部品Ea1との間で光の交換を行う第1入出光部50aを有し、第2の光導波路5bは、部品Ea2との間で光の交換を行う第2入出光部50bを有している。そして、第1の光導波路5a及び第2の光導波路5bはいずれも光結合部50xの一部を含んでいる。このような第1及び第2の光導波路5a、5bを含む光導波路50を備えているので、実施形態の配線基板では、それぞれ光電変換機能を有する複数の光学部品を含むような、より複雑な、光信号の伝送路を有する回路を実現し得ることがある。
【0041】
また、複数の光電変換素子の配線基板上での配置の自由度が向上することがある。すなわち、例えば光コネクタのようなコネクタ部材Cと各光電変換素子との相互の相対位置に関する制約が緩和されることがある。例えば、複数の光電変換素子を別個の部品(例えば部品Ea1と部品Ea2)として用意し、その用意された部品同士を、隣接させずに離間させて配置し得ることがある。
【0042】
さらに、実施形態の配線基板では、部品Ea1及び部品Ea2のような複数の光学部品に対して、個別に、すなわち複数の、光コネクタのようなコネクタ部材Cを用意して光導波路と組み合わせなくてもよいことがある。そのため、実施形態によれば、複数の光学部品を含む回路を実現する配線基板の小型化が可能になることがある。
【0043】
図4の例では、第1の光導波路5a及び第2の光導波路5bは、それぞれ、3つのコア部5を含んでいる。しかし、本実施形態において第1の光導波路5a及び第2の光導波路5bは1以上の任意の数のコア部5を含み得る。
【0044】
図4の例において第1の光導波路5aを構成するコア部5及び第2の光導波路5bを構成するコア部5は、光結合部50xにおいて、所定の方向に沿って並ぶように並置されている。図4の例では、各コア部5は、光結合部50xに隣接する光導波路50の外縁502が延びるY方向に沿って並べられている。そして、図4の例の第1の光導波路5aは、全体として、光結合部50xから、第1入出光部50aまで、Y方向と直交する、図4において矢印X2で示されるX2方向に沿って直線的に延びている。第1の光導波路5aの中心線5acは、X2方向に沿って直線的に延びている。なお、「第1の光導波路5aの中心線」及び後述される「第2の光導波路5bの中心線」は、各光導波路において、最も離間している2つのコア部5の中心線同士の距離を二分する線である。
【0045】
特に第1の光導波路5aを構成する3つのコア部5のうちの中央のコア部5は、X2方向に沿って屈曲せずに直線的に延びている。第1の光導波路5aは、このように、光結合部50xにおいてコア部5が並置される方向と略直交する方向に沿って屈曲せずに直線的に延びるコア部5を含んでいる。第1の光導波路5a及び第2の光導波路5bを構成するコア部5の少なくとも1つは、このように、コア部5が並ぶY方向(第1方向)に直交するX2方向(第2方向)に沿って、屈曲することなく直線的に延びていてもよい。
【0046】
図4の例において第2の光導波路55bは、光結合部50xから、第2入出光部50bまで、全体として、第1の光導波路5aから離間するように伸びている。そのため、第1入出光部50aと第2入出光部50bとの間における第1の光導波路5aと第2の光導波路5bとの間隔は、光結合部50x内の第1の光導波路5aと第2の光導波路5bとの間隔よりも広い。そのため、部品Ea1と部品Ea2との間での光学的な干渉や、各部品による発熱の影響が緩和されることがある。なお、「第1の光導波路5aと第2の光導波路5bとの間隔」は、第1の光導波路5aと第2の光導波路5bとの間で最も近接しているコア部5同士の距離である。
【0047】
図4の例において、光結合部50xから第2入出光部50bまで第1の光導波路5aから離間するように伸びる第2の光導波路5bの中心線5bcは、X2方向に沿っている第1の光導波路5aの中心線5acとの間に0ではない角度を為して延びている。例えば、第2の光導波路5bの中心線5bcは、X2方向(第2方向)に対して10°以上、30°以下の角度を為す部分を含んでいてもよい。光導波路50の大きさの過剰な増大が回避されながら、部品Ea1と部品Ea2とが十分な間隔で離間され、光学的な干渉や発熱の影響が緩和されることがある。
【0048】
図4の例では、コア部5の第1端部5α1、5α2における配置ピッチP1は、第2端部5β1、5β2における配置ピッチP2よりも小さい。例えば、第2端部5β1、5β2で各コア部5と結合される光ファイバFは、部品Ea1や部品Ea2に備えられる受光又は発光部E1b(図1参照)の配置ピッチほど小さいピッチで並び得ないことがある。図4の例では各コア部5が、第2端部5β1、5β2において第1端部5α1、5α2よりも大きな最小ピッチで配置されている。そのため、第1端部5α1、5α2及び第2端部5β1、5β2それぞれにおいて、各コア部5と、部品Ea1、Ea2の受発光部、又は光ファイバFとが、別途のピッチ変換手段を要せずに、適切に結合されると考えられる。
【0049】
第1端部5α1、5α2におけるコア部5の最小の配置ピッチP1は、例えば10μm以上、100μm以下であり、30μm以上、80μm以下であることが好ましい。また、第2端部5β1、5β2におけるコア部5の最小の配置ピッチP2は、例えば、50μm以上、400μm以下であり、80μm以上、300μm以下であることが好ましい。しかし、各端部におけるコア部5の配置ピッチ、特に最小の配置ピッチは、これらの数値例に限定されない。
【0050】
図4の例では、第1入出光部50aにおける各コア部5の幅(平面視で光の伝播方向に直交する方向における各コア部5の対向する外縁間の距離)は、光結合部50xにおける各コア部5の幅よりも小さい。同様に、第2入出光部50bにおける各コア部5の幅は、光結合部50xにおける各コア部5の幅よりも小さい。すなわち、第1端部5α1、5α2における各コア部5の幅は、第2端部5β1、5β2における各コア部5の幅よりも小さい。
【0051】
光結合部50xで各コア部5と結合される光ファイバFは、前述したように、部品Ea1や部品Ea2に備えられる受光又は発光部E1b(図1参照)の配置ピッチほど小さいピッチで並び得ないことがある。すなわち、光ファイバFは、部品Ea1や部品Ea2の受光又は発光部E1bの幅よりも大きなコア径を有することがある。コア部5が第1及び/又は第2の入出光部50a、50bにおいて光結合部50xでの幅以上の幅を有していると、光導波路50と、光ファイバF及び/又は部品Ea1、Ea2との間で、出射された光の多くが受光側に入光し得ずに喪失されると考えられる。しかし、図4の例では、各コア部5の幅は、第1入出光部50a及び第2入出光部50bにおいて光結合部50xよりも小さいので、光導波路50と、光ファイバF及び/又は部品Ea1、Ea2との間で、光が喪失され難いと考えられる。そのため、発光源(図示せず)に求められる光度が低く、従って発光源での消費電力を低減できることがある。
【0052】
図4の例において各コア部5の幅は、第2端部5β1、5β2から第1端部5α1、5α2に向かって連続的に逓減している。各コア部5内を伝播する光が、コア部5からクラッド部52内に透過せずに全反射し易いと考えられる。しかし、コア部5の幅は、両端部の間で段階的に変化していてもよい。なお、各コア部5の幅は、第1端部5α1、5α2と第2端部5β1、5β2との間で異なっていなくてもよい。
【0053】
図4の例の光導波路50では、図5に示されるように、各コア部5の厚さは、第1端部5α1と第2端部5β1との間で異なっており、第1端部5α1におけるコア部5の厚さは、第2端部5β1におけるコア部5の厚さよりも小さい。すなわち、第1入出光部50aにおける各コア部5の厚さ及び第2入出光部50b(図4参照)における各コア部5の厚さは、光結合部50xにおける各コア部5の厚さよりも小さい。なお「コア部5の厚さ」は、第1端部5α1、5α2と第2端部5β1、5β2との間の各位置における、光の伝播方向に直交するコア部5の断面の外周上のZ方向における最も離れた2点間の距離である。
【0054】
前述したように、光結合部50xでコア部5と光学的に結合される光ファイバF(図4参照)は、第1入出光部50a又は第2入出光部50bでコア部5と光学的に結合される部品Ea1、Ea2の受光又は発光部E1b(図1参照)の幅よりも大きなコア径を有し得る。コア部5の形成の容易性の面では、コア部5は、厚さと略同じ又は厚さよりも大きい幅を有していることが好ましい。コア部5が第1入出光部50a又は第2入出光部50bにおいて光結合部50xでの厚さ以上の厚さを有していると、光導波路50と光ファイバFとの間で、及び/又は、光導波路50と部品Ea1、Ea2との間で、出射された光の多くが受光側に入光し得ずに喪失されることがある。しかし、図5の例の第1入出光部50a(及び図4に示される第2入出光部50b)におけるコア部5の厚さは、光結合部50xにおけるコア部5の厚さよりも小さい。そのため、第1入出光部50a、第2入出光部50b、及び光結合部50xそれぞれにおいて、効率良く光を伝え得ることがある。前述したように消費電力を低減できることがある。
【0055】
図5の例では、コア部5の厚さは、第2端部5β1側の端面から第1端部5α1側の端面まで段階的に減少している。しかし、コア部5の厚さは、第2端部5β1側から第1端部5α1側まで連続的に減少していてもよい。また図5では、コア部5とコア部5よりも下側のクラッド部52との界面I1と、光導波路50の下面501との距離が、第2端部5β1よりも第1端部5α1において長く、光導波路50の下面501とコア部5の上面(表面51a)との距離は略一定である。しかし図5の例と異なり、光導波路50の下面501と、コア部5の表面51aとの距離が第2端部5β1側よりも第1端部5α1側において短く、界面I1と光導波路50の下面501との距離が略一定であってもよい。さらに、界面I1と光導波路50の下面501との距離が第2端部5β1よりも第1端部5α1において長く、且つ、光導波路50の下面501とコア部5の表面51aとの距離が第2端部5β1側よりも第1端部5α1側において短くてもよい。図4に示される第2光導波路5bのコア部5の厚さも、第1端部5α2と第2端部5β2との間で種々の態様で変化し得る。なお、各コア部5の厚さは、第1端部5α1、5α2と第2端部5β1、5β2との間で異なっていなくてもよい。
【0056】
第1端部5α1、5α2におけるコア部5の幅及び厚さ(例えば光学部品側)は、それぞれ、例えば2μm以上、15μm以下である。第2端部5β1、5β2におけるコア部5の幅及び厚さ(例えば光ファイバ側)は、それぞれ、例えば2μm以上、15μm以下である。コア部5が、このような厚さ及び幅を有していると、コア部5と、部品Ea1、Ea2や光ファイバF(図4参照)などの光学部品との高い効率での光結合が実現されることがある。
【0057】
光導波路50、すなわちコア部5及びクラッド部52は、任意の透光性の材料で形成される。光導波路50は、例えば、有機性素材(有機物)、無機性素材(無機物)、又は、無機ポリマーのような有機成分と無機成分とを含む混成素材によって構成され得る。無機性素材として、石英ガラスやシリコンなどが例示され、有機性素材として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、及びエポキシ系樹脂などが例示される。有機物で構成される光導波路50は、軽量で、且つ高い靭性を有し易い。
【0058】
コア部5及びクラッド部52は、互いに異なる材料で構成されてもよく、互いに同じ系統の材料で構成されていてもよい。しかし、コア部5には、コア部5とクラッド部52との界面での光の全反射が可能なように、クラッド部52に用いられる材料よりも高い屈折率を有する材料が用いられる。コア部5及びクラッド部52は、同一の屈折率を有する材料で形成された後に、適切な処理によってコア部5の屈折率とクラッド部52の屈折率の差を設けてもよい。コア部5及びクラッド部52の材料の組合せやコア部5とクラッド部52の設計により、シングルモードの光導波路5が得られることがある。
【0059】
図6A及び図6Bには、本実施形態における光導波路50の他の例がそれぞれ示されている。なお、図6A及び図6Bでは、各コア部5は均一な幅で描かれているが、図6A及び図6Bの例においても、各コア部5の幅(及び厚さ)が、一方の端部と他方の端部との間で変化していてもよい。
【0060】
図6A及び図6Bの例の光導波路50は、第1の光導波路5a及び第2の光導波路5bに加えて、任意の数のコア部5及びその周囲のクラッド部52によって構成される第3の光導波路5cを含んでいる。図6A及び図6Bの例において第3の光導波路5cは複数のコア部5を含んでいる。図6A及び図6Bの例の光導波路50を含む実施形態の配線基板は、部品実装領域A1を間に挟んで部品実装領域A2と並んでいる部品実装領域A3(第3部品実装領域)を有している。部品実装領域A3には、部品Ea3(第3部品)が配置される。部品Ea3は、部品Ea1などと同様に、光電変換機能を有する受光素子及び/又は発光素子などの光電素子を含む光学部品である。
【0061】
第3の光導波路5cの一端は部品実装領域A3に位置している。第3の光導波路5cは、部品実装領域A3に配置される実装部品(図6A及び図6Bの例において部品Ea3)との間で光の受け渡しを行う第3入出光部50cを有している。第3光導波路5cは、他端において、光結合部50xの一部を含んでいる。第3の光導波路5cは、部品実装領域A3及び第3入出光部50cと、光結合部50xとの間に延びている。
【0062】
第3の光導波路5cを構成するコア部5は、第3入出光部50cにおいて、クラッド部52に覆われない露出部を有している。その露出部と、部品Ea3における部品Ea1の受光又は発光部E1b(図1参照)と同様の受発光部(図示せず)とが対向する。そして、部品Ea3からの光が第3の光導波路5cに入光し、第3の光導波路5cからの光は部品Ea3に入光する。図6Aの例において、第1入出光部50a、第2入出光部50b、及び第3入出光部50cは、光導波路50におけるこれら各入出光部の近傍の外縁に沿って一列に並んでいる。第3入出光部50c及び第2入出光部50bは、第1入出光部50aを両者の間に挟んで並んでいる。
【0063】
図6A及び図6Bの例のように、本実施形態における光導波路50は、実施形態の配線基板に実装される光学部品と光の受け渡しを行う、2よりも多い数の入出光部を有し得る。本実施形態おける光導波路50は、実施形態の配線基板に実装される光学部品の数に応じた、2以上の任意の数の光導波路の入出光部を有し得る。そして、本実施形態における光導波路50の各コア部5は、2よりも多い数の光導波路の入出光部(図6Aなどの例において第1~第3の入出光部50a~50c)それぞれと光結合部50xとの間に延びていてもよい。より複雑な、光電素子を含む回路を、光電素子の配置に関する高い自由度の下で配線基板において実現できることがある。
【0064】
図6A及び図6Bの例において第2の光導波路5bと第3の光導波路5cとは、光結合部50x側から、第2入出光部50b及び第3入出光部50c側まで、第1の光導波路5aから離間するように伸びている。すなわち、第2の光導波路5b及び第3の光導波路5cは、光結合部50x側から、第2入出光部50b及び第3入出光部50c側までの間で互いに反対方向に曲がっていて、互いに離間するように伸びている。その結果、第1の光導波路5a、第2の光導波路5b、及び第3の光導波路5cは、全体として、光結合部50xから、第1入出光部50a、第2入出光部50b、及び第3入出光部50cが位置する領域に向かって放射状に延びている。光結合部50x側において、第1~第3の光導波路5a~5cの両側に得られる空き領域を光路以外の用途などに有効利用できることがある。なお、コネクタ部材C(図1参照)は2以上の数で配置されてもよい。
【0065】
光結合部50x側から、第2入出光部50b及び第3入出光部50c側までの間で曲がっている第2の光導波路5b及び第3の光導波路5cは、それぞれ、屈曲部を有するコア部5によって構成されている。そして、図6A及び図6Bの例では、第2の光導波路5b及び第3の光導波路5cそれぞれを構成するコア部5は、弧を描きながら曲がる部分を含んでいる。そのため、図6A及び図6Bの例では、各コア部5が特定の角度で折れ曲がる部分を含んでいる場合と比べて、各コア部5からクラッド部52へと透過する光が少なく、従って、より高い効率で光を伝送し得ることがある。このように、コア部5の屈曲部はR形状を形成していることが好ましく、そのR形状を示す曲率などの具体的な数値は特に限定されない。
【0066】
図6Bの例において光導波路50は、さらに、第1~第3の光導波路5a~5cを構成するコア部5以外のコア部5を含むサブ光導波路5dを含んでいる。サブ光導波路5dは、部品実装領域A2と部品実装領域A3との間に延びている。このように部品実装領域A2と部品実装領域A3との間に延びる(すなわち、部品Ea2と部品Ea3との間に光路を提供する)コア部5を含む図6Bの例は、実施形態の配線基板で実現する回路の光電素子間の接続の自由度を一層高めることがある。図6Bでは、サブ光導波路5dは、2つのコア部5によって構成されているが、サブ光導波路5dは、任意の数のコア部5を含み得る。
【0067】
前述したように図6Bの例では、部品実装領域A2と部品実装領域A3とは、部品実装領域A1を挟んで並んでいる。そして、第1入出光部50aよりも光結合部50x側にサブ光導波路5dが配設されている。そのため、サブ光導波路5dは第1の光導波路5aと交わっている。サブ光導波路5dと第1の光導波路5aとは、クラッド部52を介して立体的(3次元的)に交差していてもよいが、図6Bの例では、サブ光導波路5dと第1の光導波路5aとは、交差箇所において互いに当接して繋がっている。そのため、サブ光導波路5dにより、部品Ea2と部品Ea3との間での光伝送をダイレクトに行うことができる。そのため、光電変換素子間の光伝送を電気変換する場合と比べて、伝送ロスがない。なお、サブ光導波路5dの経路は、2つの光学部品同士を光学的に接続できさえすれば、図6Bに示される例に限定されない。例えばサブ光導波路5dは、部品実装領域A1に関して、光結合部50x側と反対側に設けられていてもよい。
【0068】
なお、コア部5内の光の直進性により、サブ光導波路5dのコア部5を伝播する光は、第1の光導波路5aとの交差部においても、第1の光導波路5aのコア部5内に入らずに、さらに先のサブ光導波路5dのコア部5内を伝播すると考えられる。第1の光導波路5aのコア部5内を伝播する光も同様に、サブ光導波路5d側に入光せずに、第1の光導波路5a内を伝播すると考えられる。
【0069】
図7には、図1のIII部の変形例が拡大して示されている。図7の例では、光導波路50のコア部5は、第1端部5α1側において光導波路50の外縁まで形成されていない。コア部5は、コア部5よりも回路基板200側のクラッド部52の上面52a上で端面を露出させている。コア部5の露出している端面は、コア部5内での光の伝播方向に沿う方向(X方向)において部品実装領域A1と対向している。そして、図7に示されるように、クラッド部52の上面52aの露出部分上に部品Ea1が配置されると、コア部5の露出する端面は、受光又は発光部E1bにおいて側方を向く受光又は発光面E1cと対向する。そのため、コア部5の露出する端面と部品Ea1の受光又は発光部E1bとの間で光の受け渡しが行われる。
【0070】
図7の例では、光導波路50の一部は部品実装領域A1と平面視で重なっているが、部品Ea1との間で光の受け渡しを行う第1入出光部50aは、平面視で部品実装領域A1と重ならずに隣接している。図示されていないが、第2入出光部50b(図2参照)も、図7の例の第1入出光部50aと同様に形成されていてもよい。このように、第1入出光部50a及び第2入出光部50bのいずれか又は両方が、部品実装領域A1のような部品実装領域と平面視で重なっていなくてもよい。また、その場合、各コア部5における回路基板200と反対方向を向く表面51aが、第1入出光部50a及び第2入出光部50bのいずれか又は両方において露出していなくてもよい。
【0071】
図8には、実施形態の配線基板100における光導波路50と部品Ea1との組み合わせ形態の他の例が示されている。図8の例では、光導波路50及び支持板6は、絶縁層21及び導体層11を覆うソルダーレジスト23の上に配置されている。また、図8の例では、部品Ea1の受光又は発光部E1bは、回路基板200と反対側に向けられる部品Ea1の上面に、電極E1aと共に備えられている。電極E1aは、部品Ea1を貫く電極(図示せず)を介して導体ポスト13に電気的に接続されている。光導波路50のコア部5は、第1端部5α1側の端面が、部品Ea1の上面に備えられている受光又は発光部E1bと対向するように設けられている。例えば、支持板6の厚さや、コア部5よりも回路基板200側のクラッド部52の厚さを適切に選択することによって、回路基板200の表面からのコア部5の高さが調整され得る。このように、コア部5は、部品Ea1における回路基板200側に向けられる下面、及び上面のいずれに受光又は発光部E1bが備えられていても、その受光又は発光部E1bと対向して光学的に結合するように設けられ得る。
【0072】
つぎに、実施形態の配線基板を製造する方法の一例が、図1の配線基板100を例に用いて図9A図9Eを参照して説明される。
【0073】
図9Aに示されるように、コア基板3の両側に、絶縁層21、22、及び導体層11、12が形成される。例えば、コア基板3の絶縁層32となる絶縁層を含む両面銅張積層基板に、サブトラクティブ法によって所望の導体パターンを有する導体層31とスルーホール導体33とが形成される。筒状の形体のスルーホール導体33の内部は、例えばエポキシ樹脂などの適切な樹脂を注入することによって充填体34で充填される。そして、コア基板3の第1面3a上に絶縁層21が形成され、第2面3b上に絶縁層22が形成される。絶縁層21及び絶縁層22は、例えば、コア基板3上へのフィルム状のエポキシ樹脂の積層、及びその熱圧着によって形成される。各絶縁層には、ビア導体20を形成するための貫通孔が、例えば炭酸ガスレーザー光の照射などによって形成される。そして、絶縁層21の上に導体層11が形成され、絶縁層22の上には導体層12が形成される。導体層11は、導体パッド11a、11bなどの所定の導体パターンを含むように形成される。導体層11及び導体層12は、例えばセミアディティブ法によって形成される。導体層11、12の形成と共に、絶縁層21、22に設けられた貫通孔内にビア導体20が形成される。
【0074】
図9Bに示されるように、導体ポスト13が形成される。図9Bには、導体ポスト13の形成後の図9AのIXB部の拡大図が示されている。図9Bには示されていないが、導体ポスト14(図9C参照)も導体ポスト13と共に形成される。セミアディティブ法による導体層11などの形成では、図9Bに示されるように、絶縁層21の表面の全面に、例えば無電解めっきによって金属膜111が形成されている。その金属膜111を給電層として用いる電解めっきを含むパターンめっきによって、めっき膜112が形成される。
【0075】
パターンめっきに用いられためっきレジスト(図示せず)が除去された後、金属膜111が全面的に残されたまま、導体層11及び絶縁層21の上に、導体ポスト13の形成箇所に開口R1aを有するめっきレジストR1が形成される。例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて開口R1aが形成される。そして開口R1a内に、例えば、金属膜111を給電層として用いる電解めっきによって導体ポスト13が形成される。
【0076】
さらに、図9Bに示されるように、接続層15が、例えば金属膜111を給電層として用いる電解めっきによって、導体ポスト13の端面上に形成される。接続層15として、例えば、すず、すず合金、又は、金合金などからなる金属膜が形成される。接続層15の形成後、めっきレジストR1が適切な剥離剤を用いて除去される。そして、金属膜111のうちのめっき膜112に覆われていない部分が、例えば、クイックエッチングによって除去される。
【0077】
図9Cに示されるように、絶縁層21及び導体層11、導体ポスト13、14、並びに接続層15を覆うソルダーレジスト23が形成される。ソルダーレジスト23は、例えば、液状又はシート状のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを、印刷、塗布、吹き付け、又は積層などの方法で絶縁層21、及びその表面上の各構成要素上に供給することによって形成される。ソルダーレジスト23は、必要に応じて、加熱又は紫外線照射などによって本硬化又は仮硬化される。コア基板3の第2面3b側にも、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂の塗布や積層などによってソルダーレジスト23が形成される。
【0078】
図9Dに示されるように、ソルダーレジスト23の厚さ方向の一部が除去される。ソルダーレジスト23の厚さの減少によって、導体ポスト13、14における絶縁層21と反対側の端部、及び接続層15が露出する。ソルダーレジスト23の一部は、例えば、四フッ化炭素(CF4)ガスを用いるプラズマエッチングなどのドライエッチンングや、ブラスト処理などによって除去され得る。
【0079】
図9Eに示されるように、ソルダーレジスト23における、光導波路50が配置される領域に対応する部分が、例えば、炭酸ガスレーザー光の照射などによって除去される。絶縁層21の表面のうちの光導波路50が配置される領域が露出する。そのレーザー加工によってソルダーレジスト23に開口23aが形成され得る。回路基板200が完成する。
【0080】
光導波路50が用意され、図1の例の配線基板100が製造される場合は支持板6も用意される。光導波路50は、例えば、フォトリソグラフィ法、Mosquito法、又はインプリント法などを用いて形成される。光導波路50は、後述されるように、例えば、ガラスなどからなる支持板6上で形成されてもよいし、光導波路50の形成後に、別途用意された支持板6上に任意の接着剤(図示せず)を用いて接着されてもよい。
【0081】
ソルダーレジスト23から露出している絶縁層21の表面の所定の部分に、例えば、熱硬化性、常温硬化性、又は光硬化性などの任意の接着剤Guが供給され、その上に、支持板6及び光導波路50が搭載される。必要に応じて、加熱などによる接着剤Guの硬化処理が行われ、光導波路50及び支持板6が回路基板200に固定される。さらに、接続層15が、リフロー処理などによって一旦溶かされて半球状の形状に整形される。以上の工程を経ることによって図1の例の配線基板100が完成する。
【0082】
図10A図10Dを参照して、図4及び図5に例示の光導波路50の形成方法の一例として、支持板6上でインプリント法を用いる方法が説明される。図10Aに示されるように、例えばガラス板が支持板6として用意され、支持板6の表面上に下部クラッド層521が形成される。例えばPMMAのような、クラッド部52(図10C参照)の構成材料として前述された材料が、フィルム状に成形されて支持板6に熱圧着される。
【0083】
下部クラッド層521に金型Mが押し付けられる。金型Mには、下部クラッド層521に押し付けられる面に、第1及び第2の光導波路5a、5bを構成する各コア部5(図4及び図5参照)に対応する形状を有するリブ状の複数の突起M1が設けられている。突起M1の先端は、コア部5における支持板6側の面が有すべき段差に対応する段差が設けられている。金型Mを下部クラッド層521に押し付けることによって、各コア部5(図10B参照)の形状に対応する形状をそれぞれが有する複数の溝523が下部クラッド層521に形成される。溝523の底面には、コア部5が支持板6側の面に有すべき段差に対応する段差が形成される。
【0084】
図10Bに示されるように、溝523にコア部5が形成される。コア部5は、前述したような例えばアクリル系樹脂のようにコア部5を構成し得る材料を、下部クラッド層521の表面上に、塗布又は印刷したり、或いはシート状に成形した上で積層したりすることによって形成される。具体的には、塗布などで下部クラッド層521の表面上に供給されるコア部5の構成材料で溝523が充填されることによってコア部5が形成される。コア部5の構成材料は、下部クラッド層521の全面に供給され、その後、溝523を充填している部分を除いて、例えば露光及び現像によって除去されてもよい。コア部5の構成材料は、適切なマスクを用いた印刷によって、溝523の内部だけに供給されてもよい。
【0085】
図10Cに示されるように、上部クラッド層522が下部クラッド層521及びコア部5上に形成される。例えば、下部クラッド層521の形成と同様に、PMMAのようなクラッド部52の構成材料が、フィルム状に成形されて下部クラッド層521及びコア部5に熱圧着される。上部クラッド層522が下部クラッド層521と一体化するか少なくとも密着することによって、コア部5を囲むクラッド部52が形成される。
【0086】
図10Dに示されるように、上部クラッド層522においてコア部5の第1端部5α1を覆う部分が除去される。図4及び図5の例の光導波路50の形成においては、上部クラッド層522における、第1入出光部50a及び第2入出光部50b(図4参照)となるべき領域を覆っている部分が除去される。その結果、第1入出光部50a内、及び第2入出光部50b内の第1端部5α1、5α2(図4参照)において、コア部5の一部が露出する。上部クラッド層522の除去部分は、例えば露光及び現像、又はレーザー加工などによって除去され得る。図10Cに示される工程において、コア部5の第1端部5α1、5α2側の一部が覆われないように、クラッド部52の構成材料が熱圧着されてもよい。例えば図10A図10Dに示される工程を経ることによって、図4及び図5に例示の光導波路50が形成される。
【0087】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。前述したように、実施形態の配線基板は任意の積層構造を有し得る。例えば、実施形態の配線基板はコア基板を含まないコアレス基板であってもよい。実施形態の配線基板は、任意の数の導体層及び絶縁層を含み得る。導体パッド11b及び導体ポスト14は形成されていなくてもよく、導体ポスト13も必ずしも設けられない。また、光導波路が有する3つ以上の入出光部が一列に並んでいなくてもよい。コア部の配置ピッチは、一端側と他端側とで略同じであってもよく、コア部の幅及び厚さは、一端から他端まで略一定でもよい。コア部の大きさを示す寸法として幅及び厚さが用いられているが、コア部は矩形以外の任意の断面形状を有し得る。さらに、各光導波路を構成する全てのコア部が曲がることなく直線状に延びていてもよく、全てのコア部が曲がっていてもよい。
【符号の説明】
【0088】
100 配線基板
11、12 導体層
21、22 絶縁層
200 回路基板
5 コア部
5a 第1の光導波路
5ac 第1の光導波路の中心線
5b 第2の光導波路
5bc 第2の光導波路の中心線
5c 第3の光導波路
5d サブ光導波路
50 光導波路
50a 第1入出光部
50b 第2入出光部
50c 第3入出光部
50x 光結合部
51a コア部の表面(側面)
52 クラッド部
A1~A3 部品実装領域(第1~第3の部品実装領域)
C コネクタ部材(光コネクタ)
Ea1 部品(第1部品)
Ea2 部品(第2部品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D