(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130345
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】無線窓開閉操作装置
(51)【国際特許分類】
E05F 11/04 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
E05F11/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040012
(22)【出願日】2023-03-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】397000160
【氏名又は名称】株式会社豊和
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】安藤 和明
(72)【発明者】
【氏名】柳井 徹
【テーマコード(参考)】
2E050
【Fターム(参考)】
2E050NA03
2E050QB01
2E050QC01
2E050QD01
2E050QE02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】無線で信号を受け取って窓の障子を解放できるような無線窓開閉操作装置を提供する。
【解決手段】無線窓開閉操作装置に、操作ハンドル43とワンウェイクラッチ127の間に、操作ハンドル43が操作されて巻き取りドラム140が閉方向へ回転し障子が窓枠に閉鎖されて巻き取りドラム140がこれ以上回転できなくなった後にさらに操作ハンドル43が操作されてワンウェイクラッチ127にかかるトルクが所定トルクを超えるとワンウェイクラッチ127に対して操作ハンドルが空回りするトルクリミッタ110を備えた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠に開閉可能に装着されてロック解除されると閉状態から自然に開状態へ移行する障子に連結される連結手段と、
前記連結手段を少なくとも前記障子が開状態から閉状態へ移行する閉方向へ動作させる回転ドラムと、
前記連結手段が前記閉方向と逆方向へ移動することを防止する逆動作防止手段と、
前記逆動作防止手段を介して前記回転ドラムを前記閉方向へ回転させる操作ハンドルと、
前記逆動作防止手段による逆動作防止機能を解放するロック解除手段と、
電池から供給される電力によって前記ロック解除手段を少なくとも開放方向へ動作させる駆動手段と、
感知器から無線送信される感知信号を受信する無線信号受信手段と、
前記無線信号受信手段により前記感知信号を受信すると前記ロック解除手段が解放方向へ動作するよう前記駆動手段を駆動させる制御を行う制御手段とを備え、
前記操作ハンドルと前記逆動作防止手段の間に、前記操作ハンドルが操作されて前記回転ドラムが前記閉方向へ回転し前記障子が前記窓枠に閉鎖されて前記回転ドラムがこれ以上回転できなくなった後にさらに前記操作ハンドルが操作されて前記逆動作防止手段にかかるトルクが所定トルクを超えると前記逆動作防止手段に対して前記操作ハンドルが空回りする過負荷防止手段を備えた
無線窓開閉操作装置。
【請求項2】
前記ロック解除手段は、
前記逆動作防止手段と前記回転ドラムの間に設けられた切替ギアと、
前記切替ギアを前記逆動作防止手段と前記回転ドラムの間で篏合したロック状態と前記逆動作防止手段側または前記回転ドラム側から離間したロック解除状態に移動させる移動体とにより構成され、
前記駆動手段は、
前記移動体を移動させて前記切替ギアを前記ロック状態から前記ロック解除状態に移動させる構成である
請求項1記載の無線窓開閉操作装置。
【請求項3】
前記過負荷防止手段は、
前記切替ギアが前記ロック状態へ移動されてさらに過荷重がかかって噛み込みが強固になることで前記逆動作防止手段と前記回転ドラムの間から抜け出て前記解放状態に移行するために必要な応力が過大にならないよう、前記空回りし始めるトルクが100~2000N・cmに調整されている
請求項2記載の無線窓開閉操作装置。
【請求項4】
前記制御手段は、無線信号受信手段から感知信号を受信した後、予め定められた所定量だけ前記電池から前記駆動手段へ電力供給し、当該所定量の供給が完了すると前記電池から前記駆動手段への電力供給を停止する構成である
請求項3記載の無線窓開閉操作装置。
【請求項5】
前記操作ハンドルは、
前記回転ドラムの半径方向を長手方向とするアームと、
前記アームの前記回転ドラム側を回転軸側としその反対側を操作側として当該操作側で前記回転ドラムと反対側へ突出する位置に設けられた把持体とを有し、
前記操作ハンドルと前記過負荷防止手段の間に設けられて前記操作ハンドルを折りたたんで前記把持体が前記筐体の内側へ収納された収納状態と前記操作ハンドルを引き出して前記把持体が前記筐体の外側へ突出した使用状態に切り替える使用収納切替手段と、
人が押下できる押下ボタンと、
前記押下ボタンが押下されると前記ロック解除手段の前記切替ギアを前記ロック解除状態へ移行させる手動作動体と、
前記押下ボタンが押下されると前記操作ハンドルを前記収納状態から前記使用状態へ向けて移動させる操作ハンドル取り出し補助体とを備え、
前記駆動手段は、
前記無線信号受信手段により前記感知信号を受信すると、前記ロック解除手段を少なくとも開放方向へ動作させるとともに、前記操作ハンドル取り出し補助体を前記収納状態から前記使用状態へ向けて移動させる構成である
請求項1から4のいずれか1つに記載の無線窓開閉操作装置。
【請求項6】
前記駆動手段と前記押下ボタンは離間して配置され、
前記操作ハンドル取り出し補助体は、前記駆動手段と前記押下ボタンの間で前記押下ボタンの押下方向と直交する方向でかつ前記駆動手段と前記押下ボタンを繋ぐ方向とは平行ではない方向を回転軸として軸支され、
前記押下ボタンが押下されると、前記操作ハンドル取り出し補助体の一端側が押下されて前記回転軸を中心に回動して他端側によって前記操作ハンドルを前記収納状態から前記使用状態へ向けて移動させ、
前記駆動手段が駆動されると、前記操作ハンドル取り出し補助体は、他端側が前記押下方向と逆方向へ押圧されて前記回転軸を中心に回動して前記他端側によって前記操作ハンドルを前記収納状態から前記使用状態へ向けて移動させる構成である。
請求項5記載の無線窓開閉操作装置。
【請求項7】
報知を行う報知手段と、
前記電池の残量を検出する電池残量検出手段とを備え、
前記制御手段は、
前記電池残量検出手段で検出している前記電池の残量が所定量以下になると前記報知手段により報知する
請求項5記載の無線窓開閉操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設けられている窓の障子の開閉を行うような無線窓開閉操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワンタッチで窓開放操作可能な窓開閉操作装置が提案されている(特許文献1参照)。このような窓開閉操作装置では、ワイヤの一端が窓の障子に連結されており、障子が開いているとき、操作ハンドルを回してワイヤを巻き取りドラムに巻き取ることにより、障子を閉鎖することができる。障子を開けるときは、窓開閉操作装置の押しボタンを押すことによって、巻き取りドラムが解放されてワンタッチで窓開放することができる。
【0003】
ここで、このような窓開閉操作装置は、建物内に設置された煙感知器、熱感知器、あるいは炎感知器等の感知器と連動することが望まれる。感知器は、建物の天井に設置され、窓開閉操作装置は、建物の壁面に設置されている。このため、感知器で検知した信号を窓開閉操作装置に伝達するために、天井裏から壁面内へ配線を行う必要があり、天井裏から壁面までの工事が必要であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述の問題に鑑み、無線で信号を受け取って窓の障子を解放できるような無線窓開閉操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、窓枠に開閉可能に装着されてロック解除されると閉状態から自然に開状態へ移行する障子に連結される連結手段と、前記連結手段を少なくとも前記障子が開状態から閉状態へ移行する閉方向へ動作させる回転ドラムと、前記連結手段が前記閉方向と逆方向へ移動することを防止する逆動作防止手段と、前記逆動作防止手段を介して前記回転ドラムを前記閉方向へ回転させる操作ハンドルと、前記逆動作防止手段による逆動作防止機能を解放するロック解除手段と、電池から供給される電力によって前記ロック解除手段を少なくとも開放方向へ動作させる駆動手段と、感知器から無線送信される感知信号を受信する無線信号受信手段と、前記無線信号受信手段により前記感知信号を受信すると前記ロック解除手段が解放方向へ動作するよう前記駆動手段を駆動させる制御を行う制御手段とを備え、前記操作ハンドルと前記逆動作防止手段の間に、前記操作ハンドルが操作されて前記回転ドラムが前記閉方向へ回転し前記障子が前記窓枠に閉鎖されて前記回転ドラムがこれ以上回転できなくなった後にさらに前記操作ハンドルが操作されて前記逆動作防止手段にかかるトルクが所定トルクを超えると前記逆動作防止手段に対して前記操作ハンドルが空回りする過負荷防止手段を備えた無線窓開閉操作装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】無線窓開閉操作システムの設置例を示す斜視図。
【
図2】無線窓開閉操作システムの電気要素をブロック図で説明する説明図。
【
図6】逆転防止状態の無線窓開閉操作装置の内部奥側の正面図。
【
図7】逆転許容状態の無線窓開閉操作装置の内部奥側の正面図。
【
図8】窓開放押しボタンとギアドモータの動作を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
【0009】
図1は、無線窓開閉操作システム1の設置例を示す斜視図である。
無線窓開閉操作システム1は、建物の天井面に装着された感知器2と、建物の壁面に装着された窓3と、窓3にワイヤ37で連結されて壁面に設置された無線窓開閉操作装置4を有している。
【0010】
窓3は、四角形の枠である窓枠31と、この窓枠31の内側で開閉するように装着されている障子32を有している。
障子32は、窓枠31にはまり込む大きさの四角形の板状であり、内側に窓ガラス34が設けられている。この障子32は、底辺部が窓枠31の下端に揺動可能に装着されており、両側部がダンパー33により窓枠31に連結されている。障子32の上辺部には、図示省略する滑車が設けられており、この滑車に沿ってワイヤ37が配置されている。
【0011】
窓枠31の上部は、一端に固定されたワイヤ37が横方向に配置されている。ワイヤ37は、一端の始点から窓枠31の上部に沿って窓枠31の上部中央で図示省略する滑車を介して障子32の滑車(図示省略)に沿わされ、再度窓枠31の上部の別の滑車(図示省略)を介して窓枠31の他端に沿って配置されている。ワイヤ37は、この窓枠31の他端からアウターケーブル38の中を通って無線窓開閉操作装置4に装着されている。
【0012】
したがって、ワイヤ37が無線窓開閉操作装置4によって巻き取られると、障子32が窓枠31に篏合して閉鎖状態となり、無線窓開閉操作装置4によってワイヤ37が解放されると、ダンパー33に接続された障子32が底辺のヒンジ(図示省略)を回転軸として回動し開放状態となる。
【0013】
無線窓開閉操作装置4は、裏面側の収納筐体42が壁面内に埋設され、表面のカバー筐体41が壁外に露出して設置されている。したがって、ワイヤ37およびアウターケーブル38は、壁内を通って無線窓開閉操作装置4の収納筐体42に連結され、そのうちワイヤ37が収納筐体42内に挿入されている。なお、無線窓開閉操作装置4は、収納筐体42も含めて壁面外に露出するように設置されてもよい。この場合、カバー筐体41の側面を広くして収納筐体42の側方も含めて覆う構成にしてもよい。
【0014】
図2は、無線窓開閉操作システム1の電気要素をブロック図で説明する説明図であり、
図2(A)は感知器2のブロック図であり、
図2(B)は無線窓開閉操作装置4のブロック図である。
【0015】
図2(A)に示すように、感知器2は、筐体20の中に、煙を感知するセンサ21と、無線で検知信号を送信する信号送信部22と、センサ21の検知信号を受けて信号送信部22に信号送信させ報知部25にて報知させる制御を行う制御部23と、各部に電力供給を行う電池24と、煙感知したことを警報として音声報知する報知部25と、警報解除等の入力を行うための操作ボタン26を有している。信号送信部22は、赤外線通信、wifi通信、あるいはBluetooth(登録商標)通信など、無線で信号を送信する適宜の通信部により構成されている。なお、感知器2は、煙を感知する煙感知器、熱を感知する熱感知器、あるいは炎を感知する炎感知器など、火災に関する適宜の感知器とすることができる。
【0016】
図2(B)に示すように、無線窓開閉操作装置4のカバー筐体41の表面には、操作ハンドル43と、窓開放用押しボタン44と、スピーカ用孔45と、制御入力用発光押しボタン46が設けられている。
【0017】
また、無線窓開閉操作装置4は、カバー筐体41および収納筐体42の内側に、モータ51、駆動電池52、電圧検知部53,スピーカ54、制御部55、制御電池56、無線通信部57、および入力操作部58を有している。
【0018】
モータ51は、駆動電池52から供給される直流電流によって回転動作するモータであり、回転角度を制御できるステッピングモータ、あるいは電力供給によって回転する一般的なモータなど、適宜のモータで構成することができる。
【0019】
駆動電池52は、モータ51を駆動するための電源であり、蓄電ができる一次電池、あるいは充放電可能な二次電池のどちらでもよく、それ単体で電力を供給できる電池であればよい。また、駆動電池52は、一般的な乾電池ではなくコネクタによって接続する方式の電池により構成されている。これにより、10年間など長期間放置されても接点が錆等で非通電状態となることを防止できる。
電圧検知部53は、駆動電池52に電気的に接続されており、駆動電池52の電圧を検知している。
スピーカ54は、制御部55の制御によって警告音などの適宜の音声を出力する。
【0020】
制御部55は、無線通信部57から受信する感知信号と、入力操作部58から受信する押下信号を受けて、駆動電池52からモータ51への電力供給のON/OFF切り替え、モータ51の回転制御、スピーカ54からの音声出力を制御する。また、電圧検知部53から検知している駆動電池52の電圧が所定電圧以下になると、駆動電池52の残量が所定量以下になったと判断し、電池交換が必要な旨の報知をスピーカ54からの音声出力と制御入力用発光押しボタン46の発光にて実行する。所定電圧は、モータ51の駆動に必要な電力があると判断できる電圧より低い電圧とすることができる。これにより、必要な電力が確保できない状態になったことを報知でき、利用者および施設管理者は電池交換を実施することができ、安定稼働を実現することができる。なお、制御部55は、1つに限らず、無線通信部57から感知信号または入力操作部58から受信する押下信号を受けてスピーカ54への音声出力を制御し第2制御部へ通知する第1制御部と、第1制御部からの通知を受けて駆動電池52からモータ51への電力供給のON/OFF切り替えおよびモータ51の回転制御を行う第2制御部に分けても良い。この場合でも同様の作用効果を得ることができる。また、電圧検知部53が制御電池56の電圧も検知する構成としてもよい。この場合も、同様の作用効果を得ることができる。
【0021】
モータ51の駆動に関して、制御部55は、モータ51を所定量だけ駆動する。この所定量は、モータ51をステッピングモータとして必要角度までの回転させる回転範囲とする、モータを回転動作させる予め定めた所定時間とするなど、適宜の量とすることができる。
【0022】
所定量を回転範囲とする場合、必要な回転角度まで回転させるだけの電力供給をして電力供給を停止すると良い。回転範囲は、10度以上とすることができ、30度以上とすることが好ましく、45度以上とすることがより好ましく90度以上とすることがより好ましい。また、回転範囲は、720度以下とすることが好ましく、540度以下とすることがより好ましく、360度以下とすることがさらに好ましい。この実施例では、回転範囲を360度(1回転)としている。これにより、モータ51を有するギアドモータ161(後述の
図5参照)の出力軸165a(
図8(C)参照)に設けられた偏心カム165(
図8(C)参照)の初期位置(停止位置)が常に同じ位置となり、安定して動作することができる。
【0023】
また、所定時間とする場合、所定時間だけ電力供給をして電力供給を停止すると良い。所定時間は、1秒以上とすることができ、3秒以上とすることが好ましく、5秒以上とすることがより好ましい。また、所定時間は、30秒以下とすることができ、20秒以下とすることが好ましく、10秒以下とすることがより好ましい。この実施例では所定時間を7秒程度としている。
【0024】
このように、制御部55は、普段は駆動電池52からモータ51への電力供給をOFFにしておき、無線通信部57から感知信号を受信すると、電力供給をONにして上述した所定量だけモータ51が駆動するように駆動電池52からモータ51へ電力供給した後、電力供給をOFFにする。これにより、最も電力を消費するモータ51への電力供給を最小限にして、無線窓開閉操作装置4の動作可能期間を長期化している。これにより、駆動電池52の交換をすることなく無線窓開閉操作装置4が動作できる動作期間を10年間以上とすることを可能としており、動作保証期間を長くすることができる。
【0025】
また、制御部55は、無線通信部57を、感知器2の信号送信部22とペアリングするペアリング制御も実施する。このペアリングを実施することにより、感知器2と無線窓開閉操作装置4が対応づけられ、どの感知器2が感知をするとどの無線窓開閉操作装置4が動作するかが決定される。したがって、建物内に複数の感知器2と複数の無線窓開閉操作装置4が存在しても、混成して異なる無線窓開閉操作装置4が動作しないようになっている。一般的には、ある室内の感知器2が1つでも感知すると、排煙区画内の全ての無線窓開閉操作装置4が動作して障子32を解放する。
【0026】
制御電池56は、スピーカ54、制御部55、および無線通信部57に電力供給をする電源であり、蓄電ができる一次電池、あるいは充放電可能な二次電池のどちらでもよく、それ単体で電力を供給できる電池であればよい。制御電池56は、少なくとも制御部55および無線通信部57に対しては常時電力供給をしており、無線通信部57にていつ感知信号を受信しても動作開始して、その後に全体を動作できるようにしている。また、制御電池56は、一般的な乾電池ではなくコネクタによって接続する方式の電池により構成されている。これにより、10年間など長期間放置されても接点が錆等で非通電状態となることを防止できる。また、制御電池56は、制御部55および無線通信部57へ常時電力供給をしている。これにより、無線通信部57にていつ感知信号を受信しても即座に動作できるようにしている。
【0027】
無線通信部57は、赤外線通信、wifi通信、あるいはBluetooth(登録商標)通信など、無線で信号を受信する適宜の通信部により構成されている。この無線通信部57は、感知器2の信号送信部22と同じ通信方式により構成されている。
【0028】
入力操作部58は、人によって押下されると押下信号を制御部55に伝達する。この押下によって、制御部55は、テストモードの実行など適宜の動作を実施する。
【0029】
次に、
図3から
図7とともに、無線窓開閉操作装置4の構造について説明する。なお、
図3から
図7においては、わかりやすくするために一部を適宜省略して図示している。
【0030】
図3は、無線窓開閉操作装置4の一部縦断左側面図である。操作ハンドル43は、ハンドルアーム43bと、ハンドルアーム43bの基部側に一端が回転軸43eにより連結された連結部43cと、ハンドルアーム43bの先端側に設けられたグリップ43aを有している。この操作ハンドル43は、連結部43cが回動することにより、不使用状態(通常状態)では
図3に仮想線で示すようにカバー筐体41内に向かってグリップ43aが凸となるように収納される。巻き取りを行う使用状態のときには、
図3に実線で示すように操作ハンドル43がカバー筐体41の外側に折り曲げられ、グリップ43aが外側へ凸となった状態となる。これにより、人がグリップ43aを把持して操作ハンドル43を回転させることができる。
【0031】
操作ハンドル43の連結部43cの他端は、トルクリミッタ110のハンドル連結体111に回転軸43dにより接続されている。したがって、操作ハンドル43が回転操作されるとトルクリミッタ110が回転する構成となっている。
【0032】
トルクリミッタ110は、ワンウェイクラッチ127の入力軸127aに連結されている。このワンウェイクラッチ127の出力側は、操作ハンドル43の回転軸となるハンドル軸122に連結されている。ワンウェイクラッチ127は、入力軸127a側の操作ハンドル43がワイヤ37(
図1参照)を巻き取る方向に回転操作されている間は、ワンウェイクラッチ127の入力軸127aと出力側が連れ回りする固定状態となり、操作ハンドル43が逆方向に回転されると、ワンウェイクラッチ127の入力軸127aに対して出力側が連れ回りしない開放状態となる。ハンドル軸122は、収納筐体42内に伸びており、ハンドルギア128が固定されている。
【0033】
収納筐体42内において、ハンドルギア128は、回転軸132を軸芯として揺動可能な揺動ギア131と噛合しており、揺動ギア131は、巻き取りドラム140のドラムギア149に噛合している。また、揺動ギア131には、ギア用ワンウェイクラッチ131aが設けられている。このギア用ワンウェイクラッチ131aは、操作ハンドル43が巻き取り方向に回転操作されている際の回転方向に揺動ギア131の回転を許容し、逆方向への揺動ギア131の回転を禁止する。この揺動ギア131とギア用ワンウェイクラッチ131aと回転軸132により揺動ユニット130が構成されている。したがって、操作ハンドル43を回転操作すると、トルクリミッタ110およびハンドルギア128が回転し、この回転によって揺動ユニット130の揺動ギア131およびドラムギア149が連動して回転し、巻き取りドラム140が回転する。これにより、巻き取りドラム140がワイヤ37を巻き取ることができる。また、ワイヤ37を巻き取った巻き取りドラム140が巻き取り方向と逆方向に回転しようとしても、歯合している揺動ギア131の回転がギア用ワンウェイクラッチ131aにより禁止されていることにより、逆方向の回転が禁止される。
【0034】
また、収納筐体42内には、ギアドモータ161と、ギアドモータ161の出力軸165aに設けられた偏心カム165と、偏心カム165によって揺動する逆転可否制御レバー171と、逆転可否制御レバー171の揺動によって揺動ギア131を揺動させるリンクプレート175と、偏心カム165によって揺動して揺動先端部183の操作ハンドル43を押し出す揺動レバー182と、揺動レバー182の揺動先端部183によって押し出されて押し出しピン49を通じて操作ハンドル43を外側へ押し出すリンクレバー191とが設けられている。
【0035】
ギアドモータ161は、モータ51と、モータ51の出力軸(図示省略)に連結された減速機163により構成されている。減速機163の出力軸165a(
図8参照)には、偏心カム165が固定されている。
【0036】
偏心カム165に当接する逆転可否制御レバー171は、収納筐体42の裏面内側に回転軸172によって回転可能に軸支されている。また、偏心カム165に当接する揺動レバー182は、回転軸181によって回転可能に軸支されている。
【0037】
巻き取りドラム140は、表面側のリング状突出部の内面に設けられたインナーギア153と、このインナーギア153に噛合する2つの伝達ギア152と、この2つの伝達ギア152の間で両伝達ギア152に歯合する中央ギア151を有している。中央ギア151は、巻き取りドラム140の内側に設けられたブレーキ車141の回転軸の一方に固定されている。ブレーキ車141は、内側にガバナ軸143が設けられ、このガバナ軸143の外側に4つのブレーキ片142が軸周方向に等間隔に並べて配置されている。巻き取りドラム140の内周面には、4つのブレーキ片142の外周面に対向するブレーキシュー145が全面に設けられている。4つのブレーキ片142の外周側の溝には、コイルスプリングによって形作られたブレーキ輪146が篏入されている。巻き取りドラム140が回転すると、インナーギア153が伝達ギア152,152を回転させ、この伝達ギア152,152によって中央ギア151が回転し、これによってブレーキ車141が回転する。そして、4つのブレーキ片142が遠心力によって回転軸の半径方向へ広がりブレーキシュー145に接触して摩擦力によりブレーキがかかる。これによって遠心ガバナブレーキが構成される。
【0038】
図4は、トルクリミッタ110の縦断正面図である。トルクリミッタ110は、略円盤形状で中心に孔119の空いているハンドル連結体111(外輪体)と、孔119内に回転可能にはめ込まれた略円盤形状の内輪体121を有している。
【0039】
ハンドル連結体111は、半径方向の貫通孔113が6つ略放射状に設けられており、この貫通孔113の外側端部にネジ穴112が設けられている。各貫通孔113には、球形状のボール114が内側にそれぞれ1つずつ挿入され、それぞれの外側に鶴巻ばねで形成された弾性体115が1つずつ挿入されて、さらにその外側からネジ穴112にトルク調整ネジ116が螺入されている。
【0040】
内輪体121は、回転中心がワンウェイクラッチ127の入力軸127aに固定されている。内輪体121の外周には、半球形状の係合孔123が9個等間隔に設けられている。この係合孔123は、ハンドル連結体111の各貫通孔113に対向する配置に構成されている。
【0041】
この構成により、トルクリミッタ110は、弾性体115の外側端がトルク調整ネジ116で固定された状態で、弾性体115の内側端がボール114を内輪体121に向けて押圧し、ボール114を内輪体121の係合孔123に係合させる。従って、操作ハンドル43(
図1参照)が回転操作されるとトルクリミッタ110のハンドル連結体111が回転し、これとともに、ボール114が係合孔123に係合している状態で内輪体121が回転する。最大限回転させて内輪体121がこれ以上回れず停止すると、ボール114が内輪体121の係合孔123の内面(傾斜面)に押圧されて係合孔123から突出し貫通孔113内に後退する。そして、係合孔123からボール114が完全に出ると内輪体121が停止したままハンドル連結体111が回転し、ハンドル連結体111が空回りする。こうして、トルクリミッタ110は、設定されたトルクを超えた時点でハンドル連結体111を空回りさせ、内輪体121から先の動作要素に対してそれ以上荷重がかからないようにしている。
【0042】
図5は、無線窓開閉操作装置4の内部手前側の正面図である。
無線窓開閉操作装置4の内部手前側には、収納筐体42内のハンドルギア128、揺動ギア131、巻き取りドラム140、およびドラムギア149を手前から覆う収納カバー42aが設けられている。
【0043】
収納カバー42aの手前側には、リンクレバー191が揺動軸192にて揺動可能に装着されている。このリンクレバー191は、上下方向に長く、揺動軸192を揺動中心として、上端側(一端側)にハンドル開放押し出し部193が設けられ、下端側(他端側)に押下操作受付部194が設けられている。揺動軸192は、モータ51と窓開放用押しボタン44を繋ぐ方向とは異なる方向である左右方向を軸方向として構成されている。これにより、窓開放用押しボタン44が押下されると揺動軸192を回転軸としてリンクレバー191の上方がテコの原理で手前へ押し出され、モータ51の駆動力でリンクレバー191の上方が手前へ押し出される際には揺動軸192を回転軸として直接的に手前へ押し出される。
【0044】
押下操作受付部194は、手前面が窓開放用押しボタン44のリンク操作部44aの奥面に当接している。ハンドル開放押し出し部193は、手前面が押し出しピン49(
図3参照)の奥面に当接している。これにより、窓開放用押しボタン44が押下されると、リンク操作部44aに押下操作受付部194が奥へ向かって押し込まれ、リンクレバー191が揺動軸192を中心に揺動(回動)し、ハンドル開放押し出し部193が手前へ持ち上がって押し出しピン49(
図3参照)を手前へ押し出す。この押し出された押し出しピン49(
図3参照)によって操作ハンドル43が手前へ押し出され、
図3に仮想線で示した収納状態の操作ハンドル43が手前へ少し突出して取り出し可能な状態となる。
【0045】
また、リンクレバー191の奥側には、揺動軸192とハンドル開放押し出し部193の間位置で、揺動レバー182の揺動先端部183が当接または対向して配置されている。この揺動先端部183の位置は、リンクレバー191における揺動軸192とハンドル開放押し出し部193の中間位置よりもハンドル開放押し出し部193側に設定されている。これにより、揺動レバー182によってリンクレバー191を押し上げて操作ハンドル43を押し出すために必要な応力をできるだけ小さくしている。
【0046】
揺動レバー182は、回転軸181で軸支されている。揺動レバー182の奥側には、回転軸181と揺動先端部183の間の奥面にギアドモータ161の偏心カム165が対向して配置されている。揺動レバー182における偏心カム165との対向位置には、円柱形のローラ184が設けられている。このローラ184の周面にギアドモータ161の偏心カム165の周面が当接し、偏心カム165の偏心回転によって揺動レバー182が押し上げられて揺動先端部183が手前へ移動し、揺動先端部183がリンクレバー191のハンドル開放押し出し部193側を押し上げる。これにより、ギアドモータ161の回転によって、揺動レバー182を押し上げ、リンクレバー191のハンドル開放押し出し部193側を押し上げて、押し出しピン49を介して操作ハンドル43を取り出すことができる。
【0047】
図6は、逆転防止状態の無線窓開閉操作装置4の内部奥側の正面図であり、
図7は、逆転許容状態の無線窓開閉操作装置4の内部奥側の正面図であり、
図8は操作ハンドル43とギアドモータ161の偏心カム165の動作を説明する説明図である。なお、この
図6および
図7は、収納カバー42a(
図5参照)より奥側を示しているが、回転軸181(
図5参照)および揺動レバー182(
図5参照)については説明のため図示省略している。
【0048】
ギアドモータ161の偏心カム165は、略L字型の逆転可否制御レバー171の揺動先端側のローラ173の外周に当接している。逆転可否制御レバー171の揺動基部側は、回転軸172により収納筐体42に揺動可能に軸支されている。また、逆転可否制御レバー171の奥面側には、リンクプレート175の一端が軸支部174に揺動可能に軸支されている。このリンクプレート175の他端は、揺動ギア131の回転軸132の奥側に揺動可能に軸支されている。
【0049】
揺動ギア131の回転軸132とハンドルギア128のハンドル軸122は、ドライブリンク133の両端部にそれぞれ挿通されている。ハンドルギア128のハンドル軸122は位置が固定されているため移動しないが、揺動ギア131の回転軸132は図示上下方向へ若干揺動するよう長手形状の孔(図示省略)に奥側端部が嵌入されている。ドライブリンク133の揺動ギア131側の端部には、窓開放用押しボタン44(
図2参照)の押圧傾斜部44bに当接するローラ134が設けられている。押圧傾斜部44bは、鶴巻ばねにより構成された弾性体44cにより、窓開放用押しボタン44側へ突出させる方向へ付勢されている。
【0050】
これにより、窓開放用押しボタン44(
図2参照)が押下されると、押圧傾斜部44bが奥へ押し込まれ、ローラ134が図示下方へ押し出される。これによってドライブリンク133が揺動し、揺動ギア131がドラムギア149から離間する方向へ移動して、
図7に示すように、揺動ギア131とドラムギア149との歯合を解消してドラムギア149が解放され自由に回転できるようになる。この状態になると、揺動ユニット130による逆転防止機能も解除され、ドラムギア149が自由に回転してワイヤ37(
図3参照)が引き出され、
図1に示したように障子32が開状態へ開く。窓開放用押しボタン44の押下が解除されると、弾性体44cの付勢力によって押圧傾斜部44bとともに窓開放用押しボタン44が押下前の位置まで復帰する。
【0051】
また、ドライブリンク133は、揺動ギア131側の端部近傍に突出部135が設けられている。この突出部135はスイッチセンサ139のスイッチ部138に対向して配置されている。上述したように揺動ギア131がドラムギア149から離間する方向へドライブリンク133が揺動すると、突出部135がスイッチセンサ139のスイッチ部138を押下し、スイッチOFFの状態からスイッチONの状態へ移行する。これにより、制御部55(
図2参照)は、ドラムギア149が逆転許容状態に移行し、ワイヤ37が引き出される状態になっていると検知できる。
【0052】
以上の構成により、感知器2から無線送信される感知信号を受信して窓3の障子32を解放する無線窓開閉操作装置4を提供することができる。これにより、煙、熱、炎、またはこれらの複数を感知したときに、自動で窓3の障子32を解放することができる。
【0053】
操作ハンドル43は、トルクリミッタ110が連結されているため、過剰なトルクを内部構造にかけることを防止できる。特に、トルクリミッタ110により空回りするトルクを所定範囲に調整していることにより、ドラムギア149と揺動ギア131とハンドルギア128が噛み込んで硬く動かなくなることや、揺動ギア131を揺動させるために必要な応力が強くなりすぎることを防止でき、モータ51が消費する電力を最小限に抑制することができる。トルクリミッタ110により空回りするトルク範囲の下限は、100N・cm以上とすることができ、200N・cm以上とすることが好ましく、300N・cm以上とすることがより好ましい。また、トルクリミッタ110により空回りするトルク範囲の上限は、2000N・cm以下とすることができ、1800N・cm以下とすることが好ましく、1600N・cm以下とすることがより好ましい。
【0054】
詳述すると、ドラムギア149と揺動ギア131とハンドルギア128が硬く噛み込むと、揺動ギア131を揺動させてドラムギア149から離間させるために必要なトルクが大きくなる。そうすると、感知器2の感知によってモータ51が回動し、偏心カム165によってリンクプレート175を移動させようとしても、揺動ギア131が噛み込んで動かない、あるいは揺動ギア131が動くために必要なトルクが大きく電力消費が大きいといったことが生じる。そして、モータ51の消費する電力が大きくなると、駆動電池52が消耗することとなる。施設に設置されて長期間可動しなければならない無線窓開閉操作システム1においては、動作テスト等を行うたびに駆動電池52が消耗しすぎると、いざ火災等が発生して感知器2が作動し、障子32を解放しなければならないときに、駆動電池52が電力不足もしくは電力ゼロでモータ51が作動しないということになり得る。また、駆動電池52の電力が十分にのこっていても、揺動ギア131が噛み込んで揺動ギア131を揺動させるための必要トルクが大きくなりすぎると、モータ51に減速機163を備えて出力トルクを増大したギアドモータ161といえども、揺動ギア131を揺動させられないといったことが生じる。こういったことを防止して、感知器2が感知したときに無線窓開閉操作装置4を確実に動作させて障子32を確実に開放することができる。
【0055】
また、リンクレバー191を押し出す揺動レバー182の揺動先端部183が、リンクレバー191における揺動軸192とハンドル開放押し出し部193の中間位置よりもハンドル開放押し出し部193側に設けられていることにより、モータ51の回転駆動による偏心カム165の小さな動作でリンクレバー191を確実に揺動させることができ、かつ、必要な応力が大きくなりすぎてリンクレバー191を揺動させられないということも生じず、操作ハンドル43を確実に取り出すことができる。
【0056】
また、モータ51の回転駆動による偏心カム165の動作で揺動する逆転可否制御レバー171は、リンクプレート175をリンクプレート175の長手方向に移動させる構成であるため、揺動ギア131を確実に揺動させることができる。すなわち、長手形状のリンクプレート175に対して長手方向に力をかけることで、リンクプレート175が湾曲等することを防止でき、力を分散させずに揺動ギア131を押し動かすことができる。
【0057】
この発明の連結手段は、上記実施形態のワイヤ37に対応し、以下同様に、
操作ハンドルは、操作ハンドル43に対応し、
把持体は、グリップ43aに対応し、
アームは、ハンドルアーム43bに対応し、
使用収納切替手段は、連結部43cに対応し、
押下ボタンは、窓開放用押しボタン44に対応し、
報知手段は、制御入力用発光押しボタン46、およびスピーカ54に対応し、
駆動手段は、モータ51に対応し、
電池は、駆動電池52に対応し、
電池残量検出手段は、電圧検知部53に対応し、
制御手段は、制御部55に対応し、
無線信号受信手段は、無線通信部57に対応し、
逆動作防止手段は、揺動ユニット130に対応し、
ロック解除手段および切替ギアは、揺動ギア131に対応し、
手動作動体は、ローラ134に対応し、
回転ドラムは、巻き取りドラム140に対応し、
移動体は、リンクプレート175に対応し、
操作ハンドル取り出し補助体は、リンクレバー191に対応し、
回転軸は、揺動軸192に対応し、
一端側は、ハンドル開放押し出し部193側に対応し、
他端側は、押下操作受付部194側に対応するが、この発明は本実施形態に限られず他の様々な実施形態とすることができる。
【0058】
例えば、無線窓開閉操作装置4の巻き取りドラム140と障子32を連結する連結手段は、ワイヤ37に限らず、チェーンとする、あるいはギアと歯付きレールの組み合わせとするなど、巻き取りドラム140から障子32を連結する適宜の手段により構成できる。この場合も上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
また、巻き取りドラム140の逆転を防止するワンウェイクラッチ127に替えて、ワイヤ37をワンウェイクラッチ付きのローラで挟持してワイヤ37の進退を一方向に制限し、このローラの挟持を解放すればワイヤ37がフリーになって障子32が開く構成とするなど、適宜の手段により逆転防止装置を構成することができる。この場合も上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0060】
また、制御部55は、感知器2が感知した際に駆動電池52からモータ51へ電力供給する量を所定量に制御するため、駆動電池52の消耗を最小限に抑制することができる。これにより、長期間にわたって無線窓開閉操作装置4を安定稼働できる。また、制御電池56は、制御部55および無線通信部57へ常時電力供給をしているため、無線通信部57にていつ感知信号を受信しても即座に動作できる。このように、制御電池56は制御部55と無線通信部57に常時電力供給し、駆動電池52は感知器2からの感知信号を無線通信部57で受信したときのみ電力供給するよう制御部55に制御されるため、いつでも即座に動作でき、かつ、長期間にわたって安定稼働させることを実現できる。
また、駆動電池52と制御電池56は、コネクタによって接続される形式であるため、接点が錆びる等で動作できなくなることを防止できる。
【0061】
また、トルクリミッタ110は、過負荷を防止する他の構成としてもよい。例えば、トルクリミッタ110に替えて、オイル等の粘性流体の粘性抵抗を利用して回転力を伝達する動力伝達機構を備えた流体継手とすることができる。この場合、負荷が所定トルクより大きくなると、流体継手を構成する回転体及びケーシングと粘性流体との間で大きな滑りが発生し、回転力の伝達が遮断されて、それ以上回転して負荷がかかりすぎることを防止できる。この場合も上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
このようにして、無線窓開閉操作装置4を長期間にわたって使用できるため、テストを何度も繰り返しても火災等が発生した際に無線窓開閉操作装置4を確実に動作させることができる。また、無線窓開閉操作装置4の点検も行わずに長期間放置されたような施設であっても、火災等が発生した際に無線窓開閉操作装置4を確実に動作させることができる。
【産業上利用可能性】
【0063】
この発明は、排煙用の窓や換気用の窓など施設に設置された適宜の窓に用いることができる。
【符号の説明】
【0064】
2…感知器
4…無線窓開閉操作装置
43…操作ハンドル
43a…グリップ
43b…ハンドルアーム
43c…連結部
44…窓開放用押しボタン
51…モータ
52…駆動電池
55…制御部
57…無線通信部
110…トルクリミッタ
127…ワンウェイクラッチ
131…揺動ギア
134…ローラ
140…巻き取りドラム
175…リンクプレート
191…リンクレバー
192…揺動軸
193…ハンドル開放押し出し部
194…押下操作受付部
【手続補正書】
【提出日】2023-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠に開閉可能に装着されてロック解除されると閉状態から自然に開状態へ移行する障子に連結される連結手段と、
前記連結手段を少なくとも前記障子が開状態から閉状態へ移行する閉方向へ動作させる回転ドラムと、
前記連結手段が前記閉方向と逆方向へ移動することを防止する逆動作防止手段と、
前記逆動作防止手段を介して前記回転ドラムを前記閉方向へ回転させる操作ハンドルと、
前記逆動作防止手段による逆動作防止機能を解除して自由に逆動作できるよう解放するロック解除手段と、
電池から供給される電力によって前記ロック解除手段を少なくとも解放方向へ動作させる駆動手段と、
感知器から無線送信される感知信号を受信する無線信号受信手段と、
前記無線信号受信手段により前記感知信号を受信すると前記ロック解除手段が解放方向へ動作するよう前記駆動手段を駆動させる制御を行う制御手段とを備え、
前記操作ハンドルと前記逆動作防止手段の間に、前記操作ハンドルが操作されて前記回転ドラムが前記閉方向へ回転し前記障子が前記窓枠に閉鎖されて前記回転ドラムがこれ以上回転できなくなった後にさらに前記操作ハンドルが操作されて前記逆動作防止手段にかかるトルクが所定トルクを超えると前記逆動作防止手段に対して前記操作ハンドルが空回りする過負荷防止手段を備え、
前記ロック解除手段は、
前記逆動作防止手段と前記回転ドラムの間に設けられた切替ギアと、
前記切替ギアを前記逆動作防止手段と前記回転ドラムの間で篏合したロック状態と前記逆動作防止手段側または前記回転ドラム側から離間したロック解除状態に移動させる移動体とにより構成され、
前記駆動手段は、
前記移動体を移動させて前記切替ギアを前記ロック状態から前記ロック解除状態に移動させる構成であり、
前記過負荷防止手段は、
前記切替ギアが前記ロック状態へ移動されてさらに過荷重がかかって噛み込みが強固になることで前記逆動作防止手段と前記回転ドラムの間から抜け出て解放状態に移行するために必要な応力が過大になりすぎて前記電池から供給される電力で前記解放状態に移行できないということが生じないよう、前記空回りし始めるトルクが100~2000N・cmに調整されている
無線窓開閉操作装置。
【請求項2】
前記無線信号受信手段と前記制御手段は、電池から電力供給を受けて動作する構成である
請求項1記載の無線窓開閉操作装置。
【請求項3】
窓枠に開閉可能に装着されてロック解除されると閉状態から自然に開状態へ移行する障子に連結される連結手段と、
前記連結手段を少なくとも前記障子が開状態から閉状態へ移行する閉方向へ動作させる回転ドラムと、
前記連結手段が前記閉方向と逆方向へ移動することを防止する逆動作防止手段と、
前記逆動作防止手段を介して前記回転ドラムを前記閉方向へ回転させる操作ハンドルと、
前記逆動作防止手段による逆動作防止機能を解除して自由に逆動作できるよう解放するロック解除手段と、
電池から供給される電力によって前記ロック解除手段を少なくとも解放方向へ動作させる駆動手段と、
感知器から無線送信される感知信号を受信する無線信号受信手段と、
前記無線信号受信手段により前記感知信号を受信すると前記ロック解除手段が解放方向へ動作するよう前記駆動手段を駆動させる制御を行う制御手段とを備え、
前記操作ハンドルと前記逆動作防止手段の間に、前記操作ハンドルが操作されて前記回転ドラムが前記閉方向へ回転し前記障子が前記窓枠に閉鎖されて前記回転ドラムがこれ以上回転できなくなった後にさらに前記操作ハンドルが操作されて前記逆動作防止手段にかかるトルクが所定トルクを超えると前記逆動作防止手段に対して前記操作ハンドルが空回りする過負荷防止手段と、
前記操作ハンドルと前記過負荷防止手段の間に設けられて前記操作ハンドルを折りたたんで前記操作ハンドルの把持体が筐体の内側へ収納された収納状態と前記操作ハンドルを引き出して前記把持体が前記筐体の外側へ突出した使用状態に切り替える使用収納切替手段と、
人が押下できる押下ボタンと、
前記押下ボタンが押下されると前記操作ハンドルを前記収納状態から前記使用状態へ向けて移動させる操作ハンドル取り出し補助体とを備え、
前記駆動手段と前記押下ボタンは離間して配置され、
前記操作ハンドル取り出し補助体は、前記駆動手段と前記押下ボタンの間で前記押下ボタンの押下方向と直交する方向でかつ前記駆動手段と前記押下ボタンを繋ぐ方向とは平行ではない方向を回転軸として軸支され、
前記押下ボタンが押下されると、前記操作ハンドル取り出し補助体の一端側が押下されて前記回転軸を中心に回動して他端側によって前記操作ハンドルを前記収納状態から前記使用状態へ向けて移動させ、
前記駆動手段が駆動されると、前記操作ハンドル取り出し補助体は、他端側が前記押下方向と逆方向へ押圧されて前記回転軸を中心に回動して前記他端側によって前記操作ハンドルを前記収納状態から前記使用状態へ向けて移動させる構成である
無線窓開閉操作装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
この発明は、窓枠に開閉可能に装着されてロック解除されると閉状態から自然に開状態へ移行する障子に連結される連結手段と、前記連結手段を少なくとも前記障子が開状態から閉状態へ移行する閉方向へ動作させる回転ドラムと、前記連結手段が前記閉方向と逆方向へ移動することを防止する逆動作防止手段と、前記逆動作防止手段を介して前記回転ドラムを前記閉方向へ回転させる操作ハンドルと、前記逆動作防止手段による逆動作防止機能を解除して自由に逆動作できるよう解放するロック解除手段と、電池から供給される電力によって前記ロック解除手段を少なくとも解放方向へ動作させる駆動手段と、感知器から無線送信される感知信号を受信する無線信号受信手段と、前記無線信号受信手段により前記感知信号を受信すると前記ロック解除手段が解放方向へ動作するよう前記駆動手段を駆動させる制御を行う制御手段とを備え、前記操作ハンドルと前記逆動作防止手段の間に、前記操作ハンドルが操作されて前記回転ドラムが前記閉方向へ回転し前記障子が前記窓枠に閉鎖されて前記回転ドラムがこれ以上回転できなくなった後にさらに前記操作ハンドルが操作されて前記逆動作防止手段にかかるトルクが所定トルクを超えると前記逆動作防止手段に対して前記操作ハンドルが空回りする過負荷防止手段を備え、前記ロック解除手段は、前記逆動作防止手段と前記回転ドラムの間に設けられた切替ギアと、前記切替ギアを前記逆動作防止手段と前記回転ドラムの間で篏合したロック状態と前記逆動作防止手段側または前記回転ドラム側から離間したロック解除状態に移動させる移動体とにより構成され、前記駆動手段は、前記移動体を移動させて前記切替ギアを前記ロック状態から前記ロック解除状態に移動させる構成であり、前記過負荷防止手段は、前記切替ギアが前記ロック状態へ移動されてさらに過荷重がかかって噛み込みが強固になることで前記逆動作防止手段と前記回転ドラムの間から抜け出て解放状態に移行するために必要な応力が過大になりすぎて前記電池から供給される電力で前記解放状態に移行できないということが生じないよう、前記空回りし始めるトルクが100~2000N・cmに調整されている無線窓開閉操作装置に関する。